(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
ファイバレーザは、近年の高出力化に伴い、レーザ加工分野において用いられるようになっている。
【0003】
ここで、ファイバレーザの出力光パワーは、励起光パワーの低下や光ファイバでの損失増加などで低下することがある。また、ファイバレーザによる加工中に、加工対象物(レーザ光の被照射体)からの反射光がファイバレーザに戻る場合がある。この場合、出力光の発振状態が不安定になり、出力光パワーが変動することがある。すなわち、ファイバレーザの出力光パワーは、
図9に示すように、被照射体からの反射光の影響を受けて変動することがある。したがって、上記のいずれの場合にも出力光パワーが本来のパワーから変化するため、加工特性が劣化する。
【0004】
そこで、ファイバレーザでは、光パワーモニタ装置により出力光パワーをモニタすることが必要である。例えば、出力光パワーの変動が生じた場合に、モニタした出力光パワーに応じて光ファイバに入射させる光の強度を調整するなど、出力光パワーの変動に対処する。
【0005】
上記光パワーモニタ装置としては、例えば特許文献1に記載のものが知られている。
図10は、特許文献1に記載されている光パワーモニタ装置の要部を示す模式図である。
【0006】
図10に示すように、従来の光パワーモニタ装置101においては、光ファイバF1,F2が接続部113にて接続されている。これら光ファイバF1,F2は、高屈折率樹脂層114により覆われた状態にて、補強部材115に設けられている。
【0007】
光ファイバF1,F2を覆う高屈折率樹脂層114の周りには、反射光検出器116および出力光検出器117が配置されている。反射光検出器116は、光ファイバF2内を入力方向(被照射体から遠ざかる方向)に伝播する後進光のうち、接続部113から漏れ出した漏れ光のパワーを検出するためのものであり、接続部113に対して後進光の伝播方向の下流側に配置される。一方、出力光検出器117は、光ファイバF1内を出力方向(光源から遠ざかる方向)に伝播する前進光のうち、接続部114から漏れ出した漏れ光のパワーを検出するためのものであり、接続部113に対して前進光の伝播方向の下流側に配置される。反射光検出器116にて検出される漏れ光のパワーは、本来、ファイバレーザへ再入射する被照射体からの反射光のパワーに比例し、出力光検出器117にて検出される漏れ光のパワーは、本来、ファイバレーザからの出力光のパワーに比例する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記従来の構成では、光ファイバF1,F2の接続部113付近に反射光および出力光検出器116,117が配置されているため、次のような問題が生じている。
【0010】
接続部113から漏れ出した前進光は、直接、あるいは、例えば補強部材115に散乱されて反射光検出器116および出力光検出器117の双方にて受光される場合がある。同様に、接続部113から漏れ出した後進光は、直接、あるいは、例えば補強部材115に散乱されて反射光検出器116および出力光検出器117の双方にて受光される場合がある。この場合、光パワーモニタ装置101での反射光の測定結果は、前進光の一部が反射光検出器116に入射することにより、反射光が存在しない場合であっても反射光が存在することを示すものとなる。また、光パワーモニタ装置101での出力光の測定結果は、後進光の一部が出力光検出器117に入射することにより、実際の出力光のパワーよりも大きい値を示すものとなる。このため、ファイバレーザへの反射光パワーおよびファイバレーザからの出力光パワーを正確に測定することができない。
【0011】
この場合、ファイバレーザが、レーザ光の被照射体からの反射光が存在すると動作を停止させる機能、あるいは出力光パワーが所定以上であると動作を停止させる機能を備えていれば、ファイバレーザが誤動作することになる。
【0012】
一方、反射光および出力光検出器116,117への上記のような誤検出を生じる光の入射を防止するためには、反射光および出力光検出器116,117を接続部113から離して配置することが考えられる。しかしながら、そのような構成では、直接光による影響は低減できるものの、散乱光による影響は低減し難い。また、そのような構成では、
図11に示すように、反射光および出力光検出器116,117の受光パワー自体が減少するため、ノイズによる悪影響を受けやすくなり、光パワーモニタ装置の検出精度が低下する。
