特許第6334789号(P6334789)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ドリームズの特許一覧

<>
  • 特許6334789-ケーブルカバー 図000002
  • 特許6334789-ケーブルカバー 図000003
  • 特許6334789-ケーブルカバー 図000004
  • 特許6334789-ケーブルカバー 図000005
  • 特許6334789-ケーブルカバー 図000006
  • 特許6334789-ケーブルカバー 図000007
  • 特許6334789-ケーブルカバー 図000008
  • 特許6334789-ケーブルカバー 図000009
  • 特許6334789-ケーブルカバー 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6334789
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】ケーブルカバー
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/56 20060101AFI20180521BHJP
【FI】
   H01R13/56
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-152716(P2017-152716)
(22)【出願日】2017年8月7日
【審査請求日】2017年9月13日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成29年6月23日以降、ウェブサイトにて公開した。平成29年6月28日以降、販売した。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500414589
【氏名又は名称】株式会社ドリームズ
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷口 文香
【審査官】 前田 仁
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第9461397(US,B2)
【文献】 特開2006−031988(JP,A)
【文献】 実開昭63−073871(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/516−13/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタハウジングの後端面から延在されたケーブルを覆うカバー本体と、前記カバー本体を軸方向に貫通する内部空間と、を備え、
前記内部空間は、前記コネクタハウジングを収容可能であって前記カバー本体の一端に開放した第1収容部と、前記第1収容部に連通すると共に、前記ケーブルを収容可能であって前記カバー本体の他端に開放した第2収容部と、前記第1収容部と前記第2収容部との間に形成され、前記コネクタハウジングの後端面に干渉する段差面と、を有し、
前記第1収容部は、前記コネクタハウジングの後端面に前記段差面が干渉した状態で、前記カバー本体の一端に形成した開口から前記コネクタハウジングの先端面が突出する大きさに設定され、
前記カバー本体の一端には、前記コネクタハウジングの先端面から突出した端子を接続する外部機器を挿入可能な凹部が形成され、
前記凹部には、前記端子と前記外部機器との接続状態で前記外部機器の外側面に前記凹部の内側面の一部が接触しない領域を設けた
ことを特徴とするケーブルカバー。
【請求項2】
請求項1に記載されたケーブルカバーにおいて、
前記カバー本体には、前記軸方向に沿って周面を破断し、前記内部空間を外部に連通するスリットが形成されている
ことを特徴とするケーブルカバー。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載されたケーブルカバーにおいて、
前記凹部は、前記端子と前記外部機器とを接続した際、前記外部機器の外側面に内側面の一部が接触する
ことを特徴とするケーブルカバー。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載されたケーブルカバーにおいて、
前記凹部は、前記凹部の内側面から突出した突起部を有し、
前記突起部は、前記端子と前記外部機器とを接続した際、前記外部機器の外側面に先端が接触する
ことを特徴とするケーブルカバー。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載されたケーブルカバーにおいて、
