(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記係合爪は、前記後壁部の上端側から前記車体の一部側に延びる第1延出部と、該第1延出部の延出端部から連続して屈曲し、前記係合穴を挿通するように延びる第2延出部と、を備え、
該第2延出部は、前記リテーナ部材側に折り曲げられた前記折り曲げ部を備え、該折り曲げ部から連続して前記リテーナ部材側とは反対側に延びていることを特徴とする請求項1又は2に記載のサイドエアバッグ装置。
前記リテーナ部材は、前記ベース格納部を保持する部分から、上下方向において前記係止爪側とは反対側に向かって延出し、延出した部分が前記車体に取り付けられてなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のサイドエアバッグ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1のようなサイドエアバッグ装置では、インフレータが作動してエアバッグが膨出するときに、エアバッグを膨出させるインフレータのガス圧力が格納ボックスに大きく負荷されることとなり、その結果、格納ボックスが変形してしまい、エアバッグの膨出方向に影響する恐れがあった。
そのため、エアバッグが膨出展開するときに、エアバッグ及びインフレータを格納する格納ボックス周辺の剛性を向上させる技術が求められていた。
特に、上記従来技術においては、強度向上を図るべくサイドエアバッグ装置の格納ボックスを金属製としているが、一方で軽量化を図るべく樹脂製に変更することが望まれており、格納ボックスを樹脂製に変更しても、エアバッグの膨出展開時における格納ボックスの変形を抑制可能な技術が求められていた。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、エアバッグが膨出展開するときに、エアバッグ及びインフレータを格納する格納ボックス周辺の変形を抑制することが可能なサイドエアバッグ装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、エアバッグの膨出展開方向を安定させることが可能なサイドエアバッグ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、本発明のサイドエアバッグ装置によれば、車体と後部座席との間に設けられるサイドエアバッグ装置であって、膨出可能なエアバッグと、該エアバッグの内部にガスを供給するインフレータと、折り畳まれた状態の前記エアバッグ及び前記インフレータを格納するベース格納部を有し、車体ドアと前記後部座席との間に取り付けられるベース部材と、
前記ベース格納部の車体後方側に配置される後壁部を有し、前記ベース格納部を車体後方側から保持するリテーナ部材と、を備え、該リテーナ部材の上下方向の一端側には、車体後方側にある前記車体の一部に向かって突出し、該車体の一部に設けられた係合穴に係合する
折り曲げ部を有する係合爪が設けられ、
前記リテーナ部材の前記後壁部には、車体後方側にある前記車体の一部に向かって張り出した張り出し部が設けられ、前記リテーナ部材は、
前記張り出し部と前記折り曲げ部とで、前記車体の一部を挟むように配置されていること、により解決される。
【0008】
上記のように、リテーナ部材の上下方向の一端側には、車体後方側にある車体の一部に向かって突出し、車体の一部に設けられた係合穴に係合する
折り曲げ部を有する係合爪が設けられ、リテーナ部材は、リテーナ部材の車体後方側の
後壁部に設けられた張り出し部と、係合爪
の折り曲げ部とで、車体の一部を挟むように配置されているため、ベース格納部を保持するリテーナ部材の支持剛性が向上すると共に、リテーナ部材を含むサイドエアバッグ装置全体の車体に対する取り付けが容易になる。
従って、エアバッグが膨出展開するときに、ベース格納部周辺の変形を抑制でき、エアバッグの膨出展開方向を安定させることができる。
また、リテーナ部材の車体に対する挟持力が高まり、リテーナ部材のガタツキが抑制される。そして、リテーナ部材の後壁部を部分的に張り出させて当接させるため、張り出し部以外の部分においては車体前後方向のスペースを確保できる。
【0009】
このとき、前記リテーナ部材は、金属製からなり、
前記後壁部の車体幅方向の両端部から連続して車体前方側に延びる左右の側壁
部を備え、前記後壁部と、該後壁部の前記一端側に設けられた前記係合爪とで、車体後方側にある前記車体の一部を挟むように配置されていると良い。
