(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ガラス基板が、125in/min(3.175m/min)〜600in/min(15.24m/min)の速度で動いている請求項1〜10のいずれか1項に記載の化学蒸着プロセス。
【発明を実施するための形態】
【0020】
発明の詳細な説明
本発明は、明示的に反対のことが指定される場合を除いて、代わりの種々の向き、および
ステップの順序を想定することが可能であることを理解されよう。また、添付図で示され
、次の明細書で説明される特定の物品およびプロセスは、単に、本発明の概念の代表的実
施形態に過ぎないことも理解されよう。従って、明示的に別段の定めをした場合を除き、
開示実施形態に関連する特定の寸法、方向、またはその他の物理的特性は、限定するもの
と見なされるべきではない。
【0021】
特定の実施形態では、太陽電池の製造におけるスーパーストレートとして使用するため
のコートガラス物品が記載される。しかし、コートガラス物品は、また、当業者には、太
陽電池製造における基板としても利用可能であることも理解されよう。さらに、本明細書
記載のコートガラス物品は、太陽電池への適用に限定されない。例えば、コートガラス物
品は、建築用グレージング、電子機器に利用でき、および/または、自動車および航空宇
宙へ適用できる。
【0022】
ある実施形態では、シリカコーティングの蒸着用CVDプロセスが提供される。本プロ
セスの実施形態の非制限的特徴は、商業的に実用可能な蒸着速度でシリカコーティングの
蒸着が可能なことである。例えば、特定の実施形態では、シリカコーティングは、約15
0nm*m/min.以上の蒸着速度で蒸着できる。
【0023】
本明細書で定義されるシリカコーティングは、主に、シリコンおよび酸素を含み、場合
によっては、微量の混入物、例えば、炭素を含むコーティングである。好ましい実施形態
では、シリカコーティングは、化学量論的にシリコンジオキシド(SiO
2)である。し
かし、わずかに酸素欠損のシリカコーティングが生成されてもよく、使用可能である。従
って、シリカコーティングは、化学量論に近い適切なものであってもよい。
【0024】
ある実施形態では、CVDプロセスは、ガラス基板を用意することを含む。本プロセス
は、ガラス基板の製造と同時に行うこともできる。この実施形態では、ガラス基板は、よ
く知られたフロートガラス製造プロセスを利用して形成できる。フロートガラス製造プロ
セスの一例は、
図1に示されている。この実施形態では、ガラス基板は、ガラスリボン8
であってもよい。しかし、本プロセスは、フロートガラス製造プロセスとは別に、または
基板の形成および/または切断などのその後の処理のかなり後で利用することもできるこ
とを理解されたい。
【0025】
好ましくは、ガラス基板は、シリカコーティングの形成の時点で動いている。従って、
特定の実施形態では、本プロセスは、動的蒸着プロセスである。さらに、ある実施形態で
は、ガラス基板の温度は、シリカコーティングが基板の上に蒸着されるとき、約1100
°F(600℃)〜1400°F(750℃)である。
【0026】
ある実施形態では、ガラス基板は、ソーダ−石灰−シリカガラスである。この実施形態
では、ガラス基板は、実質的に透明であってよい。しかし、半透明ガラス基板も、本プロ
セスの実施に利用できるので、本プロセスは、透明ガラス基板の使用に限定されない。さ
らに、基板の透明度は、ガラス基板の組成および厚さによって変わってもよい。従って、
例えば、本プロセスは、透明、青色、緑色、灰色、および青銅色ガラス基板を使って実施
できるので、本プロセスは、ガラス基板の組成または厚さに限定されない。さらに、種々
の吸収特性を有するガラス基板を利用して、本プロセスを実施できる。例えば、低鉄含量
のガラス基板を利用するのは好ましいであろう。
【0027】
また、本プロセスは、ガス状前駆物質混合物を形成することを含む。前駆物質混合物は
、実質的に大気圧でシリカコーティングを形成するのに適する前駆物質を含んでもよい。
このような材料は、ある時点で液体または固体であってもよいが、揮発性であり、蒸発し
