【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、水素燃料補給ステーション(HRS)に関し、少なくとも、
HRSセンターモジュールと、
HRSディスペンサーモジュールと、
HRSセンターモジュールとHRSディスペンサーモジュールとの間の水素の流れを容易にする第1の水素供給ラインと、を備え、
HRSセンターモジュールは、安全コントローラ及びプロセスコントローラを備え、
データは、安全コントローラと、HRSセンターモジュールの安全構成要素との間で、安全通信チャンネルを介して通信され、
データは、プロセスコントローラと、HRSセンターモジュールのプロセス構成要素との間で、プロセス通信チャンネルを介して通信されることを特徴とする。
【0005】
HRSセンターモジュールは、好ましくは、車両に水素を燃料補給することを容易にする構成要素を促進する。HRSの構成要素は、冷却システム、コンプレッサー、内部水素ストレージ、水素供給源から、車両へ接続可能な水素出力口への、水素の流れを制御するための弁、流路における圧力、流れ、温度などを測定するための、トランスドューサなどを含むことができる。
【0006】
ディスペンサーモジュールは、HRSセンターモジュールに統合された一部であってもよいが、ほとんどの場所において、HRSセンターモジュールとHRSディスペンサーモジュールは、5メートルから65メートルの間隔が空けられている。これは、既知の化石燃料補給ステーションと類似のHRSの設計を主に得るためである。
【0007】
2つ以上のHRSディスペンサーモジュールを、HRSセンターモジュールに接続できるということは言及されるべきである。データ通信機構は、そのような状況においては、1つのみのHRSディスペンサーモジュールの状況に類似してもよく、つまり、HRSセンターモジュールと、水素ストレージモジュールを含むHRSサブモジュールと、の間の直接通信であってもよい。代替的に、HRSセンターモジュールとHRSディスペンサーとの間の通信は、直列的であってよく、つまり、第2のHRSディスペンサーモジュールは、第1のHRSディスペンサーモジュールを介して、HRSセンターモジュールと通信している。
【0008】
安全コントローラとプロセスコントローラとは、同じ筐体(enclosure)の中に実現できるが、依然として、個々のマイクロプロセッサ及びその他を有している安全コントローラとプロセスコントローラとは、故障問題の1つを削減又は削除するために、完全に独立して作動することが要求される。
【0009】
安全コントローラにより行われる制御は、最終安全要素と称されるアクチュエータにより行われる。安全コントローラは、例えば、燃料補給プロセスを制御するようには設計されておらず、HRSを、非安全状態作動モードから安全作動モードにするように設計されている。プロセスコントローラにより行われる制御は、最終プロセス要素と称されるアクチュエータにより行われる。安全コントローラとは逆に、プロセスコントローラは、HRSの完全な制御を容易にする。最終プロセス要素と最終安全要素とは、弁であることが多い。
【0010】
安全コントローラは、HRSの作動を監視して、その作動モードを変更するだけであることが好ましい。これは、1つのコントローラがHRSを制御しているが、2つのコントローラがHRSを監視することになり、両者のコントローラは、より安全な状況を得るために、作動モードを変更する権限を有しているという点において利点がある。これは、HRSの作動を制限することを意味することもよくあり、HRSの作動を停止することを含んでいる。
【0011】
本発明の実施の形態によれば、HRSは、更に、第2の水素供給ラインと流動的に接続される水素ストレージモジュールを備え、データは、安全コントローラと、水素ストレージモジュールの安全構成要素と、の間で、安全通信チャンネルを介して通信され、データは、プロセスコントローラと、水素ストレージモジュールのプロセス構成要素と、の間で、プロセス通信チャンネルを介して通信される。好ましくは、水素ストレージモジュールは、外部低圧水素ストレージであり、そこから、HRSが、水素が車両への燃料補給の準備ができているように貯蔵されている内部バッファタンクへ水素を誘導でき、水素の圧力を調整できる。
