特許第6334864号(P6334864)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三星ディスプレイ株式會社の特許一覧

<>
  • 特許6334864-有機発光装置およびその製造方法 図000002
  • 特許6334864-有機発光装置およびその製造方法 図000003
  • 特許6334864-有機発光装置およびその製造方法 図000004
  • 特許6334864-有機発光装置およびその製造方法 図000005
  • 特許6334864-有機発光装置およびその製造方法 図000006
  • 特許6334864-有機発光装置およびその製造方法 図000007
  • 特許6334864-有機発光装置およびその製造方法 図000008
  • 特許6334864-有機発光装置およびその製造方法 図000009
  • 特許6334864-有機発光装置およびその製造方法 図000010
  • 特許6334864-有機発光装置およびその製造方法 図000011
  • 特許6334864-有機発光装置およびその製造方法 図000012
  • 特許6334864-有機発光装置およびその製造方法 図000013
  • 特許6334864-有機発光装置およびその製造方法 図000014
  • 特許6334864-有機発光装置およびその製造方法 図000015
  • 特許6334864-有機発光装置およびその製造方法 図000016
  • 特許6334864-有機発光装置およびその製造方法 図000017
  • 特許6334864-有機発光装置およびその製造方法 図000018
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6334864
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】有機発光装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/02 20060101AFI20180521BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20180521BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20180521BHJP
   H05B 33/04 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   H05B33/02
   H05B33/14 A
   H05B33/10
   H05B33/04
【請求項の数】17
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-162533(P2013-162533)
(22)【出願日】2013年8月5日
(65)【公開番号】特開2014-49441(P2014-49441A)
(43)【公開日】2014年3月17日
【審査請求日】2016年8月3日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0096474
(32)【優先日】2012年8月31日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2013-0052589
(32)【優先日】2013年5月9日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 宣行
(74)【代理人】
【識別番号】100159042
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 徹二
(72)【発明者】
【氏名】文 孝 英
(72)【発明者】
【氏名】金 英 求
(72)【発明者】
【氏名】金 榮 志
(72)【発明者】
【氏名】趙 顯 俊
【審査官】 濱野 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−004907(JP,A)
【文献】 特開2007−123859(JP,A)
【文献】 特開2004−338379(JP,A)
【文献】 特開2011−123150(JP,A)
【文献】 特開2011−003522(JP,A)
【文献】 特開2004−207234(JP,A)
【文献】 特開2005−340058(JP,A)
【文献】 特開2001−313164(JP,A)
【文献】 特開2005−158698(JP,A)
【文献】 特開2010−282966(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/014307(WO,A1)
【文献】 特開平09−249866(JP,A)
【文献】 特開平08−137392(JP,A)
【文献】 特開2006−171454(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0077691(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0258441(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0122042(US,A1)
【文献】 特開2010−182668(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/02
H01L 51/50
H05B 33/04
H05B 33/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性基板と、
前記可撓性基板上の有機発光素子と、
前記有機発光素子を覆う薄膜封止層と、
前記可撓性基板の下に付着される下部保護フィルムと、を含み、
前記下部保護フィルムは、静電気を除去する第1除電層と、キャリアフィルムと、前記キャリアフィルム上の粘着剤層と、前記キャリアフィルムと前記粘着剤層との間に配置される遮光層及び放熱板の一方又は双方とを含むことを特徴とする有機発光装置。
【請求項2】
前記有機発光素子は、
前記可撓性基板上に形成されており、スキャン信号を伝達するゲート線と、
前記ゲート線と絶縁されて交差しており、データ信号および駆動電圧をそれぞれ伝達するデータ線および駆動電圧線と、
前記ゲート線およびデータ線に連結されているスイッチング薄膜トランジスタと、
前記スイッチング薄膜トランジスタおよび前記駆動電圧線に連結されている駆動薄膜トランジスタと、
前記駆動薄膜トランジスタに連結されている画素電極と、
前記画素電極上に形成されている有機発光部材と、
前記有機発光部材上に形成されている共通電極とを含むことを特徴とする請求項1記載の有機発光装置。
【請求項3】
前記第1除電層は、前記可撓性基板と前記粘着剤層との間に位置し、前記可撓性基板に接触していることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機発光装置。
【請求項4】
前記キャリアフィルムと前記粘着剤層は、前記可撓性基板と前記第1除電層との間に位置することを特徴とする請求項1又は2に記載の有機発光装置。
【請求項5】
前記キャリアフィルムの下に第2除電層をさらに含み、
前記第1除電層は、前記可撓性基板と前記粘着剤層との間に位置することを特徴とする請求項1記載の有機発光装置。
【請求項6】
