(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも一つの排気用開口部は、前記回転部の真上から前記回転軸に沿って前記固定部側にずれた位置に設けられる、請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【背景技術】
【0002】
図9に示すように、スキャノ撮影の立ち上げ時間を短縮するため、架台回転停止時における架台回転部の停止位置をX線管101が0度(最上部)に位置するように設定している。X線管101の隣にはX線管冷却装置103が取り付けられている。X線管冷却装置103は、X線管101との間でオイルを循環して冷却している。X線管冷却装置103は、オイルクーラと呼ばれている。オイルクーラ103からの熱を効率よく架台外部に排気するため、架台側面カバー105に排気用開口部107が設けられ、排気用開口部107近傍のメインフレームの局所箇所に冷却ファン109が設けられている。冷却ファン109により架台内部の空気を排気用開口部107に送風し外部に排出している。
図9に示すように、回転停止時においてはX線管101が0度に配置されているため、オイルクーラ103は、0度からずれた位置に配置される。
【0003】
図10に示すように、架台下部カバー111には、架台内部に空気を吸入するための吸気口113が設けられている。吸気口113から架台内部の空気に比して低温の空気が架台内部に吸入される。架台内部に吸入された空気は、主に吸気口113から排気用開口部107へと流れる。回転停止時においてX線管101が略0°位置に配置されているため、X線管101に対して回転軸を挟んで対向配置されるX線検出器115やデータ収集部(DAS:data acquisition system)117の上部に空気のよどみ点が発生する。このため、X線検出器115やデータ収集部117が冷却しづらく、X線検出器115やデータ収集部117の冷却効率には改善の余地がある。
【0004】
また、
図10に示すように、架台内部のオイルクーラ103とは左右反対側の領域の空気を架台外部に排出するために、他の排気用開口部119が設けられている。他の排気用開口部119の近傍にも冷却ファン121が設けられ、この冷却ファン121によりオイルクーラ103の反対側の領域の空気が架台外部に排出されている。しかしながら、架台内部の主な熱源はオイルクーラ103であるため、オイルクーラ103のための冷却ファン109に比して、他の冷却ファン121による排気効率には改善の余地がある。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わるX線コンピュータ断層撮影装置を説明する。
【0009】
図1は、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置1の構成を示す図である。
図1に示すように、X線コンピュータ断層撮影装置1は、架台10とコンソール40とを備える。
【0010】
架台10は、開口部11aが形成されたカバー内に架台回転部11を装備している。架台回転部11は、互いに対向して配置されたX線管13とX線検出器15とを装備している。架台回転部11の開口の内部には、FOV(field of view)が設定される。FOVに被検体(患者)Pの撮像領域が含まれるように天板17が位置決めされる。架台回転部11は、回転駆動部19に電気的に接続されている。回転駆動部19は、架台制御部21による制御に従って架台回転部11を一定の角速度で回転する。回転駆動部19にはロータリーエンコーダ等の角度検出器23が取り付けられている。角度検出器23は、架台回転部11が一定角度回転する毎に架台回転部11の回転軸R1回りの角度に対応する電気パルス信号(以下、角度信号と呼ぶ)を繰り返し発生する。角度信号は、架台制御部21に供給される。
【0011】
ここで、架台回転部11の回転軸R1回りの角度のうち最上部を0°とし、最下部を180°とする。回転停止時における架台回転部11の回転軸R1回りの角度はホームポジションと呼ばれている。
【0012】
X線管13は、高電圧発生部25から高電圧の印加を受けてX線を発生する。高電圧発生部25は、架台制御部21による制御に従う高電圧をX線管13に印加する。
【0013】
詳細は後述するが、架台10内部にはX線管冷却装置(オイルクーラ)27と冷却ファン29とが設けられている。オイルクーラ27は、架台制御部21からの制御に従って、X線管13との間でオイルを循環することにより冷却している。冷却ファン29は、架台制御部21からの制御に従って、架台10内部の空気を外部に送出する排気用のファンである。
【0014】
