特許第6334761号(P6334761)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6334761-杭補強構造の施工方法及びその装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6334761
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】杭補強構造の施工方法及びその装置
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/28 20060101AFI20180521BHJP
   E02D 27/12 20060101ALI20180521BHJP
   E02D 3/12 20060101ALI20180521BHJP
   E02D 3/00 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   E02D27/28
   E02D27/12 Z
   E02D3/12 102
   E02D3/00 101
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-34976(P2017-34976)
(22)【出願日】2017年2月27日
(62)【分割の表示】特願2012-78495(P2012-78495)の分割
【原出願日】2012年3月30日
(65)【公開番号】特開2017-89382(P2017-89382A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2017年3月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】505181550
【氏名又は名称】株式会社新生工務
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 富雅
(74)【代理人】
【識別番号】100100424
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 知公
(74)【代理人】
【識別番号】100179202
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 誠司
(72)【発明者】
【氏名】神農 一求
【審査官】 亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−021310(JP,A)
【文献】 特開2005−344314(JP,A)
【文献】 特開昭56−064020(JP,A)
【文献】 特開2003−171932(JP,A)
【文献】 特開平07−279171(JP,A)
【文献】 特開2001−200537(JP,A)
【文献】 米国特許第04601613(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 3/00、3/12
E02D 5/34、5/46
E02D 5/48、5/50
E02D 27/12、27/28
E02D 7/00−13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端側で解放して、地盤に打設された杭に外挿される筒部と該筒部に形成された撹拌翼とを備えたオーガー、及び
該オーガーの上端側へ接続され、前記筒部内へ固化材を注入する回転ロッド、を備える施工装置であって、
前記回転ロッドと前記筒部とは内部で連通しており、前記固化材は前記杭の上方から前記杭へ向けて注入される、施工装置。
【請求項2】
前記撹拌翼は螺旋状の板から成る、請求項1に記載の施工装置。
【請求項3】
前記撹拌翼は前記筒部の下端から突出する一対の棒状の撹拌翼である、請求項1に記載の施工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は建物の杭の補強構造の施工に適した施工方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
耐震性の向上等の見地から地盤に杭を打設することが多い。建物に対して充分な支持力を確保するためには、杭の打設数を多くしたり、杭長を長くしたりすればよいが、何れも杭打設の手間が増え、コストも嵩むこととなる。
簡易な方法でかつコストをかけずに杭の支持力を増強する方法を鋭意検討してきた結果、杭の周囲の地盤を除去し杭を露出させ、得られた空間に骨材等の補強材料を投入して締め固めて補強層を形成してなる杭補強構造が特許文献1に開示されている。この杭補強構造を構築することにより、建物に対する支持力が格段に向上する。
なお、建物のフーチング等の下面は杭及び補強層の両者に当接するものとする。
本発明に関連する技術を開示する文献として特許文献2、3を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−69187号公報
【特許文献2】特開2009−35927号公報
【特許文献3】特開2005−61172号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる杭補強構造の使用を広めるには、簡易かつ安価な施工方法の確立が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記な杭補強構造の施工に適した施工方法の提供を目的とする。
即ち、この発明の第1の局面は次のように規定される。
地盤に杭を打設し、該杭の周囲に補強層を形成する杭補強構造の施工方法であって、
