特許第6334775号(P6334775)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6334775加工装置、その制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6334775
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】加工装置、その制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B23Q 17/09 20060101AFI20180521BHJP
   B24B 51/00 20060101ALI20180521BHJP
   B23Q 15/08 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   B23Q17/09 A
   B24B51/00
   B23Q15/08
【請求項の数】16
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-77951(P2017-77951)
(22)【出願日】2017年4月11日
(65)【公開番号】特開2018-15891(P2018-15891A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2017年11月21日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0095786
(32)【優先日】2016年7月27日
(33)【優先権主張国】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509089340
【氏名又は名称】株式会社塩
(74)【代理人】
【識別番号】100137969
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 憲昭
(74)【代理人】
【識別番号】100104824
【弁理士】
【氏名又は名称】穐場 仁
(72)【発明者】
【氏名】駒澤 増彦
(72)【発明者】
【氏名】木下 ▲れい▼一
(72)【発明者】
【氏名】大木 勝
(72)【発明者】
【氏名】冨澤 光哉
(72)【発明者】
【氏名】出口 康行
【審査官】 久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−322246(JP,A)
【文献】 特開2007−044695(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 17/09
B23Q 15/08
B24B 51/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被作業物を加工する加工装置であって、
被作業物を加工する刃物を有する加工部と、
加工部の刃物に掛かる負荷を検出する負荷検出部と、
加工装置の各種の動作と機能を制御する制御部とを含み、
制御部は、
刃物の幅の全体が被作業物と接触しながら円滑に通常的な加工作業が実行される正常作業状態においては、負荷検出部に検出される負荷の大きさに応じて被作業物と刃物との相対的な移動速度を増減させるとともに、
負荷検出部にて過負荷が検出された場合は、被作業物と刃物との相対的な移動速度を正常作業状態での被作業物と刃物との相対的な移動速度より低い値とし、
加工部の刃物と被作業物との接触開始時点を検出して、検出された接触開始時点から所定の期間の間、刃物に掛かる負荷が小さく検出されることにより、刃物と被作業物との間の相対的な移動速度を高くすることのないように、正常作業状態での被作業物と刃物との相対的な移動速度より低い値であって、過負荷が検出された場合の被作業物と刃物との相対的な移動速度よりも高い値被作業物と刃物との相対的な移動速度が維持されるように制御する
ことを特徴とする加工装置。
【請求項2】
加工装置は、更に、被作業物を載置する作業用のテーブルを備え、
制御部は、
各種の演算処理や判断処理を遂行する中央処理装置(CPU)と、
各種の情報やデータを格納するメモリと、
使用者からの入力を受信する入力部と、
使用者に情報を表示する表示部と、
加工部の上下方向の動きと、テーブルの作業平面上での前後や左右方向の動きとを制御する移動駆動部と、
加工部を駆動する加工部駆動部と
