(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の処理ユニットの少なくとも1つは、キュベットを保持してキュベットに収容された試料を反応させる反応部である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の分析装置。
前記キュベット搬送部は、キュベットを保持する保持部と、前記保持部を上下方向に移動可能に支持する第1レールと、前記保持部を前記所定方向に移動可能に支持する第2レールと、を備える、請求項1〜8のいずれか1項に記載の分析装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
まず、
図1〜
図4を参照して、本発明の一実施形態による分析装置100の構成について説明する。分析装置100は、測定対象の検体に含まれる抗原または抗体などを測定するための免疫分析装置である。検体は、血清などの血液試料である。
【0013】
測定動作の概要について説明する。分析装置100は、まず、抗原抗体反応によって検体に含まれる抗原に捕捉抗体を結合させ、抗原に結合した捕捉抗体に磁性粒子を結合させる。次に、分析装置100は、結合した抗原、捕捉抗体および磁性粒子の複合体を磁気により捕集し、未反応の捕捉抗体を除去する1次BF分離処理を行う。次に、分析装置100は、標識抗体を複合体に結合させた後、結合した磁性粒子、抗原および標識抗体の複合体を磁気により捕集し、未反応の標識抗体を除去する2次BF分離処理を行う。次に、分析装置100は、分散液および発光基質を添加した後、標識抗体と発光基質との反応によって生じる発光量を測定する。分析装置100は、このような工程を経て、検体に含まれる、標識抗体に結合した抗原を定量的に測定することにより、検体に対して複数の異なる分析項目に対応する分析が可能なように構成されている。以下では、測定試料に添加される上記の捕捉抗体、磁性粒子、標識抗体、分散液および発光基質を、それぞれ、R1試薬、R2試薬、R3試薬、R4試薬およびR5試薬という。
【0014】
分析装置100は、
図1に示すように、筐体1と、複数の処理ユニット2と、試薬保持部3と、第1キュベット搬送部4と、第2キュベット搬送部5とを備えている。また、分析装置100は、検体搬送機構6と、検体分注機構7と、チップ供給機構8と、キュベット供給機構9と、試料分注用キュベット搬送部10と、複数の試薬分注機構11、12および13と、中継部14と、階層間搬送部15と、昇降機構16(
図2参照)とを備えている。さらに、分析装置100は、これらの各部を制御する制御部17(
図2参照)を備えている。
【0015】
筐体1は、平面視において長方形状に形成され、互いに隣接する長手方向の第1側面1aおよび短手方向の第2側面1bを含んでいる。つまり、筐体1は、略直方体形状の箱状形状を有する。筐体1は、複数の処理ユニット2などの分析装置100の各部を内部に収容している。なお、第1側面1aおよび第2側面1bは、それぞれ筐体1の内側面を指す。第1側面1aと第2側面1bとは、それぞれ、平面視で第1方向と第2方向とに延びる平坦面形状を有する。なお、以下では、第1側面1aに沿う水平方向の第1方向をX方向とし、第2側面1bに沿う水平方向の第2方向をY方向とし、第1方向Xおよび第2方向Yに直交する上下方向をZ方向とする。筐体1は、必ずしも平面視において長方形状に形成される必要はなく、例えば、正方形状に形成されていてもよい。
【0016】
筐体1は、第1階層E1と、第1階層E1とは上下方向Zに異なる第2階層E2(
図2参照)とを含んでいる。つまり、筐体1は、上下方向Zに複数の階層が設けられた階層構造を有している。上層である第1階層E1には、試薬保持部3と、第1キュベット搬送部4および第2キュベット搬送部5と、複数の処理ユニット2とが配置されている。なお、筐体1は、1階層のみから構成されていてもよいし、3階層以上の階層が設けられるように構成されていてもよい。
【0017】
複数の処理ユニット2は、それぞれ、第1キュベット搬送部4または第2キュベット搬送部5により搬送された反応容器であるキュベットを受け入れ、受け入れたキュベットに収容された試料に対して所定の処理を行うように構成されている。第1階層E1では、複数の処理ユニット2のうち、一部の処理ユニットが第1側面1aの延びる方向(第1方向X)に沿うように配置され、他の一部の処理ユニットが第2側面1bの延びる方向(第2方向Y)に沿うように配置されている。第1階層E1には、試料の調製に関わる複数の処理ユニット2が配置されている。第1階層E1において、複数の処理ユニット2は、円環状の試薬保持部3を取り囲むように設けられる。また、
図2に示すように、筐体1の第2階層E2には、複数の処理ユニット2のうち、第1階層E1の第1側面1aに沿うように配置された処理ユニット2および第1階層E1の第2側面1bに沿うように配置された処理ユニット2とは異なる処理ユニット2が配置されている。第2階層E2には、測定試料の測定に関わる処理ユニット2が配置されている。
【0018】
複数の処理ユニット2には、具体的には、複数の反応部21と、1つのBF分離機構22と、R4/R5試薬分注機構23と、検出部24(