前記キャリアフィルムは、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)、ポリエチレンナフタレート(polyethylene naphthalate、PEN)、ポリエチレンスルフィド(polyethylene sulfide、PES)、ポリエチレン(polyethylene、PE)の中から選択されたいずれか1つの物質を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の有機発光装置。
【請求項7】
前記キャリアフィルムの厚さは、25μm〜300μmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載の有機発光装置。
【請求項8】
前記粘着剤層は、アクリル(Acryl)系の強粘着フィルムであることを特徴とする請求項1記載の有機発光装置。
【請求項9】
前記粘着剤層の粘着力は、被着剤がステンレス鋼(steel use stainless、SUS)の場合、500gf/inch以上であることを特徴とする請求項記載の有機発光装置。
【請求項10】
支持部材上に、可撓性基板と、前記可撓性基板上に形成されている複数の有機発光素子と、前記有機発光素子を覆っている薄膜封止層と、を含む有機発光表示パネルを形成するステップと、
前記有機発光表示パネルから前記支持部材を分離するステップと、
前記有機発光表示パネルの前記可撓性基板の下に下部保護フィルムを付着するステップと、
前記有機発光表示パネルをカッティングして複数の有機発光装置に分離するステップとを含み、
前記下部保護フィルムは、静電気を除去する第1除電層と、キャリアフィルムと、前記キャリアフィルム上の粘着剤層と、前記キャリアフィルムと前記粘着剤層との間に配置される遮光層及び放熱板の一方又は双方とを含むことを特徴とする有機発光装置の製造方法。
【請求項11】
前記下部保護フィルムは、前記粘着剤層上に前記第1除電層が設けられ、
前記下部保護フィルムを付着するステップは、
前記第1除電層上に離型フィルムが付着された状態で前記下部保護フィルムを提供するステップと、
前記下部保護フィルムから前記離型フィルムを除去するステップと、を含むことを特徴とする請求項10記載の有機発光装置の製造方法。
【請求項12】
前記下部保護フィルムは、前記可撓性基板と前記第1除電層との間に、前記キャリアフィルムと前記粘着剤層とが設けられ、
前記下部保護フィルムを付着するステップは、
前記粘着剤層上に離型フィルムが付着された状態で前記下部保護フィルムを提供するステップと、
前記下部保護フィルムから前記離型フィルムを除去するステップと、を含むことを特徴とする請求項10記載の有機発光装置の製造方法。
【請求項13】
前記下部保護フィルムは、前記キャリアフィルムの下に第2除電層をさらに含み、前記可撓性基板と前記粘着剤層との間に、前記第1除電層が設けられ、
前記下部保護フィルムを付着するステップは、
前記第1除電層上に離型フィルムが付着された状態で前記下部保護フィルムを提供するステップと、
前記下部保護フィルムから前記離型フィルムを除去するステップとを含むことを特徴とする請求項10記載の有機発光装置の製造方法。
【請求項14】
前記粘着剤層は、アクリル(Acryl)系の強粘着フィルムであることを特徴とする請求項10〜13のいずれか一項記載の有機発光装置の製造方法。
【請求項15】
前記粘着剤層の粘着力は、被着剤がステンレス鋼(steel use stainless、SUS)の場合、500gf/inch以上であることを特徴とする請求項14記載の有機発光装置の製造方法。
【請求項16】
前記有機発光表示パネルから前記支持部材を取り外す前に、前記有機発光表示パネルの薄膜封止層上に上部保護フィルムを付着するステップをさらに含むことを特徴とする請求項10〜15のいずれか一項記載の有機発光装置の製造方法。
【請求項17】
前記有機発光表示パネルをカッティングして複数の有機発光装置に分離した後、前記上部保護フィルムを除去するステップをさらに含むことを特徴とする請求項16記載の有機発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光装置およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機発光装置は、正孔注入電極と、有機発光層と、電子注入電極とから構成される有機発光素子を含む。それぞれの有機発光素子は、有機発光層の内部で電子と正孔が結合して生成された励起子(exciton)が励起状態から基底状態に落ちる時に発生するエネルギーによって発光する。このような有機発光装置は、照明装置として用いられたり、所定の映像を表示する表示装置として用いられる。
【0003】
有機発光素子は、外部の水分と酸素または紫外線などの外的要因によって劣化し得るため、有機発光素子を密封させるパッケージング(packaging)技術が重要であり、多様なアプリケーションに適用するために、有機発光装置は薄く製造されたり、容易に曲げられるように製造されることが要求される。
【0004】
可撓性フイルムを基板として用いる場合、製造工程中の支持および平坦化のために、支持部材上に基板を搭載して有機発光装置の製造工程を進行する。しかし、支持部材から基板を取り外す場合、薄い厚さの可撓性基板が損傷することがある。
【0005】
また、可撓性基板を用いた有機発光装置は、作動する間、リジッド基板を用いた有機発光装置で予想できなかった電気的不良を発生することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、基板の物理的損傷および静電気を除去し、駆動不良を防止することができる有機発光装置およびその製造方法を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態にかかる有機発光装置は、基板と、前記基板上に形成されている有機発光素子と、前記有機発光素子を覆っている薄膜封止層と、前記基板の下に付着されている下部保護フィルムとを含み、前記下部保護フィルムは、静電気を除去する第1除電層を含むことができる。
【0008】
前記有機発光素子は、前記基板上に形成されており、スキャン信号を伝達するゲート線と、前記ゲート線と絶縁されて交差しており、データ信号および駆動電圧をそれぞれ伝達するデータ線および駆動電圧線と、前記ゲート線およびデータ線に連結されているスイッチング薄膜トランジスタと、前記スイッチング薄膜トランジスタおよび前記駆動電圧線に連結されている駆動薄膜トランジスタと、前記駆動薄膜トランジスタに連結されている画素電極と、前記画素電極上に形成されている有機発光部材と、前記有機発光部材上に形成されている共通電極とを含むことができる。
【0009】
前記基板は、可撓性基板であり得る。前記下部保護フィルムは、キャリアフィルムと、前記キャリアフィルム上に形成された粘着剤層とを含み、前記第1除電層は、前記基板と前記粘着剤層との間に位置し、前記基板に接触していてよい。
【0010】
前記下部保護フィルムは、キャリアフィルムと、前記キャリアフィルム上に形成され、前記基板と接する粘着剤層とを含み、前記キャリアフィルムと前記粘着剤層は、前記基板と前記第1除電層との間に位置することができる。
【0011】
前記下部保護フィルムは、第2除電層と、前記第2除電層上のキャリアフィルムと、前記キャリアフィルム上に形成された粘着剤層とを含み、前記第1除電層は、前記基板と前記粘着剤層との間に位置することができる。
【0012】
