特許第6334898号(P6334898)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6334898コリメータ、及び該コリメータを備えた計算機式断層写真法(CT)システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6334898
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】コリメータ、及び該コリメータを備えた計算機式断層写真法(CT)システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20180521BHJP
【FI】
   A61B6/03 320K
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-241429(P2013-241429)
(22)【出願日】2013年11月22日
(65)【公開番号】特開2014-104355(P2014-104355A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2016年11月7日
(31)【優先権主張番号】201210489649.5
(32)【優先日】2012年11月27日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】300019238
【氏名又は名称】ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】フー・ジヨン
(72)【発明者】
【氏名】パン・シャンジュン
(72)【発明者】
【氏名】リュ・シュータオ
【審査官】 亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−034966(JP,A)
【文献】 特開2002−017715(JP,A)
【文献】 特開昭61−154542(JP,A)
【文献】 特開2011−139723(JP,A)
【文献】 特表2006−500573(JP,A)
【文献】 特開平09−215685(JP,A)
【文献】 特表2005−538786(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/088104(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0115038(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 − 6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライド・レールの上で平行に構成されている第一のゲート及び第二のゲートであって、前記第一のゲートは弾性部材を介して当該計算機式断層写真法(CT)コリメータの支持ラックに固定されている、第一のゲート及び第二のゲートと、
該第一のゲート及び該第二のゲートの一方の側に構成されている電磁石系と、
該電磁石系に対して前記第一のゲート及び前記第二のゲートの別の側に構成されている金属板であって、当該金属板の一方の端部が前記第一のゲート及び前記第二のゲートの他方に固定されており、当該金属板の他方の端部が前記電磁石系の隣接まで延在している、金属板と
を備えた計算機式断層写真法(CT)コリメータであって、
前記電磁石系がトリガを与えられると、前記第一のゲートと前記第二のゲートは、前記金属板を介して互いに係合るように構成されている、計算機式断層写真法コリメータ。
【請求項2】
アクチュエータを介して前記スライド・レールの上を移動するように前記第二のゲートを駆動する単一モータ駆動系をさらに含んでいる請求項1に記載の計算機式断層写真法コリメータ。
【請求項3】
前記金属板は鋼板又は非金属磁気材料であり、前記金属板は、最大アパーチャが前記第一のゲートと前記第二のゲートとの間に形成されているときに前記電磁石系の隣接まで延在することが可能な長さを有する、請求項1に記載の計算機式断層写真法コリメータ。
【請求項4】
前記電磁石系は、電磁石と、該電磁石を支持する支持ユニットとを含んでおり、該支持ユニットは前記電磁石を前記第一のゲート及び前記第二のゲートの前記一方に固定し、前記第一のゲートと前記第二のゲートは、前記電磁石がトリガを与えられると互いに係合する、請求項1に記載の計算機式断層写真法コリメータ。
【請求項5】
