(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記表示制御手段は、前記挿入位置と標的位置との距離、前記穿刺針の挿入角度、寝台における前記挿入位置の座標、前記寝台における前記標的位置の座標、前記寝台における前記挿入位置と標的位置との中間位置の座標、及び、前記寝台の移動方向における前記挿入位置と標的位置との距離のうち、少なくとも1つを前記表示部にて表示させるように制御することを特徴とする請求項1に記載のX線CT装置。
前記受付手段によって受け付けられた前記穿刺針の挿入位置及び標的位置に基づいて、前記CT画像の撮影を制御する制御手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のX線CT装置。
前記制御手段は、前記挿入位置、前記標的位置、又は、前記挿入位置と標的位置との中間位置が前記撮影の中心位置となるように寝台位置を制御することを特徴とする請求項3に記載のX線CT装置。
前記制御手段は、寝台における前記挿入位置の座標と前記寝台における前記標的位置の座標とに基づいて、前記挿入位置及び前記標的位置を含む最小の撮影範囲で前記CT画像を撮影するように制御することを特徴とする請求項3に記載のX線CT装置。
前記画像生成手段は、寝台における前記挿入位置の座標と前記寝台における前記標的位置の座標とに基づいて、再構成範囲を決定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のX線CT装置。
前記受付手段は、経時的に収集された3次元データのうち、動きの状態が最大となる位相の3次元データと、前記動きの状態が最小となる位相の3次元データそれぞれに対する前記挿入位置及び前記標的位置を指定する指定操作を受け付け、
前記画像生成手段は、前記受付手段を介して指定された各位相の挿入位置及び標的位置それぞれに基づいて、他の位相の3次元データそれぞれにおける前記穿刺針の挿入位置及び標的位置を推定し、推定した挿入位置及び標的位置を含む複数の断面のCT画像を前記他の位相の3次元データそれぞれから生成し、
前記表示制御手段は、前記画像生成手段によって生成された各位相における複数の断面のCT画像を表示部にてそれぞれ表示することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載のX線CT装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係るX線CT装置1の構成について説明する。
図1は、第1の実施形態に係るX線CT装置1の構成例を示す図である。
図1に示すように、第1の実施形態に係るX線CT装置1は、架台装置10と、寝台装置20と、コンソール装置30とを有する。
【0009】
架台装置10は、被検体PにX線を照射し、被検体Pを透過したX線を検出して、コンソール装置30に出力する装置であり、X線照射制御部11と、X線発生装置12と、検出器13と、収集部14と、回転フレーム15と、架台駆動部16とを有する。
【0010】
回転フレーム15は、X線発生装置12と検出器13とを被検体Pを挟んで対向するように支持し、後述する架台駆動部16によって被検体Pを中心した円軌道にて高速に回転する円環状のフレームである。
【0011】
X線照射制御部11は、高電圧発生部として、X線管12aに高電圧を供給する装置であり、X線管12aは、X線照射制御部11から供給される高電圧を用いてX線を発生する。X線照射制御部11は、X線管12aに供給する管電圧や管電流を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線量を調整する。
【0012】
また、X線照射制御部11は、ウェッジ12bの切り替えを行なう。また、X線照射制御部11は、コリメータ12cの開口度を調整することにより、X線の照射範囲(ファン角やコーン角)を調整する。なお、本実施形態は、複数種類のウェッジを、操作者が手動で切り替える場合であっても良い。
【0013】
X線発生装置12は、X線を発生し、発生したX線を被検体Pへ照射する装置であり、X線管12aと、ウェッジ12bと、コリメータ12cとを有する。
