(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6335002
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】ヒッチキャリア
(51)【国際特許分類】
B60R 9/10 20060101AFI20180521BHJP
B62J 99/00 20090101ALI20180521BHJP
B62H 3/02 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
B60R9/10
B62J99/00 D
B62H3/02
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-79753(P2014-79753)
(22)【出願日】2014年4月8日
(65)【公開番号】特開2015-199436(P2015-199436A)
(43)【公開日】2015年11月12日
【審査請求日】2017年2月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】391021226
【氏名又は名称】株式会社カーメイト
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100152261
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 隆弘
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 清孝
(72)【発明者】
【氏名】石田 亘
(72)【発明者】
【氏名】岡野 秀昭
【審査官】
常盤 務
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第06431423(US,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0027484(US,A1)
【文献】
米国特許第06386407(US,B1)
【文献】
米国特許第08235268(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 9/10
B62J 99/00
B62H 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トップチューブとダウンチューブ、およびシートチューブを有するフレームを備える自転車を搭載するヒッチキャリアであって、
前記トップチューブを支持する支持部を有する第1クレードルが係合された第1アームと、
前記ダウンチューブを支持する支持部を有する第2クレードルが係合された第2アームと、
前記第1アームと、前記第2アームとを上下方向に離間させて、双方を片持ち支持するポストと、
を備え、
前記第1アームは、前記トップチューブの下側に配置され、前記トップチューブと前記ダウンチューブとが交わる領域を単一の前記第1クレードルにおける単一の前記支持部により支持する構成とすると共に、前記第2アームは、前記ダウンチューブの下側に配置され、前記ダウンチューブを単一の前記第2クレードルにおける単一の前記支持部により支持する構成とし、
前記第1クレードルには前記トップチューブを、前記第2クレードルには前記ダウンチューブをそれぞれ締結するための締結ベルトを設けたことを特徴とするヒッチキャリア。
【請求項2】
前記第1クレードルと前記第2クレードルは、それぞれ前記第1アームまたは前記第2アームが係合する貫通孔と、
前記貫通孔の形成方向と交差する方向の外周に、前記貫通孔を基点として周囲に配置された複数の前記支持部と、
を備え、
前記貫通孔と複数の前記支持部との距離をそれぞれ異ならせたことを特徴とする請求項1に記載のヒッチキャリア。
【請求項3】
前記第1アームと前記第2アームは、前記ポストによる支持部を基点として回動させることを可能とする回動機構を有することを特徴とする請求項1または2に記載のヒッチキャリア。
【請求項4】
前記第1アームと前記第2アームの回動動作を連動させるリンク機構を有することを特徴とする請求項3に記載のヒッチキャリア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車を搭載するためのキャリアに係り、特に、車両後部に自転車を搭載するためのヒッチキャリアに関する。
【背景技術】
【0002】
自転車を搭載可能なヒッチキャリアとしては、従来、2本のアームを備えたハングタイプのものが知られている。このような構成のヒッチキャリアは、トップチューブ、ダウンチューブ、およびシートチューブにより自転車のフレームに構成される三角形に2本のアームを通し、それぞれのアームに備えられたベルトでトップチューブを固定するというものである。
【0003】