図2参照)とが含まれる。反応部21は、本実施形態では3つ設けられている。3つの反応部21は、以下では、便宜的に第1反応部21a、第2反応部21bおよび第3反応部21cとして区別する。なお、反応部21は、1つ、2つまたは4つ以上設けられてもよい。これらの複数の処理ユニット2のうち、第1反応部21aと、第2反応部21bと、BF分離機構22とが、長手方向の第1側面1aに沿うように第1方向Xに並んで配置されている。また、複数の処理ユニット2のうち、第3反応部21cと、R4/R5試薬分注機構23とが、短手方向の第2側面1bに沿うように第2方向Yに並んで配置されている。以上の各処理ユニット2は第1階層E1に配置されている。そして、
図2に示すように、複数の処理ユニット2のうち検出部24が、第2階層E2に配置されている。各処理ユニット2の具体的な構成については、後述する。なお、複数の処理ユニット2には、上記以外の他の処理ユニットが含まれていてもよい。他の処理ユニットとしては、第1キュベット搬送部4または第2キュベット搬送部5により搬送されたキュベットを受け入れ可能に構成されている、R2分注ポート41、R3分注ポート42、および、集磁ポート44等が挙げられる。また、BF分離機構および検出部は、複数設けられていてもよい。
【0019】
図1に示すように、試薬保持部3は、筐体1の内部に設けられ、平面視で円環状形状を有する。また、試薬保持部3は、平面視において筐体1の中央部近傍に配置されている。試薬保持部3は、円筒形状のケース31と、円環状の試薬設置部32および33と、冷却機構34とを含んでいる。
【0020】
ケース31は、内部に試薬設置部32および33と、冷却機構34とを収容しており、断熱壁によってケース31の内部と外部との間の熱伝達を遮断している。円環状の試薬設置部32および33は、同心状に配置されているとともに、互いに独立して回転可能に構成されている。外周側の試薬設置部32には、R2試薬が収容される試薬容器35が円環状に並ぶように複数設置される。内周側の試薬設置部33には、R1試薬およびR3試薬がそれぞれ収容される試薬容器36が円環状に並ぶように複数設置される。なお、試薬容器36は、内部の試薬収容空間が2つに区画されていて、2つの試薬収容空間に、それぞれR1試薬とR3試薬とが収容されている。試薬設置部32および33の回転によって、複数の試薬容器35および36がそれぞれ所定の試薬吸引位置に位置付けられる。
【0021】
また、冷却機構34は、ペルチェ素子などの冷却素子34aと循環用のファン34bとを含んでいる。これにより、試薬保持部3は、複数の試薬容器35および36を内部に収容して保冷するように構成されている。なお、ケース31の上面には、開閉可能な吸引口(図示せず)が、R1試薬〜R3試薬のそれぞれの吸引用に3つ設けられている。
【0022】
第1キュベット搬送部4および第2キュベット搬送部5は、それぞれ、キュベットCを搬送する機能を有する。本実施形態では、第1キュベット搬送部4は、試薬保持部3の周辺に筐体1の第1側面1aに沿うように設けられている。第2キュベット搬送部5は、試薬保持部3の周辺に筐体1の第2側面1bに沿うように設けられている。第1キュベット搬送部4および第2キュベット搬送部5は、筐体1内で複数の処理ユニット2よりも外側に配置されている。また、第1キュベット搬送部4および第2キュベット搬送部5は、円環状の試薬保持部3を取り囲むように設けられている。
【0023】
図3に示すように、第1キュベット搬送部4は、キュベットCを保持可能な第1保持部4aと、第1保持部4aを上下方向Zに直線移動可能に支持する第1レール4bと、第1レール4bを第2方向Yに直線移動可能に支持する第2レール4cと、第2レール4cを第1方向Xに直線移動可能に支持する第3レール4dとを含む。第1キュベット搬送部4は、各方向への移動用の3つのモータ(図示せず)の駆動により、第1保持部4aを、第1側面1aに沿う第1方向X、第2方向Yおよび上下方向Zの各方向に往復移動させることが可能なように構成されている。これにより、第1キュベット搬送部4は、第1保持部4aによりキュベットCを1つずつ保持して処理ユニット2に搬送する。また、第1キュベット搬送部4は、第1側面1aに沿うように配置された処理ユニット2における処理が完了したキュベットCを、中継部14に搬送するように構成されている。
【0024】
第1保持部4aの移動範囲は、第1レール4bと、第2レール4cと、第3レール4dとによって規定される。水平方向について、第1キュベット搬送部4は、第1方向Xへの移動範囲L1と、第2方向Yへの移動範囲L2との範囲内で第1保持部4aを移動させることが可能である。したがって、第1キュベット搬送部4によるキュベットCの搬送可能領域A1は、第1方向Xの移動範囲L1と第2方向Yの移動範囲L2とを各辺とする矩形領域である。ここで、第1保持部4aの第1方向Xへの移動範囲L1は、第2方向Yの移動範囲L2よりも大きくなるように構成されている。そのため、第1キュベット搬送部4は、第1側面1aと試薬保持部3との間で、第1側面1aに沿う第1方向Xを長手方向とする長細い搬送可能領域A1を有する。
【0025】
