(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ブランクデータは、前記判定部により使用可能であると判定された反応容器に入射する入射光の強度として扱われるデータであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の自動分析装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
【0011】
図1は、実施形態に係る自動分析装置の構成を示したブロック図である。この自動分析
装置100は、ブランク測定によるブランクデータの生成や、各検査項目の標準試料や被
検試料と各検査項目の分析に用いる試薬との混合液を測定する標準測定や被検測定による
標準データや被検データの生成を行う分析部24を備えている。また、分析部24の各種
ユニットを駆動する駆動部26と、駆動部26を制御する分析制御部27とを備えている
。
【0012】
また、自動分析装置100は、分析部24で生成されたブランクデータに基づいて所定
のユニットが使用可能であるか否かを判定する判定部28を備えている。また、分析部2
4で生成された標準データや被検データを処理して検量データや分析データを生成するデ
ータ処理部30を備えている。また、データ処理部30で生成された検量データや分析デ
ータを印刷出力や表示出力する出力部40を備えている。
【0013】
更に、自動分析装置100は、各検査項目の分析パラメータとして試料の分注量、試薬
の分注量及び波長等を設定するための入力や、被検試料毎に検査に必要な各検査項目を設
定するための入力等を行う操作部50を備えている。また、分析制御部27、判定部28
、データ処理部30及び出力部40を統括して制御するシステム制御部60を備えている
。
【0014】
図2は、分析部24の構成を示した斜視図である。
この分析部24は、標準試料や、血清等の被検試料を収容する試料容器17と、この試
料容器17を保持するサンプルディスク5とを備えている。また、標準試料や被検試料の
各試料に含まれる検査項目の成分と反応する試薬である例えば1試薬系及び2試薬系の第
1試薬を収容する試薬容器6と、この試薬容器6を回動可能に保持する試薬ラック1aと
、試薬容器6内の第1試薬を保冷する試薬庫1とを備えている。
【0015】
また、2試薬系の第1試薬と対をなす第2試薬を収容する試薬容器7と、この試薬容器
7を回動可能に保持する試薬ラック2aと、試薬容器7内の第2試薬を保冷する試薬庫2
とを備えている。また、複数の反応容器3を所定の間隔をあけて円弧状に保持するホルダ
3aを備えている。また、複数のホルダ3aを着脱可能に円周状に保持する反応ディスク
4を備えている。なお、各反応容器3は、
図3に示すように、上下方向へ着脱可能にホル
ダ3aに保持されている。
【0016】
また、サンプルディスク5に保持された試料容器17内の試料を吸引して反応容器3内
へ吐出する分注を行うサンプル分注プローブ16を備えている。また、サンプル分注プロ
ーブ16を回動及び上下移動可能に保持するサンプル分注アーム10と、このサンプル分
注プローブ16を同一試料の分注終了毎に洗浄する洗浄槽16aとを備えている。
【0017】
また、試薬ラック1aに保持された試薬容器6内の第1試薬を吸引して試料が吐出され
た反応容器3内に吐出する分注を行う第1試薬分注プローブ14と、この第1試薬分注プ
ローブ14を回動及び上下移動可能に保持する第1試薬分注アーム8とを備えている。ま
た、第1試薬分注プローブ14を第1試薬の分注終了毎に洗浄する洗浄槽14aを備えて
いる。
【0018】
また、反応容器3に分注された試料と第1試薬の混合液を撹拌する第1撹拌子18と、
第1撹拌子18を回動及び上下移動可能に保持する第1撹拌アーム20と、混合液の撹拌
終了毎に第1撹拌子18を洗浄する洗浄槽18aとを備えている。また、試薬ラック2a
に保持された試薬容器7内の第2試薬を吸引して第1試薬が分注された反応容器3内に吐
出する分注を行う第2試薬分注プローブ15と、この第2試薬分注プローブ15を回動及
