特許第6334951号(P6334951)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6334951
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】衣類乾燥機
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/02 20060101AFI20180521BHJP
【FI】
   D06F58/02 F
【請求項の数】3
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-32918(P2014-32918)
(22)【出願日】2014年2月24日
(65)【公開番号】特開2015-156943(P2015-156943A)
(43)【公開日】2015年9月3日
【審査請求日】2016年12月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鹿島 弘次
【審査官】 村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−094215(JP,A)
【文献】 特開2012−139087(JP,A)
【文献】 特開2004−313765(JP,A)
【文献】 特開2013−081637(JP,A)
【文献】 特開2003−155990(JP,A)
【文献】 特開2012−090774(JP,A)
【文献】 特開2009−195363(JP,A)
【文献】 特開2014−018502(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 58/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱と、
前記外箱内に設けられ排気口と給気口とを有する乾燥室と、
前記乾燥室外に設けられ前記排気口と前記給気口とを連通する循環風路と、
この循環風路内に設けられ前記乾燥室及びこの循環風路内の空気を循環させる送風機と、
圧縮機用モータの巻線をアルミニウム線から構成した圧縮機、凝縮器、絞り手段、蒸発器を冷媒管で閉ループに繋いで構成された冷凍サイクルを備えると共に、前記蒸発器を前記循環風路内に設け且つ前記凝縮器を前記循環風路内に前記蒸発器より空気の流れに対して下流側に設けてなるヒートポンプと、
前記圧縮機から吐出される冷媒の温度を検出する吐出冷媒温度センサと、
前記吐出冷媒温度センサによる検出温度が予め設定された所定温度以上となったときに前記圧縮機の運転能力を小さくすると共に前記送風機の送風能力を大きくする制御を行う制御手段と、
を備え
前記圧縮機の運転能力を小さくする制御を行う場合の前記所定温度と前記送風機の送風能力を大きくする制御を行う場合の前記所定温度が同じである衣類乾燥機。
【請求項2】
外箱と、
前記外箱内に設けられ排気口と給気口とを有する乾燥室と、
前記乾燥室外に設けられ前記排気口と前記給気口とを連通する循環風路と、
この循環風路内に設けられ前記乾燥室及びこの循環風路内の空気を循環させる送風機と、
圧縮機用モータの巻線をアルミニウム線から構成した圧縮機、凝縮器、絞り手段、蒸発器を冷媒管で閉ループに繋いで構成された冷凍サイクルを備えると共に、前記蒸発器を前記循環風路内に設け且つ前記凝縮器を前記循環風路内に前記蒸発器より空気の流れに対して下流側に設けてなるヒートポンプと、
前記圧縮機から吐出される冷媒の温度を検出する吐出冷媒温度センサと、
前記吐出冷媒温度センサによる検出温度が予め設定された所定温度以上となり、且つ、その検出温度の温度変化率が所定の変化率以上となったときに前記圧縮機の運転能力を小さくすると共に前記送風機の送風能力を大きくする制御を行う制御手段と、
を備えた衣類乾燥機。
【請求項3】
前記圧縮機を空冷する圧縮機用送風機を備え、
前記制御手段は、前記吐出冷媒温度センサによる検出温度が予め設定された所定温度以上となったときに前記圧縮機の運転能力を小さくすると共に前記送風機の送風能力を大きくし、さらに前記圧縮機用送風機の送風能力を大きくする制御を行う請求項1または2に記載の衣類乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、衣類乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
衣類乾燥機例えば家庭用の洗濯乾燥機においては、従来の加熱用のヒータを用いて乾燥運転を行うものに代えて、ヒートポンプを用いて乾燥運転を行うものが供されている。この洗濯乾燥機では、ヒートポンプの他に、水槽の給気口と排気口とに連通接続された循環風路と、水槽内の空気をこの循環風路を通して循環させる送風機とを備えている。前記ヒートポンプは、冷凍サイクルを備えて構成されている。冷凍サイクルは、圧縮機、凝縮器、絞り手段、蒸発器を順に冷媒管により閉ループに接続し、冷媒を圧縮機で圧縮し、絞り手段で減圧し、凝縮器で凝縮(放熱)し、蒸発器で蒸発(冷却)することを循環して行う。
【0003】