前記凹部は、前記外部機器を挿入する挿入空間を挟んで対向する部分が、開放側から前記軸方向に切り欠かれている
ことを特徴とするケーブルカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタハウジングから延びるケーブルを覆うケーブルカバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、後端面からケーブルが突出し、先端面に端子が形成されたコネクタハウジングを有する電気コネクタが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−201420公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の電気コネクタでは、ケーブルが突出するコネクタハウジングの後端面にケーブルブッシュが設けられ、このケーブルブッシュによってコネクタハウジングからのケーブル突出部分を覆って保護している。しかしながら、このケーブルブッシュは、ケーブルよりも剛性が高いものの、コネクタハウジングよりも剛性が低く、また、コネクタハウジングの後端面に端部が固定されている。そのため、ケーブルブッシュは、ケーブルの動きに追従して変形してしまい、ケーブルとコネクタハウジングとの境界位置でのケーブルの断線を十分に防止することが難しいという問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、コネクタハウジングとの境界位置でのケーブルの断線を防止することができるケーブルカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のケーブルカバーは、コネクタハウジングの後端面から延在されたケーブルを覆うカバー本体と、前記カバー本体を軸方向に沿って貫通する内部空間と、を備えている。
そして、前記内部空間は、前記コネクタハウジングを収容可能であって前記カバー本体の一端面に開放した第1収容部と、前記第1収容部に連通すると共に、前記ケーブルを収容可能であって前記カバー本体の他端面に開放した第2収容部と、前記第1収容部と前記第2収容部との間に形成され、前記コネクタハウジングの後端面に干渉可能な段差面と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
すなわち、本発明では、コネクタハウジングとの境界位置でのケーブルの断線を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1のケーブルカバーの使用状態の外観を示す斜視図である。
図2】実施例1のケーブルカバーの使用状態での側面図である。
図3】実施例1のケーブルカバーの正面図である。
図4】実施例1のケーブルカバーの背面図である。
図5】実施例1のケーブルカバーの底面図である。
図6図3のA−A断面図である。
図7】実施例1のケーブルカバーを装着する際の第1手順を示す説明図である。
図8】実施例1のケーブルカバーを装着する際の第2手順を示す説明図である。
図9】実施例2のケーブルカバーの使用状態での側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のケーブルカバーを実施するための形態を、図面に示す実施例1及び実施例2に基づいて説明する。
【0010】
(実施例1)
まず、実施例1におけるケーブルカバー1の構成を図1から図6に基づいて説明する。
実施例1のケーブルカバー1は、電気コネクタ30のコネクタハウジング31から延在されたケーブル33を覆うカバー本体10と、このカバー本体10に形成された内部空間20(図2参照)と、を備えている。
【0011】
ここで、電気コネクタ30について説明する。
電気コネクタ30は、外部機器P(例えば携帯電話、図2参照)と電源(図示せず)とを接続するために用いられる充電ケーブル(ケーブル33)の一端に設けられている。この電気コネクタ30は、絶縁性の合成樹脂によって形成されたコネクタハウジング31と、端子32と、を有している。
【0012】
コネクタハウジング31は、図示しないプリント回路基板を内蔵し、このプリント回路基板を取り囲む大きさの楕円柱形状を呈している。このコネクタハウジング31は、楕円形の先端面31aから端子32が突出し、楕円形の後端面31bからケーブル33が突出している。ここで、先端面31aは、端子32を外部機器Pのジャック(不図示)に接続する際、外部機器Pに向かい合う面である。一方、後端面31bは、先端面31aの反対側に位置する面である。
【0013】
