特許第6334923号(P6334923)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6334923
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】粉塵セパレータ
(51)【国際特許分類】
   B04B 1/02 20060101AFI20180521BHJP
   B04C 5/08 20060101ALI20180521BHJP
   B04C 5/26 20060101ALI20180521BHJP
   B04C 11/00 20060101ALI20180521BHJP
   B04B 11/02 20060101ALI20180521BHJP
   F23J 15/00 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   B04B1/02
   B04C5/08
   B04C5/26
   B04C11/00
   B04B11/02
   F23J15/00 Z
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-3540(P2014-3540)
(22)【出願日】2014年1月10日
(65)【公開番号】特開2015-131265(P2015-131265A)
(43)【公開日】2015年7月23日
【審査請求日】2016年10月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】591214044
【氏名又は名称】村松風送設備工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】特許業務法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村松 瑞夫
(72)【発明者】
【氏名】白柳 伊佐雄
【審査官】 高橋 成典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−210389(JP,A)
【文献】 特開2004−097942(JP,A)
【文献】 実開平03−052599(JP,U)
【文献】 特開昭59−80375(JP,A)
【文献】 特公昭48−662(JP,B1)
【文献】 特公昭47−26814(JP,B1)
【文献】 特開2003−326195(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B04B 1/00 − 15/12
B04C 1/00 − 11/00
F23J 13/00 − 99/00
B01D 45/00 − 45/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケース内上部に設けられ、含塵排ガスまたは含塵空気が接線方向から流入される固定サイクロンと、
この固定サイクロンの下方に設けられた回転サイクロンと、
この回転サイクロンを回転軸廻りに回転駆動させる駆動モータとを有し、
前記固定サイクロンは、前記含塵排ガスまたは含塵空気が流入する外筒部と、前記回転サイクロン内で含塵排ガスまたは含塵空気から遠心力作用を受けて分離除去された排ガスの排出を案内する内筒部とを備え、
前記内筒部は、外筒部内を下方に突出し、前記回転サイクロンの円筒部内に、その円筒部の軸方向長さの1/2から2/3の範囲で終端し、開口しており、
前記回転サイクロンはスリーブ状円筒部と切頭円錐状の逆円錐部とを一体に備え、
前記逆円錐部の下方に前記含塵排ガスまたは含塵空気からサイクロンの原理を用いた遠心力作用で分離除去された微細粒子を回収する粉塵回収室を設けたことを特徴とする粉塵セパレータ。
【請求項2】
前記固定サイクロンに流入される含塵排ガスまたは含塵空気の流量を計測する流量計と、
この流量計で計測された前記含塵排ガスまたは含塵空気の流量から前記駆動モータの回転駆動量を算出するCPUとを備え、
前記CPUは、前記回転サイクロン内を螺旋状に旋回する前記含塵排ガスまたは含塵空気の旋回流の流速が前記回転サイクロンの円筒部の内周壁面速度と一致するように前記駆動モータを可変速可能に調節制御された請求項1に記載の粉塵セパレータ。
【請求項3】
前記回転サイクロンは、その円筒部の軸方向長さが前記円筒部の直径と等しいかあるいは前記円筒部の直径以上に構成され、
前記回転サイクロンの円筒部内で含塵排ガスまたは含塵空気の旋回流が複数回螺旋状下向きに旋回するように構成された請求項1または2に記載の粉塵セパレータ。
【請求項4】
前記固定サイクロンの内筒部は、流出ダクトを介して排気ファンの吸込口に接続され、
前記排気ファンの吸気負圧が固定サイクロンの内筒部内に作用するように構成された請求項1に記載の粉塵セパレータ。