を含んで構成されることを特徴とする請求項1記載の加工装置。
【請求項3】
加工部の刃物は、砥石を含んで成ることを特徴とする請求項1または2記載の加工装置。
【請求項4】
加工部の刃物は、フライス、バイトやドリルを含んで成ることを特徴とする請求項1または2記載の加工装置。
【請求項5】
制御部は、加工部と被作業物の位置情報やその変化に基づき中央処理装置の演算により、接触開始時点を検出することを特徴とする請求項2記載の加工装置。
【請求項6】
制御部は、加工部と被作業物の接触開始を検出するセンサーを含んで成ることを特徴とする請求項1または2記載の加工装置。
【請求項7】
被作業物を加工する刃物を有する加工部と、被作業物を載せ置く作業用のテーブルと、加工部の刃物に掛かる負荷を検出する負荷検出部と、加工部の駆動や上下方向の動きとテーブルの前後や左右方向の動きとを含む加工装置の各種の動作と機能を制御する制御部とを含む加工装置の制御方法であって、
制御部は、
刃物の幅の全体が被作業物と接触しながら円滑に通常的な加工作業が実行される正常作業状態においては、負荷検出部に検出される負荷の大きさに応じて被作業物と刃物との相対的な移動速度を増減させるとともに、
負荷検出部にて過負荷が検出された場合は、被作業物と刃物との相対的な移動速度を正常作業状態での被作業物と刃物との相対的な移動速度より低い値とし、
加工部の刃物と被作業物との接触開始時点を検出して、検出された接触開始時点から所定の期間の間、刃物に掛かる負荷が小さく検出されることにより、刃物と被作業物との間の相対的な移動速度を高くすることのないように、正常作業状態での被作業物と刃物との相対的な移動速度より低い値であって、過負荷が検出された場合の被作業物と刃物との相対的な移動速度よりも高い値で被作業物と刃物との相対的な移動速度が維持されるように制御する
加工装置の制御方法。
【請求項8】
被作業物を加工する刃物を有する加工部と、被作業物を載せ置く作業用のテーブルと、加工部の刃物に掛かる負荷を検出する負荷検出部と、加工部の駆動や上下方向の動きとテーブルの前後や左右方向の動きとを含む加工装置の各種の動作と機能を制御する制御部とを含む加工装置において、
制御部に含まれる制御プログラムは、
刃物の幅の全体が被作業物と接触しながら円滑に通常的な加工作業が実行される正常作業状態においては、負荷検出部に検出される負荷の大きさに応じて被作業物と刃物との相対的な移動速度を増減させるとともに、
負荷検出部にて過負荷が検出された場合は、被作業物と刃物との相対的な移動速度を正常作業状態での被作業物と刃物との相対的な移動速度より低い値とし、
加工部の刃物と被作業物との接触開始時点を検出して、検出された接触開始時点から所定の期間の間、刃物に掛かる負荷が小さく検出されることにより、刃物と被作業物との間の相対的な移動速度を高くすることのないように、正常作業状態での被作業物と刃物との相対的な移動速度より低い値であって、過負荷が検出された場合の被作業物と刃物との相対的な移動速度よりも高い値で被作業物と刃物との相対的な移動速度が維持されるように制御する
処理を行う加工装置の制御プログラム。
【請求項9】
被作業物を加工する加工装置であって、
被作業物を加工する刃物を有する加工部と、
加工部の刃物に掛かる負荷を検出する負荷検出部と、
加工装置の各種の動作と機能を制御する制御部とを含み、
制御部は、
刃物の幅の全体が被作業物と接触しながら円滑に通常的な加工作業が実行される正常作業状態においては、負荷検出部に検出される負荷の大きさに応じて刃物による被作業物に対する加工速度を増減させるとともに、
負荷検出部にて過負荷が検出された場合は、刃物による被作業物に対する加工速度を正常作業状態での刃物による被作業物に対する加工速度より低い値とし、
加工部の刃物と被作業物との接触開始時点を検出して、検出された接触開始時点から所定の期間の間、刃物に掛かる負荷が小さく検出されることにより、刃物による被作業物に対する加工速度を高くすることのないように、正常作業状態での刃物による被作業物に対する加工速度より低い値であって、過負荷が検出された場合の刃物による被作業物に対する加工速度よりも高い値で刃物による被作業物に対する加工速度が維持されるように制御する
ことを特徴とする加工装置。
【請求項10】
加工装置は、被作業物を固定する固定部を更に備え、
制御部は、
各種の演算処理や判断処理を遂行する中央処理装置(CPU)と、
各種の情報やデータを格納するメモリと、
使用者からの入力を受信する入力部と、