上記構成により、リテーナ部材のベース格納部に対する保持性が高まる。
【0011】
このとき、前記係合爪は、前記後壁部の上端側から前記車体の一部側に延びる第1延出部と、該第1延出部の延出端部から連続して屈曲し、前記係合穴を挿通するように延びる第2延出部と、を備え、該第2延出部は、前記リテーナ部材側に折り曲げられた
前記折り曲げ部を備え、該折り曲げ部から連続して前記リテーナ部材側とは反対側に延びていると良い。
上記構成により、リテーナ部材の係合爪を車体の係合穴に挿入するにあたって、係合爪の第2延出部の形状がガイドとなるため、リテーナ部材の車体に対する組み付け性が良くなる。
【0012】
このとき、前記ベース格納部及び前記リテーナ部材の各々には、前記インフレータに設けられた組み付け軸部を挿通させるための穴部が連通して形成され、前記組み付け軸部に対して、前記穴部の前記インフレータ側とは反対側から組み付け部材が組み付けられて構成され、前記組み付け軸部は、前記リテーナ部材の前記側壁部に組み付けられていると良い。
上記構成により、インフレータの組み付け軸部は、ベース格納部及びリテーナ部材の側壁部に組み付けられているため、従来のようにベース格納部及びリテーナ部材の後壁部に組み付けられる場合と比較して、車体前後方向のコンパクト化を達成できる。
また、本発明においては、車体前後方向においてリテーナ部材と車体の一部とを係合させる構成にしているため、当該車体の一部との干渉を抑制し易くなる。
【0013】
このとき、前記リテーナ部材は、前記ベース格納部を保持する部分から、上下方向において前記係止爪側とは反対側に向かって延出し、延出した部分が前記車体に取り付けられてなると良い。
上記構成により、リテーナ部材は、上下方向の一端側において係合爪が車体の係合穴に係合すると共に、他端側において延出部分が車体の一部に取り付けられてなるため、リテーナ部材の車体に対する取り付け剛性が一層向上する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、リテーナ部材は、車体後方側の面と係合爪とで、車体の一部を挟むように配置されているため、ベース格納部を保持するリテーナ部材の支持剛性が向上すると共に、リテーナ部材を含むサイドエアバッグ装置全体の車体に対する取り付けが容易になる
。従って、エアバッグの膨出展開時に、ベース格納部周辺の変形を抑制でき、エアバッグの膨出展開方向を安定させることができる。
また、リテーナ部材の車体に対する挟持力が高まり、リテーナ部材のガタツキが抑制される。そして車体前後方向のスペースを確保できる。
【0015】
本発明によれば、リテーナ部材のベース格納部に対する保持性が高まる
。
【0016】
本発明によれば、リテーナ部材の車体に対する組み付け性が良くなる。
本発明によれば、車体前後方向のコンパクト化を達成でき、車体の一部との干渉を抑制し易くなる。
本発明によれば、リテーナ部材の車体に対する取り付け剛性が一層向上する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係るサイドエアバッグ装置について、
図1〜
図8を参照しながら説明する。
本実施形態は、車体ドアと後部座席との間に設けられるサイドエアバッグ装置であって、エアバッグ及びインフレータを格納するベース格納部と、ベース格納部を車体後方側から保持するリテーナ部材とを備え、リテーナ部材の上端部にある係合爪が、車体後方側にある車体の一部に設けられた係合穴に係合するように配置されており、さらにリテーナ部材の後壁部と係合爪とで車体の一部を挟んでいることを特徴とするサイドエアバッグ装置の発明に関するものである。
【0019】
本実施形態のサイドエアバッグ装置Sは、車体側方から着座者に加えられる衝撃を緩和するための装置であって、
図1に示すように、車体幅方向において後部座席1の背もたれ部となるシートバック1aと、車体2の車体ドア2aとの間に配置されている。
なお、サイドエアバッグ装置Sは、後部座席1の車体幅方向の左右外側にそれぞれ1つずつ配置されている。
【0020】
サイドエアバッグ装置Sは、
図2に示すように、膨出可能なエアバッグ10と、エアバッグ10の内部にガスを供給するインフレータ11と、折り畳まれた状態のエアバッグ10及びインフレータ11を格納するベース部材20と、
図3に示すように、ベース部材20に格納されたエアバッグ10及びインフレータ11を車体後方側から保持するリテーナ部材30と、インフレータ11に接続され、インフレータ11に点火用電力を供給するハーネス40と、を主に備えている。
