【実施例1】
【0021】
[起立支援歩行補助器の概略全体構成]
図1は、一部を省略した起立支援歩行補助器の概略側面図、
図2は、一部を省略した起立支援歩行補助器の概略平面図、
図3は、一部を省略した起立支援歩行補助器の概略正面図である。以下の説明において、走行方向前後は、起立支援歩行補助器の走行方向の前後であり、単に前後と称することもある。器幅方向は、起立支援歩行補助器の走行前後方向に直行する幅方向であり、器幅方向或はその両側を左右と称することもある。上下は、接地状態の起立支援歩行補助器の重力方向の上下を言う。
【0022】
図1〜
図3のように、本発明実施例の歩行補助器としての起立支援歩行補助器1は、走行ベース3と、前部フレーム5と、前支持部7と、座面支持フレームとしての後部フレーム9と、座面部11と、側板13とを備えている。
【0023】
走行ベース3は、車輪17a、17b、19a、19bを備え被補助者を受け入れて歩行移動を可能にするものである。この走行ベース3は、前後方向に長い平面から見て矩形枠状のベースフレーム15を備え、ベースフレーム15の前後に、前輪17a、17b、後輪19a、19bが取り付けられている。なお、走行ベース3は、起立支援歩行補助器1のベースを構成し、被補助者を受け入れて歩行移動を可能にするものであれば、平面枠形状は特に限定されず、矩形枠状以外に、楕円枠状、半楕円枠状、三角枠状などに形成することもできる。
【0024】
本実施例のベースフレーム15は、骨格部材による左右両側のサイドメンバ21a、21bと、中空パイプによるロワーフロントクロスメンバ21cと、骨格部材によるロワーリヤクロスメンバ21dとにより枠組みされている。ベースフレーム15の枠組み内に被補助者を受け入れるようになっている。サイドメンバ21a,21b及びロワーリヤクロスメンバ21dを構成する骨格部材は、例えば、金属、樹脂、繊維強化プラスチック(GFRP、CFRP)などにより形成された閉断面構造とすることができる。なお、サイドメンバ21a,21b及びロワーリヤクロスメンバ21dを構成する骨格部材、その他後述する骨格部材は、強度を満足できれば開面構造、例えばL字状断面、チャネル材状断面、H字状断面などにすることもできる。
【0025】
サイドメンバ21a、21bは、被補助者の移乗を容易とするために走行面にできるだけ近接した下方に配置され、この部分において、走行ベース3が車軸軸心高さと同等又はこれよりも低く設定されている。例えば、サイドメンバ21a、21bの上面の接地高さを100mm以下にするのがよい。本実施例では、後輪19a、19bの車輪径よりも小さな前輪17a、17bの車軸軸心と同等の高さにサイドメンバ21a、21bの高さが設定されている。なお、前後輪17a、17b、19a、19bの大きさは、前後逆の関係にすることもできる。また、前輪17a、17bに代えて後輪19a、19b側をキャスター支持にすることもできる。
【0026】
ただし、サイドメンバ21a、21bの高さを、前輪17a、17bの車軸軸心よりも低くし、或いは、後輪19a、19bの車軸軸心と同等の高さ、或いはこれよりも低く且つ前輪17a、17bの車軸軸心よりも高い配置にすることもできる。
【0027】
サイドメンバ21a、21bの前部21aa、21baは、上方に屈曲され、左右の前部21aa、21ba間に、ロワーフロントクロスメンバ21cが結合されている。
【0028】
ロワーフロントクロスメンバ21cは、全体としてロッド状であり、サイドメンバ21a、21bよりも走行方向前方へ突出するように形成され、歩行補助時に被補助者の足が当たらないようにしている。また、走行方向前方へ突出するロワーフロントクロスメンバ21cは、バンパーとしての機能も有している。ただし、ロワーフロントクロスメンバ21cは、骨材や板状部材により構成することもできる。また、ロワーフロントクロスメンバ21cは、走行方向前方へ突出せず、前部21aa、21baの対向面間に結合させることもできる。
【0029】
ロワーリヤクロスメンバ21dは、サイドメンバ21a、21bの後部間に配置結合されて左右に伸びる。
【0030】
前輪17a、17bは、キャスター23a、23bによりサイドメンバ21a、21bの前部21aa、21baの前端下部に回転自在且つ方向転換可能に取り付けられている。これにより、前輪17a、17bは、サイドメンバ21a、21bの前部21aa、21baの屈曲内側に配置されている。後輪19a、19bは、サイドメンバ21a、21bの後部両側に配置され、サイドメンバ21a、21bに回転自在に軸受け支持されている。
【0031】
後輪19a、19bには、抑速ブレーキが内蔵され、後輪ロック機構25が備えられている。抑速ブレーキにより後輪19a、19bに常時フリクションが働き、走行ベース3による走行速度が自動で制限されるようになっている。但し、抑速ブレーキを省略することもでき、空車状態での移動を容易にすることができる。後輪ロック機構25については後述する。
【0032】
前部フレーム5は、走行ベース3の走行方向前部側に設けられている。本実施例の全部フレーム5は、骨格部材によるフロントピラー5a、5bと、中空パイプによるアッパーフロントクロスメンバ5cとからなっている。フロントピラー5a,5bを構成する骨格部材は、サイドメンバ21a,21b及びロワーリヤクロスメンバ21dと同様、金属、樹脂、繊維強化プラスチック(GFRP、CFRP)などにより形成された閉断面構造となっている。
【0033】
フロントピラー5a、5bは、サイドメンバ21a、21bの前部21aa、21ba前端上に起立して下端が結合されている。フロントピラー5a、5bの上下中間部間には、左右に伸びるアッパーフロントクロスメンバ5cが結合されている。アッパーフロントクロスメンバ5cは、ロワーフロントクロスメンバ21cと同様に全体としてロッド状に形成され、走行方向前方に突出している。アッパーフロントクロスメンバ5cもロワーフロントクロスメンバ21c同様の変更が可能である。
【0034】
前支持部7は、前部フレーム5に設けられ被補助者の左右の前腕側を身体の前側で乗せるように支持させ、歩行姿勢の支えとなる。この前支持部7は、左右一対の相互に分離されて別々に動作可能な支持部分として肘支持部7a、7bを備え、それぞれフロントピラー5a、5bの上端に取り付けられている。
【0035】
肘支持部7a、7bは、平面から見て対称の直角形状 に形成され、後部7aa、7baと前部7ab、7bbとを備えている。なお、肘支持部7a、7bは、歩行補助時に被補助者の前腕を支持できればその平面形状は直角状に限らず、ハの字形状、半円形状などにすることもできる。後部7aa、7baと前部7ab、7bbとのコーナーは、平面で滑らかな曲形状 となっている。ただし、コーナーの形状は、特に限定されるものではなく、例えば前後方向に沿った矩形状板材と器幅方向に沿った矩形状板材とを直角に結合したり、或は複数の矩形状板材を湾曲配置するように結合してした多角形形状等としてもよい。後部7aa、7baは、走行前後方向に指向し、前部7ab、7bbは、器幅方向内側に指向し、器幅方向での内端部相互が近接して対向配置されている。
【0036】
したがって、肘支持部7a、7bは、前部フレーム5の上部において器幅方向に渡るように形成され、被補助者の前方を閉止する形状となっている。
