特許第6334810号(P6334810)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6334810IFNを用いた非接着培養による樹状細胞の調製方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6334810
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】IFNを用いた非接着培養による樹状細胞の調製方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/0784 20100101AFI20180521BHJP
   C12N 5/0786 20100101ALN20180521BHJP
【FI】
   C12N5/0784
   !C12N5/0786
【請求項の数】7
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2017-506580(P2017-506580)
(86)(22)【出願日】2016年3月16日
(86)【国際出願番号】JP2016058295
(87)【国際公開番号】WO2016148179
(87)【国際公開日】20160922
【審査請求日】2017年11月9日
(31)【優先権主張番号】特願2015-53804(P2015-53804)
(32)【優先日】2015年3月17日
(33)【優先権主張国】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度、独立行政法人科学技術振興機構 研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下平 滋隆
(72)【発明者】
【氏名】小屋 照継
【審査官】 鈴木 崇之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/126250(WO,A1)
【文献】 特表2010−538022(JP,A)
【文献】 特表2006−519235(JP,A)
【文献】 特開平06−192300(JP,A)
【文献】 特開2008−220357(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/136845(WO,A1)
【文献】 The Journal of Immunology,2005年,Vol. 174,pp. 270-276
【文献】 British Journal of Dermatology,2011年,Vol. 165,pp. 247-254
【文献】 齋藤博士、他,樹状細胞の成熟と機能,重症喘息とChurg-Strauss Syndrome患者間に見られる相違,アレルギー,日本アレルギー学会,2004年,Vol. 53, No. 8・9,p. 893
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 5/0784
C12N 5/0786
A61K 35/15
A61P 35/00
A61P 35/02
A61P 37/02
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/BIOSIS(STN)
PubMed
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
末梢血より単離した単球を、GM-CSF及び500ng/mL〜1000ng/mLのPEG化インターフェロンαの存在下で非接着培養により培養し、その後、プロスタグランジンE2及びOK432を添加してさらに非接着培養により培養することを含む、単球から細胞傷害性を有する樹状細胞を調製する方法。
【請求項2】
GM-CSF及び500ng/mL〜1000ng/mLのPEG化インターフェロンαの存在下で非接着培養により2〜5日間培養した後、プロスタグランジンE2及びOK432を添加してさらに非接着培養により1〜2日培養することを含む、請求項1記載の単球から細胞傷害性を有する樹状細胞を調製する方法。
【請求項3】
100U/ml〜10,000U/mLのGM-CSF、500ng/mL〜1000ng/mLのPEG化インターフェロンα、5ng/mL〜50ng/mLのプロスタグランジンE2及び5μg/mL〜50μg/mLのOK432を用いて単球を培養する、請求項1又は2に記載の単球から細胞傷害性を有する樹状細胞を調製する方法。
【請求項4】
得られる樹状細胞の生細胞率が90%以上であり、培養時の単球数に対する得られた樹状細胞の数の割合である収率が15%以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の単球から細胞傷害性を有する樹状細胞を調製する方法。
【請求項5】
得られる樹状細胞がCD11c、CD14、CD40、CD56、CD80、CD86、HLA-ABC及びHLA-DRが陽性であり、CD83及びCD197が陰性である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の単球から細胞傷害性を有する樹状細胞を調製する方法。
【請求項6】
GM-CSF、500ng/mL〜1000ng/mLのPEG化インターフェロンα、プロスタグランジンE2及びOK432を含む単球からの細胞傷害性樹状細胞の分化・誘導剤。
【請求項7】
GM-CSF及び500ng/mL〜1000ng/mLのPEG化インターフェロンαを含む未成熟樹状細胞分化・誘導剤、並びにプロスタグランジンE2及びOK432を含む樹状細胞成熟化剤を含む、請求項記載の単球からの細胞傷害性樹状細胞の分化・誘導剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単球から樹状細胞を調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
樹状細胞(Dendritic cell: DC)は生体内の強力な抗原提示細胞であり、T細胞に抗原を提示することにより免疫応答を誘導することが知られている。また、DCはT細胞のみでなくB細胞、NK細胞、NKT細胞などとも直接作用し、免疫反応における中枢的役割を担う細胞であることが知られている。未成熟DCは抗原刺激を受けることによって、CD40、CD80、CD86などの発現上昇を伴い高いT細胞刺激能を獲得すると共に末梢リンパ組織に移行して、取り込んだ抗原に特異的なT細胞を活性化することによって免疫応答を誘導する。
【0003】
一般に、血液前駆細胞より樹状細胞の分化を誘導できると認められている物質として数種類のサイトカインが知られている。例えば、GM-CSFとIL-4の併用によるDCの分化誘導について多くの報告がある(非特許文献1)。その他に、単独であるいは他のサイトカインと併用することによりDCを分化誘導できる物質についても報告されており(非特許文献2)、例えば、TNF-α、IL-2、IL-3、IL-6、IL-7、IL-12、IL-13、IL-15、HGF(Hepatocyte growth factor)、CD40リガンド、M-CSF、Flt3リガンド、c-kitリガンド、TGF-β等が報告されている。
【0004】
GM-CSFとIL-4を併用してDCを分化誘導する方法においては、接着培養法により行われ、単核球(単球とリンパ球)を培養皿に播種し、リンパ球を洗浄して、接着した単球を培養に用いる。GM-CSF/IL-4存在下で5〜7日間の培養を行って、培地による洗浄作業、スクレイピング(物理的に剥ぎ取る)によって細胞を回収し、アジュバント(免疫賦活剤)OK432を含む培地 (Fresh medium)に交換して、成熟化したDCを作製していた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Akagawa K.S. et al. Blood, Vol.88, No.10 (November 15), 1996: pp.4029-4039