第2キュベット搬送部5は、キュベットCを保持可能な第2保持部5aと、第2保持部5aを上下方向Zに直線移動可能に支持する第1レール5bと、第1レール5bを第1方向Xに直線移動可能に支持する第2レール5cと、第2レール5cを第2方向Yに直線移動可能に支持する第3レール5dとを含む。第2キュベット搬送部5は、各方向への移動用の3つのモータ(図示せず)の駆動により、第2保持部5aを、第2側面1bに沿う第2方向Y、第1方向Xおよび上下方向Zの各方向に往復移動させることが可能なように構成されている。これにより、第2キュベット搬送部5は、第2保持部5aによりキュベットCを1つずつ保持して処理ユニット2に搬送する。また、第2キュベット搬送部5は、中継部14に搬送されたキュベットCを、第2側面1bに沿うように配置された処理ユニット2に搬送するように構成されている。
【0026】
水平方向について、第2キュベット搬送部5は、第2方向Yへの移動範囲L3と、第1方向Xへの移動範囲L4との範囲内で第2保持部5aを移動させることが可能である。第2キュベット搬送部5の搬送可能領域A2は、第2方向Yの移動範囲L3と第1方向Xの移動範囲L4とを各辺とする矩形領域である。第2保持部5aの第2方向Yへの移動範囲L3は、第1方向Xの移動範囲L4よりも大きくなるように構成されている。そのため、第2キュベット搬送部5は、第2側面1bと試薬保持部3との間で、第2側面1bに沿う第2方向Yを長手方向とする長細い搬送可能領域A2を有する。
【0027】
本実施形態では、第1キュベット搬送部4と第2キュベット搬送部5とは、平面視において、互いにキュベットCの搬送可能領域が部分的に重複するように構成されている。すなわち、
図3においてハッチングを付して図示した重複部分Bにおいて、第1キュベット搬送部4の搬送可能領域A1と第2キュベット搬送部5の搬送可能領域A2とが重複する。なお、複数の処理ユニット2のうち、第1側面1aに沿うように配置された処理ユニット2へのキュベットCの搬送位置は、第1保持部4aの移動範囲L1×L2内に収まるように配置されている。すなわち、第2反応部21bの後述の複数のキュベット保持孔21dと、BF分離機構22の後述の複数の処理ポート22aとが、いずれも搬送可能領域A1内に収まるように配置されている。また、複数の処理ユニット2のうち、第2側面1bに沿うように配置された処理ユニット2へのキュベットCの搬送位置は、第2保持部5aの移動範囲L3×L4内に収まるように配置されている。すなわち、第3反応部21cの複数のキュベット保持孔21dと、R4/R5試薬分注機構23の後述のR4試薬ノズル23aおよびR5試薬ノズル23bとが、いずれも搬送可能領域A2内に収まるように配置されている。
【0028】
なお、第1キュベット搬送部4と第2キュベット搬送部5とは、それぞれ複数設けられてもよい。たとえば、共通の第3レール4dに複数の第1キュベット搬送部4が設けられてもよい。また、特定の複数の処理ユニット2の間の搬送専用の第1キュベット搬送部4が設けられてもよい。たとえば、第2反応部21bとBF分離機構22との間の搬送用の第1キュベット搬送部と、BF分離機構22と中継部14との間の搬送用の第1キュベット搬送部とが並べて設けられてもよい。第2キュベット搬送部についても同様である。
【0029】
図1に示すように、検体搬送機構6は、検体を収容した試験管6aが複数載置されたラック6bを所定の検体吸引位置まで搬送する。検体分注機構7は、試験管6a中の検体を吸引し、吸引した検体を検体分注位置P1に配置されたキュベットCに分注するように構成されている。なお、検体分注機構7は、検体の分注に際して、チップ供給機構8により供給された使い切りのピペットチップ(図示せず)を装着するように構成されている。
【0030】
試料分注用キュベット搬送部10は、第2側面1bの延びる方向(第2方向Y)に沿うように設けられている。試料分注用キュベット搬送部10は、複数の処理ユニット2とともに、円環状の試薬保持部3を取り囲むように設けられる。試料分注用キュベット搬送部10は、キュベットCを保持して第2方向Yに移動可能な試料分注用キュベット保持部10aを含む。試料分注用キュベット搬送部10は、キュベット供給機構9から試料分注用キュベット保持部10aに供給されたキュベットCを、検体分注位置P1と、R1試薬分注位置P2と、キュベット取出位置P3とに搬送する。
【0031】
複数の試薬分注機構11、12および13は、それぞれ、試薬の吸引および吐出を行うためのピペット11a、12aおよび13aを試薬吸引位置と試薬分注位置との間で直線移動させるように構成されている。試薬分注機構11のピペット11aは、試薬保持部3の吸引口(図示せず)を介して試薬容器36からR1試薬を吸引し、R1試薬分注位置P2のキュベットCにR1試薬を分注する。試薬分注機構12のピペット12aは、試薬保持部3の試薬容器35からR2試薬を吸引し、R2分注ポート41に搬送されたキュベットCにR2試薬を分注する。試薬分注機構13のピペット13aは、試薬保持部3の試薬容器36からR3試薬を吸引し、R3分注ポート42に搬送されたキュベットCにR3試薬を分注する。
【0032】