前記蒸発器は、前記循環風路内に、前記水槽の排気口側に位置し、且つ前記凝縮器はこの蒸発器よりも前記給気口側へ位置するように配設されている。従って、送風機の運転によって前記水槽の前記排気口から出た空気は、一旦、蒸発器で冷却されることで除湿され、そして、凝縮器で加熱されて(温風化されて)、水槽の給気口から水槽内に供給され、この水槽内の衣類の湿気を奪って前記排気口から出ることを繰り返す。
【0004】
このヒートポンプを用いた乾燥は、ヒータを用いた乾燥に比べて、エネルギー効率に優れると共に、加熱温度が低く、しわや縮みが少ない等のメリットがある。
一方、圧縮機から吐出される冷媒の温度が過度に上昇すると、冷凍サイクルの冷却作用が極端に低下し冷凍サイクルが正常に稼働しなくなることから、圧縮機における冷媒吐出温度が予め設定された上限温度に達したときに冷凍サイクルを含めたヒートポンプの稼働を停止(ヒートポンプ異常時停止機能)するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−139087号公報
【特許文献2】特開2003−184775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したヒートポンプを搭載した洗濯乾燥機では、コストの低減を図る観点から、各種の見直しが図られている。その1つとして、圧縮機用モータの巻線を銅線でなく材料コストの安いアルミニウム線で構成した圧縮機を採用することが知られている。
ところが、圧縮機用モータの巻線としてアルミニウム線を使用すると、銅線の巻線に比べて電気的抵抗が大きくて発熱量が大きく、圧縮機の温度が過度に上昇する。圧縮機の温度が過度に上昇すると、吐出される冷媒の温度が異常判定温度に上昇して、前記ヒートポンプ異常時停止機能が頻繁に働いてしまう。そのたびに乾燥運転が中断する。この場合、ヒートポンプ停止から立ち上がりが可能となるまでにはある程度の自然放熱時間が必要であるから、ヒートポンプの再稼働までなかりの時間がかかってしまう。
【0007】
そこで、圧縮機用モータの巻線にアルミニウム線を使用する圧縮機を備えた衣類乾燥機において、乾燥運転を中断させずに圧縮機モータの過度な温度上昇を抑制でき、乾燥運転中断による乾燥時間の延長を極力防止できる衣類乾燥機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の衣類乾燥機は、外箱と、前記外箱内に設けられ排気口と給気口とを有する乾燥室と、前記乾燥室外に設けられ前記排気口と前記給気口とを連通する循環風路と、この循環風路内に設けられ前記乾燥室及びこの循環風路内の空気を循環させる送風機と、圧縮機用モータの巻線をアルミニウム線から構成した圧縮機、凝縮器、絞り手段、蒸発器を冷媒管で閉ループに繋いで構成された冷凍サイクルを備えると共に、前記蒸発器を前記循環風路内に設け且つ前記凝縮器を前記循環風路内に前記蒸発器より空気の流れに対して下流側に設けてなるヒートポンプと、前記圧縮機から吐出される冷媒の温度を検出する吐出冷媒温度センサと、前記吐出冷媒温度センサによる検出温度が予め設定された所定温度以上となったときに前記圧縮機の運転能力を小さくすると共に前記送風機の送風能力を大きくする制御を行う制御手段と、を備え、前記圧縮機の運転能力を小さくする制御を行う場合の前記所定温度と前記送風機の送風能力を大きくする制御を行う場合の前記所定温度が同じである
また、実施形態の衣類乾燥機は、外箱と、前記外箱内に設けられ排気口と給気口とを有する乾燥室と、前記乾燥室外に設けられ前記排気口と前記給気口とを連通する循環風路と、この循環風路内に設けられ前記乾燥室及びこの循環風路内の空気を循環させる送風機と、圧縮機用モータの巻線をアルミニウム線から構成した圧縮機、凝縮器、絞り手段、蒸発器を冷媒管で閉ループに繋いで構成された冷凍サイクルを備えると共に、前記蒸発器を前記循環風路内に設け且つ前記凝縮器を前記循環風路内に前記蒸発器より空気の流れに対して下流側に設けてなるヒートポンプと、前記圧縮機から吐出される冷媒の温度を検出する吐出冷媒温度センサと、前記吐出冷媒温度センサによる検出温度が予め設定された所定温度以上となり、且つ、その検出温度の温度変化率が所定の変化率以上となったときに前記圧縮機の運転能力を小さくすると共に前記送風機の送風能力を大きくする制御を行う制御手段と、を備える。

【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態による洗濯乾燥機の縦断側面図
図2】圧縮機の側面図
図3】ヒートポンプの概略構成を示す図
図4】制御系の機能ブロック図
図5】制御装置の制御内容を示すフローチャート
図6】温度に応じた制御(A)の制御内容を示すフローチャート
図7】温度に応じた制御(B)の制御内容を示すフローチャート
図8】温度に応じた制御(C)の制御内容を示すフローチャート
図9】圧縮機及び送風機の各調整値を示す図
図10】第2実施形態によるヒートポンプの概略構成を示す図
図11】制御系の機能ブロック図
図12】制御装置の制御内容を示すフローチャート
図13】温度に応じた制御(A)の制御内容を示すフローチャート