端子32は、コネクタハウジング31の内部でプリント回路基板に接続された導電性金属材によって形成され、ここでは板状の支持片32aの表面に固定されている。この端子32は、コネクタハウジング31の先端面31aの中心位置に形成された貫通孔(不図示)を通って外部に突出している。このときの端子32の突出方向は、コネクタハウジング31の軸方向に沿っている。
【0014】
そして、ケーブル33は、一端がコネクタハウジング31の内部でプリント回路基板に接続された導電性金属線によって形成され、表面が絶縁被膜によって覆われている。このケーブル33は、コネクタハウジング31の後端面31bの中心位置に形成された貫通孔(不図示)を通って外部に突出し、コネクタハウジング31の軸方向に沿って延在されている。ここで、ケーブル33は可撓性を有しており、コネクタハウジング31の軸方向に対して屈曲可能である。また、ケーブル33の断面積はコネクタハウジング31の後端面31bの面積よりも小さい。なお、このケーブル33の他端には、図示しない他の電気コネクタが設けられている。
【0015】
さらに、この実施例1では、図2に示すように、コネクタハウジング31の後端面31bにケーブルブッシュ34が取り付けられている。ケーブルブッシュ34は、両端が開放した中空の管材であり、ケーブル33が貫通している。このケーブルブッシュ34は、コネクタハウジング31の後端面31bに形成された貫通孔(不図示)に一端が差し込まれ、ケーブル33のコネクタハウジング31との境界位置35及びこの境界位置35から所定範囲のケーブル33を覆っている。このケーブルブッシュ34は、ケーブル33よりは硬質であるものの、コネクタハウジング31よりも高い柔軟性を有する合成樹脂で形成されており、ケーブル33の動きに追従して変形しながらも、このケーブル33の境界位置35の曲り方を緩やかにする。なお、ケーブルブッシュ34の厚みは、ケーブル33の断面積に大きな影響を与えない程度とし、ケーブルブッシュ34に覆われた部分のケーブル断面積と、ケーブルブッシュ34に覆われていない部分のケーブル断面積はほぼ同じとする。
【0016】
そして、実施例1のカバー本体10は、ATBC−PVC (Acetyl tributyl citrate−polyvinyl chloride:非フタル酸系ポリ塩化ビニル)によって形成されており、外観形状がトラ(動物)の全身を模している。そして、軸方向Xの一端11がトラの頭部を模しており、軸方向Xの他端12がトラの臀部を模している。さらに、トラの頭部を模した一端11には、トラの口を模し、軸方向Xに沿ってへこんだ凹部13が形成されている。また、凹部13の内側面13aには、トラの牙を模した突起部14が複数(実施例1では2個)形成されている。
【0017】
さらに、このカバー本体10には、軸方向Xに沿って延びるスリット15が形成され、このスリット15を介して内部空間20が外部に連通している。スリット15の開口幅15aはケーブル33の外径寸法よりも狭く、図5に示すように、後述する内部空間20の第1収容部21及び第2収容部22の内径寸法よりも狭くなっている。
【0018】
なお、このスリット15が形成された位置は、カバー本体10の外観形状を形成するトラの腹部を模した位置であり、スリット15は、トラのあごから腹部、臀部に至るまで直線状に延びている。さらに、この実施例1では、スリット15を挟んで一対の前脚を模した第1突部16,16と、一対の後脚を模した第2突部17,17とが形成されている。そして、カバー本体10の外周面は、スリット15が形成されると共に、第1突部16,16及び第2突部17,17によって囲まれた領域18がほぼ平坦な面に形成され、この領域18を除いた部分が曲面に形成されている。
【0019】
内部空間20は、カバー本体10を軸方向Xに沿って貫通しており、カバー本体10の一端11に開放した第1開口20aと、カバー本体10の他端12に開放した第2開口20bと、を有している。そして、この内部空間20は、図2及び図6に示すように、第1収容部21と、第2収容部22と、段差面23と、を有している。
【0020】
第1収容部21は、電気コネクタ30のコネクタハウジング31の外径寸法より僅かに大きい内径寸法に設定された断面楕円状の空間であり、コネクタハウジング31を収容可能になっている。この第1収容部21は、第1開口20aを介してカバー本体10の一端11に開放している。
また、第1収容部21の軸方向Xの長さ寸法は、コネクタハウジング31の後端面31bが段差面23に干渉した状態で、カバー本体10の一端11に形成した第1開口20aからコネクタハウジング31の先端面31aが突出する大きさに設定されている。すなわち、図1に示すように、コネクタハウジング31の端子32は、カバー本体10の第1開口20aを介して内部空間20の外へと突出する。