【0013】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、光ファイバを伝播する光のパワーを正確に測定することができる光パワーモニタ装置、ファイバレーザおよび光パワーモニタ方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するために、本発明の光パワーモニタ装置は、光ファイバの側面から漏れ出した光のパワーを光検出手段によって測定する光パワーモニタ装置において、第1光ファイバと、接続部にて前記第1光ファイバに接続され、前記第1光ファイバを伝播する前進光の出力側に位置する第2光ファイバと、前記接続部、および前記第2光ファイバの前記接続部から所定範囲の領域を覆い、屈折率が前記第2光ファイバのクラッドの屈折率よりも小さい低屈折率樹脂層と、前記第2光ファイバの少なくとも前記低屈折率樹脂層にて覆われていない領域を覆い、屈折率が前記第2光ファイバのクラッドの屈折率以上である高屈折率樹脂層と、前記第1および第2光ファイバの軸方向における、前記低屈折率樹脂層の端部であって前進光の出力側(前進光の進行方向側)の端部の位置、または前記端部から前進光の出力側へ遠ざかった位置に光入射部が配置され、前記第2光ファイバのクラッドから漏れ出し、前記高屈折率樹脂を通過して前記光入射部から入射した光を検出する前記光検出手段とを備えていることを特徴としている。
【0015】
上記の構成によれば、第1光ファイバと第2光ファイバとの接続部は、屈折率が前記第2光ファイバのクラッドの屈折率よりも小さい低屈折率樹脂層に覆われている。このため、接続部において第1光ファイバのコアから第2光ファイバのクラッドへと漏れ出した前進光の大部分(低屈折率樹脂層への入射角が臨界角よりも大きくなる成分)は、接続部の近傍において、第2光ファイバのクラッドから漏れ出すことなく、第2光ファイバのクラッド内を伝播する。
【0016】
さらに、上記の構成によれば、第2光ファイバの低屈折率樹脂層に覆われていない領域が、屈折率が第2光ファイバのクラッドの屈折率以上である高屈折率樹脂層に覆われている。このため、接続部の近傍において、第2光ファイバのクラッド内を伝播した前進光は、第2光ファイバのクラッドから漏れ出すことなく、低屈折率樹脂層が途切れた部分以降の領域において第2光ファイバのクラッドから高屈折率樹脂層へと漏れ出す。
【0017】
さらに、上記の構成によれば、第1および第2光ファイバの軸方向において低屈折率樹脂層の前進光の出力側の端部と同じ位置、または、この端部から前進光の出力側へ遠ざかった位置に光検出手段の光入射部が配置されている。このため、低屈折率樹脂層が途切れた部分以降の領域において第2光ファイバのクラッドから高屈折率樹脂層へ漏れ出した前進光は、十分に光検出手段に入射する。
【0018】
このため、光検出手段の光入射部は、第1光ファイバと第2光ファイバとの接続部から離れて配置されている場合であっても、この接続部において第1光ファイバのコアから第2光ファイバのクラッドへと漏れ出した前進光を十分に受光することができる。これにより、出力光パワーの測定において、ノイズによる悪影響を回避することができる。
【0019】
また、光検出手段の光入射部は、第1および第2光ファイバの軸方向における、低屈折率樹脂層の端部であって前進光の出力側(前進光の進行方向側)の端部の位置、または前記端部から前進光の出力側へ遠ざかった位置に光入射部が配置されているので、前記接続部において第2光ファイバのコアから第1光ファイバのクラッドへと漏れ出した後進光の一部分(低屈折率樹脂層への入射角が臨界角よりも小さくなる成分)が接続部の近傍において第1光ファイバのクラッドから漏れ出したとしても、漏れ出した後進光、および、漏れ出した後進光が周囲の部材に散乱されて生じる散乱光は、光検出手段により受光され難い。
【0020】
これにより、漏れ出した後進光が影響して出力光パワーの測定結果が実際の出力光パワーよりも大きくなる事態を防止することができる。この結果、出力光パワーを正確に測定することができる。
【0021】
本発明の光パワーモニタ方法は、光ファイバの側面から漏れ出した光のパワーを光検出手段によって測定する光パワーモニタ方法において、第1および第2光ファイバの接続部、並びに前進光の出力側に位置する前記第2光ファイバの前記接続部から所定範囲の領域を、屈折率が前記第2光ファイバのクラッドの屈折率よりも小さい低屈折率樹脂層にて覆う工程と、前記第2光ファイバの少なくとも前記低屈折率樹脂層にて覆われていない領域を、屈折率が前記第2光ファイバのクラッドの屈折率以上である高屈折率樹脂層にて覆う工程と、前記第1および第2光ファイバの軸方向における、前記低屈折率樹脂層の端部であって前進光の出力側(前進光の進行方向側)の端部の位置、または前記端部から前進光の出力側へ遠ざかった位置に前記光検出手段の光入射部を配置し、前記第2光ファイバのクラッドから漏れ出し、前記高屈折率樹脂を通過して前記光入射部から入射した光を前記光検出手段によって検出する工程とを備えていることを特徴としている。
【0022】
上記の構成によれば、上記の光パワーモニタ装置と同様の作用効果を奏する。
【0023】
上記の課題を解決するために、本発明の光パワーモニタ装置は、光ファイバの側面から漏れ出した光のパワーを光検出手段によって測定する光パワーモニタ装置において、第1光ファイバと、接続部にて前記第1光ファイバに接続され、前記第1光ファイバを伝播する前進光の出力側に位置する第2光ファイバと、前記接続部、および前記第1光ファイバの前記接続部から所定範囲の領域を覆い、屈折率が前記第1光ファイバのクラッドの屈折率よりも小さい低屈折率樹脂層と、前記第1光ファイバの少なくとも前記低屈折率樹脂層にて覆われていない領域を覆い、屈折率が前記第1光ファイバのクラッドの屈折率以上である高屈折率樹脂層と、前記第1および第2光ファイバの軸方向における、前記低屈折率樹脂層の端部であって前進光の入力側(前進光の進行方向側とは反対方向側)の端部の位置、または前記端部から前進光の入力側へ遠ざかった位置に光入射部が配置され、前記第1光ファイバのクラッドから漏れ出し、前記高屈折率樹脂を通過して前記光入射部から入射した光を検出する光検出手段とを備えていることを特徴としている。