前記電磁石系は、電磁石と、該電磁石を支持する支持ユニットと、前記電磁石に結合されている弾性部材とを含んでおり、前記金属板が、前記電磁石系の前記弾性部材から離隔した前記電磁石の一端に設けられており、前記金属板は、前記第一のゲート又は前記第二のゲートの支持板に設けられた開口に収容されており、前記電磁石は、トリガを与えられると、前記電磁石に設けられた前記金属板、並びに前記第一のゲート及び前記第二のゲートの他方に固定された前記金属板を介して前記第一のゲートと前記第二のゲートとを係合させる、請求項1に記載の計算機式断層写真法コリメータ。
【請求項6】
前記第一のゲートは、第一の支持板と、該支持板の中間部において前記第二のゲートの一方の側に近接して構成されている第一の遮蔽材とを含んでおり、前記第二のゲートは、第二の支持板と、該第二の支持板の中間部において前記第一のゲートの一方の側に近接して構成されている第二の遮蔽材とを含んでおり、該遮蔽材は、当該計算機式断層写真法コリメータの筐体に設けられた開口を介して当該計算機式断層写真法コリメータに入る放射線ビームを遮断する、請求項1から請求項5の何れか一項に記載の計算機式断層写真法コリメータ。
【請求項7】
前記遮蔽材は平面構造を有し、前記遮蔽材の幅は、当該遮蔽材の相対するエッジに沿って当該遮蔽材の中心から当該遮蔽材の二つの端部まで次第に減少するように構成されている、請求項6に記載の計算機式断層写真法コリメータ。
【請求項8】
前記遮蔽材の間のアパーチャが矩形形状を有し、前記遮蔽材は、円の中心が当該計算機式断層写真法コリメータの外部の放射線源の焦点に位置しているような円弧構造を有している、請求項6に記載の計算機式断層写真法コリメータ。
【請求項9】
前記弾性部材は伸張可能且つ/又は圧縮可能なばねである、請求項6に記載の計算機式断層写真法コリメータ。
【請求項10】
前記ばねの長さは、前記ばねが変形していないときに前記遮蔽材の間に形成されているアパーチャの中心が、完全に閉じた状態を形成するように前記開口の中心から変位することを可能にするように構成されている、請求項9に記載の計算機式断層写真法コリメータ。
【請求項11】
前記ばねは伸張可能且つ圧縮可能であり、前記ばねの長さは、前記ばねが変形していないときに前記遮蔽材の間に形成されているアパーチャの中心が、前記開口の中心に直接対面することを可能にするように構成されている、請求項9に記載の計算機式断層写真法コリメータ。
【請求項12】
請求項1から請求項11の何れか一項に記載の計算機式断層写真法コリメータを備えた放射線撮影計算機式断層写真法(CT)システム。
【請求項13】
X線計算機式断層写真法システムである請求項12に記載の放射線撮影計算機式断層写真法システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、放射線撮影計算機式断層写真法(CT)の分野に関し、さらに具体的には、単一モータ駆動系を有するコリメータ、及び該コリメータを含む放射線撮影CTシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、X線CTシステムのような放射線撮影CTシステムが様々な医療施設において広く用いられており、医師が被検体の正確な医学的診断を達成するのを助けるために被検体の着目領域の三次元撮像を行なっている。
【0003】
放射線撮影CTシステムでは、円錐形(コーン形)の放射線ビームを発生する放射線源と、放射線源に対して被検体の裏側に構成されて放射線ビームを検出する放射線検出器とが、これら放射線源と放射線検出器との間の回転中心の周りを回転する。被検体を透過した放射線ビームによって生成される投影データが収集され、収集された投影データに基づいて被検体の着目領域の画像が再構成され、次いで、再構成されたCT画像が画像表示装置に表示される。
【0004】
放射線撮影CTシステムでは、コリメータが、放射線源と検出されるべき被検体との間に一般的に設けられている。コリメータのアパーチャの幅を調節することにより、被検体に平行な方向での放射線ビームの幅が、走査スライスの厚みを制御するように制御される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のコリメータは一般的には、少なくとも二つの異なるモータ駆動系を有して、多スロット開放及びZ追尾の要件を満たしている。かかるコリメータは、少なくとも二つの異なるモータ駆動系によって駆動される少なくとも二つのゲート又はカムを含んでおり、故に少なくとも二つのモータ駆動系を用いることにより優れた性能が確保されているものの、費用は高い。
【0006】
