(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の内部電圧生成手段は、電源電圧に接続された第1の抵抗と、ドレインが前記第1の抵抗を介して電源電圧に接続され、ソースが地気電位に接続された第1のトランジスタを含み、
前記第1のスイッチは、ゲートが前記第1のトランジスタのドレインに接続され、ドレインが、前記遅延手段を構成する抵抗である第2の抵抗と容量との接続点に接続され、ソースが地気電位に接続された第2のトランジスタであり、
前記第2のスイッチは、ゲートが前記比較手段の出力に接続され、ドレインが前記第1のトランジスタのドレインおよび前記第2のトランジスタのゲートに接続され、ソースが地気電位に接続された第3のトランジスタである
ことを特徴とする請求項2に記載のパワーオンリセット回路。
前記第1の内部電圧生成手段は、電源電圧を複数の分割電圧に分割する複数の第3の抵抗を含み、該分割電圧の1つを前記第1の基準電圧として前記比較手段の入力の1つとして接続し、
前記第2の内部電圧生成手段は、前記第1のトランジスタがオフ状態のときは前記第1の抵抗を介した電源電圧を、前記第1のトランジスタがオン状態のときは前記第1の抵抗と前記第1のトランジスタのオン抵抗により分割した電源電圧を、前記第2の基準電圧として前記比較手段の入力の他の1つとして接続し、
前記第1のトランジスタのゲートは、前記第1の内部電圧生成手段が分割した前記第1の基準電圧とは異なる分割電圧を入力し、
電源投入時から所定時間までは、前記電源電圧の上昇に追随して、前記第1の基準電圧は前記第2の基準電圧より低い値の電圧で立ち上がり、該所定時間を超えると前記第1の基準電圧が前記第2の基準電圧より高い値の電圧で立ち上がる
ことを特徴とする請求項3に記載のパワーオンリセット回路。
【背景技術】
【0002】
コンピュータに電源を投入したときに自動的にコンピュータが正常起動するようにするためには、電源が投入されたときに確実にコンピュータのハードウェアの内部回路を初期化しておく必要がある。この初期化動作では、プログラムのカウンタを0にリセットする、タイマを所定の状態にリセットする、内部で持っているコンピュータの状態、命令の実行結果状態などの状態を所定の状態にリセットする等の動作が行われる。
【0003】
このリセットが実行されるには、電源が安定して供給されている状態で、リセット信号をL(ロウ)レベルにする必要がある。そして、この状態は、電源が規定電圧に達してから所定のタイミングで遅れて立ち上がるリセット信号をコンピュータのリセット入力に接続するパワーオンリセット回路により実現される。
【0004】
関連技術のパワーオンリセット回路の例が特許文献1や特許文献2に開示されている。
【0005】
特許文献1が開示するパワーオンリセット回路は、電源電圧が急峻に上昇した場合でも、緩やかに上昇した場合でも確実にリセットパルスを形成することができる回路である。
【0006】
特許文献2が開示するパワーオンリセット回路は、電源電圧が変動しても許容範囲内であれば不要なパワーオンリセット信号を発生しないようにした回路である。
【0007】
関連技術のパワーオンリセット回路の構成例とその動作を
図5乃至
図7を参照して説明する。
【0008】
図5は関連技術のパワーオンリセット回路の構成例を示す回路図である。
【0009】
図5に示すパワーオンリセット回路は、第1のトランジスタであるNMOS31、第2のトランジスタであるNMOS32、抵抗33、インバータ34、容量35、抵抗36、容量37およびバッファ38を含む構成となっている。なお、「NMOS」は、「n−type Metal Oxide Semiconductor」の略称である。
【0010】