【0021】
第2収容部22は、ケーブル33及びケーブルブッシュ34の外径寸法より僅かに大きい内径寸法に設定された断面円形状の空間であり、ケーブル33を収容可能になっている。この第2収容部22は、第2開口20bを介してカバー本体10の他端12に開放している。また、この第2収容部22は、カバー本体10の中間部で第1収容部21と連通している。
【0022】
段差面23は、第1収容部21と第2収容部22との境界位置に形成され、コネクタハウジング31の後端面31bに干渉可能となっている。すなわち、この段差面23は、内部空間20の内径寸法を、第1収容部21の内径寸法から第2収容部22の内径寸法へと縮径することで生じる軸方向Xに対して直交する面である。
【0023】
次に、作用を説明する。
まず、電気コネクタのケーブル断線課題を説明し、続いて、実施例1のケーブルカバー1の作用を、「ケーブル保護作用」、「その他の特徴的作用」に分けて説明する。
【0024】
[電気コネクタのケーブル断線課題]
電気コネクタ30では、コネクタハウジング31の後端面31bからケーブル33が突出している(図2参照)。ここで、コネクタハウジング31は合成樹脂製であり、内蔵したプリント回路基板を保護する必要もあり剛性が高く設定されている。一方、ケーブル33は可撓性を有しており、コネクタハウジング31の軸方向に対して屈曲することができる。ここで、コネクタハウジング31の後端面31bに形成され、ケーブル33が通された貫通孔(不図示)は、通常、ケーブル33の外周面に対して隙間が生じない開口径に設定されている。
【0025】
そのため、ケーブル33が変形した際、コネクタハウジング31の後端面31bとの境界位置35が局部的に屈曲してしまい、ケーブル33の境界位置35で断線することがある。そこで、コネクタハウジング31の後端面31bにケーブルブッシュ34を取り付け、このケーブルブッシュ34によってケーブル33の境界位置35を覆っている。
【0026】
しかしながら、ケーブルブッシュ34は、コネクタハウジング31に取り付けられた一端がこのコネクタハウジング31の内部に差し込まれると共に、ケーブル33の動きに追従して変形する。そのため、ケーブルブッシュ34では、ケーブル33の境界位置35の曲り方を緩やかにすることはできるものの、この境界位置35の屈曲を規制することは難しい。これにより、ケーブル33の境界位置35が繰り返し屈曲することで、ケーブルブッシュ34内でケーブル33の断線が生じるおそれがある。
【0027】
[ケーブル保護作用]
実施例1のケーブルカバー1を電気コネクタ30に装着するには、まず、カバー本体10の周方向の向きを調整し、図7に示すように、スリット15が形成された領域18を上方に向ける。
【0028】
領域18を上方に向けたら、次に、カバー本体10の一端11を軸方向Xの前方に向けた上、スリット15を幅方向に押し広げる。そして、コネクタハウジング31の先端面31aを軸方向Xの前方に向けてから、ケーブル33をスリット15に沿わせ、このスリット15内に押し込む。これにより、ケーブル33は、スリット15を介してカバー本体10の内部空間20に嵌め込まれる。このとき、コネクタハウジング31がカバー本体10と干渉しないようにする。また、ケーブル33は、外径寸法がコネクタハウジング31の外径寸法よりも小さいため、第1収容部21に挿入可能である。
【0029】
そして、図7において二点鎖線で示すように、ケーブル33を内部空間20に嵌め込んだら、図8に示すように、ケーブル33を軸方向Xの後方に引っ張り、コネクタハウジング31を内部空間20の第1収容部21内に引き入れる。このとき、ケーブル33の引っ張り長さを調整し、コネクタハウジング31の後端面31bを内部空間20の段差面23に干渉させる。
【0030】
これにより、図2に示すように、内部空間20内に、コネクタハウジング31とケーブル33との境界位置35を収容し、ケーブルカバー1によってこの境界位置35を挟んでコネクタハウジング31とケーブル33とを一体的に覆うことができる。また、コネクタハウジング31の後端面31bが、内部空間20の段差面23に干渉するので、ケーブル33が変形したときにコネクタハウジング31がぐらついたり、傾いたりすることを防止できる。
よって、ケーブル33が変形しても、コネクタハウジング31の後端面31bとの境界位置35でのケーブル33の局部的な曲りを規制することができて、コネクタハウジング31から突出した位置でのケーブル33の断線を防止することができる。
【0031】