【0024】
上記の構成によれば、第1光ファイバと第2光ファイバとの接続部は、屈折率が前記第1光ファイバのクラッドの屈折率よりも小さい低屈折率樹脂層に覆われている。このため、接続部において第2光ファイバのコアから第1光ファイバのクラッドへと漏れ出した後進光の大部分(低屈折率樹脂層への入射角が臨界角よりも大きくなる成分)は、接続部の近傍において、第1光ファイバのクラッドから漏れ出すことなく、第1光ファイバのクラッド内を伝播する。
【0025】
さらに、上記の構成によれば、第1光ファイバの低屈折率樹脂層に覆われていない領域が、屈折率が第1光ファイバのクラッドの屈折率以上である高屈折率樹脂層に覆われている。このため、接続部の近傍において、第1光ファイバのクラッド内を伝播した後進光は、第2光ファイバのクラッドから漏れ出すことなく、低屈折率樹脂層が途切れた部分以降の領域において第1光ファイバのクラッドから高屈折率樹脂層へと漏れ出す。
【0026】
さらに、上記の構成によれば、第1および第2光ファイバの軸方向において低屈折率樹脂層の前進光の入力側(後進光の出力側)の端部と同じ位置、または、この端部から前進光の入力側へ遠ざかった位置に光検出手段の光入射部が配置されている。このため、低屈折率樹脂層が途切れた部分以降の領域において第1光ファイバのクラッドから高屈折率樹脂層へ漏れ出した前進光は、十分に光検出手段に入射する。
【0027】
このため、光検出手段の光入射部は、第1光ファイバと第2光ファイバとの接続部から離れて配置されている場合であっても、この接続部において第2光ファイバのコアから第1光ファイバのクラッドへと漏れ出した後進光を十分に受光することができる。これにより、反射光パワーの測定において、ノイズによる悪影響を回避することができる。
【0028】
また、光検出手段の光入射部は、第1および第2光ファイバの軸方向における、低屈折率樹脂層の端部であって前進光の入力側(前進光の進行方向側とは反対方向側)の端部の位置、または前記端部から前進光の入力側へ遠ざかった位置に配置されているので、前記接続部において第1光ファイバのコアから第2光ファイバのクラッドへと漏れ出した前進光の一部分(低屈折率樹脂層への入射角が臨界角よりも小さくなる成分)が接続部の近傍において第2光ファイバのクラッドから漏れ出したとしても、漏れ出した前進光、および、漏れ出した前進光が周囲の部材に散乱されて生じる散乱光は、光検出手段により受光され難い。
【0029】
これにより、漏れ出した前進光が影響して反射光パワーの測定結果が実際の反射光パワーよりも大きくなる事態や、反射光が存在しない場合にも反射光が検出される事態を防止することができる。この結果、反射光パワーを正確に測定することができる。
【0030】
本発明の光パワーモニタ方法は、光ファイバの側面から漏れ出した光のパワーを光検出手段によって測定する光パワーモニタ方法において、第1および第2光ファイバの接続部、並びに前進光の入力側に位置する前記第1光ファイバの前記接続部から所定範囲の領域を、屈折率が前記第1光ファイバのクラッドの屈折率よりも小さい低屈折率樹脂層にて覆う工程と、前記第1光ファイバの少なくとも前記低屈折率樹脂層にて覆われていない領域を、屈折率が前記第1光ファイバのクラッドの屈折率以上である高屈折率樹脂層にて覆う工程と、前記第1および第2光ファイバの軸方向における、前記低屈折率樹脂層の端部であって前進光の入力側(前進光の進行方向側とは反対方向側)の端部の位置、または前記端部から前進光の入力側へ遠ざかった位置に前記光検出手段の光入射部を配置し、前記第1光ファイバのクラッドから漏れ出し、前記高屈折率樹脂を通過して前記光入射部から入射した光を前記光検出手段によって検出する工程とを備えていることを特徴としている。
【0031】
上記の構成によれば、上記の光パワーモニタ装置と同様の作用効果を奏する。
【0032】
上記の課題を解決するために、本発明の光パワーモニタ装置は、光ファイバの側面から漏れ出した光のパワーを光検出手段によって測定する光パワーモニタ装置において、第1光ファイバと、接続部にて前記第1光ファイバに接続され、前記第1光ファイバを伝播する前進光の出力側に位置する第2光ファイバと、前記接続部、並びに前記接続部から前記第1および第2光ファイバの所定範囲の領域を覆い、屈折率が前記第1および前記第2光ファイバのクラッドの屈折率よりも小さい低屈折率樹脂層と、前記第1および第2光ファイバの少なくとも前記低屈折率樹脂層にて覆われていない領域を覆い、屈折率が前記第1および前記第2光ファイバのクラッドの屈折率以上である高屈折率樹脂層と、前記第1および第2光ファイバの軸方向における、前記低屈折率樹脂層の端部であって前進光の出力側の端部の位置、または前進光の出力側の前記端部から前進光の出力側へ遠ざかった位置に光入射部が配置され、前記第2光ファイバのクラッドから漏れ出し、前記高屈折率樹脂を通過して前記光入射部から入射した光を検出する第1の光検出手段と、前記第1および第2光ファイバの軸方向における、前記低屈折率樹脂層の端部であって前進光の入力側の端部の位置、または前進光の入力側の前記端部から前進光の入力側へ遠ざかった位置に光入射部が配置され、前記第1光ファイバのクラッドから漏れ出し、前記高屈折率樹脂を通過して前記光入射部から入射した光を検出する第2の光検出手段とを備えていることを特徴としている。