このような構成に関連するヒッチキャリアとしては、特許文献1、2に開示されているような構造のものが知られている。特許文献1に開示されているヒッチキャリアは、支柱を基点として左右に延設されたアームを有し、この支柱と左右のアームそれぞれに自転車を係止するためのハンガーを備えている。そして、左右のアームに備えられたハンガーによりトップチューブを支持し、支柱に備えられたハンガーでシートチューブを固定する構成を基本としている。
【0004】
特許文献2に開示されているヒッチキャリアは、トップチューブ、ダウンチューブ、およびシートチューブ等により構成されるフレーム内の空間に通す1つまたは2つのアームに、複数の多機能ブラケットを備えている。そして、それぞれの多機能ブラケットにより、トップチューブとシートチューブを挟み込んで固定する構成を基本としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5067641号明細書
【特許文献2】米国特許第5573165号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のヒッチキャリアにおいて、2本のアームを水平に平行配置する構成を持つものは、自転車のフレーム内空間がある程度大きく、かつトップチューブが直線状に構成されたフレームを持つ自転車でなければ搭載することができず、汎用性が低いという問題がある。
【0007】
また、特許文献2には、1本のアームに、2箇所の支持部を持つ多機能ブラケット(クレードル)を備え、フレーム内空間が狭い場合でも搭載することができる構成が開示されている。しかし、この場合、アームを基点に多機能ブラケットが回転してしまう虞があり、自転車の安定保持という点で問題が生じる。
【0008】
そこで、本発明では、搭載できる自転車に対する汎用性が高く、かつ自転車を安定して搭載することのできるヒッチキャリアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係るヒッチキャリアは、トップチューブとダウンチューブ、およびシートチューブを有するフレームを備える自転車を搭載するヒッチキャリアであって、前記トップチューブを支持する支持部を有する第1クレードルが係合された第1アームと、前記ダウンチューブを支持する支持部を有する第2クレードルが係合された第2アームと、前記第1アームと、前記第2アームとを上下方向に離間させて、双方を片持ち支持するポストと、を備え、
前記第1アームは、前記トップチューブの下側に配置され、前記トップチューブと前記ダウンチューブとが交わる領域を単一の前記第1クレードルにおける単一の前記支持部により支持する構成とすると共に、前記第2アームは、前記ダウンチューブの下側に配置され、前記ダウンチューブを単一の前記第2クレードルにおける単一の前記支持部により支持する構成とし、前記第1クレードルには前記トップチューブを、前記第2クレードルには前記ダウンチューブをそれぞれ締結するための締結ベルトを設けたことを特徴とするヒッチキャリア。
【0010】
また、上記のような特徴を有するヒッチキャリアにおいて、前記第1クレードルと前記第2クレードルは、それぞれ前記第1アームまたは前記第2アームが係合する貫通孔と、前記貫通孔の形成方向と交差する方向の外周に、前記貫通孔を基点として周囲に配置された複数の前記支持部と、を備え、前記貫通孔と複数の前記支持部との距離をそれぞれ異ならせるようにすることができる。
【0011】
このような特徴を有することにより、クレードルを回転させることにより、自転車を構成するフレームの搭載高さや搭載角度を変えることができる。このため、複数の自転車を搭載する場合に、ハンドルやペダル等の幅広部分の干渉を避けることが可能となる。
【0012】
また、上記のような特徴を有するヒッチキャリアにおいて、前記第1アームと前記第2アームは、前記ポストによる支持部を基点として回動させることを可能とする回動機構を有することが望ましい。このような特徴を有することにより、不使用状態ではアームをポスト側へ折り畳むことができる。
【0013】
また、上記のような特徴を有するヒッチキャリアでは、前記第1アームと前記第2アームの回動動作を連動させるリンク機構を備えるようにすると良い。このような特徴を有することにより、使用状態と収納状態の切り替えを1アクションで行うことが可能となる。また、ロック機構等、アームの姿勢を維持するための機構は、第1アームまたは第2アームのいずれか一方のみに設ければ足りることとなり、構成を簡素化することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
上記のような特徴を有するヒッチキャリアによれば、搭載できる自転車に対する汎用性が高く、かつ自転車を安定して搭載することのできるヒッチキャリアを構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態に係るヒッチキャリアを車両に取り付けた際に車両側面から見た場合の構成を示す図である。
【
図2】実施形態に係るヒッチキャリアの構成を示す斜視図である。
【
図3】実施形態に係るヒッチキャリアのポストを構成する支柱部材を分割した状態における使用状態を示す部分断面図である。
【