【請求項5】
前記固定サイクロンの外筒部は、前記回転サイクロンのスリーブ状円筒部内に挿入され、かつ前記スリーブ状円筒部と前記固定サイクロンの外筒部との間に微小周間隙を形成して嵌め合された請求項1に記載の粉塵セパレータ。
【請求項6】
固定サイクロンと回転サイクロンとから構成される請求項1ないし5のいずれか1項に記載の粉塵セパレータを複数台備え、これら複数台の粉塵セパレータは、前記固定サイクロンの流出ダクトが次段の固定サイクロンの流入ダクトに接続されて直列多段状に構成されたことを特徴とする粉塵セパレータ。
【請求項7】
産業用ゴミ、家庭用ゴミの廃棄物を燃焼させる燃焼器と、
この燃焼器で燃焼された含塵排ガスを流入させ、含塵排ガスにサイクロンの原理を用いた遠心力作用により、微細粉塵を分離させる粉塵セパレータと、
前記粉塵セパレータで微細粒子が分離され、取り除かれた排ガスを吸引して大気中に放出する排気ファンとを有し、
前記粉塵セパレータは請求項1ないし6のいずれか1項に記載の粉塵セパレータが用いられたことを特徴とする廃棄物処理プラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガス等の気体から粉塵等の微細粒子をサイクロンの原理を用いて効率的に分離除去する、固定サイクロンと回転サイクロンを組み合せた粉塵セパレータ技術に関する。
【背景技術】
【0002】
含塵空気や含塵排ガスの気体からサイクロンの原理を利用して粉塵等の微細粒子(浮遊微粒子)に遠心力を働かせて分離し、集塵する技術にサイクロン集塵機がある。
【0003】
サイクロン集塵機は、含塵空気や含塵排ガスを円筒容器の接線方向から流入させて流入含塵空気や含塵排ガスに旋回運動を生じさせ、含塵空気や含塵排ガスの旋回運動によって遠心力場を形成して、粉塵等の微細粒子を分離除去している。
【0004】
サイクロン集塵機は、含塵空気や含塵排ガスを円筒容器の固定された静止内壁面に沿って旋回させて、静止内壁面に微細粒子(粉塵粒子や浮遊微細子)を遠心力沈降させる構造である。
【0005】
しかし、サイクロン集塵機では、円筒容器の円筒内壁面が静止している固定サイクロンが一般的である(特許文献1および2参照)。固定サイクロンのように、円筒容器の内壁面が静止しているために、固定された静止内壁面近傍で含塵空気や含塵排ガスの回転速度が急激に減少し、静止内壁面近傍領域での遠心力集塵効果が著しく低下し、集塵効率を低下させる大きな原因となっている。
【0006】
また、サイクロン集塵機の中には、ボックス状の本体ケース内に多孔有底外筒をインナードラムとして回転自在に設け、この外筒内に排ガス流路を形成する円筒を収容した回転サイクロンのミストセパレータがある。このミストセパレータは、排ガス中に含まれるオイルミストや煤塵を捕集する技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013−31820号公報
【特許文献2】特開2009−189965号公報
【特許文献3】特開2006−43534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1および2に記載のように、固定サイロクンを備えたサイクロン集塵機は、固定サイクロンの円筒内壁面が静止しており、固定された非回転の静止内壁面を構成している。このため、固定サイクロンの静止内壁面近傍で含塵排ガスや含塵空気の回転速度が急激に減少して、無い壁面近傍領域での遠心力集塵効果が減少して集塵効率が低下する要因となっていた。この種の固定サイクロンでは、例えば5μm〜8μm以下の微細粒子の捕集効率が低下する原因となっていた。
【0009】
また、特許文献3に記載のサイクロン集塵機は、多孔外筒を備えたインナードラムを回転可能に収容して回転サイクロンを構成しており、この回転サイクロンは、そのインナードラムを多孔有底外筒で形成したり、外孔外筒と内筒の間に多数のフィンを設けたり、さらに、回転軸上部に複数の羽根を取り付ける必要があり、サイクロン集塵機の構成が複雑となり、組立が繁雑で困難性を伴い、長時間を要する。
【0010】
さらに、特許文献3に記載のサイクロン集塵機では、回転サイクロンの構成するインナードラムの内壁面の速度を、含塵排ガスや含塵空気との旋回速度との関係で調節制御する着想や発想は存在しない。