び上下移動可能に保持する第2試薬分注アーム9とを備えている。また、第2試薬分注プ
ローブ15を第2試薬の分注終了毎に洗浄する洗浄槽15aを備えている。
【0019】
また、反応容器3に分注された試料、第1試薬及び第2試薬の混合液を撹拌する第2撹
拌子19と、第2撹拌子19を回動及び上下移動可能に保持する第2撹拌アーム21と、
混合液の撹拌終了毎に第2撹拌子19を洗浄する洗浄槽19aとを備えている。また、混
合液を収容する反応容器3に光を照射して測定を行う測定部13を備えている。また、測
定部13で混合液の測定を終了した反応容器3内の洗浄を行う洗浄部12を備えている。
そして、洗浄部12は、洗浄を行った反応容器3に純水等のブランク液を吐出する。
【0020】
測定部13は、ブランク液が吐出された反応容器3を透過した光を検出するブランク測
定により、ブランクデータを生成する。また、標準試料及び試薬が分注された反応容器3
内の混合液を透過した光を検出する標準測定により、標準データを生成する。また、被検
試料及び試薬が分注された反応容器3内の混合液を透過した光を検出する被検測定により
、被検データを生成する。
【0021】
駆動部26は、分析部24の各種ユニットを駆動する機構を有する。そして、サンプル
ディスク5、試薬ラック1a及び試薬ラック2aを夫々回動駆動して、試料容器17、試
薬容器6及び試薬容器7を移動する。また、反応ディスク4を回転駆動して反応容器3を
移動する。また、サンプル分注アーム10、第1試薬分注アーム8、第2試薬分注アーム
9、第1撹拌アーム20及び第2撹拌アーム21を夫々上下及び回動駆動してサンプル分
注プローブ16、第1試薬分注プローブ14、第2試薬分注プローブ15、第1撹拌子1
8及び第2撹拌子19を移動する。
【0022】
分析制御部27は、駆動部26を制御して分析部24の各種ユニットを作動させる。ま
た、分析部24の洗浄部12で洗浄が行われた反応容器3に、検査を行うために操作部5
0から被検試料毎に入力された検査項目を順次割り当てる。次いで、検査項目を割り当て
た反応容器3に、その検査項目の分析パラメータとして設定される試料の分注量と試薬の
分注量を合計した合計量のブランク液を吐出させる。ブランク液を吐出させた反応容器3
のブランク測定によりブランクデータを生成させる。そして、生成させたブランクデータ
に基づいて、検査項目を割り当てた反応容器3への当該検査項目用の試料及び試薬の分注
動作を制御する。
【0023】
図1に示した判定部28は、分析部24の測定部13で生成されたブランクデータに基
づいて、ブランク測定が行われた反応容器3が、分析制御部27により割り当てられた検
査項目用として使用可能であるか否かを判定する。ここでは、ブランク測定が行われる反
応容器3が回転移動して所定の位置を通過するタイミングで複数回の収集により生成され
る複数のブランクデータのうち、例えば最大のデータから最小のデータを差し引いた差の
ブランクデータや、最大のデータと最小のデータを除いた後のデータを平均した平均のブ
ランクデータに基づいて判定する。
【0024】
そして、差のブランクデータ及び平均のブランクデータがそれぞれ予め設定された許容
範囲内である場合、ブランク測定が行われた反応容器3が検査項目用として使用可能であ
ると判定する。また、差のブランクデータ又は平均のブランクデータが予め設定された許
容範囲から外れている場合、ブランク測定が行われた反応容器3が検査項目用として使用
不可能であると判定する。
【0025】
ここで、分析制御部27では、判定部28により使用可能であると判定された反応容器
3に割り当てた検査項目用の試料及び試薬を分注させる。また、判定部28により使用不
可能であると判定された反応容器3への割り当てた検査項目用の試料及び試薬の分注を停
止させる。また、判定部28により使用不可能であると判定された反応容器3の次に洗浄
される反応容器3に、取りやめた検査項目を割り当てる。
【0026】
データ処理部30は、分析部24の測定部13で生成された標準データや被検データを