幾つかの新たに開発されたコリメータは、単一モータ駆動系を用いて開放及びZ追尾の要件を満たしている。典型的には、かかる形式のコリメータは、単一モータ駆動系によって駆動される複数のスロットを有する板又は星形ロータを含んでいる。各々のスロットが異なる幅のコリメータ・アパーチャに対応する。上述の形式のコリメータは、固定された数及び幅のアパーチャしか示すことができず、また回転時に、Z追尾のための星形ロータは、二つのビーム案内エッジから曲面検出器までの距離の差のため異なる振幅係数を含む。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以上の問題を解決することが可能なコリメータ及び該コリメータを含むCTシステムを提供する。
【0008】
本発明の第一の観点によれば、CTコリメータが提供される。このCTコリメータは、スライド・レールの上で平行に構成されている第一のゲート及び第二のゲートであって、第一のゲートは弾性部材を介してCTコリメータの支持ラックに固定されている、第一のゲート及び第二のゲートと、第一のゲート及び第二のゲートの一方に構成されている電磁石システムと、電磁石システムに対して第一のゲート及び第二のゲートの上述の一方の裏側に構成されている金属板であって、当該金属板の一方の端部が第一のゲート及び第二のゲートの他方に固定されており、当該金属板の他方の端部が電磁石システムの下方まで延在している、金属板とを含んでおり、電磁石システムは、当該電磁石システムにトリガが与えられると金属板を介して第一のゲートと第二のゲートとを係合させるように構成されている。
【0009】
本発明の第一の観点によるCTコリメータはさらに、アクチュエータを介してスライド・レールの上を移動するように第二のゲートを駆動する単一モータ駆動系を含んでいる。
【0010】
本発明の第一の観点によるCTコリメータでは、金属板は鋼板又は非金属磁気材料であり、金属板は、最大アパーチャが第一のゲートと第二のゲートとの間に形成されるときに電磁石システムの下方まで延在することが可能な長さを有する。
【0011】
本発明の第一の観点によるCTコリメータでは、電磁石システムは、電磁石と、該電磁石を支持する支持ユニットとを含んでおり、支持ユニットは、電磁石を第一のゲート及び第二のゲートの上述の一方に固定し、電磁石は、トリガを与えられると第一のゲートと第二のゲートとを係合させる。
【0012】
本発明の第一の観点によるCTコリメータでは、電磁石システムは、電磁石と、該電磁石を支持する支持ユニットと、電磁石に結合された弾性部材とを含んでおり、金属板が、弾性部材から離隔した電磁石の一端に設けられており、金属板は、第一の板及び第二の板の上述の一方の支持板に設けられた開口に収容されており、電磁石は、トリガを与えられると、電磁石に設けられた金属板、並びに第一のゲート及び第二のゲートの他方に固定された金属板を介して第一のゲートと第二のゲートとを係合させる。
【0013】
本発明の第一の観点によるCTコリメータでは、第一のゲートは、支持板と、該支持板の中間部において第二のゲートの一方の側に近接して構成されている遮蔽材とを含んでおり、第二のゲートは、支持板と、該支持板の中間部において第一のゲートの一方の側に近接して構成されている遮蔽材とを含んでおり、これらの遮蔽材は、CTコリメータの筐体に設けられた開口を介してCTコリメータに入る放射線ビームを遮断する。
【0014】
本発明の第一の観点によるCTコリメータでは、遮蔽材の幅は、遮蔽材の相対するエッジに沿って遮蔽材の中心から遮蔽材の二つの端部まで次第に減少するように構成されている。
【0015】
本発明の第一の観点によるCTコリメータでは、遮蔽材の間のアパーチャが矩形形状を有し、遮蔽材は、円の中心がコリメータの外部の放射線源の焦点に位置しているような円弧構造を有している。
【0016】
本発明の第一の観点によるCTコリメータでは、弾性部材は伸張可能且つ/又は圧縮可能なばねである。
【0017】
本発明の第一の観点によるCTコリメータでは、ばねは伸張可能又は圧縮可能であり、ばねの長さは、弾性部材が変形していないときに遮蔽材の間に形成されているアパーチャの中心が、完全に閉じた状態を形成するように開口の中心から変位することを可能にするように構成されている。
【0018】
本発明の第一の観点によるCTコリメータでは、ばねは伸張可能且つ圧縮可能であり、ばねの長さは、弾性部材が変形していないときに遮蔽材の間に形成されているアパーチャの中心が開口の中心に直接対面することを可能にするように構成されている。
【0019】
本発明の第二の観点によれば、本発明の第一の観点によるCTコリメータを含む放射線撮影CTシステムが提供される。
【0020】
本発明の第二の観点による放射線撮影CTシステムでは、当該放射線撮影CTシステムはX線CTシステムである。
【0021】