3つの反応部21は、共に同一構造を有しており、共通化されている。すなわち、3つの反応部21は、共に、平面視で長方形状に形成されている。また、3つの反応部21は、キュベットCを保持してキュベットCに収容された試料を反応させるように構成されている。具体的には、3つの反応部21は、それぞれ複数のキュベット保持孔21dを有するとともに、キュベット保持孔21dにセットされたキュベットCに収容された試料を加温するように構成されている。
【0033】
3つの反応部21のうちの第1反応部21aは、筐体1内のX1方向側かつY1方向側の隅部近傍に配置されている。第1反応部21aは、筐体1内の中央部の試薬保持部3から試料分注用キュベット搬送部10を間に挟むようにして離間した位置に配置されている。第1反応部21aは、検体およびR1試薬分注後のキュベットC内の試料の1次反応処理と、R2試薬分注後の試料に対する2次反応処理とを行う。この第1反応部21aの近傍には、上流側キュベット搬送部43が設置されている。上流側キュベット搬送部43は、キュベット取出位置P3と、第1反応部21aと、後述する集磁ポート44と、R2分注ポート41との間でキュベットCを搬送する。
【0034】
第1反応部21aと第2反応部21bとの間の位置には、キュベットCを保持可能な集磁ポート44が設けられている。集磁ポート44は、図示しない永久磁石を内蔵し、集磁ポート44に設置されたキュベットC内の磁性粒子を集める機能を有する。また、集磁ポート44は、上流側キュベット搬送部43の搬送可能領域A3と、第1キュベット搬送部4の搬送可能領域A1との重複部分に配置されている。これにより、第1キュベット搬送部4と上流側キュベット搬送部43との間でキュベットCを受け渡すことができる。なお、本実施形態では上流側キュベット搬送部43が設けられるが、上流側キュベット搬送部43を設ける代わりに第1キュベット搬送部4が上流側キュベット搬送部43の分の搬送動作を行うようにしてもよい。つまり、第3レール4dを筐体1のX1方向側の端部近傍まで延ばして、第1キュベット搬送部4が上流側キュベット搬送部43の搬送可能領域A3もカバーするように構成してもよい。
【0035】
第2反応部21bは、筐体1内の第1方向Xの中央で、かつ、第1側面1aの近傍の位置に配置されている。第2反応部21bは、第1キュベット搬送部4によるキュベットCの搬送可能領域A1内で、かつ、試薬保持部3とは離間した位置に配置されている。第2反応部21bは、Y2方向側に設置されたR2分注ポート41を間に挟むようにして試薬保持部3から離間している。また、第2反応部21bとBF分離機構22との間には、R3分注ポート42が配置されている。第2反応部21bは、R3試薬分注後の試料に対する3次反応処理を行う。なお、第1反応部21aおよび第2反応部21bは、共に、長手方向が第1側面1aに沿う第1方向Xを向くように配置されている。
【0036】
BF分離機構22は、第2反応部21bと第3反応部21cとの間で、かつ、第1側面1aの近傍の位置に配置されている。BF分離機構22は、キュベットCに収容された試料中の未反応成分を分離するBF分離処理を実行するように構成されている。BF分離機構22は、それぞれキュベットCを設置可能な複数の処理ポート22aを含む。本実施形態では、処理ポート22aは4つ設けられている。4つの処理ポート22aは、第1方向Xに沿って並ぶように配置されており、第1キュベット搬送部4によってキュベットCがそれぞれの処理ポート22aに個別に搬送される。なお、BF分離機構22は、1次BF分離処理と2次BF分離処理との両方を行うように構成されている。そして、第1キュベット搬送部4は、4つの処理ポート22aのうち、BF分離処理後のキュベットCの搬送先に近い側の処理ポート22aにキュベットCを搬送するように構成されている。具体的には、1次BF分離処理後、キュベットCは、R3試薬が分注された後で第2反応部21bに搬送される。また、2次BF分離処理後、キュベットCは、中継部14を経由し、R4試薬およびR5試薬が分注された後で、第3反応部21cに搬送される。そのため、1次BF分離処理の際には第2反応部21bに近いX1方向側の処理ポート22aのいずれかにキュベットCが搬送され、2次BF分離処理の際には第3反応部21cおよび中継部14に近いX2方向側の処理ポート22aのいずれかにキュベットCが搬送される。BF分離機構22は、4つの処理ポート22aによって、2つのキュベットCに対する1次BF分離処理と、2つのキュベットCに対する2次BF分離処理とを、同時並行で行うことが可能なように構成されている。
【0037】
図3に示すように、中継部14は、第1キュベット搬送部4の搬送可能領域A1と第2キュベット搬送部5の搬送可能領域A2との重複部分Bに配置されている。中継部14は、キュベット保持孔14a内にキュベットCを保持可能に構成されている。中継部14には、2次BF分離処理後のキュベットCが搬送される。この中継部14において、第1キュベット搬送部4と第2キュベット搬送部5との間のキュベットCの受け渡しが行われる。なお、中継部14は必ずしも設けられなくてもよい。たとえば、中継部14を設ける代わりに、第2キュベット搬送部5の搬送可能領域A2をBF分離機構22まで拡張して、2次BF分離処理後のキュベットCを第2キュベット搬送部5が取り出すようにしてもよい。