【非特許文献2】O'Neill D. W., et a., Blood, Vol.104, No.8 (October 15), 2004, pp.2235-2246
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、インターフェロンαを用いて単球から非接着培養法により樹状細胞を調製する方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従来、末梢血中の単球から樹状細胞(DC)を作製する場合、GM-CSF及びIL-4を用いて、接着培養法により作製していた。すなわち、単核球(単球とリンパ球)を培養皿に播種し、リンパ球及び混入した血小板を洗浄して、接着した単球を、GM-CSF及びIL-4の存在下で5日間の培養を行って、培地による洗浄作業、スクレイピング(物理的に剥ぎ取る)によって細胞を回収し、アジュバント(免疫賦活剤)OK432を含む新鮮な培地(Fresh medium)に交換して、成熟化したDCを作製していた。
【0008】
この方法では、DCの収率は十分ではなかった。また、DCをがん治療に用いるために強力な抗原提示能や貪食能以外に細胞傷害性などの活性を有するDCが求められていた。
【0009】
本発明者らは、DCの収率を挙げ、機能性が高いDCを作製すべく鋭意検討を行った。その結果、GM-CSFとIL-4の代わりにGM-CSFとPEG化インターフェロンα(PEG-IFN-α)を用い、さらに末梢血から単球を単離・精製した上で、非接着培養、すなわち浮遊培養によりDCを作製することで、短期間で最適化したDCを作製することができ、DC作製の収率が上がり、得られるDCも強力な細胞傷害性を有していることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1] 末梢血より単離した単球を、GM-CSF及びPEG化インターフェロンαの存在下で非接着培養により培養し、その後、プロスタグランジンE2及びOK432を添加してさらに非接着培養により培養することを含む、単球から細胞傷害性を有する樹状細胞を調製する方法。
[2] GM-CSF及びPEG化インターフェロンαの存在下で非接着培養により2〜5日間培養した後、プロスタグランジンE2及びOK432を添加してさらに非接着培養により1〜2日培養することを含む、[1]の単球から樹状細胞を調製する方法。
[3] 100U/ml〜10,000U/mLのGM-CSF、500ng/mL〜5μg/mLのPEG化インターフェロンα、5ng/mL〜50ng/mLのプロスタグランジンE2及び5μg/mL〜50μg/mLのOK432を用いて単球を培養する、[1]又は[2]の単球から樹状細胞を調製する方法。
[4] 得られる樹状細胞の生細胞率が90%以上であり、培養時の単球数に対する得られた樹状細胞の数の割合である収率が15%以上である、[1]〜[3]のいずれかの単球から樹状細胞を調製する方法。
[5] 得られる樹状細胞がCD11c、CD14、CD40、CD56、CD80、CD86、HLA-ABC及びHLA-DRが陽性であり、CD83及びCD197が陰性である、[1]〜[4]のいずれかの単球から樹状細胞を調製する方法。
[6] 得られる樹状細胞の、慢性骨髄性白血病株細胞であるK562を標的として、エフェクター細胞(DC)と標的細胞の比を50:1で18時間培養した場合の死細胞となった標的細胞の割合として測定した場合の細胞傷害性が30%以上である、[1]〜[5]のいずれかの単球から樹状細胞を調製する方法。
[7] [1]〜[6]のいずれかの単球から樹状細胞を調製する方法により得られた樹状細胞。
[8] CD11c、CD14、CD40、CD56、CD80、CD86、HLA-ABC及びHLA-DRが陽性であり、CD83及びCD197が陰性であり、慢性骨髄性白血病株細胞であるK562を標的として、エフェクター細胞(DC)と標的細胞の比を50:1で18時間培養した場合の死細胞となった標的細胞の割合として測定した場合の細胞傷害性が30%以上である、樹状細胞。
[9] [8]の樹状細胞を含む医薬組成物。
[10] 抗癌免疫活性を有し、癌治療に用い得る、[9]の医薬組成物。
[11] GM-CSF、PEG化インターフェロンα、プロスタグランジンE2及びOK432を含む単球からの細胞傷害性樹状細胞の分化・誘導剤。
[12] GM-CSF及びPEG化インターフェロンαを含む未成熟樹状細胞分化・誘導剤、並びにプロスタグランジンE2及びOK432を含む樹状細胞成熟化剤を含む、[11]の単球からの細胞傷害性樹状細胞の分化・誘導剤。
【0011】
本明細書は本願の優先権の基礎となる日本国特許出願番号2015-053804号の開示内容を包含する。
【発明の効果】
【0012】
単離・精製した単球をGM-CSF、PEG化インターフェロン(IFN)-α(PEG-IFN-α)、プロスタグランジンE2(PGE2)及びOK432の存在下で非接着培養により培養することを含む本発明の樹状細胞の調製法により、細胞傷害性の強力なDCを短期間で高い収率で得ることができる。得られたDCは癌免疫療法に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】IL-4-OK DCの作成法及びIFN-OK DCの作成法の概要を示す図である。
図2】樹状細胞作製に用いるIFN-α製剤及びOK432の細胞傷害性に対する効果を示す図である。
図3】樹状細胞作製に用いるPEGINTRONの濃度の検討の結果を示す図である。
図4】単球を1〜6日間培養し、樹状細胞を作製した場合の、K562細胞とMIA PaCa2に対する細胞傷害性を示す図である。
図5】樹状細胞作製の際のPGE2濃度の効果を示す図である。
図6】作製した樹状細胞の表現系を示す図である。
図7】作製した樹状細胞の生細胞率(図7A)と収率(図7B)を示す図である。
図8】作製した樹状細胞の抗原貪食能(図8A)と抗原分解能(図8B)を示す図である。
図9】作製した樹状細胞のIn vitro CTL誘導を示す図である。
図10】作製した樹状細胞のサイトカイン産生能を示す図である。
図11】作製した樹状細胞のがん細胞を攻撃する細胞傷害性を示す図である。
図12】作製した樹状細胞のCD56発現と細胞傷害性の相関を示す図である。図12Aは、各方法で作製した樹状細胞のCD56発現(ΔMFI)を示し、図12BはIFN DCにおけるCD56発現と細胞傷害性の相関を示し、図12CはIFN-OK DCにおけるCD56発現と細胞傷害性の相関を示す。
図13】IFN-OK DCによる細胞傷害の機構を示す図である。
図14】IL-4-OK DCとIFN-OK-DCの比較を示す図である。
図15-1】種々の条件での樹状細胞の作製プロトコールを示す図である。
図15-2】種々の条件で作製した樹状細胞の位相差顕微鏡写真像を示す図である。
図16】OK432の細胞傷害性に対する効果を示す図である。
図17】OK432による細胞傷害の誘導を示す図である。
図18】OK432による細胞傷害の誘導をボックスプロットで示す図である。
図19】DCのCD56の蛍光平均強度(MFI)を示す図である。
図20】mIFN-DCにおけるCD56のMFIと細胞傷害性の相関を示す図である。
図21】IFN-DCとK562細胞によるクラスター形成(上図)及びmIFN-DCとK562細胞によるクラスター形成(下図)を示す図である。