て、前駆物質混合物として使用するためにガス状前駆物質を形成できる。
【0028】
ガス状前駆物質混合物は、シラン化合物を含む。ある実施形態では、シラン化合物は、
モノシラン(SiH
4)であってよい。しかし、その他のシラン化合物も本プロセスの実
施での使用に適するので、本プロセスは、モノシランに限定されない。
【0029】
また、ガス状前駆物質混合物は、酸素を含む。ある実施形態では、酸素(O
2)は、空
気などのガス状組成物の一部として提供されてもよい。別の実施形態では、酸素は、実質
的に精製された形態で供給される。いずれの実施形態でも、酸素は、分子酸素の形である
。
【0030】
通常、シラン化合物のみを含むガス状前駆物質流のCVDによる蒸着は、基板上に無定
形シリコンコーティングを生成する。しかし、シラン化合物は自然発火性である場合があ
り、単独の酸素が自然発火性のシラン化合物に加えられると、シリカが生成されるが、極
めて大きい速度で生成され、爆発反応を生ずる。このような爆発反応を防ぐ既知の方法で
は、コーティングが非常に低速で、商業的に非実用的な速度の蒸着となり、典型的な例で
は、受け入れがたいほどの薄層を生ずる。また、既知の方法は、濃度が高すぎると、成分
のガス相反応が生じ、薄膜が生成されないので、反応混合物中に含めることができるシラ
ンおよび酸素の量が制限される。従って、ガス状前駆物質混合物は、ラジカル捕捉剤を含
む。
【0031】
ラジカル捕捉剤の存在は、本プロセス操作温度で発火および早発反応を起こすことなく
シラン化合物を酸素と予備混合可能とする。ラジカル捕捉剤は、ガラス基板上のCVD反
応の動力学の制御をさらに提供し、最適化を可能とする。ある実施形態では、ラジカル捕
捉剤は、炭化水素ガスである。好ましくは、炭化水素ガスは、エチレン(C
2H
4)また
はプロピレン(C
3H
6)である。米国特許第5,798,142号は、シラン、酸素、
ラジカル捕捉剤およびキャリアガスを組み合わせて前駆物質混合物を形成することによる
シリカコーティングの形成に関し教示している(この特許は参照によりその全体が本明細
書に組み込まれる)。
【0032】
ガス状前駆物質混合物は、水蒸気を含む。本プロセスは、前駆物質混合物中の水蒸気の
濃度により限定されることはないが、高濃度の水蒸気の添加により、例えば、酸化体とし
ての分子酸素単独の場合より高いシリカコーティング蒸着速度が実現されることが発見さ
れた。従って、ある実施形態では、ガス状前駆物質混合物は、約10%以上の水蒸気を含
む。別の実施形態では、ガス状前駆物質混合物は、10%を越える水蒸気を含む。さらに
、前駆物質混合物中に、例えば、約20%を越える、さらに高い濃度の水蒸気を含む特定
の実施形態では、非常に大きな蒸着速度の増加が実現されることが発見された。またさら
なる実施形態では、前駆物質混合物は、さらに高い割合の水蒸気を含む。例えば、前駆物
質混合物は、40%を越える水蒸気を含んでもよい。好ましくは、この実施形態では、前
駆物質混合物は、50%〜98%の水蒸気を、また、さらにより好ましくは、50%〜9
0%の水蒸気を含む。前駆物質ガス混合物中への水蒸気の包含により得られる利益には、
12nm/secまたは約150nm*m/min以上のオーダーの動的蒸着速度が含ま
れる。
【0033】
ある実施形態では、ガス状前駆物質混合物は、モノシラン、酸素、水蒸気およびエチレ
ンを含む。この実施形態では、ガス状前駆物質混合物は、約0.19%以上のモノシラン
、約0.4〜0.8%以上の酸素、約10%以上の水蒸気、および約1.1%以上のエチ
レンを含むことができる。またさらに好ましくは、この実施形態では、前駆物質混合物は
、約0.21%以上のモノシラン、0.8%以上の酸素、約40%以上の水蒸気、および
約1.2%以上のエチレンを含むことができる。さらなる実施形態では、前駆物質混合物
は、約0.19%〜約1.2%のモノシラン、0.8%〜約4.8%の酸素、約40%以
上の水蒸気、および約1.1%〜約7.2%のエチレンを含むことができる。
【0034】
従って、特定の本プロセスの実施形態では、前駆物質混合物中の酸素対シラン化合物の