抵抗33はNMOS31とNMOS32に直列に接続され、インバータ34の入力は抵抗33とNMOS32間の接続ノードN11に接続されている。容量35はNMOS31とNMOS32間の接続ノードN12に接続されている。また、抵抗36は接続ノードN13でインバータ34の出力に接続され、抵抗36の他端は接続ノードN14でバッファ38と接続されている。容量37は抵抗36とバッファ38間の接続ノードN14に接続されている。
【0011】
電源電圧(VDD:Voltage Drains)が与えられる以前の状態では、2つのNMOS31、32はオフ状態である。
【0012】
図6は、
図5の構成を備えるパワーオンリセット回路の動作を説明するチャート図である。
【0013】
図6の上部チャート図は、電源投入してからの時間経過に伴う、VDD、インバータ34の閾値電圧(Vti)、接続ノードN11および接続ノードN12における電圧の変化の様子を示す。なお、Vthは、NMOS31、32をオンにするための、各トランジスタのゲートにかかる閾値電圧である。
【0014】
また、
図6の下部チャート図は、電源投入してからの時間経過に伴う、上部チャート図に対応した、接続ノードN13および接続ノードN14における電圧の変化とリセット信号OUTの様子を示す。
【0015】
図6の上部チャート図に示すように、電源投入によりVDDが与えられると、NMOS31、32のゲートにかかる電圧が徐々に上昇し、インバータ34の閾値Vtiも比例して上昇する。接続ノードN11の電圧も、VDDの上昇に伴って上昇する。接続ノードN12の電圧も、容量35によってVDDに伴い上昇する。
【0016】
電源投入の直後は、インバータ34がLレベル信号を出力する(
図6の下部チャート図のN13参照)。
【0017】
時刻T0においてNMOS31、32のゲートにかかる電圧が閾値Vthを超えて各トランジスタがオン状態になると、最初にNMOS31が容量35から充電電流を流し、接続ノードN12の電圧を降下させる。続いて、NMOS32が抵抗33及び接続ノードN11を介した電流を流す。つまり、容量35が抵抗33に流す電流を遅延させることで、接続ノードN11の電圧は、VDDが閾値Vthを越えてから少し時間が経過した後に降下する。
【0018】
時刻T1において、接続ノードN11の電圧がインバータ閾値Vtiになると、インバータ34はH(ハイ)レベル信号を出力する(
図6の下部チャート図のN13参照)。
【0019】
また、VDDが完全に立ち上がった後でリセット信号を出力させる場合、前記インバータ34の後段に遅延回路を設けることでそれを実現する。この遅延回路は直列された抵抗36と容量37のフィルタ回路により構成する。遅延回路は、接続ノードN13の信号を、抵抗36と容量37による時定数(τ=RC)による遅延変化を持たせた接続ノードN14の電圧としてバッファ38に出力する。ここで、Rは抵抗36の抵抗値、Cは容量37の容量値である。バッファ38の閾値をインバータ34の閾値Vtiと同じとすると、遅延して上昇している接続ノードN14の電圧が閾値Vtiに達する時刻T2までLレベルを遅延させたリセット信号OUTを出力する。
【0020】
VDDが立ち上がった後のLレベルのリセット信号OUTを受けて、コンピュータは初期化動作を行う。そして、Hレベルのリセット信号OUTを受けて、その解除動作を行う。
【0021】
図7は、上述した関連技術のパワーオンリセット回路の電源再投入時の動作を説明するチャート図である。
【0022】
図7の上部チャート図は、電源投入後の時間経過に伴うVDDの変化の様子を示し、電源を投入し、VDDが徐々に規定電圧に達し、安定状態になった後に一旦電源を断にして、その後再度電源投入した様子を示す。
【0023】
電源投入からVDDが安定した状態になるまでの動作は、
図6で説明した通りである。
【0024】
図7の中部チャート図は、上記のVDDの変化に追随する、インバータ34の閾値電圧(Vti)、接続ノードN13および接続ノードN14における電圧の変化の様子を示す。
【0025】