【0037】
肘支持部7a、7bは、骨格部7ac、7bc、支持板部7aaa、7aba、7baa、7bbaとからなっている。骨格部7ac、7bcは、例えば、金属、樹脂、繊維強化プラスチック(GFRP、CFRP)などによるパイプ で形成され、肘支持部7a、7bに沿って直角形状に形成されている。ただし、骨部材7ac、7bcは、パイプに限らず、中実材や板材とすることも可能である。支持板部7aaa、7aba、7baa、7bbaは、骨格部7ac、7bcと同様金属、樹脂、繊維強化プラスチック(GFRP、CFRP)などによる板状に形成され、骨格部7ac、7bcにビス止め されている。なお、ビス止めに代えて、支持板部7aaa、7aba、7baa、7bbaを接着や溶接などで骨格部7ac、7bcに固定してもよい。支持板部7aaa、7aba、7baa、7bbaの上面が支持平面となる。
【0038】
後部支持板部7aaa、7baaは、走行前後方向に沿って直状 に形成され、後部7aa、7baに配置されている。後部支持板部7aaa、7baaの平面形状は、直状に限定されるものではなく、例えば湾曲形状や台形形状等とすることも可能である。前部支持板部7aba、7bbaは、器幅方向の外端部が後部支持板部7aaa、7baaに連続するように湾曲 され、後部支持板部7aaa、7baaの前端に外端(後端)が近接対向している。なお、本実施例の前部支持板部7aba、7bbaは、その後端が後部支持板部7aaa、7baaの前端に連続するように対向すればよく、上記のようにコーナーを直角や多角形形状等として屈曲した形状とすることも可能である。前部支持板部7aba、7bbaの内端は、相互に近接対向している。
【0039】
かかる構成の肘支持部7a、7bは、後部7aa、7ba側が、サイドメンバ21a、21bの前部21aa、21ba上に配置され、肘支持部7a、7bの前部7ab、7bbは、前部フレーム5よりも走行方向前方に突出している 。この突出は、ロワーフロントクロスメンバ21c及びアッパーフロントクロスメンバ5cと同程度である。
【0040】
左右一対の肘支持部7a、7bは、それぞれ上面をクッション材で覆うこともできる。
【0041】
この左右一対の分離された肘支持部7a、7bは、高さ位置、前傾位置、後傾位置を別々に調整して固定することができるようになっている。高さ位置、前傾位置、後傾位置の調節構造(前支持部7の可動構造)は、後述する。
【0042】
なお、左右一対の肘支持部7a、7bは、左右連続したフレーム状に形成することもできる。また、左右側に配置した被補助者が把持する把持部に代えることもできる。
【0043】
後部フレーム9は、走行ベース3の走行方向後部側に後傾に起立して設けられ、前部フレーム5との間に被補助者の左右の側方向からの移乗及び被補助者が歩行姿勢及び着座姿勢をとり得る空間MSを形成している。空間MSは、フロントピラー5a、5b及び後述するリヤピラー9a、9b間の前後幅として形成され、後部フレーム9の後傾に応じて上方に向かって後方側に拡大する形態となっている。
【0044】
この後部フレーム9は、骨格部材によるリヤピラー9a、9bと、アッパーリヤクロスメンバ9cとからなっている。リヤピラー9a,9bを構成する骨格部材は、サイドメンバ21a,21b等と同様、金属、樹脂、繊維強化プラスチック(GFRP、CFRP)などにより形成された閉断面構造 となっている。
【0045】
リヤピラー9a、9bは、サイドメンバ21a、21bの器幅方向内側でロワーリヤクロスメンバ21d上に結合されている。このリヤピラー9a、9bは、ロワーリヤクロスメンバ21d上から上方向けて漸次後方側へ傾斜して立設され、これにより後部フレーム9が後傾している。アッパーリヤクロスメンバ9cは、左右に伸びてリヤピラー9a、9bの上端間に結合されている。リヤピラー9a、9b及びアッパーリヤクロスメンバ9cからなる後部フレーム9の上縁は、サイドメンバ21a、21bの後端より僅かに後方へ突出している。
【0046】
ただし、後部フレーム9の上縁は、サイドメンバ21a、21bの後端と前後位置が一致し、或いはサイドメンバ21a、21bの後端が後部フレーム9の上縁より僅かに後方へ突出してもよい。何れにしても、後部フレーム9の傾斜背後に、収容スペースASが形成される。ただし、後部フレーム9は、後傾せずに上下方向に沿って設けても良い。
【0047】
収容スペースASには、サイドメンバ21a、21b間に、平板の支持フレーム21eが結合されている。収容スペースAS内では、後部フレーム9の背後側傾斜下部において、支持フレーム21e上にアクチュエータ用の電源ボックスPBが支持固定されている。電源ボックスPBには、駆動制御回路、充電回路、バッテリーなどが収容され、バッテリーに、適時外部充電が可能となっている。バッテリーへの充電には、磁石式電源コードが採用され、充電中のコードに足を引っ掛けても安全となっている。
【0048】
なお、支持フレーム21eをロワーリヤクロスメンバ21dと同様に骨格部材で構成することもできる。
【0049】
アッパーリヤクロスメンバ9c上には、リヤピラー9a、9b間に渡るハンドルバー27が取り付けられている。ハンドルバー27を握って補助者が起立支援歩行補助器1を押して走行させること等もできる。
【0050】
座面部11は、平面視で矩形のアクリル板、金属板、木板等で形成された座面板11aを備え、座面板11aにより被補助者が着座する座面を構成している。座面板11aは、座面フレーム11b上に取り付けられている。
【0051】
本実施例の座面板11aには、補助者の横スライド移動等を考慮してクッションを設けていないが、移乗を妨げないものであれば、クッションを設けることもできる。
【0052】
座面部11は、後部フレーム9から前部フレーム5方向に突出している。この座面部11は、自然な起立支援が可能なように走行方向の前後幅が短く設定されている。
【0053】
例えば、座面部11の着座前後幅は、着座位置での前部フレーム5と後部フレーム9との間の間隔の1/2以下で着座可能な幅に設定されている。座面部11の着座前後幅が側板13と同幅であるとして座面部11の幅をSWとする。前部フレーム5と後部フレーム9との間の間隔は、座面部11の着座位置(下降限界位置)での座面高さSHにおけるフロントピラー5a、5b及びリヤピラー9a、9b間の前後幅MWとする。この関係において、上記1/2以下、例えば180〜250mmの間での設定がなされる。本実施例では、特に、SW=200mmとなっている。
【0054】
ただし、SWの設定は、起立支援歩行補助器1が大型になるとSW>200mmとし、体格の大きな被補助者に合わせることもできる。例えば、男性では、SW=230mm程度に設定するのが好ましい。
【0055】
座面部11の座面フレーム11bは、後部フレーム9側に跳ね上げ可能に回転支持されている。さらに、座面部11は、後部フレーム9の後傾に沿って下方の着座位置と上方の上部位置との間でアクチュエータの駆動操作により移動可能となっている。
【0056】
座面部11は、後部フレーム9に沿って可動の昇降フレーム29に回転支持され、座面ロック機構31を備えている。昇降フレーム29には、クッションを備えた背もたれ32が取り付けられている。背もたれ32は、昇降フレーム29に応じてリヤピラー9a、9b間に設定され、軽量化のために極力小さく形成されている。