【0011】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、固定サイクロンと回転サイクロンとを組み合せて、回転サイクロン円筒部の内周壁を所要の速度で回転させ、含塵排ガスや含塵空気から微細粒子を効率的に分離させ、微細粒子の捕集効率を向上させた粉塵セパレータ技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る粉塵セパレータは、上述した課題を解決するために、本体ケース内上部に設けられ、含塵排ガスまたは含塵空気が接線方向から流入される固定サイクロンと、この固定サイクロンの下方に設けられた回転サイクロンと、この回転サイクロンを回転軸廻りに回転駆動させる駆動モータとを有し、前記固定サイクロンは、前記含塵排ガスまたは含塵空気が流入する外筒部と、前記回転サイクロン内で含塵排ガスまたは含塵空気から遠心力作用を受けて分離除去された排ガスの排出を案内する内筒部とを備え、前記内筒部は、外筒部内を下方に突出し、前記回転サイクロンの円筒部内に、その円筒部の軸方向長さの1/2から2/3の範囲で終端し、開口しており、前記回転サイクロンはスリーブ状円筒部と切頭円錐状の逆円錐部とを一体に備え、前記逆円錐部の下方に前記含塵排ガスまたは含塵空気からサイクロンの原理を用いた遠心力作用で分離除去された微細粒子を回収する粉塵回収室を設けたことを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明に係る粉塵セパレータは、上述した課題を解決するために、請求項1ないしのいずれか1項に記載の粉塵セパレータを複数台備え、これら複数台の粉塵セパレータは、前記固定サイクロンの流出ダクトが次段の固定サイクロンの流入ダクトに接続されて直列多段状に構成されたことを特徴とするものである。
【0014】
さらに、本発明に係る廃棄物処理プラントは、上述した課題を解決するために、産業用ゴミ、家庭用ゴミの廃棄物を燃焼させる燃焼器と、この燃焼器で燃焼された含塵排ガスを流入させ、含塵排ガスにサイクロンの原理を用いた遠心力作用により、微細粉塵を分離させる粉塵セパレータと、前記粉塵セパレータで微細粒子が分離され、取り除かれた排ガスを吸引して大気中に放出する排気ファンとを有し、前記粉塵セパレータは請求項1ないしのいずれか1項に記載の粉塵セパレータが用いられたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明においては、固定サイクロンと回転サイクロンとを組み合せた粉塵セパレータにより含塵排ガスまたは含塵空気から微細粒子を、サイクロンの原理を用いた遠心力作用で効率的に分離除去して回収することができ、微細粒子の捕集効率を向上させることができる。
【0016】
特に、粉塵セパレータは固定サイクロンに組み合された回転サイクロンを用いて、回転サイクロンの円筒部の内周壁面速度を含塵排ガスまたは含塵空気の旋回流速度と一致するように調節制御したので、回転サイクロンの内周壁近傍領域の遠心力集塵効果を低下させることもなく、微細粒子(浮遊粒子)の捕集効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】粉塵セパレータを備えた廃棄物処理プラントの全体構成図。
図2】固定サイクロンと回転サイクロンとを組み合せた粉塵セパレータの第1の実施形態を示す縦断面図。
図3図2に示された粉塵セパレータの平面図。
図4】粉塵セパレータの固定サイクロン内で含塵排ガス(含塵空気)から微細粒子を捕集するサイクロンの原理を示す説明図。
図5】固定サイクロンのみからなる粉塵セパレータの例を示す微細粒子の(粒子種別)捕集率曲線Aを示す図。
図6】粉塵セパレータの回転サイクロン内での含塵排ガス(含塵空気)から微細粒子を捕集するサイクロンの原理を示す説明図。
図7】固定サイクロンと回転サイクロンとを組み合せた粉塵セパレータの第2の実施形態を示す縦断面図。
図8図7に示された粉塵セパレータの平面図。
図9図7に示された粉塵セパレータの回転サイクロンの下方部支持構造を示す縦断面図。
図10】固定サイクロンと回転サイクロンとを組み合せた粉塵セパレータの第3の実施形態を示す縦断面図。
図11図10に示された粉塵セパレータの平面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本発明に係る粉塵セパレータを備えた廃棄物処理プラント示す構成図である。
【0020】
この廃棄物処理プラント10は、重油等の燃料を用いて産業用ゴミや家庭用ゴミ等の廃棄物を燃焼させる燃焼器11と、この燃焼器11で燃焼された高温、例えば800℃〜900℃の含塵排ガスを(冷却水を用いて)冷却する冷却器12と、この冷却器12で例えば300℃程度に冷却された含塵排ガスのガス流量を測定する流量計13と、含塵排ガスに含まれる煤塵等の浮遊微粒子(微細粒子)の粉塵粒子量を測定する煤塵計14と、含塵排ガス中の粉塵粒子に遠心力を働かせて集塵し、セパレートする粉塵セパレータ15と、この粉塵セパレータ15で粉塵粒子がセパレートされ、除去された排ガス中に残された残存粉塵粒子量を測定する煤塵計16と、粉塵セパレータ15で粉塵粒子が除去された排ガスを吸引し、清浄な排ガスをサイレンサ18を介して大気中に放出する排気ファン17とを有する。粉塵セパレータ15で粉塵がセパレートされ、分離除去された排ガスは、例えば250℃程度に温度降下して大気中に放出される。
