特許第6334772号(P6334772)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6334772-マルチビーム半導体レーザ装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6334772
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】マルチビーム半導体レーザ装置
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/22 20060101AFI20180521BHJP
   H01S 5/022 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   H01S5/22 610
   H01S5/022
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-75520(P2017-75520)
(22)【出願日】2017年4月5日
(62)【分割の表示】特願2012-158245(P2012-158245)の分割
【原出願日】2012年7月17日
(65)【公開番号】特開2017-126784(P2017-126784A)
(43)【公開日】2017年7月20日
【審査請求日】2017年4月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】514278625
【氏名又は名称】ウシオオプトセミコンダクター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】仙庭 靖久
(72)【発明者】
【氏名】神津 孝一
(72)【発明者】
【氏名】臼田 周一
(72)【発明者】
【氏名】反町 進
(72)【発明者】
【氏名】原 英樹
【審査官】 百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−277471(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/034928(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0286252(US,A1)
【文献】 特開平2−103987(JP,A)
【文献】 特開2003−31905(JP,A)
【文献】 特開2009−141094(JP,A)
【文献】 特開2010−199324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00−5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
4本以上の偶数本のビームを備えた半導体チップと、
前記半導体チップが実装される支持基板と、
を備えたマルチビーム半導体レーザ装置であって、
前記半導体チップは、
半導体基板の主面上に形成された第1導電型クラッド層と、
前記第1導電型クラッド層の上部に形成された活性層と、
前記活性層の上部に形成された第2導電型クラッド層と、
前記第2導電型クラッド層とその上部に形成された第2導電型のコンタクト層とをそれぞれ含み、前記ビーム間が30μm〜50μmとなるように配列された、凸形の断面形状を有する4個以上の偶数個のリッジ部と、
前記リッジ部のそれぞれと電気的に接続され、前記リッジ部のそれぞれの上部を覆うように形成された表面電極と、
前記表面電極の上部に形成された第1導電層と、
前記第1導電層の上部であって前記リッジ部の上部を除く領域に形成され、前記第1導電層よりも面積の小さい第2導電層と、
前記半導体基板の裏面に形成された裏面電極と、を有し、
前記表面電極と前記第1導電層と前記第2導電層は、それぞれ前記リッジ部の数と同数形成され、
前記支持基板のチップ実装面には、前記リッジ部の数と同数の第1電極が形成され、
前記第1電極のそれぞれの表面には、半田材が形成されており、
前記半導体基板は、前記第2導電層と前記半田材とを溶融接合することによって、前記支持基板の前記チップ実装面に実装されており、
前記第2導電層は、前記リッジ部の両側の一方の上部において前記半田材と接触しており、
前記第2導電層と前記半田材との前記リッジ部の数と同数の接合部のうち、偶数本のビームの中心に対して一方側に配置された前記各接合部は、対応する前記リッジ部に対して該一方側に配置され、他方側に配置された前記各接合部は、対応する前記リッジ部に対して該他方側に配置され、
前記リッジ部の配列方向に沿った前記第2導電層の幅は、前記半田材の幅よりも狭いことを特徴とするマルチビーム半導体レーザ装置。
【請求項2】