また、サイドエアバッグ装置Sは、
図7に示すように、ベース部材20の車体前方側の位置に載置されるパッド部材50と、ベース部材20及びパッド部材50を車体前方側から覆う表皮材60と、表皮材60に一端部が縫着され、他端部がベース部材20の力布係止部27に係止され、エアバッグ10の膨出方向をガイドする力布70と、を備えている。
【0021】
エアバッグ10は、車体側方から衝撃が加わったときに、
図7に示す折り畳まれた状態から、
図8に示すように車体前方側に向かって風船状に膨出展開する袋状部材からなる。
詳しく言うと、エアバッグ10に連結され、ガス発生源となるインフレータ11からエアバッグ10の内部に向かってガスが供給されることで、エアバッグ10が膨出する。
インフレータ11は、
図2に示すように、長尺な略円柱形状のガス発生装置からなり、上下方向に長尺となるように配置されている。
インフレータ11は、その外表面よりも車体前方側に突出してエアバッグ10内部に連結される不図示のエアバッグ連結部と、上端部に形成され、ハーネス40に接続されるハーネス接続部12と、外表面よりも車体側方側に突出し、ベース部材20及びリテーナ部材30に組み付けられる組み付け軸部13と、を備えている。
【0022】
上記構成において車体側方から衝撃が加わったときには、車体上において着座者の足下側に配置された不図示の車両用バッテリーからハーネス40を介してインフレータ11に点火用電力が供給され、エアバッグ10が着座者の側方で膨出展開する。
エアバッグ10及びインフレータ11は、ベース部材20に設けられた後述のベース格納部24に格納されている。
【0023】
ベース部材20は、サイドエアバッグ装置Sの基板となる樹脂製のフレーム部材からなり、
図2に示すように、エアバッグ10及びインフレータ11を格納するものである。
ベース部材20は、車体側方から見て略逆L字形状からなり、車体幅方向においてシートバック1aと車体ドア2aの間に配置されており、上端部及び下端部がそれぞれ不図示の車体部材に着脱可能に取り付けられている。
ベース部材20は、
図2、
図3に示すように、後部座席1と車体2との間に配置されるベース本体部21と、ベース本体部21の車体幅方向の両端部から連続して車体後方側に延びるベース外壁部22とベース内壁部23と、から主に構成されている。
【0024】
ベース本体部21は、略逆L字形状の板状部材からなり、構成要素として車体幅方向において中央部分よりもやや車体外側寄りに一体的に形成され、車体後方側に窪んだベース格納部24を備えている。
ベース外壁部22は、車体ドア2aと対向する部分に配置され、その延出端部には、上下方向に間隔を空けて複数設けられ、表皮材60の一端部を係止する係止爪22aが形成されている。
ベース内壁部23は、シートバック1aと対向する部分に配置され、
図3に示すように、その延出端部には、上下方向に長尺に延びて設けられ、表皮材60の他端部を木目込む木目込み溝23aが形成されている。
【0025】
ベース格納部24は、
図2に示すように、車体前方側に開口部を有する上下方向に長尺な箱体からなり、略凸形状の内部空間を備えており、エアバッグ10及びインフレータ11がベース格納部24の内部空間に着脱可能に格納されている。
ベース格納部24は、
図4に示すように、エアバッグ10及びインフレータ11の車体後方側に配置される後壁部24aと、後壁部24aの車体幅方向の両端部から連続して車体前方側に延びて、車体幅方向の車外側に配置される外側壁部24bと車内側に配置される内側壁部24cと、を備えている。
なお、ベース格納部24の上方部分には、インフレータ11の上端部分が露出するように設けられた開口部分が形成されている。
【0026】
ベース格納部24の外側壁部24bには、
図3に示すように、インフレータ11のハーネス接続部12に対向する部分において、ハーネス40の一部を支持可能な切欠き部分が設けられている。
内側壁部24cには、
図4に示すように、上下方向に所定の間隔を空けて2つ張り出すように形成され、力布70の他端部を係止可能な力布係止部27と、上下方向に所定の間隔を空けて2つ形成され、2つの力布係止部27の間に配置され、インフレータ11の組み付け軸部13を挿通可能なベース穴部28が設けられている。
【0027】
リテーナ部材30は、エアバッグ10及びインフレータ11を車体後方側から保持する金属製の保持部材からなり、
図3に示すように、ベース格納部24に車体後方側から装着されている。