【0033】
上記の構成によれば、上記の各光パワーモニタ装置と同様、漏れ出した後進光が影響して出力光パワーの測定結果が実際の出力光パワーよりも大きくなる事態を防止することができる。この結果、出力光パワーを正確に測定することができる。
【0034】
本発明の光パワーモニタ方法は、光ファイバの側面から漏れ出した光のパワーを光検出手段によって測定する光パワーモニタ方法において、第1光ファイバと前記第1光ファイバに対して前記第1光ファイバを伝播する前進光の出力側に接続されている第2光ファイバとの接続部、並びに前記接続部から前記第1および第2光ファイバの所定範囲の領域を、屈折率が前記第1および第2光ファイバのクラッドの屈折率よりも小さい低屈折率樹脂層にて覆う工程と、前記第1および第2光ファイバの少なくとも前記低屈折率樹脂層にて覆われていない領域を、屈折率が前記第1および第2光ファイバのクラッドの屈折率以上である高屈折率樹脂層にて覆う工程と、前記第1および第2光ファイバの軸方向における、前記低屈折率樹脂層の端部であって前進光の出力側の端部の位置、または前記前進光の出力側の端部から前進光の出力側へ遠ざかった位置に第1の光検出手段の光入射部を配置し、前記第2光ファイバのクラッドから漏れ出し、前記高屈折率樹脂を通過して前記光入射部から入射した光を前記第1の光検出手段によって検出する工程と、前記第1および第2光ファイバの軸方向における、前記低屈折率樹脂層の端部であって前進光の入力側の端部の位置、または前進光の入力側の前記端部から前進光の入力側へ遠ざかった位置に第2の光検出手段の光入射部を配置し、前記第1光ファイバのクラッドから漏れ出し、前記高屈折率樹脂を通過して前記光入射部から入射した光を前記第2の光検出手段によって検出する工程とを備えていることを特徴としている。
【0035】
上記の構成によれば、上記の光パワーモニタ装置と同様の作用効果を奏する。
【0036】
上記の光パワーモニタ装置は、補強部材を備え、前記高屈折率樹脂層は、前記低屈折率樹脂層を覆い、前記補強部材に設けられ、前記補強部材は、前記高屈折率樹脂層を介して前記低屈折率樹脂層と対向する面が光吸収面となっており、前記高屈折率樹脂層を介して前記低屈折率樹脂層と対向しない面が光反射面となっている構成としてもよい。
【0037】
上記の構成によれば、低屈折率樹脂層の周りの不要な光(例えば第1および第2光ファイバの接続部からの漏れ光)を補強部材の光吸収面によって吸収することがでる。また、低屈折率樹脂層が存在しない領域の光ファイバからの漏れ光を光反射面により反射させて、光検出器に多くの漏れ光を入射させることができる。
【0038】
なお、伝送媒体として機能する後段光ファイバに本発明に係る光パワーモニタ装置が挿入されたファイバレーザも本発明の範疇に含まれる。このようなファイバレーザにおいては、出力光のパワーを従来よりも精度良く測定することができるので、例えば、出力光のパワーを従来よりも精度良くフィードバック制御することが可能になる。
【発明の効果】
【0039】
本発明の構成によれば、光ファイバを伝播する光のパワーを正確に測定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明の実施の形態を図面に基づいて以下に説明する。本実施の形態では、光パワーモニタ装置がファイバレーザを構成する光ファイバに適用された例について説明する。
【0042】
〔光パワーモニタ装置〕
図1は、本実施の形態の光パワーモニタ装置1の構成を示す三面図(左上:上面図、右上:前側面図(右側面図)、左下:正面図)である。
図2は、光パワーモニタ装置1のA−A’線矢視断面図である。
【0043】
光パワーモニタ装置1は、光ファイバ(第1および第2光ファイバ)F1〜F2の側面(外周面)から漏れ出した光のパワーを測定するものである。光パワーモニタ装置1は、
図1および
図2に示すように、台座11、溝付板12、補強部材13、蓋板14、固定ブロック15、出力光検出器(光検出手段、第1の光検出手段)16、固定ブロック17および反射光検出器(光検出手段、第2の光検出手段)18を備えている。なお、
図1の上面図は、光パワーモニタ装置1の内部構造を示すために、蓋板14を省略して示している。
【0044】
(台座11)
台座11は、長方形の板状部材であり、例えば、表面が黒アルマイト処理されたアルミニウム等の金属にて形成されている。台座11の上には溝付板12が設けられている。台座11には、溝付板12から幅方向(台座11の表面と平行、かつ光ファイバF1〜F2の軸方向と直交する方向)に迫り出した外縁部に、ネジ穴11aが形成されている。光パワーモニタ装置1は、このネジ穴11aに設けられるネジによって、ファイバレーザ装置に固定することができる。