前記半田材の幅に対する前記第2導電層の幅の比は、0.7以下であることを特徴とする請求項1に記載のマルチビーム半導体レーザ装置。
【請求項3】
前記半田材の幅に対する前記第2導電層の幅の比は、0.5以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のマルチビーム半導体レーザ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチビーム半導体レーザ装置に関し、特に、複数のレーザダイオードが形成された半導体チップをジャンクションダウンで支持基板に実装する半導体レーザ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光通信システムの光源や情報処理機器の光源として使用されるレーザダイオード(Laser Diode;LD)は、半導体チップ内にストライプ状の活性層を設けたものであり、この活性層を挟む上下の半導体層の一方を第一導電型(n型)の半導体層とし、他方を第二導電型(p型)の半導体層とすることでpn接合を形成している。また、レーザ発振させるための共振器(光導波路)を形成するために、リッジ構造を採用する等、種々の構造が採用されている。
【0003】
上記のようなレーザダイオードが形成された半導体チップは、パッケージ内に配置されたサブマウントと呼ばれる熱伝導性の良好な材料(例えばAlN、SiC、CuW等)からなる支持基板に半田材およびAuメッキ層を介して接続される。また、レーザダイオードの発光時に発生する熱を効率的に外部に放散するために、熱発生源となるpn接合をサブマウントに近接させた状態で固定するジャンクションダウン方式を採用することが多い(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−108932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ジャンクションダウン方式を採用する半導体レーザ装置は、発光部の上部に位置するリッジ部上に形成されたAuメッキ層と、サブマウントの電極上に形成された導電性のある半田材とを溶融接合させることで、放熱および通電を行っている。
【0006】
マルチビーム半導体レーザ装置の場合は、半導体チップ内に複数の発光部が設けられており、各々のリッジ部は、各々が電気的にアイソレーションされている電極が形成されている。そして、サブマウント側には、この複数の電極に対応した短冊状の平面パターンを有する複数の半田材が形成されており、サブマウントに接合する方式が一般的である。
【0007】
しかし、上記の方式を採用した場合は、ビーム間が狭ピッチ(例えば30μm〜50μm)であることと、半導体チップ側の電極の一部であるAuメッキ層の幅がサブマウント側の半田材パターンの幅よりも広いことにより、溶融接合時に半田が局部的に集中し、半田玉が発生する。これにより、半導体チップの複数の電極間で半田材同士のショートが発生することがあるために、ビーム単独での駆動ができなくなり、組み立て歩留りの低下を引き起こす恐れがある。
【0008】
また、マルチビーム半導体レーザ装置には、ビーム間での特性差が小さいことが要求される。しかしながら、マルチビーム半導体レーザ装置は、半導体チップとサブマウントとの組み立て時に、半導体チップ側のAu電極材および半導体材料と、サブマウント側の半田材およびサブマウント材との熱膨張係数の違いによって起こる反応で生じる応力がリッジ部に及ぶことにより、偏光角特性不良が発生するという問題がある。
【0009】
偏光角特性は、発光部から照射される光の偏波の角度の特性を言い、この偏波は、半導体チップの主面に沿う面内において振動していることが好ましい。偏波面が半導体チップの主面に対して斜めに回転した光が照射されることは偏光角特性の悪化となる。そして、偏光角特性の悪化した半導体チップを使用した場合には、レンズ等の光学部品を透過する際に光量が落ちるという問題が発生する。マルチビーム半導体レーザ装置の場合は、ビーム間で偏光角が異なるとビーム間差となり、特に問題となる。
【0010】
本発明の目的は、マルチビーム半導体レーザ装置のビーム間における半田材同士のショート不良を抑制することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、マルチビーム半導体レーザ装置のビーム間における偏光角回転や偏光角のビーム間相対差を小さくすることにある。
【0012】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0014】
4本以上の偶数本のビームを備えた半導体チップと、
前記半導体チップが実装される支持基板と、
を備えたマルチビーム半導体レーザ装置であって、
前記半導体チップは、
半導体基板の主面上に形成された第1導電型クラッド層と、