図22】IFN-DC又はmIFN-DCによるK562細胞傷害(図22A)及びMIA PaCa-2細胞の細胞傷害(図22B)を示す図である。
図23】DC細胞表面のTNF-α、TRAIL及びFas ligandの発現を示す図である。
図24】DC細胞表面のTRAIL(N=9)(A)及びFas ligand(N=8)(B)のDMFIを示す図である。
図25-1】がん患者由来のPBMCsから作製したDCのマーカーを分析した結果を示す図である(CD11c(A)、CD80(B)及びCCR7(C))。
図25-2】がん患者由来のPBMCsから作製したDCのマーカーを分析した結果を示す図である(CD14(A)、CD83(B)及びHLA-ABC(C))。
図25-3】がん患者由来のPBMCsから作製したDCのマーカーを分析した結果を示す図である(CD40(A)、CD86(B)及びHLA-DR(C))。
図26-1】mIFN-DCとmIL-4-DCの抗原提示能をMart-1特異的なCTL誘導により示す図である。
図26-2】mIFN-DCとmIL-4-DCの抗原提示能をMart-1特異的なCTL誘導により示す図である(ドットプロット)。
図27】各DCの抗原貪食能と抗原提示能を示す図である。
図28】各DCのサイトカイン産生能を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】
本発明は、単球から細胞傷害性を有する樹状細胞(Dendritic cell: DC)を調製する方法である。
【0016】
従来より、単球をGM-CSF(顆粒球単球コロニー刺激因子)及びIL-4(インターロイキン4)存在下で接着培養することにより単球から樹状細胞が分化し誘導されることが知られていたが、本発明においては、樹状細胞の分化誘導に際してGM-CSF及びPEG化インターフェロン(IFN)-α(PEG-IFN-α)を用い、単球を非接着培養により培養する。GM-CSF及びPEG-IFN-αの存在下での培養により、未成熟樹状細胞が得られる。該未成熟樹状細胞をさらに、GM-CSF、PEG-IFN-α、プロスタグランジンE2(PGE2)及びOK432の存在下での非接着培養により細胞傷害性を有する成熟DCを得ることができる。
【0017】
PEG-IFN-αはポリエチレングリコール(PEG)をIFN-αに結合させたものである。PEG-IFN-αとしては、PEG-IFN-α-2bが好ましい。PEG-IFN-αとしては、市販のPEG-IFN製剤を用いることができる。市販のPEG-IFN-α製剤として、PEG-IFN-α-2b製剤であるペグイントロン(PEGINTRON)(登録商標)(一般名:ペグインターフェロンα-2b(遺伝子組換え)(Peginterferon Alfa-2b(Genetic Recombination))が挙げられる。
【0018】
ペグイントロン(登録商標)は、構造式H3C-(O-CH2CH2)n-OCO-Interferon alfa-2bで表され、インターフェロン アルファ-2b(遺伝子組換え)(分子量:19268.91)のアミノ酸残基(Cys1、His7、Lys31、His34、Lys49、Lys83、Lys112、Lys121、Tyr129、Lys131、Lys133、Lys134、Ser163 及びLys164)の1箇所に1分子のメトキシポリエチレングリコール(平均分子量:約12,000)がカルボニル基を介して共有結合したものからなり、分子量は約32,000であり、分子式はC860H1353N229O255S9で表される。CAS登録番号は215647-85-1である。
【0019】
OK432は、ストレプトコッカス・ピオゲネスStreptococcus pyogenes(A群3型)Su株ペニシリン処理凍結乾燥粉末であり、溶血性レンサ球菌ストレプトコックス・ピオゲネス(A群3型)Su株をベンジルペニシリンカリウムの存在下、一定条件で処理し、凍結乾燥した菌体製剤である。OK432はアジュバントとして用いる。CAS登録番号は、39325-01-4である。OK-432は治験番号であり、市販のピシバニール(PICIBANIL)(登録商標)を用いることができる。
【0020】
本発明の方法においては、あらかじめ純化・精製した単球を用いる。単球は末梢血由来単球、骨髄由来単球、脾臓細胞由来単球、臍帯血由来単球が含まれ、この中でも末梢血由来の単球が好ましい。単球は、CD14陽性を特徴とし、生体から単球を採取する場合、CD14の存在を指標にFACS(Fluorescent activated cell sorter)、フローサイトメーター、磁気分離装置等を用いて単離・精製することができる。また、成分採血(アフェレーシス)装置を用いて濃縮・精製することもできる。さらに、Ficoll(登録商標)等を用いた密度勾配遠心分離により単離・精製することもできる。単球の由来動物種は限定されず、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ヤギ、サル、ヒト等の哺乳動物を用いることができる。FACS、フローサイトメーターとしては、例えばFACS vantage(ベクトン・ディッキンソン社製)、FACS Calibur(ベクトン・ディッキンソン社製)等を用いることができる。また、磁気分離装置としては、例えばautoMACS(登録商標)(Miltenyi Biotec)等を用いることができる。例えば、末梢単核球(PBMC)からCD14の発現を指標に、CD14を結合させたCD14マイクロビーズを用いてAutoMACS(登録商標)及びCliniMACS(登録商標)テクノロジーを利用して単離することができる。
【0021】
単離・精製した単球を非接着培養、すなわち浮遊培養にて培養する。非接着培養を行うためには、非接着性のプレート、ディッシュ、フラスコ等の培養器を用いればよい。非接着性の培養器は培養皿表面を超親水性ポリマー、リン脂質ポリマー、MPCポリマー等の化合物でコートしたり、あるいはコート剤を用いずに親水性処理したり、細胞が接着しないようにした培養器である。例えば、低付着性培養皿であるHydroCell(商標)(CellSeed社)、EZ-BindShut(登録商標)II(Iwaki)、Nunclon(商標)Vita、リピジュア(登録商標)コート(日油株式会社)等を用いることができる。
【0022】
培養液としては例えばRPMI1640、DMEM、AIM-V(登録商標)、X-VIVO5(登録商標)等を用いることができ、これらの基本培地に適当な抗生物質や動物血清あるいは人アルブミンや血清等を添加して培養すればよい。
【0023】
培養に用いるGM-CSFの濃度は、例えば単球を104〜107細胞/mlの濃度で用いる場合、100U/ml〜10,000U/mL、好ましくは500U/mL〜2,000U/mL、さらに好ましくは800〜1,200U/mL、特に好ましくは1,000U/mLである。あるいは、10ng/mL〜1,000ng/mL、好ましくは20ng/mL〜200ng/mL、さらに好ましくは20ng/mL〜100ng/mLである。PEG-IFN-αの濃度は、100ng/mL〜10μg/mL、好ましくは500ng/mL〜5μg/mL、さらに好ましくは500ng/mL〜2μg/mLである。PG2Eの濃度は、1ng/mL〜100ng/mL、好ましくは5ng/mL〜50ng/mL、さらに好ましくは5ng/mL〜20ng/mLである。OK432の濃度は、1μg/mL〜100μg/mL、好ましくは5μg/mL〜50μg/mL、さらに好ましくは5μg/mL〜20μg/mLである。
【0024】