【0021】
[第1の実施形態]
図2および図3は、本発明に係る粉塵セパレータ15の第1の実施形態を示すものである。この粉塵セパレータ15は含塵排ガスから煤塵等の浮遊微粒子(微細粒子)を分離除去して回収するセパレータ集塵機である。この粉塵セパレータ15は、有蓋固定ドラム状で下端が開口した固定サイクロン19と回転ドラム状の回転サイクロン20とを上下に組み合せて構成される。粉塵セパレータ15は、主要の外観仕様の幅・奥行き・高さが一例として700mm×700mm×2500mmの寸法に構成され、筒状ケーシング構造あるいはフレーム枠構造に組み立てられた本体ケース21を有する。本体ケース21は上部に固定サイクロン19を有し、この固定サイクロン19の下部に回転サイクロン20が回転自在に設けられる。固定サイクロン19は例えば外径460mmφ、高さ300mm程度に鋼板の製缶加工で有蓋ドラム状に形成される。
【0022】
固定サイクロン19の頂部には駆動モータ22が設置される。駆動モータ22はコントローラとしてのCPU23(図1)により、図示しないインバータ装置で駆動される可変速モータであり、駆動モータ22のモータ軸は直接あるいはユニバーサルジョイント(図示せず)を介して回転シャフト24に連結され、この回転シャフト24が回転駆動されるようになっている。CPU23は、含塵排ガスの流量が流量計13にて計測され、この流量計13の計測流量に応じて駆動モータ22のモータ回転量が後述するように調節制御される。
【0023】
また、粉塵セパレータ15の下部には、回転サイクロン20の遠心力作用で含塵排ガスから分離除去された粉塵粒子を回収する粉塵回収室25が形成される。粉塵回収室25は本体ケース21に着脱自在に収納されるようにしてもよい。
【0024】
粉塵セパレータ15で粉塵粒子が分離除去された排ガスは、排気ファン17のモータ駆動に伴う吸気負圧により吸引される。排気ファン17に吸引される排ガスは、途中に煤塵計16が設けられて、この煤塵計16(図1)により残存粉塵粒子量が計測された後、排気ファン17により例えば250℃程度の温度となって大気中に放出される。
【0025】
一方、粉塵セパレータ15に設けられた駆動モータ22からの回転シャフト24は、図2に示すように、固定サイクロン19を貫いて回転サイクロン20内に延出されており、回転シャフト24は上端部と下端部の両端部がベアリング31,32により回転自在に支持される。回転シャフト24の中間部は、平面視十字フレーム状のクロスサポート33,34が軸方向上部および下部にそれぞれ一体に設けられる。これらのクロスサポート33,34により回転シャフト24は、回転サイクロン20のスリーブ状円筒部(胴部)43および切頭円錐状の逆円錐部44に固定される。これにより、駆動モータ22のモータ駆動により回転サイクロン20は回転シャフト24廻りに回転駆動される。
【0026】
回転サイクロン20は、下端が本体ケース21の粉塵回収室25を臨むように開口しており、固定サイクロン19および回転サイクロン20でセパレートされて沈降した微細粒子の粉塵粒子を粉塵回収室25に回収している。
【0027】
また、サイクロン集塵機としての粉塵セパレータ15は、固定サイクロン19がスリーブ状あるいは円筒ドラム状の外筒部36と、排ガス流出ガイド筒を形成する内筒部37とが同心円状に構成される。固定サイクロン19の内外筒間の間隙は、上部集塵域38を形成しており、この上部集塵域38に接線方向からの流入ダクト39の排ガス入口40が開口している。流入ダクト39の排ガス入口40は、矩形の縦長開口を有し、例えば入口幅125mm×高さ250mm程度に構成される。
【0028】
さらに、サイクロン集塵機としての粉塵セパレータ15の内筒部37はその外筒部36から下方に突出しており、回転サイクロン20のスリーブ状円筒部あるいは胴部43の途中で終端している。固定サイクロン19の内筒部37の突出量は、スリーブ状円筒部43の軸方向長さの1/2付近、好ましくは1/2から2/3の範囲で終端し、開口している。
【0029】
固定サイクロン19は、下部が回転サイクロン20の頂部にインロー部で嵌め合され、嵌合部に微小間隙、例えば数mm(2mm)程度の隙間が周方向に沿って形成される。固定サイクロン19と回転サイクロン20に形成される重合せ部の軸方向長さ(重合せ幅)は例えば20mm程度である。回転サイクロン20はスリーブ状円筒部43が例えば外径500mm×高さ460mm程度で、厚さ約1.6mm程度の鋼板で形成され、スリーブ状円筒部43から下方に延びる逆円錐部44は、高さ900mm、逆円錐部44の傾斜角度が11度に構成される。回転サイクロン20は、駆動モータ22により回転速度が500〜1000rpm、例えば平均600rpm程度に可変速可能に回転調整される。具体的には、回転サイクロン20内は含塵排ガスの下部集塵域45を構成しており、下部集塵域45内を案内される排ガスの回転速度が、回転サイクロン20の内周壁の回転周速度と等しくなるように設定される。