前記第1導電型クラッド層の上部に形成された活性層と、
前記活性層の上部に形成された第2導電型クラッド層と、
前記第2導電型クラッド層とその上部に形成された第2導電型のコンタクト層とをそれぞれ含み、前記ビーム間が30μm〜50μmとなるように配列された、凸形の断面形状を有する4個以上の偶数個のリッジ部と、
前記リッジ部のそれぞれと電気的に接続され、前記リッジ部のそれぞれの上部を覆うように形成された表面電極と、
前記表面電極の上部に形成された第1導電層と、
前記第1導電層の上部であって前記リッジ部の上部を除く領域に形成され、前記第1導電層よりも面積の小さい第2導電層と、
前記半導体基板の裏面に形成された裏面電極と、を有し、
前記表面電極と前記第1導電層と前記第2導電層は、それぞれ前記リッジ部の数と同数形成され、
前記支持基板のチップ実装面には、前記リッジ部の数と同数の第1電極が形成され、
前記第1電極のそれぞれの表面には、半田材が形成されており、
前記半導体基板は、前記第2導電層と前記半田材とを溶融接合することによって、前記支持基板の前記チップ実装面に実装されており、
前記第2導電層は、前記リッジ部の両側の一方の上部において前記半田材と接触しており、
前記第2導電層と前記半田材との前記リッジ部の数と同数の接合部は、偶数本の前記ビームの中心に対して外側に配置され、
前記リッジ部の配列方向に沿った前記第2導電層の幅は、前記半田材の幅よりも狭いものである。
【発明の効果】
【0015】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下の通りである。
【0016】
マルチビーム半導体レーザ装置のビーム間における半田材同士のショート不良を抑制することができる。
【0017】
マルチビーム半導体レーザ装置のビーム間における偏光角回転や偏光角のビーム間相対差を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態であるマルチビーム半導体レーザ装置の全体構成を示す要部破断斜視図である。
図2】本発明の実施の形態であるマルチビーム半導体レーザ装置の要部断面図である。
図3】(a)は、レーザチップの主面を示す平面図、(b)は、レーザチップの裏面を示す平面図である。
図4】本発明のマルチビーム半導体レーザ装置の別例を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、実施の形態では、特に必要なときを除き、同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。さらに、実施の形態を説明する図面においては、構成を分かり易くするために、平面図であってもハッチングを付す場合や、断面図であってもハッチングを省略する場合がある。
【0020】
(実施の形態)
本実施の形態は、凸状のリッジ部を有する4ビーム半導体レーザ装置に適用したものであり、図1は、この4ビーム半導体レーザ装置の全体構成を示す要部破断斜視図である。
【0021】
本実施の形態の4ビーム半導体レーザ装置は、例えば直径が5.6mm程度、厚さが1.0mm程度のFe合金からなる円盤状のステム30と、このステム30の上面を覆うキャップ31とを備えたCANパッケージ(封止容器)構造を有している。
【0022】
上記キャップ31の底部の外周に設けられたフランジ部32は、ステム30の上面に固定されている。また、キャップ31の上面の中央部分には、レーザビームを透過するガラス板33が接合された丸穴34が設けられている。
【0023】
キャップ31で覆われたステム30の上面の中央部近傍には、例えばCuのような熱伝導性が良好な金属からなるヒートシンク35が搭載されている。このヒートシンク35は、ロウ材(図示せず)を介してステム30の上面に接合されており、その一面には、サブマウント(支持基板)10が半田(図示せず)を介して固定されている。
【0024】
サブマウント10は、AlN、SiC、CuW等のセラミックで構成されており、その一面には、4個のレーザダイオードが形成されたレーザチップ(半導体チップ)11がジャンクションダウン方式によって実装されている。サブマウント10は、レーザダイオードの発光時に発生する熱をレーザチップ11の外部に放散するための放熱板と、レーザチップ11を支持するための基板とを兼ねている。レーザチップ11の後述する裏面電極13は、Auワイヤ37を介してヒートシンク35に電気的に接続されている。
【0025】