【0057】
座面ロック機構31は、昇降フレーム29に取り付けられ、座面部11の跳ね上げ位置で座面部11を解除操作可能にロックする。座面ロック機構31の解除操作は、昇降フレーム29上に突出するノブ33を引き上げることにより行なわれる。
【0058】
座面部11及び昇降フレーム29、座面ロック機構31等については、後述する。
【0059】
座面部11を昇降駆動するアクチュエータは、電動シリンダ装置35で構成されている(
図3)。この電動シリンダ装置35は、走行ベース3の幅方向中央と昇降フレーム29の幅方向中央との間に後部フレーム9に沿って傾斜して取り付けられ、昇降フレーム29を介して座面部11を昇降駆動する。電動シリンダ装置35は、ハウジング35a、ねじシャフト35b、及びモータ35cなどを備えている。
【0060】
この電動シリンダ装置35は、ハウジング35aがモータ35b側の下端で軸支持部35dに回転自在に支持されている。軸支持部35dは、ロワーリヤクロスメンバ21dの走行方向前縁部側に配置されている。電動シリンダ装置35のねじシャフト35bは、昇降フレーム29に取り付けた軸支持部35eに回転自在に支持されている。
【0061】
モータ35cは、電源ボックスPB内の駆動制御回路に導通接続されている。電源ボックスPBには、駆動制御回路をリモートコントロールするコントローラ37(
図1)が有線接続され、コントローラ37は、被補助者又は補助者が把持して操作可能となっている。なお、コントローラ37は、無線接続することもできる。また、コントローラ37は、後部フレーム9等に固定的に設けても良い。また、電源ボックスPBには、キースイッチを設けることもできる。キースイッチにより補助者が解錠操作をしなければ電源が起動せず、コントローラ37による操作を無効にすることができ、不要な操作による誤動作を防止できる。
【0062】
電動シリンダ装置35は、モータ35cをコントローラ37の操作により駆動制御することで、昇降フレーム29を後部フレーム9に沿って下限位置と上限位置との間で昇降させ、座面部11を相対的に下方の着座位置と相対的に上方の上部位置との間で移動させることができる。
【0063】
側板13は、座面部11の左右縁部に回転可能に支持され、座面部11から起立して軽視されるセット位置と座面板11aの座面に沿って倒れ座面板11aに対して側方へ展伸しつつ連続した面を形成する展伸位置となり得る。左右の側板13の一方は、固定解除不能に構成してもよい。
【0064】
側板13は、座面板11aとほぼ同幅の矩形のアクリル板、金属板、木板等で板状に形成されている。側板13は、座面部11側のセット位置で解除可能に固定されて係止状態が保持される。座面部11の跳ね上げ時には、側板13が後部フレーム9を避ける位置に配置されている。つまり、側板13は、サイドメンバ21a、21b上に位置的に対応し、座面部11の跳ね上げ時にリヤピラー9a、9bの器幅方向外側に位置する。
【0065】
側板13が座面部11に対して係止或は固定されると座面部11に着座した被補助者の大腿部付け根付近や腰部等を保持、サポートするサポート機能を有する。
【0066】
側板13は、展伸位置において、側板13の面と座面板11aの座面とは完全にフラットになるのではなく、側板13側が座面板11aに対して板厚分程度高くなる段差を有している。ただし、展伸位置で、側板13の面と座面板11aの座面とを完全にフラットに構成することもできる。また、展伸位置では、側板13の面と座面板11aの座面との間が密に連続する必要はなく、被補助者が後述するように側板13から座面版11aへと移乗できる程度に連続していればよい。なお、側板13の係止、固定、展伸構造については後述する。
【0067】
[座面部及び昇降フレーム]
図4は、起立支援歩行補助器の昇降フレーム及び座面部の正面図、
図5は、起立支援歩行補助器の昇降フレーム及び座面部の平面図である。
【0068】
図4、
図5のように、昇降フレーム29は、金属、樹脂、繊維強化プラスチック(GFRP、CFRP)などにより形成された骨格部材により矩形枠状に形成されている。この昇降フレーム29の走行方向前面にクッションを設けた背もたれ(
図1の背もたれ32、
図4では示せず)が取り付けられている。
【0069】
昇降フレーム29の器幅方向両側には、ローラ29a、29bが取り付けられている。ローラ29a、29bは、リヤピラー9a、9b内に収容され、リヤピラー9a、9b内に沿って転動するようになっている。ローラ29a、29bの転動により、昇降フレーム29は、リヤピラー9a、9bに沿って昇降ガイドされるようになっている。リヤピラー9a、9bが昇降フレーム29に対向する面には、スリットが形成され、昇降フレーム29から突出するローラ29a、29bの支軸がスリットに沿って昇降移動可能となっている。
【0070】
座面部11は、座面板11aが座面フレーム11bに取り付けられたものである。この座面部11は、座面フレーム11bが、昇降フレーム29の座面支持ブラケット29cにヒンジ29dにより回転自在に支持され、後部フレーム9側への跳ね上げが可能となる。
【0071】
[ロック機構]
図6は、起立支援歩行補助器の昇降フレーム及び座面部を示し、座面部跳ね上げ前の側面図、
図7は、起立支援歩行補助器の昇降フレーム及び座面部を示し、座面部跳ね上げ始めの側面図、
図8は、起立支援歩行補助器の昇降フレーム及び座面部を示し、座面部跳ね上げ途中の側面図、
図9は、起立支援歩行補助器の昇降フレーム及び座面部を示し、座面部跳ね上げ後の側面図である。
【0072】
図4〜
図6のように、座面ロック機構31は、ノブ33で解除操作が可能なラッチアーム31aを備えている。ラッチアーム31aは、中間部が支持アーム31bに回転自在に支持され、支持アーム31bは、昇降フレーム29の下部に固定されている。ラッチアーム31aと支持アーム31bとの間には、引張スプリング31cが介設され、ラッチアーム31a先端のラッチ端部をラッチ方向(後方側)に付勢している。ラッチアーム31a後端の反ラッチ端部には、スチールワイヤー等の紐体31dが結合され、この紐体31dがノブ33に結合されている。
【0073】
このラッチアーム31aに対し、座面部11の座面フレーム11bには、係合ロッド11c及びラッチガイド11dが設けられている。係合ロッド11cは、座面フレーム11bの背部(後方側)に突出し、ラッチガイド11dは、樹脂などで形成され、係合ロッド11cに対する前方側の位置(
図6)で座面フレーム11bに取り付けられている。
【0074】
なお、
図6においてラッチアーム31aを説明上実線で示しているが、側面から見ると座面フレーム11bに隠れている配置となっている。また、
図7〜
図9においては、図視を省略している。
【0075】
図6の位置でラッチアーム31aは、ラッチガイド11dの一端にラッチ端部側が当接して引張スプリング31cに抗してロック解除状態のロック解除位置に位置規制されている。
【0076】
図6〜
図9のように、座面部11が補助者等の手動で跳ね上げ操作されると、ラッチアーム31aのラッチ端部側が、引張スプリング31cの付勢力で昇降フレーム29側へ回転する。このとき、ラッチガイド11dに対してラッチアーム31aのラッチ端部側が摺動可能となり、ラッチアーム31aの回動が妨げられないように、ラッチガイド11dのガイド面が設定されている。