【0030】
回転サイクロン20は、固定サイクロン19の上部集塵域38に続いて、その下方に下部集塵域45を構成している。回転サイクロン20内に形成される下部集塵域45は、内周壁自体が所要の回転速度(周速度)で回転されるようになっており、この点で固定サイクロン19のように内周壁が静止され、非回転の円筒内壁面を形成するものと異なる。
【0031】
図2および図3に示された粉塵セパレータ15では、燃焼器11からの含塵排ガスの排ガス流量を流量計13にて計測し、排ガス流量の計測結果をコントローラであるCPU23にて演算処理し、CPU23で駆動モータ22のモータ回転数を調節設定している。CPU23は、駆動モータ22のモータ回転数を演算制御し、粉塵セパレータ15の固定サイクロン19に流入した含塵排ガスが渦巻き状の旋回流となってサイクロン集塵機の粉塵セパレータ15内を例えば風速15m/secで流動するとき、回転サイクロン20内を流動する含塵排ガスの旋回流速度が、回転サイクロン20のスリーブ状円筒部43の周速度と等しくなるように、回転サイクロン20内で回転内周壁47と含塵排ガスの旋回速度との相対速度がゼロとなるように駆動モータ22のモータ回転速度が調節設定される。
【0032】
燃焼器11からの含塵排ガスは、流入ダクト39の排ガス入口40から粉塵セパレータ15の固定サイクロン19に流入され、固定サイクロン19の上部集塵域38内を例えば15m/secの旋回流となって螺旋状に時計廻り(あるいは反時計廻り)に流動する。
【0033】
[第1の実施形態の作用]
固定サイクロン19に流入した含塵排ガスの旋回流は、図4に示すように、固定サイクロン19内での遠心力Fに対して、外筒部36の静止(固定)内周壁41から抗力Rが生じており、上部集塵域38内に遠心力Fと抗力Rの相反する力によって静止内周壁近傍で境界面Sが形成される。この境界面Sの存在により、含塵排ガスに含まれる微細粒子(例えば8μm以下の粒子)は、境界面Sで跳ね返されてしまい、含塵排ガスの旋回流は回転サイクロン20の下部集塵域45に導かれる。粉塵セパレータが一例として固定サイクロンのみで構成される場合、この粉塵セパレータは図5に示す捕集効率曲線Aで表わされる。例えば8μmの微細粒子の捕集率は、50%程度となる。上部集塵域38内に形成される境界面Sは、含塵排ガスによる旋回流の大きさに応じて必ずしも一定でなく、排ガス量に応じて半径方向に変化する。
【0034】
一方、回転サイクロン20は、含塵排ガス流量に応じてCPU23により駆動モータ22のモータ駆動が調節され、図6に示すように、回転サイクロン20のスリーブ状円筒部43の周速度Vが、含塵排ガスの旋回流速度vと等しくなるように調節設定される。このため、回転サイクロン20の回転内周壁(スリーブ状円筒部43)と含塵排ガスの旋回流速度との相対速度差がV≒vでゼロとなるように形成される。具体的には、回転サイクロン20のスリーブ状円筒部43の回転内周壁47に接する含塵排ガスの旋回流速度vが、回転サイクロン20のスリーブ状円筒部43と含塵排ガス(微細粒子P)の旋回流速度vの相対速度差がゼロ(V≒v)になるように調節設定される。
【0035】
このため、回転サイクロン20の下部集塵域45に案内された含塵排ガス(微細粒子P)の旋回流は、この旋回流と回転サイクロン20の内周壁面との相対速度差がほぼゼロとなるため、回転する内周壁面からの抗力を受けにくい。したがって、含塵排ガスの旋回流は、上部集塵域38のように途中に境界面Sが形成されることがなく、または少ない。下部集塵域45に導かれた含塵排ガスの旋回流は、微細粒子Pも回転サイクロン20の内周壁47に到達することができ、微細粒子Pはサイクロンの原理で遠心力作用を受けて分離され、捕集作用に寄与される。
【0036】
その上、含塵排ガスの旋回流は、螺旋状下向き流であるために下向きの力が作用し、捕集された微細粒子Pは回転サイクロン20の回転内周壁47に保持されつつ、回転内周壁47に沿って下降する。その際、回転サイクロン20の回転内周壁47は、含塵排ガスの旋回流と相対速度差が略ゼロとなる周速度Vで回転するので、含塵排ガスの旋回流が回転内周壁47から受ける抗力はほぼゼロとなり、捕集される微細粒子Pは回転サイクロン20の回転内周壁47に沿って遠心力作用を受け、スムーズに下降し、落下していく。
【0037】
しかも、回転サイクロン20の回転内周壁47は、スリーブ状円筒部(内周部)43の軸方向長さが、スリーブ状円筒部43の直径とほぼ同等か、あるいは直径以上の長さを有するので、含塵排ガスの旋回流は下部集塵域45内を複数回、例えば3回以上旋回する。含塵排ガスの旋回流による旋回流路長さを長くとることができ、長い旋回流路を通る間、含塵排ガスは回転内周壁面近傍でも遠心力作用を受けて微細粒子Pが回転内周壁47側に押し付けられてセパレートされ、効率よく捕集される。