X線検出器15は、X線管13から発生されたX線を検出する。X線検出器15は、2次元状に配列された複数のX線検出素子を搭載する。例えば、複数のX線検出素子は、架台回転部11の回転軸R1を中心とした円弧に沿って配列される。この円弧に沿うX線検出素子の配列方向はチャンネル方向と呼ばれる。チャンネル方向に沿って配列された複数のX線検出素子は、X線検出素子列と呼ばれる。複数のX線検出素子列は、回転軸R1に沿う列方向に沿って配列される。各X線検出素子は、X線管13から発生されたX線を検出し、検出されたX線の強度に応じた電気信号(電流信号)を生成する。生成された電気信号は、データ収集部(DAS)31に供給される。
【0015】
データ収集部31は、架台制御部21による制御に従って、X線検出器15を介して電気信号をビュー(view)毎に収集する。よく知られているように、ビューは、回転軸R1周りの架台回転部11の回転角度に対応する。また、信号処理的には、ビューは、架台回転部11の回転時におけるデータのサンプリング点に対応する。データ収集部31は、収集されたアナログの電気信号をデジタルデータに変換する。デジタルデータは、生データと呼ばれている。生データは、非接触型の伝送部33により所定ビュー毎にコンソール40に供給される。
【0016】
架台制御部21は、コンソール40内のシステム制御部51による指示に従って、架台10に搭載された各種機器の制御を統括する。架台制御部21は、回転駆動部19、高電圧発生部25、オイルクーラ27、冷却ファン29、及びデータ収集部31を制御する。
【0017】
コンソール40は、前処理部41、再構成部43、表示部45、操作部47、記憶部49、及びシステム制御部51を備える。前処理部41は、伝送部33から伝送された生データに対数変換や感度補正等の前処理を施す。前処理が施された生データは、投影データと呼ばれる。再構成部43は、投影データに基づいて被検体に関する画像データを再構成する。表示部45は、再構成部43により発生された画像データを表示機器に表示する。操作部47は、入力機器によるユーザからの各種指令や情報入力を受け付ける。記憶部49は、生データや投影データ、画像データを記憶する。また、記憶部49は、制御プログラムを記憶している。システム制御部51は、記憶部49に記憶されている制御プログラムを読み出してメモリ上に展開し、展開された制御プログラムに従って各部を制御する。
【0018】
次に、本実施形態に係る架台10の構造について説明する。
【0019】
図2は、概略的な架台1の斜視図である。なお、
図2においては、カバーが取り外された架台10が示されている。
図2に示すように、架台10は、架台回転部11と架台固定部60とを有している。
図3は、概略的な架台回転部11の斜視図であり、
図4は、概略的な架台固定部60の斜視図である。
【0020】
図2及び
図3に示すように、架台回転部11は、中央に開口11aが形成された略円筒形の回転フレーム12を有している。回転フレーム12には、X線管13、X線検出器15、高電圧発生部25、オイルクーラ27、冷却ファン29、データ収集部31、及び伝送部33等の各種機器を取り付けるための穴または凹部が形成されている。回転フレーム12は、アルミニウム等の金属により形成される金属枠である。X線管13、X線検出器15、高電圧発生部25、オイルクーラ27、冷却ファン29、データ収集部31、及び伝送部33等の各種機器は、架台固定部60に設けられた架台制御部21(図示せず)からの電力の供給を受けて作動する。X線管13とX線検出器15とは開口11aを挟んで対向するように回転フレーム12に取り付けられる。オイルクーラ27は、X線管13との間でオイルの流路(図示せず)で接続されている。オイルは、この流路を介してX線管13とオイルクーラ27との間を循環する。オイルクーラ27は、X線管13により熱せされたオイルを吸入し、吸入されたオイルを冷却し、冷却されたオイルを流路を介してX線管13に供給する。オイルクーラ27は、オイルの循環によりX線管13を冷却する。図示はしないが、オイルクーラ27には吸気口(以下、オイルクーラ吸気口と呼ぶ)、排気口(以下、オイルクーラ排気口と呼ぶ)、及びファン(以下、オイルクーラ冷却ファンと呼ぶ)が設けられている。オイルクーラ27は、オイルクーラ冷却ファンにより架台10内部の空気を吸い上げ、吸い上げられた空気をオイルクーラ吸気口から吸入する。吸入された空気によりオイルクーラ27が冷却される。オイルクーラ27により吸入された空気は、オイルクーラ排気口から架台10内部に排出される。
【0021】