使用者に情報を表示する表示部と、
少なくとも加工部を駆動する駆動部と、
を含んで構成されることを特徴とする請求項9記載の加工装置。
【請求項11】
制御部は、加工部の刃物と被作業物との間の相対的な移動速度を変化することにより、加工部による被作業物の加工速度を制御するようにしたことを特徴とする請求項9または10記載
の加工装置。
【請求項12】
制御部は、加工部の刃物自体の回転速度を変化することにより、加工部による被作業物の加工速度を制御するようにしたことを特徴とする請求項9または10記載の加工装置。
【請求項13】
加工部の刃物は、砥石を含んで成ることを特徴とする請求項9または10記載の加工装置。
【請求項14】
加工部の刃物は、フライス、バイトやドリルを含んで成ることを特徴とする請求項9または10記載の加工装置。
【請求項15】
制御部は、加工部と被作業物の位置情報やその変化に基づき中央処理装置の演算により、接触開始時点を検出することを特徴とする請求項10記載の加工装置。
【請求項16】
制御部は、加工部と被作業物の接触開始を検出するセンサーを含んで成ることを特徴とする請求項9または10記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工装置、その制御方法、及びその制御方法を実行するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、回転する砥石によって被作業物(『ワーク』ともいう)を研削する研削装置において、被作業物と砥石の間の負荷の増減により砥石と被作業物との間の相対的な移動速度を調整して好適な結果を提供する研削装置が開示されたことがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平2-19463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、作業が開始して砥石が最初に被作業物に接触し始めたり、または、作業の方向を折り返すために、ひとまず被作業物から離れて再び被作業物に接触し始める時点などでは、砥石の一部だけが被作業物に接触する期間が発生することになる。このような事実によって、上記のような通常の技術によると、砥石と被作業物の間の負荷量が少ないように測定され、砥石と被作業物との間の相対的な移動速度が適切な値より過度に高い値で駆動されるなどの問題があった。このような場合、被作業物の一部が焦げてしまったり過度に研磨されたりして、必要とする結果を提供できないなどの問題があった。
【0005】
本発明はこのような従来技術の問題点に着眼して開発されたものであり、本発明の目的は、加工部(例えば、砥石や、フライス、バイト、ドリルなどの刃物)が被作業物と接触し始める時点(作業開始時、及び作業方向の転換時など)で被作業物に問題を発生させない適合した速度で加工するように制御する、具体的には、加工部と被作業物との間の相対的な移動速度や加工部自体の回転速度などを制御する加工装置、その制御方法、及びその方法を実行するプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の構成は次のとおりである。本発明の一実施形態によると、被作業物を加工する加工装置は、被作業物を加工する刃物を有する加工部と、加工部の刃物に掛かる負荷を検出する負荷検出部と、加工装置の各種の動作と機能を制御する制御部とを含む。制御部は、刃物の幅の全体が被作業物と接触しながら円滑に通常的な加工作業が実行される正常作業状態においては、負荷検出部に検出される負荷の大きさに応じて被作業物と刃物との相対的な移動速度を増減させる。また、負荷検出部にて過負荷が検出された場合は、被作業物と刃物との相対的な移動速度を正常作業状態での被作業物と刃物との相対的な移動速度より低い値とする。そして、加工部の刃物と被作業物との接触開始時点を検出して、検出された接触開始時点から所定の期間の間、刃物に掛かる負荷が小さく検出されることにより、加工部の刃物と被作業物との間の相対的な移動速度を高くすることのないように、正常作業状態での被作業物と刃物との相対的な移動速度より低い値であって、過負荷が検出された場合の被作業物と刃物との相対的な移動速度よりも高い値で被作業物と刃物との相対的な移動速度が維持されるように制御する。
【0007】