打設された前記杭より大径な筒部と該筒部の外周に形成された撹拌翼とを備えたオーガーを準備し、前記筒部を前記杭へ外挿しつつ回転させ、該筒部からセメントミルク等の固化材を前記杭の周囲に注入する、
ことを特徴とする杭補強構造の施工方法。
【0006】
このように規定される第1の局面の施工方法によれば、打設された杭へ筒部を外挿した状態でオーガーを回転させるので、オーガーの回転に杭が何ら干渉せず、オーガーによる作業効率が向上する。
また、杭の軸とオーガーの軸とが一致するので、オーガーの回転及び固化材の注入により形成される補強層が杭の周囲に均一に形成され、もって補強層による補強効果が安定する。
【0007】
ここに、杭の形状、材質、深さ等は要求される強度等に応じて任意に選択することができる。この杭は予め地盤に打設されている。オーガーの先端に杭用のアタッチメントを取り付け、このアタッチメントを介してオーガーの先端に杭を取り付けてこれを地盤へ打設することができる。
その後、オーガーと杭との連結を開放し、オーガーの筒部が杭へ外挿されるようにセットする。
【0008】
オーガーは筒部と撹拌翼とを備える。筒部の下端は解放されており、杭へかぶさるように外挿される。筒部の内径寸法は筒部を回転させたときの両者の干渉を防止しつつ、筒部と杭との空間を固化材が円滑に流れ、外部へ押しだされていくものとする。なお、筒部の強度確保及び流出抵抗を小さくする見地から、筒部下端の内周と杭との間から固化材を外部へ押しだすことが好ましい。
固化材は補強層に要求される強度等に応じて任意に選択できるものである。
【0009】
オーガーを第1の方向へ回転(正転)させて、杭の周囲の地盤を除去し、その後、除去された地盤の領域にオーガーの筒部から固化材を注入し、オーガーを回転させて注入された固化材を撹拌する。
杭の周囲の地盤を除去する際にも、オーガーの筒部を杭に外挿することで、地盤除去作業時に杭の干渉を避けることができるので、この作業が容易になる。また、杭を中心として、その周囲から均等に地盤を除去できる。
除去された地盤の領域へ予め骨材を投入し、その後固化材を注入してオーガーを回転させてもよい。
地盤を除去することなく、オーガーで杭周囲の地盤を撹拌しつつ固化材を注入し、杭の周囲に固化材と原土とからなる補強層を形成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明の杭補強構造の施工方法において、杭の周囲の地盤の除去方法を示す。
図2】この発明の実施形態の施工方法において、杭の周囲に形成された空間へ固化材を充填する方法を示す。
図3】同じく骨材と固化材とを充填する方法を示す。
図4図2と異なるタイプのオーガーを用いて、杭の周囲に形成された空間へ固化材を充填する方法を示す。
図5図3と異なるタイプのオーガーを用いて、同じく骨材と固化材とを充填する方法を示す。
図6】他の実施形態の施工方法において、杭の周囲の地盤を撹拌しつつ固化材を注入する方法を示す。
図7図6と異なるタイプのオーガーを用いて、杭の周囲の地盤を撹拌しつつ固化材を注入する方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明の実施形態の杭補強構造の施工方法を示す。
図1は地盤1に打設された杭2の周囲の地盤をオーガー4により除去する様子を示す。このオーガー4は杭2より大径な筒部5とその外周面に形成されたらせん状の撹拌翼6と有する。ここにおいて、符号7は回転ロッドであり図示しない杭打設機により回転かつ上下動される。符号8はオーガー4により形成された空間であり、図に示す通り、杭2にオーガー4の筒部5を外挿することにより、杭2を中心として空間8が水平方向に均等に形成される。
上記において、回転ロッド7と筒部5とは内部で連通しており、回転ロッド7の上端側から筒部5の内部に流動性のある固化材が注入される。
【0012】
杭2の周囲から地盤を除去した後、回転ロッド7側から固化材10を注入し、筒部5の下端側から固化材10を吐出させて空間8を充填する。オーガー4を回転かつ上下させることより、固化材10の撹拌、均一化を図る。これにより、杭2の周囲に補強層が形成される。筒部5が杭2へ外挿されているので、固化材10の撹拌が均一化されることはもとより、杭2にガイドされてオーガー4の位置が安定するので空間8の周壁の崩壊が防止される。
上記において、固化材10撹拌時のオーガー4の回転方向は、地盤除去時の回転方向と逆方向であることが好ましいが、撹拌を促進させるために、オーガー4の回転方向を作業途中に切り替えることもできる。
図3は、形成された空間8の底部へ骨材を投入後、固化材10の注入、撹拌を実行する例を示す。
【0013】
図4には、他のタイプのオーガー14を示す。このオーガー14では、筒部5の下端から、一対の棒状の撹拌翼16が突設された構成である。撹拌翼16の形状、形成位置及び本数は任意に選択できることは勿論である。
かかるオーガー14は、図5に示すように、骨材12と固化材10との撹拌に好適である。
【0014】
図6の例では、杭2の周囲の地盤を除去することなく、オーガー4の筒部5を杭2へ外挿した状態で、回転かつ上下動させて杭2の周囲の地盤を撹拌しつつ、固化材を注入する。これにより、杭2の周縁の地盤が補強層となる。この作業においても、杭2とオーガー4との干渉が防止されつつ、杭2の周囲に均等に補強層が形成される。
図7には筒部5の下端のみに撹拌翼14を設けたタイプのオーガー14を用いた例を示す。
【0015】
この発明は、上記発明の実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【符号の説明】
【0016】
1 地盤
2 杭
4、14 オーガー
5、筒部
6、16 撹拌翼
10 固化材
12 骨材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7