本発明によるCTコリメータを用い、また電磁石システムを用いてコリメータの機械的な構造を単純化することで、単一モータ駆動系のみを用いることによりコリメータ・アパーチャ幅調節、放射線ビーム追尾、及びZ追尾を達成することができ、これによりCTコリメータの費用が削減され、CTコリメータが連続可変型のアパーチャ幅を有する単純な技術的解決を達成する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
以下では、本発明の幾つかの実施形態の例が添付図面に関して詳細に記載され、添付図面においては類似した又は同様の要素は同じ参照番号によって表わされる。
図1(A)】本発明の実施形態の一例による放射線撮影CTシステムを示す図である。
図1(B)】本発明の実施形態の一例による放射線撮影CTシステムを示す図である。
図2(A)】本発明の実施形態の一例によるCTコリメータを示す図である。
図2(B)】本発明の実施形態の一例によるCTコリメータを示す図である。
図2(C)】本発明の実施形態の一例によるCTコリメータを示す図である。
図2(D)】本発明の実施形態の一例によるCTコリメータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の詳細な説明では、本発明の実施形態の各例が添付図面に関して記載される。しかしながら、当業者は、本発明がこれらの実施形態の例に限定されないことを認められよう。
【0024】
図1(A)及び図1(B)は、本発明の実施形態の一例による放射線撮影CTシステム100を示す。一実施形態では、放射線撮影CTシステム100はX線CTシステムである。
【0025】
図1(A)及び図1(B)に示すように、X線CTシステム100は主に三つの部分すなわちガントリ110、検出されるべき被検体114を配置するための走査台116、及び操作コンソール130を含んでいる。ガントリ110はX線管102を含んでいる。X線管102から放出されるX線106はコリメータ104を通過して、扇形(ファン形)ビーム及び円錐形(コーン形)ビームのような形状のX線ビームを形成して、被検体114の着目領域に照射される。被検体114を通過したX線ビームは、被検体114の裏側に配設されたX線検出器112に入射する。X線検出器112は、ファン形X線ビームの広がり方向(チャネル方向)及び厚み方向(縦列方向)に複数の二次元X線検出素子を含んでいる。
【0026】
X線検出器112にはデータ取得システム(DAS)124が結合されている。データ取得システム124は、X線検出器112のX線検出素子の各々によって検出されるデータであって投影データとして用いられるデータを収集する。X線管102からのX線放射線はX線コントローラ122によって制御される。図1(B)では、X線管102とX線コントローラ122との間の接続については図示を省略する。
【0027】
データ取得システム124は、X線コントローラ122によってX線管102に加えられる管電圧及び管電流に関係するデータを収集する。図1(B)では、X線コントローラ122とデータ取得システム124との間の接続については図示を省略する。
【0028】
コリメータ104は、コリメータ・コントローラ120によって制御される。一実施形態では、コリメータ104とコリメータ・コントローラ120とは二つの別個の構成要素である。もう一つの実施形態では、コリメータ・コントローラ120がコリメータ104の内部に配設されていてもよい。図1(B)では、コリメータ104とコリメータ・コントローラ120との間の接続については図示を省略する。
【0029】
X線管102、コリメータ104、検出器112、データ取得システム124、X線コントローラ122、及びコリメータ・コントローラ120のような各構成要素が、ガントリ110の回転部128に搭載されている。回転部128は、回転コントローラ126の制御の下で回転する。図1(B)では、回転部128と回転コントローラ126との間の接続については図示を省略する。
【0030】
モータのような駆動系の作用の下で、走査台116が、載置されている被検体114と共に被検体の長手方向軸118に沿ってガントリ110の開口108の内部まで移動するので、被検体114の着目領域はコリメータ104を通して照射されるX線ビームに実質的に垂直になる。
【0031】
操作コンソール130は、コンピュータのような中央プロセッサ136を有する。中央プロセッサ136には、制御インタフェイス140が接続されている。ガントリ110及び走査台116は、制御インタフェイス140に接続されている。中央プロセッサ136は、制御インタフェイス140を介してガントリ110及び走査台116を制御する。
【0032】