前記キャリアフィルムは、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)、ポリエチレンナフタレート(polyethylene naphthalate、PEN)、ポリエチレンスルフィド(polyethylene sulfide、PES)、ポリエチレン(polyethylene、PE)の中から選択されたいずれか1つの物質を含むことができる。前記キャリアフィルムの厚さは、25μm〜300μmであり得る。
【0013】
前記粘着剤層は、アクリル(Acryl)系の強粘着フィルムであり得る。前記粘着剤層の粘着力は、被着剤がステンレス鋼(steel use stainless、SUS)の場合、500gf/inch以上であり得る。
【0014】
前記キャリアフィルムと前記粘着剤層との間に遮光層および放熱板のうちの少なくともいずれか1つをさらに含むことができる。
【0015】
また、本発明の一実施形態にかかる有機発光装置の製造方法は、支持部材上に、基板と、前記基板上に形成されている複数の有機発光素子と、前記有機発光素子を覆っている薄膜封止層とを含む有機発光表示パネルを形成するステップと、前記有機発光表示パネルから前記支持部材を分離するステップと、前記有機発光表示パネルの下に下部保護フィルムを付着するステップと、前記有機発光表示パネルをカッティングして複数の有機発光装置に分離するステップとを含み、前記下部保護フィルムは、静電気を除去する第1除電層を含むことができる。前記基板は、可撓性基板であり得る。
【0016】
前記下部保護フィルムは、キャリアフィルムと、前記キャリアフィルム上に形成されている粘着剤層と、前記粘着剤層上に形成されている前記第1除電層とを含み、前記下部保護フィルムを付着するステップは、前記第1除電層上に離型フィルムが付着された状態で前記下部保護フィルムを提供するステップと、前記下部保護フイルムから前記離型フィルムを除去するステップとを含むことができる。
【0017】
前記下部保護フィルムは、前記第1除電層と、前記第1除電層上のキャリアフィルムと、前記キャリアフィルム上に形成されている粘着剤層とを含み、前記下部保護フィルムを付着するステップは、前記粘着剤層上に離型フィルムが付着された状態で前記下部保護フィルムを提供するステップと、前記下部保護フイルムから前記離型フィルムを除去するステップとを含むことができる。
【0018】
前記下部保護フィルムは、第2除電層と、前記第2除電層上のキャリアフィルムと、前記キャリアフィルム上に形成されている粘着剤層と、前記粘着剤層上に形成されている前記第1除電層とを含み、前記下部保護フィルムを付着するステップは、前記第1除電層上に離型フィルムが付着された状態で前記下部保護フィルムを提供するステップと、前記下部保護フイルムから前記離型フィルムを除去するステップとを含むことができる。
【0019】
前記粘着剤層は、アクリル(Acryl)系の強粘着フィルムであり得る。前記粘着剤層の粘着力は、被着剤がステンレス鋼(steel use stainless、SUS)の場合、500gf/inch以上であり得る。
【0020】
前記キャリアフィルムと前記粘着剤層との間に遮光層または放熱板を形成するステップをさらに含むことができる。
【0021】
前記有機発光表示パネルから前記支持部材を取り外す前に、前記有機発光表示パネルの薄膜封止層上に上部保護フィルムを付着するステップをさらに含むことができる。
【0022】
前記有機発光表示パネルをカッティングして複数の有機発光装置に分離した後、前記上部保護フィルムを除去するステップをさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一実施形態にかかる有機発光装置は、基板の下に下部保護フィルムを付着することにより、基板の物理的損傷を防止することができる。
【0024】
また、下部保護フィルムに静電気を除去する第1除電層を形成することにより、基板から支持部材を取り外す場合に発生する静電気による有機発光装置の薄膜トランジスタの特性の変化による駆動不良を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第1実施形態にかかる有機発光装置の断面図である。
図2】本発明の第1実施形態にかかる有機発光装置の一画素の等価回路図である。
図3】本発明の第1実施形態にかかる下部保護フィルムを含む有機発光装置の駆動電圧に応じた輝度の相関関係を示すグラフである。
図4】本発明の第1実施形態にかかる有機発光装置の製造方法を順に示す図である。
図5】本発明の第1実施形態にかかる有機発光装置の製造方法を順に示す図である。
図6】本発明の第1実施形態にかかる有機発光装置の製造方法を順に示す図である。
図7】本発明の第1実施形態にかかる有機発光装置の製造方法を順に示す図である。
図8】本発明の第1実施形態にかかる有機発光装置の製造方法を順に示す図である。
図9】本発明の第1実施形態にかかる有機発光装置の製造方法を順に示す図である。
図10】本発明の第2実施形態にかかる有機発光装置に付着される下部保護フィルムの断面図である。
図11】本発明の第2実施形態にかかる有機発光装置の断面図である。
図12】本発明の第3実施形態にかかる有機発光装置に付着される下部保護フィルムの断面図である。
図13】本発明の第3実施形態にかかる有機発光装置の断面図である。
図14】本発明の第4実施形態にかかる有機発光装置に付着される下部保護フィルムの断面図である。
図15】本発明の第4実施形態にかかる有機発光装置の断面図である。
図16】本発明の第5実施形態にかかる有機発光装置の断面図である。
図17】本発明の第6実施形態にかかる有機発光装置の一画素の等価回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付した図面を参考にして、本発明の実施形態について、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は、種々の異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0027】
本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付す。
【0028】
また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは説明の便宜のために任意に示したので、本発明は必ずしも図示したものに限定されない。
【0029】
図面において、様々な層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして、図面において、説明の便宜のために、一部の層および領域の厚さを誇張して示した。層、膜、領域、板などの部分が他の部分「の上に」または「上に」あるとする時、これは、他の部分の「直上」にある場合だけでなく、その中間にさらに他の部分がある場合も含む。
【0030】
また、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対となる記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。さらに、明細書全体において、「〜上に」とは、対象部分の上または下に位置することを意味するもので、必ずしも重力方向を基準として上側に位置することを意味するものではない。
【0031】
以下、本発明の第1実施形態にかかる有機発光装置について、図1ないし図3を参照して詳細に説明する。
【0032】