本発明の他の実施形態によると、被作業物を加工する刃物を有する加工部と、被作業物を載せ置く作業用のテーブルと、加工部の刃物に掛かる負荷を検出する負荷検出部と、加工部の駆動や上下方向の動きとテーブルの前後や左右方向の動きとを含む加工装置の各種の動作と機能を制御する制御部とを含む加工装置の制御方法は、制御部が、刃物の幅の全体が被作業物と接触しながら円滑に通常的な加工作業が実行される正常作業状態においては、負荷検出部に検出される負荷の大きさに応じて被作業物と刃物との相対的な移動速度を増減させるとともに、負荷検出部にて過負荷が検出された場合は、被作業物と刃物との相対的な移動速度を正常作業状態での被作業物と刃物との相対的な移動速度より低い値とし、加工部の刃物と被作業物との接触開始時点を検出して、検出された接触開始時点から所定の期間の間、刃物に掛かる負荷が小さく検出されることにより、刃物と被作業物との間の相対的な移動速度を高くすることのないように、正常作業状態での被作業物と刃物との相対的な移動速度より低い値であって、過負荷が検出された場合の被作業物と刃物との相対的な移動速度よりも高い値で被作業物と刃物との相対的な移動速度が維持されるように制御する。
【0008】
本発明の他の実施形態によると、被作業物を加工する刃物を有する加工部と、被作業物を載せ置く作業用のテーブルと、加工部の刃物に掛かる負荷を検出する負荷検出部と、加工部の駆動や上下方向の動きとテーブルの前後や左右方向の動きとを含む加工装置の各種の動作と機能を制御する制御部とを含む加工装置において、制御部に含まれる制御プログラムは、刃物の幅の全体が被作業物と接触しながら円滑に通常的な加工作業が実行される正常作業状態においては、負荷検出部に検出される負荷の大きさに応じて被作業物と刃物との相対的な移動速度を増減させるとともに、負荷検出部にて過負荷が検出された場合は、被作業物と刃物との相対的な移動速度を正常作業状態での被作業物と刃物との相対的な移動速度より低い値とし、加工部の刃物と被作業物との接触開始時点を検出して、検出された接触開始時点から所定の期間の間、刃物に掛かる負荷が小さく検出されることにより、刃物と被作業物との間の相対的な移動速度を高くすることのないように、正常作業状態での被作業物と刃物との相対的な移動速度より低い値であって、過負荷が検出された場合の被作業物と刃物との相対的な移動速度よりも高い値で被作業物と刃物との相対的な移動速度が維持されるように制御する。
【0009】
本発明の更に他の実施形態によると、被作業物を加工する加工装置は、被作業物を加工する刃物を有する加工部と、加工部の刃物に掛かる負荷を検出する負荷検出部と、加工装置の各種の動作と機能を制御する制御部とを含む。制御部は、刃物の幅の全体が被作業物と接触しながら円滑に通常的な加工作業が実行される正常作業状態においては、負荷検出部に検出される負荷の大きさに応じて刃物による被作業物に対する加工速度を増減させる。また、負荷検出部にて過負荷が検出された場合は、刃物による被作業物に対する加工速度を正常作業状態での刃物による被作業物に対する加工速度より低い値とする。そして、加工部の刃物と被作業物との接触開始時点を検出して、検出された接触開始時点から所定の期間の間、刃物に掛かる負荷が小さく検出されることにより、刃物による被作業物に対する加工速度を高くすることのないように、正常作業状態での刃物による被作業物に対する加工速度より低い値であって、過負荷が検出された場合の刃物による被作業物に対する加工速度よりも高い値で刃物による被作業物に対する加工速度が維持されるように制御する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、作業開始時又は作業方向の転換時、加工部と被作業物が接触し始める時点から所定期間の間、被作業物の加工速度、例えば、加工部と被作業物との間の相対的な移動速度や加工部自体の回転速度などを好適に制御して、被作業物に対する加工圧力などの負荷を適切に調整できるなど、設計上の要件にともなう好適な結果を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
以下の詳細な記述が以下の図面と合わせて考慮されると、本発明のより深い理解が得られる。これらの図面は例示に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
図1】本発明の一実施形態による研削装置を概念的に図示した図面である。
図2】本発明の一実施形態による研削装置の作業方向を概念的に図示した図である。
図3】本発明の一実施形態による研削装置の制御方法を図示した流れ図である。
