(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明に係るICチップを内蔵するゴルフボールの一実施の形態について説明する。なお、この実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明はこれに限定されるものではない。なお、図面は、本発明の理解を優先するため、縮尺通りに描かれたものではない。
【0013】
図1に示すように、本実施の形態のゴルフボール1は、無線通信によって情報を送受信するRFIDタグ10と、ボールの中心に位置し、RFIDタグを包囲する保護層20と、この保護層の外側を包囲するコア30と、このコアの外側を包囲するカバー40とを主に備える。カバー40の表面には、複数のディンプル42が形成されている。
【0014】
RFIDタグ10は、
図2に示すように、情報の記憶および演算のためのICチップ14と、無線周波数信号を交信するためのアンテナ16とを主に備える。これらICチップ14とアンテナ16は電気的に接続されている。RFIDタグ10は、外部のリーダーから受信する電波をエネルギー源として動作する受動式タグでよいが、電池を内蔵した能動式タグでもよい。この場合、非接触の充電器にて内蔵電池を充電することができる。本実施の形態では、RFIDタグ10は、後述する保護層20と同様の材料からなる基板12上に又はその内部に形成されているが、これに限定されるものではなく、ICチップ14とアンテナ16とを備えたRFIDシステムを構成し、保護層20を形成する材料によって十分に包囲されるものであればよい。
【0015】
保護層20の外側形状は、ゴルフボールと同心となる略球形の形状である。この保護層20の内部にRFIDタグ10が配置されている。保護層20を形成する材料は、ショアDで30以上の硬度を必要とする。このような高い硬度の材料で保護層20を形成することで、ゴルフボール1がゴルフクラブで打たれた際に、RFIDタグ10を包囲する保護層20が変形するのを抑え、RFIDタグ10およびその部品であるICチップ14やアンテナ16が損傷するのを防ぐことができる。保護層20の材料の硬度は、ショアDで50以上がより好ましく、60以上が更に好ましい。保護層20の硬度の上限は、特に限定されないが、100以下が好ましい。
【0016】
このような硬度を有する材料であれば、樹脂でもゴムでも用いることができる。樹脂としては、これらに限定されないが、熱可塑性エラストマーや、熱可塑性プラスチック等、またはこれらの混合物を使用することができる。
【0017】
熱可塑性エラストマーとしては、これに限定されないが、ポリエステル系熱可塑性エラストマーや、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー等を用いることができる。また、熱可塑性プラスチックとしては、これに限定されないが、ポリカーボネートや、ポリエチレン樹脂、アイオノマー樹脂等を用いることができる。
【0018】
アイオノマー樹脂としては、これに限定されないが、以下の(a)成分及び/又は(b)成分をベース樹脂とするものを用いることができる。また、このベース樹脂には、任意に、以下の(c)成分を添加することができる。(a)成分は、オレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体及び/又はその金属塩、(b)成分は、オレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体及び/又はその金属塩、(c)成分は、ポリオレフィン結晶ブロック、ポリエチレン/ブチレンランダム共重合体を有する熱可塑性ブロックコポリマーである。
【0019】
ゴムとしては、例えば、スチレンブタジエンゴムや、ポリブタジエンゴム、天然ゴム等が用いることができる。また、保護層20には、上述した樹脂やゴムの主成分の他に、有機過酸化物等を添加することもできる。
【0020】
なお、保護層20を形成する材料は、融点が高すぎると、インジェクションにて保護層20を形成する際に、RFIDタグ10およびその部品であるICチップ14またはアンテナ16を損傷するおそれがあるため、230℃以下とすることが好ましく、210℃以下とすることがより好ましい。一方、保護層20を形成する材料の融点が低すぎると、コア30を加硫形成する際に、その内側に位置する保護層20が溶融ないし破損するおそれがあるため、80℃以上とすることが好ましく、150℃以上とすることがより好ましい。
【0021】
