(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
図3には、タイヤ51のリム組みの状態が示されている。
図3(a)では、タイヤ51は二点鎖線で示されている。タイヤ51が組み込まれるホイール54は、その軸が上下方向を向いた状態で、図示しないターンテーブルに固定されている。タイヤ51は、このホイール54に対して、上方からリム組みされる。まず、タイヤ51の下側のビード部52が、ホイール54の上側のリムフランジ55を通過させられる。次いで、タイヤ51の上側のビード部53が、ホイール54の上側のリムフランジ55を通過させられる。こうすることにより、タイヤ51の上下両側のビード部52、53が、ホイール54の上下両側のリムフランジ55、56に、それぞれ嵌着させられる。
図3では、リム組み作業に必要に応じて用いられるタイヤレバーや押圧ローラ等の図示が省略されている。
【0003】
リム組み時において、ビード部52、53が上側のリムフランジ55を通過させられるとき、ビードコアの周囲のゴムが、高剛性のリムフランジ55とビードコアとに挟まれる。ビードコアの周囲のゴムには、高い圧縮力及び剪断力が作用する。その結果、タイヤ51のリム組み時には、タイヤ51のビード部52、53が損傷を受ける可能性がある。
【0004】
従来、タイヤのリム組み時における、タイヤのビード部の損傷を回避するための種々の方法が提案されている。例えば、ビードコアを構成するビードワイヤの線径を大きくする方法がある。しかし、ビードワイヤの線径が大きいと、ビードコアの剛性が高くなりすぎ、ホフマン値(ビードのリム締め付け力)の低下を引き起こし、リムずれ(リム組みされたタイヤのリムに対する位置ズレ)、空気漏れ等の問題が生じるおそれがある。また、例えば、チェーファーの軸方向外側(以下、単に外側ともいう)の、クリンチ等のゴム肉厚を小さくする方法がある。しかし、このゴム肉厚を小さくすると、ビード部周辺の耐久性が低下する懸念がある。
【0005】
特開2008−296733号公報にも、タイヤのリム組み時において、ビード部が、リムフランジを乗り越える際に損傷しやすいことが記載されている。具体的には、ビード部の「ビードトゥ部」が、リムフランジに引っ掛かることにより、ゴム欠け等の損傷が生じやすいことが記載されている。「ビードトゥ部」とは、ビード部の、実質的に軸方向及び半径方向の各内側の端部である。なお、反対に、ビード部の、実質的に軸方向及び半径方向の各外側の端部が「ビードヒール部」である。
【0006】
上記公報には、ビードトゥ部の損傷を防止する方策として、タイヤの中心軸を含む平面で切ったタイヤの断面(子午線断面、子午線方向の断面ともいう)における、ビードトゥ部側の形状を、ビードベースからタイヤ内面に亘って円弧状をなすように形成することが提案されている。この構成により、リム組み時に、リムフランジが、ビード部に引っ掛かることなく円滑にビードベース側に移動しうる、というものである。
【0007】
また、特開2009−262865号公報には、リム組み性及び耐リム外れ性を向上させる方策として、横断面が略平行四辺形を呈するビードコアを採用することが提案されている。この平行四辺形の鋭角の隅部がビードヒール部側となるように、ビードコアを配置することにより、ビードトゥ部側のゴム量が増加し、ビードヒール部側のゴム量が減少するので、リム組み性及び耐リム外れ性が向上するというものである。しかし、上記いずれの技術も、ビードトゥ部の損傷を防止する方策としては十分なものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、リム組み時のビード部のゴムに生じる応力を低減し、ビード部のリムフランジに対するスムーズな乗り越えが可能となる空気入りタイヤの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る空気入りタイヤは、
タイヤ周方向に環状のビードコアが配置されたビード部を有する空気入りタイヤであって、
このビード部におけるタイヤ内側の表面のうち、タイヤの中心軸を含む平面で切った断面において、上記ビードコアの内側に対応する部位に、タイヤ半径方向に延びる接線が存在しており、
この接線が、最も内側に位置している。
【0011】