図4】本発明の他の実施形態による研削装置を概念的に示した図である。
図5】本発明の他の実施形態による研削装置の作業状態を概念的に図示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書においては、主に本発明を砥石を回転させ被作業物を加工する研削装置に適用した実施形態について説明するが、本発明の適用分野は研削装置に限定されない。例えば、本発明は、砥石やフライス、バイト、ドリルなどの刃物を含む加工部が被作業物と接触する時点の加工速度を調節でき、結果として加工圧力などの負荷を調整できる工作機械等の他の機械加工技術にも適用可能であるということに留意する。
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
図1は本発明の第1の実施形態による研削装置を概念的に図示した図面である。図示されたように、本発明の第1の実施形態による研削装置10は、回転して被作業物40を加工する砥石20と、上記砥石20によって加工される被作業物40が載せ置かれるテーブル30と、上記砥石20と上記テーブル30の動作を含む研削装置10の動作を制御する制御部100を含む。また、上記研削装置10は、上記砥石20の回転時の負荷を測定するためのインバータ50と、上記テーブル30の振動を検出するための振動センサー60をさらに含むことができる。上記インバータ50または、上記振動センサー60は事後的に装着されたものである場合もある。また、上記研削装置10は、上記制御部100と信号やデータを送受信するための入出力端子70をさらに含むことができる。
【0015】
上記砥石20は、上記制御部100の制御により駆動されるモーター(図示されていない。)によって回転したり停止したりする。また、上記砥石20は上記制御部100の制御により上下方向(図面のZ軸方向)に移動して被作業物40と接触したり離れたりする。上記砥石20が回転しながらZ軸方向で下降して上記被作業物40と接触する場合、上記被作業物40に加工作業が行われる。このような加工作業は上記した通り、上記砥石20が回転する間、上記砥石20を下降させて開始することもできるが、上記テーブル30を上昇させて開始することもできる。
【0016】
上記テーブル30は、上記制御部100の制御により左右方向(図面のX軸方向)および前後方向(図面のY軸方向)に移動する。このようなテーブルのXおよびY軸方向の動きと、砥石20のZ軸方向の動きにより、被作業物40は所定の形状を持つように加工される。
【0017】
図2を参照して、上記した作業方向についてより詳細に説明する。図2は本発明の第1の実施形態による研削装置の作業方向を概念的に図示した図面である。図2に図示されたように、上記テーブル30は加工作業が実行される作業平面(すなわち、XY平面または、それと平行な平面)上で前後左右に移動する。図2において、被作業物40は太い実線で図示されている。先ず、図2の上部には、テーブル30がX軸方向では左右に往復しながら(細い実線の矢印200)、またY軸方向では後ろの方向(Y軸のマイナス方向)に移動しながら作業が進行されている状態が図示されている。このようなテーブル30の動きによって被作業物40は後ろから前の方向に加工が進行される(太い実線の矢印204)。
【0018】
この時、上記砥石20は点線で図示された四角形の領域(これを『第1の接触開始領域』という。)208付近で被作業物40と接触し始める。したがって、砥石20には負荷が掛かり始める。しかし、上記第1の接触開始領域208では砥石20の幅の一部だけが被作業物40と接触するので、砥石20の幅の全体が被作業物40と接触する場合に比べて、インバータ50の出力によって負荷量が少ないように測定される場合が一般的である。このように砥石20に掛かる負荷量が少ないように測定される場合、制御部100はそういう情報によって加工作業が円滑に進行されているように判定して、砥石20と被作業物40との間の相対的な移動速度を増加させるように制御する恐れがある。このように砥石20と被作業物40との間の相対的な移動速度が増加すれば、実際の負荷にともなう適合した速度ではないこともあるので、被作業物40を加熱させて焦げ目を作ってしまったり、過度な摩耗を起こしたり、砥石20に機械的な欠陥を持たせるなどの問題が発生する可能性がある。したがって、本発明の一つの実施例による制御部100は、上記第1の接触開始領域208に砥石20が位置したかを検出して、そのように検出された場合、砥石20と被作業物40との間の相対的な移動速度を所定に維持したり、または減少するように制御する。本発明の一実施例によると、砥石20と被作業物40との間の相対的な移動速度は、上記テーブル30のX軸方向やY軸方向の一方や両方の移動速度であることが望ましい。