図4】実施形態に係るヒッチキャリアのポストを構成する支柱部材を分割した状態における収納状態を示す部分断面図である。
【
図5】実施形態に係るヒッチキャリアで採用するクレードルの構成を示す斜視図である。
【
図6】クレードルを構成する締結ベルトとバックルの具体的構成の一例を説明するための図である。
【
図7】自転車を搭載したヒッチキャリアを車両側面側から見た場合の構成を示す図である。
【
図8】自転車を搭載したヒッチキャリアを車両後部側から見た場合の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のヒッチキャリアに係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、
図1は、ヒッチキャリアを車両に取り付けた際に車両側面から見た場合の構成を示す図であり、
図2は、ヒッチキャリアの斜視図である。
【0017】
本実施形態に係るヒッチキャリア10は、ポスト12と、第1アーム18、および第2アーム24を基本として構成されている。ポスト12は、第1アーム18と第2アーム24を片持ち支持(第1アーム18と第2アーム24の一方の端部を支持)するための部材であり、アダプタ14を介して車両後部に連結される(車両は不図示)。ポスト12は、アダプタ14との連結部に、ロック機能を有する回動機構16を備えている。ポスト12は、使用状態では
図1、
図2に示すように、車両後部に略水平に延設されることとなるアダプタ14に対して、略垂直となるように上側に立設された状態を維持することとなる。一方、ハッチバック式の車両では、ポスト12を立てた状態では、ハッチを開くことができない。このため、ハッチを開く場合には、アダプタ14との連結部を基点として、アダプタ14の延設方向へポスト12を回動させるようにする。よって、使用状態において無用な回動が生じないように、回動機構16にはロック機能を持たせている。
【0018】
実施形態に係るポスト12は、一対の支柱部材12aにより構成されており、対を成す支柱部材12aにより、アダプタ14と、詳細を後述する第1アーム18、および第2アーム24を挟み込むように構成している。このような構成とすることで、対を成す支柱部材12aの間に、第1アーム18、および第2アーム24を収納する形態を採ることが可能となる。また、第1アーム18、および第2アーム24の一方の端部を支持するための回転軸22d,28(
図3、
図4参照)を対を成す支柱部材12a間に架け渡すように配置することができる。よって、回転軸22d,28を安定保持することができる。
【0019】
第1アーム18は、ポスト12の先端側に配置される支持棒である。第1アーム18は、複数のクレードル(第1クレードル20)が係合されている。本実施形態に係る第1アーム18は、円筒部材、あるいは円柱部材により構成されており、その基端部に、ポスト12との連結部となる回動機構22が設けられている。
【0020】
回動機構22は、
図3、
図4にその断面構成を示すように、回動部材22aと、ロック手段22b、およびケーシング22cを主体として構成されている。回動部材22aは、上述した第1アーム18の一方の端部を支持すると共に、その回転、ロックをサポートする部材である。回転部材22aは、シフト量Lの分だけ、回転軸22dに対して第1アーム18を上方(ポスト12の延設方向)へシフトさせた状態で支持している。このような構成とすることで、第1アーム18、第2アーム24を回動させて収納した際、
図4に示すように、第1アーム18と第2アーム24の位置がずれることとなり、両者の干渉を防ぐことができる。
【0021】
また、回動部材22aには、ロック溝22a1が設けられている。後述するロック手段22bとの共働により、第1アーム18を張り出した状態(使用状態)、あるいは折り畳んだ状態(収納状態)で維持することが可能となる。
【0022】
ロック手段22bは、上述したように第1アーム18を使用状態、あるいは収納状態で維持するために用いられる機構である。本実施形態では、回転軸22b1を備えたレバー22b2と、このレバー22b2に備えられた凸状部22b3により構成されている。ここで、回動部材22aのロック溝22a1は、回動部材22aの外周に、回転軸22b1側へ向けて複数形成されている。ロック溝22a1の形成位置としては、第1アーム18を使用状態とした際にレバー22b2の凸状部22b3が位置する部位と、第1アーム18を収納状態とした際にレバー22b2の凸状部22b3が位置する部位である。なお、レバー22b2は、図示しないバネなどにより、回動部材22aの回転軸22d側へ付勢させておくようにすると良い。
【0023】
ケーシング22cは、回動部材22aと第1アーム18、およびロック手段22b等を覆うカバーである。ケーシング22cには、支柱部材12aに固定されたレバー22b2の回転軸22b1との干渉を避けるためのガイド溝22c1が設けられている。
【0024】