【0038】
図1に示すように、R4/R5試薬分注機構23は、第2側面1bの近傍で、かつ、第3反応部21cと試薬保持部3との間の位置に配置されている。R4/R5試薬分注機構23は、容器収容部23cに収容されたR4試薬容器(図示せず)およびR5試薬容器(図示せず)にそれぞれ接続されたR4試薬ノズル23aおよびR5試薬ノズル23bを有する。R4試薬ノズル23aおよびR5試薬ノズル23bは、第2キュベット搬送部5によってR4試薬ノズル23aおよびR5試薬ノズル23bの下方位置にキュベットCが配置された状態で、それぞれ、R4試薬およびR5試薬をキュベットC内に吐出するように構成されている。
【0039】
第3反応部21cには、R4試薬およびR5試薬分注後のキュベットCが搬送される。第3反応部21cは、筐体1内のX2方向側かつY1方向側の隅部近傍に配置されている。第3反応部21cは、長手方向が第2側面1bに沿う第2方向Yを向くように配置されている。また、第2反応部21bは、第2キュベット搬送部5によるキュベットCの搬送可能領域A2内で、かつ、試薬保持部3とは離間した位置に配置されている。第3反応部21cは、R4/R5試薬分注機構23を間に挟むようにして試薬保持部3から離間している。
【0040】
階層間搬送部15は、第1階層E1において搬送可能領域A2内の位置に設けられている。
図4に示すように、階層間搬送部15は、キュベット保持孔15aにキュベットCを保持可能に構成されている。また、昇降機構16は、第2階層E2に設けられ、階層間搬送部15を昇降させることにより第1階層E1と第2階層E2との間のキュベットCの移送を行うように構成されている。昇降機構16は、階層間搬送部15を上下方向Zに直線移動させるように構成されている。なお、階層間搬送部15は、第2階層E2内の位置に設けられていてもよい。
【0041】
図2に示すように、筐体1の第2階層E2には、検出部24、昇降機構16、第3キュベット搬送部45、キュベット廃棄口46および制御部17が配置されている。第3キュベット搬送部45は、第2階層E2に下降された階層間搬送部15と、検出部24と、キュベット廃棄口46との間でキュベットCを搬送するように構成されている。
【0042】
検出部24は、光電子増倍管などの光検出器24aを含む。検出部24は、各種処理が行なわれた検体の抗原に結合する標識抗体と発光基質との反応過程で生じる光を光検出器24aで取得することにより、その検体に含まれる抗原の量を測定する。
【0043】
制御部17は、図示しないCPUや記憶部を含むPC(パーソナルコンピュータ)などからなる。PCは、記憶部に記憶された制御プログラムをCPUが実行することにより、分析装置100の制御部として機能する。制御部17は、複数の処理ユニット2、第1キュベット搬送部4、および、第2キュベット搬送部5などの各部の動作を制御する。
【0044】
次に、
図1、
図2および
図5を参照して、分析装置100の測定処理動作について説明する。なお、分析装置100の動作制御は、制御部17(
図2参照)により実行される。実際には、複数のキュベットC内の各検体に対する処理動作が並行して実施されるが、以下では1つのキュベットCの検体に対する分析処理のみを説明する。
【0045】
まず、
図5のステップS1において、
図1に示すように、試料分注用キュベット搬送部10にキュベット供給機構9から供給された新規のキュベットCがセットされる。次に、ステップS2において、試料分注用キュベット搬送部10がキュベットCをR1試薬分注位置P2に搬送するとともに、試薬分注機構11が試薬容器36から吸引したR1試薬をキュベットCに分注する。次に、ステップS3において、試料分注用キュベット搬送部10がキュベットCを検体分注位置P1に搬送するとともに、検体分注機構7が試験管6aから吸引した検体をキュベットCに分注する。
【0046】
次に、ステップS4において、試料分注用キュベット搬送部10がキュベットCをキュベット取出位置P3に搬送するとともに、上流側キュベット搬送部43がキュベットCを取り出して第1反応部21aのキュベット保持孔21dにキュベットCをセットする。この状態で、キュベットC内の検体およびR1試薬が所定時間、所定温度に加温される1次反応処理が行われる。
【0047】
次に、ステップS5において、上流側キュベット搬送部43がキュベットCを第1反応部21aからR2分注ポート41に搬送するとともに、試薬分注機構12が試薬容器35から吸引したR2試薬をキュベットCに分注する。
【0048】
次に、ステップS6において、上流側キュベット搬送部43がキュベットCをR2分注ポート41から取り出して第1反応部21aのキュベット保持孔21dにセットする。この状態で、キュベットC内の検体、R1試薬およびR2試薬が所定時間、所定温度に加温される2次反応処理が行われる。
【0049】
次に、ステップS7において、1次BF分離処理が行われる。具体的には、上流側キュベット搬送部43がキュベットCを第1反応部21aから集磁ポート44に搬送する。キュベットCが集磁ポート44に搬送されることによりキュベットC内の磁性粒子が集磁される。次に、第1キュベット搬送部4がキュベットCを集磁ポート44からBF分離機構22に搬送する。この際、キュベットCはX1側の処理ポート22aのいずれかにセットされる。そして、BF分離機構22は、キュベットC内の抗原、R1試薬およびR2試薬の複合体を磁気により捕集するとともに、未反応のR1試薬を除去する。