保護層20の直径は、3〜30mmの範囲とする。保護層20はRFIDタグ20を保護するため、保護層20の直径は、アンテナ16の直径よりも大きい必要があり、アンテナ16の直径よりも1〜3mmの範囲で大きいことが好ましい。保護層20の直径が3mm未満だと、保護層の寸法が小さ過ぎてICチップ14を十分に損傷から保護することができない。また、アンテナ16を大きく広げることで、RFIDタグ10の読み取り性を向上させることができるので、保護層20の直径を大きくすることが好ましい。しかし、保護層20の直径を大きくし過ぎると、保護層20は高い硬度の材料で形成されていることから、ゴルフボールの反発性および耐久性に悪影響を与えてしまうという問題がある。よって、保護層20の直径を30mm以下にすることで、保護層20の外側に位置するコア30の領域を十分に確保することもでき、ゴルフボールの反発性および耐久性を維持することができる。保護層20の直径の下限は、4mm以上が好ましく、5mm以上がより好ましい。また、保護層20の直径の上限は、25mm以下が好ましく、20mm以下がより好ましい。
【0022】
コア30は、主にゴムにより形成することができる。この主成分となるゴム(基材ゴム)としては、広く合成ゴムおよび天然ゴムを用いることができ、これに限定されないが、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリウレタンゴム(PU)、ブチルゴム(IIR)、ビニルポリブタジエンゴム(VBR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ニトリルゴム(NBR)、シリコーンゴムを用いることができる。ポリブタジエンゴム(BR)としては、例えば、1,2−ポリブタジエンやシス1,4−ポリブタジエン等を用いることができる。
【0023】
コア30には、このような基材ゴムの他、任意に、例えば、共架橋材、架橋開始剤、充填材、老化防止剤、異性化剤、素練り促進剤、硫黄、及び有機硫黄化合物を添加することができる。また、主成分として、ゴムに代えて、樹脂を使用してもよく、例えば、熱可塑性エラストマーや、アイオノマー樹脂、またはこれらの混合物を用いることもできる。
【0024】
共架橋材としては、これに限定されないが、例えば、α、β−不飽和カルボン酸またはその金属塩を用いることが好ましい。α、β−不飽和カルボン酸またはその金属塩としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、およびこれらの亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などがある。共架橋材の配合は、これに限定されないが、例えば、基材ゴムを100重量部として、約5重量部以上が好ましく、約10重量部以上がより好ましい。また、共架橋材の配合は、約70重量部以下が好ましく、約50重量部以下がより好ましい。
【0025】
架橋開始剤としては、これに限定されないが、有機過酸化物を用いることが好ましく、例えば、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等がある。架橋開始剤の配合は、これに限定されないが、例えば、基材ゴムを100重量部として、約0.10重量部以上が好ましく、約0.15重量部以上がより好ましく、約0.30重量部以上が更に好ましい。また、架橋開始剤の配合は、約8重量部以下が好ましく、約6重量部以下がより好ましい。
【0026】
充填材としては、これに限定されないが、例えば、銀、金、コバルト、クロム、銅、鉄、ゲルマニウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、鉛、白金、スズ、チタン、タングステン、亜鉛、ジルコニウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化マンガンなどを用いることができる。充填材は、粉末形状が好ましい。充填材の配合は、これに限定されないが、例えば、基材ゴムを100重量部として、約1重量部以上が好ましく、約2重量部以上がより好ましく、約3重量部以上が更に好ましい。また、充填材の配合は、約100重量部以下が好ましく、約80重量部以下がより好ましく、約70重量部以下が更に好ましい。
【0027】
老化防止剤としては、これに限定されないが、例えば、ノクラックNS−6(大内新興化学工業社製)等の市販品を用いることができる。老化防止剤の配合については、これに限定されないが、基材ゴムを100重量部として、約0.1重量部以上が好ましく、約0.15重量部以上がより好ましい。また、老化防止剤の配合は、約1.0質量部以下が好ましく、約0.7質量部以下がより好ましい。
