(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ワイパ駆動用電動モータ装置の電動モータ部には、いわゆるブラシ付DCモータが用いられる。すなわち、ブラシを用いて電力を給電するモータが用いられる。ブラシ付DCモータは、発熱が大きく、電磁ノイズを発生する。このため、モータハウジングやハウジングには、耐熱性、電磁妨害性(EMI:Electro Magnetic Interference)が要求される。
しかし、樹脂はアルミニウム等の金属に比べて耐熱性や電磁妨害性が劣るため、モータハウジングやハウジングの樹脂化は実現していない。したがって、ワイパ駆動用電動モータ装置の小型化、軽量化は達成されていないという課題がある。
【0006】
本発明は、確実に小型化、軽量化を図ることができる電動モータ装置、ワイパ駆動用電動モータ装置を提案することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電動モータ装置の第一実施態様は、ロータの回転位置を検出するセンサを搭載した回路基板を有し、前記センサからの検出信号に基づいて通電が制御される電動モータ部と、前記電動モータ部の回転軸に連結された伝達機構と、前記伝達機構に連結された出力軸と、前記回転軸及び前記伝達機構を収容する樹脂製のハウジングと、を備える電動モータ装置において、前記電動モータ部は、前記ロータに複数の磁石を配置し、
複数の鋼板を積層して形成されるステータ
コアに複数の巻線を
巻装したステータを配置したインナーロータ型のブラシレスDCモータであり、前記ハウジング
には、
伝達機構収納部と、基板収容部と、モータ保持部とが一体成形され、前記伝達機構収納部は、有底箱形に形成され、前記伝達機構を収容し、前記基板収容部は、前記回路基板を前記回転軸に直交する方向から案内して収容保持
し、前記モータ保持部には、前記伝達機構収納部に連通する貫通孔が形成され、前記貫通孔の内周面には、段部が形成され、前記貫通孔の前記段部に、前記ステータコアの一端側の外周縁を当接させ、かつ、前記貫通孔の前記段部の内周面に前記ステータ
コアの
前記一端側の外周面を
嵌合させることで、前記モータ保持部に前記ステータコアが保持
され、前記回転軸の一端は、前記ステータ
コアの他端側を覆
い、前記ハウジングと別体に設けられたモータキャップの底部に支持され、前記回転軸の先端は、
前記貫通孔に挿通され、軸受を介して前記ハウジングに対して回転自在に支持され、前記モータ保持部と前記モータキャップとの間から前記ステータ
コアの外周面の少なくとも一部が露出することを特徴とする。
【0008】
このように構成することで、回路基板を、回転軸に沿う方向から案内して収容保持する場合と比較して、電動モータ部の軸方向の長さを短くすることができる。すなわち、回路基板を、回転軸に沿う方向から案内して収容保持しようとすると、回転軸方向に回路基板の抜け止め構造等が複雑化し、この分ハウジングが大型化してしまう。このため、ハウジングに、回路基板を回転軸に直交する方向から案内して収容保持する基板収容部を設けることにより、電動モータ部の軸方向の長さを短くすることができると共に、装置全体の軸方向の長さを短くすることができる。
また、電動モータ部の発熱や電磁ノイズを、ブラシ付DCモータと比較して大幅に軽減できる。このため、ハウジングを樹脂化し、大幅な軽量化を実現できる。さらに、ハウジングに電動モータ部を容易に位置決め、固定できる。また、ハウジングの軽量化を図ることができる。
【0011】
本発明に係る電動モータ装置の第
二実施態様は、第
一実施態様において、前記ロータは、前記複数の磁石をロータ外周面に配置したSPMモータ用ロータであることを特徴とする。
【0012】
このように構成することで、ロータの永久磁石の磁束を最大限利用することができ、電動モータ部のモータ特性を向上できる。
【0015】
本発明に係る電動モータ装置の第三実施態様は、第一又は第二実施態様において、前記モータ保持部に前記
ステータコアの前記外周面の一部を露出させる複数のモータキャップ固定片が形成されると共に、前記モータキャップ固定片と前記
モータキャップが連結固定されることを特徴とする。
【0016】
このように、電動モータ部の外周面の一部を露出させることにより、電動モータ部の放熱性を向上できる。
【0019】
本発明に係る電動モータ装置の第
四実施態様は、第一から第