図14】温度に応じた制御(B)の制御内容を示すフローチャート
図15】温度に応じた制御(C)の制御内容を示すフローチャート
図16】圧縮機及び送風機の各調整値並びに自動膨張弁の制御形態を示す図
図17】第3実施形態によるヒートポンプの概略構成を示す図
図18】制御系の機能ブロック図
図19】制御装置の制御内容を示すフローチャート
図20】温度に応じた制御(A)の制御内容を示すフローチャート
図21】温度に応じた制御(B)の制御内容を示すフローチャート
図22】温度に応じた制御(C)の制御内容を示すフローチャート
図23】圧縮機及び送風機の各調整値並びに圧縮機用送風機の制御形態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1実施形態では、衣類乾燥機として洗濯乾燥機を示している。この洗濯乾燥機について図1図9を参照して説明する。図1において、外箱1の内部には水槽2が配設され、その水槽2の内部にはドラム3が配設されている。水槽2及びドラム3は、共に一端部が閉塞された円筒状を成している。この場合、水槽2及びドラム3により、衣類の洗い(洗剤洗い及びすすぎ洗い)、脱水、乾燥に用いる槽が構成される。前記水槽2の内部(実質的にはドラム3の内部)は、乾燥室3aを構成している。
【0011】
これら水槽2及びドラム3は、前側、即ち、図1中、左側の端面部にそれぞれの開口部4,5を有している。このうち、ドラム3の開口部5は、衣類が出し入れされ、その開口部5は水槽2の開口部4に囲繞されている。開口部4は、外箱1の前面部に形成された衣類出し入れ用の開口部6に、ベローズ7を介して連結されている。外箱1の開口部6には扉8が開閉可能に設けられている。
【0012】
ドラム3は、開口部5の周囲に、例えば液体封入形の回転バランサ9が設けられ、周側部、つまり、ドラム3の胴部のほぼ全域に孔10が形成されている(図1に一部のみ図示)。この孔10は、洗濯時及び脱水時に通水孔として機能し、乾燥時には通風孔として機能する。ドラム3の周側部の内面には複数のバッフル11が該ドラム3の内方に突出して設けられている。ドラム3の後側の端面部には、その中心と同心となる環状配置により複数の温風導入口12が形成されている。
【0013】
水槽2には、前側の端面部の上部、つまり、開口部4より上方の部分に排気口13が形成され、後側の端面部の上部に、温風導入口12の回転軌跡に対向させて給気口14が形成されている。水槽2の底部には排水口15が設けられている。この排水口15には、水槽2外で排水弁16が接続され、更に、排水弁16に排水ホース17が接続されて、これらにより水槽2内の水を機外に排出できるようにしている。
【0014】
水槽2の背面部には洗濯機モータ18が取り付けられており、これの回転軸19を水槽2内に挿通させて、その先端部に、ドラム3の後側の端面部の中心部が取り付けられている。これにより、ドラム3は、水槽2に同軸状で回転可能に支持されている。即ち、ドラム3は、洗濯機モータ18により直接回転駆動される構成で、洗濯機モータ18によるダイレクトドライブ方式が採用されている。
【0015】
なお、水槽2は、複数のサスペンション20(図1に、1つのみ図示)を介して外箱1に弾性支持されている。その支持形態は、水槽2の軸方向が、前後となる横軸状かつ、前上がりの傾斜状をなしている。さらに、この水槽2に支持されたドラム3も、同形態となっている。洗濯機モータ18は、この場合アウターロータ形のブラシレスDCモータで構成されており、ドラム3を回転させる駆動手段として機能するようになっている。
【0016】
水槽2の下方、即ち、外箱1の底面上には、台板21が配置され、この台板21上に通風ダクト22が配置されている。通風ダクト22は、前端部の上部に吸風口23を有している。この吸風口23には、水槽2の排気口13が、還風ダクト24及び接続ホース25を介して接続されている。なお、還風ダクト24は、水槽2の開口部4の右側(後方から見て右側)を迂回するように配管されている。
【0017】
通風ダクト22の後端部には、送風機26のケーシング27が連設されている。このケーシング27の出口部28は、接続ホース29及び給風ダクト30を介して、水槽2の給気口14に接続されている。なお、給風ダクト30は、前記洗濯機モータ18の左側を迂回するように配管されている。ここで、還風ダクト24、接続ホース25、通風ダクト22、送風機26のケーシング27、接続ホース29、給風ダクト30により、水槽2の排気口13と給気口14とが連通接続されて、循環風路31が構成されている。この循環風路31は、水槽2内と連通していると共にドラム3内とも連通している。なお、送風機26は、この場合、遠心ファンであり、ケーシング27の内部に遠心羽根車32を有すると共に、その遠心羽根車32を回転させる送風機モータ33をケーシング27の外部に有している。送風機26は、ドラム3内の空気を、循環風路31を通して循環させる送風手段を構成している。この送風機26の運転により循環風路31内に矢印Eで示す循環空気流が形成される。又、この送風機モータ33は回転数変更可能である。
【0018】