【0028】
有機硫黄化合物(しゃっかい材)を添加することで、コア30の反発性を向上させることができる。有機硫黄化合物としては、チオフェノール類、チオカルボン酸類及びそれらの金属塩から選ばれる。チオフェノール類、チオカルボン酸類としては、ペンタクロロチオフェノール、4−t−ブチル−o−チオフェノール、4−t−ブチルチオフェノール、2−ベンズアミドチオフェノール等のチオフェノール類、チオ安息香酸等のチオカルボン酸類がある。また、これらの金属塩としては、亜鉛塩などが好ましい。有機硫黄化合物の配合は、これに限定されないが、基材ゴムを100重量部として、約0.5重量部以上が好ましく、約1重量部以上がより好ましい。また、有機硫黄化合物の配合は、約3重量部以下が好ましく、約2重量部以下がより好ましい。
【0029】
コア30の硬度は、保護層20を形成する材料の硬度よりも軟らかいことが好ましい。保護層20を高い硬度の材料で形成していることから、このようにコア30を軟らかくすることによって、ゴルフボール全体の硬度が高くなり過ぎるのを防ぐことができる。コア30の硬度の上限は、ショアDにて、60以下が好ましく、50以下がより好ましく、40以下が更に好ましい。一方、コア30の硬度の下限は、これに限定されないが、ショアDにて、20以上が好ましく、30以上がより好ましい。なお、コア30の硬度は、保護層20を形成する材料の硬度よりも硬くてもよい。
【0030】
保護層20とコア30との硬度の差が大き過ぎると、保護層20とコア30との間で剥離が起こりゴルフボールの耐久性に影響を与えるおそれがあることから、保護層20の硬度とコア30の硬度との差H
Dは、これに限定されないが、約20以下が好ましく、約10以下がより好ましい。
【0031】
コア30は、保護層20の外周を均一に包囲することが好ましく、コア30の厚さの下限は、ゴルフボールに所定の反発力を付与するために、4.5mm以上が好ましく、10mm以上がより好ましい。一方、コア30の厚さの上限は、特に限定されないが、20mm以下が好ましく、15mm以下がより好ましい。また、コア30は、
図1では一層として示したが、これに限定されず、例えば、複数の層からなるコアとしてもよい。
【0032】
カバー40を形成する材料としては、これらに限定されないが、アイオノマー樹脂、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、熱硬化性ポリウレタン、またはこれらの混合物を使用して形成することができる。また、カバー40には、上記の主成分の他に、他の熱可塑性エラストマーや、ポリイソシアネート化合物、脂肪酸又はその誘導体、塩基性無機金属化合物、充填材などを添加することができる。
【0033】
カバー40を形成する材料の硬度は、これに限定されないが、ショアDにて、50以上が好ましく、55以上がより好ましい。また、カバー30を形成する材料の硬度は、75以下が好ましく、70以下がより好ましく、65以下が更に好ましい。
【0034】
カバー40の厚さの下限は、これに限定されないが、0.2mm以上が好ましく、0.4mm以上がより好ましい。また、カバー40の厚さの上限は、4mm以下が好ましく、3mm以下がより好ましく、2mm以下が更に好ましい。カバー40の表面には、複数のディンプル42が形成されている。ディンプル42の大きさ、形状、数などは、ゴルフボール1の所望する空気力学的特性に応じて、適宜、設計することができる。
【0035】
コア30とカバー40との間には、任意に中間層(図示省略)を設けてもよい。コア的な機能を有する中間層を設けてもよいし、カバー的な機能を有する中間層を設けてもよい。また、複数の中間層を設けてもよく、例えば、コア的またはカバー的な機能を有する複数の中間層を設けてもよいし、コア的な機能を有する第1の中間層とカバー的な機能を有する第2の中間層を設けてもよい。
【0036】
中間層の材料としては、これに限定されないが、以下の加熱混合物を主材として用いることが好ましい。この材料を中間層に用いることにより、打撃時に低スピン化することができ、大きな飛距離を得ることができる。
(a)オレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体の金属イオン中和物と、
(b)オレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体の金属イオン中和物と
を重量比で100:0〜0:100になるように配合したベース樹脂と、
(e)このベース樹脂に対して重量比で100:0〜50:50になるように配合した非アイオノマー熱可塑性エラストマーと、