【0014】
X線管12aは、図示しない高電圧発生部により供給される高電圧により被検体PにX線ビームを照射する真空管であり、回転フレーム15の回転にともなって、X線ビームを被検体Pに対して照射する。X線管12aは、ファン角及びコーン角を持って広がるX線ビームを発生する。例えば、X線照射制御部11の制御により、X線管球12aは、フル再構成用に被検体Pの全周囲でX線を連続曝射したり、ハーフ再構成用にハーフ再構成可能な曝射範囲(180度+ファン角)でX線を連続曝射したりすることが可能である。また、X線照射制御部11の制御により、X線管球12aは、予め設定された位置(管球位置)でX線(パルスX線)を間欠曝射したりすることが可能である。また、X線照射制御部11は、X線管球12aから曝射されるX線の強度を変調させることも可能である。例えば、X線照射制御部11は、特定の管球位置では、X線管球12aから曝射されるX線の強度を強くし、特定の管球位置以外の範囲では、X線管球12aから曝射されるX線の強度を弱くする。
【0015】
ウェッジ12bは、X線管12aから曝射されたX線のX線量を調節するためのX線フィルタである。具体的には、ウェッジ12bは、X線管12aから被検体Pへ照射されるX線が、予め定められた分布になるように、X線管12aから曝射されたX線を透過して減衰するフィルタである。例えば、ウェッジ12bは、所定のターゲット角度や所定の厚みとなるようにアルミニウムを加工したフィルタである。なお、ウェッジは、ウェッジフィルタ(wedge filter)や、ボウタイフィルタ(bow-tie filter)とも呼ばれる。
【0016】
コリメータ12cは、後述するX線照射制御部11の制御により、ウェッジ12bによってX線量が調節されたX線の照射範囲を絞り込むためのスリットである。
【0017】
架台駆動部16は、回転フレーム15を回転駆動させることによって、被検体Pを中心とした円軌道上でX線発生装置12と検出器13とを旋回させる。
【0018】
検出器13は、被検体Pを透過したX線を検出する2次元アレイ型検出器(面検出器)であり、複数チャンネル分のX線検出素子を配してなる検出素子列が被検体Pの体軸方向(
図1に示すZ軸方向)に沿って複数列配列されている。具体的には、第1の実施形態における検出器13は、被検体Pの体軸方向に沿って320列など多列に配列されたX線検出素子を有し、例えば、被検体Pの肺や心臓を含む範囲など、広範囲に被検体Pを透過したX線を検出することが可能である。
【0019】
収集部14は、DAS(Data Acquisition System)であり、X線検出器13が検出したX線の検出データから、投影データを収集する。例えば、収集部14は、検出器13により検出されたX線強度分布データに対して、増幅処理やA/D変換処理、チャンネル間の感度補正処理等を行なって投影データを生成し、生成した投影データを後述するコンソール装置30に送信する。例えば、回転フレームの回転中に、X線管12aからX線が連続曝射されている場合、収集部14は、全周囲分(360度分)の投影データ群を収集する。また、収集部14は、収集した各投影データに管球位置を対応付けて、後述するコンソール装置30に送信する。管球位置は、投影データの投影方向を示す情報となる。なお、チャンネル間の感度補正処理は、後述する前処理部34が行なっても良い。
【0020】
寝台装置20は、被検体Pを載せる装置であり、
図1に示すように、寝台駆動装置21と、天板22とを有する。寝台駆動装置21は、天板22をZ軸方向へ移動して、被検体Pを回転フレーム15内に移動させる。天板22は、被検体Pが載置される板である。
【0021】
なお、架台装置10は、例えば、天板22を移動させながら回転フレーム15を回転させて被検体Pをらせん状にスキャンするヘリカルスキャンを実行する。または、架台装置10は、天板22を移動させた後に被検体Pの位置を固定したままで回転フレーム15を回転させて被検体Pを円軌道にてスキャンするコンベンショナルスキャンを実行する。または、架台装置10は、天板22の位置を一定間隔で移動させてコンベンショナルスキャンを複数のスキャンエリアで行なうステップアンドシュート方式を実行する。