好ましくは、上記ビード部のビードベースの幅が、ビード部の最大厚さの80%以上95%以下であり、
上記ビード部の最大厚さが、上記接線と、ビード部のタイヤ外側の表面のうち最もタイヤ外側の点を通ってタイヤ半径方向に延びる最外直線との離間距離に対応しており、
上記ビードベースの幅が、上記最外直線と、ビードトゥ部を通ってタイヤ半径方向に延びる内方直線との離間距離に対応している。
【0012】
好ましくは、上記ビード部の、少なくとも、タイヤ内側表面の一部及びビードベース表面の一部を覆うチェーファーを有しており、
このチェーファーが、布とこの布に含浸したゴムとを含んでいる。
【0013】
好ましくは、上記チェーファーの含浸ゴムの厚さが0.8mm以上である。
【0014】
好ましくは、上記チェーファーのビードトゥ部からタイヤ内側への巻き上げ高さが15mm以上である。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る空気入りタイヤによれば、ビードコアの軸方向内側(以下、単に内側とも言う)に十分なゴム量が確保されるので、リム組み時にビード部のゴムに生じる応力が低減されうる。しかも、ビード部におけるタイヤ内側の表面のうち、ビードコアより半径方向内方(下方ともいう)の部分を曲面とすることが容易となる。換言すれば、ビード部の子午線断面の内側を軸方向内方に凸な円弧とすることが容易となるので、ビード部のリムフランジに対するスムーズな乗り越えが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤ1の一部を示す、子午線方向に切った断面図である。
図1において、上下方向がタイヤ半径方向(以下、単に半径方向ともいう)であり、左右方向がタイヤ軸方向(以下、単に軸方向ともいう)であり、紙面に垂直な方向がタイヤ周方向(以下、単に周方向ともいう)である。このタイヤ1は、
図1中の中心線CLに関してほぼ左右対称の形状を呈する。この中心線CLは、トレッドセンターラインとも呼び、タイヤ1の赤道面EQを表す。
【0019】
このタイヤ1は、トレッド2、サイドウォール3、クリンチ4、ビード5、カーカス6及びベルト7を備えている。このタイヤ1は、チューブレスタイプである。
【0020】
トレッド2は耐摩耗性に優れた架橋ゴムからなる。トレッド2はトレッド面8を備えている。このトレッド面8は路面と接する。トレッド面8には、周方向に延びる複数本の溝9が刻まれている。この溝9により、トレッドパターンが形成されている。
【0021】
サイドウォール3は、トレッド2の端から半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール3は架橋ゴムからなる。サイドウォール3の半径方向外側端は、トレッド2の端部と接合されている。このサイドウォール3の半径方向内側端は、クリンチ4と接合されている。サイドウォール3は、カーカス6の損傷を防止している。
【0022】
クリンチ4は、サイドウォール3の半径方向略内側に位置している。クリンチ4は、軸方向において、ビード5及びカーカス6よりも軸方向外側に位置している。クリンチ4は、リムのフランジ21(
図2参照)と当接する。クリンチ4は、耐摩耗性に優れた架橋ゴムからなる。
【0023】
カーカス6はカーカスプライ10からなる。カーカスプライ10は、両側のビード5の間に架け渡されており、トレッド2及びサイドウォール3の内側に沿っている。カーカスプライ10は、後述するビード5のビードコア(以下、単にコアともいう)11の周りを、タイヤ軸方向内側から外側に向かって折り返されている。この折り返しにより、カーカスプライ10には、主部10aと折り返し部10bとが形成される。
【0024】
図示されていないが、カーカスプライ10は、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードが赤道面EQ(CL)に対してなす角度の絶対値は、通常は、45°から90°、さらには70°から90°である。換言すれば、このカーカス6はラジアル構造を有する。カーカス6が、2枚以上のカーカスプライ10から形成されてもよい。上記コードは有機繊維からなる。好ましい有機繊維として、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