【0045】
(溝付板12)
溝付板12は、長方形の板状部材であり、例えば、表面が黒アルマイト処理されたアルミニウム等の金属により形成されている。溝付板12は、上面が台座11の上面と平行になるように台座11上に配置され、下面が台座11の上面に固定(例えば接着)されている。なお、溝付板12の長手方向(光ファイバF1〜F2の軸方向)の長さは、台座11の長手方向(光ファイバF1〜F2の軸方向)の長さと同じである。溝付板12の上面には、溝付板12の長手方向の一端部から他端部に達する溝部12aが形成されている。
【0046】
(補強部材13)
補強部材13は、外形が細長い直方体状であり、例えば、アルミニウム等の金属、あるいはネオセラム(登録商標)等の結晶化ガラスにて形成されている。アルミニウム等の金属は良好な光反射機能を有し、ネオセラムは光散乱体として良好な光散乱機能を有する。
【0047】
補強部材13は、溝付板12の溝部12aと平行となるように溝部12a内に配置されている。補強部材13の下面は、溝部12aの底面に固定(例えば接着)されている。補強部材13の長さは、溝付板12の長さよりも短く、幅は溝部12aの幅よりも狭くなっている。補強部材13の上面には、補強部材13の長手方向の一端部から他端部に達する溝部13aが形成されている。
【0048】
(光ファイバF1,F2、低屈折率樹脂層20、高屈折率樹脂層21)
補強部材13の溝部13a内には、端面同士が融着接続された光ファイバF1,F2が配置されている。なお、光ファイバF1,F2では、レーザ光は光ファイバF1から光ファイバF2に向って伝播するものとする。これら光ファイバF1,F2の接続部19および接続部19の両側の接続部19の近傍領域(接続部19に対する光ファイバF1,F2の軸方向の両側の領域)は、低屈折率樹脂層20にて覆われている。低屈折率樹脂層20の屈折率は、光ファイバF1,F2のクラッドの屈折率よりも小さくなっている。
【0049】
なお、補強部材13がアルミニウムにて形成されている場合、補強部材13の低屈折率樹脂層20と対向する面は黒アルマイト処理された面(光吸収面)であることが好ましい。なお、それ以外の面は光反射面となる。この場合には、低屈折率樹脂層20の周りの不要な光(例えば光ファイバF1,F2の接続部19からの漏れ光)を補強部材13によって吸収することがで
きる。また、低屈折率樹脂層20が存在しない領域の光ファイバF1,F2からの漏れ光を反射させて、出力光検出器16および反射光検出器18に多くの漏れ光を入射させることができる。
【0050】
補強部材13の溝部13a内に配置された光ファイバF1,F2および低屈折率樹脂層20は、溝部13aに充填された高屈折率樹脂層21によって覆われている。高屈折率樹脂層21の屈折率は、光ファイバF1,F2のクラッドの屈折率以上となっている。
【0051】
なお、光パワーモニタ装置1の製造工程においては、光ファイバF1,F2に低屈折率樹脂層20となる樹脂をコーティングして硬化させた後、光ファイバF1,F2を補強部材13の溝部13a内に配置する。次に、高屈折率樹脂層21となる樹脂を溝部13aに充填して硬化させ、高屈折率樹脂層21にて光ファイバF1,F2および低屈折率樹脂層20が覆われた状態とする。
【0052】
なお、高屈折率樹脂層21は、光ファイバF1,F2における少なくとも低屈折率樹脂層20に覆われていない領域を覆う構成であってもよい。
【0053】
また、高屈折率樹脂層21は、屈折率が光ファイバF1,F2のクラッドの屈折率以上の透明材料によって代用することができる。例えば、光ファイバF1〜F2のクラッド(最外周クラッド)よりも屈折率の高いガラスは、このような代替物の一例である。なお、高屈折率樹脂層21は、溝部12aに流し込んでから硬化させることができ、予め成形された部材を溝部12aに嵌め込む構成と比べて溝部12aとの界面に隙間(空気層)を生じ難いという利点がある。
【0054】
補強部材13の溝部13aにおける光ファイバF1,F2の軸方向の両端部には、それぞれ端部樹脂層22が設けられ、これら端部樹脂層22により光ファイバF1,F2が補強部材13に固定されている。また、溝付板12の溝部12aにおける光ファイバF1,F2の軸方向の両端部には、それぞれ端部樹脂層23が設けられ、これら端部樹脂層23により光ファイバF1,F2が溝付板12に固定されている。
【0055】
(蓋板14)
蓋板14は、長方形の板状部材であり、例えば、表面が黒アルマイト処理されたアルミニウム等の金属にて形成されている。蓋板14は、溝部12aを覆うように溝付板12上に配置される。蓋板14の下面は、溝付板12の上面(溝部12a以外の部分)に固定(例えば接着)される。これにより、溝部12aに入射する外光が遮られ、溝部12a内は暗室状態となる。
【0056】
(出力光検出器16および反射光検出器18並びにそれらの配置位置)