【0022】
コンソール装置30は、操作者によるX線CT装置の操作を受け付けるとともに、架台装置10によって収集された投影データを用いてX線CT画像データを再構成する装置である。コンソール装置30は、
図1に示すように、入力装置31と、表示装置32と、スキャン制御部33と、前処理部34と、投影データ記憶部35と、画像再構成部36と、画像記憶部37と、制御部38とを有する。
【0023】
入力装置31は、X線CT装置1の操作者が各種指示や各種設定の入力に用いるマウスやキーボード等を有し、操作者から受け付けた指示や設定の情報を、制御部38に転送する。例えば、入力装置31は、操作者から、X線CT画像データの撮影条件や、X線CT画像データを再構成する際の再構成条件や、X線CT画像データに対する画像処理条件等を受け付ける。また、入力装置31は、X線CT画像データから生成されたCT画像上に穿刺針の挿入位置及び標的位置を指定する指定操作を受け付ける。なお、穿刺針の挿入位置及び標的位置を指定する指定操作については後述する。
【0024】
表示装置32は、操作者によって参照されるモニタであり、制御部38による制御のもと、X線CT画像データを操作者に表示したり、入力装置31を介して操作者から各種指示や各種設定等を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示したりする。また、表示装置32は、穿刺計画の計画画面を表示する。なお、穿刺計画の計画画面の詳細については後述する。
【0025】
スキャン制御部33は、後述する制御部38の制御のもと、X線照射制御部11、架台駆動部16、収集部14及び寝台駆動装置21の動作を制御することで、架台装置10における投影データの収集処理を制御する。
【0026】
前処理部34は、収集部14によって生成された投影データに対して、対数変換処理と、オフセット補正、感度補正及びビームハードニング補正等の補正処理とを行なって、補正済みの投影データを生成する。
【0027】
投影データ記憶部35は、前処理部34により生成された投影データを記憶する。画像再構成部36は、投影データ記憶部35が記憶する投影データを用いてX線CT画像データを再構成する。再構成方法としては、種々の方法があり、例えば、逆投影処理が挙げられる。また、逆投影処理としては、例えば、FBP(Filtered Back Projection)法による逆投影処理が挙げられる。或いは、画像再構成部36は、逐次近似法を用いて、X線CT画像データを再構成しても良い。
【0028】
また、画像再構成部36は、X線CT画像データに対して各種画像処理を行なうことで、画像データを生成する。そして、画像再構成部36は、再構成したX線CT画像データや、各種画像処理により生成した画像データを画像記憶部37に格納する。画像記憶部37は、画像再構成部36によって生成された画像データを記憶する。
【0029】
制御部38は、架台装置10、寝台装置20及びコンソール装置30の動作を制御することによって、X線CT装置1の全体制御を行う。具体的には、制御部38は、スキャン制御部33を制御することで、架台装置10で行なわれるCTスキャンを制御する。また、制御部38は、画像再構成部36を制御することで、コンソール装置30における画像再構成処理や画像生成処理を制御する。また、制御部38は、画像記憶部37が記憶する各種画像データを、表示装置32に表示するように制御する。
【0030】
以上、第1の実施形態に係るX線CT装置1の全体構成について説明した。かかる構成のもと、第1の実施形態に係るX線CT装置1は、穿刺治療を効率よく行なうことを可能とする。ここで、従来技術において、穿刺治療を効率よく行なうことが困難となる場合について説明する。従来技術に係るX線CT装置のCT透視による穿刺治療においては、2次元の穿刺計画と穿刺が一般的であり、3次元の穿刺計画が必要な場合に、穿刺治療を効率よく行なうことが困難となる。
【0031】
図2は、従来技術に係るX線CT装置のCT透視による穿刺治療の一例を説明するための図である。例えば、従来技術に係るX線CT装置では、