GM-CSF及びPEG-IFN-αの存在下での培養は2〜5日間、好ましくは3〜4日間、さらに好ましくは3日間行う。GM-CSF及びPEG-IFN-αの存在下での培養により、未成熟DCが得られる。該未成熟DCをさらに、GM-CSF、PEG-IFN-α、プロスタグランジンE2及びOK432の存在下で非接着培養により、1〜2日間、好ましくは1日間培養することにより、細胞傷害性を有するDCを得ることができる。OK-432及びPGE2は、GM-CSF及びPEG-IFN-αを含む培地に、OK-432及びPGE2を含む補充培地(Supplemental Medium)を追加することにより添加すればよい。トータルの培養期間は、3〜7日間、好ましくは4〜6日間、さらに好ましくは4〜5日間、特に好ましくは4日間である。
【0025】
単球又はDCの表面抗原の発現をFACS等で調べることにより、目的の分化程度の細胞が得られる濃度を適宜決定することができる。
【0026】
上記の方法により、単離・精製した単球をGM-CSF及びPEG-IFN-αの存在下で培養し、さらに、GM-CSF、PEG-IFN-α、PGE2及びOK432の存在下で培養することにより細胞傷害性を有するDCが分化し誘導される。このようにして得られたDCをIFN-OK-DCやmIFN-DCと呼ぶことがある。このようにして調製された本発明のDCは、形態学的に樹状突起を有するという特徴を有し、さらにFACS等による解析により、表面抗原として、CD11c、CD14、CD40、CD56、CD80、CD86、HLA-ABC及びHLA-DRが陽性であり、CD83及びCD197が陰性であるという特徴を有する。特に、NK細胞の指標であるCD56を発現し、さらにDCの最少基準であるCD86及びHLA-DRを発現する。
【0027】
これらの表面抗原が陽性か陰性かは、これらの抗原に対する抗体であって、発色酵素、蛍光化合物等で標識した抗体を用いて細胞が染色されたか否かを顕微鏡観察等により決定することができる。例えば、これらの抗体を用いて細胞を免疫染色して、表面抗原の有無を決定すればよい。また該抗体を結合させた磁気ビーズを用いても決定することができる。また、FACS又はフローサイトメーターを用いても表面抗原があるかどうか決定することができる。表面抗原が陰性とは、上記のようにFACSを用いて分析した場合に、陽性細胞としてソーティングされないこと、免疫染色により発現を調べた場合に、発現が認められないことをいい、これらの手法により検出できない程度発現していたとしても、陰性と判断する。
【0028】
本発明の方法で得られたDCの、細胞傷害性はNK細胞のマーカーであるCD56の発現程度と相関している。本発明の方法で得られるDCの細胞傷害性は、M. Korthals et al. Journal of Translational Medicine 2007, 5:46の記載に従って慢性骨髄性白血病株細胞であるK562を標的として、エフェクター細胞(DC)と標的細胞の比を50:1で18時間培養した場合の死細胞となった標的細胞の割合として測定した場合、30%以上、好ましくは32%以上、さらに好ましくは35%以上である。
【0029】
また、本発明の方法で得られたDCの細胞傷害性は、TRAIL(tumor necrosis factor(TNF)-related apoptosis-inducing ligand)又はFASリガンド(FasL)を介して細胞傷害性を発揮する。TRAIL及びFasLは細胞傷害性因子と呼ばれ、ある種のDCやリンパ球で、がん細胞を攻撃する際に働くことが報告されている。すなわち、本発明の方法で得られたDCが細胞傷害性を発揮するときに、TRAILやFasリガンドが作用する。従って、本発明の方法で得られたDCは、限定されないが、TRAIL受容体やFasを発現しているがん細胞に対しても有効に細胞傷害性を発揮する。
【0030】
さらに、本発明の方法においては、単球から非接着培養でDCを作製するため、DCの生細胞率も高く、収率も高い。得られたDCの生細胞率はNIH(Natonal Institutes of Health)の基準である70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上である。また、DCの回収率(播種した単球数に対する得られたDC生細胞数の割合)は、15%以上、好ましくは20%以上である。
【0031】
例えば、GM-CSF、IL-4、PGE2及びOK432を用いて接着培養で作製したDC(IL-4-OK DC)とGM-CSF、PEG-IFN、PGE2及びOK432を用いて非接着培養で作製したDC(IFN-OK DC)には、図14に示すような特性の差がある。
【0032】
すなわち、IL-4-OK DCが作製に7日程度かかるのに対し、本発明のIFN-OK DCは4日程度の短期間で作製することができる。また、得られたIL-4-OK DCの生細胞率が約82%であるのに対して、本発明のIFN-OK DCは約95%以上と高い。また、IL-4-OK DC の作製の収率が10%(10〜15%)程度であるのに対して、IFN-OK DCの作成の収率は約16%(10〜25%以上)以上と高い。さらに、IL-4-OK DCの細胞傷害性が10%以下であるのに対して、IFN-OK DCの細胞傷害性は約30%以上と高い。
【0033】
細胞表面の発現抗原に関しては、IL-4-OK DC がCD11c陽性、CD14陰性、CD40陽性、CD56陰性、CD80陽性、CD83陽性、CD86陽性、CD197陽性、HLA-ABC陽性、HLA-DR陽性であるのに対して、IFN-OK DCはCD11c陽性、CD14陽性、CD40陽性、CD56陽性、CD80陽性、CD83陰性、CD86陽性、CD197陰性、HLA-ABC陽性、HLA-DR陽性という違いがある。IFN-OK DCの細胞傷害性の強さはCD56の発現レベルと相関している。さらに、IFN-OK DCについては、TRAIL又はFASリガンドを介して細胞傷害性を発揮することが確認されている。このことは、TRAIL又はFASリガンドを発現しているがん細胞に対して細胞傷害性を発揮することを示している。
【0034】
さらに、本発明のDCは、mGM-CSFとIL-4を用いて調製したDCと同等の抗原貪食能及び分解能を有し、mGM-CSFとIL-4を用いて調製したDCと同様に優れた抗原提示能を有する。
【0035】
さらに、本発明のDCは、mGM-CSFとIL-4を用いて調製したDCに比較して優れたサイトカイン産生能を有し、また、優れたキラー活性を有する。
【0036】
本発明は、GM-CSF、PEG-IFN-αを含む単球からのDC分化・誘導剤を包含する。該DC分化・誘導剤をDC調製剤と呼ぶこともできる。該DC分化・誘導剤はさらにPGE2及びOK432を含んでいてもよい。DC分化・誘導剤は、GM-CSFとPEG-IFN-αを含む第1の試薬とPGE2及びOK432を含む第2の試薬からなっていてもよく、本発明は該第1の試薬と第2の試薬を含むDC分化・誘導キットも包含する。GM-CSF及びPEG-IFN-αを含む第1の試薬は未成熟DCを分化・誘導するために用いられ、PGE2及びOK432を含む第2の試薬は未成熟DCを成熟させるために用いられる。
【0037】
本発明の方法により、DCは成熟DCとして誘導される。さらに、本発明は本発明の方法で得られたDC及び該DCを含む細胞集団も包含する。該細胞集団には、10%以上、30%以上、50%以上、70%以上、90%以上、又は95%以上のDCが含まれる。
【0038】