リテーナ部材30は、略コ字形状からなり、ベース格納部24の車体後方側に配置される後壁部30aと、後壁部30aの車体幅方向の両端部から連続して車体前方側に延びる外側壁部30b及び内側壁部30cと、を備えている。
【0028】
内側壁部30cには、
図4に示すように、上下方向に所定の間隔を空けて2つ張り出すように形成され、力布70が係止された力布係止部27を保持する力布保持部32と、上下方向に所定の間隔を空けて2つ形成され、2つの力布保持部32の間に配置され、インフレータ11の組み付け軸部13を挿通可能なリテーナ穴部33と、が設けられている。
リテーナ穴部33とベース穴部28とは、リテーナ部材30及びベース格納部24が組み付けられた状態で互いに連通する配置となっている。
【0029】
上記構成において、
図5に示すように、インフレータ11の組み付け軸部13がベース穴部28及びリテーナ穴部33を挿通し、その挿通端部が組み付けナットに相当する組み付け部材35に組み付けられることで、インフレータ11、ベース部材20及びリテーナ部材30がそれぞれ固定されている。
【0030】
後壁部30aには、
図5に示すように、その上端部分において車体後方側に向かって突出する係合爪36と、係合爪36の延出部分に対向する部分において車体後方側にやや張り出した張り出し部37と、が設けられている。
係合爪36は、
図5に示すように、車体後方側にある車体部材38に向かって突出し、車体部材38に設けられた係合穴38aに係合する位置に配置されている。
【0031】
係合爪36は、
図5、
図6に示すように、逆J字形状からなり、後壁部30aの上端部分から連続して車体部材38側に延びる第1延出部36aと、第1延出部36aの延出端部から連続して下方側、すなわち車体部材38の係合穴38a側に屈曲し、係合穴38aを挿通するように延びる第2延出部36bと、から主に構成されている。
第2延出部36bは、車体前方側、すなわちリテーナ部材30側に折り曲げられた折り曲げ部36cを備え、折り曲げ部36cから連続してリテーナ部材30側とは反対側、すなわち車体部材38側に延びている。
上記構成において、リテーナ部材30の係合爪36を車体部材38の係合穴38aに挿入するにあたって、係合爪36の第2延出部36bの形状がガイドとなるため、リテーナ部材30の車体に対する組み付け性が良くなる。
【0032】
また上記構成において、リテーナ部材30は、車体前後方向において後壁部30aの張り出し部37と、係合爪36とで車体部材38の一部を挟むように配置されている。
そのため、リテーナ部材30の車体に対する挟持力が高まり、リテーナ部材の30ガタツキが抑制される。そして、リテーナ部材30の後壁部30aを部分的に張り出して当接させるため、張り出し部37以外の部分においては車体前後方向のスペースを確保できる。
【0033】
後壁部30aは、
図2、
図3に示すように、ベース格納部24を保持する部分から下方に延出し、その下方延出部分が、ベース部材20の下方延出部分の背面に重ね合わされた状態で、車体後方側の不図示の車体部材にボルト締結されている。
後壁部30aの下方延出部分は、車体後方側の不図示の車体形状に沿わせるように折り曲げられた逃げ形状を有している。
上記構成により、リテーナ部材30は、上端側において係合爪36が車体部材38の係合穴38aに係合すると共に、下端側において不図示の車体部材に取り付けられてなるため、リテーナ部材30の車体に対する取り付け剛性が一層向上する。
【0034】
ハーネス40は、インフレータ11に点火用電力を供給するワイヤーハーネスであって、複数の電気配線をコルゲートチューブでまとめ、カプラを端部に取り付けたものからなる。
ハーネス40は、
図3に示すように、インフレータ11の上端部にあるハーネス接続部12に上端部41が接続され、下端部42が車体上において着座者の足下側に配置される車両用バッテリーに接続されており、上下方向に長尺となるように延びている。
【0035】
パッド部材50は、
図7に示すように、ベース部材20と表皮材60との間に載置されるクッション材からなり、ベース部材20の車体前方側の全面にわたって配置されている。
なお、パッド部材50は、ベース部材20に設けられた不図示のパッド取り付け部に固定されることで、ベース部材20に連結されている。
パッド部材50には、ベース格納部24に対向する部分において、詳しく言うと、ベース格納部24のうち、外側壁部24b側の対向する部分において、車体前後方向に貫通したパッド開口部51が形成されている。
【0036】
パッド部材50は、パッド開口部51よりも車外側に配置されるアウタパッド部材50aと、パッド開口部51よりも車内側に配置されるインナパッド部材50bと、を一体的に備えている。