【0077】
座面部11の跳ね上げ位置では、ラッチアーム31aのラッチ端部が係合ロッド11cに係合し、その位置をロックする。このロックにより、座面部11の跳ね上げ位置での位置固定が行なわれる。このとき、ラッチアーム31aのラッチ端部は、ラッチガイド11dの他端に当接する。
【0078】
座面部11の跳ね上げ位置で補助者等がノブ33を引くと、ラッチアーム31aが引張スプリング31cの付勢力に抗して離脱方向に回転し、ラッチ端部が係合ロッド11cから外れる。そして、補助者等の手動操作により座面部11を着座姿勢方向へ回動させ、その重心位置がヒンジ29cに対して前方側へ支点越えすると、座面部11が
図8、
図7、
図6の順に
図6まで自重で回動させることができ、着座姿勢となる。
【0079】
このとき、ラッチアーム31aのラッチ端部は、ラッチガイド11dのガイド面に押されるようにガイドされ、引張スプリング31cの付勢力に抗して
図6の位置まで自動復帰する。
【0080】
[側板の立設固定、展伸構造]
図10は、起立支援歩行補助器の側板の起立固定状態を示す要部正面図、
図11は、同固定解除状態を示す要部正面図、
図12は、同傾倒状態を示す要部正面図、
図13は、同倒れた状態を示す要部正面図である。
【0081】
図4、
図5、
図10のように、側板13は、金属製などの矩形体状の固定ブロック13aを備えている。この固定ブロック13aに長穴13abが形成されている。固定ブロック13aは、長穴13abにおいて座面フレーム11b側の支軸11baに嵌合している。支軸11baには、端部にフランジが設けられ、固定ブロック13aが脱落しないようになっている。座面フレーム11bには、差込嵌合部11bbが取り付けられ、支軸11baに支持された固定ブロック13aを差込嵌合させ、側板13を起立させ係止させたセット位置(固定位置)とする。
【0082】
差込嵌合部11bb内には、プランジャ11bbaが出没自在に設けられ、コイルスプリングなどにより突出方向に付勢されている。プランジャ11bbaは、固定位置の固定ブロック13aの長穴13abに嵌合し、固定ブロック13aの差し込みの抜けを抑制している。この固定位置では、側板13の端部が座面部11の座面フレーム11bに突き当てられて、側板13の係止を確実に行わせている。
【0083】
固定ブロック13a及び差込嵌合部11bbは、側板13の前後両側にそれぞれ対で設けられ、座面部11の前後縁部で固定ブロック13a及び差込嵌合部11bbによる差し込み固定を行なう構造となっている。
【0084】
側板13の展伸に際しては、側板13を引き上げ、固定ブロック13aを支軸11baに対して長穴13ab分のストロークで引き抜き、
図11の固定解除状態とする。このとき、プランジャ11bbaは、引き抜き力で固定ブロック13aにより先端が押圧され、スプリング力に抗して押し込められる。このため、固定ブロック13aの引き抜きが許容される。
【0085】
この引き抜き位置では、固定ブロック13aが支軸11baに対して展伸方向に回動することができるため、
図12のように側板13を支軸11ba回りに回動させ、さらに
図13の位置まで回動させることができる。
【0086】
図13の位置では、側板13が倒れた状態の展伸位置に配置され、固定ブロック13aが差込嵌合部11bbに突き当て係合して支えられる。従って、側板13の展伸位置が保持される。
【0087】
上記とは逆の操作で固定ブロック13aを差込嵌合部11bbに差し込み、展伸位置の側板13を固定位置に戻すことができる。
【0088】
[前支持部の可動構造]
図14は、起立支援歩行補助器の前支持部を示す要部側面図、
図15は、起立支援歩行補助器の前支持部の前傾状態を示す要部側面図、
図16は、前支持部の傾きロック構造を示す一部断面分解概略正面図、
図17は、前支持部の傾きロック構造を示し、(A)は、水平ロック状態を示す傾きロック部の要部側面図、(B)は、同分解図、
図18は、前支持部の傾きロック構造を示し、(A)は、前傾ロック状態を示す傾きロック部の要部側面図、(B)は、同分解図、
図19は、前支持部の上下位置調節ロック機構を示す要部正面図、
図20は、
図19のXX−XX線矢視における前支持部の上下位置調節ロック機構を示す要部断面図、
図21は、
図19のXX−XX線矢視における前支持部の上下位置調節ロック機構のロック解除状態を示す要部断面図、
図22は、前支持部の左右段違い動作を示す斜視図である。
【0089】
図14、
図15のように、前支持部7は、前後傾斜調節機構39と上下位置調節機構41とを備えた可動構造により、左右の肘支持部7a、7bを別々に前後傾斜調節及び上下位置調節を行なわせることができる。なお、前後傾斜調節及び上下位置調節の他に、左右傾斜位置調節機構を追加することもできる。さらに、これらの選択的な組み合わせによる調節を行なわせることもできる。前後傾斜調節機構及び左右傾斜位置調節機構の組み合わせでは、肘支持部7a、7bをそれぞれXYZ方向(上下、前後、左右方向)に自由に調節させることもできる。XYZ方向の調節では、ボール軸受構造を採用することもできる。
【0090】
前後傾斜位置調節部38 の前後傾斜調節機構39は、左右の前腕ごとに一対備えられ肘支持部7a、7bの前傾姿勢と後傾姿勢とを別々に調整する構造となっている。この前後傾斜調節機構39は、肘支持部7a、7bにおいて同一構造である。このため、肘支持部7aの前後傾斜調節機構39について説明し、肘支持部7b側については説明を省略する。
【0091】
図16、
図17のように、肘支持部7aの下面には、傾斜調節可動ブロック39aが設けられている。この傾斜調節可動ブロック39aには、走行前後方向に3個の調節穴39aa、39ab、39acが形成されている。中央の調節穴39aaに対し両側の調節穴39ab、39acは、若干上位に配置されている。
【0092】
フロントピラー5a、5bの上端には、傾斜調節固定ブロック39bが設けられている。この傾斜調節固定ブロック39bには、走行前後方向に3個の固定穴39ba、39bb、39bcが形成されている。固定穴39ba、39bb、39bcは、何れも同高さに配置されている。
【0093】
調節穴39aa、39ab、39ac及び固定穴39ba、39bb、39bcを介し、傾斜調節固定ブロック39bに傾斜調節可動ブロック39aを締結固定することで肘支持部7aを前後傾斜状態、或いは傾斜なし状態に調節固定することができる。
【0094】
図17は、肘支持部7aを傾斜なし状態に調節固定したものであり、前方及び後方の調節穴39ab、39acが前方及び後方の固定穴39bb、39bcに位置合わせされ、締結具としてのボルトナットにより締結される。
【0095】
図18は、肘支持部7aを前傾状態(
図15)に調節固定したものであり、中央及び前方の調節穴39aa、39abが中央及び前方の固定穴39ba、39bbに位置合わせされ、ボルトナットにより締結される。
【0096】
肘支持部7aの後傾状態に調節固定する場合は、中央及び後方の調節穴39aa、39acが中央及び後方の固定穴39ba、39bcに位置合わせされ、同様にボルトナットにより締結される。
【0097】