【0050】
次に、ステップS8において、第1キュベット搬送部4がキュベットCをBF分離機構22からR3分注ポート42に搬送するとともに、試薬分注機構13が試薬容器36から吸引したR3試薬をキュベットCに分注する。
【0051】
次に、ステップS9において、第1キュベット搬送部4がキュベットCをR3分注ポート42から取り出して第2反応部21bのキュベット保持孔21dにセットする。この状態で、キュベットC内の検体、R1試薬、R2試薬およびR3試薬が所定時間、所定温度に加温される3次反応処理が行われる。
【0052】
次に、ステップS10において、2次BF分離処理が行われる。具体的には、第1キュベット搬送部4がキュベットCを第2反応部21bから集磁ポート44に搬送し、キュベットC内の磁性粒子を集磁する。次に、第1キュベット搬送部4がキュベットCを集磁ポート44からBF分離機構22に搬送する。この際、キュベットCはX2方向側の処理ポート22aのいずれかにセットされる。そして、BF分離機構22は、キュベットC内の抗原、R1試薬、R2試薬およびR3試薬の複合体を磁気により捕集するとともに、未反応のR3試薬を除去する。
【0053】
次に、ステップS11において、第1キュベット搬送部4がキュベットCをBF分離機構22から中継部14に搬送して、キュベット保持孔14aにセットする。
【0054】
次に、ステップS12において、R4試薬およびR5試薬の分注が行われる。まず、第2キュベット搬送部5がキュベットCを中継部14から取り出してR4/R5試薬分注機構23に搬送する。そして、第2キュベット搬送部5がR4試薬ノズル23aの下方位置でキュベットCを保持した状態で、R4試薬ノズル23aがR4試薬をキュベットCに分注する。次に、第2キュベット搬送部5がR5試薬ノズル23bの下方位置でキュベットCを保持した状態で、R5試薬ノズル23bがR5試薬をキュベットCに分注する。
【0055】
次に、ステップS13において、第2キュベット搬送部5がキュベットCを第3反応部21cのキュベット保持孔21dにセットする。この状態で、キュベットC内の検体およびR1試薬〜R5試薬が所定時間、所定温度に加温される4次反応処理が行われる。この4次反応処理によって、測定用試料の調製処理が完了する。
【0056】
次に、ステップS14において、第2キュベット搬送部5がキュベットCを第3反応部21cから取り出して階層間搬送部15にセットする。そして、昇降機構16が階層間搬送部15を下降させてキュベットCを第2階層E2(
図2参照)に搬送する。
【0057】
次に、ステップS15において、光学検出が行われる。具体的には、
図2に示すように、第3キュベット搬送部45がキュベットCを階層間搬送部15から取り出して検出部24に搬送する。そして、検出部24が光検出器24aによって検体に含まれる抗原の量を測定する。光学検出終了後、ステップS16において、第3キュベット搬送部45が測定済みのキュベットCを検出部24から取り出して、キュベット廃棄口46に廃棄する。以上により、分析装置100の測定処理動作が行われる。
【0058】
次に、
図6を参照して、中継部14を介した第1キュベット搬送部4と第2キュベット搬送部5との間のキュベットCの中継動作について、詳細に説明する。
【0059】
図6に示すように、1本目のキュベットCについての2次BF分離処理の完了後、第1キュベット搬送部4は、1本目のキュベットCをBF分離機構22の処理ポート22aから取り出して、中継部14に搬送する(
図5のステップS11参照)。これにより、第1キュベット搬送部4による1本目のキュベットCの搬送動作が終了することになり、第1キュベット搬送部4は、1本目のキュベットCについての以降の処理動作に制約されることがなくなる。第1キュベット搬送部4は、
図5のステップS12以降の処理と並行して、後続の2本目のキュベットCの搬送動作を実行する。
【0060】
すなわち、1本目のキュベットCについては、第2キュベット搬送部5が1本目のキュベットCを中継部14からR4/R5試薬分注機構23に搬送し、R4試薬およびR5試薬の分注後、第3反応部21cに搬送する。中継部14からキュベットCを取り出してから第3反応部21cに搬送するまでの間、第2キュベット搬送部5はキュベットCを保持したままである。
【0061】
この第2キュベット搬送部5の動作と並行して、第1キュベット搬送部4は、第2反応部21bにセットされた2本目のキュベットCを、集磁ポート44を経由してBF分離機構22に搬送する。そして、1本目のキュベットCが取り出されて空いた処理ポート22aに、2本目のキュベットCをセットする。このように、第2キュベット搬送部5がR4およびR5試薬の分注処理のための動作中の状態でも、第1キュベット搬送部4側ではBF分離機構22へのキュベットCの搬送動作が並行して行われ、R4/R5試薬の分注処理とBF分離処理とが並行して実施される。
【0062】