処理して各検査項目の検量データや分析データを生成する演算部31と、演算部31で生
成された標準データや分析データを保存するデータ記憶部32とを備えている。
【0027】
演算部31は、測定部13で生成された標準データ及びこの標準データの標準試料に対
して予め設定された標準値から、標準値と標準データの関係を表す検量データを検査項目
毎に生成する。そして、生成した検量データを出力部40に出力すると共にデータ記憶部
32に保存する。
【0028】
また、測定部13で生成された被検データに対応する検査項目の検量データをデータ記
憶部32から読み出し、その検量データ及び当該被検データから、濃度値や活性値で表さ
れる分析データを生成する。そして、生成した分析データを出力部40に出力すると共に
データ記憶部32に保存する。
【0029】
データ記憶部32は、ハードディスク等のメモリデバイスを備え、演算部31で生成さ
れた検量データを検査項目毎に保存する。また、演算部31で生成された各検査項目の分
析データを被検試料毎に保存する。
【0030】
出力部40は、データ処理部30の演算部31で生成された検量データや分析データを
印刷出力する印刷部41及び表示出力する表示部42を備えている。そして、印刷部41
は、プリンタなどを備え、検量データや分析データを予め設定されたフォーマットに従っ
て、プリンタ用紙などに印刷する。
【0031】
表示部42はCRTや液晶パネルなどのモニタを備え、検量データや分析データを表示
する。また、各検査項目の分析パラメータである反応容器3に分注させる試料の分注量、
第1試薬の分注量又は第1及び第2試薬の分注量等を設定するための分析パラメータ設定
画面、及びこの分析パラメータ設定画面で設定された検査項目を被検試料毎に設定するた
めの検査項目設定画面等を表示する。
【0032】
操作部50は、キーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネルなどの入力デバイスを
備えている。そして、各検査項目の分析パラメータとして試料の分注量及び第1試薬の分
注量又は第1及び第2試薬の分注量等を設定するための入力、検査が行われる各被検試料
の情報この情報毎に検査対象となる検査項目を設定するための入力等を行う。
【0033】
システム制御部60は、CPU及び記憶回路を備え、操作部50からの操作により入力
された各検査項目の分析パラメータ、検査項目等の入力情報を記憶回路に保存する。そし
て、保存した入力情報に基づいて、分析制御部27、判定部28、データ処理部30及び
出力部40を統括してシステム全体を制御する。
【0034】
次に、
図2及び
図4を参照して、分析部24における測定部13の構成について説明す
る。
図4は、測定部13の構成の一例を示した図である。この測定部13は、光を発する光
源131と、光源131からの光を回折する回折格子132と、回折格子132で回折さ
れた各波長の光を検出する検出器133とを備えている。そして、光源131には、近紫
外から近赤外領域に亘って高い出力安定性が得られるハロゲンランプなどが用いられる。
光源131から照射された光は、回転移動している測定位置Mの反応容器3を照射する。
光源131からの照射により反応容器3に入射した光は、反応容器3内において底部近傍
を通る光路を形成し、反応容器3を透過した光は回折格子132で回折される。
【0035】
検出器133は、回折格子132で回折された例えば340〜800nmの近紫外から
近赤外の領域の複数の波長の光を検出して電気信号に変換するフォトダイオードアレイと
、その電気信号を増幅するアンプと、アンプで増幅された電気信号をデジタル信号に変換
するA/D変換回路とを備えている。そして、検査項目毎にこの検査項目の分析パラメー
タとして設定された波長の光を検出する。
【0036】
そして、測定部13は、回転移動している測定位置Mの反応容器3に光を照射し、ブラ
ンク液が吐出された反応容器3を透過した光を検出するブランク測定により、ブランクデ
ータを生成する。このブランクデータは、判定部28により使用可能であると判定された
反応容器3に入射する入射光の強度として扱われる。