このような構成とすることで、レバー22b2を矢印Aの方向へ回動させることで、ロック溝22a1と凸状部22b3の噛合いが解除され、第1アーム18を回動させることが可能となる。第1アーム18が所定の位置(使用状態の位置、あるいは収納状態の位置)まで回動すると、回動部材22aの回転軸22d側に付勢されているレバー22b2の凸状部22b3が所定位置に形成されたロック溝22a1に噛合うこととなる。
【0025】
第2アーム24は、上述した第1アーム18よりもポスト12の基端側に配置される支持棒である。よって、第1アーム18と第2アーム24は、使用状態では、その配置形態が上下に位置することとなる。また、第2アーム24にも、第1アーム18と同様に、複数のクレードル(第2クレードル26)が係合されている。
【0026】
本実施形態に係る第2アーム24は、回転軸28を一方の端部に備え、第1アーム18の一方の端部を支持する回動部材22aとの間に、連結部材30を備えている。このように連結部材30を配置することで、第2アーム24の回動動作を第1アーム18の回動動作に連動させるリンク機構を構成することができる。また、第1アーム18がロック状態にある時は、第2アーム24もロック状態とすることができる。このため、第2アーム24にロック手段22bを備える必要が無くなり、構成を簡単化することができる。
【0027】
なお、第1アーム18も、第2アーム24も、そこに係合するクレードル(第1クレードル20、第2クレードル26)は、必ずしも複数である必要は無く、それぞれ搭載する自転車の台数と同数配置するようにすれば良い。
【0028】
第1クレードル20、第2クレードル26(以下、総称して、単に、クレードル20,26と称す)は、
図5に斜視図を示すように、貫通孔32と支持部34(34a,34b)、および締結ベルト36を備えることを基本とする。貫通孔32は、上述した第1アーム18または第2アーム24に係合させるための係合部である。支持部34は、自転車50(
図7、
図8参照)のトップチューブ52(
図8参照)またはダウンチューブ54(
図8参照)を支えるための搭載面である。締結ベルト36は、支持部34に搭載したトップチューブ52またはダウンチューブ54が搭載面からズレないように保持する保持部材である。
【0029】
このような基本要素を有する本実施形態に係るクレードル20,26は、その側面形状を長円型(トラック形状)としている。また、側面には、上述した貫通孔32が、一方の側面から他方の側面に向けて形成されている。本実施形態に係るクレードル20,26では、貫通孔32は、長円形状における一方の円弧側に片寄せして形成されている。そして、長円型を成す一対の側面を繋ぐ外周面全体が自転車を支持するための支持部34を構成している。このため、クレードル20,26における支持部34は、貫通孔32の中心を基点として、その周囲に複数配置されることとなる。また、支持部34は、支持部34aと支持部34bのように、その配置位置により、貫通孔32の中心からの距離を異ならせることとなる。このため、第1アーム18または第2アーム24に係合されたクレードル20,26を、貫通孔32を基点として回転させることで、貫通孔32の中心(第1アーム18または第2アーム24)から支持部34までの距離、すなわち支持部34の高さを変えることができる。これにより、自転車50(
図7、
図8参照)を搭載する際の高さを変えることができ、複数の自転車50を搭載する場合における干渉を避けることができる。
【0030】
支持部34は、一方の側面から他方の側面にかけてその中心部を鼓状に窪ませるように構成されている。このような構成とすることで、自転車50を搭載する際のフレーム(トップチューブ52またはダウンチューブ54)のホールド性が向上し、フレームがずれることを防止することができる。
【0031】
クレードル20,26における貫通孔32を配置した側と反対側の円弧側には、締結ベルト36を固定するためのバックル38が備えられている。バックル38は、一方の側面側と他方の側面側の双方に対を成すように配置されている。なお、締結ベルト36を効果的に固定することができる構成であれば、バックル38の具体的な形態については、これを問うものではない。また、支持部34に接触しているフレームを締結ベルト36により効果的に保持することができる構成であれば、バックル38自体を省略する構成としても良い。例えば、例えば締結ベルトをゴムなどの伸縮性を有する部材により構成した場合には、締結ベルト36単体で、締め込み保持が可能となるため、バックル38を備える必要性が無くなる。
【0032】
一方、バックル38を備える構成とする場合には、例えば次のような構成とすることができる。すなわち、
図6に示すように締結ベルト36の締め込み部に鋸刃状のストッパ36aが設けられている場合、バックル38は、ベース38aとレバー38b、および付勢バネ38c等によりラチェット状に構成すると良い。このような構成とすることで、バックル38のレバー38bの先端が締結ベルト36側に付勢された状態では、締結ベルト38は、矢印Eで示す締め込み側のみに引っ張ることができ、緩み側(矢印F側)への引っ張りの際には、レバー38bの先端とストッパ36aとに噛み合いが生じ、締結ベルト36を引っ張ることができなくなる。なお、締結ベルト36を緩める場合には、レバー38bの後端を締結ベルト36側に押し込むことで、先端とストッパ36aの噛み合いを解除すれば良い。