出力光検出器16は、光ファイバF2の出力側の端面から出射される出力光のパワーを測定するために、光ファイバF1を出力方向(光源から遠ざかる方向)に伝播する前進光の漏れ光を検出するものである。また、反射光検出器18は、出射端面から光ファイバF2に再入射する反射光(被照射体に反射された出力光)のパワーを測定するために、光ファイバF2を入力方向(被照射体から遠ざかる方向)に伝播する後進光の漏れ光を検出するものである。このために、出力光検出器16は、低屈折率樹脂層20における前進光の出力側の端部以降の領域の光ファイバF2の側面からの漏れ光を検出できる位置に配置されている。また、反射光検出器18は、低屈折率樹脂層20における前進光の入力側(後進光の出力側)の端部以前の領域の光ファイバF1の側面からの漏れ光を検出できる位置に配置されている。
【0057】
具体的には、出力光検出器16は、光ファイバF1,F2の軸方向において、低屈折率樹脂層20における、前進光の出力側の端部の位置、または前進光の出力側の端部から前進光の出力側へ遠ざかる位置に配置されている。出力光検出器16の低屈折率樹脂層20における前進光の出力側の端部の位置は、
図3に示すように、出力光検出器16の受光面(光入射部)16aにおける光ファイバF1,F2の接続部19側の端部が、光ファイバF1,F2の軸方向において低屈折率樹脂層20における前進光の出力側の端部と一致する位置を含む。また、
図6に示すように、出力光検出器16の受光面16aの少なくとも一部が、光ファイバF1,F2の軸方向において低屈折率樹脂層20における前進光の出力側の端部と一致する位置を含む。なお、
図3および
図4は、
図1におけるB−B’線矢視断面図である。
【0058】
また、反射光検出器18は、光ファイバF1,F2の軸方向において、低屈折率樹脂層20における、前進光の入力側の端部の位置、または前進光の入力側の端部から前進光の入力側へ遠ざかる位置に配置されている。反射光検出器18の低屈折率樹脂層20における前進光の入力側の端部の位置は、出力光検出器16の場合と同様、反射光検出器18の受光面(光入射部)における光ファイバF1,F2の接続部19側の端部が、光ファイバF1,F2の軸方向において低屈折率樹脂層20の端部と一致する位置を含む。また、出力光検出器16の場合と同様に、反射光検出器18の受光面(光入射部)の少なくとも一部が、光ファイバF1,F2の軸方向において低屈折率樹脂層20における前進光の入力側の端部と一致する位置を含む。
【0059】
出力光検出器16および反射光検出器18は、赤外用フォトダイオードであってもよい。
【0060】
本実施の形態において、
図1に示すように、出力光検出器16は固定ブロック15を介して台座11に固定され、反射光検出器18は固定ブロック17を介して台座11に固定されている。固定ブロック15,17は、例えば、アルミニウム等の金属にて形成されていてもよい。
【0061】
台座11および溝付板12には、出力光検出器16が光ファイバF2からの漏れ光を受光できるように、それぞれ開口部11bおよび開口部12bが形成されている。また、補強部材13が光を透過できない部材である場合、同様に開口部が形成される。このような構成は、反射光検出器18に対応する位置においても同様である。
【0062】
なお、本実施形態においては、特に、出力光検出器16および反射光検出器18の前にレンズ24を配置し(
図2参照)、光ファイバF1,F2の側面から漏れ出した光を効率よく検出できるようにしている。
【0063】
ここで、光パワーモニタ装置1において、低屈折率樹脂層20のサイズ、並びに出力光検出器16および反射光検出器18の配置の一例を示す。低屈折率樹脂層20は、接続部19を中心に光ファイバF1,F2の両側(出力側および入力側)に、それぞれ10mmとしてもよい。また、出力光検出器16および反射光検出器18は、例えば接続部19からそれぞれ20mmの位置としてもよい。
【0064】
(光パワーモニタ装置1の動作)
上記の構成において、光パワーモニタ装置1の動作について以下に説明する。
図5は、
図1に示した光パワーモニタ装置1の要部を示す模式図である。なお、
図5では、出力光検出器16および反射光検出器18を
図1に示した位置(光ファイバF1,F2の下方位置)とは反対側の位置(光ファイバF1,F2の上方位置)に配置した状態を示している。
【0065】
図5において、光ファイバF1のコア内を伝播する前進光の一部は、接続部19において光ファイバF2のクラッドに入射する。また、光ファイバF2のコア内を伝播する後進光の一部は、接続部19において光ファイバF1のクラッドに入射する。
【0066】
ここで、光ファイバF1,F2の接続部19および接続部19の両側の接続部19の近傍領域は、屈折率が光ファイバF1,F2のクラッドの屈折率よりも低い低屈折率樹脂層20にて覆われている。さらに、光ファイバF1,F2は、低屈折率樹脂層20にて覆われた領域を含み、屈折率が光ファイバF1,F2のクラッドの屈折率以上である高屈折率樹脂層21にて覆われている。
【0067】
この構成によれば、接続部19において光ファイバF2のクラッドに入射した前進光の大部分(低屈折率樹脂層20への入射角が臨界角よりも大きい成分)は、接続部19の近傍において、低屈折率樹脂層20へ漏れ出すことなく、光ファイバF2のクラッド内を伝播する。
【0068】
すなわち、接続部19において漏れ出した前進光の大部分は、低屈折率樹脂層20にて覆われた光ファイバF2の領域では漏れ光