三実施態様のいずれかにおいて、前記基板収容部に前記回路基板を係止するスナップフィット連結部を備えることを特徴とする。
【0020】
このように構成することで、基板収容部への回路基板の組み付け性を向上できる。
【0021】
本発明に係るワイパ駆動用電動モータ装置の実施態様は、車両のウインドウを払拭するワイパと、前記ワイパを駆動する電動モータ部と、を備えるワイパ駆動用電動モータ装置において、前記電動モータ部として、本発明に係る電動モータ装置の第一から第七実施態様のいずれかを用いることを特徴とする。
【0022】
このように構成することで、確実に小型化、軽量化を図ることができるワイパ駆動用電動モータ装置を提供できる。
また、ワイパ駆動用電動モータ装置の軽量化により、車両の燃費向上等に貢献することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、回路基板を、回転軸に沿う方向から案内して収容保持する場合と比較して、電動モータ部の軸方向の長さを短くすることができる。すなわち、回路基板を、回転軸に沿う方向から案内して収容保持しようとすると、回転軸方向に回路基板の抜け止め構造等が複雑化し、この分ハウジングが大型化してしまう。このため、ハウジングに、回路基板を回転軸に直交する方向から案内して収容保持する基板収容部を設けることにより、電動モータ部の軸方向の長さを短くすることができると共に、装置全体の軸方向の長さを短くすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明をする。
図1は、本発明の実施形態に係る電動モータ装置を示す斜視図、
図2は、電動モータ装置を示す平面図、
図2は、後述するハウジングカバーを取り外した状態を示す。
【0026】
(電動モータ装置)
図1、
図2に示すように、電動モータ装置(ワイパ駆動用電動モータ装置)1は、例えばリヤワイパ90等のワイパアームを回動させるリヤワイパ駆動用電動モータ装置として用いられる。電動モータ装置1は、車両のバックドアに設けられる。電動モータ装置1の出力軸60には、車両のリヤウインドウガラスを払拭するリヤワイパ90が取り付けられる。
【0027】
電動モータ装置1は、電動モータ部3、ハウジング30、伝達機構50、出力軸60等を備える。
電動モータ部3は、リヤワイパ90を揺動させる駆動源である。ハウジング30は、伝達機構50を収容すると共に、電動モータ部3及び出力軸60を支持する。伝達機構50は、電動モータ部3に連結されて、電動モータ部3の回転力を伝達する。出力軸60は、伝達機構50に連結されて、電動モータ部3の回転力をリヤワイパ90に伝達する。
【0028】
(電動モータ部)
図3は、ロータを示す斜視図、
図4は、ステータを示す斜視図である。
【0029】
図1、
図3、
図4に示すように、電動モータ部3は、いわゆるブラシレスDCモータである。電動モータ部3は、4極6スロット形である。
電動モータ部3は、有底筒状のモータハウジング4を備える。電動モータ部3は、モータハウジング4の内部に、ロータ5、ステータ6及びセンサ搭載回路基板7等を備える。
【0030】
モータハウジング4は、鉄等の金属からなる部材であって、例えば深絞りによるプレス加工等により成型される。
モータハウジング4の開口端には、フランジ11が形成される。フランジ11の取付孔12に挿通されたボルトにより、モータハウジング4がハウジング30に固定される。
【0031】
電動モータ部3は、永久磁石15を有するロータ5が内側に配置され、巻線18を有するステータ6がロータ5の外周を覆うように外側に配置される。つまり、電動モータ部3は、インナーロータ型のブラシレスDCモータである。
【0032】
ロータ5は、モータシャフト13、ロータコア14、永久磁石15及び軸受16等を有する。
モータシャフト(回転軸)13は、鉄等の金属からなる棒状の部材である。
ロータコア14は、鉄等の金属からなる円筒形の部材であって、モータシャフト13の一端側の外周に配置される。
永久磁石(磁石)15は、リング形の複数の永久磁石であり、ロータコア14の外周面(ロータ表面)に配置される。つまり、ロータ5は、SPM(SPM:Surface Permanent Magnet)モータ用ロータである。
【0033】
軸受16は、モータシャフト13の先端側に嵌合配置される。
モータシャフト13の一端は、モータハウジング4の底部に支持される。モータシャフト13の先端は、軸受16を介してハウジング30に対して回転自在に支持される。モータシャフト13の先端には、ウォームシャフト52が一体的に形成される。