【0025】
ベルト7はカーカス6の半径方向外側に位置している。ベルト7は、トレッド2の半径方向内側においてカーカス6に積層されている。ベルト7はカーカス6を補強する。ベルト7は内層ベルト12及び外層ベルト13からなる。本実施形態では、両ベルト12、13の幅が異なっている。本実施形態では、内層ベルト12の幅が外層ベルト13の幅より広い。しかし、本発明ではかかる構成には限定されない。
【0026】
インナーライナー14はカーカス6の内側に位置している。インナーライナー14はカーカス6の内周面を覆う。インナーライナー14はタイヤ1の内周面を形成している。インナーライナー14は架橋ゴムからなる。インナーライナー14には空気遮蔽性に優れたゴムが用いられている。インナーライナー14はタイヤ1の内圧を保持する。
【0027】
ビード5は、サイドウォール3よりも半径方向略内側に位置している。ビード5は、クリンチ4の軸方向内側に位置している。ビード5は、上記ビードコア11と、このコア11から半径方向外向きに延びるエイペックス15とを備えている。コア11は、タイヤの周方向に沿ってリング状を呈している。コア11は、非伸縮性ワイヤーが巻かれてなる。典型的には、ワイヤの材質はスチールである。エイペックス15は半径方向外向きに先細りである。エイペックス15は高硬度な架橋ゴムからなる。ビード5及びその内外両側のゴムを含めた部分をビード部25と呼ぶ。すなわち、ビード部25とは、ビード5、並びに、ビード5の内外両側のクリンチ4、インナーライナー14及びチェーファー16を含めた部分である。
【0028】
チェーファー16は、ビード5の軸方向外側から半径方向内側を通り、インナーライナー14の軸方向内側に巻き上げられている。タイヤ1がリムに組み込まれると、チェーファー16はリムベース22(
図2参照)と当接する。チェーファー16は、ビード5を保護しうる。この実施形態では、チェーファー16は、布とこの布に含浸したゴムとからなる、いわゆるキャンバスチェーファーである。チェーファー16の材質をクリンチ4と同じ架橋ゴムとすることにより、このチェーファー16がクリンチ4と一体とされてもよい。しかし、布と含浸ゴムとからなるチェーファー16が、ゴム製より強度が高く、耐損傷性に優れている点で好ましい。しかも、このキャンバスチェーファー16は、ゴムのように伸びないため、加硫時においてブラダーの圧力によるゴム流れが生じない。その結果、後述するビード部25の形状、すなわち、ビード部25のタイヤ内側の表面のうちコア11の内側に対応する範囲A内に存在する部位Mが最もタイヤ内側に位置するという形状、へのコントロールが容易となる。
【0029】
上記チェーファー16のトッピングゴムの厚さは、0.8mm以上であるのが好ましい。この厚さを0.8mm以上とすることにより、コア11の内側部分の厚さをチェーファー16の厚さ分だけ厚くすることができる。この厚さが0.8mm未満であると、ビード5の損傷防止効果が低いものとなる。
【0030】
図2に示された、チェーファー16のビード部25の軸方向内側への巻き上げ高さHは、15mm以上であるのが好ましい。この巻き上げ高さHとは、ビード部25の下端(ビードトゥ部)からチェーファー16の上端までの、タイヤ半径方向高さをいう。この巻き上げ高さHが15mm未満であると、コア11の内側部分を覆うことが難しくなり、ビード部25の損傷防止効果の向上が期待できなくなる。
【0031】
図2に示されるように、このタイヤ1のビード部25は、以下の形状及び構造を有している。タイヤ1の中心軸を含む平面で切った断面(子午線断面)において、ビード部25におけるタイヤ内側の表面は、タイヤ内側に凸の円弧状、又は、複数の凸状円弧が組み合わさった形状を呈している。ビードベース17は、曲率半径の大きい曲面、平面、平面の組み合わせ、又は、これらが組み合わさった形状を呈している。ビード部25におけるタイヤ外側の表面は、曲率半径の大きい曲面、平面、平面の組み合わせ、又は、これらが組み合わさった形状を呈している。
【0032】