本発明の方法で調製されたDCは、樹状細胞療法に用いることができる。樹状細胞療法として、例えば、樹状細胞ワクチン療法として知られる、癌免疫療法が挙げられる。例えば、被験体の単球から本発明の方法によって、樹状細胞を調製し、得られた樹状細胞を被験体に戻すことにより、樹状細胞を癌治療又は予防等に用いることができる。この際、調製した樹状細胞は、癌種非特異的に作用し、癌治療効果を発揮し得る。また、樹状細胞を調製する際に特定の癌に特異的な癌特異抗原を添加して培養することにより、癌種特異的な抗癌免疫活性を有する樹状細胞を得ることが可能である。また、細菌やウイルスの感染症の治療にも用いることができる。感染症の治療においては、本発明の方法により、GM-CSF、PEG-IFN-α、PGE2及びOK432存在下で単球を非接着培養により培養して調製したDCが有用である。調製した樹状細胞を皮内投与、皮下投与、静脈内投与又はリンパ節内投与等により被験体に投与すればよい。投与量、投与時期は被験体の疾患の種類、疾患の重篤度、被験体の状態に応じて適宜決定することができる。
【実施例】
【0039】
本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0040】
実施例1 IFNを用いた樹状細胞の調製(その1)
1.樹状細胞の作製
がん患者のインフォームド・コンセントを得て、成分採血(アフェレーシス)より採取した末梢血単核球 (Peripheral Blood Mononuclear Cells: PBMCs)を原料とし、樹状細胞 (dendritic cell: DC)の作製を行った(医倫理審査番号: 2107, 2012年9月4日承認)。顆粒球単球コロニー刺激因子(Granulocyte-macrophage colony stimulating factor (GM-CSF))とインターロイキン4(interleukin-4 (IL-4))存在下で単球を培養して得られるIL-4 DCと、A群溶血性連鎖球菌の自然変異株(Su株)をペニシリンで処理した製剤OK432 (商標登録:ピシバニール)、プロスタグランジンE2(prostaglandin E2 (PGE2))を用いて成熟化したIL-4-OK DCの作製では、古典的な接着培養法を用いた。単球の割合で2〜4×106 細胞/mlにAIM-V培地(Invitrogen Life Technologies)でPBMCsを懸濁し、接着性の培養皿BD Primaria(商標) Cell Culture Dish (BD Bioscience)に播種し、30分後に非接着細胞を除去し、翌日にGM-CSF(50 ng/ml; Gentaur)、IL-4(50 ng/ml; R&D Systems)を添加したAIM-V培地に交換し、接着した単球を5日間培養を行って、スクレーパーを用いて未成熟なIL-4 DCを回収した。成熟化のために、10μg/mlのOK432(streptococcal preparation, Chugai Pharmaceutical Co, Ltd, Tokyo, Japan), 50 ng/mlのPGE2 (Daiichi Fine Chemical Co, Ltd, Toyama, Japan)を含む新鮮なAIM-V培地に懸濁し、さらに16〜24時間の培養を行って樹状細胞を作製した。この方法で作製した樹状細胞をIL-4-OK DCと呼ぶ。
【0041】
一方で、IFN(インターフェロン)-α (IFN-α)とGM-CSF存在下で単球を培養して得られるIFN DCと、OK432、PGE2で成熟化したIFN-OK DCの作製では、PBMCsからCD14マイクロビーズ(Miltenyi Biotec)で純化した単球を使用した。日常的に95%以上の純度で精製した単球を使用し、GM-CSF (1,000U/ml; Miltenyi Biotec)、PEG化インターフェロン α-2b製剤のPEGINTRON(登録商標)(1μg/ml; MSD)を含むAIM-V培地に2〜4×106 細胞/mlで懸濁し、非接着性の培養皿HydroCell (CellSeed)に播種し、3日間の培養を行ってIFN DCを作製した。また、培養開始4日目(3日間の培養後)のIFN DCの培養液に成熟培地を補充し、終濃度10μg/mlのOK432、10 ng/mlのPGE2の条件で、さらに16〜24時間の培養を行ってIFN-OK DCを作製した。この方法で作製した樹状細胞をIFN-OK DCと呼ぶ。例外的に、一部の実験ではインターフェロンα-2b 製剤のIntron(登録商標)A(1,000U/ml; MSD)を用いて同様に作製を行った。
【0042】
図1に、IL-4-OK DCの作製方法(図1A)及びIFN-OK DCの作製方法(図1B)の概要を示す。
【0043】
本実施例では、IL-4-OK DC、IFN-OK DCの他に、IL-4とOK432の代りにIL-4のみを用いて作製した樹状細胞及びIFNとOK432の代りにIFNのみを用いて作製した樹状細胞についても検討を行った。それぞれ、IL-4 DC及びIFN DCと呼ぶ。
【0044】
用いるIFN-αの種類、INF-αの添加濃度、培養期間及び用いるPGE2濃度については検討を行った。
【0045】
作製した樹状細胞の細胞傷害性の測定は、以下の方法で行った。
【0046】
細胞傷害性試験
慢性骨髄性白血病株K562(ATCC)、又は、ヒト膵臓癌由来細胞株MIA PaCa2 (RIKEN BRC)を、carboxyfluorescein succinimidyl ester, CFSE (5μm; Molecular Probes)を添加したFCS 0.1%含有PBSで懸濁し、37℃で10分反応し、AIM-V培地で洗浄を行った。FCSを10%含むAIM培地を用いて、5×105のDC(エフェクター)とCFSEで染色したがん細胞(標的)をE:T(エフェクター細胞/標的細胞) = 50:1の割合で混合し、37℃で18時間の反応を行って、FACS flowで洗浄し、2μg/mlのPI(propidium iodide)で染色して、FACSを用いて死細胞の検出を行った。CFSE陽性かつPI陽性の細胞数をCFSE陽性細胞数で除した値を細胞傷害性(cytotoxicity)の割合として評価した。陰性コントロールとして、未染色のがん細胞をエフェクターとし、CFSE染色したがん細胞をE:T = 50:1で混合し、同様に反応を行った。
【0047】
抗体を用いた阻害試験では、10μg/mlの抗TRAIL抗体又は抗FASリガンド抗体(eBioscience)をDCsとあらかじめ1時間インキュベーションした後に、CFSEで標識したがん細胞を混合して反応を行った。
【0048】
(1)IFN-α製剤の選定
GM-CSFとPEGINTRON(1μg/ml)又はIntronA(1,000 U/ml)の2種類のIFN-α製剤を用いてIFN DCを作製し、OK432添加の有無で細胞傷害性を測定した。CFSEで標識した慢性骨髄性白血病株K562を標的とし、それぞれの比率でDCを混合して18時間後に、死細胞の割合を測定し、細胞傷害性(%)を得た。エラーバーは平均値±標準偏差を示し、独立して実験を3回行った (n = 3の代表データ、Tukey-Kramer testで有意差の検定を行った。* p < 0.01, ** p< 0.001を示す)。
【0049】
結果を図2に示す。図2に示すように、OK432は細胞傷害性が上昇し、PEGINTRONを用いたIFN DCは、IntronAより高い細胞傷害性を示す。この結果より、IFN-α製剤としてPEGINTRONを用いた。
【0050】
(2)PEGINTRON濃度の検討
健常人donor#4と、がん患者のpatient#12の単球を用いて、細胞傷害性を基準に、PEGINTRONの至適濃度を検証した。各濃度で3日培養し、OK432による成熟化を1日加えて4日後にIFN-OK DCを回収した。
【0051】
図3に結果を示す。図3Aはdonor#4の結果を示し、図3Bはpatient#12の結果を示す。図3に示すように健常人、がん患者において、高い細胞傷害性の認められた1,000 ng/ml (1μg/ml)を用いる事にした。これ以上の高い濃度では細胞が死滅し、測定する事は出来なかった。