【0019】
次に、図2の下部には、テーブル30がY軸方向で方向を転換し、前方方向(Y軸のプラス方向)へ移動しながら作業が進行される状態が示されている(本明細書において『作業方向の転換』とは、砥石20が回転し始めて被作業物40に対する加工作業が始まった状態で、上記テーブル30の移動方向が上記Y軸の方向で転換されたことを意味する)。勿論この間にも同じくテーブル30はX軸の方向では左右で往復して作業が進行される(実線の矢印202)。このようなテーブル30の動きによって被作業物40は前方から後方へ加工が進行される(太い実線の矢印206)。このようにY軸方向で作業方向が転換された場合、点線で示された領域210もまた接触開始領域になる(これを『第2の接触開始領域』という)。上記第2の接触開始領域でも上記した通り砥石20と被作業物40の間の負荷量が、正常動作の間に比べて少ない値として測定されるし、通常的な加工が進行されていることと判定され、砥石20と被作業物40との間の相対的な移動速度を増加させる恐れがある。従って、本発明の制御部100は、上記第2の接触開始領域でも砥石20と被作業物40との間の相対的な移動速度を所定に維持するか、又は減少するように制御する。
【0020】
再び図1を参照して、本発明の一実施形態による上記制御部100の構成を詳しく説明する。図示されたように、上記制御部100は、各種演算処理や判断処理を遂行する中央処理装置(CPU)102と、各種の情報やデータを格納するメモリ104と、使用者からの入力を受け入れる入力部106と、使用者へ情報を表示する表示部108を含む。また、上記制御部100は、砥石20のZ軸方向の動きと、上記テーブル30のXY平面での動きを制御するテーブル駆動部110と、上記砥石20を回転させる砥石駆動モーター(図示されていない)を駆動する砥石回転駆動部112をさらに含む。また、上記制御部100は、研削装置本体と信号やデータを送受信する入出力部114をさらに含む。上記制御部100の入出力部114は、インバータ50や駆動センサー60と、信号やデータを送受信することもできる。
【0021】
図3を参照して上記制御部100の研削作業制御動作について詳細に説明する。図3は本発明の一実施形態による研削装置の制御方法を示したフローチャートである。先ず、電源が印加され制御部100の研削作業制御動作が始まれば(段階S300)、制御部100は砥石駆動モーターを稼動する(段階S302)。この時、砥石駆動モーターの回転速度と、砥石20と被作業物40との間の相対的な移動速度は、上記メモリ104に格納されていた初期設定値に到達するまでに上昇することができる。
【0022】
次に、上記制御部100は、上記砥石20と、上記被作業物40とが接触し始めたかを判断する(段階S304)。本発明の一実施形態によると、上記砥石20と上記被作業物40との接触開始の可否は、上記砥石20と上記被作業物40のサイズ情報、テーブル30での被作業物40の位置情報、およびテーブル30の現在の位置情報などを使って、CPU102の演算によって判断することができる。または、本発明の他の実施形態によると、上記砥石20と上記被作業物40との接触開始の可否は、上記振動センサー60からの出力信号を解釈して判断することができる。つまり、砥石20と被作業物40とが接触し始めれば、テーブル30の振動状態が変化し、振動センサー60からの出力信号の振幅が増加したり周波数が変化することができる。このような振動センサー60からの出力信号の振幅または、周波数の変化が検出される瞬間から所定時間の間を、上記砥石20が上記第1接触開始領域又は第2接触開始領域に位置する期間として判断するように処理することができる。
【0023】