【0034】
ステータ6は、モータハウジング4の内周面に沿って配置される。
ステータ6は、ステータコア17、巻線18及びインシュレータ19等を備える。
ステータコア17は、巻線18が巻装されこの巻線18に供給される電流によって磁束を発生するものである。この磁束と、ロータ5からの磁束との間に生じる磁気的な吸引力や反発力によって、ロータ5が回転するようになっている。ステータコア17は、複数の鋼板を積層して形成される。ステータコア17は、円筒形のステータヨークとこのステータヨークからロータ5に向かって立設する複数のティースを有する。
【0035】
巻線18は、ステータコア17の複数のティースに巻回される。
インシュレータ19は、ステータコア17の軸方向の両端にそれぞれ配置される絶縁部材である。インシュレータ19は、ステータコア17に沿って周方向に等間隔に形成され、ティースの軸方向の端面を被覆する複数の被覆部を有する。この被覆部で被覆されたティースに巻線18を巻回することにより、ティースと巻線18の絶縁性が確保される。インシュレータ19によりティースと巻線18を絶縁したので、巻線18に通電してティースに磁力を発生させることができる。
【0036】
図5は、センサ搭載回路基板を示す斜視図である。
同図に示すように、センサ搭載回路基板(回路基板)7は、ロータ5の回転位置を検出して、このインバータ(不図示)にフィードバックするために設けられる。
センサ搭載回路基板7は、プリント基板20、複数のホール素子23等を備える。
プリント基板20は、例えばガラスを含有するエポキシ系の樹脂からなるガラスエポキシ基板であって、平面視すると長方形に形成される。プリント基板20の一方の長辺には、U字形状の切欠き部21が設けられる。
プリント基板20の切欠き部21には、ロータ5のモータシャフト13が挿通される。プリント基板20は、ステータコア17の軸方向ハウジング30側(モータシャフト13の先端側)に配置される。
【0037】
プリント基板20の短辺には、それぞれ被係止部28が形成される。被係止部28は、短辺を矩形に切り欠いて形成される。この被係止部28には、後述する係止部46の係止爪48が嵌まり込む。
【0038】
ホール素子(センサ)23は、ホール効果を利用して磁界を検出する素子であり、プリント基板20の主面22に搭載される。主面22は、プリント基板20の二つ主面のうち、ロータコア14(永久磁石15)を向く(臨む)面である。
複数のホール素子23は、切欠き部21(モータシャフト13)を中心とする同一の円周上において、均等間隔に配置される。
電動モータ部3は、4極6スロット形であるため、3つのホール素子23が、切欠き部21を中心とする同一の円周上において、60°の間隔に配置される。
3つのホール素子23は、ロータ5が回転すると、ロータコア14に配置された永久磁石15の位置(回転位置)に応じて検出信号を出力する。3つのホール素子23からの検出信号は、インバータ(不図示)にフィードバックされて、巻線18に対する通電制御が行われる。
【0039】
(ハウジング)
図1、
図2に示すように、ハウジング30は、例えばPBT(ポリブチレンテレフタレート)やPPS(ポリフェニレンサルファイド)等を用いて樹脂成形した部材である。
ハウジング30は、モータ取付部31、伝達機構収納部34、スリーブ36、基板収容部40を有し、これらが一体的に形成される。
【0040】
モータ取付部(モータ保持部)31は、電動モータ部3が装着される部位である。
モータ取付部31には、伝達機構収納部34に連通する段付き貫通孔32(
図6参照)が形成される。この段付き貫通孔32には、モータシャフト13(ウォームシャフト52)と軸受16が挿通される。そして、ステータ6のステータコア17の外周縁が段付き貫通孔32の段部に当接して位置決めされる。また、段付き貫通孔32の段部には、ステータコア17の外周面が嵌合する。つまり、モータ取付部31(段付き貫通孔32の段部)は、ステータコア17(電動モータ部3)を覆って保持する。
また、モータ取付部31には、軸受16を収容保持する軸受保持部33(
図6参照)が形成される。軸受保持部33は、段付き貫通孔32と伝達機構収納部34を連通する貫通孔32と同軸上に配置される。
【0041】
伝達機構収納部34は、一面が開口した有底箱形の部位であり、伝達機構50を収容する。伝達機構50は、伝達機構収納部34の底面35に配置される。伝達機構収納部34の開口には、板形のハウジングカバー(不図示)が装着されて、伝達機構収納部34の内部空間を閉塞する。