【0012】
本発明の実施の形態によれば、安全構成要素とプロセス構成要素とは、弁、温度センサー、圧力センサー、弁ポジショナ、流れセンサー、漏洩センサー、UV/火気センサー、を備えるリストから選択される。好ましくは、安全及びプロセスの構成要素は、同じ値を測定又は制御する同一の構成要素であるが、異なる位置に設置される。それにより、2つの平行制御システムが得られる。
【0013】
本発明の実施の形態によれば、安全構成要素は、安全I/Oモジュールを介して、安全コントローラと通信し、プロセス構成要素は、プロセスI/Oモジュールを介して、プロセスコントローラと通信している。これは、2つの平行制御システムが完全に分離され、一方が、他方に比べ、より高い安全レベルにあるという点において利点がある。これは、機能安全規格(IEC61508)の必要条件に準拠、及び/又は、少なくとも安全度水準(SIL:Safety Integrity Level)2、好ましくは、SIL3の必要条件に準拠する制御システムの実現を容易にし、それによりSIL3に格付けされた制御システムを得ることを容易にする。
【0014】
本発明の実施の形態によれば、HRSセンターモジュールは、更に、ディスペンサー安全I/Oモジュールと通信するセンター安全I/Oモジュールと、ディスペンサープロセスI/Oモジュールと通信するセンタープロセスI/Oモジュールと、を備える。
【0015】
本発明の実施の形態によれば、ケーブルは、センター安全I/Oモジュールとディスペンサー安全I/Oモジュールとの間、及び、センタープロセスI/OモジュールとディスペンサープロセスI/Oモジュールとの間の通信を容易にする。これは、わずか1本の物理ケーブルを、HRSセンターモジュールとサブモジュール(ディスペンサーとストレージ)の間に提供することだけでよいという点において利点がある。従って、ディスペンサーI/Oモジュール(安全及びプロセス)は、1本のケーブルを介して、好ましくは、分離したワイヤ対を介して、センターI/Oモジュールと通信している。
【0016】
従って、安全及びプロセスの通信チャンネルは、HRSセンターモジュールとディスペンサーモジュールの間にわずか1本の物理通信経路が存在しているだけであっても維持される。
【0017】
同じ原理を、センターモジュールと水素ストレージモジュール、又は他のHRSモジュールとの間の通信に使用できる。
【0018】
本発明の実施の形態によれば、安全及びプロセスの通信チャンネルの少なくとも1つは、グランドレベル(ground level)の下で、HRSセンターモジュールとHRSディスペンサーモジュールとの間に供給されるケーブルとして実現される。好ましくは、安全及びプロセスの通信チャンネルの両者は、個々のケーブルであり、又は、同じケーブルにおける少なくとも異なるワイヤの対である。ケーブルは、好ましくは、銅又はアルミニウムのケーブルであるが、光ファイバも、無線通信も、同様に使用できる。
【0019】
同じケーブルを、センターモジュールと水素ストレージモジュール、又は他のHRSモジュールとの間の通信に使用できる。
【0020】
本発明の実施の形態によれば、安全通信チャンネルは、PROFINETを使用して、EtherCAT又はPROFIsafe通信プロトコルよりも、フェイルセーフに作動する。これは、安全通信プロトコルを介する通信が、モジュール間の通信におけるデータパッケージの消失のリスクを削減するために重要であるという点において好適である。
【0021】
同じ論理を、センターモジュールと水素ストレージモジュール、又は他のHRSモジュールとの間の通信における通信プロトコルを判定するために使用できる。
【0022】
本発明の実施の形態によれば、プロセス通信チャンネルは、EtherCAT通信プロトコルを使用している。プロセス制御データ通信に対する条件は、安全データ通信に対する条件ほど高くはなく、従って、EtherCAT又は、Profinet、Profibus Modbusなどのような、他の類似の非安全通信プロトコルを使用できる。
【0023】
同じ論理を、センターモジュールと水素ストレージモジュール、又は他のHRSモジュールとの間の通信における通信プロトコルを判定するために使用できる。