サブマウント10に実装されたレーザチップ11は、その両端面(図1では上端面および下端面)からレーザビームを出射する。そのため、レーザチップ11を支持するサブマウント10は、そのチップ実装面がステム30の上面に対して垂直な方向を向くようにヒートシンク35に固定されている。レーザチップ11の上端面から出射されたレーザビーム(前方光)は、キャップ31の丸穴34を通じて外部に出射される。また、レーザチップ11の下端面から出射されたレーザビーム(後方光)は、ステム30の上面の中央部近傍に実装されたフォトダイオードチップ40によって受光され、電流に変換される。
【0026】
上記ステム30の下面には6本のリード39a、39b、39c、39d、39e、39fが取り付けられている。これら6本のリード39a〜39fうち、4本のリード39a、39b、39e、39fは、それぞれAuワイヤ36を介してサブマウント10のサブマウント電極27(後述)に電気的に接続されている。また、残り2本のリード39c、39dのうち、リード39cは、ステム30の下面に固定されており、ステム30と電気的に等電位状態になっている。また、リード39dは、Auワイヤ38を介してフォトダイオードチップ40に電気的に接続されている。
【0027】
図2は、本実施の形態の4ビーム半導体レーザ装置の要部断面図、図3(a)は、レーザチップ11の主面を示す平面図、図3(b)は、レーザチップ11の裏面を示す平面図である。
【0028】
図2に示すように、GaAs基板12の主面上には複数の半導体層が積層されている。半導体層は、例えば有機金属気相成長(MOCVD)法によって堆積されたn型クラッド層22、活性層23、p型第1クラッド層24、p型第2クラッド層25およびp型コンタクト層26からなる。これらの半導体層のうち、n型クラッド層22は、AlGaInPで構成されている。活性層23は、AlGaInPからなる障壁層とGaInP層からなる井戸層とを交互に積層した多重量子井戸(Multi Quantum Well:MQW)構造で構成されている。p型第1クラッド層24およびp型第2クラッド層25は、それぞれAlGaInPで構成され、p型コンタクト層26は、GaAsで構成されている。
【0029】
上記p型第2クラッド層25には、凸形の断面形状を有し、互いに平行に延在する4本のリッジ部(メサストライプ)20が形成されている。この4本のリッジ部20は、各々が一つのレーザダイオードに対応している。なお、図2には、4本のリッジ部20のうち、2本のリッジ部20が示されている。
【0030】
また、上記リッジ部20を構成するp型第2クラッド層25のそれぞれの上部には、p型コンタクト層26が形成されている。すなわち、リッジ部20は、p型第2クラッド層25とp型コンタクト層26との2層構造になっている。
【0031】
上記4本のリッジ部20のそれぞれの両側のp型第2クラッド層25は、凹溝21となっており、凹溝21の両側部および底部には、酸化シリコンからなるパッシベーション膜14が形成されている。
【0032】
上記p型コンタクト層26の上面およびパッシベーション膜14の上面には、p型コンタクト層26にオーミック接続されたp型の表面電極15が形成されている。また、表面電極15の上面には、放熱用の第1Auメッキ層(第1導電層)16が形成されており、第1Auメッキ層16の上面の一部には、第1Auメッキ層16よりも面積の小さい第2Auメッキ層(第2導電層)17が形成されている。一方、GaAs基板12の裏面には、n型の裏面電極13が形成されている。表面電極15および裏面電極13のそれぞれは、例えばTi膜の上にPt膜およびAu膜を順次積層した多層金属膜で構成されている。
【0033】
上記のように構成されたレーザチップ11は、表面電極15と裏面電極13とに所定の電流を注入したときに、4個のリッジ部20のそれぞれの下部の活性層23(発光部)において、例えば650nmの発振波長を有する赤色レーザビームが発振する。これらの赤色レーザビームは、リッジ部20の延在方向に直交するレーザチップ11の両端面から出射され、前方光が前記図1に示したキャップ31の丸穴34を通じてCANパッケージの外部に出射される。
【0034】
一方、サブマウント10のチップ実装面には、例えばTi膜の上にPt膜およびAu膜を順次積層した多層金属膜からなる4個のサブマウント電極(第1電極)27が形成されている。これらのサブマウント電極27は、レーザチップ11をサブマウント10に実装した時にレーザチップ11のリッジ部20と対向するように配置されている。
【0035】
また、4個のサブマウント電極27のそれぞれの表面には、例えばAu−Sn合金からなる半田材18が形成されている。また、これらのサブマウント電極27とサブマウント10との間には、サブマウント電極27同士の短絡を防ぐために、酸化シリコン等からなる絶縁層28が形成されている。
【0036】
