(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6334978
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】インターホン装置
(51)【国際特許分類】
H04M 9/00 20060101AFI20180521BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
H04M9/00 D
H04N7/18 H
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-62179(P2014-62179)
(22)【出願日】2014年3月25日
(65)【公開番号】特開2015-186118(P2015-186118A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2016年9月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 真則
【審査官】
松原 徳久
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−069894(JP,A)
【文献】
特開2008−072410(JP,A)
【文献】
特開2009−105550(JP,A)
【文献】
特開2010−271507(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M9/00−9/10
H04N5/222−5/257
7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼び出し/通話機能に加えて操作者を撮像するためのカメラを備えた玄関子機と、前記玄関子機からの呼び出しに応答する機能に加えて前記カメラの撮像映像を表示するモニタを備えた居室親機とを有するインターホン装置であって、
照度環境に応じ変化する前記カメラの電子シャッターの開時間を読み取り、読み取った開時間が所定の閾値より長い場合は、撮像映像の目標輝度を蛍光灯環境用に設定した所定の第1の輝度に設定する一方、読み取った前記電子シャッターの開時間が前記所定の閾値以下である場合には、撮像映像の目標輝度を前記第1の輝度より低い屋外用に設定した所定の第2の輝度に設定する輝度設定手段と、
設定された輝度に近づくよう前記電子シャッターの開時間を制御する電子シャッター制御手段とを備えたことを特徴とするインターホン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインターホン装置に関し、特に玄関子機に備えられたカメラが蛍光灯照明下であっても良好に撮像できるインターホン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
来訪者が居住者を呼び出して通話ができるインターホン装置は、玄関に設置された玄関子機と住戸内に設置された居室親機とを備え、セキュリティ向上のため玄関子機に来訪者を撮像するためのカメラを備えると共に居室親機にその映像を表示するモニタを備えたものが普及している。
この場合、玄関子機に組み込まれたカメラは、レンズを通して入った光がCCD等のセンサにて電気信号に変換するものが使用され、NTSC出力された信号が居室親機に伝送されてモニターに表示される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−245286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、カメラを備えた上記従来のインターホン装置では、カメラの撮像素子のフィールド周波数が例えば59.94Hzであり、蛍光灯の電源周波数の60Hzに対して差は僅かではあるため、蛍光灯照明下ではフリッカ・カラーローリング現象が発生した。また、電源周波数が50Hzの蛍光灯の場合は、60Hzほど顕著ではないがフリッカ・カラーローリングの発生が認められ、居室親機のモニタが見づらい場合があった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、蛍光灯環境下である場合を判断し、そのような環境下では輝度が所定の値になるよう制御することでフリッカ・カラーローリングの発生を低減させるインターホン装置を提供すること目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、呼び出し/通話機能に加えて操作者を撮像するためのカメラを備えた玄関子機と、玄関子機からの呼び出しに応答する機能に加えてカメラの撮像映像を表示するモニタを備えた居室親機とを有するインターホン装置であって、照度環境に応じ変化するカメラの電子シャッターの開時間を読み取り、読み取った開時間が所定の閾値より長い場合は、撮像映像の目標輝度を
蛍光灯環境用に設定した所定の第1の輝度に設定
する一方、読み取った電子シャッターの開時間が所定の閾値以下である場合には、撮像映像の目標輝度を第1の輝度より低い屋外用に設定した所定の第2の輝度に設定する輝度設定手段と、設定された輝度に近づくよう電子シャッターの開時間を制御する電子シャッター制御手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、カメラが撮像している環境の照度に応じて変化する電子シャッターの開時間が一定値を超えたら、撮像映像の
目標輝度を太陽光下での目標輝度である第2の輝度より明るい第1の輝度に設定して電子シャッターの開時間が制御されるため、蛍光灯環境下のような夜間の場合は、電子シャッターの開時間を強制的に長くするよう制御できる。よって、蛍光灯の点滅周期において暗くなるタイミングで電子シャッターが開動作しても、開時間自体を長くでき、フリッカ・カラーローリングの発生を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係るインターホン装置の一例を示す回路ブロック図である。