比率は、約4:1以上であってもよい。しかし、他の本プロセスの実施形態では、前駆物
質混合物が、高濃度の水蒸気、およびより高濃度の酸素を含むのが好ましいであろう。前
駆物質混合物中の高濃度の水蒸気およびより高濃度の酸素は、シリカコーティングの蒸着
速度の増加をもたらし、シリカコーティングの蒸着中に生成される反応副産物の量を減ら
すことができる。従って、ある実施形態では、前駆物質混合物は、約7:1以上の酸素対
シラン化合物比率の酸素を含むことができる。さらなる実施形態では、前駆物質混合物は
、約10:1以上の酸素対シラン化合物の比率の酸素を含むことができる。またさらなる
実施形態では、前駆物質混合物は、約20:1以上の酸素対シラン化合物比率の酸素を含
むことができる。また、水蒸気およびエチレンもまた、上述の割合で、これらの実施形態
の前駆物質混合物中に含まれることも理解されたい。
【0035】
好ましくは、
図1に示すような特定の実施形態では、前駆物質混合物は、シリカコーテ
ィング形成の前にコーティング装置9中に導入される。この実施形態では、前駆物質がコ
ーティング装置9中に導入される前に、前駆物質混合物が形成されてもよい。この実施形
態では、前駆物質は、ガス混合チャンバーまたはその類い中で混合されてガス状前駆物質
混合物を形成できる。例えば、前駆物質は、コーティング装置9の入口に連結された供給
経路中で混合できる。他の実施形態では、前駆物質混合物は、コーティング装置9内で形
成できる。本プロセスを実施するのに適するコーティング装置の説明は、米国特許出願第
13/426,697号および米国特許第4,922,853号中で見つけることができ
る。これらの特許の全開示は、参照によって組み込まれる。
【0036】
また、本プロセスは、前駆物質混合物をガラス基板の方向で、基板に平行に流すこと、
およびガラス基板上で混合物を反応させて、基板上にシリカコーティングを形成すること
を含む。前駆物質混合物は、好ましくは、層流で、ガラス基板の方向で、基板に平行に、
誘導される。また、前駆物質混合物は、好ましくは、ガラス基板が所定の速度、例えば、
125in/min(3.175m/min)を越える速度で、動いている間に、ガラス
基板表面またはその近傍で反応し、シリカコーティングを形成する。別の実施形態では、
ガラス基板は、125in/min〜600in/min(15.24m/min)の速
度で動いている。
【0037】
上で考察のように、本プロセスは、よく知られたフロートガラス製造プロセスにおける
ガラス基板の製造と同時に行うことができる。フロートガラス製造プロセスは、典型的な
例では、本明細書で説明され、
図1で示されるフロートガラス設備10を利用して行われ
る。しかし、
図1は、このような設備の例示であり、本発明を限定するものではないこと
は理解されたい。
【0038】
さらに具体的には、フロートガラス設備10は、熔解炉から、溶融ガラス19を、ガラ
ス基板が形成されるフロートバス部11に送り出すカナル(canal)部20を含む。
この実施形態では、ガラス基板は、ガラスリボン8と呼ばれる。ガラスリボン8は、シリ
カコーティングが蒸着されるのに好ましい基板である。しかし、ガラス基板は、ガラスリ
ボン8であることに限定されないことを、理解されたい。
【0039】
ガラスリボン8は、バス部11から隣接の徐冷炉(annealing lehr)1
2および冷却部13へと進む。フロートバス部11は、溶融スズ15のバスが内部に収容
されている炉底部14、ルーフ16、対向側壁(図示せず)および端壁17を含む。ルー
フ16、側壁および端壁17は、一緒に、非酸化性雰囲気が維持されて溶融スズ15の酸
化を防ぐ囲壁を画定する。
【0040】
操作中、溶融ガラス19は、制御された量で、カナル20に沿って調節トウィール(t
weel)21の下を下方に向かい、スズバス15の表面上へと流れる。溶融スズ表面上
では、溶融ガラス19が、重力と表面張力の作用ならびに特定の機械的な作用で横方向に
広がり、さらに、スズバス15を通過して進み、ガラスリボン8を形成する。ガラスリボ