【0052】
(3)培養期間の検討
PEGINTRONとOK432を用いて、単球の培養を1〜6日間行い、K562細胞を標的とした場合の細胞傷害活性及びMIA PaCa2を標的とした場合の細胞傷害性を測定した。結果を図4に示す。図4の上は、標的細胞としてK562細胞を用いた結果であり、donor#4の結果(A)とpatient#12の結果(B)を示す。図4の下は、標的細胞としてMIA PaCa2を用いたpatient#69の結果である。
【0053】
K562細胞を標的とした場合、健常人、がん患者において4日間の培養(IFN 3日後、OK432 1日)で高い細胞傷害性が認められた。
【0054】
MIA PaCa2に対しては、4日、5日の培養後に高い細胞傷害が見られ、培養期間の短縮から、4日間培養 (IFN 3days + OK432 1day)を採用した。また、K562及びMIA PaCa2に対する細胞傷害性を示す事が確認された。
【0055】
(4)PGE2濃度の検討
生細胞率、回収率、細胞傷害性にPGE2が与える影響を調べた。結果を図5に示す。それぞれにおいて最も優れた(4)IFN DC培養のDay4において、成熟用培地を補充し、終濃度で10μg/mlのOK432、10 ng/mlのPGE2の条件で培養する工程を採用した。
【0056】
2.DC表現系の解析
作製したDCをFcR Blocking Reagent (Miltenyi Biotec)で10分間処理し、FITC(fluorescein isothiocyanate)又はPE(phycoerythrin)で付加された樹状細胞の指標となる抗体CD11c, CD80, CD86 and HLA-ABC (BD Pharmingen), CD14, CD40, CD83 and HLA-DR (eBioscience), CD197 (R&D Systems)で染色を行った。NK細胞の表現系の指標にはAPC-conjugated CD56 (BD Pharmingen)を用いた。FACS解析の直前に、2μg/ml のPropidium Iodide, PI (Sigma-Aldrich)を用いて死細胞を染色し、FACS CantoII (BD Bioscience)を用いて解析を行った。
【0057】
結果を図6に示す。図6AはIL-4-OK DCの結果であり、左からDay1、Day7及びDay8の結果である。図6BはIFN-OK DCの結果であり、左からDay1、Day4及びDay5の結果である。アジュバント(免疫賦活剤)OK432添加後の、IL-4-OK DCのDay8、IFN-OK DCのDay5において、顕著にクラスター形成(細胞の凝集)が認められた。図6Aの黒い矢印は細胞の接着を示し、スクレーパーで回収時に物理的にダメージを与える事で、生細胞率、収率低下の原因になると考えられた。一方、非接着培養法のIFN-OK DCは、培養期間を通じて、非接着性のディッシュのHydroCell dishに接着は見られなかった。回収したDCを用いたFACS分析により、細胞表面マーカーの発現を調べたところ、樹状細胞のマーカーとされるCD86, HLA-DRは発現を示し、CD14、CD56、CD83及びCD197の発現に違いが見られた。キラー細胞として知られるNK細胞マーカーのCD56発現は、IFN-OK DCに認められた。黒のスケールバーは50μmを示す。
【0058】
3.作製した樹状細胞の生細胞率と収率
トリパンブルー染色を用いて作製したDCの生細胞率を調べた結果を図7に示す。IFN-OK DCはIL-4-OK DCに比べて、有意に高い事が明らかとなった(図7A)。また、播種単球数に対して、培養して得られた生細胞DCの割合から、収率(生細胞DC/播種単球)を計算したところ、IL-4-OK DCに比べて、IFN-OK DCは有意な上昇を示した(図7B)。本実施例では、がん患者の単球からDCを作成して解析を行った(n = 6)。有意差検定にWilcoxon signed rank testを用いた。* は P < 0.05を示す。
【0059】
4.抗原貪食能と抗原分解能の評価
抗原貪食能を調べるために、FCS:Fetal calf serum (Thermo Scientific)10%含有のAIM-V mediumを用いて、FITCで標識されたdextran (M.W. = 40,000, Molecular Probes)を250μg/mlに調製し、作製した細胞1×106 細胞/mlを混合して、37℃で3時間反応を行った。AIM-V培地で2回洗浄を行った後、FACS CantoIIを用いて測定を行った。抗原分解能を明らかにするために、FCS 10%含有のAIM-V培地にDQ オバルブミン(Molecular Probes)を10μg/mlの濃度で添加し、37℃で30分間の反応を行って、AIM-V培地で2回洗浄を行って、FACS CantoIIを用いて測定を行った。抗原貪食能、抗原分解能のそれぞれの試験において、4℃で反応させた細胞を陰性コントロールに使用し、37℃で得られたmean fluorescent intensity(平均蛍光強度) (MFI)から差し引いた値(ΔMFI)を、抗原貪食能、抗原分解能として評価した。
【0060】
図8に、がん患者の単球から作製したDCを用いて、FITC-デキストラン(FITC-dextran)の取り込みとDQオバルブミン(DQ-OVA)の分解能を調べて、ΔMFIのドットプロットで抗原貪食能(図8A)と抗原分解能(図8B)を示した (n = 6)。OK432刺激後、IFN DC, IL-4 DCの抗原貪食能及び抗原分解能は低下し、成熟型DCに亢進した。IFN-OK DCとIL-4-OK DCに有意な差は認めなかった(NS = not significant)。Wilcoxon signed rank testを用いて有意差の検定を行った。
【0061】
5.In vitro CTL誘導
HLA-A*02:01のがん患者(patient#29)から作製したDCと、末梢血リンパ球(Peripheral Blood Lymphocytes: PBL)を用いて、in vitro CTL誘導を行った。AIM培地を用いて合成ペプチドMART-1, 26-35 A27L (ELAGIGILTV)を20μg/mlに調製し、DCと混合して37℃で1時間パルスし、マイトマイシンC (MMC, 25μg/ml; Kyowa Hakko Kogyo)で1時間処理し、AIM培地で2回洗浄を行ってDCを調製した。IL-2 (Imunace, 2.5 U/ml; Shionogi)、IL-7 (5 ng/ml; R&D Systems)、IL-15 (10 ng/ml; PeproTech)を添加したAIM培地を用いて、1×106 のDCとPBLを1:10で混合し、12ウェルプレートで3〜5日間の培養を行った。細胞の増殖に応じて、FCS 10%含有AIM-V培地を補充し、さらに2〜3日の培養を行って細胞を回収した。回収した細胞を CD8-FITC (Beckman Coulter), CD3-APC (eBioscience), T-select HLA-A*02:01 MART-1 tetramer-ELAGIGILTV-PE (MBL)で染色し、MART-1特異的なCTLの検出を行った。
【0062】