とならずに伝播し
、前進光の伝播方向において、光ファイバF2の、低屈折率樹脂層20が途切れた部分以降の領域から
漏れ光となる。これにより生じた漏れ光は、高屈折率樹脂層21へ入射し、高屈折率樹脂層21を経て直接に、あるいは補強部材13にて反射した後に、出力光検出器16へ入射する。
【0069】
なお、接続部19において光ファイバF2のクラッドに入射した前進光の一部(低屈折率樹脂層20への入射角が臨界角よりも小さい成分)は、接続部19に近傍において低屈折率樹脂層20へ漏れ出すが、このようにして漏れ出した前進光が接続部19から離れた反射光検出器18に入射することは殆どない。
【0070】
同様に、接続部19において光ファイバF1のクラッドに入射した後進光の大部分(低屈折率樹脂層20への入射角が臨界角よりも大きい成分)は、接続部19の近傍において、低屈折率樹脂層20へ漏れ出すことなく、光ファイバF1のクラッド内を伝播する。
【0071】
すなわち、接続部19において漏れ出した後進光の大部分は、低屈折率樹脂層20にて覆われた光ファイバF1の領域では漏れ光を生じることなく伝播し、後進光の漏れ光は、後進光の伝播方向において、光ファイバF1の、低屈折率樹脂層20が途切れた部分以降の領域から生じる。生じた漏れ光は、高屈折率樹脂層21へ入射し、高屈折率樹脂層21を経て直接に、あるいは補強部材13にて反射した後に、反射光検出器18へ入射する。
【0072】
なお、接続部19において光ファイバF1のクラッドに入射した後進光の一部(低屈折率樹脂層20への入射角が臨界角よりも小さい成分)は、接続部19に近傍において低屈折率樹脂層20へ漏れ出すが、このようにして漏れ出した前進光が接続部19から離れた出力光検出器18に入射することは殆どない。
【0073】
(光パワーモニタ装置1の利点)
上記のように、光パワーモニタ装置1では、光ファイバF1,F2の接続部19および接続部19の両側の接続部19の近傍領域(接続部19から所定範囲の領域)は、屈折率が光ファイバF1,F2のクラッドの屈折率よりも低い低屈折率樹脂層20にて覆われている。
【0074】
さらに、出力光検出器16は、光ファイバF1,F2の軸方向において、低屈折率樹脂層20における、前進光の出力側の端部の位置、または端部から前進光の出力側へ遠ざかる位置に配置されている。また、反射光検出器18は、光ファイバF1,F2の軸方向において、低屈折率樹脂層20における、前進光の入力側の端部の位置、または端部から前進光の入力側へ遠ざかる位置に配置されている。すなわち、出力光検出器16および反射光検出器18は光ファイバF1,F2の接続部19とは離れた位置に配置されている。
【0075】
したがって、接続部19から漏れた後進光(直接光および散乱光を含む)は出力光検出器16により受光され難く、後進光が影響して出力光パワーの測定結果が実際の出力光パワーよりも大きくなる事態を防止することができる。また、出力光検出器16は前進光の漏れ光を所望のパワーにて受光できるので、出力光パワーの検出において、ノイズによる悪影響を回避することができる。これにより、出力光パワーを正確に測定することができる。
【0076】
同様に、接続部19から漏れた前進光(直接光および散乱光を含む)は反射光検出器18により受光され難く、前進光が影響して反射光パワーの測定結果が実際の反射光パワーよりも大きくなる事態や、反射光が存在しない場合にも反射光が検出される事態を防止することができる。また、反射光検出器18は後進光の漏れ光を所望のパワーにて受光できるので、反射光パワーの検出において、ノイズによる悪影響を回避することができる。これにより、反射光パワーを正確に測定することができる。
【0077】
ここで、
図6には、低屈折率樹脂層20が存在しない場合における接続部19からの出力光検出器16および反射光検出器18の距離(光ファイバF1,F2の軸方向の距離)と出力光検出器16および反射光検出器18による光パワーモニタ値との関係の測定結果を示す。また、
図7には、低屈折率樹脂層20の端部からの出力光検出器16の距離(出力光検出器16の低屈折率樹脂層20側の端部との距離)と出力光検出器16による光パワーモニタ値との関係の測定結果を示す。なお、
図6においては、接続部19からの距離が0〜2.5mm程度までの範囲の光パワーモニタ値の記載を省略している。上記範囲については、同様に光パワーが存在しており、単に記載を省略しているだけである。
【0078】
図6に示されるように、低屈折率樹脂層20が存在しない場合において、出力光検出器16にて検出される出力光パワー、および反射光検出器18にて検出される反射光パワーは、接続部19からの距離(接続部19から出力光検出器16および反射光検出器18の中心部までの距離)が長くなるほど低減されていく。したがって、
図6から、出力光パワーの検出値に対する反射光パワーの影響、および反射光パワーの検出値に対する出力光パワーの影響を低減させるには、出力光検出器16および反射光検出器18を接続部19から光ファイバF1,F2の軸方向へ離して配置するのが好ましいことが分かる。一方、出力光検出器16および反射光検出器18を接続部19から光ファイバF1,F2の軸方向へ離した場合には、出力光検出器16および反射光検出器18にて本来検出すべき出力光パワーおよび反射光パワーの測定値が低減することになる。