図4に示すように、架台固定部60は、メインフレーム61、ベーススタンド63、及び架台アーム65を有している。メインフレーム61は、回転軸R1周りに架台回転部11を回転可能に支持している。メインフレーム61は、アルミニウム等の金属により形成されている金属枠である。メインフレーム61の中央には開口61aが形成されている。メインフレーム61における開口61aの縁部61bの内周側には、図示しないスリップリング機構が取り付けられている。メインフレーム61と回転フレーム12とは、ベアリング等を介して回転自在に接続される。架台回転部11の各種装置には、スリップリング機構を介して電力が供給される。
【0022】
ベーススタンド63は、CT撮影室の床面に据え付けられている。ベーススタンド63は、メインフレーム61を床面から離反して支持する。ベーススタンド63は、例えば、二つの立設フレーム631と接続フレーム633とを含んでいる。二つの立設フレーム631は、メインフレーム61の両側面に取り付けられ、直立して床面に設置される。接続フレーム633は、二つの立設フレーム631によるメインフレーム61の支持を強固にするため、二つの立設フレーム631を接続する。ベーススタンド63は、アルミニウム等の金属により形成される。
【0023】
二つの架台アーム65は、回転軸R1に直交し床面に平行する水平軸R2回りに傾斜(チルト)可能にメインフレーム61を支持している。二つの架台アーム65は、架台回転部11が水平軸R2に交わるように配置されるので、メインフレーム61が水平軸R2から回転軸R1方向に離反するようにメインフレーム61を支持している。各架台アーム65は、ベーススタンド63の上部に取り付けられ、ベーススタンド63とメインフレーム61とを結合している。メインフレーム61のチルトにより、回転軸R1及び水平軸R2に直交する垂直軸R3が床面に対して傾斜する。架台アーム65は、カバー内の図示しない駆動装置からの駆動信号の供給を受けてメインフレーム61をチルトする。架台アーム65は、アルミニウム等の金属により形成される。
【0024】
図5は、架台10の外観を示す斜視図である。
図5に示すように、架台回転部11と架台固定部60とは、カバー70により覆われている。具体的には、カバー70は、上部カバー70−1、右側面カバー70−2、左側面カバー70−3、底部カバー70−4、及び下部カバー70−5を有している。架台内部の空気を排出するための複数の開口部(以下、排出用開口部)71がカバー70の局所領域RLに限定して形成されている。局所領域ALは、上部カバー70−1における架台回転部11の外周に正対する領域から回転軸R1に沿ってずれた位置に設けられる。すなわち、排出用開口部71は、上部カバー70−1における架台回転部11の外周に正対する領域から回転軸R1に沿ってずれた位置に設けられる。例えば、局所領域RLは、
図5に示すように、0°位置を包含する単一の領域である。この場合、複数の排出用開口部71は、上部カバー70−1に形成される。下部カバー70−5は、架台回転部11が水平軸R2回りにチルトしている時、外部から架台回転部11の底部分が見えることを防止するために取り付けられる。下部カバー70−5には、吸気用の複数の開口部(以下、吸気用開口部と呼ぶ。
図5には図示せず。)が形成される。架台内部の空気に比して低温の外気は、複数の吸気用開口部から架台10内部に吸入される。そして、架台10内部の空気は、複数の排出用開口部71から排出される。
【0025】
回転停止時においては、オイルクーラ冷却ファンにより架台10内部の空気を複数の排出用開口部71から放出することができる。しかしながら、架台回転時においては、架台10内部は温度が空間的に一様となり、オイルクーラ冷却ファンのみでは、架台10内部の空気を複数の排出用開口部71から放出することができない。そのため、
図2及び
図4に示すように、オイルクーラ冷却ファンとは別に、複数の冷却ファン29がメインフレーム61に取り付けられている。複数の冷却ファン29は、架台10内部の空気の排出効率を高めるため、複数の排出用開口部71の近傍に配置される。換言すれば、複数の排出用開口部71と複数の冷却ファン29とは、略同一の角度位置に取り付けられる。上記のように、複数の排出用開口部71がカバー70の最上部に設けられている場合、複数の冷却ファン29は、複数の排出用開口部71の直下に配置される。典型的には、一つの排出用開口部71について一つの冷却ファン29が設けられる。
【0026】
図2及び
図4に示すように、複数の