なお、カバー本体10の他端12に形成された第2開口20bは、ケーブル33の外径寸法よりも僅かに大きい内径寸法に設定され、第2開口20bの周縁とケーブル33の外周面との間に隙間が生じている。そのため、この第2開口20bでは、ケーブル33が変形したときのケーブル33の動きを隙間分だけ許容できる。これにより、ケーブル33の局部的な変形を抑制し、ケーブル断線の発生を防止することができる。
【0032】
[その他の特徴的作用]
実施例1のケーブルカバー1のカバー本体10には、軸方向Xに沿って延びるスリット15が形成されている。そのため、図7に示すように、内部空間20内にケーブル33を嵌め込む際、ケーブル33をスリット15に沿わせてから、このスリット15内に押し込む。そして、ケーブル33を引っ張り、コネクタハウジング31を内部空間20の第1収容部21内に引き入れてケーブルカバー1を電気コネクタ30に装着する(図8参照)。
これにより、電気コネクタ30に対してケーブルカバー1のカバー本体10を容易に装着することができる。
【0033】
また、実施例1のケーブルカバー1では、ケーブル33を引っ張ることで、コネクタハウジング31を第1収容部21内に引き入れて装着する。そのため、コネクタハウジング31の後端面31bを段差面23に対して確実に接触させることができ、内部空間20内でのコネクタハウジング31のがたつきを適切に抑えることができる。
【0034】
そして、この実施例1のケーブルカバー1は、カバー本体10の外観形状がトラ(動物)の全身を模している。そのため、カバー本体10の見た目に可愛さや面白さを付加することができ、外観品質の向上を図ることができる。
【0035】
また、第1収容部21の軸方向Xの長さ寸法が、第1開口20aを介してコネクタハウジング31の先端面31aが突出する大きさに設定されている。そのため、カバー本体10を電気コネクタ30に装着したまま、端子32を外部機器Pに接続することができる。そのため、図2に示すように、ケーブルカバー1を装着した電気コネクタ30を外部機器Pに接続すると、ケーブルカバー1が外部機器Pに近接し、あたかも外部機器Pにトラが噛みついているように見せることができる。そのため、電気コネクタ30の見た目にも可愛さや面白さを付加することができる。
【0036】
また、カバー本体10の見た目に可愛さ等が付加されることで、ケーブルカバー1を電気コネクタ30に装着せず、ケーブルカバー1の単体でインテリアとしても活用することが可能となる。
【0037】
さらに、実施例1では、カバー本体10の外周面のうち、スリット15が形成されると共に、第1突部16,16及び第2突部17,17によって囲まれた領域18がほぼ平坦な面に形成されている。そのため、このカバー本体10を机上等の平坦面に載置した際
転がりにくくなり、ケーブル33のねじれや撓みを抑制することができる。
【0038】
次に、効果を説明する。
実施例1のケーブルカバー1にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0039】
(1) コネクタハウジング31の後端面31bから延在されたケーブル33を覆うカバー本体10と、前記カバー本体10を軸方向Xに沿って貫通する内部空間20と、を備え、
前記内部空間20は、前記コネクタハウジング31を収容可能であって前記カバー本体10の一端11に開放した第1収容部21と、前記第1収容部21に連通すると共に、前記ケーブル33を収容可能であって前記カバー本体10の他端12に開放した第2収容部22と、前記第1収容部21と前記第2収容部22との間に形成され、前記コネクタハウジング31の後端面31bに干渉する段差面23と、を有する構成とした。
これにより、コネクタハウジング31から突出した位置でのケーブル33の断線を防止することができる。
【0040】
(2) 前記カバー本体10には、前記軸方向Xに沿って周面を破断し、前記内部空間20を外部に連通するスリット15が形成されている構成とした。
これにより、(1)の効果に加え、電気コネクタ30に対してカバー本体10を容易に装着することができる。
【0041】
(3) 前記カバー本体10は、外観形状が動物(トラ)を模している構成とした。
これにより、(1)又は(2)の効果に加え、カバー本体10の見た目に可愛さや面白さを付加することができ、外観品質の向上を図ることができる。
【0042】
(実施例2)
実施例2のケーブルカバー1Aは、カバー本体40の一端41に形成した凹部43の内側面43aが、外部機器Pの外側面αに接触する例である。
【0043】
まず、構成を説明する。なお、実施例1と同等の構成については、実施例1と同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0044】