なお、調節穴39aa、39ab、39ac及び固定穴39ba、39bb、39bcの上記関係を変更し、調節穴39aa、39ab、39acを同高さに配置し、固定穴39ba、39bb、39bcの上下位置を変える構成にすることもできる。穴の上下配置も中央の調節穴(固定穴)に対し両側の調節穴(固定穴)を、若干下位に配置することもできる。調節穴39aa、39ab、39ac及び固定穴39ba、39bb、39bcの数は4個以上に設定することもできる。穴の数を増加させると、より多段の調節ができる。
【0098】
かかる構造により傾斜調節可動ブロック39a及び傾斜調節固定ブロック39bの一方は、走行前後方向中央の第1の穴39aa(39ba)とこの第1の穴39aa(39ba)の前後両側に第1の穴39aa(39ba)に対する上下位置を異ならせて配置した第2、第3の穴39ab、39ac(39bb、39bc)の3穴39aa、39ab、39ac(39ba、39bb、39bc)を少なくとも備え、同他方は、上下位置が同一で前記3穴39aa、39ab、39ac(39ba、39bb、39bc)に応じた3穴39ba、39bb、39bc(39aa、39ab、39ac)を備え、傾斜調節可動ブロック39a及び傾斜調節固定ブロック39bの3穴(39ba、39bb、39bc)、(39aa、39ab、39ac)間で対向する2穴を選択的に締結具で締結固定した構成となっている。なお、括弧内は、図示の形態とは逆に固定穴39ba、39bb、39bc側の相互上下位置を変える構成を意図していることを示す。
【0099】
前後傾斜位置調節部38の上下位置調節機構41は、左右の前腕ごとに一対備えられ肘支持部7a、7bの上下方向の位置を左右別々に調整する。 左右の上下位置調節機構41は、左右の前後傾斜調節機構39と共に、支持部分として肘支持部7a、7bの前後傾斜位置である前傾後傾姿勢及び上下位置を左右別々に調整する前後傾斜位置調節部38を構成する。
【0100】
これら上下位置調節機構41は、左右の前腕ごとに一対備えられ肘支持部7a、7bの上下方向の位置を左右別々に調整する。上下位置調節機構41は、肘支持部7a、7bにおいて同一構造である。このため、肘支持部7aの上下位置調節機構41について説明し、肘支持部7b側については説明を省略する。
【0101】
図19、
図20のように、フロントピラー5aは二重構造となっており、外筒のフロントピラーロワー5aa及びこのフロントピラーアッパー5aaに入れ子となる内筒のフロントピラーアッパー5abを備えている。フロントピラーロワー5aaの上端には、上下位置調節ロック機構41が取り付けられ、フロントピラーアッパー5abにロック穴5abaが複数形成されている。
【0102】
上下位置調節ロック機構41aは、筒状のロックケース41aを有し、フロントピラーロワー5aaの上端に固定されている。このロックケース41aを貫通するようにロックピン41bが出没自在に設けられ、その基端部がシーソーアーム41cに回転可能に軸支されている。ロックピン41bの先端部は、ロックケース41a内への突出位置でフロントピラーアッパー5abの何れかのロック穴5abaに嵌合し、フロントピラーアッパー5abをフロントピラーロワー5aaに対してロックする。
【0103】
シーソーアーム41cは、支持ピン41dによりロックケース41a に揺動可能に支持されている。シーソーアーム41c は、ロックピン41bに対する反対側の端部(反ロックピン側端部)において、ロックケース41aとの間にコイルスプリング41eが介設されている。これにより、ロックピン41bをロック側に付勢する。
【0104】
したがって、上下位置調節機構41は、前部フレーム5のフロントピラー5a、5bが左右の前支持部7の肘支持部7a、7b毎に入れ子構造で相互に嵌合し伸縮調節して肘支持部7a、7bの上下位置を調節する内筒のフロントピラーアッパー5ab及び外筒のフロントピラーロワー5aaと、内外筒の相対動を係脱操作可能にロックするロック部としての上下位置調節ロック機構41aとを備えた構成となっている。
【0105】
図21のように、シーソーアーム41acの反ロックピン側端部を押圧操作すると、シーソーアーム41acが支持ピン41dを中心に揺動回転し、ロックピン41abがフロントピラーアッパー5abのロック穴5abaから離脱する。この離脱によりフロントピラーアッパー5abのフロントピラーロワー5aaに対する上下位置を調節する。
【0106】
調節に際しては、シーソーアーム41cの押圧を解除しておくと、ロックピン41bがロック穴5abaに対向したときコイルスプリング41eの付勢力でシーソーアーム41acが揺動を戻し、ロックピン41bがロック穴5abaに突入する。この突入により、フロントピラーアッパー5abのフロントピラーロワー5aaに対する上下調節後の位置がロックされる。
【0107】
このような肘支持部7a、7bの各上下位置の調節により、
図22のように各肘支持部7a、7bの各上下位置を左右段違いに調節することができる。この左右段違いの調節は、被補助者が左右半身不随であるような場合や高齢で背骨が左右に曲がって直立姿勢が困難な場合等でも効果的に歩行補助を可能とする。
【0108】
[後輪ロック機構]
図23は、一部を省略した起立支援歩行補助器下部の概略背面図、
図24は、同要部平面図、
図25は、同要部背面図、
図26は、同要部側面図、
図27は、同ロック位置を示す要部側面図、
図28は、同ロック解除操作状態を示す要部側面図である。
【0109】
図23〜
図25のように、後輪ロック機構25は、後輪19a、19bごとに同一構造で設けられている。このため、後輪19a側の後輪ロック機構25について説明し、後輪19b側は説明を省略する。
【0110】
後輪ロック機構25は、ロックペダル25bを備え、このロックペダル25bが、後輪ロックブラケット25aにピン25cにより回動可能に支持されている。後輪ロックブラケット25aは、サイドメンバ21aの後端に取り付けられている。
【0111】
ロックペダル25bの回動位置は、ラチェット機構により踏み込み位置でロックされるようになっている。ロックペダル25bには、ロック突部25dが一体的に設けられている。ロックペダル25bのラチェット機構による固定は、解除ペダル25eの踏み込みで解除できるようになっている。ロック解除によりロックペダル25bがリターンスプリングの付勢力で元位置に戻ることができる。
【0112】
図26は、後輪ロック機構25は解除されており、起立支援歩行補助器1による歩行を可能としている。
【0113】
図27のように、ロックペダル25bを踏み込むと、ロックペダル25bがピン25cを中心に下降回動し、ロック突部25dが後輪19aの外周面に当接する。後輪19aがゴムタイヤであるときは、その弾性によりロック突部25dが後輪19aに弾接する。
【0114】
このロック突部25dの当接により、後輪19aがロックされて起立支援歩行補助器1の停止状態が維持される。後輪19bも同様にロックできる。後輪19a、19bは、一方のロックでもよいが、双方のロックで起立支援歩行補助器1の停止状態が安定する。
【0115】
図28のように、解除ペダル25eを踏み込むと、ロックペダル25bのラチェット機構が外れ、コイルスプリングの付勢力によりロックペダル25bが