【0079】
そこで、光ファイバF1,F2の接続部19および接続部19の両側の接続部19の近傍領域を低屈折率樹脂層20にて覆い、低屈折率樹脂層20の端部(または端部から離れた位置)に出力光検出器16および反射光検出器18に配置する。これにより、接続部19から低屈折率樹脂層20の端部までの間において、漏れ光を生じさせることなく前進光および後進光を低屈折率樹脂層20の端部まで伝播させ、所望のパワーにて前進光および後進光を検出することができる。
【0080】
また、
図7に示す測定結果から、出力光検出器16の出力光パワーの検出値は、出力光検出器16の位置(出力光検出器16の接続部19側の端部位置)が低屈折率樹脂層20の端部から2mmの場合が最大となり、低屈折率樹脂層20の端部から離れるにしたがって低下していく。したがって、出力光検出器16は、低屈折率樹脂層20の端部付近(低屈折率樹脂層20の端部を含む)に配置するのが好ましいことが分かる。この点は、反射光検出器18の配置においても同様である。
【0081】
なお、光パワーモニタ装置1は、上記のように、光ファイバF1,F2の接続部19および接続部19の両側の接続部19の近傍領域を低屈折率樹脂層20にて覆い、出力光検出器16および反射光検出器18を備えた構成としている。しかしながら、光パワーモニタ装置1は、出力光検出器16と反射光検出器18とのいずれか一方のみを備えた構成としてもよい。
【0082】
すなわち、光パワーモニタ装置1は、出力光検出器16のみを備え、出力光パワーのみを測定する構成であってもよい。この場合、低屈折率樹脂層20は、光ファイバF1,F2の接続部19および接続部19から前進光の出力側の接続部19の近傍領域を覆っていればよい。同様に、光パワーモニタ装置1は、反射光検出器18のみを備え、反射光パワーのみを測定する構成であってもよい。この場合、低屈折率樹脂層20は、光ファイバF1,F2の接続部19および接続部19から前進光の入力側の接続部19の近傍領域を覆っていればよい。
【0083】
〔ファイバレーザ〕
光パワーモニタ装置1を備えたファイバレーザ51について説明する。
図8は、ファイバレーザ51の構成を示すブロック図である。
【0084】
図8に示すように、ファイバレーザ51は、光パワーモニタ装置1、光源装置2、光ファイバF3(前段光ファイバ)、残留光除去部3、および光ファイバF1,F2(後段光ファイバ)を備えている。
【0085】
光ファイバF3は増幅媒体として機能する。光ファイバF3は、活性元素が添加されたコア、このコアを取り囲む内側クラッド、およびこの内側クラッドを取り囲む外側クラッドを備えたダブルクラッドファイバである。光ファイバF3のコアに添加された活性元素は、光源装置2から出力され、光ファイバF3の内側クラッドを伝播する励起光によって反転分布状態に遷移する。そして、光源装置2から出力され、光ファイバF3のコアを伝播する前進光は、反転分布状態に遷移した活性元素によって増幅される。特に、光ファイバF3には、2つのファイバブラッググレーティングFBGが書き込まれており、光ファイバFのコアを伝播する前進光は、これら2つのファイバブラッググレーティングFBGの間で再帰的に増幅される。
【0086】
残留光除去部3は、光ファイバF3の前進光から残留光を除去する。残留光とは、内側クラッドを伝播する励起光や光ファイバ同士の融着接続部の軸ズレによりクラッドに漏れ出した前進光など、コアを伝播する前進光以外の光のことである。
【0087】
残留光除去部3から出力された前進光は、伝送媒体として機能する光ファイバF1,F2内を伝播して出力端outから外部に出力される。本実施形態に係る光パワーモニタ装置1は、この光ファイバF1,F2に挿入される。このように、残留光除去部3よりも出力端out側に光パワーモニタ装置1を配置する構成を採用することによって、クラッドを伝播する残留光の影響を受けることなく、コアを伝播する前進光の強度をモニタすることが可能になる。
【0088】
光パワーモニタ装置1は、出力光パワーの検出において、光ファイバF2からの漏れ光のパワーに応じた光電流を出力する。光ファイバF2からの漏れ光のパワーと出力端outから出力される光のパワー(以下、「ファイバレーザ出力」とも記載する)とは比例する。したがって、光パワーモニタ装置1から出力される光電流を電圧に変換したものからファイバレーザ出力を特定することができる。
【0089】
なお、以上の実施の形態では、光ファイバF1,F2のクラッドからの漏れ光を出力光検出器16および反射光検出器18に直接入射させる構成としているが、これに代えて、F2のクラッドからの漏れ光をモニタ用光ファイバに入射させ、モニタ用光ファイバを介して出力光検出器16および反射光検出器18に入射させる構成としてもよい。この場合には、前述した出力光検出器16および反射光検出器18の位置に、光入射部としてのモニタ用光ファイバの端部が配置され、光検出手段は、モニタ用光ファイバおよび光検出器によって構成される。
【0090】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。