パッド開口部51は、上下方向に長尺な開口部分であり、表皮材60側からベース部材20側に向かって力布70が挿通されている。
パッド開口部51と、力布係止部27とは、エアバッグ10に対して互いに車体幅方向の反対側に位置している。
【0037】
上記構成において、
図8に示すようにエアバッグ10が膨出展開したときには、パッド部材50は、車体幅方向においてパッド開口部51を分岐点としてアウタパッド部材50aとインナパッド部材50bとに分かれて展開される。
このとき、エアバッグ10の膨出方向が力布70によってガイドされるため、ベース格納部24の車体前方にあるパッド部材50の一部が飛散することなく、エアバッグ10を展開させることができる。
【0038】
表皮材60は、
図7に示すように、ベース部材20及びパッド部材50を車体前方側から覆うカバー部材に相当し、車体幅方向の略中央部分であって、ベース格納部24の中央部分に対応する位置には、エアバッグ10の膨出展開時に開裂する表皮開裂部61が形成されている。
表皮材60は、一端部が各々表皮開裂部61の位置で連結され、表皮開裂部61に対して車外側に配置されるアウタ表皮材62と、車内側に配置されるインナ表皮材63と、から主に構成されている。
【0039】
アウタ表皮材62の車外側の他端部が、ベース外壁部22の係止爪22aに上下方向にわたって係止されており、インナ表皮材63の車内側の他端部がベース内壁部23の木目込み溝23aに木目込まれている。
具体的には、アウタ表皮材62の他端部には、係止爪22aに係止させるための係止孔が上下方向にわたって形成されており、インナ表皮材63の他端部には、木目込み溝23aに木目込むための樹脂製のトリムコードが縫着されている。
【0040】
上記構成において、
図8に示すようにエアバッグ10が膨出展開したときには、表皮材60は、表皮開裂部61を分岐点としてアウタ表皮材62とインナ表皮材63とに分かれて展開される。
表皮開裂部61は、車体幅方向においてエアバッグ10に重なる位置に配置されている。
【0041】
力布70は、エアバッグ10の膨出展開方向を車体前方側にガイドする布部材からなる。
力布70は、
図7に示すように、表皮材60の表皮開裂部61に一端部71が取り付けられ、一端部71から連続してパッド部材50を覆うように延びて、ベース格納部24に設けられた力布係止部27に他端部72が係止されている。
【0042】
具体的には、力布70は、インナ表皮材63側の表皮開裂部61に縫着された一端部71から連続してインナパッド部材50bの前面を沿うように車外側に延びて、パッド開口部51に対向する部分まで到達している。
そして、力布70は、パッド開口部51を通過してインナパッド部材50bの車外側面及び背面を沿うように連続して延びて、ベース格納部24の内側壁部24cに設けられた力布挿通孔29まで到達している。
【0043】
そして、力布70は、力布挿通孔29を通過して力布係止部27まで連続して延びて、力布係止部27に係止される。
このとき、力布70の他端部72には、力布係止部27に係止するための樹脂製のトリムコードが縫着されている。
【0044】
上記構成において、
図8に示すようにエアバッグ10が膨出展開したときには、力布70は、エアバッグ10の膨出方向を表皮材60の表皮開裂部61側にガイドする。
また、力布70の一端部71側は、インナパッド部材50b及びインナ表皮材63と共に車体前後方向の前方側に展開され、また車体幅方向の車内側に展開されることになる。
【0045】
また上記構成において、
図8に示すように、エアバッグ10及びインフレータ11を車体後方側から保持するリテーナ部材30は、その車体後方側にある車体部材38によって支持されている。
詳しく言うと、リテーナ部材30において後壁部30aの張り出し部37と、係合爪36の折り曲げ部36cとが、車体前後方向において車体部材38の一部を挟持している。
そしてリテーナ部材30の係合爪36が、車体幅方向において車体部材38の一部によって挟持されている。
そのため、エアバッグ10が膨出展開するときに、ベース格納部24周辺の変形を抑制することができ、エアバッグ10の膨出展開方向を安定させることができる。
【0046】
<その他の実施形態>
上記実施形態において、
図2に示すように、係合爪36は、リテーナ部材30の上端部分に設けられているが、これに限定されることなく、リテーナ部材30の下端部分に設けられていても良いし、リテーナ部材30の上下方向の中央部分よりもやや上端側又はやや下端側に設けられていても良い。