図26の解除位置に復帰する。
【0116】
[座面部の動作]
図29は、起立支援歩行補助器の座面部の動作を示し、(A)は移乗時を示す要部斜視図、(B)は、昇降動作時を示す要部斜視図、(C)は、歩行時(跳ね上げ時)を示す要部斜視図、
図30は、座面部の上昇による起立動作姿勢をとる空間の広がりを示すスケルトン図、
図31は、起立支援歩行補助器の着座移乗状態を示す側面図、
図32は、起立支援歩行補助器の起立支援状態を示す側面図である。
【0117】
被捕助者がベッドから起立支援歩行補助器1へ移乗するときは、起立支援歩行補助器1の左右何れかをベッドに横付けし、左右何れかの側板13を展伸させる。
図29(A)では、左右両側の側板13を展伸させているが、ベッド側を展伸させることになる。展伸した側板13は、ベッドの縁等に乗るか、或は乗らずにベッドの上面と連続するように位置される。側板13をベッドの縁等に乗せれば、側板13の展伸状態を安定させることができるが、側板13自体の剛性や固定ブロック13a及び差込嵌合部11bbの剛性が被補助者の体重を支えるのに十分に高ければ、側板13をベッドの縁等に乗せた場合と同様に側板13の展伸状態を安定させることができる。
【0118】
側板13を展伸位置とした後は、被補助者が単独で、或いは補助者による補助を受けながら、腰をベッドからずらすように動かし、まず展伸した側板13上に臀部を載せる。
【0119】
側板13上では、座面部11側へ臀部をずらし、座面部11の座面板11a上に移乗し、或いは移乗させる。
【0120】
移乗後は、側板13を立ち上げて上記のように起立させ係止(固定)し、左右の側板13で被補助者の臀部や大腿部付け根を囲む。これら固定位置の側板13によりサポート機能を可能とし、
図31のように移乗が完了する。
【0121】
ついで、被補助者又は補助者がコントローラ37を操作し、電動シリンダ装置35を駆動すると、電動シリンダ35のねじシャフト35bが上昇し、昇降フレーム29がリヤピラー9a、9bに沿って
図29(A)から同図(B)のように上昇する。この上昇と共に座面部11及び背もたれ32が上昇し、被補助者の臀部を押し上げて起立姿勢への移行を支援することができる。
【0122】
本実施例においては、座面部11が上昇するときに、座面部11の座面に対して起立して係止された固定位置(セット位置)にある側板13のサポート機能により、被補助者を側板13間で保持し、起立姿勢に移るときの姿勢を安定させることができる。また、側板13は、被補助者の肘掛としても利用でき、より起立姿勢に移るときの姿勢を安定させることができる。
【0123】
また、本実施例では、補助者の臀部の押し上げに際し、
図30のように、座面部11の上昇と共に座面部11が前部フレーム5から寸法H離れることになる。寸法Hは、後部フレーム9の傾斜により座面部11の上昇と共に拡大する。
【0124】
したがって、空間MSが拡大することになり、被補助者の起立動作を容易にすることができる。
【0125】
また、座面部11の上昇、つまり被補助者の起立動作の進行に応じ、座面板11aが被補助者から離れることになり、
図32のように、被補助者の座面板11aに対する着座面積を徐々に小さくして、被補助者が座面部11aから円滑に起立することができる。
【0126】
本実施例では、座面板11aの幅が200mmと狭く設定されていることにより、被補助者は座面板11aに浅く腰掛けている状態となる。このため、座面板11aの上昇に応じて座面板11aが被補助者から離れることと相俟って、起立動作の完了直前に着座面積がほとんど無くなり、座面板11aの縁部側が被補助者の臀部を前方側に押圧するような状況になる。結果として、座面板11aの縁部側が被補助者の臀部を起立方向に押し上げ、起立支援を確実且つ容易に行なわせることができる。このときの座面部11の上昇位置は、被補助者の体格によりコントローラ37で調節されることになる。
【0127】
起立支援に際し、万が一被補助者が前のめりになるようなときでも、前方は左右の肘支持部7a、7bの連携により閉じられているため、被補助者が前方に倒れることはない。
【0128】
被補助者の起立支援ができたら、被補助者又は補助者が、座面部11を跳ね上げると後部フレーム9の後傾に沿った位置まで回動し、座面ロック機構31が座面部11の跳ね上げ位置をロックする。
【0129】
この座面部11の跳ね上げ位置ロックにより、被補助者が歩行姿勢を取る空間MSを拡大し、歩行補助を無理なく行なわせることができる。
【0130】
[車椅子使用状態]
図31のように、被補助者Pが座面部11に着座したまま、起立支援歩行補助器1を車椅子として使用することができる。被補助者は足をロワーフロントクロスメンバー21cに載せることができる。この使用状態では、肘支持部7a、7bを後傾させて設定するのが効果的である。補助者がハンドルバー27を握って起立支援歩行補助器1の走行支援を行なうことができる。
【0131】
こうして、被捕助者がベッドから起立支援歩行補助器1へ移乗するときは、起立支援歩行補助器1の左右何れかをベッドに横付けし、左右何れかの側板13を展伸させる。展伸した側板13によりベッド上から被補助者が自ら、或いは補助者の補助を受けながら座面部11の座面上に移乗し、或いは移乗させることができる。
【0132】
つまり、本実施例では、座面に対して連続した面を形成する展伸位置となり得る側板13を利用して、ベッドから座面部11への移乗を容易にすることができる。
【0133】
移乗後は、座面部11が電動シリンダ装置35により着座位置から上部位置側に移動すると、被補助者の臀部を上昇させて、被補助者の起立姿勢への移行を支援することができる。
【0134】
この座面部11の上部位置側への移動時には、側板13を座面に対して起立して係止された固定位置としておくことで、被補助者を側板13間で保持し、起立姿勢に移るときの姿勢を安定させることができる。
【0135】
また、ベッドから座面部11への被補助者の移乗を容易にし且つ起立姿勢に移るときの姿勢を安定させることが可能な起立支援歩行補助器1を簡単な構成で実現できる。
【0136】
後部フレーム9が着座位置から上部位置に向けて後傾しているから、
座面部11が上昇すると、被補助者の臀部を押し上げつつ空間MSを拡大し、被補助者の起立動作を容易にすることができる。
【0137】
この押し上げに際し、座面部11の上昇に応じて被補助者から離れるように上昇するから、座面部11の縁部側が被補助者の臀部を起立方向に押し上げ、起立支援を確実且つ容易に行なわせることができる。
【0138】
被補助者の起立支援ができたら、被補助者又は補助者が、座面部11を跳ね上げると後部フレーム9の後傾に沿った位置まで回動し、被補助者が歩行姿勢を取る空間MSを拡大し、歩行補助を無理なく行なわせることができる。
【0139】
側板13は、座面部11の跳ね上げ時に、後部フレーム9を避ける器幅方向外側位置に配置されている。このため、後部フレーム9の器幅方向への拡大を抑制し、起立支援歩行補助器1の大型化を抑制することができる。
【0140】
座面部11の着座前後幅SWは、着座位置での前部フレーム5と後部フレーム9との間の間隔MWの1/3以下で着座可能な幅に設定された。具体的には、SW=200mmである。
【0141】