【0037】
また、測定部13は、ブランクデータに基づいて使用可能であると判定された後、回転
移動して測定位置Mを通過する反応容器3に光を照射する。そして、標準試料及び試薬が
分注された反応容器3を透過した光を検出する標準測定により、ブランクデータに基づい
て吸光度で表わされる標準データを生成する。
【0038】
また、測定部13は、判定部28でブランクデータに基づいて使用可能であると判定さ
れた後、回転移動して測定位置Mを通過する反応容器3に光を照射する。そして、被検試
料及び試薬が分注された反応容器3を透過した光を検出する被検測定により、ブランクデ
ータに基づいて吸光度で表わされる被検データを生成する。
【0039】
このように、照射した光が反応容器3内において底部近傍を通り、反応容器3を透過し
た光を検出可能な測定部13を設けることにより、反応容器3内の微量の混合液を測定す
ることができる。
【0040】
なお、光源131の長期間の使用に応じて光の強度が低下し、反応容器3に入射する光
の強度も変化する。このため、反応容器3の影響を受けない互いに隣り合う反応容器3間
を透過する光を例えば検査開始毎に検出し、その光の強度が所定のレベルとなる補正係数
を求める。そして、求めた補正係数で補正したブランクデータを判定部28での判定に用
いるようにする。
【0041】
次に、
図2乃至
図5を参照して、分析部24における洗浄部12の構成について説明す
る。
図5は、洗浄部12の構成の一例を示した図である。この洗浄部12は、反応容器3を
洗浄するための洗浄液を供給する洗浄液供給ポンプ70と、反応容器3毎にブランク測定
を行うためのブランク液を供給するブランク液供給ポンプ75とを備えている。また、洗
浄液供給ポンプ70から供給された洗浄液やブランク液の反応容器3内への吐出や、反応
容器3内の混合液、洗浄液及びブランク液の各液体の吸引を行う洗浄ノズル80を備えて
いる。
【0042】
また、洗浄部12は、反応容器3から混合液、洗浄液及びブランク液の各液体を洗浄ノ
ズル80に吸引させるための排液ポンプ90を備えている。また、反応容器3の洗浄に用
いる例えばアルカリ性の第1の洗剤を収容する第1の洗剤容器95及び酸性の第2の洗剤
を収容する第2の洗剤容器96を備えている。
【0043】
洗浄液供給ポンプ70は、洗浄ノズル80に洗浄液を供給する第1乃至第3の供給ポン
プ71乃至73により構成される。そして、第1の供給ポンプ71は、純水装置110で
精製された純水を吸引し、吸引した純水を洗浄水として洗浄ノズル80に供給する。また
、第2の供給ポンプ72は、純水装置110及び第1の洗剤容器95から純水及び第1の
洗剤を吸引し、吸引した第1の洗剤を純水で希釈した希釈液を第1の洗浄液として洗浄ノ
ズル80に供給する。また、第3の供給ポンプ73は、純水装置110及び第2の洗剤容
器96から純水及び第2の洗剤を吸引し、吸引した第2の洗剤を純水で希釈した希釈液を
第2の洗浄液として洗浄ノズル80に供給する。
【0044】
ブランク液供給ポンプ75は供給量を可変できる定量ポンプであり、純水装置110か
ら純水を吸引してブランク液とする。そして、反応容器3毎にこの反応容器3に割り当て
られる検査項目用に設定された試料の分注量と試薬の分注量との合計による合計量のブラ
ンク液を洗浄ノズル80に供給する。
【0045】
洗浄ノズル80は、上下移動可能に配置された第1乃至第8のノズル81乃至88によ
り構成される。そして、排液ポンプ90の排液動作により、反応容器3内の混合液、洗浄
水、第1の洗浄液、第2の洗浄液及びブランク液の各液体を吸引する。また、洗浄液供給
ポンプ70やブランク液供給ポンプ75の供給動作により、反応容器3内に洗浄水、第1
の洗浄液、第2の洗浄液及びブランク液の各液体を吐出する。
【0046】
第1のノズル81は、測定部13での測定を終えて洗浄位置W1で停止する反応容器3
内の混合液を吸引した後、第1の供給ポンプ71から供給される洗浄水を吐出して洗浄を
行う。また、第2のノズル82は、第1のノズル81により洗浄水が吐出された後に洗浄