【0042】
伝達機構収納部34の側方には、電動モータ部3に給電するためのコネクタ部材70が組み付けられる。コネクタ部材70には、バッテリ等の電源(不図示)から延出されたハーネス(不図示)が接続される。これにより、電動モータ部3に給電される。
【0043】
スリーブ36は、伝達機構収納部34の裏面から立設する円筒形の部位である。スリーブ36は、出力軸60の基端部62を回転可能に支持する。
【0044】
基板収容部40は、センサ搭載回路基板7を収容保持する部位である。基板収容部40は、伝達機構収納部34と同一方向に開口した、細長い有底箱形の部位である。基板収容部40は、モータ取付部31に設けられる。基板収容部40は、貫通孔32と軸受保持部33の間に配置される。なお、基板収容部40の詳細構成については、後述する。
【0045】
(伝達機構)
伝達機構50は、モータシャフト13の先端に形成されたウォームシャフト52、ウォームシャフト52に噛み合うウォームホイール54、ウォームホイール54に接続された第一連結プレート56、第一連結プレート56に接続された第二連結プレート58により構成される。
【0046】
ウォームシャフト52は、モータシャフト13の先端に形成された軸形のねじ歯車である。ウォームシャフト52は、モータシャフト13と一体的に形成される。
ウォームシャフト52の基端は、ハウジング30に取り付けられた滑り軸受16を介してハウジング30に対して回転可能に支持される。
【0047】
ウォームホイール54は、はすば歯車であって、伝達機構収納部34の底面35に立設された中心軸(不図示)により回転可能に支持される。ウォームホイール54は、ウォームシャフト52に噛み合って、電動モータ部3の回転力がウォームシャフト52からウォームホイール54へと伝達される。
電動モータ部3のモータシャフト13の回転速度は、ウォームシャフト52とウォームホイール54とにより減速される。ウォームシャフト52とウォームホイール54とにより、大きな減速比が得られる。また、他の歯車機構に比べてバックラッシュも小さい。
ウォームシャフト52の回転によりウォームホイール54が回転するが、その逆は不可能である。
【0048】
第一連結プレート56は、長尺の平板形に形成された部材である。第一連結プレート56の一端側は、ウォームホイール54の側面(上面)に設けられた連結軸55に回動可能に接続(支持)される。
第一連結プレート56の他端側は、第二連結プレート58の一端側に回動可能に接続(支持)される。
【0049】
第二連結プレート58は、第一連結プレート56よりも短い平板形に形成された部材である。第二連結プレート58の一端側は、第一連結プレート56の他端側に回動可能に接続(支持)される。第二連結プレート58の他端側は、出力軸60に接続される。第二連結プレート58と出力軸60とは、相対回転ができないように接続される。
出力軸60がスリーブ36(ハウジング30)に対して回転可能に支持されることにより、第二連結プレート58の他端側もハウジング30に対して回転可能に支持される。
【0050】
ウォームホイール54(連結軸55)、第一連結プレート56及び第二連結プレート58は、ハウジング30(伝達機構収納部34)も含めて四節リンク機構を構成する。
連結軸55は、ウォームホイール54の回転により、ウォームホイール54の周方向に沿って回転移動する。この連結軸55の回転移動により、連結軸55に連結された第一連結プレート56が、第二連結プレート58を揺動させる。これにより、第二連結プレート58に固定された出力軸60が回動(往復回動)する。
【0051】
(出力軸)
出力軸60は、例えば鉄等の金属により形成された棒状部材である。出力軸60は、ハウジング30(伝達機構収納部34)の外側に向かって突設される。
出力軸60の全長は、電動モータ装置1が搭載される車種によって適宜設定されるため、車種毎に異なる。
【0052】
出力軸60の基端部62は、ハウジング30のスリーブ36によって回転可能に支持される。スリーブ36には、長手方向に沿う中心穴(不図示)が形成される。この中心穴は、ハウジング30の伝達機構収納部34に連通して、出力軸60が挿通される。
出力軸60の基端は、伝達機構50に連結される。出力軸60の基端は、第二連結プレート58に接続される。出力軸60と第二連結プレート58は、例えばセレーションにより嵌合されており、相対回転が規制される。