上記段階S304での判断の結果が否定的である場合(即ちNOの場合)、制御は段階S310へ進める。段階S310に関しては後述する。上記段階S304での判断の結果が肯定的である場合(即ちYESの場合)、上記制御部100は砥石20と被作業物40との間の相対的な移動速度を予め設定しておいた接触開始時の速度値に調整する(段階S306)。本発明の一実施形態によると、上記予め設定しておいた接触開始時の速度値は、砥石20が上記第1接触開始領域又は第2接触開始領域を過ぎて、砥石20の幅の全体が被作業物40と接触しながら円滑に通常的な加工作業が実行される状態(これを『正常作業状態』という)での砥石20と被作業物40との間の相対的な移動速度より低い値であることが望ましい。また、本発明の他の実施形態によると、上記予め設定しておいた接触開始時の速度値は、上記砥石20と被作業物40の間に過度に負荷がかかり始めて砥石20と被作業物40との間の相対的な移動速度を低下させなければならない状態(これを『過負荷状態』という)での砥石20と被作業物40との間の相対的な移動速度より高い値であることが望ましい。
【0024】
次に、上記制御部100は、加工作業が正常作業状態に進入したかを判断する(段階S308)。正常作業状態への進入の可否は、本発明の一実施形態によると、上記砥石20と被作業物40のサイズ情報、テーブル30での被作業物40の位置情報、およびテーブル30の現在の位置情報などを使って、CPU102の演算によって判断することができる。又は、本発明の他の実施形態によると、上記振動センサー60からの出力信号の変化を解釈して、正常作業状態への進入の可否を判断することもできる。
【0025】
上記段階S308での判断の結果が否定的である場合(即ちNOの場合)、制御は再び上記段階S306へ復帰する。上記段階S308での判断の結果が肯定的である場合(即ちYESの場合)、正常制御モードに進入する(段階S310)。正常制御モードは、砥石20にかかる負荷の量をインバータ50の出力に基づき測定して、その負荷の量により線形的に、または非線形的に砥石20と被作業物40との間の相対的な移動速度を増減させる制御を遂行するモードである。この正常制御モードで加工作業のほとんどが行なわれる。
【0026】
次に、制御部100は、現在実行中の加工作業が完了したかの可否を判断する(段階S312)。もし作業が完了しなかったと判断されれば(即ちNOの場合)、制御は上記段階S304へ復帰する。もし作業が完了したと判断されれば(即ちYESの場合)、制御を終了する(段階S314)。
【0027】
上記実施形態によれば、段階306において、制御部100は、砥石20と被作業物40との接触開始時点から所定の期間の間、砥石20と被作業物40との間の相対的な移動速度を、予め設定したおいた接触開始時の速度値に調整したが、本発明の他の実施形態によれば、砥石20の回転速度自体を制御するようにしてもよい。つまり、正常作業状態の砥石20の回転速度より低い値として制御することも良いし、更に望ましくは、この低い値は、過負荷状態での砥石20の回転速度よりも高い値として制御することが望ましい。加えて、砥石20と被作業物40との間の相対的な移動速度、及び砥石20の回転速度の双方を、砥石20と被作業物40との接触開始時点から所定の期間の間、制御部100が変更制御するようにしてもよい。
【0028】
上記実施形態においては、段階S304で、砥石20と被作業物40の接触開始の検出を、CPU102の演算(これは、砥石20と被作業物40の位置情報、テーブル30の位置情報、更には、テーブル30の移動方向やその変化に基づいてなされる)によるか、振動センサー60の出力信号の解釈に基づき判断することとしている。このほかに、他の種類のセンサー、例えば、音響センサー、光学センサー、圧力センサーなどの出力に基づき、砥石20と被作業物40の接触開始の検出を行うこともできる。また、砥石20やテーブル30の駆動モーターに加わる力やモーメントを、歪ゲージなどの力学的センサーで検知して、砥石20と被作業物40の接触開始の検出を行うこともできる。
【0029】
本発明は、上記実施形態のような、平面研削装置に適用できるほか、円筒研削装置や内面研削装置などの他のタイプの研削装置にも適用できる。
図4は、円筒研削装置に、本発明を適用した他の実施形態を概念的に図示した図面である。第1の実施形態と同様の構成を取るところには、同一符号を付し、その説明を省略する。図4の円筒研削装置200において、円筒形状の被作業物40は、主軸台201と心押台202の心押軸203の間に支持され、砥石20にて外周面が研削される。このとき、被作業物40も、砥石20も回転して加工される。この場合の図中の左右方向(Z軸方向)の移動は、砥石20自体が移動するタイプと、砥石20は移動させず、テーブル30の移動に伴って被作業物40が移動するタイプがある。前後方向(X軸方向)の砥石20の移動は、砥石軸頭サドル204による。