ガントリ110内のデータ取得システム124、X線コントローラ122、コリメータ・コントローラ120、及び回転コントローラ126が、制御インタフェイス140を介して制御される。図1(B)では、これら関連する各部と制御インタフェイス140との間の個別の接続については図示を省略する。
【0033】
中央プロセッサ136には、データ取得バッファ138が接続されている。データ取得バッファ138には、ガントリ110のデータ取得システム124が接続されている。データ取得システム124によって収集された投影データがデータ取得バッファ138を介して中央プロセッサ136に入力される。
【0034】
中央プロセッサ136は、データ取得バッファ138から入力された投影データを用いて画像再構成を行なう。画像再構成を行なう際に、フィルタ補正逆投影方法及び三次元画像再構成方法のような方法を用いることができる。中央プロセッサ136には、記憶装置142が接続されている。記憶装置142を用いて、データ、再構成された画像、及びX線CTシステム100の様々な機能を具現化するための手順を記憶することができる。
【0035】
また、中央プロセッサ136には、表示装置132及び入力装置134がそれぞれ接続されている。表示装置132は、中央プロセッサ136から出力される再構成画像及び他の情報を表示する。操作者は、入力装置134を介して中央プロセッサ136に様々な命令及びパラメータを入力することができる。操作者は表示装置132及び入力装置134を通じて、X線CTシステム100の対話型動作を行なうことができる。
【0036】
図2(A)から図2(D)は、本発明の実施形態の一例による放射線撮影CTコリメータ104の構造を概略図示している。一実施形態では、CTコリメータ104はX線コリメータである。
【0037】
図2(A)に示すように、CTコリメータ104は主に、副ゲート301、主ゲート302、電磁石系303及び金属板306(図2(A)では不図示)、弾性部材305例えばばね、並びにモータ駆動系307を含んでいる。これらのうち金属板306は、例えば鋼板であってもよいし他の非金属磁気材料であってもよい。
【0038】
副ゲート301は、当該副ゲート301の両端に配設された弾性部材305を介してコリメータ104の支持ラックに固定されている。主ゲート302及び副ゲート301は、同じ水平面において平行に構成されている。主ゲート302及び副ゲート301は、スライド・レール308を介してコリメータ104の支持ラックの上に構成された両端を有している。モータ駆動系307及びアクチュエータ309の作用の下で、主ゲート302は図2(B)又は図2(D)に示すようにZ方向に沿ってスライド・レール38の上を移動することができる。
【0039】
コリメータ104の筐体には、開口311がX線管104に直接対面する方向に設けられている。コリメータ104の筐体の開口311を通して、X線管104から放出されたX線がコリメータ104に入る。
【0040】
主ゲート302と副ゲート301とは実質的に同等な構造を有する。主ゲート302は、支持板と、該支持板の中間部において副ゲート301の一方の側に近接して構成されている遮蔽材304とを含んでいる。同様に副ゲート301も、支持板と、該支持板の中間部において主ゲート302の一方の側に近接して構成されている遮蔽材304とを含んでいる。
【0041】
CT走査時の被検体の着目領域による要求に応じて、遮蔽材304及び開口311に適当な寸法が与えられる。主ゲート302及び副ゲート301に設けられた遮蔽材304は、コリメータ104に入るX線ビームを遮断することができるので、X線ビームは二つの遮蔽材304の間のアパーチャのみを通過して被検体114の着目領域に照射され得る。
【0042】
弾性部材305は、図2(B)に示すようにZ方向に沿って伸張され且つ/又は収縮され得る。弾性部材305の長さ及び弾性係数は、副ゲート301がZ方向に沿ってスライド・レール308の上を移動するときに主ゲート302と副ゲート301との間のアパーチャの幅がCT走査要件を満たすような態様で選択される。一実施形態では、弾性部材305が弾性変形していないときに主ゲート302及び副ゲート301に設けられた遮蔽材が開口311の中心に直接対面してX線ビームの下流に位置するように、弾性部材305を伸張及び収縮させて弾性部材305の長さを選択することができる。もう一つの実施形態では、弾性部材305が弾性変形していないときに主ゲート302及び副ゲート301に設けられた遮蔽材304が開口311の中心から変位してX線ビームの下流に位置して完全に閉じた状態を形成するように、弾性部材305を伸張又は収縮させて弾性部材305の長さを選択することができる。