冷却ファン29は、例えば、メインフレーム61に設けられた載置板67に設けられる。載置板67は、回転軸R1に沿って架台回転部11とは逆方向に延設されている。載置板67は、メインフレーム61とは個別に形成されても良いし、一体に形成されても良い。これにより排出用開口部71を、架台回転部11の真上から回転軸R1に沿って架台回転部11の配置位置とは逆方向に配置することができる。すなわち、排出用開口部71は、架台回転部11の外周からずれた位置に配置される。この構造により、架台回転部11の外周に冷却ファン29が設けられていた従来に比して、架台10全体の径を回転フレーム12の径に近づけることが可能となり、架台10を小規模に設計することができる。また、架台回転時においては、架台回転部11の回転とオイルクーラ27の駆動とにより非常に大きな騒音が発生する。本実施形態に係る複数の排出用開口部71は、架台回転部外周に複数の排出用開口部が形成されていた従来例に比して、主要な音源である架台回転部11とオイルクーラ27とから比較的離反している。従って、本実施形態に係る架台10は、従来に比して、架台回転時における騒音が軽減される。
【0027】
架台回転部11の回転停止時においても、オイルクーラ27を冷却する必要がある。オイルクーラ27を効率良く冷却するため、架台制御部21は、架台回転部11の回転停止時にオイルクーラ27を略0°位置に配置する。以下、オイルクーラ27の位置決め制御について説明する。
【0028】
図6は、架台10を正面から見た模式的な平面図である。
図6に示すように、複数の排気用開口部71と複数の冷却ファン29とが0°位置に集約して設けられている。具体的には、複数の排気用開口部71は、上部カバー70−1の最上部に位置する局所領域に形成されている。複数の冷却ファン29は、複数の排気用開口部71の近傍のメインフレーム61に取り付けられている。換言すれば、複数の冷却ファン29は、略0°位置に配置されている。回転停止時において、オイルクーラ27が略0°位置に配置されている。オイルクーラ27が略0°位置に配置されていることに伴い、X線検出器15は、略180°からずれた位置に配置されている。架台回転部11の回転フレーム12の下方には、架台回転部11を覆うように下部カバー70−5が取り付けられている。下部カバー70−5には吸気用開口部73が形成されている。
【0029】
架台制御部21は、架台10の回転停止指示がなされたことを契機として、架台回転部11の回転を停止するように回転駆動部19を制御する。回転停止指示は、ユーザにより操作部47を介して手動的に発行されても良いし、スキャンシーケンスに従ってシステム制御部51から自動的に発行されても良い。架台回転部11の回転停止制御の際、架台制御部21は、オイルクーラ27の基準位置が0°で停止するように回転駆動部19を制御する。オイルクーラ27の基準位置は、例えば、オイルクーラ27の回転軸R1回りの周方向に関する中心点や端点等の任意の位置に設定可能である。オイルクーラ27が0°に停止された場合、
図6に示すように、X線管13は0°からずれた位置に配置され、X線検出器15は180°からずれた位置に停止されることとなる。
【0030】
なお、
図6に示すように、右側面カバー70−2と回転フレーム12との間に右側の架台アーム65が配置され、左側面カバー70−3と回転フレーム12との間に左側の架台アーム65が配置されている。本実施形態に係る架台アーム65は、回転フレーム12の外周形状に沿う円弧形状を有している。これにより、側面カバー70−2,70−3と回転フレーム12との間の空間を可能な限り狭めることを実現し、ひいては、架台10の外形サイズを低減することができる。また、後述するように、側面カバー70−2,70−3と回転フレーム12との間の空間を可能な限り狭めることにより、この空間に空気を流通させづらくすることが可能となる。
【0031】
次に、本実施形態に係る架台10の回転停止時における空気の流れについて説明する。
図7は、架台10を正面から見た、空気の流れが矢印で示された模式的な平面図である。
図8は、架台10を側面上方から見た、空気の流れが矢印で示された模式的な平面図である。
図7及び
図8には、空気の流れが矢印で示されている。
【0032】
図7及び
図8に示すように、まず、架台10内部の空気に比して低い温度の空気が、下部カバー70−5の複数の吸気用開口部73から架台10内部に吸入される。架台10内部に入った空気は、架台10内部に構築された複数の流路を流れる。架台10内部の流路は、3つに大別される。第1の流路(実線の矢印)は、まず、X線検出器15及びデータ収集部31を通過し、開口部11aに沿って上昇し、オイルクーラ27のオイルクーラ吸気口に到達する流路である。第2の流路(点線の矢印)は、回転フレーム12の側面と架台固定部60との間、またはその近傍を通って、側面カバー73,75に沿って上昇する流路である。なお、上述のように、架台アーム65を円弧形状にすること等により、回転フレーム12と側面カバー73,75との間の隙間は、可能な限り狭くなるように設計されている。すなわち、第2の流路は、第1の流路に比して狭い。第3の流路(一点鎖線の矢印)は、回転フレーム12の背面とメインフレーム61との間の隙間を上昇する流路である。架台小規模化の観点から、回転フレーム12とメインフレーム61とが互いに干渉しないように、回転フレーム12とメインフレーム61との間の隙間は、最小になるように設計されている。従って第3の流路も第1の流路に比して狭くなっている。このように、第2の流路と第3の流路とは、空気の流路としては狭く設計されている。このため、架台10内部に構築された流路のうち最も主要な流路は、第1の流路となる。