【0038】
また、回転サイクロン20は、逆円錐部44の下端部が開放されているが、この下端開口から排ガスが流出することはない。回転サイクロン20の下部集塵域45内を旋回する排ガスの旋回流(螺旋状下向き流)は逆円錐部44の上部(入口)付近で反転して内向きの流れとなり、固定サイクロン19の内筒部37内に吸引される。固定サイクロン19の内筒部37には、排気ファン17からの吸気負圧が作用しており、この排気ファン17による吸気負圧の作用により、排ガスの旋回流は、回転サイクロン20の下部集塵域45の途中で反転し、内筒部37内に吸引される。
【0039】
このため、回転サイクロン20の下端が開口しても、この下端開口から排ガスが流出することはなく、また、大気が流入することも防止できる。回転サイクロン20の下部集塵域45は、逆円錐部44内が静圧状態に保持され、セパレートされた捕集微細粒子に渦流を生じさせることもなく、重力作用でスムーズに落下し、下端開口から粉塵回収室25に回収されて収容される。
【0040】
一方、回転サイクロン20が固定サイクロン19の内筒部37内に吸引された排ガスは、図2に示すように、吸気負圧で内筒部37内を上昇し、頂部のプレナム状マフラー室48に案内され、続いて、マフラー室48の排ガス出口49から流出ダクト50を経て排気ファン17に吸引される。流出ダクト50は途中に煤塵計16が備えられて排気ガス中に含まれる残存粉塵量が計測される。排気ファン17に吸引された排気ガスは、ファン送出口から吐出され、大気中に放出される。
【0041】
[第1の実施形態の効果]
第1の実施形態においては、粉塵セパレータ15が固定サイクロン19の下方に回転サイクロン20を備え、回転サイクロン20に案内された含塵排ガスが回転集塵域45内を旋回流となって螺旋状下向きに旋回する一方、回転サイクロン20の内周壁47の回転周速度が、含塵排ガスの旋回流速度(内周壁47に接する含塵排ガスの旋回流速度)と等しくなり、相対回転速度(回転速度差)がゼロとなるように駆動モータ22により調節設定される。したがって、回転集塵域45内を旋回する含塵排ガス中の微細粒子は、遠心力作用を受けつつ螺旋状下向きの旋回流により下向きの作用力を受けて排ガス中から効果的にセパレータされる。セパレータされた微細粒子は回転サイクロン20の内周壁47に沿って下降して落下し、排ガスから分離除去された粉塵回収室25内に効率よく回収される。その際、含塵排ガスは回転サイクロン20の回転集塵域45内を螺旋状の旋回流となって複数回、遠心力と下向きの作用力を受けながら微細粒子の分離除去作用が続けられるので、微細粒子を効率よく分離除去される。微細粒子は粒子径の大小に関わらず、例えば8μm以下の微小粒径の微細粒子でも従来の粉塵セパレータより、より効率よく分離除去して回収できる。
【0042】
[第1の実施形態の変形例]
第1の実施形態では、粉塵セパレータ15が、廃棄物処理プラント10に1台備えられた例を示したが、粉塵セパレータ15から流出する流出ダクト50の排ガス中に残存粉塵が所定量以上含まれている場合には、粉塵セパレータを複数段(例えば2段以上)接続した多段の粉塵セパレータ構成のサイクロン集塵機としてもよい。
【0043】
このサイクロン集塵機では、第1段の粉塵セパレータ15の流出ダクト50から流出する排ガス中に残存粉塵が所定量以上含まれている場合には、粉塵セパレータ15の下流側に第2段以降の粉塵セパレータ15を順次接続し、廃棄物処理プラント10は複数台の粉塵セパレータ15,15を直列状に接続して多段構造に構成し、多段の粉塵セパレータ15,15を組み合せたサイクロン集塵機としてもよい。
【0044】
変形例に示されたサイクロン集塵機では、粉塵セパレータ15,15を多段構造に接続したので、含塵排ガスから、より微小粒径の微細粒子を分離除去することができる。
【0045】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態を添付図面を参照して説明する。
【0046】
図7ないし図9は、第2の実施形態に係る粉塵セパレータを示すものである。この粉塵セパレータ15Aを説明するに当り、図1ないし図6に示された粉塵セパレータ15と同じ構成には、同一符号を付して重複する説明を省略ないしは簡略化する。第2の実施形態の粉塵セパレータ15Aは、回転サイクロン20Aの支持構造が、第1の実施形態に示された粉塵セパレータ15と異なる。
【0047】
粉塵セパレータ15Aの回転サイクロン20Aは、図7に示すように、駆動モータ22からの回転シャフト24の上部がスラストベアリング等の吊りベアリング55で固定サイクロン19の頂部に支持され、回転シャフト24は、平面視十字形フレーム上のクロスサポート33,34により、回転サイクロン20Aを回転自在に支持している。回転サイクロン20Aはスリーブ状円筒部43の下部と切頭円錐状の逆円錐部44でクロスサポート33,34を介して回転シャフト24に固定される。これにより、回転サイクロン20Aは駆動モータ22により、第1の実施形態に記載の回転サイクロン20と同様、回転駆動される。