そして、ビード部25におけるタイヤ内側の表面のうち、半径方向においてコア11の内側に対応する範囲A内に存在する部位Mが、最もタイヤ内側に位置している。換言すれば、ビード部25におけるタイヤ内側の表面のうち、最もタイヤ内側に位置している部位(以下、最内端部位ともいう)Mが、半径方向においてコア11の内側に対応する範囲A内に存在している。すなわち、子午線断面において、ビード部25におけるタイヤ内側の表面に接するタイヤ半径方向に延びる接線Tは、半径方向において、上記コア11の内側に対応する範囲A内に存在する部位Mに接している。コア11の内側に対応する範囲A内を、以下、コア11の横ともいう。以上は、タイヤ1が単体の状態、すなわち、タイヤ1がリム組みもインフレートもされていない状態におけるビード部25の形状を規定している。上記最内端部位Mは、必然的にコア11の内側の面Fからタイヤ内方へ大きく離間してしまう。
【0033】
上記コア11の内側に対応する範囲Aとは、本実施形態では、矩形断面を有するコア11の内側に位置した面(断面における辺)Fに対応する範囲である。例えば、コアの断面が円形であれば、この円形コアのタイヤ半径方向に延びる直径に対応する範囲である。このように、軸方向内側へ投影されたコア11の像の範囲である。
【0034】
図2から明らかなように、上記形状を有するビード部25では、そのコア11の内側にあるゴムの厚さが必然的に大きくなる。上記コア11の内側のゴムとは、本実施形態ではインナーライナー14を構成するゴムである。コア11の内側のゴム14が厚くなることにより、タイヤ1のリム組み時に、リムフランジ21とコア11とに挟まれた上記ゴムに発生する応力を低減することができる。
【0035】
上記形状を有するビード部25では、そのタイヤ内側の表面に、コア11から下方に向けて湾曲するようにRを形成することが容易となる。
図2に示されるように、このRはタイヤ内側及び下方に向けて凸状を呈している。このRの終点は、ビードベース17との交点Cである。タイヤ内側の表面にこのようなRが形成されることにより、ビード部25は、タイヤ1のリム組み時に、リムフランジ21に引っ掛かりにくく、スムーズにリムフランジ21を乗り越えることができる。その結果、リム組み作業が容易となる。
【0036】
図2から明らかなように、このタイヤ1のビード部25では、そのビードベース17の軸方向幅Wが、ビード5及びその内外両側のゴムを含めた最大厚さXより小さくされている。この厚さXは、ビード5、クリンチ4、インナーライナー14及びチェーファー16を含めた最大厚さである。この最大厚さをビード部25の最大厚さXと呼ぶ。この特徴は、前述したビード部25の形状、すなわち、タイヤ内側の表面のうち、コア11の内側に対応する部位Mが最もタイヤ内側に位置している形状から、必然的に生じる。そして、このビードベース17の幅Wは、ビード部25の最大厚さXの80%以上95%以下であるのが好ましい。
【0037】
ビードベース17の幅Wが、ビード部25の最大厚さXの80%未満であると、タイヤ製造時の加硫工程で、ビードトゥ部18におけるチェーファー16が金型からはみ出るおそれがある。これは、タイヤの欠陥を招来する原因となり得る。一方、ビードベース17の幅Wが、ビード部25の最大厚さXの95%を超えると、コア11の内側にあるゴムの厚さが薄くなるとともに、前述したタイヤ内側の表面のRを形成するのが容易ではなくなる。その結果、タイヤ1のリム組み時に、前述したコア11の内側にあるゴムに発生する応力を低減する効果を期待することができなくなる。また、タイヤ1のリム組み時に、ビード部25がスムーズにリムフランジ21を乗り越えることが難しくなる。
【0038】
上記ビード部25の最大厚さXは、
図2に示されるように、上記接線Tと、ビード部25のタイヤ外側の表面のうち最もタイヤ外側の点を通ってタイヤ半径方向に延びる最外直線Loと、の離間距離に対応している。上記接線Tと最外直線Loとは平行である。本実施形態では、ビード部25のタイヤ外側の表面は、リムフランジ21が接する面であり、平面にされている。上記ビードベース17の幅Wは、上記最外直線Loと、ビードトゥ部18を通って上記最外直線Loに平行な内方直線Liと、の離間距離に対応している。図中、符号19はビードヒール部を示す。
【実施例】
【0039】
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
【0040】
[実施例1]