【
図2】フリッカ・カラーローリング低減処理の流れを示すフローチャートである。
【
図3】シャッター動作のタイミング説明図であり、(a)はフリッカ・カラーローリングが発生する状態を示し、(b)はフリッカ・カラーローリングが発生しない状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係るインターホン装置の構成図であり、1は玄関に設置されて来訪者が居住者を呼び出して通話するための玄関子機、2は玄関子機1からの呼び出しに応答するための居室親機であり、両者は伝送線L1により接続されている。
【0011】
玄関子機1は、呼出ボタン11、来訪者を撮像するためのカメラ12、通話するためのマイク13及びスピーカ14、マイク13及びスピーカ14を制御する音響回路15、映像信号をFM変調するFM変調回路16、玄関子機1を制御する子機CPU17、居室親機2と通信するための子機IF18等を備えている。
【0012】
カメラ12は、レンズを介して入射した光を電気信号に変換するCCDやC−MOSなどのセンサで構成される図示しない固体撮像素子や、カメラ12の撮像映像をデジタル化すると共に、電子シャッター(図示せず)を制御するカメラDSP12aを備えている。
【0013】
また子機CPU17は、カメラDSP12aに対して電子シャッターの目標値を設定する。子機CPU17は、カメラ12の撮像環境が自然光(太陽光)下にあるか蛍光灯下にあるか判断するためのシャッター速度の閾値を記憶しており、カメラDSP12aからシャッターの開時間情報であるシャッター速度情報を入手して、設定されている閾値を超えてシャッター開時間が長くなったら蛍光灯環境下にあると判断し、カメラDSP12aに対して目標輝度を蛍光灯環境用に設定した所定値とする。
【0014】
一方居室親機2は、玄関子機1からの呼び出しに応答するための通話ボタン21、通話するためのマイク22及びスピーカ23、マイク22及びスピーカ23を制御する音響回路24、送信された映像信号を復調するFM復調回路25、玄関子機1のカメラ12で撮像した映像を出画するためのモニタ26、モニタ26に表示された映像のズームやワイド操作などを行う操作部27、居室親機2を制御する親機CPU28、玄関子機1と通信するための親機IF29等を備えている。
【0015】
上記の如く構成されたインターホン装置の動作は以下の様である。但し、玄関子機1が呼出操作されると居室親機2にて呼出音が鳴動し、その後通話操作されると通話路が形成される動作は、従来のインターホン装置の動作と同様であるため説明を省略し、ここでは、カメラ12の撮像動作、特にフリッカ・カラーローリング低減動作を中心に説明する。
【0016】
図2はフリッカ・カラーローリングの低減処理の流れを示すフローチャートであり、この
図2を参照して説明する。来訪者より呼出ボタン11が押されると玄関子機1のカメラ12が起動し、入射した光が個体撮像素子を通して電気信号に変換され、カメラDSP12aにてデジタル化処理される。このとき、カメラDSP12aは、照度に応じて輝度が一定となるようシャッターの開時間であるシャッター速度を変更する。
カメラ12の起動を受けて、子機CPU17はカメラDSP12aからシャッター速度を読み取る(S1)。続いて、読み取った速度を記憶している閾値と比較し、自然光環境(屋外環境)下か蛍光灯環境(屋内環境)下か判断する(S2)。
【0017】
読み取ったシャッター速度から、屋内環境下にあると判断すると(S2においてYes)、子機CPU17はカメラDSP12aに対して目標輝度を蛍光灯環境用(屋内用)に設定した第1の輝度に設定する(S3)。
【0018】
一方、読み取ったシャッター速度から、屋外環境下にあると判断したら(S2においてNo)、子機CPU17はカメラDSP12aに対して目標輝度を屋外用に設定した第2の輝度に設定する(S4)。
屋内用の目標輝度は、屋外と判断した場合の目標輝度より高い輝度に設定され、シャッター速度を下げる(開時間を長くする)制御を実施する。一方、屋外用に設定した輝度は比較的暗い輝度であり、この輝度を目標とすることで電子シャッターの開時間は短くなるが、映像の白飛びを防止できる。
【0019】
図3はシャッター動作のタイミング説明図であり、(a)はフリッカ・カラーローリングが発生する状態を示し、(b)はフリッカ・カラーローリングが発生しない状態を示している。
図3において、T1はシャッター速度である電子シャッターの開時間、T2は電子シャッターの閉時間、T3はシャッター周期を示し、屋内環境下にあると判断されると、屋外と判断した場合の目標輝度より高い輝度に目標輝度を変更することで、シャッターの開時間が延長され、
図3(a)に示す状態から
図3(b)に示す状態へ移行する。結果として、フリッカ・カラーローリングが低減、或いは無くなる。
【0020】
このように、カメラ12が撮像している環境の照度に応じて変化する電子シャッターの開時間が一定値を超えたら、撮像映像の輝度目標が所定の輝度に近づくよう電子シャッターの開時間が制御されるため、室内のような蛍光灯環境下の場合は、電子シャッターの開時間を強制的に長くするよう制御できる。よって、蛍光灯の点滅動作において暗くなるタイミングで電子シャッターが開動作しても、開時間自体を長くできるため、フリッカ・カラーローリングの発生を低減することが可能となる。
そして、蛍光灯環境下にあると判断した場合の目標輝度は、屋外の太陽光下での目標輝度より明るく設定されることで、蛍光灯環境下では電子シャッターの開時間を十分長くでき、フリッカ・カラーローリングの発生を確実に低減できる。
【符号の説明】
【0021】
1・・玄関子機、2・・居室親機、12・・カメラ、12a・・カメラDSP(電子シャッター制御手段)、17・・子機CPU(輝度設定手段)、26・・モニタ。