図1は、本発明の第1実施形態にかかる有機発光装置の断面図であり、図2は、本発明の第1実施形態にかかる有機発光装置の一画素の等価回路図であり、図3は、本発明の第1実施形態にかかる表示装置用下部保護フィルムを含む有機発光装置の駆動電圧に応じた輝度(Luminance)の相関関係を示すグラフである。
【0033】
図1および図2に示すように、本発明の第1実施形態にかかる有機発光装置1000は、画像を表示する有機発光表示パネル100と、有機発光表示パネル100の下に付着されている下部保護フィルム10とを含む。
【0034】
有機発光表示パネル100は、基板20と、基板20上に形成されている有機発光素子30と、有機発光素子30を覆っている薄膜封止層40とを含む。そして、薄膜封止層40上に上部保護フィルム50が付着されている。
【0035】
基板20は、透明な基板で、高分子フィルムのような可撓性(flexible)基板であり得る。
【0036】
図2に示すように、有機発光素子30は、複数の信号線121、171、172と、これらに連結されている画素(pixel)PXとを含む。画素PXは、赤色画素R、緑色画素Gおよび青色画素Bのうちのいずれか1つであり得る。信号線は、ゲート信号(または走査信号)を伝達する走査信号線(scanning signal line)121と、データ信号を伝達するデータ線(data line)171と、駆動電圧を伝達する駆動電圧線(driving voltage line)172などとを含む。走査信号線121は、略行方向に伸びており、互いに略平行であり、データ線171は、略列方向に伸びており、互いに略平行する。駆動電圧線172は、略列方向に伸びているものとして示されているが、行方向または列方向に伸びたり網状に形成可能である。
【0037】
1つの画素PXは、スイッチングトランジスタ(switching transistor)Qsおよび駆動トランジスタ(driving transistor)Qdを含む薄膜トランジスタと、ストレージキャパシタ(storage capacitor)Cstと、有機発光素子(organic light emitting element)LDとを含む。図面に示していないが、1つの画素PXは、有機発光素子に提供される電流を補償するために、付加的に薄膜トランジスタおよびキャパシタをさらに含むことができる。
【0038】
スイッチングトランジスタQsは、制御端子(control terminal)N1と、入力端子(input terminal)N2と、出力端子(output terminal)N3とを有するが、制御端子N1は走査信号線121に連結されており、入力端子N2はデータ線171に連結されており、出力端子N3は駆動トランジスタQdに連結されている。スイッチングトランジスタQsは、走査信号線121から受けた走査信号に応答して、データ線171から受けたデータ信号を駆動トランジスタQdに伝達する。
【0039】
駆動トランジスタQdも、制御端子N3(スイッチングトランジスタQsの出力端子N3でもある)と、入力端子N4と、出力端子N5とを有するが、制御端子N3はスイッチングトランジスタQsに連結されており、入力端子N4は駆動電圧線172に連結されており、出力端子N5は有機発光素子LDに連結されている。駆動トランジスタQdは、制御端子N3と出力端子N5との間にかかる電圧に応じてその大きさが変化する出力電流ILDを流す。
【0040】
キャパシタCstは、駆動トランジスタQdの制御端子N3と入力端子N4との間に連結されている。このキャパシタCstは、駆動トランジスタQdの制御端子N3に印加されるデータ信号を充電し、スイッチングトランジスタQsがターンオフ(turn-off)された後もこれを維持する。
【0041】
有機発光素子LDは、例えば、有機発光ダイオード(organic light emitting diode、OLED)であって、駆動トランジスタQdの出力端子N5に連結されているアノード(anode)と、共通電圧Vssに連結されているカソード(cathode)とを有する。有機発光素子LDは、駆動トランジスタQdの出力電流ILDに応じて強さを異ならせて発光することにより映像を表示する。有機発光素子LDは、赤色、緑色、青色の3原色など、基本色(primary color)のうちのいずれか1つまたは1つ以上の固有の光を発する有機物質を含むことができ、有機発光装置1000は、これら色の空間的な和で所望の映像を表示する。
【0042】
スイッチングトランジスタQsおよび駆動トランジスタQdは、p−チャネル電界効果トランジスタ(field effect transistor、FET)であるが、これらのうちの少なくとも1つは、n−チャネル電界効果トランジスタであり得る。また、トランジスタQs、Qd、キャパシタCstおよび有機発光素子LDの連結関係が変化可能である。
【0043】
薄膜封止層40は、基板20に対向し、外部から酸素および水分が流入するのを防止し、有機発光素子30を保護することができる。
【0044】
薄膜封止層40は、1つ以上の有機層と1つ以上の無機層とが相互交互に積層形成できる。
【0045】
有機層は、高分子で形成され、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリカーボネート、エポキシ、ポリエチレンおよびポリアクリレートのうちのいずれか1つで形成される単一膜または積層膜であり得る。より好ましくは、有機層は、ポリアクリレートで形成され得、具体的には、ジアクリレート系モノマーとトリアクリレート系モノマーを含むモノマー組成物が高分子化されたものを含む。モノマー組成物にモノアクリレート系モノマーがさらに含まれ得る。また、モノマー組成物にTPO(2,4,6-Trimethylbenzoyl-diphenyl-phosphineoxide)のような公知の光開始剤がさらに含まれ得るが、これに限定されるものではない。
【0046】
無機層は、金属酸化物または金属窒化物を含む単一膜または積層膜であり得る。具体的には、無機層は、SiNx、Al、SiO、TiOのうちのいずれか1つを含むことができる。薄膜封止層のうち、外部に露出した最上層は、有機発光素子に対する透湿を防止するために無機層で形成できる。
【0047】
また、薄膜封止層40は、少なくとも2つの無機層の間に少なくとも1つの有機層が挿入されたサンドイッチ構造を少なくとも1つ含むことができる。また、薄膜封止層40は、少なくとも2つの有機層の間に少なくとも1つの無機層が挿入されたサンドイッチ構造を少なくとも1つ含むことができる。
【0048】
さらに、薄膜封止層40は、有機発光素子の上部から順次に第1無機層、第1有機層、第2無機層を含むことができる。また、薄膜封止層40は、有機発光素子の上部から順次に第1無機層、第1有機層、第2無機層、第2有機層、第3無機層を含むことができる。なお、薄膜封止層40は、有機発光素子の上部から順次に第1無機層、第1有機層、第2無機層、第2有機層、第3無機層、第3有機層、第4無機層を含むことができる。
【0049】
有機発光素子と第1無機層との間にLiFを含むハロゲン化金属層が追加的に含まれ得、ハロゲン化金属層は、第1無機層をスパッタリング方式またはプラズマ蒸着方式で形成する時、有機発光素子が損傷するのを防止することができる。
【0050】
第1有機層は、第2無機層より面積が狭くてよく、第2有機層も、第3無機層より面積が狭くてよい。また、第1有機層は第2無機層によって完全に覆われていてよく、第2有機層も第3無機層によって完全に覆われていてよい。
【0051】