図2の(A)に示すように、ヘリカルスキャン或いはボリュームスキャンによって収集したボリュームデータから複数のアキシャル(Axial)断面のX線CT画像(例えば、MPR画像など)が生成される。そして、従来技術に係るX線CT装置においては、
図2の(B)に示すように、穿刺計画画面において、アキシャル断面のX線CT画像が3枚ずつ表示される。
【0032】
ここで、医師などの操作者は、表示されたアキシャル断面のX線CT画像を参照しながら、穿刺治療の治療対象部位となる標的点(ターゲット)がよく観察できるX線CT画像を抽出して、抽出したX線CT画像上に標的点と、穿刺針の挿入点(エントリー)とを設定することで、穿刺計画線を設定する。例えば、
図2の(B)の下段中央の図に示すように、操作者が標的点51と挿入点52とを設定すると、2点を結ぶ穿刺計画線が設定される。
【0033】
このように、標的点51、挿入点52、穿刺計画線が設定されると、従来技術に係るX線CT装置は、
図2の(B)に示すように、2点間の距離「140.6mm」や、標的点のX軸方向の位置を示す「10.6mm」、Y軸方向の位置を示す「40.9mm」、及び、穿刺計画線の角度「123.0deg」が算出され、表示される。操作者は、表示されたこれらの情報をもとに、穿刺を実行する。
【0034】
上述したように、従来技術に係るCT透視では、2次元の断面(例えば、アキシャル断面)に沿った穿刺についてはサポートされている。しかしながら、実際には、標的点と挿入点との間に、重要な血管や臓器、骨などがあり、上述した2次元の穿刺計画と、穿刺だけでは対応が困難となる。すなわち、標的点と挿入点との間に、重要な血管や臓器、骨などがある場合には、アキシャル断面に沿って穿刺針を挿入することができないため、穿刺治療を効率よく行なうことが困難となる。そこで、第1の実施形態に係るX線CT装置1は、以下、詳細に説明する制御部38の制御により、穿刺治療を効率よく行なうことを可能とする。
【0035】
図3は、第1の実施形態に係る制御部38の構成の一例を示す図である。例えば、制御部38は、
図3に示すように、画像生成制御部381と、表示制御部382とを有し、3次元の穿刺計画及び穿刺を可能にする。ここで、第1の実施形態に係るX線CT装置1では、まず、予め穿刺計画用のスキャン又は事前のスキャン(穿刺計画に限らず、以前に以前に実施されたスキャンなど)されることで、3次元のX線CT画像データ(ボリュームデータ)が収集される。例えば、X線CT装置1において、ヘリカルスキャン或いはボリュームスキャンが実施されることにより、被検体のボリュームデータが収集される。
【0036】
そして、X線CT装置1においては、3次元の穿刺計画が実施される場合に、複数の角度からの断面画像を表示装置32にて表示させる。
図4は、第1の実施形態に係る3次元の穿刺計画画面の一例を示す図である。例えば、操作者が穿刺計画の画面を起動すると、表示制御部382は、
図4の(A)に示すような穿刺計画画面を表示装置32に表示させる。そして、操作者が入力装置31を介して、図の左下に示す「Volume Mode(ボリュームモード)」ボタンを押下すると、3次元の穿刺計画のための断面画像が表示される。
【0037】
すなわち、
図4の(A)の上段に示すように、直交3断面「コロナル(coronal)断面、アキシャル断面、サジタル(sagittal)断面」のMPR画像が表示される。例えば、画像生成制御部381は、画像再構成部36を制御して、ボリュームデータから直交3断面のMPR画像を生成する。そして、表示制御部382が、生成されたMPR画像を表示装置32にて表示させる。なお、
図4においては、MPR画像を示しているが、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、ボリュームレンダリング(VR:Volume Rendering)画像が表示される場合であってもよい。かかる場合には、画像生成制御部381は、画像再構成部36を制御して、ボリュームレンダリング画像を生成させる。
【0038】
そして、操作者が、入力装置31を介して、