そして、循環風路31中、通風ダクト22の内部において、乾燥室3aの空気出口側である排気口13側には蒸発器34が配設されている。又、循環風路31中、通風ダクト22の内部において、当該蒸発器34より前記循環空気流(空気の流れ)の下流側には凝縮器35が配設されている。これらの蒸発器34及び凝縮器35は、いずれも詳しくは図示しないが、冷媒流通パイプに伝熱フィンを細かいピッチで多数配設して成るフィン付きチューブ形のもので、熱交換性に優れており、それらの伝熱フィンの各間を、通風ダクト22内の前述の循環空気流(循環風)が通るようになっている。
【0019】
図3に示すように、蒸発器34及び凝縮器35は、圧縮機36、及び、絞り手段であるキャピラリーチューブ43と共に温風供給手段たるヒートポンプ37を構成するもので、このヒートポンプ37においては、圧縮機36、凝縮器35、キャピラリーチューブ43、除湿手段たる蒸発器34が冷媒管路37aによって閉ループに接続されることで、冷凍サイクル49が構成されている。
【0020】
そして、圧縮機36が運転することによって冷媒を循環させるようになっている。この圧縮機36は、図2に示すように、圧縮機ケーシング36a内に例えばロータリー形の圧縮機構部36bを有すると共に、この圧縮機構部36bを駆動する圧縮機モータ36cを有する。そして、圧縮機モータ36cは回転子36dと固定子36eとを有し、固定子36eの巻線36fはアルミニウム線から構成されている。この圧縮機36は吸入口36gから冷媒(ガス冷媒)を吸入し、前記圧縮機構部36bにより圧縮し、吐出口36hから吐出する。
【0021】
前記圧縮機36の圧縮機モータ36cは、後述の制御装置からの制御指令に基づいてインバータ制御(運転周波数の制御)され、可変周波数で運転制御されるようになっている。この運転周波数を上げることにより圧縮機36の回転数が上がるようになっている。
【0022】
前記ヒートポンプ37の能力(乾燥能力)は、圧縮機36の前記運転周波数(運転能力)や送風機26の回転数(送風機モータ33の回転数、送風能力)により決定されるものである。つまり、圧縮機36の運転周波数を高くするほど圧縮機36の運転能力が高くなり、又、送風機26の回転数を高くするほど送風機26の送風能力が高く、すなわち送風量が多くなる。
【0023】
なお、図1に示すように、外箱1の内上部には、洗濯乾燥機の制御に必要な電源系の制御部38及び表示系の制御部39と、水槽2内に給水するための給水弁40、給水ケース41、及び給水ホース42が配設されている。そして、循環風路31の内部には、排気口13の近傍部位に排気温度を検出する排気温度センサ44が設けられ、又、給気口14の近傍部位に給気温度を検出する給気温度センサ45が設けられている。又、前記蒸発器34には、図3にも示すように、蒸発器34の入口冷媒温度を検出する蒸発器入口冷媒温度センサ46、出口冷媒温度を検出する蒸発器出口冷媒温度センサ47が設けられている。
【0024】
又、圧縮機36の吐出口36hには、当該圧縮機36から吐出される冷媒の温度を検出する吐出冷媒温度センサ48が設けられている。
図4に制御系の機能ブロック図を示すが、制御装置50は、前記制御部38,39(図1参照)を含むもので、例えばマイクロコンピュータやRAM、ROM等で構成されている。この制御装置50は、予め記憶された制御プログラムを実行することで、制御手段として機能する。
【0025】
前記制御装置50には、洗濯乾燥機の運転に係る操作をユーザーがするための操作手段たる操作部51から各種操作信号が入力される。そして、その操作結果や現在の運転状況、及び異常表示などを含めた各種表示が、例えば液晶ディスプレイからなる表示手段たる表示部52に表示される。また、制御装置50には、水槽2内の水位を検知するように設けられた水位センサ53から、水位検知信号が入力される。そして、制御装置50には、前記各種の温度センサ44〜48から温度検知信号が入力される。
【0026】
そして、制御装置50は、各種の入力信号並びに予め記憶された制御プログラムに基づいて、水槽2内(ドラム3内)に給水するように設けた給水弁40と、ドラム3駆動用の洗濯機モータ18、水槽2内(ドラム3内)から排水するように設けた排水弁16、圧縮機36の圧縮機モータ36c、及び送風機26の送風機モータ33といった制御対象を、駆動回路54を介して駆動制御する。なお、この駆動回路54は、各制御対象に応じた各種駆動回路を含む。
【0027】
前記制御装置50の制御内容について図5図8のフローチャートを参照して説明する。
制御装置50の制御に基づいて行われる乾燥行程(乾燥運転)について説明する。なお、乾燥行程は、洗濯行程(これは洗剤洗い行程、すすぎ洗い行程、脱水行程を含む)の後に実行されることもあるし、単独で実行されることもある。
【0028】
この乾燥行程の実行前には、ドラム3内に脱水後の衣類が収容されているものとする。さて、この乾燥行程では、図5に示すように、制御装置50は、ステップS10で、初期設定をする。この初期設定では、圧縮機36の運転周波数を予め定められた初期値である例えば60Hzに設定すると共に、送風機26の回転数を予め定められた初期値である例えば4000rpmに設定する。