ベース樹脂と(e)成分を含む樹脂成分100重量部に対して、
(c)分子量が228〜1500の脂肪酸及び/又はその誘導体5〜150重量部と、
(d)ベース樹脂及び(c)成分中の未中和の酸基を中和できる塩基性無機金属化合物0.1〜17重量部。
【0037】
なお、「主材」とは、中間層の総重量に対して50重量%以上、好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上の材料を意味する。
【0038】
中間層を形成する材料の硬度は、ショアDで、40以上が好ましく、45以上がより好ましく、50以上が更に好ましい。中間層を形成する材料の硬度は、カバー40の硬度よりも軟らかいことが好ましく、具体的には、ショアDで、65以下が好ましく、60以下がより好ましい。
【0039】
中間層20の厚さは、これに限定されないが、0.5mm以上が好ましく、1mm以上がより好ましい。また、中間層20の厚さは、10mm以下が好ましく、5mm以下がより好ましく、3mm以下が更に好ましい。
【0040】
次に、このような構成を有するRFIDタグ内蔵のゴルフボール1を製造する方法の一実施の形態について説明する。保護層20は、特に限定されないが、例えば、射出成形法などによって形成することができる。具体的には、所定の球状の形状を有する保護層用の金型内に、RFIDタグ10を予め配置しておき、所定の硬度を有する材料を金型内に射出導入することで、RFIDタグ10が所定の硬度を有する材料に十分に包囲された保護層20を形成することができる。保護層20の外周面は、コア30との接着性を高めるため、凹凸が形成されるように加工処理してもよい。
【0041】
コア30は、特に限定されないが、例えば、ハーフカップ成形法によって、形成することができる。具体的には、基材ゴムを含む材料を混練機で混練した後、この混練物を用いて予め一対のハーフカップを成形し、このハーフカップで保護層20を包んで加熱、加硫することで、ハーフカップが互いに結合し、保護層20の外周を包囲するコア30を形成することができる。
【0042】
カバー40は、特に限定されないが、例えば、射出成形法などによって形成することができる。具体的には、カバー用の金型内の中央に、上記のようにして形成したコア30を配置し、このコア10を覆うように、カバー材料を金型内に射出導入することで、カバー40を形成することができる。このようにして、RFIDタグ10を内蔵したゴルフボール1を製造することができる。なお、RFIDタグ10のアンテナ16に指向性がある場合、カバー40の表面において、リーダでの読み取りがし易い位置にマークを表示してもよい。例えば、アンテナ16が、
図2に示すように、複数の環を巻いた構成の場合、この複数の環の面に対して垂直方向のボール表面の位置に、マークを表示することができる。
【0043】
なお、RFIDタグ10の形状は、
図2に示す円盤形状の他、ICチップ14とアンテナ16を支持または収容するのに適した形状を有するものであれば良く、例えば、正方形や長方形などの四角形でもよいし、その他の形状でもよい。また、RFIDタグ10の厚さも、ICチップ14とアンテナ16を支持または収容するのに十分な厚さを有するものであれば、特に限定されるものではない。ICチップ14とアンテナ16は、特に問題がなければ、基板12に支持または収容することなく、直接的に保護層20内に内蔵してもよい。
【0044】
アンテナ16の形状は、アンテナを収容するのに適した形状を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、
図2に示すように、平面上に複数の環が重なる形状の他、ゴルフボールのシンメトリー性を維持するために、立体状に複数の環が交わる形状等でもよい。その他、ゴルフボールのシンメトリー性を維持するために、ICチップ14と電気的に接続しないダミーのアンテナを配置してもよい。
【0045】
さらに、アンテナ16は、
図2に示すようなICチップ16と接続されていることに限定されず、例えば、外部のリーダと電波を交信するアンテナをゴルフボールのコア表面や中間層表面などに配置するとともに、このアンテナと更に電波を交信するブーストアンテナをRFIDタグ内でICチップに接続して配置するという構成にしてもよい。また、保護層20内に、RFIDタグではなく、ICチップのみを設けてもよい。ICチップは、ボールの外からの非破壊的な読み取りに限定されず、プレー中に損傷を受けなければ、ボールを破壊して所定の情報を読み取ることができる。
【実施例】
【0046】