図4の(A)右下に示す「Needle Positioning」ボタンを押下することにより、表示された画像上に位置を設定することを可能にする。入力装置31は、「Needle Positioning」ボタンがONされると、穿刺針の挿入位置及び標的位置の指定操作を受け付ける。例えば、入力装置31は、
図4の(B)に示すように、標的点53及び挿入点54の指定操作を受け付ける。ここで、
図4の(B)においては、すべての断面画像に対して標的点53と挿入点54とが示されているが、各点の指定操作にどの断面画像が用いられる場合であってもよい。
【0039】
例えば、操作者は、
図4の(A)に示す直交3断面を参照して、コロナル断面、アキシャル断面、サジタル断面それぞれの断面の位置を変えながら、標的部位が観察しやすい断面画像を抽出する。そして、操作者は、入力装置31を介して、抽出した断面画像上で標的点を指定する。例えば、操作者は、腫瘍の中心の断面画像を抽出して、腫瘍の中心に標的点を設定する。その後、操作者は、さらに、直交3断面を参照して、コロナル断面、アキシャル断面、サジタル断面それぞれの断面の位置を変えながら、穿刺針の挿入位置として適した位置が描出された断面画像を抽出して、挿入点を設定する。例えば、操作者は、標的点までの距離が短く、かつ、血管や、臓器、骨などが間にない体表に挿入点を設定する。
【0040】
このように、操作者によって標的点53と挿入点54とが設定されると、表示制御部382は、
図4の(B)に示すように、各点と、各点間を結ぶ穿刺計画線を各断面画像上に表示させる。このように、入力装置31を介して、標的点及び挿入点が設定されると、画像生成制御部381は、入力装置31によって受け付けられた穿刺針の挿入位置及び標的位置を含む複数の断面のX線CT画像をボリュームデータから生成する。そして、表示制御部382は、画像生成制御部381によって生成された複数の断面のX線CT画像をそれぞれ表示装置32にて表示させるように制御する。
【0041】
図5は、第1の実施形態に係る画像生成制御部381の制御によって生成される断面画像の一例を示す図である。例えば、画像生成制御部381は、
図5の(A)に示すように、アキシャル断面上に設定された穿刺計画線55に沿った断面画像を生成する。すなわち、画像生成制御部381は、穿刺針が通過する断面の断面画像を生成する。そして、表示制御部382は、
図5の(A)の下段中央に示すように、画像生成制御部381によって生成された断面画像を穿刺計画画面に表示させる。これにより、操作者は、穿刺針が通過する面(穿刺パス)にどのようなものがあるかを一目で確認することが可能となる。
【0042】
同様に、画像生成制御部381は、
図5の(B)に示すように、サジタル断面上に設定された穿刺計画線56に沿った断面画像を生成する。そして、表示制御部382は、
図5の(B)の下段中央に示すように、画像生成制御部381によって生成された断面画像を穿刺計画画面に表示させる。このように、穿刺針が通過する面について、複数の面で確認することで、3次元の穿刺計画において、安全かつ精度よく穿刺計画を立てることが可能である。なお、
図5の(A)と(B)とは、例えば、穿刺計画画面のアキシャル断面の領域又はサジタル断面の領域にカーソルを合わせることで、容易に切り替えることが可能である。
【0043】
ここで、表示制御部382は、標的点と挿入点とが設定されると、
図4の(B)や、
図5に示すように、各点の座標情報を穿刺計画画面に表示する。例えば、
図4の(B)の下段右側の領域に示すように、表示制御部382は、標的点と挿入点とが設定されると、標的点の座標を示す「Target」に座標情報「377.5」を表示する。かかる情報は、寝台における標的点の座標である。表示制御部382は、設定された標的点のボリュームデータにおける座標に基づいて、寝台における座標を算出して表示させる。ここで、
図4の(B)に示す座標は、寝台のZ軸方向(寝台の移動方向)の座標であるが、表示制御部382は、X軸方向及びY軸方向の座標も表示させることが可能である。
【0044】
同様に、表示制御部382は、