【0053】
出力軸60の先端には、ネジ部63が形成される。このネジ部63には、リヤワイパ90が不図示のナット等を用いて固定される。
出力軸60は、第二連結プレート58の揺動に対応して往復回動する。出力軸60は、ウォームホイール54が一回転するごとに一往復回動する。出力軸60の往復回動により、出力軸60に取り付けられたリヤワイパ90が揺動する。
【0054】
次に、基板収容部40について詳述する。
図6は、基板収容部を示す斜視図、
図7は、スナップフィット連結部を示す斜視図、
図8は、スナップフィット連結部でセンサ搭載回路基板を係止した状態を示す斜視図である。
【0055】
図6〜
図8に示すように、基板収容部40は、伝達機構収納部34と同一方向に開口した、細長い有底箱形の部位である。基板収容部40は、モータシャフト13の軸方向に短く、モータシャフト13の径方向に長く形成される(
図2参照)。
【0056】
基板収容部40の内側面のうち、モータシャフト13の径方向(
図6の紙面左右方向)の内側面41には、それぞれ開口縁から底面に向かう(
図6の紙面上下方向)ように形成された案内溝42が設けられる。
内側面41同士の距離(間隔)は、センサ搭載回路基板7のプリント基板20の長辺の長さよりもやや短い。案内溝42の底部同士の距離は、センサ搭載回路基板7のプリント基板20の長辺の長さとほぼ同一である。案内溝42の幅は、プリント基板20の厚みよりもやや広い。案内溝42の長さは、プリント基板20の短辺の長さとほぼ同じ長さである。
このため、センサ搭載回路基板7のプリント基板20の長辺の周縁を一対の案内溝42に嵌め込むことができる。そして、センサ搭載回路基板7を案内溝42に沿って移動させることにより、センサ搭載回路基板7が基板収容部40に収容される。
【0057】
センサ搭載回路基板7を基板収容部40に収容するときは、プリント基板20の主面22を貫通孔32に向ける。つまり、センサ搭載回路基板7のホール素子23が電動モータ部3のロータ5(ロータコア14)を向くように配置する。また、切欠き部21が基板収容部40の底面43に向ける。
【0058】
プリント基板20がU字形に形成されているので、ハウジング30のモータ取付部31に電動モータ部3を取り付けた後に、センサ搭載回路基板7を基板収容部40に収容することができる。つまり、プリント基板20に切欠き部21を設けたので、センサ搭載回路基板7がロータ5のモータシャフト13に干渉することなく、基板収容部40に収容される。
そして、プリント基板20を案内溝42の最深部まで押し込むと、切欠き部21の中心が電動モータ部3のロータ5の中心軸に一致するように配置される。これにより、センサ搭載回路基板7の3つのホール素子23が電動モータ部3のロータコア14に配置された永久磁石15にそれぞれ対向配置される。
【0059】
基板収容部40には、センサ搭載回路基板7を保持する係止部46が設けられる。係止部46は、一対の案内溝42に沿うように配置される。係止部46は、一対の細長い可撓部47と、可撓部47の先端に形成された係止爪48とからなる。
可撓部47は、案内溝42の底面43から案内溝42に沿うように開口側に向けて立設する。
係止爪48は、可撓部47の先端から貫通孔32に向けて突出する。係止爪48の外周面のうち、開口方向を向く面は、貫通孔32を向く傾斜面49に形成される。係止爪48の外周面のうち、底面方向を向く面は、可撓部47に直交する平面に形成される。
【0060】
このため、センサ搭載回路基板7を案内溝42に沿って挿入すると、係止部46の係止爪48がプリント基板20に設けた被係止部28に嵌り込んで、プリント基板20を保持する。つまり、センサ搭載回路基板7が基板収容部40から抜け出なくなる。
具体的には、センサ搭載回路基板7を案内溝42に沿って挿入すると、プリント基板20の長辺が係止部46の係止爪48の傾斜面49に当接する。これにより、可撓部47がプリント基板20から離間する方向に撓む。
【0061】
センサ搭載回路基板7を案内溝42に沿ってさらに挿入すると、係止爪48がプリント基板20の被係止部28に嵌り込んで、可撓部47の撓みが復元する。つまり、可撓部47がプリント基板20に近接する方向に戻る。
そして、係止爪48は、底面方向を向く面がプリント基板20に対して直交するので、センサ搭載回路基板7の開口方向への移動が抑止される。つまり、センサ搭載回路基板7が基板収容部40から抜け出ないように保持される。