実施例2のケーブルカバー1Aでは、図9に示すように、カバー本体40と、このカバー本体40を軸方向Xに沿って貫通する内部空間20と、を備えている。そして、この実施例2のカバー本体40は、外観形状がトラ(動物)の全身を模し、トラの頭部を模した一端41には、トラの口を模して軸方向Xに沿ってへこんだ凹部43が形成されている。なお、カバー本体40の他端42は、実施例1と同様にトラの臀部を模している。
【0045】
そして、実施例2の凹部43は、ケーブルカバー1Aを装着した電気コネクタ30の端子32を外部機器Pに接続した際、この外部機器Pの一部が挿入される。さらに、この実施例2では、電気コネクタ30の端子32を外部機器Pに接続した際、凹部43の内側面43aが外部機器Pの外側面αに接触する。
【0046】
また、実施例2においても、凹部43の内側面43aから突出する複数(実施例2では2個)の突起部44が形成されている。ここで、突起部44の突出長さは、端子32と外部機器Pとを接続した際、外部機器Pの外側面αに先端44aが接触する長さに設定されている。
【0047】
なお、実施例2の内部空間20は、カバー本体40を軸方向Xに貫通すると共に、電気コネクタ30のコネクタハウジング31を収容可能な第1収容部21と、ケーブル33を収容可能な第2収容部22と、第1収容部21と第2収容部22の間に形成された段差面23と、を有している。そして、第1収容部21の軸方向Xの長さ寸法は、コネクタハウジング31の後端面31bが段差面23に干渉した状態で、カバー本体40の一端41に形成した第1開口40aからコネクタハウジング31の先端面31aが突出する大きさに設定されている。
【0048】
次に、作用を説明する。
実施例2のケーブルカバー1Aでは、カバー本体40を電気コネクタ30に装着した際、図9に示すように、内部空間20の第1収容部21にコネクタハウジング31が収容され、第2収容部22にケーブル33が収容される。さらに、段差面23には、コネクタハウジング31の後端面31bが干渉する。
【0049】
そして、ケーブルカバー1Aを電気コネクタ30に装着した状態で、端子32を外部機器Pに接続すると、カバー本体40の一端41に形成した凹部43に外部機器Pの一部が挿入される。さらに、この外部機器Pは、挿入された部分の外側面αに凹部43の内側面43aが接触する。また、凹部43の内側面43aから突出した複数の突起部44は、先端44aが、凹部43内に挿入された外部機器Pの外側面αに接触する。
【0050】
これにより、電気コネクタ30の端子32を外部機器Pに接続したとき、カバー本体40が外部機器Pと干渉することになる。よって、ケーブルカバー1Aのカバー本体40を外部機器Pに対して安定させることができ、電気コネクタ30が外部機器Pから外れてしまうことを抑制できる。
【0051】
さらに、この実施例2では、外部機器Pが挿入される凹部43から突起部44が突出し、この突起部44の先端44aが外部機器Pの外側面αに接触する。そのため、外部機器Pの外側面αに対して凹部43を点接触にて接触させることができ、カバー本体40を外部機器Pに対してさらに安定させることができる。
【0052】
しかも、この実施例2では、凹部43の内側面43aのうち、外部機器Pの外側面αに接触する接触領域と、複数の突起部44が形成された突起形成領域とが、外部機器Pの挿入空間を介して対向している。そのため、凹部43内に外部機器Pが挿入された際、内側面43aと突起部44との間に外部機器Pを挟み込むことができる。
これにより、外部機器Pの外側面αのうち、対向する二か所を凹部43の内側面43aに接触させることが可能になり、さらにカバー本体40を外部機器Pに対して安定させることができる。
【0053】
すなわち、実施例2のケーブルカバー1Aにあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0054】
(4) 前記第1収容部21は、前記コネクタハウジング31の後端面31bに前記段差面23が干渉した状態で、前記カバー本体40の一端41に形成した開口(第1開口40a)から前記コネクタハウジング31の先端面31aが突出する大きさに設定され、
前記カバー本体40の一端41には、前記コネクタハウジング31の先端面31aから突出した端子32を接続する外部機器Pを挿入可能な凹部43が形成され、
前記凹部43は、前記端子32と前記外部機器Pとを接続した際、前記外部機器Pの外側面αに内側面43aが接触する構成とした。
これにより、カバー本体40と外部機器Pとが干渉し、カバー本体40を外部機器Pに対して安定させることができる。