図7の中部チャート図に示すように、接続ノードN13の信号が、抵抗36と容量37による時定数による遅延変化を持たせた電圧として接続ノードN14に出力されてバッファ38に供給される。
【0026】
図7の下部チャート図は、電源投入、電源安定、電源断および再度電源投入した際の、中部チャート図に対応した、リセット信号OUTの変化の様子を示す。
【0027】
図7の下部チャート図に示すように、バッファ38では、接続ノードN14の電圧が上昇しても、その電圧が閾値Vtiに達するまではLレベルのリセット信号OUTを出力する。接続ノードN14の電圧が閾値Vtiに達した以降はHレベルのリセット信号OUTを出力する。
【0028】
上記の状態でしばらくしてから電源を切断する。
【0029】
電源断により、動作電圧の供給が断たれた各素子の動作が停止して、
図7の中部チャート図に示すように、インバータ34の出力電圧(接続ノードN13)やバッファ38の閾値Vtiが電源断に追随して落ちる。
【0030】
一方、接続ノードN14の電圧は、抵抗36と容量37による時定数(τ=RC)で、容量37の放電時間に応じた遅延で電圧が下がる。
【0031】
電源断からある時間経過の後に再度電源を投入する。
【0032】
電源の再投入によりVDDおよびバッファ38の閾値Vtiが電源投入に追随して上昇する。
【0033】
このとき、インバータ34の入力は閾値Vtiに達しておらず、接続ノードN13にはLレベルの信号が出力されている状態である。しかし、容量37が完全に放電しきっていない場合、接続ノードN14には電圧が保持されており、その保持された電圧は、容量37の放電に伴って下がって行く。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0047】
尚、実施の形態は例示であり、開示の装置は以下の実施の形態の構成には限定されない。
【0048】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態のパワーオンリセット回路の構成を示すブロック図である。
【0049】
第1の実施形態であるパワーオンリセット回路100は、第1の内部電圧生成手段1、第2の内部電圧生成手段2、比較手段3、遅延手段4、バッファ手段5および放電手段6を含む構成になっている。
【0050】
第1の内部電圧生成手段1は第1の基準電圧を生成する。
【0051】
第2の内部電圧生成手段2は、第1の基準電圧よりも低く設定された第2の基準電圧を生成する。ただし、電源投入時に、第1の基準電圧は第2の基準電圧よりも立ち上り時間が遅くなるように設定されている。
【0052】
比較手段3は、第1の基準電圧と第2の基準電圧を比較し、第1の基準電圧が第2の基準電圧より低い状態ではL(ロウ)レベル信号を出力し、第1の基準電圧が第2の基準電圧より高い状態ではH(ハイ)レベル信号を出力する。
【0053】
遅延手段4は、比較手段3が出力するHレベル信号を、抵抗と容量の時定数で決まる時間で遅延して立ち上がる遅延信号として出力する。
【0054】
バッファ手段5は、遅延手段4が出力する遅延信号が、所定の閾値に達するまではLレベルで、所定の該閾値に達するとHレベルのリセット信号を出力する。
【0055】
放電手段6は、電源投入時に前記第2の内部電圧生成手段が生成する前記第2の基準電圧を受けて前記遅延手段4を構成する容量の放電回路を形成し、比較手段3がHレベル信号を出力すると該放電回路を解除する。
【0056】
上記のように構成された第1の実施形態のパワーオンリセット回路100は、放電手段6が、電源投入時に第2の内部電圧生成手段が生成する第2の基準電圧を受けて遅延手段4を構成する容量の電荷を放電させる回路を形成する。
【0057】