位置W2で停止する反応容器3内の洗浄水を吸引した後、第2の供給ポンプ72から供給
される第1の洗浄液を吐出して洗浄を行う。また、第3のノズル83は、第2のノズル8
2により第1の洗浄液が吐出された後に洗浄位置W3で停止する反応容器3内の第1の洗
浄液を吸引した後、第3の供給ポンプ73から供給される第2の洗浄液を吐出して洗浄を
行う。
【0047】
第4のノズル84は、第3のノズル83により第2の洗浄液が吐出された後に洗浄位置
W4で停止する反応容器3内の第2の洗浄液を吸引した後、第1の供給ポンプ71から供
給される洗浄水を吐出して洗浄を行う。また、第5のノズル85は、第4のノズル84に
より洗浄水が吐出された後に洗浄位置W5で停止する反応容器3内の洗浄水を吸引した後
、第1の供給ポンプ71から供給される洗浄水を吐出して洗浄を行う。
【0048】
第6のノズル86は、第5のノズル85により洗浄水が吐出された後にブランク位置B
で停止する反応容器3内の洗浄水を吸引して洗浄を行う。この吸引により、ブランク位置
Bの反応容器3は洗浄が終了して空になる。そして、洗浄を行ったブランク位置Bの反応
容器3に割り当てられる検査項目用に設定された試料及び試薬の分注量から算出された合
計量のブランク液を吐出する。
【0049】
第7のノズル87は、第6のノズル86によりブランク液が吐出された後に洗浄位置W
7で停止するブランク測定が行われた反応容器3内のブランク液を吸引する。また、第8
のノズル88は、第7のノズル87によりブランク液が吸引された後に洗浄位置W8で停
止する反応容器3内に残留するブランク液を吸引する。この吸引により、洗浄位置W8の
反応容器3は空になる。
【0050】
なお、ブランク測定は、ブランク位置Bでブランク液が吐出された反応容器3が洗浄位
置W7まで移動する間の測定位置Mを通過するタイミングで行われる。
【0051】
排液ポンプ90は、第1及び第2の排液ポンプ91,92により構成される。そして、
第1の排液ポンプ91の排液動作により、洗浄ノズル80の第1のノズル81が混合液を
吸引する。また、第2のノズル82が洗浄水を吸引し、第3のノズル83が第1の洗浄液
を吸引する。また、第4のノズル84が第2の洗浄液を吸引する。また、第5及び第6の
ノズルに85,86が洗浄水を吸引する。また、第7のノズル87がブランク液を吸引す
る。また、第2の排液ポンプ92の排液動作により、第8のノズル88がブランク液を吸
引する。
【0052】
以下、
図1乃至
図7を参照して、自動分析装置100の動作の一例を説明する。
【0053】
図6は、自動分析装置100の動作を示したフローチャートである。
システム制御部60の記憶回路には、操作部50から入力された各検査項目の分析パラ
メータ、並びに検査が行われる被検試料の情報この情報毎に設定された検査対象となる検
査項目A1及びこの検査項目A1とは異なる検査項目A2等の入力情報が保存されている
。そして、操作部50から検査開始の入力が行われると、自動分析装置100は動作を開
始する(ステップS1)。
【0054】
以下、先ず検査項目A1が割り当てられ、検査項目A1が割り当てられた後に検査項目
A2が割り当てられる反応容器3に関連する動作について説明する。
【0055】
分析制御部27は、操作部50から入力された検査項目A1,A2等の分析パラメータ
、被検試料の情報及び検査対象の検査項目A1,A2等の情報に基づいて分析部24の各
ユニットを作動させる。洗浄部12の第1乃至第5のノズル81乃至85は洗浄位置W1
乃至W5で停止する反応容器3を洗浄し、第6のノズル86は洗浄位置W5で停止した後
にブランク位置Bで停止する反応容器3を洗浄する(ステップS2)。
【0056】
分析制御部27は、検査対象の検査項目がある場合(ステップS3のはい)、ブランク
位置Bで停止した反応容器3に検査対象として例えば検査項目A1を割り当てる(ステッ
プS4)。また、検査対象の検査項目がない場合(ステップS3のいいえ)、ステップS
21へ移行する。
【0057】
ステップS3の「はい」の後、第6のノズル86は、洗浄を行ったブランク位置Bの反