このように、基板収容部40の係止部46とセンサ搭載回路基板7(プリント基板20)の被係止部28により、スナップフィット連結部45が構成される。
【0062】
このように、上述の実施形態における電動モータ装置1は、伝達機構50を収容するハウジング30に、電動モータ部3のロータ5の回転位置を検出するホール素子23を搭載したセンサ搭載回路基板7を収容する基板収容部40を設けた。基板収容部40には、内側面のうち、モータシャフト13の径方向(
図6の紙面左右方向)の内側面41に、それぞれ開口縁から底面に向かう(
図6の紙面上下方向)ように形成された案内溝42が設けられる。そして、この案内溝42に沿わせながら、基板収容部40にセンサ搭載回路基板7を収容する。すなわち、基板収容部40は、センサ搭載回路基板7をモータシャフト13と直交する方向から案内して収容保持するように構成されている。このため、電動モータ部3の軸方向の長さを短くすることができると共に、電動モータ装置1における電動モータ部3に対応する位置の軸方向の長さを短くすることができる。
【0063】
とりわけ、電動モータ部3にブラシレスDCモータを用いて、発熱や電磁ノイズを大幅に軽減したので、ハウジング30を樹脂化することができる。したがって、大幅な軽量化を実現できる。
また、ロータ5として、SPMモータ用ロータを採用したので、ロータ5の永久磁石の磁束を最大限利用することができ、電動モータ部3のモータ特性を向上できる。
【0064】
さらに、ハウジング30にモータ取付部31を一体成形したので、ハウジング30に対する電動モータ部3の位置決めを容易に行うことができると共に、ハウジング30に電動モータ部3を容易に固定することができる。
また、基板収容部40の係止部46とセンサ搭載回路基板7(プリント基板20)の被係止部28によりスナップフィット連結部45を構成し、このスナップフィット連結部45を利用して基板収容部40内にセンサ搭載回路基板7を固定している。このため、基板収容部40へのセンサ搭載回路基板7の組み付け性を向上できる。
そして、電動モータ装置1は、主にハウジング30の軽量化により、車両の燃費向上等に貢献できる。
【0065】
本発明は前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0066】
(第一変形例)
図9は、電動モータ装置の第一変形例を示し、(a)は斜視図、(b)は、電動モータ部を拡大した平面図である。
上述した実施形態では、電動モータ部3のモータハウジング4がロータコア14の全体を覆う場合について説明したが、これに限らない。電動モータ装置1をリヤワイパ駆動用電動モータ装置として用いる場合、リヤパネル内に電動モータ装置1が配置されるので、電動モータ装置1が雨水等により被水することが殆どない。このため、電動モータ装置1をリヤワイパ駆動用電動モータ装置として用いる場合、電動モータ装置1には防水性があまり求められることがなく、ステータ6を露出させてもよい。
【0067】
すなわち、
図9に示すように、モータハウジング4に代えて、ステータコア17の端部のみを覆うモータキャップ84を用いてもよい。モータキャップ84は、モータキャップ84に対して圧入又は接着される。これにより、ステータコア17の大部分が露出する。
【0068】
(第二変形例)
図10は、電動モータ装置の第二変形例を示し、(a)は斜視図、(b)は、電動モータ部を拡大した平面図である。
また、同図に示すように、ハウジング30のモータ取付部31に複数のモータキャップ固定片85を設け、このモータキャップ固定片85にモータキャップ84を連結固定してもよい。これにより、モータキャップ固定片85同士の間にステータコア17の一部が露出する。
【0069】
上述の第一変形例及び第二変形例のような場合には、ステータコア17は、ハウジング30のモータ取付部31(段付き貫通孔32の段部)に対して圧入又は接着される。
上述の第一変形例および第二変形例のように構成することにより、ステータコア17が外部に露出するので、電動モータ部3の放熱性を高めることができる。また、電動モータ部3の軽量化を図ることができる。
【0070】
また、上述した実施形態では、電動モータ部3が4極6スロット形の場合について説明したが、これに限らない。電動モータ部3は、例えば6極9スロット形や8極6スロット形であってもよい。なお、6極9スロット形の場合には、3つのホール素子23が、切欠き部21を中心とする同一の円周上において、40°の間隔に配置される。