薄膜封止層40は、薄い厚さの薄膜で、外部のすり傷や工程の進行中に発生する異物による圧痕またはスクラッチ(scratch)などによる損傷が発生しやすい。これは、ディスプレイ上の暗点などの欠陥として現れる。このような薄膜封止層40の損傷を防止するために、薄膜封止層40上に上部保護フィルム50を付着する。
【0052】
上部保護フィルム50は、下部保護フィルム10と同様に、キャリアフィルムと、粘着剤層と、離型フィルムとを含むことができる。このように、製造工程の進行中に上部保護フィルム50が薄膜封止層40を保護するため、製造工程進行上の制約をなくすことができる。
【0053】
下部保護フィルム10は、キャリアフィルム11と、キャリアフィルム11上に形成されている粘着剤層12と、粘着剤層12上に付着されており、静電気を除去する第1除電層13とを含む。キャリアフィルム11は、粘着剤層12と向き合う第1面11aと、外部に露出する第2面11bとを含む。
【0054】
このようなキャリアフィルム11は、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)、ポリエチレンナフタレート(polyethylene naphthalate、PEN)、ポリエチレンスルフィド(polyethylene sulfide、PES)、ポリエチレン(polyethylene、PE)の中から選択されたいずれか1つの物質を含むことができる。
【0055】
このようなキャリアフィルム11の厚さは、25μm〜300μmであり得る。キャリアフィルム11の厚さが25μmより小さい場合には、薄すぎて有機発光装置1000の下部を保護する下部保護フィルムの役割を果たすことが困難となる。また、キャリアフィルム11の厚さが300μmより大きい場合には、下部保護フィルムが有機発光装置1000に付着されときに有機発光装置1000がフレキシブルな機能を有することが困難になる。
【0056】
製造工程の完了後に再度剥がす上部保護フィルムとは異なり、下部保護フィルム10は基板に永久的に付着されていなければならないため、粘着剤層12は強い粘着力を有する。つまり、製造工程を進行する間に下部保護フィルム10が剥がれたり、取り外されてはならないため、粘着剤層12は、アクリル(Acryl)系の強粘着フィルムであり得、粘着剤層12の粘着力は、被着剤がステンレス鋼(steel use stainless、SUS)の場合、500gf/inch以上であり得る。
【0057】
粘着剤層12の反発抵抗(Repulsion Resistance)を向上させ、下部保護フィルム10が曲がる条件においても、有機発光表示パネル100の基板20と下部保護フィルム10とが互いに分離されなくなる。
【0058】
第1除電層13は、導電性ポリマー物質、例えば、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(Poly(3,4-ethylene dioxythiophene、PEDOT))系物質で形成し、20nm〜100nmの厚さにグラビア(Gravure)コーティング方法を利用して形成する。
【0059】
第1除電層13の厚さが20nmより小さい場合には、静電気を防止する除電機能を果たすことが困難であり、第1除電層13の厚さが100nmより厚い場合には、下部保護フィルム10の厚さが必要以上に厚くなる。このような第1除電層13は、基板20から支持部材1(図4参照)を取り外す場合に発生する静電気を除去する。したがって、静電気による有機発光装置1000の薄膜トランジスタの特性の変化によって有機発光装置1000に発生する駆動不良を防止することができる。
【0060】
このような下部保護フィルム10は、離型フィルム14(図6参照)が取り外された後、有機発光表示パネル100の基板20の下に付着される。具体的には、下部保護フィルム10の粘着剤層12および第1除電層13が基板20と付着される。第1除電層13は粘着剤層12の一部を覆っているため、粘着剤層12が基板20と付着可能である。
【0061】
このように、基板20の下に下部保護フィルム10を付着することにより、基板20が外部と直接的な物理的接触をすることができないため、基板20の物理的損傷を防止することができ、有機発光装置1000のハンドリング(handling)も容易になる。
【0062】
また、基板20に付着される下部保護フィルム10に静電気を除去する第1除電層13を形成することにより、基板20から支持部材を取り外す時に発生する静電気による有機発光装置1000の駆動不良を防止することができる。したがって、駆動不良によってシミが発生するムラを防止することができる。
【0063】
図3には、従来の、第1除電層が形成されていない有機発光装置Aの駆動電圧に応じた輝度(図にはLuminanceと示す)のグラフと、本発明の第1実施形態により第1除電層を形成した有機発光装置Bの駆動電圧に応じた輝度(Luminance)のグラフとが示されている。
【0064】
図3に示されるように、従来の第1除電層13が形成されていない有機発光装置Aの飽和駆動電圧Vsatは4.5Vであるが、本発明の第1実施形態により第1除電層13を形成した有機発光装置Bの飽和駆動電圧は2.4Vとより低くなるので、定常駆動のための駆動領域が減少するため、所要電力が減少することが分かる。
【0065】
また、従来の、有機発光装置Aの飽和駆動電圧において輝度は210cd/mであるが、本発明の第1実施形態により第1除電層13を形成した有機発光装置Bの飽和駆動電圧において輝度は305cd/mであるため、輝度が約31%増加したことが分かる。
【0066】
このように、下部保護フィルム10に第1除電層13を形成することにより、有機発光装置の輝度が向上し、所要電力が減少し、有機発光装置の効率が増加する。
【0067】
前記本発明の第1実施形態にかかる有機発光装置の製造方法を、以下、図4ないし図9を参照して詳細に説明する。
【0068】
図4ないし図9は、本発明の第1実施形態にかかる有機発光装置の製造方法を順に示す図である。
【0069】
まず、図4に示すように、支持部材1上に有機発光表示パネル100を形成する。支持部材1は、有機発光表示パネル100を取り扱いやすいように支持するためのものである。有機発光表示パネル100は、基板20と、基板20上に形成されており、互いに離隔している複数の有機発光素子30と、有機発光素子30を覆っている複数の薄膜封止層40とを含む。そして、複数の薄膜封止層40上に上部保護フィルム50が付着されている。このように、有機発光表示パネル100内において、有機発光素子30および薄膜封止層40は区分されて複数個形成できる。このような有機発光表示パネル100は、以降の工程を経て複数の有機発光装置1000に分けられる。
【0070】
次に、図5に示すように、有機発光表示パネル100から支持部材1を取り外す。この時、有機発光表示パネル100と支持部材1との間の摩擦によって有機発光表示パネル100に静電気が発生することがある。
【0071】
次に、図6に示すように、下部保護フィルム10を準備する。下部保護フィルム10は、キャリアフィルム11と、キャリアフィルム11上に形成されている粘着剤層12と、粘着剤層12上に付着されており、粘着剤層12の固着化を防止する離型フィルム14と、粘着剤層12と離型フィルム14との間に形成されており、静電気を除去する第1除電層13とを含む。キャリアフィルム11は、互いに向き合う第1面11aおよび第2面11bを含む。
【0072】