図4の(B)の下段右側の領域に示すように、挿入点の座標を示す「Entry」に座標情報「419.5」を表示させる。また、表示制御部382は、標的点と挿入点との中間位置の座標を示す「Center」に座標情報「398.5」を表示させ、標的点と挿入点とのZ軸方向の幅(距離)を示す「Range」に「42.0」を表示させ、さらに、標的点と挿入点との距離を示す「Length」に「119.7」を表示させる。
図6は、第1の実施形態に係る表示制御部382によって表示される表示情報を説明するための図である。
図6においては、サジタル断面を示す。
【0045】
例えば、表示制御部382は、
図6に示すように、標的点53と挿入点54との中間位置の座標を「Center」とし、標的点53と挿入点54とのZ軸方向の幅を「Range」として示す。なお、上述した例では、Z軸の座標、或いは、Z軸方向の幅について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、X軸又はY軸の座標、X軸方向又はY軸方向の幅が表示される場合であってもよい。なお、標的点と挿入点との距離「Length」を算出する場合には、表示制御部382は、標的点及び挿入点それぞれのX軸の値、Y軸の値、Z軸の値を用いて「Length」を算出する。
【0046】
また、表示制御部382は、標的点と挿入点とが設定されると、被検体に対する穿刺針の角度を穿刺計画画面に表示させる。
図7は、第1の実施形態に係る表示制御部382によって表示される角度情報の一例を示す図である。例えば、表示制御部382は、
図7の下段中央に示すように、角度情報として、「Angle Guide:Left 8 deg/Caudal 21 deg」を表示させる。これにより、X線CT装置1は、3次元の穿刺計画おいて穿刺針の挿入角度を操作者に提供することができる。
【0047】
ここで、第1の実施形態に係るX線CT装置1は、上述した座標や幅などの情報を用いて、スキャンを制御することができる。例えば、制御部38は、スキャン制御部33を制御することにより、挿入点、標的点、又は、挿入点と標的点との中間位置が撮影の中心位置となるように寝台位置を制御する。一例を挙げると、
図7の下段右側の領域において各値の横にしめされた「Apply」ボタンを押下すると、対応する座標の値が、下の「Target」の入力スペースに入力される。そして、操作者が「Move to target」ボタンを押下すると、入力スペースに入力された座標がスキャンの中心となるように寝台位置が変化する。すなわち、現在の寝台の位置「Current」の座標「297.5」が、入力スペースに入力された座標に変化することとなる。
【0048】
例えば、「Entry」の座標を入力スペースに入力させて、寝台の位置を移動させ、投光器から光を照射させることにより、被検P体における挿入点の位置を容易に識別することができる。すなわち、穿刺計画後、「Entry」の座標に寝台の位置を移動させて、挿入点を確認し、表示装置32に表示された角度情報を参照することで、効率よく穿刺を実行することができる。
【0049】
また、制御部38は、スキャン制御部33を制御することにより、寝台における挿入点の座標と寝台における標的点の座標とに基づいて、挿入点及び標的点を含む最小の撮影範囲でX線CT画像を撮影するように制御する。例えば、制御部38は、「Center」の座標「398.5」を中心として、「Range:42.0」の幅でスキャンを実行させるようにスキャン制御部33を制御する。これにより、スキャン領域を最小限に抑えることができ、被爆を低減することができる。
【0050】
また、画像生成制御部381は、寝台における挿入点の座標と寝台における標的点の座標とに基づいて、再構成範囲を決定する。例えば、画像生成制御部381は、挿入点のX軸及びY軸の座標と、標的点のX軸及びY軸の座標とを再構成の範囲として用いることで、自動で拡大された断面画像を表示させることができる。
【0051】
また、第1の実施形態に係る表示制御部382は、キャプチャ画像を穿刺計画画面に表示させることができる。
図8は、第1の実施形態に係る表示制御部382によるキャプチャ画像の表示の一例を示す図である。例えば、表示制御部382は、