【0033】
上記のような構成のバックル38は、一方の側面と他方の側面を繋ぐ軸回りに、矢印Dで示すように回動可能とされている(
図5参照)。このような構成とすることで、貫通孔32を基点としたクレードル20,26の回転に伴い、フレームに接触する支持部34の位置が変わった場合でも、フレームと接触している支持部34を跨ぐように締結ベルト38を回動配置することで、それぞれの接触位置で、フレームを保持することが可能となる。
【0034】
このような構成のヒッチキャリア10では、上述したように、ロック手段22bのレバー22b2を矢印Aの方向へ回動させることにより、第1アーム18、および第2アーム24を矢印B(
図3参照)の方向へ回動させ、収納状態としたり、矢印C(
図4参照)の方向へ回動させ、使用状態とすることができる。また、収納状態においては、複数のクレードル20,26が係合された第1アーム18および第2アーム24が、対を成す支柱部材12aにより構成されているポスト12に収納されることとなり、収納状態をコンパクトなものとすることができる。
【0035】
次に、上記のようなヒッチキャリアによる自転車の搭載について、
図7、および
図8を参照して説明する。なお、
図7は、車両にヒッチキャリア10を取り付けた状態において、車両側面側から見た場合の自転車搭載状態を示す図であり、
図8は車両後部側から見た場合の状態を示す図である。
【0036】
本実施形態に係るヒッチキャリア10では、
図8に示すように、トップチューブ52とダウンチューブ54、およびシートチューブ56により、三角形を形成するフレームを備える自転車50を搭載することを基本としている。
【0037】
第1クレードル20は、トップチューブ52の下側に配置され、支持部34によりトップチューブ52を支持し、締結ベルト36によりトップチューブ52を保持する。第2クレードル26は、ダウンチューブ54の下側に配置され、支持部34によりダウンチューブ54を支持し、締結ベルト36によりダウンチューブ54を保持する。
【0038】
フレームにより構成される三角形の中には、第1クレードル20のみを配置し、第2クレードル26は三角形の外側から、ダウンチューブ54を支持して自転車50を保持する形態を採るため、トップチューブ52、ダウンチューブ54、およびシートチューブ56により構成される三角形が小さいフレームの自転車50であっても保持することができる。また、第1クレードル20と第2クレードル26を縦方向に配置し、自転車50のフレームの上下を保持する構成としているため、搭載した自転車のブレ止めを図ることができる。
【0039】
また、第1アーム18または第2アーム24を基点としてクレードル20,26を回転させることで、第1アーム18または第2アーム24と支持部34との距離を変えることができる。すなわち、フレームを支持する高さや角度を変えることができる。このため、自転車50を複数台搭載する場合には、ハンドル58やペダル60等の幅広部分の干渉を避けるため、フレームの搭載高さや角度を変更することができる。
【0040】
なお、本実施形態に係るヒッチキャリア10では、第1アーム18と第2アーム24とが垂直位置になるように配置する旨記載した。しかしながら、第1アーム18と第2アーム24の垂直位置に関しては、必ずしも一致している必要は無く、アームを構成する部材の幅程度ずれて配置してあっても良い。このような構成とすることによれば、第1アームの回転軸22b1と支持位置との間にシフト量Lを設けない場合でも、第1アームと第2アームとの干渉を避けることが可能となる。
【0041】
また、上記実施形態に係るヒッチキャリア10では、第1アーム18と第2アーム24をポスト12の上下に配置し、双方のアームに設けたクレードル20,26によりフレームを支持し、かつ保持する形態を採っているため、基本的には自転車50が図示しない車両の前後方向へ揺れる虞は無い。しかしながら、安全性を考慮して、クレードル20,26とは別に、自転車50の揺れを抑制するための部材(ブレ止め部材)を設けるようにしても良い。
【符号の説明】
【0042】
10………ヒッチキャリア、12………ポスト、12a………支柱部材、14………アダプタ、16………回動機構、18………第1アーム、20………第1クレードル、22………回動機構、22a………回動部材、22a1………ロック溝、22b………ロック手段、22b1………回転軸、22b2………レバー、22b3………凸状部、22c………ケーシング、22c1………ガイド溝、22d………回転軸、24………第2アーム、26………第2クレードル、28………回転軸、30………連結部材、32………貫通孔、34(34a,34b)………支持部、36………締結ベルト、36a………ストッパ、38………バックル、38a………ベース、38b………レバー、38c………付勢バネ、50………自転車、52………トップチューブ、54………ダウンチューブ、56………シートチューブ、58………ハンドル、60………ペダル。