離型フィルム14は、粘着剤層12の汚染および外部接触を防止するための保護紙であって、下部保護フィルム10が有機発光表示パネル100の基板20の下に付着される前に除去され、粘着剤層12が基板20の下に容易に付着されるようにする。
【0073】
強粘着フィルムの粘着剤層12によって離型フィルム14を取り外す時、離型フィルム14は物理的な力によって損傷し得るため、離型フィルム14の内側面にシリコーン(Silicone)を0.1μm〜2μmの厚さにグラビア(Gravure)コーティング方法を利用してコーティングし、離型フィルム14の取り外し工程を容易に行うことができる。
【0074】
次に、図7に示すように、下部保護フィルム10から離型フィルム14を取り外し、有機発光表示パネル100の下に下部保護フィルム10を付着する。このような下部保護フィルム10は、有機発光表示パネル100の基板20の下に付着され、具体的には、下部保護フィルム10の粘着剤層12および第1除電層13が基板と付着される。第1除電層13は粘着剤層12の一部を覆っているため、粘着剤層12が基板20と付着可能である。
【0075】
この時、第1除電層13は、有機発光表示パネル100の基板20の下に発生した静電気を除去する。したがって、静電気による有機発光装置の薄膜トランジスタの特性の変化を防止し、駆動不良を防止することができる。
【0076】
次に、図8に示すように、カッター2を用いて有機発光表示パネル100および下部保護フィルム10をカッティングして複数の有機発光装置1000に分離する。
【0077】
次に、図9に示すように、上部保護フィルム50を除去して有機発光装置1000を完成する。
【0078】
一方、前記第1実施形態では、粘着剤層12と離型フィルム14との間にのみ第1除電層13が形成されているが、キャリアフィルムの外側表面に第2除電層を形成し、離型フィルムの外側表面に第3除電層を形成する第2実施形態も可能である。
【0079】
以下、図10および図11を参照して、本発明の第2実施形態にかかる有機発光装置について詳細に説明する。
【0080】
図10は、本発明の第2実施形態にかかる有機発光装置に付着される下部保護フィルムの断面図であり、図11は、本発明の第2実施形態にかかる有機発光装置の断面図である。
【0081】
第2実施形態は、図1に示された第1実施形態に比べて第2除電層だけを除いて実質的に同じであるので、繰り返しの説明は省略する。
【0082】
図10に示すように、本発明の第2実施形態にかかる有機発光装置に付着される下部保護フィルム10は、キャリアフィルム11と、キャリアフィルム11上に形成されている粘着剤層12と、粘着剤層12上に付着されている第1除電層13と、第1除電層13上に形成されている離型フィルム14と、キャリアフィルム11の第2面11bに形成されている第2除電層16と、離型フィルム14の外側表面に形成されている第3除電層15とを含む。第2除電層16および第3除電層15は、導電性ポリマー物質、例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(Poly(3,4-ethylenedioxythiophene、PEDOT))系物質で形成し、20nm〜100nmの厚さにグラビア(Gravure)コーティング方法を利用して形成することができる。
【0083】
有機発光表示パネル100に下部保護フィルム10を付着した場合、第1除電層13は、基板20に発生した静電気を除去し、静電気による有機発光装置の駆動不良を防止することができ、第2除電層16および第3除電層15は、下部保護フィルム10の積載および移動時に静電気が下部保護フィルム10に発生するのを防止することができる。
【0084】
前記下部保護フィルム10が付着された、本発明の第2実施形態にかかる有機発光装置は、図11に示すように、画像を表示する有機発光表示パネル100と、有機発光表示パネル100の下に付着されている下部保護フィルム10とを含む。下部保護フィルム10は、離型フィルム14が取り外された後、有機発光表示パネル100の基板20の下に付着される。キャリアフィルム11と、キャリアフィルム11上に形成されている粘着剤層12と、粘着剤層12上に付着されている第1除電層13と、キャリアフィルム11の外側表面に形成されている第2除電層16とを含む。
【0085】
有機発光表示パネル100に下部保護フィルム10を付着した場合、第1除電層13は、基板20に発生した静電気を除去し、静電気による有機発光装置の駆動不良を防止することができ、第2除電層16は、下部保護フィルム10の積載および移動時に静電気が下部保護フィルム10に発生するのを防止することができる。
【0086】
一方、前記本発明の第2実施形態にかかる有機発光装置の製造方法を、以下、図4図5図10および図11を参照して詳細に説明する。
【0087】
まず、図4に示すように、支持部材1上に有機発光表示パネル100を形成する。有機発光表示パネル100は、基板20と、基板上に形成されている有機発光素子30と、有機発光素子30を覆っている薄膜封止層40と、薄膜封止層40上に付着されている上部保護フィルム50とを含む。
【0088】
次に、図5に示すように、有機発光表示パネル100から支持部材1を取り外す。この時、有機発光表示パネル100と支持部材1との間の摩擦によって有機発光表示パネル100の基板20に静電気が発生することがある。
【0089】
次に、図10に示すような下部保護フィルム10を製造する。下部保護フィルム10は、キャリアフィルム11上に粘着剤層12を形成し、粘着剤層12上に第1除電層13を形成し、第1除電層13上に離型フィルム14を付着し、キャリアフィルム11の第2面11bに第2除電層16を形成し、離型フィルム14上に第3除電層15を形成して製造する。
【0090】
そして、図11に示すように、下部保護フィルム10から離型フィルム14を取り外し、有機発光表示パネル100の下に下部保護フィルム10を付着する。この時、第1除電層13は、有機発光表示パネル100の基板20の下に発生した静電気を除去する。したがって、静電気による有機発光装置の駆動不良(例えば、画面に発生するシミであるムラ現象)を防止することができる。
【0091】
一方、前記第1実施形態では、下部保護フィルムに静電気除去のための第1除電層だけが形成されているが、キャリアフィルムと粘着剤層との間に遮光層を形成する第3実施形態も可能である。
【0092】
以下、図12および図13を参照して、本発明の第3実施形態にかかる有機発光装置について詳細に説明する。
【0093】
図12は、本発明の第3実施形態にかかる有機発光装置に付着される下部保護フィルムの断面図であり、図13は、本発明の第3実施形態にかかる有機発光装置の断面図である。
【0094】
第3実施形態は、図1に示された第1実施形態に比べて遮光層が追加されたことだけを除いて実質的に同じであるので、繰り返しの説明は省略する。
【0095】
図12に示すように、本発明の第3実施形態にかかる有機発光装置に付着される下部保護フィルム10は、キャリアフィルム11と、キャリアフィルム11上に形成されている遮光層17と、遮光層上に形成されている粘着剤層12と、粘着剤層12上に付着されている第1除電層13と、第1除電層13上に形成されている離型フィルム14とを含む。
【0096】