応容器3に割り当てられる検査項目A1用に設定された試料の分注量と試薬の分注量との
合計による第1の合計量のブランク液を吐出する(ステップS5)。
【0058】
測定部13は、ブランク位置Bで停止した後、回転移動して測定位置Mを通過する反応
容器3に光を照射する。そして、測定位置Mの第1の合計量のブランク液が吐出された反
応容器3を透過する光を検出するブランク測定により、第1のブランクデータを生成する
(ステップS6)。
【0059】
判定部28は、測定部13で生成された第1のブランクデータに基づいて、ブランク測
定が行われた反応容器3が、検査項目A1用として使用可能であるか否かを判定する。そ
して、第1のブランクデータが予め設定された許容範囲内である場合(ステップS7のは
い)、ブランク測定が行われた反応容器3が検査項目A1用として使用可能であると判定
する。また、ブランクデータが予め設定された許容範囲から外れている場合(ステップS
7のいいえ)、ブランク測定が行われた反応容器3が検査項目A1用として使用不可能で
あると判定する。
【0060】
このように、各反応容器3への入射光の強度を求めるためのブランク測定の際に、検査
項目A1に設定された試料及び試薬の分注量の合計による第1の合計量のブランク液を、
検査項目A1を割り当てた反応容器3に吐出させることにより、ブランク液が吐出された
反応容器3が検査項目A1用として使用可能であるか否かを判定することができる。
【0061】
ここで、
図7(a)に示すように、測定部13から照射した光の光路が反応容器3内に
おいてブランク液の領域に含まれている場合に許容範囲に入る。このとき、測定部13に
対する反応容器3の位置が正常な高さであるため、その反応容器3を使用可能であると判
定する。
【0062】
また、
図7(b)に示すように、測定部13から照射した光の光路に反応容器3の底部
の一部が含まれている場合に許容範囲から外れる。このとき、測定部13に対する反応容
器3の位置が高いため、その反応容器3を使用不可能であると判定する。また、
図7(c
)に示すように、測定部13から照射した光の光路に反応容器3内のブランク液の液面が
含まれている場合に許容範囲から外れる。このとき、測定部13に対する反応容器3の位
置が低いため、その反応容器3を使用不可能であると判定する。
【0063】
このように、測定部13の測定精度を低下させるホルダ3aに取り付けたときの位置が
高い反応容器3の使用をやめることができる。また、混合液の量が微量である場合に測定
部13の測定精度を低下させるホルダ3aに装着したときの位置が低い反応容器3の使用
をやめることができる。
【0064】
ステップS7の「はい」の後、分析制御部27の第1のブランクデータに基づく検査項
目A1が割り当てられた反応容器3への検査項目A1用の試料及び試薬の分注動作の制御
により、サンプル分注プローブ16は、使用可能であると判定された反応容器3に検査項
目A1用の試料を分注し、第1及び第2試薬分注プローブ14,15は試料が分注された
反応容器3に検査項目A1用の第1及び第2試薬を分注する(ステップS8)。
【0065】
測定部13は、被検試料及び試薬が分注された後、回転移動して測定位置Mを通過する
反応容器3に光を照射する。そして、被検試料及び試薬の混合液を収容する反応容器3を
透過した光を検出する被検測定により、第1のブランクデータに基づいて吸光度で表わさ
れる被検データを生成する(ステップS9)。
【0066】
データ処理部30の演算部31は、測定部13で生成された被検データに基づいて、検
査項目A1の分析データを生成する。出力部40は検査項目A1の分析データを出力する
。検査項目A1用として使用された反応容器3は洗浄位置W1へ移動する。その後、ステ
ップS2に戻る。
【0067】
ステップS7の「いいえ」の後、分析制御部27は、使用不可能であると判定された反
応容器3を識別する容器IDに関連付けて第1の合計量及びこの第1の合計量以下での使
用が不適であることを示すエラーコードを内部のメモリに保存する。そして、使用不可能