図8に示すように、穿刺計画画面の下段中央に、以前の穿刺計画画面のキャプチャ画像を表示させる。例えば、穿刺治療が行なわれる場合には、標的部位が複数ある場合があり、各標的部位を標的点にして、上述した穿刺計画がそれぞれ実施される。その際に、同一被検体の複数の穿刺計画を比較する場合があり、キャプチャ画像を表示させることにより、容易に比較が可能になる。
【0052】
次に、
図9を用いて、第1の実施形態に係るX線CT装置の処理について説明する。
図9は、第1の実施形態に係るX線CT装置1の処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【0053】
例えば、
図9に示すように、第1の実施形態に係るX線CT装置1においては、ボリュームモードである場合に(ステップS101肯定)、画像生成制御部381が直交3断面のMPR画像を生成し、表示制御部382が、生成された直交3断面のMPR画像を表示装置32に表示させる(ステップS102)。そして、画像生成制御部381は、入力装置31を介して、標的点と挿入点とが設定されたか否かを判定する(ステップS103)。
【0054】
ここで、標的点と挿入点とが設定された場合に(ステップS103肯定)、画像生成制御部381は、標的点と挿入点とを結ぶ穿刺計画線に沿った複数の断面画像を生成して(ステップS104)、表示制御部382が生成された複数の断面画像を表示装置32に表示させる(ステップS105)。ここで、図示していないが、表示制御部382は、断面画像とともに、各点の座標や、各点間の距離などを表示装置32に表示させる。
【0055】
次に、
図10を用いて、X線CT装置1によるCT透視の処理について説明する。
図10は、第1の実施形態に係るX線CT装置1によるCT透視の処理を説明するための図である。まず、検査開始されると、計画用スキャン又は事前スキャンを実行するか否が判定される(ステップS201)。ここで、スキャンを実行する場合には(ステップS201肯定)、ヘリカルスキャン又はボリュームスキャンによるスキャンが実行される(ステップS202)。
【0056】
そして、穿刺治療のために透視スキャンを開始すると(ステップS203)、まず、事前にスキャンされているか否かが判定される(ステップS204)。ここで、事前にスキャンが実行されていない場合には(ステップS204否定)、ヘリカルスキャン又はボリュームスキャンによるスキャンが実行される(ステップS205)。
【0057】
上述したいずれかのステップのスキャンによりボリュームデータが収集されると、穿刺計画が実行され(ステップS206)、穿刺計画に基づいて、穿刺が実行される(ステップS207)。ここで、穿刺治療においては、穿刺針と標的部位との位置関係を確認しながら、徐々に穿刺針が挿入される。したがって、ステップS207における穿刺は、穿刺計画で計画された距離を一気に進めるのではなく、徐々に穿刺針が挿入される。
【0058】
例えば、ボリュームデータの収集時と穿刺が実行されている時点では、患者にかかるストレスが異なっていると考えられる。従って、ボリュームデータを収集時の呼吸の状態と、穿刺が実施されている時点の呼吸の状態とでは、大きく異なっている場合もあるため、穿刺針の挿入は、穿刺針と標的部位との位置関係が確認されながら、徐々に行なわれる。
【0059】
そこで、ステップS207にて、穿刺が実行されると、スキャンが実施される(ステップS208)。ここで、穿刺計画で取得した各の座標や各点の幅の情報に基づいたスキャンを実行することで、効率よく穿刺治療を行なうことが可能である。
【0060】
上述したように、第1の実施形態によれば、入力装置31は、ボリュームデータから生成されたMPR画像上に穿刺針の挿入点及び標的点を指定する指定操作を受け付ける。画像生成制御部381は、入力装置31によって受け付けられた穿刺針の挿入点及び標的点を含む複数の断面のMPR画像をボリュームデータから生成する。表示制御部382は、画像生成制御部381によって生成された複数の断面のMPR画像をそれぞれ表示装置32にて表示させるように制御する。従って、第1の実施形態に係るX線CT装置1は、穿刺針の通過する面の断面画像を表示させることでき、3次元の穿刺計画及び穿刺を容易に可能にする。その結果、穿刺治療を効率よく行なうことを可能にする。