【0029】
そして、ステップS20で洗濯機モータ18を低速で正逆回転させることでドラム3を低速で正逆両方向に回転させる。
次のステップS30では、圧縮機36の圧縮機モータ36cを現在設定されている運転周波数この場合60Hzで運転すると共に、送風機26の送風機モータ33を現在設定されている回転数この場合4000rpmで駆動する(送風機26を運転する)。この送風機26の運転により、遠心羽根車32の送風作用で、図1に実線矢印Eで示すように、循環空気流が発生する。すなわち、水槽2内の空気が排気口13から還風ダクト24及び接続ホース25を経て通風ダクト22内に流入する。また、この時に、ヒートポンプ37の圧縮機36の運転により、ヒートポンプ37に封入された冷媒が圧縮されて高温高圧の冷媒となり、その高温高圧の冷媒が凝縮器35に流れて、通風ダクト22内の空気と熱交換する。その結果、通風ダクト22内の空気が加熱され、反対に、冷媒の温度は低下して液化される。この液化された冷媒が、次に、キャピラリーチューブ43を通過して減圧された後、蒸発器34に流入し、蒸発する。それにより、蒸発器34は通風ダクト22内の空気を冷却する。蒸発器34を通過した冷媒は圧縮機36に戻る。
【0030】
これらにより、水槽2内から通風ダクト22内に流入した空気は、蒸発器34で冷却されて除湿され、その後に凝縮器35で加熱されて温風化される。そして、その温風が接続ホース29、給風ダクト30を経て、給気口14から水槽2内に供給され、更に、温風導入口12からドラム3内に供給される。ドラム3内に供給された温風は衣類の水分を奪った後、排気口13から還風ダクト24及び接続ホース25を経て通風ダクト22内に流入する。このように、蒸発器34と凝縮器35を有する通風ダクト22とドラム3との間、即ち、循環風路31を空気が循環することにより、ドラム3内の衣類が乾燥される。
【0031】
なお、圧縮機モータ36cが運転されることで、アルミニウム線からなる巻線36fが発熱する。この発熱は圧縮機36内の冷媒に伝達されるため、冷媒は圧縮による熱と巻線36fの発熱とで温度上昇する。この場合、巻線36fがアルミニウム線からなるため、温度上昇度合いはやや大きい。
【0032】
乾燥行程の開始から所定時間間隔例えば0.5分間隔の時間となると(ステップS40で判断)、吐出冷媒温度センサ48による検出温度である吐出冷媒温度tc[℃]を取得し(ステップS50)、温度変化率Δtc[℃/分]を算出する(ステップS60)。
【0033】
そして前記吐出冷媒温度tcが所定温度である例えば80℃以上であると判断されれば(ステップS70で判断)、温度に応じた制御(A)を実行する(ステップS80)。
この制御内容をサブルーチンとしての図6のフローチャートに示す。この図6おいて、温度変化率Δtcが+2[℃/分]以上であれば(ステップQ10で判断)、圧縮機36(圧縮機モータ36c)の運転周波数を10Hz下げると共に送風機26の回転数を500rpm上げる(ステップQ20)。圧縮機36(圧縮機モータ36c)の運転周波数を下げる(運転能力を下げる)と、圧縮機36で圧縮され吐出される冷媒の温度上昇が抑制されると共に、巻線36fへの給電量も抑制されて巻線36fの温度上昇も抑制される。又、送風機26の回転数を上げる(送風能力を上げる)ことで、循環風路31内の単位時間での循環風量が増加する。これにより、凝縮器35の冷媒温度が低下し及び蒸発器34内の冷媒の温度が上昇することで冷凍サイクルとしての負荷つまり圧縮機モータ36cの負荷が減少する。従って、送風機26の回転数を上昇させる制御も巻線36fの温度の低下に寄与できる。
【0034】
前記ステップQ10で「NO」であればステップQ30に移行する。このステップQ30で、前記温度変化率Δtcが0[℃/分]以上+2[℃/分]未満であると判断されれば、圧縮機36の運転周波数を例えば5Hz下げると共に送風機26の回転数を例えば250rpm上げる(ステップQ40)。この場合も上述と同様、巻線36fの温度を下げることができる。
【0035】
前記ステップQ30で「NO」であれば、ステップQ50に移行する。このステップQ50では圧縮機36の運転周波数及び送風機26の回転数とも、変更しない。
前記図5に戻り、ステップS70で「NO」の場合には、ステップS90に移行する。このステップS90では、前記吐出冷媒温度tcが60℃以上で80℃未満であるか否かを判断し、60℃以上で80℃未満であれば、温度に応じた制御(B)を実行する(ステップS100)。この制御内容をサブルーチンとしての図7のフローチャートに示す。この図7おいて、温度変化率Δtcが+2[℃/分]以上であれば(ステップR10で判断)、圧縮機36の運転周波数は変更せずに送風機26の回転数を250rpm上げる(ステップR20)。送風機26の回転数を上げることで、循環風路31内の単位時間での循環風量が増加し、前述したように、巻線36fの温度の低下に寄与できる。
【0036】