【0048】
また、回転サイクロン20Aの下端部には、図9に示すように、リング状固定レース56が固定されており、この固定レース56は振止めローラ57により接触支持される。振止めローラ57は例えば3個が回転サイクロン20Aの下端外周部に等間隔をおいて安定的に回転接触し、回転サイクロン20Aの首振り旋回を防止している。振止めローラ57は、例えばボールベアリングのアウタレースであり、締付ボルト59などの締付手段で仕切りプレート60に回転自在に支持される。
【0049】
[第2の実施形態の作用]
第2の実施形態に示す粉塵セパレータ15Aにおいても、第1の実施形態に示された粉塵セパレータ15と同様に、回転サイクロン20Aは駆動モータ22により回転シャフト24およびクロスサポート33,34により安定的に回転駆動される。回転サイクロン20Aの内周壁47の回転速度Vが下部集塵域45内を流動する含塵排ガスの旋回流速度v(回転内周壁47に接する含塵排ガスの旋回流速度)と等しく相対周速度差がゼロになるように調節設定される。このため、含塵排ガス中の微細粒子Pは、図6に示すものと同様、旋回流に伴う遠心力と螺旋状下向流に伴う下向きの作用力が作用して、回転サイクロン20Aの内周壁47側に押し付けられる。
【0050】
含塵排ガスは、回転サイクロン20A内の下部集塵域(回転集塵域)45内を螺旋状に複数回旋回する間、微細粒子Pは遠心力と下向きの作用力を長い間受けるので、排ガスから有効的にセパレートされる。セパレートされた微細粒子Pは回転サイクロン20Aのスリーブ状円筒部43の内周壁47から逆円錐部44の内周壁に沿って下降し、逆円錐部44の下端開口から粉塵回収室25内にスムーズに回収される。
【0051】
第2の実施形態においても、1台の粉塵セパレータ15Aで微細粒子の捕集効率が充分でない場合、複数台の粉塵セパレータ15Aを多段に接続し、多段構造の粉塵セパレータ15Aを有するサイクロン集塵機を構成してもよい。
【0052】
[第2の実施形態の効果]
第2の実施形態の粉塵セパレータ15Aにおいても、含塵排ガスは、回転サイクロン20A内の下部集塵域(回転集塵域)45内で遠心力と下向き作用力が働く螺旋状下向きの旋回流により、微細粒子Pが含塵排ガスから有効的にセパレートされる。セパレートされた微細粒子Pは回転サイクロン20Aの内周壁沿いに下降し、逆円錐部44から重力作用を受けて粉塵回収室25内にスムーズに落下し、回収される。
【0053】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態を図10および図11を参照して説明する。
【0054】
図10および図11は第3の実施形態に係る粉塵セパレータを示すものである。この粉塵セパレータ15Bを説明するに当り、図7ないし図9に示す粉塵セパレータ15Aと同じ構成には、同一符号を付して重複説明を省略ないし簡略化する。
【0055】
第3の実施形態に示す粉塵セパレータ15Bは、駆動モータ22Aのモータ駆動構造が第2の実施形態に示された粉塵セパレータ15Aと異にする。
【0056】
第3の実施形態に示された粉塵セパレータ15Bは、固定サイクロン19の頂部に設置される駆動モータ22Aは、回転シャフト24をVベルト式動力伝達機構65を介して回転駆動させたものである。この点で第2の実施形態に示されたように粉塵セパレータ15Aの駆動モータ22が回転シャフト24を直接あるいはユニバーサルジョイントを介して回転駆動させたものとは相違する。
【0057】
固定サイクロン19の頂部に設置される駆動モータ22Aのモータ軸22aにはドライブプーリ66が設けられ、このドライブプーリ66はVベルト67を介して回転シャフト24に設けられたドリブンプーリ68にモータ駆動力が伝達され、回転シャフト24を回転駆動させるものである。
【0058】
また、固定サイクロン19の内筒部37の外周側に螺旋導風板70が溶接等の固定手段で固定される。螺旋導風板70は、排ガス入口40から固定サイクロン19内に流入した含塵排ガスを螺旋導風板70に沿って螺旋状の下降流となるように案内している。螺旋導風板70の下端は内筒部37の下端とほぼ等しい位置で終端している。螺旋導風板70の外周側は、回転サイクロン20Aの回転内周壁47との間に数mm、例えば2mm〜5mm程度の間隙が形成される。
【0059】
第3の実施形態に示された粉塵セパレータ15Bでは、回転サイクロン20Aを回転駆動させる回転シャフト24は、駆動モータ22Aのモータ駆動力でVベルト式の動力伝達機構65を介して駆動させられるので、駆動モータ22Aを回転シャフト24のシャフト軸上に配置する必要がなく、駆動モータ22Aの配置自由度を向上させることができる。