そして、砥石20の回転時の負荷を測定するためのインバータ50と、テーブル30の振動を検出するための振動センサー60が備え付けられる。なお、振動センサー60に代えて、他の種類のセンサー、例えば、音響センサー、光学センサー、圧力センサーなどを設け、その出力に基づき、砥石20と被作業物40の接触開始の検出を行うようにしてもよく、更には、砥石20やテーブル30の駆動モーターに加わる力やモーメントを、歪ゲージなどの力学的センサーで検知して、砥石20と被作業物40の接触開始の検出を行うこともできる。円筒研削装置200は、制御部100と信号やデータを送受信するための入出力端子70を更に含むことができる。制御部100の構成並びに機能、特に、CPU102の制御フローも、第1の実施形態について示した図2の制御フローと同様である。
【0030】
円筒研削措置200の研削動作において、図5に示す通り、破線の箇所つまり、作業が開始して砥石20が最初に被作業物40に接触し始める時点や折り返す時点で、被作業物40から離れて再接触するとき(図中の破線部分)には、砥石20の一部だけ被作業物に接触することになる。なお、図5の被作業物40の回転方向は、砥石20の回転方向と同じ方向としているが、場合によっては、逆の方向であってもよい。このとき、砥石20の回転時の負荷を測定するインバータ50の出力が小さいとして、Z方向の移動速度を過度に上げてしまうと、被作業物40の一部が焦げてしまうという問題が生じたり、過度に研削されてしまうという結果となる。特に、砥石20の横幅が大きいときは、その影響が顕著である。そこで、砥石20が被作業物40と接触して、所定の期間(図5の破線部分のZ方向の相対的移動の期間)の研削期間は、強制的に砥石20と被作業物40とのZ方向の相対的移動速度を、正常の作業速度よりも落とすこととなる(CPU102の図3の制御フロー段階S306)。或いは、また、砥石20と被作業物40との接触開始時点から所定の期間の間、砥石20と被作業物40との間の相対的な移動速度、及び砥石20の回転速度の少なくとも一方を、予め設定しておいた接触開始時の速度値であって、正常作業状態より低い値として制御する、更に望ましくは、過負荷状態よりも高い値として制御することによる。
【0031】
本発明は、更に、その他のタイプの工作機械などの加工装置にも適用できる。この場合、例えばフライス加工の場合は、加工部とし使われる刃物(フライス)の回転速度又は刃物と被作業物との相対的な移動速度の少なくとも一方を、刃物と被作業物との接触開始時点から所定の期間の間、予め設定しておいた接触開始時の速度値であって、正常作業状態より低い値とし、望ましくは、過負荷状態よりも高い値とすることによる。もう一つの例として、旋削加工を行う場合は、被作業物の回転速度又は加工部とし使われる刃物(バイト)との相対的な移動速度を、砥石と被作業物との接触開始時点から所定の期間の間、予め設定しておいた接触開始時の速度値であって、正常作業状態より低い値とし、望ましくは、過負荷状態よりも高い値とすることによる。更にもう一つの例として、ドリル加工を行う場合は、加工部とし使われる刃物(ドリル)の回転速度又は被作業物との相対的な移動速度を、刃物と被作業物との接触開始時点から所定の期間の間、予め設定しておいた接触開始時の速度値であって、正常作業状態より低い値とし、望ましくは、過負荷状態よりも高い値とすることによる。その他のタイプの工作機械などの加工装置においても、同様に本発明を適用できる。
【0032】
本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、上記説明及び関連図面から本発明の多くの変形及び他の実施形態を導出することができる。従って、本発明は開示された特定の実施形態に限定されない。本明細書では、複数の特定用語が使われているが、これらは一般的な意味として単に説明の目的のために使われただけであり、発明を制限する目的で使われたものではない。添付の特許請求の範囲及びその均等物により定義される一般的な発明の概念及び思想を抜け出さない範囲で多様な変形が可能である。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
【符号の説明】
【0034】
10 研削装置
20 砥石
30 テーブル
40 被作業物
100 制御部
102 CPU
104 メモリ
106 入力部
108 表示部
110 テーブル駆動部
112 砥石回転駆動部
200 円筒研削装置
201 主軸台
202 心押台
203 心押軸
図1
図2
図3
図4
図5