前記ステップR10で「NO」であればステップR30に移行する。このステップR30で、前記温度変化率Δtcが0[℃/分]以上+2[℃/分]未満であると判断されれば、圧縮機36の運転周波数及び送風機26の回転数とも変更しない(ステップQ40)。前記ステップR30で「NO」であれば、ステップR50に移行する。このステップR50では圧縮機36の運転周波数を例えば2Hz上げ且つ送風機26の回転数を例えば50rpm下げる。
【0037】
前記図5のステップS90で「NO」の場合には、ステップS110に移行する。このステップS110では、前記吐出冷媒温度tcが40℃以上で60℃未満であるか否かを判断し、40℃以上で60℃未満であれば、温度に応じた制御(C)を実行する(ステップS120)。この制御内容をサブルーチンとしての図8のフローチャートに示す。この図8おいて、温度変化率Δtcが+2[℃/分]以上であれば(ステップT10で判断)、圧縮機36の運転周波数は変更せずに送風機26の回転数を例えば150rpm上げる(ステップT20)。送風機26の回転数を上げることで、循環風路31内の単位時間での循環風量が増加し、前述したように、巻線36fの温度の低下に寄与できる。
【0038】
前記ステップT10で「NO」であればステップT30に移行する。このステップT30で、前記温度変化率Δtcが0[℃/分]以上+2[℃/分]未満であると判断されれば、圧縮機36の運転周波数及び送風機26の回転数とも変更しない(ステップT40)。前記ステップT30で「NO」であれば、ステップT50に移行する。このステップT50では圧縮機36の運転周波数を例えば6Hz上げ且つ送風機26の回転数を例えば200rpm下げる。
前記図5のステップS110で「NO」の場合には、ステップS130に移行する。このステップS130では、圧縮機36の運転周波数及び送風機26の回転数とも変更しない。
【0039】
なお、上述の制御における圧縮機36及び送風機26の各調整値を図9に示している。
上記実施形態においては、ステップS70の「YES」、ステップS80(ステップQ10、ステップQ20)の制御から判るように、制御装置50により、吐出冷媒温度センサ48による検出温度が予め設定された所定温度である例えば80℃以上となったときに圧縮機36の運転能力を小さくする(運転周波数を10Hz下げる)と共に送風機26の送風能力を大きくする(500rpm上げる)制御を行うようにした。
【0040】
つまり、まず吐出冷媒温度センサ48による検出温度(吐出冷媒温度tc)が予め設定された所定温度である例えば80℃以上となった否かを判断することで、圧縮機モータ36cが過度に温度上昇していると判断できる。そして、吐出冷媒温度が予め設定された所定温度である例えば80℃以上となったときに圧縮機36の運転能力を小さくすることで圧縮機モータ36cの巻線36fの発熱を低下させることができ、且つ送風機26の送風能力を大きくすることで冷凍サイクル自体の負荷ひいては圧縮機モータ36cの負荷を小さくできて、圧縮機モータ36cの巻線36fの発熱を低下させることができる。このように、圧縮機36及び送風機26を停止することなく、つまり乾燥運転を停止することなく圧縮機モータ36cの過度な温度上昇を抑制でき、ひいては、圧縮機モータ36cの温度低下も期待できる。従って、乾燥運転を中断させずに圧縮機モータ36cの過度な温度上昇を抑制でき、乾燥運転中断による乾燥時間の延長を極力防止できる。
【0041】
しかも圧縮機36と送風機26とを同時に制御することで圧縮機モータ36cの温度上昇を迅速に抑制できる。
なお、上記実施形態では、温度変化率Δtcに応じて、圧縮機36の運転能力を下げ幅且つ送風機26の送風能力の上げ幅を変更するようにしている。つまり、ステップQ10〜ステップQ40に示したように、温度変化率Δtcが+2[℃/分]以上であると、圧縮機36の運転能力を下げ幅を10Hz、送風機26の送風能力の上げ幅を500rpmとし、温度変化率Δtcが低い(0[℃/分]以上+2[℃/分]未満である)と、圧縮機36の運転能力を下げ幅を5Hzと小さくし、送風機26の送風能力の上げ幅を250rpmと小さくしている。
【0042】
温度変化率Δtcが小さいほどその後の吐出冷媒温度tcの上昇度合いも小さいことが予測される。そして、温度変化率Δtcが小さいときには、圧縮機36の運転能力を下げ幅及び送風機26の送風能力の上げ幅を夫々小さくすることで、ヒートポンプ37の能力つまり乾燥能力をあまり下げることなく圧縮機モータ36cの温度上昇を抑えることができる。
【0043】
なお、これら温度変化率Δtcに応じた運転能力の調整は、必要に応じて行えば良く、
温度変化率に関係なく一律にステップQ20(圧縮機36の運転能力を下げ且つ送風機26の送風能力を上げる)の制御を実行するようにしても良い。
又、図7のステップR50及び図8のステップT50では、図6のステップQ20とは逆に、圧縮機36の運転能力を上げ且つ送風機26の送風能力を下げる制御をしているが、この趣旨は、吐出冷媒温度tc及び温度変化率Δtcがいずれも予想値より低いということはヒートポンプ37の能力が未だ低いと判断し、ヒートポンプ37の能力を上げるところにある。
【0044】