【0055】
(5) 前記凹部43は、前記内側面43aから突出した突起部44を有し、
前記突起部44は、前記端子32と前記外部機器Pとを接続した際、前記外部機器Pの外側面αに先端44aが接触する構成とした。
これにより、外部機器Pの外側面αに対して凹部43を点接触にて接触させることができ、カバー本体40を外部機器Pに対してさらに安定させることができる。
【0056】
以上、本発明のケーブルカバーを実施例1及び実施例2に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0057】
実施例1及び実施例2では、カバー本体10,40の外観形状がトラの全身を模した例を示したがこれに限らない。カバー本体の外観形状は、トラ以外の動物(例えば、犬や猫、熊等)であったり、爬虫類、海洋生物、昆虫、さらに植物等の生物の外観(見た目)を模したものであってもよい。さらに、小説や漫画、アニメ、映画、ゲーム等の登場人物や動物等のキャラクターや、実際に存在する或いは存在した人物の外観(見た目)を模してもよい。そして、カバー本体の外観形状がそれらの全身を模していなくてもよく、例えば頭部や手等を部分的に模したものであってもよい。さらに、カバー本体10,40の外観形状を、単なる角柱形や円柱形等としてもよい。
【0058】
また、実施例1では、ケーブルカバー1をATBC−PVCにて形成した例を示したが、これに限らない。ケーブル33の変形を規制する剛性を有する材質であれば特に限定されない。なお、摩擦係数の高い材質によってケーブルカバー1を形成した場合では、このケーブルカバー1を机上等で滑りにくくすることができる。そのため、ケーブルカバー1がストッパーになり、電気コネクタ30に接続した外部機器P(例えば携帯電話、図2参照)が机上から落下することを防止できる。
【0059】
また、実施例1及び実施例2では、突起部14,44がいずれも2個形成された例を示したが、これに限らない。一つ以上の突起部を形成し、その先端を外部機器Pの外側面αに接触させることで、外部機器Pの外側面αに対して凹部43を点接触にて接触させることができ、カバー本体を外部機器Pに対してさらに安定させることができる。
【0060】
また、電気コネクタ30が、外部機器Pと電源(図示せず)とを接続するために用いられる充電ケーブルの一端に設けられた例を示したが、これに限らない。例えば、パソコン等の電子機器とプリンター等の電子機器とを接続するケーブルの一端に設けられたUSB端子等であったり、商用電源に接続するプラグであったりしてもよい。
【0061】
さらに、実施例1では、カバー本体10に軸方向Xに延びるスリット15を形成した例を示したが、必ずしもスリット15を形成しなくてもよい。なお、スリット15を形成したときには、このスリット15を介してケーブル33を内部空間20に収容可能とする必要がある。そのため、実施例1に示すように、スリット15の開口幅15aをケーブル33の外径寸法よりも狭くする場合では、スリット33の剛性を、ケーブル33の変形を規制しつつ、スリット15の開口幅15aを押し広げ可能な程度に設定する。また、スリット15の開口幅15aを、ケーブル33の外径寸法よりも大きく、且つ、コネクタハウジング31の外径寸法よりも小さい大きさに設定してもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 ケーブルカバー
10 カバー本体
11 一端
12 他端
13 凹部
14 突起部
15 スリット
20 内部空間
20a 第1開口
20b 第2開口
21 第1収容部
22 第2収容部
23 段差面
30 電気コネクタ
31 コネクタハウジング
31a 先端面
31b 後端面
32 端子
33 ケーブル
34 ケーブルブッシュ
35 境界位置
【要約】
【課題】コネクタハウジングから突出した位置でのケーブルの断線を防止することができるケーブルカバーを提供する。
【解決手段】コネクタハウジング31の後端面31bから延在されたケーブル33を覆うカバー本体10と、カバー本体10を軸方向Xに沿って貫通する内部空間20と、を備えている。そして、内部空間20は、コネクタハウジング31を収容可能であってカバー本体10の一端11に開放した第1収容部21と、第1収容部21に連通すると共に、ケーブル33を収容可能であってカバー本体10の他端12に開放した第2収容部22と、第1収容部21と第2収容部22との間に形成され、コネクタハウジング31の後端面31bに干渉する段差面23と、を有する構成とした。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9