ン8は、バス部11からリフトアウトロール22の上を越えて取り出され、その後、整列
されたロール上を徐冷炉12および冷却部13を通って搬送される。シリカコーティング
の蒸着は、フロートバス部11で行うのが好ましいが、ガラス製造ラインの後の方、例え
ば、フロートバス11と徐冷炉12の間の隙間28、または徐冷炉12中で蒸着を行うこ
とも可能である。
【0041】
シリカコーティングは、好ましくは、実質的に大気圧で形成される。従って、フロート
バス部11、徐冷炉12、および/またはフロートバス11および徐冷炉12の間の隙間
28の圧力は、実質的に大気圧であってよい。しかし、本プロセスは、大気中CVDプロ
セスに限定されない。従って、シリカコーティングは、低圧力条件化で形成してもよい。
【0042】
フロートバス部11では、適切な非酸化性雰囲気、通常、窒素または窒素が主成分の窒
素と水素の混合物が維持され、フロートバスを構成する溶融スズ15の酸化を防ぐ。雰囲
気ガスは、操作可能なように分配マニホルド24に連結された導管23を通って導入され
る。非酸化性ガスは、正常損失を補い、環境大気圧より約0.001〜約0.01気圧の
オーダーのわずかに陽圧を維持するのに十分な速度で導入され、それにより、外部雰囲気
の侵入を防ぐ。本発明の目的に対しては、上記圧力範囲は、標準気圧であると見なせる。
【0043】
フロートバス11およびの所望の温度設定を維持するための熱は、囲壁内の輻射ヒータ
ー25により供給される。炉12内の雰囲気は、典型的な例では、大気であり、冷却部1
3は、囲まれていないので、従って、ガラスリボン8は、雰囲気中に開放されている。コ
ーティング層の形成後、コートガラス基板は、引き続いて、室温に冷却される。コートガ
ラス基板を冷却するために、冷却部13中のファン26などにより、外気をガラスリボン
8の方向に向けることができる。また、ヒーター(図示せず)を、徐冷炉12内に備え、
全体が搬送される間の所定の設定に従って、ガラスリボン8の温度を徐々に下げることを
可能とする。
【0044】
ある実施形態では、コーティング装置9は、ガス状前駆物質ガス混合物をガラス基板の
方向に、基板に平行に向かわせる機能が設けられている。コーティング装置9は、1つま
たは複数のガス分配ビーム(gas distributor beam)を含んでもよ
い。複数のコーティング装置、従って、追加のガス分配ビームにより、前駆物質が供給さ
れて、ガラス基板上に追加のコーティング層を形成できることを理解されたい。特定の実
施形態では、コーティング装置9は、好ましくは、フロートバス部11、徐冷炉12内、
および/またはフロートバス11と徐冷炉12の間の隙間28中に供給され、ガラス基板
全体に横方向に広がる。必要なシリカコーティングの厚さに応じて、本プロセスにより形
成されるシリカコーティングは、複数のシリカコーティング層を連続的に形成することに
より蒸着できる。しかし、本プロセスにより提供される改善によって、単一層コーティン
グ装置のみでシリカコーティングの形成に充分な場合もある。
【0045】
本プロセスにより、高品質シリカコーティングのガラス基板上への蒸着が得られる。あ
る実施形態では、シリカコーティングは、熱分解性コーティングである。別の実施形態で
は、シリカコーティングは、ガラス基板上に直接形成される。しかし、本プロセスの最大
のコーティング成長速度は、シリカコーティングが前に蒸着されたスズ酸化物コーティン
グ(SnO
2)上に直接形成された場合に達成される。従って、ある実施形態では、シリ
カコーティングは、スズ酸化物コーティング上に直接形成される。この実施形態では、ス
ズ酸化物コーティングは、ガラス基板の表面上に前もって蒸着されている。従って、シリ
カコーティングが蒸着されるスズ酸化物コーティングは、ガラス基板上に直接蒸着できる
。
【0046】
スズ酸化物コーティングは、シリカコーティングの直前に形成してもよい。ある実施形
態では、スズ酸化物コーティングは、フロートガラス製造プロセスと同時に形成できる。
しかし、スズ酸化物コーティングは、別の製造プロセスを利用しても形成できることを理
解されたい。スズ酸化物コーティングがフロートガラス製造プロセスと同時に形成される