上記のように構成された本実施の形態の4ビーム半導体レーザ装置の場合、レーザチップ11の表面電極15とサブマウント10のサブマウント電極27は、半田材18と第2Auメッキ層17とを溶融接合することによって電気的に接続される。なお、レーザチップ11をジャンクションダウン方式でサブマウント10に実装する際は、図3(b)に示したレーザチップ11の裏面の認識マーク29と、図示はしていないが、レーザチップ11の表面に設けた同様の認識マークとを利用して両者の位置合わせを行う。
【0037】
従来の一般的なマルチビーム半導体レーザ装置では、表面電極15の上面に形成されるAuメッキ層の幅が、サブマウント電極27の表面に形成される半田材の幅よりも広い構造となっている。そのため、半田材とAuメッキ層との溶融接合時に半田材が局部的に集中して半田玉が発生するために、レーザダイオード間で半田ショートが発生することがあった。
【0038】
これに対し、本実施の形態の4ビーム半導体レーザ装置においては、図2に示すように、表面電極15の上面に形成された第2Auメッキ層17の幅が、サブマウント電極27の表面に形成された半田材18の幅よりも狭い構造となっている。
【0039】
これにより、溶融接合時に発生する余分な半田は、レーザチップ11の外側に押し出されるが、半田材18の幅が広いことにより全体的に吸収されるので、半田玉が発生し難い。従って、レーザダイオード間での半田ショートを有効に抑制することができる。なお、レーザダイオード間での半田ショートを確実に抑制するためには、半田材18の幅に対する第2Auメッキ層17の幅の比(第2Auメッキ層17の幅/半田材18の幅)を0.7以下とすることが好ましい。
【0040】
また、半田材18の幅に対する第2Auメッキ層17の幅の比が小さくなりすぎる場合、すなわち第2Auメッキ層17の幅の比が小さくなりすぎた場合には、レーザチップ11とサブマウント10間の接続強度(せん断強度)の低下や、放熱性の低下を招く恐れがある。そのため、半田材18の幅に対する第2Auメッキ層17の幅の比は、0.5以上とすることが好ましい。
【0041】
また、本実施の形態の4ビーム半導体レーザ装置は、図2に示すように、表面電極15の上面に形成された第2Auメッキ層17が、リッジ部20の両側のp型第2クラッド層25に形成された一対の凹溝21の一方の上部で半田材18と接触している。言い換えると、リッジ部20と半田材18とは、平面的に重なり合っておらず、リッジ部20とサブマウント10との間に隙間がある構造となっている。
【0042】
これにより、レーザチップ11とサブマウント10との組み立て時に生じる応力がリッジ部20に及び難くなるので、従来問題となっていた組立時の応力による偏光角回転や偏光角のビーム間相対差を小さくすることが可能となる。
【0043】
なお、本実施の形態の4ビーム半導体レーザ装置のように、レーザチップ11に形成されるレーザダイオードの数が偶数個である場合には、第2Auメッキ層17と半田材18との接合位置を、複数個のレーザダイオードの中心に対して線対称となるように配置することで、偏光角回転や偏光角のビーム間相対差をより小さくすることが可能となる。すなわち、本実施の形態の4ビーム半導体レーザ装置の場合は、4個のレーザダイオードの中心の右側では、例えば図2に示すように、各リッジ部20の右側に位置する凹溝21の上部で第2Auメッキ層17と半田材18とを接触させ、4個のレーザダイオードの中心の左側では、例えば図4に示すように、各リッジ部20の左側に位置する凹溝21の上部で第2Auメッキ層17と半田材18とを接触させる。
【0044】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0045】
また、前記実施の形態では、4ビーム半導体レーザ装置に適用したが、2ビーム半導体レーザ装置や8ビーム半導体レーザ装置等のマルチビーム半導体レーザ装置に適用できることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、ジャンクションダウン方式を採用するマルチビーム半導体レーザ装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0047】
10 サブマウント(支持基板)
11 レーザチップ(半導体チップ)
12 GaAs基板
13 裏面電極
14 パッシベーション膜
15 表面電極
16 第1Auメッキ層(第1導電層)
17 第2Auメッキ層(第2導電層)
18 半田材
20 リッジ部(メサストライプ)
21 凹溝
22 n型クラッド層
23 活性層
24 p型第1クラッド層
25 p型第2クラッド層
26 p型コンタクト層
27 サブマウント電極(第1電極)
28 絶縁層
29 認識マーク
30 ステム
31 キャップ
32 フランジ部
33 ガラス板
34 丸穴
35 ヒートシンク
36、37、38 Auワイヤ
39a、39b、39c、39d、39e、39f リード
40 フォトダイオードチップ
図1
図2
図3
図4