【0043】
一実施形態では、主ゲート302及び副ゲート301の中間部は、平面構造を有する遮蔽材304を含んでいる。遮蔽材304の幅が、遮蔽材304の中心から二つの端部まで遮蔽材304の相対するエッジに沿って次第に減少するように構成されると、二つの遮蔽材304の間に形成される開口は非矩形形状を有し、これによりX線検出器112に矩形形状のX線検出域を形成する。
【0044】
もう一つの実施形態では、主ゲート302及び副ゲート301の中間部は、図2(A)及び2(B)に示すように円弧構造を有する遮蔽材304を含んでいる。この円弧構造、及び被検体114の裏側に配設されている検出器112の円弧構造は各々、図2(D)に示すようにX線管102の焦点に位置する円の中心を有している。
【0045】
図2(A)に示すように、電磁石系303が主ゲート302の一方の端部に構成されている。金属板306が、図2(C)又は図2(D)に示すように、電磁石系303に対して主ゲート302の裏側に構成されている。金属板306の一方の端部は副ゲート301に固定されて、金属板306の端部と主ゲート302の表面との間に空間が形成され、また金属板306の他方の端部は主ゲート302に設けられた電磁石系303の下方まで延在している。
【0046】
選択随意で、電磁石系303が副ゲート301の一方の端部に構成されていてもよい。金属板306は、電磁石系303に対して副ゲート301の裏側に構成され得る。金属板306の一方の端部は主ゲート302に固定されて、金属板306の端部と副ゲート301の表面との間に空間が形成され、また金属板306の他方の端部は副ゲート301に設けられた電磁石系303の下方まで延在する。
【0047】
金属板306は実質的に平面構造を有しており、金属板306の長さは、最大アパーチャが主ゲート302と副ゲート301との間に形成されているときにも当該金属板306が電磁石系303の下方まで依然延在し得るようなものとする。
【0048】
一実施形態では、電磁石系303は、電磁石303−2及び支持ユニット303−3を含み得る。支持ユニット303−3は、図2(B)に示すように電磁石303−2を支持して主ゲート302又は副ゲート301の支持板に固定する。電磁石303−2は、鉄心及び該鉄心を巻回するコイルを含む従来の電磁石であってよい。電源(不図示)の作用の下で、電磁石系303の電磁石303−2に対し、副ゲート301又は主ゲート302に固定された金属板6と、主ゲート302又は副ゲート301の支持板とを密に係合させるように電磁力を発生するためのトリガが与えられる。従って、主ゲート302及び主ゲート301が共に移動することができる。
【0049】
もう一つの実施形態では、電磁石系303は、図2(C)に示すように、電磁石303−2と、該電磁石303−2を支持する支持ユニット303−3と、電磁石303−2に結合されて支持ユニット303−3に固定された弾性部材303−1とを含み得る。電磁石303−2は、鉄心及び該鉄心を巻回するコイルを含む従来の電磁石であってよい。弾性部材303−1はばねであってよい。弾性部材303−1から離隔した電磁石303−2の一方の端部に金属板が設けられ、主ゲート302(電磁石系303が副ゲート301に配設されて金属板306が主ゲート302に固定されているときには副ゲート301となる)の支持板には、電磁石303−2の一方の端部に配設される金属板を収容するように金属板に直接対面して開口が設けられる。弾性部材303−1は、電磁石系303にトリガが与えられていないときには、電磁石303−2の一方の端部の金属板と、主ゲート302(電磁石系303が副ゲート301に配設されて金属板306が主ゲート302に固定されているときには副ゲート301となる)の支持板とが実質的に同じ平面に位置するような態様で構成されている。電磁石系303の電磁石303−2に電源によってトリガが与えられると、電磁石303−2の金属板が、電磁力の作用の下で、副ゲート301又は主ゲート302に固定された金属板306と密に係合する。従って、主ゲート302及び主ゲート301が共に移動することができる。
【0050】
電磁石303−2及び/又はトリガ電源は、弾性部材305の弾性、及び金属板306の係合時の摩擦力のような要因に従って選択され得る。
【0051】