場合は、スズ酸化物コーティングは、コーティング装置9Aを使って、および/または実
質的に大気圧下で、化学蒸着により蒸着できる。これらの実施形態では、スズ酸化物コー
ティングの蒸着は、好ましくは、フロートバス部11で行われる。しかし、スズ酸化物コ
ーティングは、別の蒸着プロセスを利用して、低圧力条件下で、コーティング装置を使わ
ずに形成できることは理解されよう。
【0047】
ある実施形態では、スズ酸化物コーティングは、熱分解性コーティングである。スズ酸
化物コーティングは、ハロゲン含有スズ前駆物質化合物、好ましくは、Cl
−含有前駆物
質化合物を使って形成できる。スズ酸化物コーティング形成に使用する好ましいCl
−含
有前駆物質化合物は、ジメチルスズジクロリド(DMT)および四塩化スズ(SnCl
4
)である。
【0048】
ある実施形態では、スズ酸化物コーティングは、5nm〜100nmの厚さで、ガラス
基板上に直接蒸着された。好ましくは、この実施形態では、スズ酸化物コーティングは、
約25nmの厚さで蒸着された。従って、スズ酸化物コーティングがシリカ層形成の前に
蒸着されている場合の実施形態では、少なくとも2種の別々のコーティング層がガラス基
板上に蒸着される。
【0049】
記載のように、特定の実施形態では、コートガラス物品は、ガラス/シリカ、またはガ
ラス/スズ酸化物/シリカの配置から構成できる。しかし、本プロセスは、1つまたは複
数の追加のコーティング層と組み合わせて利用して、所望のコーティング積層を実現して
もよい。追加のコーティング層は、シリカコーティングの形成の直後にフロートガラス製
造プロセスと同時に、および/または、別の製造プロセスの一部として形成してもよい。
また、これらの追加のコーティング層は、熱分解により、または別のコーティング蒸着プ
ロセスにより形成できる。
【0050】
一例として、薄膜光起電力材料、または他の半導体材料の追加のコーティング層を、シ
リカコーティング層の上に形成し、それにより、所望のコーティング積層を得ることがで
きる。光起電力材料、または半導体材料は、太陽電池の製造の間にコートガラス物品上に
形成できる。本プロセスのシリカコーティングは、高品質であるから、コートガラス物品
は、異なるプロセスにより形成されているが、同じコーティング積層であるシリカコーテ
ィングを有するこれまで既知のコートガラス物品よりも高い可視光透過率を示す可能性が
ある。従って、太陽電池製造において本コートガラス物品の利用により、より高い太陽電
池効率、および/またはより大きな出力を生ずる可能性がある。
【0051】
さらに、他の材料のコーティング層は、シリカコーティング層上に沈着でき、それによ
り、コーティング積層が得られ、従って、高伝導率、低輻射率および/または反射防止特
性を備えたコートガラス物品が得られる。ある実施形態では、これらの追加の材料は、透
明導電性金属酸化物(TCO)であってもよい。このようなTCO材料の例は、フッ素ド
ープスズ酸化物(SnO
2:F)およびアルミニウムドープ亜鉛酸化物(ZnO:Al)
である。しかし、特定の実施形態では、透明金属酸化物材料は、所望のコーティング積層
を実現するためには、導電性である必要はない。これらの実施形態では、スズ酸化物、シ
リカの追加層、鉄酸化物(Fe
2O
3)、およびチタン酸化物(TiO
2)などの透明金
属酸化物材料が、シリカコーティング上に形成されてもよい。
【0052】
実施例
表1、2、および3では、シリカコーティングの特性およびそれに関するシリカ蒸着プロ
セスの特徴を示す列は、SiO
2と共に示されている。本発明の範囲内の例は、表1、表
2および表3中に、Ex1〜Ex21として示されている。しかし、Ex1〜Ex21は
、例示目的のみのためのものであり、本発明に対する限定と解釈されるべきではない。本
発明の一部とは見なされない比較例は、C1およびC2として示されている。
【0053】
次の実験条件は、C1、C2およびEx1〜Ex21に適用可能である。
C1、C2およびEx1〜Ex21のコートガラス物品は、ガラス/SnO
2/シリカ/
SnO