実施例1として、
図2に示した基本構成を備え、下記の表1に示した仕様を満たした空気入りタイヤが用意された。このタイヤのサイズは、195/85R16である。このタイヤは、そのビード部における最内端部位Mが、半径方向におけるコアの軸方向内側に対応する範囲内に存在している。この最内端部位Mの位置については、表1中に「コアの横」と記載されている。
【0041】
[実施例2]
ビードベースの幅W、及び、この幅Wとビード部最大厚Xとの比W/Xを表1に記載の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2のタイヤが用意された。
【0042】
[実施例3]
チェーファーを、表1に記載の通り、布を用いないラバー製とした他は実施例1と同様にして、実施例3のタイヤが用意された。
【0043】
[実施例4]
チェーファーのトッピングゴムの厚さを表1に記載の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例4のタイヤが用意された。
【0044】
[実施例5]
チェーファーの巻き上げ高さを表1に記載の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例5のタイヤが用意された。
【0045】
[比較例1]
表2に記載の通り、比較例1として、ビード部における最内端部位Mが、半径方向におけるコアの軸方向内側に対応する範囲から外れ、ビードの半径方向最内端に位置するタイヤが用意された。この最内端部位Mの位置については、表2中に「ビードの最下端」と記載されている。このタイヤは従来のタイヤである。このタイヤの仕様について、表2に記載の他は実施例1と同等である。
【0046】
[比較例2−4]
表2の記載の通り、比較例2から4として、ビード部における最内端部位Mが、半径方向におけるコアの軸方向内側に対応する範囲から半径方向外側に外れた位置にあるタイヤが用意された。この最内端部位Mの位置については、表2中に「コアの横より上方」と記載されている。これらのタイヤの仕様について、表2に記載の他は実施例1と同等である。
【0047】
[生産性]
タイヤの加硫後に、ビード部のゴムのはみ出しの有無及び程度、ビード部のゴムの欠けの有無及び程度、が目視検査によって確認された。さらに、これらゴムのはみ出し及び欠けの発生率が調査された。これらの検査結果に基づいて、実施例及び比較例の各タイヤの生産性が、比較例1を100とする指数によって表1及び表2に示されている。指数値が大きいほど良好である。
【0048】
[リムに対するビードの嵌合圧]
タイヤが、リム組みされ且つインフレートされた状態で、タイヤがリムに完全に嵌合した時の圧力が嵌合圧として測定された。実施例及び比較例についてのこの嵌合圧の測定値は、表1及び表2に示されている。この嵌合圧は、その単位がkPaであり、乗用車用タイヤとしては、300kPa以下が好ましい。嵌合圧が高すぎると、リム組みが困難になるおそれがあるからである。
【0049】
[耐リム外れ性能]
まず、リム組みされたタイヤの内部に空気が充填され、内圧が180kPaとされた。このタイヤのサイドウォール部にブロックを押し付けることにより、タイヤ軸方向に荷重が負荷された。この荷重が増大される過程で、ビード部がリムシートから外れたときの荷重が測定、記録された。この結果が、比較例1を100とする指数によって表1及び表2に示されている。指数値が大きいほど良好である。
【0050】
[リム組み性]
タイヤが、自動リム組み機を用いてリム組みされるときの、ビード部のクラック等の損傷の有無及び程度が目視によって確認された。これらの検査結果に基づいて、実施例及び比較例の各タイヤのリム組み性が、比較例1を100とする指数によって表1及び表2に示されている。指数値が大きいほど損傷が小さいことを示し、優れている。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
[全体評価]
表1及び表2に、実施例1から5、及び、比較例1から4の各タイヤについて、上記の各種性能評価の結果が示されている。実施例のタイヤは、比較例のタイヤに比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。