なお、圧縮機36の運転周波数及び送風機26の回転数を変更する場合(ステップQ20、ステップQ40、ステップR50及びステップT50など)、現在の運転周波数及び回転数が夫々2分間継続していることを条件に変更を実行し、夫々2分間継続していないときには変更しないようにしても良い。このようにすると、ステップS40の所定時間(0.5分)間隔といった短い時間間隔で頻繁に運転周波数及び回転数の変更がなされることがない。
【0045】
又、上記実施形態において、制御装置50が、ヒートポンプ異常時停止機能を備えていても良い。このヒートポンプ異常時停止機能は、吐出冷媒温度tcが予め設定された異常判定温度以上(前記所定温度よりも高い温度)に上昇したときにヒートポンプ37の運転を停止する機能である。
【0046】
次に図10図16は第2実施形態を示している。この第2実施形態においては、絞り手段として自動膨張弁61を設け、吐出冷媒温度に応じて圧縮機36及び送風機26に加えこの自動膨張弁61も制御するようにした点が第1実施形態と異なる。
前記自動膨張弁61はパルスモータにより開度(絞り)調整が可能な構成であり、制御装置50から開度調整信号としてパルスを受け取るようになっている。例えば、500パルスで全開となる。第1実施形態の図5に相当する図12では、ステップS10a、ステップS30a、ステップS80a、ステップS100a、ステップS120a、ステップS130aが第1実施形態と異なる。ステップS10aでは、圧縮機36の運転周波数を初期値である60Hzに設定すると共に、送風機26の回転数を予め初期値である4000rpmに設定し、さらに自動膨張弁61の開度の初期値を300パルスに設定する。
【0047】
ステップS30aでは、圧縮機36及び送風機26を運転すると共に、自動膨張弁61をこの場合300パルス相当分の開度で開放する。
ステップS80aの制御内容を示す図13では、ステップQ20a、ステップQ40a、ステップQ50aが第1実施形態(図6)と異なる。ステップQ20aでは、圧縮機36の運転周波数を10Hz下げると共に送風機26の回転数を500rpm上げる(ステップQ20と同様)ことに加え、自動膨張弁61の開度を15パルス相当分大きくする。自動膨張弁61の開度が大きくなった(絞り度が小さくなった)ことで、圧縮機36の吐出側の冷媒圧力が減少して負荷が減少する。
【0048】
この結果、圧縮機36の運転能力低下及び送風機26の送風能力増加に加えて、自動膨張弁61の開度が増加することによって、ヒートポンプ37の運転能力がさらに低下し、圧縮機モータ36cの温度上昇を抑制でき、温度低下も期待できる。
又、ステップQ40aでは、圧縮機36及び送風機26について第1実施形態のステップQ40と同様の運転能力制御をすることに加え、自動膨張弁61の開度を7パルス相当分大きくする。この場合も、自動膨張弁61の開度を大きくした分、巻線36fの温度をさらに下げることができる。
【0049】
又、ステップQ50aでは、圧縮機36及び送風機26についてステップQ50と同様に運転能力を変更しないことに加え、自動膨張弁61の開度も変更しない。
ステップS100a(図12)の制御内容を示す図14においては、ステップR20a、ステップR40a、ステップR50aが第1実施形態(図7)と異なる。ステップR20a、ステップR40a、ステップR50aでは、圧縮機36及び送風機26については夫々ステップR20、ステップR40、ステップR50と同様の運転能力制御を行うことに加え、自動膨張弁61の開度をスーパーヒート制御により調整する。
【0050】
このスーパーヒート制御は、次のことを行う。蒸発器出口冷媒温度センサ47及び蒸発器入口冷媒温度センサ46により蒸発器34の出入口冷媒温度データを取込み、それらの温度差(出口冷媒温度−入口冷媒温度)から過熱量を求め、この過熱量が過熱目標温度となるように自動膨張弁61の開度(蒸発器34に対する冷媒供給量)を調整する。これにより、蒸発器34に対する冷媒供給量の適正化がなされる。
【0051】
又、ステップS120a(図12)の制御内容を示す図15においては、ステップT20a、ステップT40a、ステップT50aが第1実施形態(図7)と異なる。ステップT20a、ステップT40a、ステップT50aでは、圧縮機36及び送風機26については夫々ステップT20、ステップT40、ステップT50と同様の運転能力制御を行うことに加え、自動膨張弁61の開度を前述のスーパーヒート制御により調整する。
【0052】
なお、この第2実施形態における圧縮機36、送風機26及び自動膨張弁61の各調整値、自動膨張弁61の制御形態を図16に示す。
この第2実施形態においては、圧縮機36の運転能力低下及び送風機26の送風能力増加に加えて、自動膨張弁61の開度を大きくすることによって、ヒートポンプ37の運転能力がさらに低下し、圧縮機モータ36cの温度上昇を抑制でき、温度低下も期待できる。
【0053】
次に図17図23は第3実施形態を示している。この第3実施形態においては、圧縮機36を空気冷却するための圧縮機用送風機71を設け、吐出冷媒温度に応じて圧縮機36及び送風機26に加えこの圧縮機用送風機71も制御するようにした点が第1実施形態と異なる。この圧縮機用送風機71は、圧縮機用送風機モータ72と羽根73とからなり、前記圧縮機36を冷却し得る位置に設けられている。この圧縮機用送風機71は、所定回転数切り替え制御はしない構成のものであり、ほぼ一定の回転数で羽根73が回転する。