また、図13に示すように、前記下部保護フィルム10が付着された、本発明の第3実施形態にかかる有機発光装置は、画像を表示する有機発光表示パネル100と、有機発光表示パネル100の下に付着されている下部保護フィルム10とを含む。下部保護フィルム10は、キャリアフィルム11と、キャリアフィルム11上に形成されている遮光層17と、遮光層上に形成されている粘着剤層12と、粘着剤層12上に付着されており、静電気を除去する第1除電層13とを含む。このような下部保護フィルム10は、離型フィルム14が取り外された後、有機発光表示パネル100の基板20の下に付着される。具体的には、下部保護フィルム10の粘着剤層12および第1除電層13が基板20と付着される。第1除電層13は粘着剤層12の一部を覆っているため、粘着剤層12が基板20と付着可能である。
【0097】
ここで、遮光層17は、外部の光が有機発光表示パネル100で反射するのを防止し、有機発光表示パネル100の下部が映るのを防止する。また、別の遮光フィルムを付着せずに下部保護フィルム10に遮光層17を形成することにより、有機発光表示パネル100の厚さを減少させ、製造工程を単純化することができる。
【0098】
一方、前記第3実施形態では、キャリアフィルムと粘着剤層との間に遮光層を形成したが、キャリアフィルムと粘着剤層との間に放熱板を形成する第4実施形態も可能である。
【0099】
以下、図14および図15を参照して、本発明の第4実施形態にかかる有機発光装置について詳細に説明する。
【0100】
図14は、本発明の第4実施形態にかかる有機発光装置に付着される下部保護フィルムの断面図であり、図15は、本発明の第4実施形態にかかる有機発光装置の断面図である。
【0101】
第4実施形態は、図12および図13に示された第3実施形態に比べて放熱板が形成されたことだけを除いて実質的に同じであるので、繰り返しの説明は省略する。
【0102】
図14に示すように、本発明の第4実施形態にかかる有機発光装置に付着される下部保護フィルム10は、キャリアフィルム11と、キャリアフィルム11上に形成されている放熱板18と、放熱板18上に形成されている粘着剤層12と、粘着剤層12上に付着されている第1除電層13と、第1除電層13上に形成されている離型フィルム14とを含む。また、図15に示すように、本発明の第4実施形態にかかる有機発光装置は、画像を表示する有機発光表示パネル100と、有機発光表示パネル100の下に付着されている下部保護フィルム10とを含む。下部保護フィルム10は、キャリアフィルム11と、キャリアフィルム11上に形成されている放熱板18と、放熱板18上に形成されている粘着剤層12と、粘着剤層12上に付着されており、静電気を除去する第1除電層13とを含む。このような下部保護フィルム10は、離型フィルム14が取り外された後、有機発光表示パネル100の基板20の下に付着される。具体的には、下部保護フィルム10の粘着剤層12および第1除電層13が基板20と付着される。第1除電層13は粘着剤層12の一部を覆っているため、粘着剤層12が基板20と付着可能である。
【0103】
ここで、放熱板18は、有機発光表示パネル100で発生した熱が外部に容易に放出されるようにすることで有機発光装置の寿命を向上させ、発熱による残像(image sticking)を最少化することができる。また、別の放熱フィルムを付着せずに下部保護フィルム10に放熱板18を形成することにより、有機発光表示パネル100の厚さを減少させ、製造工程を単純化することができる。
【0104】
一方、前記第2実施形態では、キャリアフィルムの外側表面に第2除電層を形成し、離型フィルムの外側表面に第3除電層を形成したが、キャリアフィルムの外側表面にのみ第2除電層を形成する第5実施形態も可能である。
【0105】
以下、図16を参照して、本発明の第5実施形態にかかる有機発光装置について詳細に説明する。
【0106】
図16は、本発明の第5実施形態にかかる有機発光装置の断面図である。
【0107】
第5実施形態は、図11に示された第2実施形態に比べて第2除電層のみが形成されたことを除いて実質的に同じであるので、繰り返しの説明は省略する。
【0108】
図16に示すように、本発明の第5実施形態にかかる有機発光装置は、画像を表示する有機発光表示パネル100と、有機発光表示パネル100の下に付着されている下部保護フィルム10とを含む。下部保護フィルム10は、離型フィルム14が取り外された後、有機発光表示パネル100の基板20の下に付着される。第2除電層16と、第2除電層16上に形成されているキャリアフィルム11と、キャリアフィルム11上に形成されている粘着剤層12とを含む。
【0109】
第2除電層16は、下部保護フィルム10の積載および移動時に静電気が下部保護フィルム10に発生するのを防止することができる。
【0110】
前記本発明の第5実施形態にかかる有機発光装置の製造方法を、以下、図4図5図16を参照して詳細に説明する。
【0111】
まず、図4に示すように、支持部材1上に有機発光表示パネル100を形成する。有機発光表示パネル100は、基板20と、基板上に形成されている有機発光素子30と、有機発光素子30を覆っている薄膜封止層40と、薄膜封止層40上に付着されている上部保護フィルム50とを含む。
【0112】
次に、図5に示すように、有機発光表示パネル100から支持部材1を取り外す。この時、有機発光表示パネル100と支持部材1との間の摩擦によって有機発光表示パネル100の基板20に静電気が発生することがある。
【0113】
次に、図16に示すように、下部保護フィルム10を提供する。下部保護フィルム10は、キャリアフィルム11上に粘着剤層12を形成し、粘着剤層12上に離型フィルム14を付着し、キャリアフィルム11の外側表面に第2除電層16を形成して製造する。そして、下部保護フィルム10から離型フィルム14を取り外し、有機発光表示パネル100の下に下部保護フィルム10を付着する。この時、第2除電層16は、下部保護フィルム10の積載および移動時に静電気が下部保護フィルム10に発生するのを防止することができる。
【0114】
一方、前記第1実施形態では、2tr1cap構造の有機発光素子30を含んでいるが、6tr1cap構造の有機発光素子30を含む第6実施形態も可能である。
【0115】
以下、図17を参照して、本発明の第6実施形態にかかる有機発光装置について詳細に説明する。
【0116】
図17は、本発明の第6実施形態にかかる有機発光装置の一画素の等価回路図である。
【0117】
第6実施形態は、図1および図2に示された第1実施形態に比べて有機発光素子だけを除いて実質的に同じであるので、繰り返しの説明は省略する。
【0118】
図17に示すように、本発明の第6実施形態にかかる有機発光装置の有機発光素子30の一画素1は、複数の信号線121、122、123、124、171、172と、複数の信号線に連結されている複数のトランジスタT1、T2、T3、T4、T5、T6と、ストレージキャパシタ(storage capacitor)Cstと、有機発光ダイオード(organic light emitting diode)OLEDとを含む。
【0119】
トランジスタは、駆動トランジスタ(driving thin film transistor)T1と、スイッチングトランジスタ(switching thin film transistor)T2と、補償トランジスタT3と、初期化トランジスタT4と、動作制御トランジスタT5と、発光制御トランジスタT6とを含む。
【0120】
信号線は、スキャン信号Snを伝達するスキャン線121と、初期化トランジスタT4に前のスキャン信号Sn−1を伝達する前のスキャン線122と、動作制御トランジスタT5および発光制御トランジスタT6に発光制御信号Enを伝達する発光制御線123と、スキャン線121と交差し、データ信号Dmを伝達するデータ線171と、駆動電圧ELVDDを伝達し、データ線171と略平行に形成されている駆動電圧線172と、駆動トランジスタT1を初期化する初期化電圧Vintを伝達する初期化電圧線124とを含む。