2:Fの配置である。表1、2および3に記載のコートガラス物品は、フロートガ
ラス製造プロセスと同時に、動いているガラス基板上に蒸着した。シリカコーティング形
成の前のC1、C2およびEx1〜Ex21に対しては、熱分解性SnO
2コーティング
をガラス基板上に約25nmの厚さで蒸着した。SnO
2コーティングをDMTを利用し
て形成した。シリカコーティングの形成後、熱分解性SnO
2:Fコーティングをシリカ
コーティング上に約340nmの厚さで蒸着した。
【0054】
全成分のガス状前駆物質混合物の合計ガス流は、C1、C2およびEx1〜Ex15に
対し、毎分、ガラス基板移動方向に垂直の方向のガス分配ビームのメートル当たり166
リットル(166 l/min/m)、およびEx16〜Ex21に対し、224 l/
min/mであった。個別ガス状前駆物質の量は、表1、2および3に挙げている。ライ
ンスピード、すなわち、ガラス基板が、前駆物質ガスが送り込まれるコーティング装置の
下を動く速度は、それぞれ、5.94m/min、および10.5m/minであった。
【0055】
この適用の目的のための蒸着速度は、2つの方法で表現される:
(1)動的蒸着速度(DDR)は、シリカコーティングの厚さ(nm)に、ラインスピー
ド(m/min)を乗じた値に等しく、nm*m/minとして表される。DDRは、異
なるラインスピードでのコーティング蒸着速度の比較に有用である。
【0056】
(2)濃度調節動的蒸着速度(CA−DDR)は、DDRを前駆物質混合物中のシランの
濃度(%SiH
4)で割った値に等しい。CA−DDRは、(nm*m/min)/%S
iH
4で表され、異なるラインスピードで異なる前駆物質濃度を有するシリカコーティン
グの場合における、蒸着速度を比較するのに有用である。
【0057】
表1、2および3で報告のシリカコーティング厚さは、反射を使って計算した。また、
報告された例に関して、%改善は、既知プロセス(C1、C2)のCA−DDRと、本明
細書記載のプロセスのCA−DDRとの比較である。一方、%Tvisは、比較例のシリ
カ蒸着プロセスC2および本明細書記載のプロセスにより生成されたコートガラス物品の
合計可視光透過率であり、パーセンテージとして表されている。
【表1】
【表2】
【表3】
【0058】
Ex1〜Ex21に示すように、本プロセスは、比較例のシリカ蒸着プロセスC1およ
びC2に対し、改善されたプロセスを提供する。例えば、比較例のシリカ蒸着プロセスC
2のシリカ膜厚は、ガス状前駆物質混合物中0.57SiH
4mol%の濃度で24.8
nmであった。しかし、ex10およびex11では、シリカ膜厚は、それぞれ、25.
7および25.5であった。これは、ex10およびex11でのガス状前駆物質混合物
中のSiH
4mol%が、それぞれ、0.36および0.34にすぎないにも関わらず得
られた結果である。また、Ex1およびEx3〜Ex7ならびに比較例のシリカ蒸着プロ
セスC1のシリカ蒸着速度に示されるように、ガス状前駆物質混合物中のSiH
4mol
%が同じ場合は、本プロセスのシリカ蒸着速度は、比較例の蒸着プロセスの速度より大き
い。
【0059】
さらに、Ex1およびEx3〜Ex7は、シリカ蒸着速度に対する前駆物質混合物中の
水蒸気増加の効果を示す。図に示されるように、前駆物質混合物中の水蒸気%が増加する
に伴い、シリカ蒸着速度も大きくなる。表1のEx1およびEx3〜Ex9からわかるよ
うに、O
2およびC
2H
4に対するSiH
4の比率が、例えば、1−4−6の比率で、ほ
ぼ同じに保持される場合、ガス状前駆物質混合物中の追加の水蒸気は、通常、シリカコー
ティング厚さの増加およびシリカ蒸着速度の改善に繋がる。例えば、表2のEx12〜E
x15では、シリカコーティング厚さおよびシリカ蒸着速度は、比較例の蒸着プロセスC
2に対して、16%を越える大きな増加を示す。また、Ex1とEx3〜Ex9のシリカ
蒸着速度比較からわかるように、水含量の増加は、通常、シリカコーティング厚さの実質
的な増加、およびシリカ蒸着速度の8.5%以上の改善に繋がる。さらに、ガス状前駆物
質混合物中の水蒸気mol%の増加は、通常、シリカコーティング厚さの増加、およびシ