このため、被補助者は座面板11aに浅く腰掛けている状態となるため、座面板11aの上昇に応じて被補助者から離れるように上昇することと相俟って、座面板11aの縁部側が被補助者の臀部を起立方向に押し上げ易く、起立支援を確実且つ容易に行なわせることができる。
【0142】
前記座面部11は、後部フレーム9に沿って可動の昇降フレーム29に回転支持され、昇降フレーム29に取り付けられ座面部11の跳ね上げ位置で座面部11を解除操作可能にロックするロック機構31を備えた。
【0143】
このため、歩行補助走行を行なうとき、空間MSを確実に確保し、歩行補助を支障なく円滑に行なわせることができる。
【0144】
電動シリンダ装置35は、走行ベース3の器幅方向中央部と昇降フレーム29の器幅方向中央部との間に後部フレーム9に沿って取り付けられた。このため、大型となり易い電動シリンダ装置35を後部フレーム9にコンパクトに収納させることができる。
【0145】
また、本実施例では、後部フレーム9の背後側傾斜下部で走行ベース3側に設けられ電動シリンダ装置35用の電源ボックスPBを支持する支持フレーム21eを備えた。
【0146】
このため、後部フレーム9の傾斜背後の収容スペースASを利用して、電源ボックスPBをコンパクトに収納させることができる。
【0147】
走行ベース3は、前部フレーム5と後部フレーム9との間で前輪17a、17bの車軸軸心高さと同等に設定された。
【0148】
このため、サイドメンバ21a、21bを走行面にできるだけ近接した下方に配置することができ、ベッドから移乗する際に、被補助者の移乗を極めて容易とすることができる。
【0149】
[実施例の効果]
本実施例の起立支援歩行補助器1は、歩行補助時に被補助者の左右の前腕側を乗せて支持させる前支持部7を前部フレーム5に備え、前支持部7が、相互に分離して別々に動作可能に左右の前腕ごとに備えられた肘支持部7a、7bと、これら肘支持部7a、7bの前後傾斜位置である前傾後傾姿勢及び上下位置の少なくとも一方を左右別々に調整する前後傾斜位置調節部38とを備えている。
【0150】
このため、左右の肘支持部7a、7bの前後傾斜位置を別々に調節して被補助者の体幹の変形や姿勢の好み等に合わせ、左右前腕の適切な支持により、歩行補助時の違和感、早期の疲労を抑制し、歩行補助を適切に行わせることができる。
【0151】
特に、本実施例では、肘支持部7a、7bの前傾後傾姿勢及び上下位置の双方の調整を組み合わせ、左右の肘支持部7a、7bの前後傾斜関係及び上下位置関係を自由に設定し、被補助者に対応させることができる。
【0152】
例えば、肘支持部7a、7bの前後傾斜を異ならせ、肘支持部7a、7bの一方を水平に保持すると共に他方を前傾又は後傾に支持させ、或いは一方を前傾、他方を後傾に支持させること等が可能である。また、肘支持部7a、7bの高さを異ならせ、例えば、肘支持部7a、7bの一方の前傾に対し、他方の前縁と肘支持部7bの前縁との上下位置を揃えつつ肘支持部7bを後傾設定すること等が可能である。
【0153】
本実施例では、前後傾斜位置調節部38が、左右の肘支持部7a、7bごとに備えられ、肘支持部7a、7bの前傾姿勢と後傾姿勢とを左右別々に調整する一対の
前後傾斜調節機構39及び上下方向の位置を左右別々に調整する上下位置調節機構41を備えたので、左右の肘支持部7a、7bの前後傾斜関係及び上下位置関係を確実に調整できる。
【0154】
ただし、前後傾斜位置調節部38は、
前後傾斜調節機構39及び上下位置調節機構41の一方のみを有する構成とすることも可能である。この場合でも、左右の肘支持部7a、7bの前後傾斜関係及び上下位置関係の一方を調整して、左右前腕の適切な支持を図ることが可能である。
【0155】
肘支持部7a、7bは、走行前後方向に指向した後部7aa、7baと器幅方向に指向して端部相互が近接した前部7ab、7bbとを備えた。
【0156】
このため、肘支持部7a、7bにより、被補助者の前方を閉止状の形態にすることができ、歩行補助を円滑に行なわせることができる。
【0157】
特に、左右肘支持部7a、7bの前後傾斜姿勢及び上下位置を別に調整しても、器幅方向で対向する前部7ab、7bbの端部に段差ができる程度であり、平面から見た前方閉止形態に変わりはなく、左右別々の調整にも拘らず、円滑な歩行補助形態を維持させることができる。
【0158】
また、肘支持部7a、7bは、前部フレーム5の上端に取り付けられた骨格部7ac、7bcと、この骨格部7ac、7bc上に固定され支持平面を有する支持板部7aaa、7aba、7baa、7bbaとからなる。
【0159】
このため、骨格部7ac、7bcにより前部フレーム5への取り付けを強固に行なうことができ、支持板部7aaa、7aba、7baa、7bbaの支持平面により被補助者の前腕の支持を確実に行なわせることができる。
【0160】
支持板部7aaa、7aba、7baa、7bbaにパッドを備えることも容易であり、被補助者の前腕支持をより確実且つ安定的に行なわせることができる。
【0161】
前後傾斜調節機構39は、前支持部7側の傾斜調節可動ブロック39aと、前部フレーム5のフロントピラー5a、5b側の傾斜調節固定ブロック39bとを備えている。傾斜調節可動ブロック39aは、走行前後方向中央の第1の調節穴39aaとこの第1の調節穴39aaの前後両側に上下位置を異ならせて配置した第2、第3の調節穴39ab、39ac穴の3穴を少なくとも備える。傾斜調節固定ブロック39bは、3穴の調節穴39aa、39ab、39acに応じた上下位置が同一の3穴の固定穴39ba、39bb、39bcを備えている。傾斜調節可動ブロック39a及び傾斜調節固定ブロック39bは、少なくとも3穴間で対向する2穴を選択的にボルトナットで締結固定される。
【0162】
このため、簡単な構造で左右肘支持部7a、7bの前後傾斜調節を確実且つ容易に行なわせることができる。なお、調節穴の数は変更することも可能である。調節穴の数を増加させれば、調整可能な角度を拡げることができる。
【0163】
上下位置調節機構41は、左右の前支持部7の肘支持部7a、7b毎に入れ子構造で相互に嵌合し伸縮調節して肘支持部7a、7bの上下位置を調節する内筒のフロントピラーアッパー5ab及び外筒のフロントピラーロワー5aaと、内外筒の相対動を係脱操作可能にロックするロック部としての上下位置調節ロック機構41aとを備えた。
【0164】
このため、簡単な構造でフロントピラー5a、5bを別に伸縮調整し上下位置調節ロック機構41aで確実にロックさせ、肘支持部7a、7bの上下調節を簡単且つ確実に行なわせることができる。
【0165】
なお、上記前支持部7は、被補助者の前側で上腕を支持する形態であるが、被補助者の側部で上腕を支持する形態など、種々の形態の歩行補助器に適用することができる。
【0166】
[変形例1]
図33〜
図39は、側板支持の変形例に係り、
図33は、起立支援歩行補助器の側板の起立固定状態を示す要部側面図、
図34は、起立支援歩行補助器の側板の起立固定状態を示す要部正面図、
図35は、起立支援歩行補助器の側板を省略した回転支持部の要部平面図、
図36は、
図35のXXXVI−XXXVI線矢視要部断面図、
図37は、起立支援歩行補助器の側板の固定解除状態を示し、(A)は、要部側面図、(B)は、
図36に対応した要部断面図、