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0063】
分析装置100は、上記のように、試薬保持部3の周辺に筐体1の第1側面1aに沿うように設けられ、キュベットCを搬送する第1キュベット搬送部4と、試薬保持部3の周辺に筐体1の第2側面1bに沿うように設けられ、キュベットCを搬送する第2キュベット搬送部5とを備える。分析装置100はさらに、平面視において第1側面1aの延びる方向(第1方向X)および第2側面1bの延びる方向(第2方向Y)のいずれかに沿うようにそれぞれ配置され、第1キュベット搬送部4または第2キュベット搬送部5により搬送されたキュベットCを受け入れ、受け入れたキュベットCに収容された試料に対して所定の処理を行うように構成された複数の処理ユニット2を備える。このように、分析装置100の筐体1の第1側面1aおよび第2側面1bに沿って第1キュベット搬送部および第2キュベット搬送部が設けられ、第1方向Xまたは第2方向Yに沿うように複数の処理ユニット2がそれぞれ配置される。その結果、キュベットを搬送する円環状のターンテーブルを設けて周囲に処理ユニットを円周状に配置する構成と異なり、各処理ユニット2間のデッドスペースの発生を抑制することができる。また、第1キュベット搬送部4および第2キュベット搬送部5をそれぞれ第1側面1aおよび第2側面1bに沿って設けることにより、円環状の試薬保持部3が配置される場合でも、複数の処理ユニット2を試薬保持部3の回りに円周状に配置する必要がなくなる。これにより、各処理ユニット2間のデッドスペースを極力減らすような処理ユニット2の自由なレイアウトが可能となる。以上の結果、本実施形態の分析装置100によれば、装置を小型化して設置面積を小さくすることができる。
【0064】
また、分析装置100は、上記のように、第1キュベット搬送部4の搬送可能領域A1と第2キュベット搬送部5の搬送可能領域A2との重複部分Bに、キュベットCを保持可能に構成された中継部14をさらに備える。これにより、第1キュベット搬送部4と第2キュベット搬送部5との間で、中継部14を介したキュベットCの受け渡しが可能となる。その結果、第1キュベット搬送部4および第2キュベット搬送部5のそれぞれが、互いの動作によって制約を受けることなく同時並行でキュベットCの搬送を行うことができる。
【0065】
また、上記のように、第1キュベット搬送部4は、第1側面1aに沿うように配置された処理ユニット2における処理が完了したキュベットCを中継部14に搬送するように構成される。第2キュベット搬送部5は、中継部14に搬送されたキュベットCを第2側面1bに沿うように配置された処理ユニット2に搬送するように構成される。これにより、複数のキュベット搬送部を設ける構成においても、キュベットCに収容された試料に対する各処理ユニット2の一連の処理を円滑に行うことができる。すなわち、中継部14に搬送されたキュベットCは、次のキュベットCが第1キュベット搬送部4によって搬送されてくるまでの間に、第2キュベット搬送部5によって中継部14から取り出されればよいので、第1キュベット搬送部4および第2キュベット搬送部5の搬送動作に待機時間を設けることのないキュベットCの円滑な搬送が可能となる。
【0066】
また、上記のように、第1キュベット搬送部4は、第1方向Xに第1保持部4aを往復移動させることが可能なように構成される。第2キュベット搬送部5は、第2方向Yに第2保持部5aを往復移動させることが可能なように構成される。これにより、第1キュベット搬送部4および第2キュベット搬送部5の往復移動によって、同じ処理ユニット2を複数回使用することが可能になる。この結果、同じ処理を複数回行う場合、円環状のターンテーブルによってキュベットを一方向に搬送する構成では、同じ処理ユニットを複数配置する必要があるのに対して、同じ処理ユニット2を複数配置する必要がなくなるので、その分、より一層分析装置100を小型化することができる。
【0067】
また、上記のように、第1キュベット搬送部4は、第1保持部4aの第1方向Xへの移動範囲が第2方向Yの移動範囲よりも大きくなるように構成される。第2キュベット搬送部5は、第2保持部5aの第2方向Yへの移動範囲が第1方向Xの移動範囲よりも大きくなるようにを構成される。このように構成すれば、第1キュベット搬送部4および第2キュベット搬送部5の移動範囲を、それぞれ、第1側面1aおよび第2側面1bに沿って長細い形状にすることができる。これにより、円環状の試薬保持部3と第1側面1aおよび第2側面1bとの間のスペースが増大するのを抑制しつつ、移動範囲の長手方向には広いスペースを確保することができる。その結果、分析装置100の設置面積が増大するのを抑制しながら、複数の処理ユニット2のレイアウトの自由度を向上させることができる。
【0068】