リカ蒸着速度の改善に繋がる。例えば、表2のEx12〜Ex15では、シリカコーティ
ング厚さおよびシリカ蒸着速度は、比較例の蒸着プロセスC2に対し、16%を越える大
きな増加を示す。
【0060】
従って、図からわかるように、本プロセスは、比較例の蒸着プロセスよりも大きいシリ
カ蒸着速度を生ずる効率のより高いプロセスを提供する。
【0061】
表3は、本プロセス中での高濃度の水蒸気およびより高濃度の酸素の使用の利点を示す
。Ex.16では、シリカコーティングは、前駆物質混合物中の水蒸気濃度が58.4で
、前駆物質混合物中の酸素対シラン化合物の比率が約4:1の場合、230nm*m/m
inのDDRで蒸着された。しかし、Ex17〜Ex21に示されるように、前駆物質混
合物中の酸素対シラン化合物の比率が増加するに伴い、DDRが増加する。例えば、Ex
17では、シリカコーティングは、251nm*m/minのDDRで蒸着された。この
例では、前駆物質混合物中の水蒸気の%は、58.4に維持されたが、前駆物質混合物中
の酸素対シラン化合物の比率は、約7:1であった。Ex18では、水蒸気濃度が58.
4%で維持されている間、シリカコーティングは、272nm*m/minのDDRで蒸
着された。しかし、前駆物質混合物中の酸素対シラン化合物の比率は、約10:1に増加
された。Ex19で、シリカコーティングのさらなる増加が観察されたが、この場合は、
前駆物質混合物中の酸素対シラン化合物の比率が約15:1である場合に、シリカコーテ
ィングが277nm*m/minのDDRで蒸着された。Ex20では、前駆物質混合物
中の酸素対シラン化合物比率は、約20:1で、シリカコーティングは、251nm*m
/minのDDRで蒸着された。Ex21は、前駆物質混合物中の酸素対シラン化合物の
比率が20:1以上の場合に、シリカコーティングDDRの改善が実現できることを示し
ている。
【0062】
さらに、本プロセスで形成されたコートガラス物品は、比較例の蒸着プロセスにより得
られたコートガラス物品と比べて、より高い可視光透過率である。例えば、表2に示すよ
うに、ex11〜ex15のコートガラス物品の可視光透過率は、比較例の蒸着プロセス
C2による可視光透過率よりも高い。
【0063】
前出の説明は、本発明の原理の例示のみの目的であると見なされる。さらに、当業者な
ら、多くの修正および変更を容易に気付くと思われるから、本発明を、本明細書に示され
、説明されている、そのままの構成およびプロセスに限定する意図はない。従って、全て
の適切な修正物および等価物は、以下の請求項により規定される本発明の範囲内に入るも
のと見なすことができる。
【0064】
読者の関心は、本出願に関連してこの明細書と同時に、または前もって提出され、また
、本明細書と共に公開された全ての論文および文書に向けられており、全てのこのような
論文および文書の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0065】
本明細書で開示された全ての特徴(全ての付随する請求項、要約および図を含む)、お
よび/またはこのように開示された任意の方法またはプロセスの全てのステップは、少な
くとも一部のこのような特徴、および/またはステップが相互に排他的である場合の組み
合わせを除き、任意の組み合わせで組み合わせてもよい。
【0066】
明示的に別段の定めをした場合を除き、本明細書中のそれぞれの開示された特徴(全て
の付随する請求項、要約および図を含む)は、同じ、等価な、または類似の目的の機能を
果たす代わりの特徴で置換されてもよい。従って、明示的に別段の定めをした場合を除き
、それぞれの開示された特徴は、等価な、または類似の一連の包括的特徴の一例に過ぎな
い。
【0067】
本発明は、前出の実施形態の詳細記述に限定されない。本発明は、本明細書で開示の特
徴の任意の新規な特徴、または任意の新規な組み合わせ(全ての付随する請求項、要約お
よび図を含む)、またはこのように開示された全ての方法またはプロセスのステップの任
意の新規なステップ、または任意の新規な組み合わせを包含する。