HLA-A*02:01がん患者の単球を用いてDCを作製し、MART-1抗原をパルスして、PBL:DC = 10:1の割合で混合し、1週間の培養の後、MART tetramerを用いて細胞傷害性T細胞 (cytotoxic T lymphocyte: CTL)の検出を行った結果を図9に示す。CD8とMART tetramerで展開したパネル内の数値は、それぞれのDCによって誘導されたCD3+及びCD8+細胞中のMART tetramer+の割合を示す。Beforeのパネルでは、誘導開始前のPBL中のMART特異的CTLの割合を示す。IFN DC又はIL-4 DCにOK432刺激を加える事で、CTL誘導能は上昇し、それらに大きな差は認められなかった(n = 3の代表データ、n数を増やして、有意差を検討中)。この結果より、OK432刺激は抗原提示能を上昇し、IFN-OK DCとIL-4-OK DCは同様の抗原提示能を示す事が分かった。
【0063】
6.サイトカイン産生の測定
AIM-V培地で作成したDCを2×105細胞/ml に調製し、24ウェルプレートに播種し、24時間後の培養上清を回収してサイトカインの測定を行った。インターロイキン-12 (IL-12 p70)及びインターフェロン-γ(IFN-γ) (R&D Systems)と腫瘍壊死因子-α(TNF-α), インターロイキン-6 (IL-6)及びインターロイキン-10, IL-10 (BD Bioscience)のELISA kitを用いて、プロトコール通りに反応を行って、分光光度計MULTISKAN FC (Thermo Scientific)を用いて測定を行った。
【0064】
結果を図10に示す。図10A、B、C、D及びEは、それぞれ、IL-12、IFN-γ、TNF-α、IL-10及びIL-6の産生能を示す。図10に示すように、OK432添加後、サイトカン産生能は上昇の傾向を示し、IFN-OK DCとIL-4-OK DCのサイトカン産生に有意な差は認めなかった。Wilcoxon signed rank testを用いて有意差の検定を行った。
【0065】
7.作製した樹状細胞の細胞傷害性
細胞傷害性試験は、1.に記載の方法で行った。
(1)がん細胞を攻撃する細胞傷害性
がん患者から作製したDCを用いて、慢性骨髄性白血病株K562を標的として、E:T = 50:1で18時間の反応を行って、細胞傷害性を調べた。結果を図11に示す。既存の報告の通り、IFN DCは細胞傷害性を示し、実験系が上手く働く事を確認した。興味深い事に、OK432刺激をIFN DCに加える事で(IFN-OK DC)、細胞傷害性が有意に上昇し、IL-4-OK DCに比べて、有意に優れた細胞傷害性を示す事が明らかとなった。Bonfferoniの調整を加えたWilcoxon signed rank testを用いて有意差の検定を行った(n = 8、NS = not significant, *はp < 0.05を示す)。
【0066】
(2)CD56発現と細胞傷害性の相関
作製したDCを用いてCD56発現をFACSを用いて調べた。K562を標的として、IFN DC, IFN-OK DCをeffectorとし、E:1 = 50:1の割合で18時間反応をさせて測定を行った。Wilcoxon signed rank testを用いて、IFN DC, IFN-OK DCの有意差を検定した(NS = not significant, n = 6)。細胞傷害性とCD56発現(ΔMFI)の相関をスピアマンの順位相関係数で示し、有意差検定を行った。結果を図12に示す。図12Aは各方法で作製した樹状細胞のCD56発現(ΔMFI)を示し、図12BはIFN DCにおけるCD56発現と細胞傷害性の相関を示し、図12CはIFN-OK DCにおけるCD56発現と細胞傷害性の相関を示す。IFN DCは、R = 0.637, p = 0.173, n = 6であり、IFN-OK DCは、R = 0.714, p = 0.136, n = 6であった。IFN-OK DCの細胞傷害性はCD56の発現と高い相関を示す事が明らかとなった。
【0067】
(3)IFN-OK DCによる細胞傷害の機構
FCSを10%含有したAIM培地にIFN DC, IFN-OK DCを懸濁し、各抗体を添加して1時間後に、TRAIL感受性のK562細胞、FasL(Fasリガンド)感受性のMIA PaCa2をそれぞれ E:T= 50:1で混合し、18時間後に細胞傷害性をFACSを用いて測定した。結果を図13に示す。図13Aは、K562細胞の結果を示し、図13BはMIA PaCa2の結果を示す。抗TRAIL抗体、抗FasL抗体で処理する事で、それぞれK562, MIA PaCa2に対する細胞傷害性は有意に抑制される事が明らかとなった(n = 7、Wilcoxon signed rank testを用いて、有意差の検定を行った。* は p < 0.05を示す)。この結果より、IFN-OK DCによる細胞傷害の機構に、TRAIL、FasLの関与が明らかとなった。
【0068】
IFN DCはTRAILによって、K562を細胞傷害すると報告されていたが、本実施例では認められなかった。OK432刺激を加えたIFN-OK DCにおいて、TRAIL, FasLの働く事は報告が初めてである。
【0069】
本実施例において、統計解析は統計ソフトRを用いて、Wilcoxon signed rank test, Tukey-Kramer testにより有意差の検定を実施し、Spearman's rank-order correlationにより相関係数と有意差の検定を行った。
【0070】
実施例2 IFN及びOK432を用いた樹状細胞の調製(その2)
1.樹状細胞の作製 PBMCsからソーティングしたCD14陽性細胞をGM-CSF (1,000U/ml; Miltenyi Biotec)及びPEG化インターフェロン α-2b製剤のPEGINTRON(登録商標)(1μg/ml; MSD)を含む培地に2〜4×106 細胞/mlで懸濁し、非接着の培養皿を使用し3日間の培養を行って、IFN-DCを作製した(図15−1A)。さらに、GM-CSF (1,000U/ml; Miltenyi Biotec)及びPEG化インターフェロン α-2b製剤のPEGINTRON(登録商標)(1μg/ml; MSD)に加え、10μg/mlのOK432(streptococcal preparation, Chugai Pharmaceutical Co, Ltd, Tokyo, Japan), 50 ng/mlのPGE2 (Daiichi Fine Chemical Co, Ltd, Toyama, Japan)を含むを含む成熟培地で1日の培養後にmIFN-DCを回収した(図15−1B)。一方、PBMCsを接着性の培養皿に播種し、非接着細胞を除去した後に、GM-CSF(50 ng/ml; Gentaur)及びIL-4(50 ng/ml; R&D Systems)を添加した培地で5日間の培養を行ってimDCを調製し(図15−1C)、さらに18-24時間のOk432(10μg/ml)及びPGE2(50 ng/ml)を加えた培地による成熟化を加えて、mIL-4-DCを回収した(図15−1D)。それぞれのDCにおいて、回収時に位相差顕微鏡で観察を行った。結果を図15−2A〜Dに示す。黒のスケールバーは50 mmを表す。図15−2A〜Dに示されるように、培養皿に散在しているIFN-DC(図15−2A)は、OK432の刺激により(mIFN-DC, 図15−2B)、細胞集団の凝集(クラスター)が認められ、典型的な成熟型DCの表現系を示した。mIFN-DC(図15−2A)とmIL-4-DC(図15−2D)のクラスター形成は同様の傾向であり、成熟型DCの表現系が確認された。
【0071】
2.OK432刺激によるIFN-DCの細胞傷害性の向上
培養開始からDay 4の図1のIFN-DC(PEGINTRON添加)の培養液に、サイトカインカクテルにOK432添加の有無(?/+)の培地をそれぞれ補充して、Day5に細胞を回収し、細胞傷害活性の測定を行った。結果を図16に示す。図16に示すようにOK432添加有で細胞傷害性(%)が著しく向上した。
【0072】
3.OK432による細胞傷害の誘導