また、上記のように、第1側面1aに沿うように配置された処理ユニット2へのキュベットCの搬送位置は、第1保持部4aの移動範囲内に収まるように配置される。また、第2側面1bに沿うように配置された処理ユニット2へのキュベットCの搬送位置は、第2保持部5aの移動範囲内に収まるように配置される。このように構成すれば、第1側面1aおよび第2側面1bに沿うそれぞれの処理ユニット2に対して、第1キュベット搬送部4および第2キュベット搬送部5がキュベットCの搬送を直接行うことができる。これにより、第1キュベット搬送部4および第2キュベット搬送部5と処理ユニット2との間でキュベットCを中継する別の搬送部を設ける必要がなくなり、その結果、分析装置100の設置面積を増大させることなく、効率的かつ確実にキュベットCの搬送を行うことができる。
【0069】
また、分析装置100では、上記のように、複数の処理ユニット2の1つとして、キュベットCを保持してキュベットCに収容された試料を反応させる反応部21が設けられる。これにより、大型の円環状の反応部を設ける構成と異なり、必要十分なサイズの反応部21を筐体1の第1側面1aおよび第2側面1bに沿って配置することができるので、装置の小型化を図ることができる。
【0070】
また、上記のように、試薬容器を内部に収容して保冷する試薬保持部3は、平面視において筐体1の中央部近傍に配置される。キュベットCに収容された試料を加温する第2反応部21bおよび第3反応部21cは、第1キュベット搬送部4または第2キュベット搬送部5によるキュベットCの搬送可能領域A1またはA2内で、かつ、試薬保持部3とは離間した位置に配置される。これにより、装置を小型化して設置面積を小さくすることが可能な構成でありながら、相対的に低温の試薬保持部3と相対的に高温の第2反応部21bおよび第3反応部21cとを離間して、熱エネルギー効率を向上させたレイアウトを実現することができる。
【0071】
また、分析装置100では、上記のように、複数の処理ユニット2の1つとして、第2反応部21bおよび第3反応部21cの間の位置に配置され、キュベットCに収容された試料中の未反応成分を分離するBF分離機構22が設けられる。これにより、第2反応部21bでの反応後の未反応成分の分離処理と、分離処理後の第3反応部21cでの反応処理と行う際、BF分離機構22と第2反応部21bおよび第3反応部21cとの間のキュベットCの搬送距離を小さくして効率的に処理を行うことができる。
【0072】
また、試料分注用キュベット搬送部10は、キュベットCを保持可能な試料分注用キュベット保持部10aを含むとともに、試料分注用キュベット保持部を第2方向Yに往復移動させることが可能なように、第2方向Yに沿うように設けられる。これにより、装置内のデッドスペースをさらに減らすことができるので、装置をさらに小型化することができる。
【0073】
また、試料分注用キュベット搬送部10は、試料分注用キュベット保持部に保持されたキュベットを、検体が分注される検体分注位置P1と、R1試薬が分注される試薬分注位置P2と、検体および試薬が分注されたキュベットが取出されるキュベット取出位置P3とに搬送可能に構成される。これにより、検体の分注およびR1試薬の分注を迅速に行うことができる。
【0074】
また、複数の処理ユニット2と、試料分注用キュベット搬送部10とは、円環状の試薬保持部3を取り囲むように設けられる。これにより、試薬保持部3と、複数の処理ユニット2および試料分注用キュベット搬送部10との間のデッドスペースを減らすことができるので、装置をさらに小型化することができる。
【0075】
また、筐体1は、平面視において矩形状に形成されるので、より効果的に装置内のデッドスペースを減らすことができる。
【0076】
また、分析装置100では、上記のように、筐体1に第1階層E1と第2階層E2とが上下に設けられる。そして、筐体1の第2階層E2に、第1階層E1の第1側面1aに沿うように配置された処理ユニット2および第1階層E1の第2側面1bに沿うように配置された処理ユニット2とは異なる処理ユニット2が配置される。これにより、たとえば全ての処理ユニット2を単一の階層に平面的に配置する構成と比較して、装置の設置面積をより一層小さくすることができる。
【0077】
また、分析装置100は、上記のように、階層間搬送部15と、階層間搬送部15を昇降させる昇降機構16とをさらに備える。これにより、階層間搬送部15の昇降移動によって第1階層E1と第2階層E2との間のキュベットCの搬送を行うことができるので、たとえば第1キュベット搬送部4および第2キュベット搬送部5を第1階層E1および第2階層E2に跨がるように設ける必要がなく、装置の設置面積を小さくより一層することができる。
【0078】
また、分析装置100は、上記のように、免疫分析装置である。これにより、多数の処理を行うために多くの処理ユニット2を備える免疫分析装置であっても、小型化して設置面積を小さくすることができる。
【0079】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0080】
たとえば、上記実施形態では、測定対象の検体に含まれる抗原または抗体などを測定するための免疫分析装置に本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限られない。上記免疫分析装置以外の他の分析装置に本発明を適用してもよい。例えば、本発明は、他の分析装置として、血液凝固測定装置、尿中有形成分分析装置、遺伝子増幅測定装置、生化学分析装置等の臨床検査用検体分析装置に適用可能である。