【0060】
また、第3の実施形態では、粉塵セパレータ15Bの回転シャフト24ひいては回転サイクロン20BをVベルト式動力伝達機構65を介して駆動させる例を説明したが、Vベルト式動力伝達機構65に代えてチェーン式動力伝達機構やギア式動力伝達機構等の動力伝達装置を介してモータ駆動力を伝達するものでもよい。なお、図10において、符号71はベアリングボックスであり、符号72はベアリングである。
【0061】
[第3の実施形態の作用]
第3の実施形態の粉塵セパレータ15Bにおいても、第2の実施形態の粉塵セパレータ15Aと同様に、回転サイクロン20Aの回転速度をCPU23により調節制御し、回転サイクロン20Aのスリーブ状円筒部(胴部)43の内周壁47の回転速度Vが回転サイクロン20B内の回転集塵域45内を螺旋状下向きに流動する含塵排ガスの旋回流速度v(回転サイクロン20Aの内周壁47に接する含塵排ガスの旋回流速度)と等しく、相対速度差がゼロとなるように調節設定される。
【0062】
したがって、第3の実施形態の粉塵セパレータ15Bは、第2の実施形態に示された粉塵セパレータ15Aと同様に、回転サイクロン20Aは駆動モータ22Aにより回転シャフト24およびクロスサポート33,34により安定的に回転駆動される。回転サイクロン20Aの内周壁47の回転速度Vが下部集塵域45内を流動する含塵排ガスの旋回流速度v(回転内周壁47に接する含塵排ガスの旋回流速度)と等しく相対周速度がゼロになるように調節設定される。旋回流速は、螺旋導風板70によって定速に制御されるため、含塵排ガス中の微細粒子Pは、図6に示すものと同様、旋回流に伴う遠心力と螺旋状下向流に伴う下向きの作用力が作用して、回転サイクロン20Aの内周壁47側に安定的でしかも強力に押し付けられる。
【0063】
その際、含塵排ガスは、回転サイクロン20A内の下部集塵域(回転集塵域)45内を螺旋状に複数回旋回する間、微細粒子Pは遠心力と下向きの作用力を長い間受けるので、排ガスから有効的にセパレートされる。セパレートされた微細粒子Pは回転サイクロン20Aのスリーブ状円筒部43の内周壁47から逆円錐部44の内周壁に沿って下降し、逆円錐部44の下端開口から粉塵回収室25内にスムーズに回収される。
【0064】
第3の実施形態においても、1台の粉塵セパレータ15Bで微細粒子の捕集効率が充分でない場合、複数台の粉塵セパレータ15Bを多段に接続し、多段構造の粉塵セパレータ15Bを有するサイクロン集塵機を構成してもよい。
【0065】
[第3の実施形態の効果]
第3の実施形態の粉塵セパレータ15Bにおいても、含塵排ガスは、回転サイクロン20B内の下部集塵域(回転集塵域)45内で遠心力と下向き作用力が働く螺旋状下向きの旋回流により、微細粒子Pが含塵排ガスから有効的にセパレートされる。セパレートされた微細粒子Pは回転サイクロン20Bの内周壁沿いに下降し、逆円錐部44から重力作用を受けて粉塵回収室25内にスムーズに落下し、回収される。
【0066】
各実施形態では、粉塵セパレータは固定サイクロンと回転サイクロンとを組合せて構成したので、含塵排ガスや含塵空気中から微細粒子をサイクロンの原理を利用した遠心力作用により6〜8ppm以下の微細粒子を効率的に分離除去し、回収させることができる。したがって、微細粒子の分離回収に特に適したものとなり、問題となっているPM2.5の浮遊微粒子などの微細粒子の分離・回収にも適するものと思料する。
【0067】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0068】
10…廃棄物処理プラント、11…燃焼器、12…冷却器、13…流量計、14…煤塵計、15,15A,15B…粉塵セパレータ(サイクロン集塵機)、16…煤塵計、17
…排気ファン、18…サイレンサ、19…固定サイクロン、20,20A,20B…回転サイクロン、21…本体ケース、22…駆動モータ、23…CPU(コントローラ)、24…回転シャフト、25…粉塵回収室、31,32…ベアリング、33,34…クロスサポート、36…外筒部、37…内筒部、38…上部集塵域(回転集塵域)、39…流入ダクト、40…排ガス入口、41…静止内周壁(固定内周壁)、43…スリーブ状円筒部(胴部)、44…逆円錐部、45…下部集塵域(回転集塵域)、47…回転内周壁、48…マフラー室、49…排ガス出口、50…流出ダクト、55…吊りベアリング、56…固定レース、57…振止めローラ(ボールベアリング)、59…締付ボルト(締付手段)、60…仕切りプレート、65…Vベルト式動力伝達機構、66…ドライブプーリ、67…Vベルト、68…ドリブンプーリ、70…螺旋導風板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11