つまり、電源投入時には、第2の基準電圧が第1の基準電圧よりも早く立ち上るように設定されているので、立ち上がりの過程で第2の基準電圧が第1の基準電圧よりも高い時間帯が存在する。比較手段3は、当該時間帯は第2の基準電圧が第1の基準電圧よりも高いので、Lレベル信号を出力する。また、当該時間帯に、放電手段6が第2の基準電圧を受けて遅延手段4を構成する容量の放電回路を形成する(放電制御)。
【0058】
そして、第1の基準電圧は第2の基準電圧よりも高く設定されているので、立ち上り時間が遅くなるように設定されていても、電源電圧(VDD)が完全に立ち上がる頃には第2の基準電圧を追い越した電圧となる。
【0059】
この段階では、パワーオンリセット回路としてのLレベルのリセット信号を所定時間出力し、その後にHレベルのリセット信号を出力する必要がある。
【0060】
そのため、比較手段3が出力するHレベル信号を、遅延手段4を構成する抵抗と容量の時定数で決まる時間で遅延して立ち上がる遅延信号として出力する。このとき、遅延手段4を構成する容量は電荷の充電が可能な状態になっていなくてはならない。したがって、放電手段6は、比較手段3がHレベル信号を出力すると、遅延手段4を構成する容量に対する放電回路を解除することにより、信号の遅延出力動作が可能になるように機能する(放電解除制御)。
【0061】
さらにバッファ手段5は、遅延信号を入力して、信号レベルが所定の閾値に達するまではLレベルで、所定の該閾値に達するとHレベルとなるリセット信号を形成して出力する。
【0062】
そして、電源を切断した後、遅延手段4を構成する容量の電荷が十分に放電していないような状態のときに電源を再投入したとしても、VDDの立ち上がりの過程で放電手段6により形成される放電回路で該容量の電荷を放電することができる。しかも、放電手段6は第2の基準電圧を受けて動作するので、外部からの制御信号を必要としない。
【0063】
さらに、比較手段3がHレベル信号を出力して遅延手段4が遅延信号を出力するように動作する際には、放電手段6は、遅延手段4を構成する容量に電荷の充電が可能なように、放電回路を解除する。しかも、放電手段6は比較手段3が出力するHレベル信号を受けて動作するので、この場合も外部からの制御信号を必要としない。
【0064】
以上に説明したように、本実施形態のパワーオンリセット回路は、電源を切断した後の電源再投入までの時間の長さに依存することなく、かつ外部からの制御信号を必要とせずに安定して動作することができる。
【0065】
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態のパワーオンリセット回路を説明する。
【0066】
図2は、第2の実施形態のパワーオンリセット回路の構成を示す回路図である。
【0067】
第2の実施形態のパワーオンリセット回路200は、第1の内部電圧生成回路BK1、第2の内部電圧生成回路BK2、比較回路17、遅延回路BK3、バッファ回路20、スイッチBK4およびスイッチBK5を含む構成になっている。BKはブロックの略称として使っている。
【0068】
なお、第1の内部電圧生成回路BK1は、第1の実施形態のパワーオンリセット回路100の第1の内部電圧生成手段1に相当する。同様に、第2の内部電圧生成回路BK2は第2の内部電圧生成手段2に、比較回路17は比較手段3に、遅延回路BK3は遅延手段4に、そして、バッファ回路20はバッファ手段5にそれぞれ相当する。さらに、スイッチBK4およびスイッチBK5は放電手段6に相当する。
【0069】
第1の内部電圧生成回路BK1は、抵抗11、抵抗12および抵抗13の直列接続で構成され、抵抗11が電源電圧(VDD)に接続されて、抵抗13が地気に接続されている。そして、VDDを抵抗分割して、抵抗12と抵抗13の間の接続ノードN3の電位をもって第1の基準電圧を生成する。
【0070】