表1に示す構成のゴルフボールをそれぞれ作製し、ゴルフボールの反発性、耐久性、および内蔵するRFIDタグの読み取り性を測定する試験を行った。表1に示す保護層の構成の内容については表2に、コアの材料の配合については表3(重量部)に、カバーおよび中間層の材料の配合については表4(重量部)に、それぞれ示す。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
RFIDタグは、市販の汎用性のパッシブRFID。
ハイトレルは、デュポン社製のポリエステル系熱可塑性エラストマー。
アイオノマーAは、三井デュポンポリケミカル社製の商品名ハイミラン1557およびハイミラン1855の混合物。
アイオノマーBは、三井デュポンポリケミカル社製の商品名ハイミラン1605およびハイミラン1706の混合物。
ポリカーボネートAは、出光興産社製の商品名タフロンA1900のポリカーボネート。
ポリカーボネートBは、出光興産社製の商品名タフロンA1700のポリカーボネート。
ゴムAは、JSR社製の商品名BR730。
ゴムBは、JSR社製の商品名BR01。
【0050】
【表3】
【0051】
ポリブタジエンは、JSR社製のBR730を使用し、基材ゴムとして用いた。
パーヘキサCは、日本油脂社製の1,1ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンとシリカの混合物であって、架橋開始剤として用いた。
パークミルDは、日本油脂製のジクミルパーオキサイド。
酸化亜鉛は、堺化学工業社製の商品名酸化亜鉛3種。
老化防止剤は、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)で、大内新興化学工業社製の商品名ノクラックNS−6。
アクリル酸亜鉛は、日本触媒社製のWN86。
【0052】
【表4】
【0053】
ハイミラン1605、ハイミラン1706、ハイミラン1601、ハイミラン1557、ハイミラン1855は、三井デュポンポリケミカル社製の商品名であり、アイオノマー樹脂。
【0054】
表1の反発性は、R&Aの承認する装置であるUSGAのドラム回転式の初速計と同方式の初速測定器を用いて、ゴルフボールの初速を測定して評価した。サンプルのゴルフボールは23±1℃の環境下で3時間以上温度調節し、室温23±2℃の部屋で試験した。11個のサンプルを各々2回打撃して、6.28ft(1.91m)の距離を通過する時間を計測し、初速を計算した。評価は、◎は77m/s以上、○は76m/s以上、×はそれ未満である。
【0055】
表1の耐久性は、米国Automated Design Corporation製のADC Ball COR Durability Tester機を用いて、ゴルフボール内のRFIDタグの耐久性を評価した。この試験機は、ゴルフボールを空気圧で発射させた後、平行に設置した2枚の金属板に連続的に衝突させる機能を有する。金属板への入射速度は43m/sとした。ゴルフボール内のRFIDタグが読み取り不能になるまでに要した発射回数の平均値を求めた。この場合、平均値とは、各サンプルのボールを5個用意し、それぞれのボールを発射させて5個のボールがそれぞれ読み取り不能になるまでに要した発射回数を平均化した値である。評価は、◎は平均値が60回以上、○は20回以上、×はそれ未満である。
【0056】
表1の読み取り性は、ゴルフボールについて、RFIDリーダを近づけ、読み取れる距離を測定して評価した。評価は、◎は2cm以上、○は1mm以上、×は読み取り不能である。
【0057】
表1の耐久性の評価が示すように、ショアD硬度30以上の材料で保護層を形成した実施例1〜6のゴルフボールは、打撃によっても保護層の変形を抑えることができたので、打撃を受けた後でも十分な読み取り性を維持していた。特に、実施例3、4は、ショアD硬度が60以上で、且つコアの硬度が保護層の硬度よりも軟らかく、その差H
Dも10と小さいことから、特に耐久性が高かった。
【0058】
一方、ショアD硬度が30未満の材料で保護層を形成した比較例7、8は、ゴルフボールを打撃した際に保護層が変形して、RFIDタグが損傷したため、十分な耐久性を維持できなかった。
【0059】
ショアD硬度30以上の材料で保護層を形成した比較例9〜11のうち、保護層の直径を2.5mmと非常に小さくした比較例9は、その分、直径1mmと小さい寸法のRFIDタグを採用したため、アンテナも小さく、読み取り性が非常に悪かった。また、保護層の直径を30mm以上と大きくした比較例10、11は、その分、直径29mm、32mmと大きい寸法のRFIDタグを採用したため、アンテナを広く伸ばすことができ、読み取り性は良好であったが、コアの領域が十分にとれず、反発性が非常に悪かった。