図38は、起立支援歩行補助器の側板の展伸動作状態を示し、(A)は、傾倒状態の要部正面図、(B)は、倒れた状態の要部正面図、(C)は、展伸状態の要部正面図、
図39は、起立支援歩行補助器の側板の展伸状態を示す要部平面図である。
【0167】
なお、基本的な構成は、上記同様であり、対応する構成部分にAを付して説明する。
【0168】
本変形例の起立支援歩行補助器は、側板の立設固定、展伸構造を変更した。
【0169】
図33〜
図36のように、側板13Aは、金属製などの矩形体状の固定板13Aaを備えている。ただし、固定板13Aは、樹脂、繊維強化プラスチック(GFRP,CFRP)などを用いてもよい。この固定板13Aaは、側板13Aの下縁部に一体的に取り付けられている。固定板13Aaの前後中央(
図33の左右)には、下端から軸取付部13Aacが下方(
図33の下方)に突設され、軸13Aadが一体的に取り付けられている。軸取付部13Aacの先端縁部(
図33の下端縁部)は、断面半円状に形成されている。
【0170】
軸取付部13Aacの前後両側には、座面フレーム11b側に固定された軸受部11Abb、11Abcが配置されている。軸受部11Abb、11Abcに軸13Aadが回転自在且つ軸方向移動可能に支持されている。軸受部11Abb、11Abcには、前後対向部分に、軸取付部13Aacの前後両端部を受け入れる保持部11Abba、11Abcaが形成されている。保持部11Abba、11Abcaの断面内壁は、軸取付部13Aacの先端縁部に応じて半円の曲面を有し、保持部11Abba、11Abcaに対する軸取付部13Aacの相対回転動を可能としている。
【0171】
一方の保持部11Abbaには、軸取付部13Aacの断面形状に応じた断面形状の嵌合凹部11Abbbが形成され、軸取付部13Aacの端部が前後方向で嵌合して側板13Aの立設固定が行なわれる。
【0172】
他方の保持部11Abcaには、軸取付部13Aacとの間に回転軸方向の隙間が設定されている。この隙間の大きさは、嵌合凹部11Abbbの深さに対応している。この隙間により、軸取付部13Aacが嵌合凹部11Abbbから抜け出るための軸方向移動を可能としている。
【0173】
軸受部11Abcには、コイルスプリング11Abcb及びビュレット11Abccが内装され、ビュレット11Abccが軸13Aadに当接している。コイルスプリング11Abcbは、ビュレット11Abccを介して軸13Aadを前方側に付勢し、固定板13Aの起立位置(立設位置)で軸取付部13Aacの端部の嵌合凹部11Abbbへの嵌合を保持している。
【0174】
保持部11Abba、11Abcaには、共に側板13Aの展伸位置方向へ下降傾斜した係合面11Abbd、11Abcdが形成されている。
【0175】
側板13Aの展伸に際しては、側板13Aを後方へ押す。側板13Aを押すと軸13Aadが軸受部11Abb、11Abcに対してスライドし、
図37のように軸取付部13Aacの後端が軸受部11Abcに当接するまで隙間を移動する。
【0176】
この移動位置では、軸取付部13Aacの前端が嵌合凹部11Abbbから外れ、軸13Aadにより軸受部11Abb、11Abcに対して側板13Aの回動が可能となる。
【0177】
そして、側板13Aを
図38(A)〜(C)のように展伸方向へ回動させると、
図38(C)、
図39の展伸位置で側板13Aが係合面11Abbd、11Abcdに係合し、座面部の座面に対して下降傾斜する。本実施例では、下降傾斜角θが10°程度となっている。
【0178】
側板13Aを元の立設位置に戻すと、その位置で軸取付部13Aacがコイルスプリング11Abcbの付勢力によって前後位置が戻される。軸取付部13Aacの戻りで前端が嵌合凹部11Abbbに嵌合し、側板13Aの立設固定が行なわれる。なお、軸取付部13Aacは、立設位置に戻す際に、常にコイルスプリング11Abcbにより軸が付勢されているから、回転させるだけで軸取付部13Aacの前端の嵌合凹部11Abbbへの嵌合を行わせることができる。
【0179】
このように変形しても、側板13Aの展伸により上記同様な作用効果を奏することができる。
【0180】
また、側板13Aを後方へ僅かに押すだけで展伸が可能となるから、側板13Aの操作が極めて簡単になり、被補助者でも容易に操作することができる。側板13Aの回転を戻すだけで立設固定されるから、かかる点においても操作が容易となる。
【0181】
[変形例2]
図40〜
図43は、フレーム構造の変形例に係り、
図40は、一部を省略した起立支援歩行補助器の概略側面図、
図41は、一部を省略した起立支援歩行補助器の概略平面図、
図42は、一部を省略した起立支援歩行補助器のベースフレームを示す概略平面図、
図43は、一部を省略した起立支援歩行補助器の概略正面図である。
【0182】
なお、基本的な構成は、上記同様であり、同一構成部分には同符号を付し、対応する構成部分にはBを付して説明し、重複した説明は省略する。また、
図1等で図示されている電源ボックスPB、コントローラ37は、
図40において省略しているが、同様に備えている。
【0183】
図40〜
図43のように、起立支援歩行補助器1Bは、サイドメンバ21Ba,21Bbが実施例1のものより若干長く形成されている 。ただし、サイドメンバ21Ba,21Bbは、実施例1のものと同程度の長さとしてもよい。サイドメンバ21Ba、21Bbは、被補助者の足が方向転換時などに接触しないように、実施例1よりも器幅方向に広い間隔をあけて配置されている。サイドメンバ21Ba、21Bbの前部21Baa、21Bbaは、前部フレーム5Bよりも前方側に突出して位置し、前端において器幅方向の内側へ湾曲して相互に一体に結合されている。これにより、バンパー機能等を奏することが可能なフロントエンドメンバ21Bcが構成されている。
【0184】
サイドメンバ21Ba,21Bbの後部21Bab、21Bbbは、サイドメンバ21Ba、21Bbの本体部分を上記のように広く形成したことで、相互間隔が器幅方向に相対的に狭く形成されている。ただし、後部21Bab、21Bbb相互の器幅方向の間隔は、実施例1と同程度である。
【0185】
フロントピラー5Ba、5Bbの上端には、上記同様に前支持部7が同構造で設けられ、フロントピラー5Ba、5Bbの下端がサイドメンバ21Ba,21Bbの前部21Baa、21Bbaの直後でサイドメンバ21Ba,21Bbに立設固定されている。アッパーフロントクロスメンバ5Bcは、フロントピラー5Ba、5Bb間を結合している。
【0186】
前輪17a、17bは、キャスター23a、23bによりサイドメンバ21Ba、21Bbの前部21Baa、21Bbaの前端下部に回転自在且つ方向転換可能に取り付けられている。
【0187】
したがって、かかるフレーム構造によっても上記同様の作用効果を奏することができる。
【0188】
また、この例では、フロントピラー5Ba、5Bbがサイドメンバ21Ba、21Bbの前部21Baa、21Bbaの直後で直交状となって立ち上がるため、フロントピラー5Ba、5Bbとサイドメンバ21Ba、21Bbとの間の間口で広がり、器幅方向からの移乗をより容易にすることができる。サイドメンバ21Ba,21Bbを実施例1のものと同程度の長さとしても、同様の作用効果が得られる。