第2の内部電圧生成回路BK2は、抵抗14とNMOS15で構成されている。NMOS15のドレインは抵抗14と接続ノードN1で接続され、抵抗14を介してVDDに接続されている。NMOS15のソースは地気に接続されている。また、NMOS15のゲートは、第1の内部電圧生成回路BK1が抵抗分割した第1の基準電圧とは異なる分割電圧を入力する。
【0071】
第2の内部電圧生成回路BK2は接続ノードN1の電位をもって第2の基準電圧を生成する。つまり、NMOS15がオフ状態のときは抵抗14を介したVDDが第2の基準電圧となり、NMOS15がオン状態のときは抵抗14とNMOS15のオン抵抗で分割したVDDが第2の基準電圧となる。
【0072】
上記の構成により、電源投入時において、接続ノードN1の第2の基準電圧が接続ノードN3の第1の基準電圧よりも高い状態を崩さないようにしている。
【0073】
つまり、NMOS15のゲートに供給される電圧が動作領域以下の場合にはNMOS15はオフ状態なので、第2の基準電圧はVDDの上昇に追随する。一方、第1の基準電圧はVDDの分圧であるため、電源投入時においては第2の基準電圧が第1の基準電圧よりも高い状態になっている。そして、VDDがさらに上昇して、NMOS15のゲート電圧が動作領域以上の電圧になるとNMOS15はオン状態になる。その結果、接続ノードN1の第2の基準電圧は、抵抗14とNMOS15のオン抵抗によるVDDの分圧となり、接続ノードN3の第1の基準電圧が接続ノードN1の第2の基準電圧よりも高くなる。
【0074】
比較回路17は、第1の基準電圧と第2の基準電圧を入力し、第1の基準電圧が第2の基準電圧よりも高ければHレベルの信号を出力し、逆に、第2の基準電圧が第1の基準電圧よりも高ければLレベルの信号を出力する。
【0075】
遅延回路BK3は抵抗18と容量19で構成され、比較回路17が出力するHレベルの信号に対し、抵抗18と容量19の時定数で決まる遅延時間だけ遅れたHレベルの信号を接続ノードN2に出力する。
【0076】
バッファ回路20は、接続ノードN2に出力された信号がバッファ回路20の閾値に達しない場合はLレベルの信号を出力し、接続ノードN2に出力された信号が該閾値を超えた場合にはHレベルの信号を出力する。バッファ回路20から出力される信号はリセット信号OUTとして、図示しないマイクロコンピュータ等に供給される。
【0077】
スイッチBK4およびスイッチBK5は前述したように第1の実施形態の放電手段6に相当する。
【0078】
スイッチBK4はNMOS16で構成され、スイッチBK5はNMOS21で構成されている。
【0079】
スイッチBK4は、遅延回路BK3を構成する容量19と並列に接続され、オン状態になると容量19の電荷が放電する放電回路を形成し、オフ状態では容量19に電荷の充電が可能なように該放電回路を解除する。
【0080】
NMOS16のドレインは遅延回路BK3の接続ノードN2に接続され、ソースは地気に接続されている。また、NMOS16のゲートは第2の内部電圧生成回路BK2の接続ノードN1に接続されている。NMOS16は、ゲート電圧(接続ノードN1の電圧)が所定の動作領域(閾値電圧)に達するとオン状態となる。この閾値電圧は低電圧でもNMOS16がオン状態となるように設定されている。
【0081】
つまり、電源投入時は、抵抗14を介したVDDが第2の基準電圧としてスイッチBK4に供給され、VDDの上昇に伴い第2の基準電圧がNMOS16の閾値電圧に達するとスイッチBK4をオン状態にする(放電制御)。
【0082】
スイッチBK4がオン状態になると、並列に接続されている遅延回路BK3を構成する容量19の放電回路が形成されて電荷を放電するように機能する。
【0083】
なお、NMOS15がオン状態になったとき、第2の基準電圧である抵抗14とNMOS15のオン抵抗で分割したVDDは、NMOS16がオン状態を維持できる電圧に設定されている。
【0084】
スイッチBK5は、スイッチBK4をオフ状態にさせる制御(放電解除制御)を行う。
【0085】