【0024】
本発明の実施の形態によれば、安全及びプロセスの通信チャンネルの少なくとも1つは、ケーブルとして実現され、少なくとも1つのケーブルは、少なくとも部分的には、HRSセンターモジュールとHRSディスペンサーモジュールとの間のダクトにおいて、好ましくは、ダクト内のケーブル配管において、グランドレベルの下で供給される。従って、ダクトは、設置するためには相対的に高価であるが、非常に利点があり、ケーブル及び配管の保護及びここへのアクセス可能性については、ダクトは、価値があると大いに支持され得るので、ケーブルと配管の供給方法としてこれが選択される。
【0025】
本発明の実施の形態によれば、ダクトは、取外し可能なトップカバーを有している。好ましくは、ダクトは、モジュール間に作られたチャンネルにおいてコンクリートで鋳造される。取外し可能なトップカバーを有するそのようなダクトは、ダクトにおけるケーブルが水分及び埃による劣化に晒されることなく、更に、ケーブル上方の領域における将来の掘削からの損傷からも保護されるという点において利点がある。更に、ダクトにおけるケーブル又は配管のメンテナンス又は検査のために、ダクトにアクセスすることが可能である。
【0026】
ダクトの代替としては、地面を掘って地中にケーブル配管を設置し、ケーブル又は配管にアクセス可能なように、距離を置いて縦穴を有することである。そのような縦穴は、ケーブル又は配管を地下で結合しなくてはならず、そのような結合を検査可能なようにしなくてはならないときに特に必要となる。
【0027】
好ましくは、HRSセンターと他のHRSモジュールとの間の通信もまた、ダクトにおいて供給される。
【0028】
本発明の実施の形態によれば、第1の水素供給ラインは、少なくとも部分的には、HRSセンターモジュールとHRSディスペンサーモジュールとの間のダクトにおいて供給される。
【0029】
本発明の実施の形態によれば、ダクトはまた、水素戻りライン、水素放出ライン、冷却ラインの供給側、冷却ラインの戻り側、及び/又は電力ケーブル、を供給することも容易にする。電力ケーブルは、好ましくは、データ通信ケーブルと電力ケーブルとの間の電磁的結合を回避するために、別のケーブル配管で供給される。
【0030】
電力ケーブルが大きい場合は(例えば、約16又は25mm
2)、電力ケーブルを、ケーブル配管において供給するのではなく、ダクトにおいてブラケットに固定できる。
【0031】
好ましくは、ダクトは、水素及び冷却配管を、HRSセンターモジュールから、ディスペンサーモジュールを含む他のHRSモジュールに供給するために、使用される。これは、ダクトにおける配管は、劣化から良好に保護されるという点において利点がある。
【0032】
ダクトにおいて供給される物は、センターモジュールと他のモジュールとの間の長さに依存する。
【0033】
本発明の実施の形態によれば、水素供給ラインは、少なくとも15メートル毎に、好ましくは少なくとも10メートル毎に、最も好ましくは、少なくとも5メートル毎に接地される。これは、電位を回避して、それにより、水素配管の腐食を回避するために利点である。好ましくは、すべての水素及び冷却配管が接地され、配管の電位が接地電位となることを確実にして、腐食の問題を削減する。
【0034】
本発明の実施の形態によれば、ダクトには、ダクトにおける水素の漏洩を検出するための水素センサーが装備される。配管がダクトにおいて、回りに空気がある状態で供給されるという事実は、水素又はCO
2のような冷却流体が漏洩しているかどうかを、センサーにより検出することをより容易にするという点において利点がある。
【0035】
ダクトがわずかに傾斜していれば、漏洩気体は、空気と比較してのその重量により、上方又は下方に移動するので、ダクトの端部において検出できる。
【0036】
代替的に、ダクトの1つの端部に換気装置を搭載することが可能であり、ダクトの空気を変え、それにより、ダクトから出て行く空気が何らかの気体を含んでいるかどうかをテストできる。
【0037】
本発明の実施の形態によれば、水素センサーは、グランドレベルからダクトに延伸している縦穴を介して、アクセス可能である。
【0038】
下記に、本発明の幾つかの例として実施の形態を、図面を参照して記述する。