【0121】
駆動トランジスタT1のゲート電極G1はストレージキャパシタCstの一端Cst1に連結されており、駆動トランジスタT1のソース電極S1は、動作制御トランジスタT5を経由して駆動電圧線172に連結されており、駆動トランジスタT1のドレイン電極D1は、発光制御トランジスタT6を経由して有機発光ダイオードOLEDのアノード(anode)と電気的に連結されている。駆動トランジスタT1は、スイッチングトランジスタT2のスイッチング動作に応じてデータ信号Dmが伝達され、有機発光ダイオードOLEDに駆動電流Idを供給する。
【0122】
スイッチングトランジスタT2のゲート電極G2はスキャン線121に連結されており、スイッチングトランジスタT2のソース電極S2はデータ線171に連結されており、スイッチングトランジスタT2のドレイン電極D2は、駆動トランジスタT1のソース電極S1に連結されており、かつ、動作制御トランジスタT5を経由して駆動電圧線172に連結されている。このようなスイッチングトランジスタT2は、スキャン線121を介して伝達されたスキャン信号Snに応じてターンオンされ、データ線171に伝達されたデータ信号Dmを駆動トランジスタT1のソース電極に伝達するスイッチング動作を行う。
【0123】
補償トランジスタT3のゲート電極G3はスキャン線121に連結されており、補償トランジスタT3のソース電極S3は、駆動トランジスタT1のドレイン電極D1に連結されており、かつ、発光制御トランジスタT6を経由して有機発光ダイオードOLEDのアノード(anode)に連結されており、補償トランジスタT3のドレイン電極D3は、ストレージキャパシタCstの一端Cst1、初期化トランジスタT4のドレイン電極D4および駆動トランジスタT1のゲート電極G1に共に連結されている。このような補償トランジスタT3は、スキャン線121を介して伝達されたスキャン信号Snに応じてターンオンされ、駆動トランジスタT1のゲート電極G1とドレイン電極D1とを互いに連結して駆動トランジスタT1をダイオード連結させる。
【0124】
初期化トランジスタT4のゲート電極G4は前のスキャン線122に連結されており、初期化トランジスタT4のソース電極S4は初期化電圧線124に連結されており、初期化トランジスタT4のドレイン電極D4は、ストレージキャパシタCstの一端Cst1、補償トランジスタT3のドレイン電極D3および駆動トランジスタT1のゲート電極G1に共に連結されている。このような初期化トランジスタT4は、前のスキャン線122を介して伝達された前のスキャン信号Sn−1に応じてターンオンされ、初期化電圧Vintを駆動トランジスタT1のゲート電極G1に伝達して駆動トランジスタT1のゲート電極G1の電圧を初期化させる初期化動作を行う。
【0125】
動作制御トランジスタT5のゲート電極G5は発光制御線123に連結されており、動作制御トランジスタT5のソース電極S5は駆動電圧線172に連結されており、動作制御トランジスタT5のドレイン電極D5は、駆動トランジスタT1のソース電極S1およびスイッチングトランジスタT2のドレイン電極D2に連結されている。
【0126】
発光制御トランジスタT6のゲート電極G6は発光制御線123に連結されており、発光制御トランジスタT6のソース電極S6は、駆動トランジスタT1のドレイン電極D1および補償トランジスタT3のソース電極S3に連結されており、発光制御トランジスタT6のドレイン電極D6は、有機発光ダイオードOLEDのアノード(anode)と電気的に連結されている。このような動作制御トランジスタT5および発光制御トランジスタT6は、発光制御線123を介して伝達された発光制御信号Enに応じて同時にターンオンされ、駆動電圧ELVDDが有機発光ダイオードOLEDに伝達されて有機発光ダイオードOLEDに駆動電流Idが流れる。
【0127】
ストレージキャパシタCstの他端Cst2は駆動電圧線172に連結されており、有機発光ダイオードOLEDのカソード(cathode)は共通電圧ELVSSに連結されている。これにより、有機発光ダイオードOLEDは、駆動トランジスタT1から駆動電流Idが伝達されて発光することにより画像を表示する。
【0128】
以下、本発明の第6実施形態にかかる有機発光装置の一画素の具体的な動作過程を詳細に説明する。
【0129】
まず、初期化期間の間、前のスキャン線122を介してローレベル(low level)の前のスキャン信号Sn−1が供給される。すると、ローレベルの前のスキャン信号Sn−1に対応して初期化トランジスタT4がターンオン(Turn on)され、初期化電圧線124から初期化トランジスタT4を介して初期化電圧Vintが駆動トランジスタT1のゲート電極に連結され、初期化電圧Vintによって駆動トランジスタT1が初期化される。
【0130】
この後、データプログラミング期間の間、スキャン線121を介してローレベルのスキャン信号Snが供給される。すると、ローレベルのスキャン信号Snに対応してスイッチングトランジスタT2および補償トランジスタT3がターンオンされる。
【0131】
この時、駆動トランジスタT1は、ターンオンされた補償トランジスタT3によってダイオード連結され、順方向にバイアスされる。
【0132】
すると、データ線171から供給されたデータ信号Dmにおいて、駆動トランジスタT1のしきい電圧(Threshold voltage)Vthだけ減少した補償電圧Dm+Vth(Vthは(−)の値)が駆動トランジスタT1のゲート電極に印加される。
【0133】
ストレージキャパシタCstの両端には駆動電圧ELVDDと補償電圧Dm+Vthが印加され、ストレージキャパシタCstには両端の電圧差に対応する電荷が格納される。この後、発光期間の間、発光制御線123から供給される発光制御信号Enがハイレバルからローレベルに変更される。すると、発光期間の間、ローレベルの発光制御信号Enによって動作制御トランジスタT5および発光制御トランジスタT6がターンオンされる。
【0134】
すると、駆動トランジスタT1のゲート電極の電圧と駆動電圧ELVDDとの間の電圧差に応じた駆動電流Idが発生し、発光制御トランジスタT6を介して駆動電流Idが有機発光ダイオードOLEDに供給される。発光期間の間、ストレージキャパシタCstによって駆動トランジスタT1のゲート−ソース電圧Vgsは「(Dm+Vth)−ELVDD」に維持され、駆動トランジスタT1の電流−電圧の関係によれば、駆動電流Idは、ソース−ゲート電圧からしきい電圧を差し引いた値の二乗「(Dm−ELVDD)」に比例する。したがって、駆動電流Idは、駆動トランジスタT1のしきい電圧Vthに関係なく決定される。
【0135】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属することは当然である。
【符号の説明】
【0136】
1:支持部材
2:カッター
10:下部保護フィルム
11:キャリアフィルム
12:粘着剤層
13:第1除電層
14:離型フィルム
16:第2除電層
15:第3除電層
17:遮光層
18:放熱板
20:基板
30:有機発光素子
40:薄膜封止層
50:上部保護フィルム
100:有機発光表示パネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17