【0033】
図7及び
図8に示すように、まず、架台10内部の空気に比して低い温度の空気が、下部カバー70−5の吸気用開口部73から架台10内部に吸入される。吸気用開口部73から吸入された空気の大部分は、第2の流路と第3の流路とが狭いため第1の流路を通る。上述のように、オイルクーラ27が0°位置に配置されていることに伴い、X線検出器15は、略180°からずれて配置されている。従って、X線検出器が略180°位置に配置されていた従来に比して、X線検出器15の上部に空気が流れやすく、X線検出器15の上部に空気のよどみ点が発生しづらい。その結果、X線検出器15やデータ収集部31を効率良く冷却することができる。第1の流路を通って上昇した空気は、オイルクーラ27のオイルクーラ吸気口でオイルクーラ冷却ファンにより上方へ吸い上げられ、オイルクーラ排気口から最上部へ排出される。排出された空気は、オイルクーラ27近傍に配置された冷却ファン29により即時的に架台10の外部へ排出される。
【0034】
上記の通り、本実施形態に係る架台10は、複数の排気用開口部71と複数の冷却ファン29とを一箇所に集約した構造を有している。この構造により架台10は、排気用開口部71と冷却ファン29とが複数個所に分散していた従来例とは異なり、空気の排出箇所を一箇所に制限している。典型的には、複数の排気用開口部71と複数の冷却ファン29とは、最も空気が集約され排出され易い架台10最上部に設けられる。架台回転部11の回転停止時において、複数の排気用開口部71と複数の冷却ファン29との設置箇所の近傍にオイルクーラ27が配置される。従って回転停止時において、オイルクーラ27により熱せられた空気を即座に架台10から排出することができる。また、複数の排気用開口部71は、架台小規模化の観点から架台回転部11の外周よりもメインフレーム61側にオフセットされた位置に設けられている。これにより、冷却効率を低下することなく、主要な騒音源である架台回転部11とオイルクーラ27とから排気用開口部71を離反させることができる。結果的に、騒音の抑制が実現する。また、架台10の各構成要素の最適構造・配置による架台小規模化に伴い、架台10内部に吸入された空気の大部分を第1の流路に流すことを可能にする。上述のように第1の流路は、架台10に含まれる構成要素の主要な熱源の大部分を装備する架台回転部11の内部を通る。また、X線検出器15が略180°位置からずれている。従って架台10は、従来例においては空気のよどみ点が発生していたX線検出器15やデータ収集部31の上部に積極的に空気を送り込むことができる。結果として、架台小規模化を実現しつつ冷却効率向上も実現することができる。
【0035】
かくして本実施形態によれば、架台10内部の冷却効率の向上を可能とするX線コンピュータ断層撮影装置1を提供することが実現する。
【0036】
(変形例1)
上記の説明において、複数の排気用開口部71と複数の冷却ファン29とは、架台10に設けられるとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、冷却効率に問題が無いのであれば、カバー70の局所領域に単一の排気用開口部71が設けられても良く、メインフレーム61の単一の排気用開口部71の近傍に単一の冷却ファン29が設けられても良い。
【0037】
(変形例2)
上記の説明において、複数の排気用開口部71と複数の冷却ファン29とは、具体的には0°位置に設けられるとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、冷却効率に問題が無いのであれば、複数の排気用開口部71と複数の冷却ファン29とは、0°位置以外の如何なる位置に設けられても良い。
【0038】
(変形例3)
上記の説明において、複数の排気用開口部71と複数の冷却ファン29とは、架台回転部11の外周よりもメインフレーム61側にずれた位置に設けられるとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。複数の排気用開口部71と複数の冷却ファン29とは、騒音の低減の観点からいえば、架台回転部11の外周からメインフレーム61側の反対側にずれた位置に設けられても良い。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。