DCをエフェクター細胞(E)に用いて、CFSEで染色したK562細胞を標的(T)として、E : T = 50 : 1で混合して18時間後にPI染色を行って、DCによる細胞傷害を検証した(N = 11の代表的なデータ)。結果を図17及び図18に示す。図17のDCの表記は図15−1の表記に対応している。パネル内の数値は細胞傷害されたK562細胞の割合を示し、CFSEで染色したK562細胞中のPI陽性細胞の割合で算出した。図17に示すように、PEGINTRON及びOK-432を用いて作製したmIFN-DCの細胞傷害性が最も大きかった。図18は、K562に対する細胞傷害を、ボックスプロットに表示した(N = 11)。*p<0.05, **p<0.01, NS = not significant
【0073】
4.mIFN-DCの細胞傷害性の検討
(1)mIFN-DCの細胞傷害性とCD56の相関
作製したDCのCD56発現をFACSにて測定した。
【0074】
DCのCD56の蛍光平均強度(MFI)をドットプロットで表示し、OK432成熟による比較を行った。結果を図19に示す(*, p<0.05)。図19のDCの表記は図15−1の表記に対応している。図20に、mIFN-DCにおけるCD56のMFIと細胞傷害性の相関を表示した (N=12)。図19及び図20に示すようにPEGINTRON及びOK-432を用いて作製したmIFN-DCの細胞傷害性はCD56の発現量と相関していた。
【0075】
(2)OK432による細胞傷害の誘導への細胞接触の関与
CFSEで標識したK562細胞に対して、PKH26で染色したIFN-DC又はmIFN-DCを1:1で混合して18時間反応を行った後、DAPI(青色)で5分反応後、蛍光顕微鏡下で観察を行った。図21に顕微鏡像を示す。白の矢印は、DAPI陽性の死細胞を示し、白のスケールバーは50 μmを表す。図21に示すように、IFN-DCとK562細胞によるクラスター形成は小さく(図21上)、細胞は散在し、死細胞の数は僅かであった。一方で、mIFN-DCとK562のクラスターは大きく顕著であり(図21下)、クラスター内部のK562細胞に多数の死細胞が観察された。この結果より、細胞傷害の誘導には、クラスター形成、すなわち細胞同士の接触が重要である可能性が示唆された。
【0076】
次いで、K562またはMIA PaCa-2を標的として、トランスウェルメンブレン0.4mmの有無で、IFN-DC又はmIFN-DCによる細胞傷害性を調べた(N=6)。結果を図22に示す。図22に示すように、K562細胞株を標的とした場合(図22A)、IFN-DCによる細胞傷害は、細胞接触を阻害するトランスウェルのメンブレン(Insert)の有無で差は認められなかった。一方で、mIFN-DCによる細胞傷害は、細胞接触の阻害(Insert+)で有意に減少することが明らかとなった。つまり、OK432刺激で上昇したmIFN-DCによる細胞傷害には、細胞接触が重要であることが示唆された。この現象は、K562細胞株に限定的ではなく、MIA PaCa-2でも同様に認められることから(図22B)、普遍的な細胞傷害の機構と考えられた。
【0077】
5.OK432によるTRAILとFas ligandを介した細胞傷害の誘導
次いで、DC細胞表面のTRAIL(N=9)及びFas ligand(N=8)のΔMFI(それぞれの特異的抗体からアイソタプコントロールを引いたMFI)の比較を行った。結果を図24に示す。図24に示すように、MFIから詳細に発現変動を評価し、統計的に有意差を検討した結果、mIFN-DC及びmIL-4-DCにおいて、OK432刺激はTRAIL及びFasリガンド発現を有意に上昇することが明らかとなった。また、mIL-4-DCに比べて、mIFN-DCにおけるTRAIL発現は有意に高く、IFN-DCにおける高いTRAIL発現が寄与していると考えられた。mIFN-DCにおけるTRAILの阻害は細胞傷害を抑制し、高いTRAIL発現は細胞傷害に機能的であることが示唆された。
【0078】
6.OK432による成熟DCの表現系の比較
がん患者由来のPBMCsから(N=8)、それぞれのDCsを作製し、典型的なDCマーカーをフローサイトメトリーで分析し、MFI(平均蛍光強度)を測定した。図25−1〜図25−3にMFIをドットプロットで示す。図25−1に、CD11c(図25−1A)、CD80(図25−1B)及びCCR7(図25−1C)を示し、図25−2に、CD14(図25−2A)、CD83(図25−2B)及びHLA-ABC(図25−2C)を示し、図25−3に、CD40(図25−3A)、CD86(図25−3B)及びHLA-DR(図25−3C)を示す。
【0079】
7.OK432刺激により作製した成熟DCの機能
ヒト悪性黒色腫細胞に特異的ながん抗原であるMart抗原をパルスしたDCを用いて、PBLと混合して一週間の培養後、CD3陽性リンパ球をゲーティングし、CD8-FITCとMART-1 tetramer-PEで展開し、Mart-1特異的なCTL誘導を調べた。パネル内の数値は、CD3及びCD8陽性細胞中のMART特異的なCTLの割合を示す。結果を図26−1及び図26−2(ドットプロット)に結果を示す。図26−1及び図26−2に示すようにmIFN-DCとmIL-4-DCとは抗原提示能において差はなかった。
【0080】
FITC-dextranの取り込みから抗原貪食能を調べて、DQ-Ovalbuminの蛍光強度から、抗原分解能を確認した。37℃の反応条件から4℃で反応を行った陰性コントロールの値を差し引いたΔMFIをドットプロットで表示した(n = 6)。結果を図27に示す。図27に示すように、IFN-DCとimDCに比べて、OK432刺激を与えたmIFN-DCとmIL-4-DCは、FITC-dextranの取り込みが顕著に減少し、同様の活性を示した(図27A)。つまり、mIFN-DCとmIL4-DCの抗原貪食能は同様であった。DQ-ovalbumin分解による蛍光強度を測定した結果、OK432刺激で顕著な減少を示し、mIFN-DCとmIL-4-DCで同様の抗原分解能が認められた(図27B)。これらの結果より、mIFN-DCとmIL-4-DCは同様の成熟型DCの抗原貪食能と抗原提示能を示すことが明らかになった。
【0081】
DC 2×105 cells/ml を24ウェルプレートに播種し、AIM培地を用いて24時間の培養後の上清を用いて、ELISAによりサイトカイン(IL-12、IFN-γ、TNF-α、IL-10及びIL-6)産生を測定した (N=8)。結果を図28に示す。図28に示すように、mIFN-DCにおいて、OK432刺激で上昇したCTL誘導を亢進するサイトカインIL-12(p70)及びIFN-γはmIL-4-DCと同様に認められた。可溶性の腫瘍壊死因子であるTNF-αに変動は認めなかった。CTL誘導を抑制するIL-10産生レベルは、mIFN-DCとmIL-4-DCで同様であった。また、CTL誘導能を低下させる制御性T細胞に対して抑制的に働くIL-6産生は、mIL-4-DCと比較し、mIFN-DCで有意に高い産生が認められた。これらの結果より、IL-6産生を除いて、mIFN-DCはmIL-4DCと同様の成熟型DCのサイトカイン産生能を有することが明らかとなった。
【0082】
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願はそのまま引用により本明細書に組み入れられるものとする。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明の方法で調製された樹状細胞は樹状細胞療法に用いることができる。
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