であると判定された反応容器3への検査項目A1の割り当てを取りやめる(ステップS1
0)。その後、ブランク位置Bで停止する反応容器3に、取りやめた検査項目A1を割り
当てる。
【0068】
サンプル分注プローブ16は、使用不可能であると判定された反応容器3への検査項目
A1用の試料の分注を停止し、第1及び第2試薬分注プローブ14,15は使用不可能で
あると判定された反応容器3への検査項目A1用の第1及び第2試薬の分注を停止する(
ステップS11)。
【0069】
このように、検査項目A1用として使用不可能と判定された反応容器3への検査項目A
1用の試料及び試薬の分注を停止させることにより、反応容器3の位置ずれによる分析デ
ータの悪化を、未然に防ぐことができる。
【0070】
第1乃至第5のノズル81乃至85は洗浄位置W1乃至W5で停止した反応容器3を洗
浄し、第6のノズル86は洗浄位置W5で停止した後にブランク位置Bで停止する反応容
器3を洗浄する(ステップS12)。
【0071】
分析制御部27は、検査対象の検査項目がある場合(ステップS13のはい)、検査項
目A1用として使用不可能であると判定された後、洗浄が行われたブランク位置Bの反応
容器3に検査項目A2を割り当てる(ステップS14)。また、検査対象の検査項目がな
い場合(ステップS13のいいえ)、ステップS21へ移行する。
【0072】
ステップS14の後、分析制御部27は、ブランク位置Bで停止した反応容器3の容器
IDに関連付けて保存した第1の合計量と、割り当てた検査項目A2用に設定された試料
の分注量と試薬の分注量との合計による第2の合計量とを比較する。そして、第2の合計
量が第1の合計量よりも多い場合(ステップS15のいいえ)、ステップS16へ移行す
る。また、第2の合計量が第1の合計量以下である場合(ステップS15のはい)、ステ
ップS10へ戻る。
【0073】
このように、検査項目A1用として使用不可能であると判定された後、洗浄された反応
容器3に検査項目A2を割り当て、検査項目A2に設定された試料及び試薬の第2の合計
量が第1の合計量以下である場合、検査項目A1の場合と同様にして検査項目A2を割り
当てた反応容器3への試料及び試薬の分注を停止させることにより、反応容器3の位置ず
れによる分析データの悪化を、未然に防ぐことができる。
【0074】
ステップS15の「いいえ」の後、第6のノズル86は、ブランク位置Bの反応容器3
に第2の合計量のブランク液を吐出する(ステップS16)。
【0075】
測定部13は、ブランク位置Bで停止した後、回転移動して測定位置Mを通過する反応
容器3に光を照射する。そして、第2の合計量のブランク液が吐出された反応容器3を透
過した光を検出するブランク測定により、第2のブランクデータを生成する(ステップS
17)。
【0076】
判定部28は、測定部13で生成された第2のブランクデータに基づいて、ブランク測
定が行われた反応容器3が、割り当てられた検査項目A2用として使用可能であるか否か
を判定する。そして、第2のブランクデータが許容範囲内である場合(ステップS18の
はい)、ブランク測定が行われた反応容器3が検査項目A2用として使用可能であると判
定する。また、第2のブランクデータが許容範囲から外れている場合(ステップS18の
いいえ)、ステップS10へ戻る。
【0077】
なお、ステップS10へ戻った後のステップS12において、サンプル分注プローブ1
6は、使用不可能であると判定された反応容器3への検査項目A2用の試料の分注を停止
し、第1及び第2試薬分注プローブ14,15は使用不可能であると判定された反応容器
3への検査項目A2用の第1及び第2試薬の分注を停止する。
【0078】
このように、検査項目A1用として使用不可能であると判定された後、洗浄された反応
容器3を検査項目A2用として使用可能であるか否かを判定することができる。そして、
検査項目A2用として使用不可能であると判定された反応容器3への試料及び試薬の分注
を停止させることができる。これにより、反応容器3の位置ずれによる分析データの悪化
を、未然に防ぐことができる。
【0079】