【0061】
また、第1の実施形態によれば、表示制御部382は、挿入点と標的点との距離、穿刺針の挿入角度、寝台における挿入点の座標、寝台における標的点の座標、寝台における挿入点と標的点との中間位置の座標、及び、寝台の移動方向における挿入点と標的点との距離のうち、少なくとも1つを表示装置32にて表示させるように制御する。従って、第1の実施形態に係るX線CT装置1は、穿刺治療にかかる具体的な情報を操作者に提示することができ、3次元の穿刺計画を利用した穿刺治療をより効率よく行なうことを可能にする。
【0062】
また、第1の実施形態によれば、制御部38は、入力装置31によって受け付けられた穿刺針の挿入点及び標的点に基づいて、X線CT画像の撮影を制御する。従って、第1の実施形態に係るX線CT装置1は、精度の高いX線画像を提供することを可能にする。
【0063】
また、第1の実施形態によれば、制御部38は、挿入点、標的点、又は、挿入点と標的点との中間位置が撮影の中心位置となるように寝台位置を制御する。従って、第1の実施形態に係るX線CT装置1は、高精度のX線CT画像を容易に撮影することを可能にする。
【0064】
また、第1の実施形態によれば、制御部38は、寝台における挿入点の座標と寝台における標的点の座標とに基づいて、挿入点及び標的点を含む最小の撮影範囲でX線CT画像を撮影するように制御する。従って、第1の実施形態に係るX線CT装置1は、最小の被曝量に低減することを可能にする。
【0065】
また、第1の実施形態によれば、画像生成制御部381は、寝台における挿入点の座標と寝台における標的点の座標とに基づいて、再構成範囲を決定する。従って、第1の実施形態に係るX線CT装置1は、観察しやすいX線CT画像を容易に提供することを可能にする。
【0066】
(第2の実施形態)
さて、これまで第1の実施形態について説明したが、上記した第1の実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
【0067】
上述した実施形態では、単一のボリュームデータを用いる場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、経時的に収集された複数のボリュームデータが用いられる場合であってもよい。例えば、一呼吸分のボリュームデータが収集された場合に、位相ごとに穿刺計画を設定してもよい。ここで、例えば、位相ごとの穿刺計画から所定の位相を選択し、選択した位相に合わせて穿刺を行なう場合であってもよい。これにより、高精度の穿刺治療を行なうことができる。
【0068】
また、一呼吸分のボリュームデータにおいて、動きが最も大きい位相のボリュームデータと、動きが最も小さい位相のボリュームデータとを用いて穿刺計画を実行し、穿刺計画の結果を用いてその他の位相における穿刺計画線を推定する場合であってもよい。かかる場合には、入力装置31は、経時的に収集されたボリュームデータのうち、動きの状態が最大となる位相のボリュームデータと、動きの状態が最小となる位相のボリュームデータそれぞれに対する挿入点及び標的点を指定する指定操作を受け付ける。
【0069】
そして、画像生成制御部381は、入力装置31を介して指定された各位相の挿入点及び標的点それぞれに基づいて、他の位相のボリュームデータそれぞれにおける穿刺針の挿入点及び標的点を推定し、推定した挿入点及び標的点を含む複数の断面のX線CT画像を他の位相のボリュームデータそれぞれから生成する。そして、表示制御部382は、画像生成制御部381によって生成された各位相における複数の断面のX線CT画像を表示装置31にてそれぞれ表示する。
【0070】
ここで、表示制御部382は、画像生成制御部381によって推定された挿入点及び標的点を用いて各位相の穿刺計画線の距離や被検体に対する角度、各点の幅などを算出することができる。
【0071】
以上、説明したとおり、第1の実施形態及び第2の実施形態によれば、穿刺治療を効率よく行なうことを可能とする。
【0072】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。