【0054】
第1実施形態の図5に相当する図19では、ステップS80b、ステップS100b、ステップS120b、ステップS130bが第1実施形態と異なる。ステップS80bの制御内容を示す図20では、ステップQ20b、ステップQ40b、ステップQ50bが第1実施形態(図6)と異なる。ステップQ20bでは、圧縮機36の運転周波数を10Hz下げると共に送風機26の回転数を500rpm上げる(ステップQ20と同様)ことに加え、圧縮機用送風機71を運転する(送風能力を大きくする)。圧縮機36の運転能力低下と送風機26の送風能力増加に加え、この圧縮機用送風機71の運転により、圧縮機36が直接的に冷却されるとこで、圧縮機モータ36cの温度上昇に対する抑制効果がさらに上がり、迅速な温度低下も期待できる。
【0055】
又、ステップQ40bでは、圧縮機36及び送風機26について第1実施形態のステップQ40と同様の運転能力制御をすることに加え、圧縮機用送風機71を運転する。この場合も、巻線36fの温度をさらに下げることができる。
又、ステップQ50bでは、圧縮機36及び送風機26についてステップQ50と同様に運転能力を変更しないことに加え、圧縮機用送風機71の運転もしない(送風能力を低める、この場合運転停止)。
【0056】
ステップS100b(図19)の制御内容を示す図21においては、ステップR20b、ステップR40b、ステップR50bが第1実施形態(図7)と異なる。ステップR20b、ステップR40b、ステップR50bでは、圧縮機36及び送風機26については夫々ステップR20、ステップR40、ステップR50と同様の運転能力制御を行うことに加え、圧縮機用送風機71の運転はしない。
【0057】
又、ステップS120b(図19)の制御内容を示す図22においては、ステップT20b、ステップT40b、ステップT50bが第1実施形態(図7)と異なる。ステップT20b、ステップT40b、ステップT50bでは、圧縮機36及び送風機26については夫々ステップT20、ステップT40、ステップT50と同様の運転能力制御を行うことに加え、圧縮機用送風機71の運転はしない。
【0058】
なお、この第3実施形態における圧縮機36、送風機26及び圧縮機用送風機71の各調整値あるいは制御形態を図23に示す。
この第3実施形態においては、圧縮機36の運転能力低下及び送風機26の送風能力増加に加えて、圧縮機用送風機71を運転する(送風能力を大きくする)ことによって、さらに、圧縮機モータ36cの温度上昇を抑制でき、温度低下も期待できる。
【0059】
前記圧縮機用送風機71の送風能力の制御は、運転と停止の切り替えとしたが、回転数の切り替えでも良い。
なお、上記各実施形態では、洗濯乾燥機を示したが、衣類乾燥のみを有する衣類乾燥機でも良い。又、所定温度は適宜変更しても良い。又、圧縮機の運転能力の調整値や送風機の送風能力の調整値も適宜変更して良い。
【0060】
以上説明した実施形態の衣類乾燥機は、外箱と、前記外箱内に設けられ排気口と給気口とを有する乾燥室と、前記乾燥室外に設けられ前記排気口と前記給気口とを連通する循環風路と、この循環風路内に設けられ前記乾燥室及びこの循環風路内の空気を循環させる送風機と、圧縮機用モータの巻線をアルミニウム線から構成した圧縮機、凝縮器、絞り手段、蒸発器を冷媒管で閉ループに繋いで構成された冷凍サイクルを備えると共に、前記蒸発器を前記循環風路内に設け且つ前記凝縮器を前記循環風路内に前記蒸発器より空気の流れに対して下流側に設けてなるヒートポンプと、前記圧縮機から吐出される冷媒の温度を検出する吐出冷媒温度センサと、前記吐出冷媒温度センサによる検出温度が予め設定された所定温度以上となったときに前記圧縮機の運転能力を小さくすると共に前記送風機の送風能力を大きくする制御を行う制御手段と、を備える。これによれば、乾燥運転を中断させずに圧縮機モータの過度な温度上昇を抑制でき、乾燥運転中断による乾燥時間の延長を極力防止できる。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変更は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
図面中、1は実施形態による洗濯乾燥機の外箱、2は水槽、3はドラム、3aは乾燥室、12は温風導入口、13は排気口、14は給気口、22は通風ダクト、26は送風機、31は循環風路、34は蒸発器、35は凝縮器、36は圧縮機、36cは圧縮機用モータ、36fは巻線、37はヒートポンプ、43はキャピラリーチューブ(絞り手段)、44は排気温度センサ、45は給気温度センサ、46は蒸発器入口冷媒温度センサ、47は蒸発器出口冷媒温度センサ、48は吐出冷媒センサ、49は冷凍サイクル、61は自動膨張弁(絞り手段)、71は圧縮機用送風機を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23