被検体114に対してCT走査が行なわれるときには、操作者が入力装置134を介してコリメータ104のアパーチャの幅を選択し、中央プロセッサ136は、コリメータ・コントローラ120へのそれぞれの命令を発生して伝達し、コリメータ・コントローラ120は、主ゲート302と副ゲート301との間のアパーチャの幅が要件を満たし得るように、モータ駆動系307を介して主ゲート302の移動を制御する。望まれるアパーチャ幅が得られた後には、主ゲート302(電磁石系303が副ゲート301に配設されて金属板306が主ゲート302に固定されているときには副ゲート301となる)又は電磁石系303が、副ゲート301(電磁石系303が副ゲート301に配設されて金属板306が主ゲート302に固定されているときには主ゲート302となる)に固定された金属板306と密に係合するように、電磁石系303にトリガが与えられる。続いて、コリメータ・コントローラ120は主ゲート302及び副ゲート301を制御して、主ゲート302と副ゲート301との間のアパーチャの中心を開口311の中心に整列させるように、モータ駆動系307を介して共に移動させる。
【0052】
CT走査時には、X線管102の焦点が温度の上昇のため漂遊するので、主ゲート302と副ゲート301との間のアパーチャの中心とX線ビームの中心とが完全には整列しなくなる。主ゲート302と副ゲート301との間のアパーチャの中心とX線ビームの中心とが整列しなくなると、コリメータ・コントローラ302は、図2(D)に示すように、X線管102の焦点を追尾するように、モータ駆動系307を介して主ゲート302及び副ゲート301の両方を移動させる。
【0053】
主ゲート302と副ゲート301との間のアパーチャの幅を調節する必要があるときには、電磁石303−2を解除すると、金属板306が主ゲート302(電磁石系303が副ゲート301に配設されて金属板306が主ゲート302に固定されているときには副ゲート301となる)又は電磁石系303から係合解除されて、副ゲート301が弾性部材305の作用の下で元の位置まで戻る。次いで、コリメータ・コントローラ120は主ゲート302を制御して、モータ駆動系307の作用の下でZ方向に沿って移動させ、これにより望まれるアパーチャ幅を選択する。電磁石系303の電磁石303−2に再びトリガが与えられて、主ゲート302と副ゲート301とが密に係合してモータ駆動系307の作用の下で共に移動し、主ゲート302と副ゲート301との間のアパーチャの中心をX線ビームの中心と再び整列させる。
【0054】
本発明によるコリメータは、主ゲート及び副ゲートを係合させたり係合解除したりするために電磁石系を採用し、これにより主ゲート及び副ゲートのための駆動系の機械的な構造を単純化している。主ゲートをZ方向に沿って移動させるように制御することにより、主ゲートと副ゲートとの間のアパーチャについて連続可変型の幅を選択することができる。主ゲート及び副ゲートを共に移動させることにより、X線ビーム追尾及びZ追尾を行なうことができる。このように、本発明によって提供されるコリメータでは、コリメータ・アパーチャ幅の調節、X線ビーム追尾、及びZ追尾を、単一モータ駆動系のみによって同時に実現することができる。
【0055】
特定の実施形態に関して本発明を記載したが、本発明はこれら特定の実施形態に限定されないことを理解されたい。当業者は、本発明に対し、様々な改変、置換、及び変形等を施し得ることを認められよう。例えば、上の各実施形態において、一つのステップ又は構成要素を多数のステップ又は構成要素に分割してもよいし、或いは反対に、上の各実施形態の複数のステップ又は構成要素を一つのステップ又は一つの構成要素として実現してもよい。かかる全ての変形は、本発明の要旨から逸脱しない限り、保護の範囲内にあるものとする。加えて、本明細書及び特許請求の範囲において用いられているような術語は制限するものではなく説明のためのものである。また、実際の必要に応じて、一つの特定の実施形態に記載されている特徴の全て及び一部をもう一つの実施形態に組み入れることができる。
【符号の説明】
【0056】
100:放射線撮影計算機式断層写真法(CT)システム
102:X線管
104:コリメータ
106:X線
108:ガントリ開口
110:ガントリ
112:X線検出器
114:被検体
116:走査台
118:長手方向軸
120:コリメータ・コントローラ
122:X線コントローラ
124:データ取得システム(DAS)
126:回転コントローラ
128:回転部
130:操作コンソール
132:表示装置
134:入力装置
136:中央プロセッサ
138:データ取得バッファ
140:制御インタフェイス
142:記憶装置
301:副ゲート
302:主ゲート
303:電磁石系
303−1:弾性部材
303−2:電磁石
303−3:支持ユニット
304:遮蔽材
305:弾性部材
306:金属板
307:モータ駆動系
308:スライド・レール
309:アクチュエータ
311:開口
図1(A)】
図1(B)】
図2(A)】
図2(B)】
図2(C)】
図2(D)】