スイッチBK5は、比較回路17の出力を検出し、該出力がLレベルの場合はオフ状態になり、該出力がHレベルになるとオン状態となる。
【0086】
つまり、NMOS21のゲートは比較回路17の出力に接続され、NMOS21は、比較回路17がHレベル信号を出力するとオン状態になり、Lレベル信号を出力するとオフ状態になる。
【0087】
NMOS21のドレインは接続ノードN1(NMOS16のゲートと等価)に接続され、ソースは地気に接続されている。
【0088】
VDDが上昇して、接続ノードN3の第1の基準電圧が接続ノードN1の第2の基準電圧よりも高くなると、比較回路17がHレベル信号を出力してNMOS21はオン状態になる。NMOS21がオン状態になると、NMOS21のオン抵抗による地気電位であるLレベル信号がNMOS16のゲートに供給され、NMOS16はオフ状態になる。
【0089】
NMOS16がオフ状態になると、放電回路が解除されて容量19に電荷の充電が可能なように構成される。これにより、容量19は電荷を充電して抵抗18とともに遅延回路BK3として機能する。
【0090】
第2の実施形態のパワーオンリセット回路200が、電源切断後から電源再投入までの時間の長さに依存することなく、かつ外部からの制御信号を必要とせずに安定して動作する様子を
図3および
図4を参照して説明する。
【0091】
図3は、電源切断後から電源再投入までの時間が長い場合のパワーオンリセット回路200の動作を示すチャート図である。
【0092】
また、
図4は、電源切断後から電源再投入までの時間が短い場合のパワーオンリセット回路200の動作を示すチャート図である。
【0093】
図3を参照すると第1段目チャート図乃至第4段目チャート図が示されている。
【0094】
第1段目チャート図は、電源投入後の時間経過に伴う電源電圧(VDD)の変化の様子を示し、一旦電源を断にして、その後再度電源投入した様子を示す。そして、
図3は電源切断後から電源再投入までの時間が長い場合を例示する。
【0095】
第2段目チャート図は、上記のVDDの変化に追随する、接続ノードN3における第1の基準電圧および接続ノードN1における第2の基準電圧、および比較回路17の出力の変化の様子を示す。
【0096】
第3段目チャート図は、比較回路17の出力のHレベル信号を、遅延回路BK3が抵抗18と容量19の時定数で決まる遅延時間だけ遅らせて接続ノードN2に出力する様子を示す。同図にはVDDの変化の様子も合わせて示している。
【0097】
第4段目チャート図は、接続ノードN2に出力された信号がバッファ回路20の閾値に達しない場合はLレベルのリセット信号OUTが、該閾値を超えた場合にはHレベルのリセット信号OUTがバッファ回路20から出力される様子を示す。
【0098】
電源投入されてVDDの上昇とともに第1の基準電圧と第2の基準電圧も上昇する。このとき、第2の内部電圧生成回路BK2の接続ノードN1の第2の基準電圧がスイッチBK4のNMOS16のゲートにかかる。NMOS16の動作閾値電圧は低電圧に設定されているので、電源投入されてからVDDの上昇に伴い比較的早い段階でNMOS16はオン状態になる。スイッチBK4がオン状態になると、遅延回路BK3の容量19の電荷を放電させる放電回路が形成され、容量19は急速に放電する。
【0099】
VDDがさらに上昇して、第2の内部電圧生成回路BK2のNMOS15の動作閾値電圧に達するとNMOS15がオン状態になる。上述したように、NMOS15がオン状態になると、接続ノードN1の電位が接続ノードN3の電位よりも下がり、第1の基準電圧が第2の基準電圧よりも高くなる。その結果、比較回路17がHレベル信号を出力する。
【0100】
比較回路17がHレベル信号を出力すると、スイッチBK5のNMOS21がオン状態になり、その結果、スイッチBK4のNMOS16がオフ状態になる。
【0101】
スイッチBK4がオフ状態になると、容量19に電荷の充電が可能なように放電回路が解除される。