ステップS18の「はい」の後、サンプル分注プローブ16は使用可能であると判定さ
れた反応容器3に検査項目A2用の試料を分注し、第1及び第2試薬分注プローブ14,
15は試料が分注された反応容器3に検査項目A2用の第1及び第2試薬を分注する(ス
テップS19)。
【0080】
測定部13は、試料及び試薬が分注された後、回転移動して測定位置Mを通過する反応
容器3に光を照射する。そして、被検試料及び試薬の混合液を収容する反応容器3を透過
した光を検出する被検測定により、第2のブランクデータに基づいて吸光度で表わされる
被検データを生成する(ステップS20)。
【0081】
データ処理部30の演算部31は、測定部13で生成された被検データに基づいて、検
査項目A2の分析データを生成する。出力部40は検査項目A2の分析データを出力する
。検査項目A2用として使用された反応容器3は洗浄位置W1へ移動する。その後、ステ
ップS12に戻る。
【0082】
ステップS3の「いいえ」又はステップS13の「いいえ」の後、分析制御部27は、
分析部24の各ユニットの動作を停止させる。そして、操作部50から検査終了の入力が
行われると、自動分析装置100は動作を終了する(ステップS21)。
【0083】
自動分析装置100の動作が終了した後、各反応容器3の容器IDに関連付けてエラー
コードが付加されているか否かを確認するためにエラーログ一欄を表示させる入力が操作
部50から行われると、分析制御部27のメモリに保存された容器ID及びこの容器ID
に関連する第1の合計量及びエラーフラグが表示部42に表示される。操作者が表示部4
2に表示された容器IDの反応容器3をホルダ3aから取り外して正しい位置に取り付け
直した後、表示部42に表示された容器ID及びこの容器IDに関連する第1の合計量及
びエラーフラグを消去することにより、次回の検査開始の入力に応じて、ステップS1乃
至S21を実行させることができる。
【0084】
以上述べた実施形態によれば、照射した光が反応容器3内において底部近傍を通り、反
応容器3を透過した光を検出可能な測定部13を設けることにより、反応容器3内の微量
の混合液を測定することができる。また、各反応容器3への入射光の強度を求めるための
ブランク測定の際に、検査項目A1に設定された試料及び試薬の分注量の合計による第1
の合計量のブランク液を、検査項目A1を割り当てた反応容器3に吐出させることにより
、第1の合計量のブランク液が吐出された反応容器3が検査項目A1用として使用可能で
あるか否かを判定することができる。
【0085】
また、検査項目A1用として使用不可能と判定された後、洗浄された反応容器3に検査
項目A2を割り当て、検査項目A2に設定された試料及び試薬の分注量の合計による第2
の合計量が第1の合計量よりも多い場合、第2の合計量のブランク液を、検査項目A2を
割り当てた反応容器3に吐出させることにより、第2の合計量のブランク液が吐出された
反応容器3が検査項目A2用として使用可能であるか否かを判定することができる。
【0086】
そして、使用不可能と判定された検査項目A1を割り当てた反応容器3への試料及び試
薬の分注を停止させることができる。また、第2の合計量が第1の合計量以下である場合
、検査項目A2を割り当てた反応容器3への試料及び試薬の分注を停止させることができ
る。これにより、反応容器3の位置ずれによる分析データの悪化を、未然に防ぐことがで
きる。
【0087】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したも
のであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これら新規な実施形態は、その
他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の
省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や
要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。