なお、係合爪36がリテーナ部材30の下端部分に設けられた場合には、リテーナ部材30の上端部分が上方に延出し、その上方延出部分が、車体後方側の不図示の車体部材にボルト締結されていると良い。
【0047】
上記実施形態において、係合爪36と係合穴38aとは、
図5、
図6に示すように、フック状の係合構造からなるが、これに限定されることなく適宜変更可能であって、スナップフィットによって係合しても良いし、鉤状に係合しても勿論良い。
また、係合穴38aは、貫通穴として形成されているが、これに限定されることなく、窪んだ凹部として形成されていても良い。
さらに、車体部材38は、リテーナ部材30の係合爪36に係合可能な係合穴38を備えていれば、特に形状は限定されることなく任意の形状であって良い。
【0048】
上記実施形態において、
図6に示すように、リテーナ部材30は、後壁部30aと、係合爪36とで車体部材38の一部を当接させて挟持しているが、これに限定されることなく、少なくとも後壁部30aと係合爪36とで車体部材38の一部を挟むように配置されていれば良い。
すなわち、リテーナ部材30と車体部材38とを係合させたときに、後壁部30aと車体部材38との間に多少間隔が空いても良いし、係合爪36と車体部材38との間に多少間隔を空けて配置しても良い。
【0049】
上記実施形態において、
図6に示すように、リテーナ部材30は、後壁部30aのうち、比較的剛性の高まった張り出し部37と、係合爪36とで車体部材38の一部を挟持しているが、これに限定されることなく、後壁部30aの所定部分と係合爪36とで車体部材38の一部を挟持していれば良い。
【0050】
上記実施形態において、
図6に示すように、リテーナ部材30は、後壁部30aのうち、比較的剛性の高まった張り出し部37と、係合爪36とで車体部材38の一部を挟持しているが、これに限定されることなく、後壁部30aの所定部分と係合爪36とで車体部材38の一部を挟持していれば良い。
【0051】
上記実施形態において、力布係止部27は、
図7に示すように、ベース格納部24の内側壁部24cに形成されているが、これに限定されることなく、ベース格納部24において外側壁部24bや後壁部24aに形成されていても良い。
なお望ましくは、力布係止部27は、ベース格納部24においてエアバッグ10及びインフレータ11よりも車体幅方向の車内側に形成されている方が良い。
このようにすれば、力布70によって、エアバッグ10を車体前方側に一層安定して膨出展開できるためである。
理由として、エアバッグ10を格納するベース格納部24の車体幅方向において、外側壁部24b側は、比較的剛性の高い車体ドア2aに支持されている一方で、内側壁部24c側は、比較的弾性の高い後部座席1に支持されている。すると、エアバッグ10の膨出展開方向が、車体幅方向において弾性の高い後部座席1側に引き寄せられる傾向となる。
そこで、内側壁部24c側に力布係止部27を設けて、内側壁部24c側を力布70によって優先的にガイドすれば、エアバッグ10の膨出展開方向が安定するからである。
【0052】
上記実施形態において、インフレータ11の組み付け軸部13は、
図4に示すように、ベース格納部24の内側壁部24cに組み付けられているが、これに限定されることなく、ベース格納部24において外側壁部24bや後壁部24aに組み付けられていても良い。
なお望ましくは、組み付け軸部13は、車体幅方向においてベース格納部24の内側壁部24c側に組み付けられている方が良い。
このようにすれば、ベース格納部24の内側壁部24c側の支持剛性が向上するため、上記で説明したように、エアバッグ10の膨出展開方向が安定するからである。
【0053】
上記実施形態では、具体例として自動車の後部座席に用いられるサイドエアバッグ装置Sについて説明したが、これに限定されることなく、自動車の前部座席、電車、バス等の車両用シート、飛行機、船等の乗物用シート等に利用されるものであっても良い。
【0054】
本実施形態では、主として本発明に係るサイドエアバッグ装置Sに関して説明した。
ただし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
特に、サイドエアバッグ装置Sの構成要素となるリテーナ部材30、係合爪36の配置や構成について、上記の実施形態にて説明したものは、あくまで一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。