【0102】
一方、比較回路17がHレベル信号を出力すると、遅延回路BK3が抵抗18と容量19の時定数で決まる遅延時間だけ遅らせて接続ノードN2に出力する。そして、バッファ回路20の閾値に応じたLレベルのリセット信号OUTとHレベルのリセット信号OUTが出力される。
【0103】
電源投入によりVDDが上昇して安定した電圧に達してしばらく動作状態にした後に電源断とし、電源断後にある時間をおいてから再度電源を投入する。
【0104】
なお、電源断により動作電圧の供給が断たれると、各素子の動作が停止して、比較回路17やバッファ回路20の出力が電源断に追随して落ちる。
【0105】
再度の電源投入の際にも、上述した動作が繰り返される。
【0106】
つまり、再度の電源投入で第2の内部電圧生成回路BK2の接続ノードN1の第2の基準電圧がスイッチBK4のNMOS16のゲートにかかる。NMOS16の動作閾値電圧は低電圧に設定されているので、電源投入されてから比較的早い段階でNMOS16はオン状態になり、遅延回路BK3の容量19の電荷を放電させる放電回路が形成され、容量19は急速に放電する。
【0107】
その後、第1の基準電圧が第2の基準電圧よりも高くなると、比較回路17がHレベル信号を出力してスイッチBK5のNMOS21がオン状態になり、その結果、スイッチBK4のNMOS16がオフ状態になる。スイッチBK4がオフ状態になると、放電回路が解除されて容量19に電荷の充電が可能なように構成される。
【0108】
以上が、
図3を参照しての、電源切断後から電源再投入までの時間が長い場合の第2の実施形態のパワーオンリセット回路200の動作説明である。
【0109】
一方、
図4は、電源切断後から電源再投入までの時間が短い場合のパワーオンリセット回路200の動作を示すチャート図である。第1段目チャート図乃至第4段目チャート図は
図3の場合と同じである。
【0110】
図3と異なり、
図4は、電源投入によりVDDが上昇して安定した電圧に達してしばらく動作状態にした後に電源断とし、電源断後にすぐに再度電源を投入する場合の動作を示している。
【0111】
したがって、
図3の第3段目チャート図と異なり、遅延回路BK3の容量19の電荷が十分に放電していない状態で再度電源が投入されることになる。
【0112】
しかし、このような場合であっても、第2の実施形態のパワーオンリセット回路200は、
図3で説明した動作と同様に、再度の電源投入で第2の内部電圧生成回路BK2の接続ノードN1の第2の基準電圧がスイッチBK4のNMOS16のゲートにかかる。そして、NMOS16の動作閾値電圧は低電圧に設定されているので、電源投入されてから比較的早い段階でNMOS16はオン状態になり、遅延回路BK3の容量19の電荷を放電させる放電回路が形成され、容量19は急速に放電する。
【0113】
なお、第2の実施形態のパワーオンリセット回路200は、第2の内部電圧生成回路BK2のNMOS15がオン状態になることで接続ノードN1の電位が接続ノードN3の電位よりも下がるように構成した。しかし、この構成に限ることなく、立ち上り時間が第2の基準電圧よりも遅くなるように設定された第1の基準電圧が、VDDの立ち上がりの過程で、第2の基準電圧よりも高くなる構成であればどのような構成でもかまわない。
【0114】
以上に説明したように、本実施形態のパワーオンリセット回路は、遅延回路BK3の容量19の電荷を、電源投入の早い段階で放電させる放電回路を構成するスイッチBK4(NMOS16)を設けた。また、電源投入により上昇する第2の基準電圧をトリガーとして放電回路を動作させ、第1の基準電圧が第2の基準電圧より高くなったことで比較回路17がHレベル信号を出力することをトリガーとして放電回路を解除するようにした。
【0115】
したがって、本実施形態のパワーオンリセット回路は、電源を切断した後の電源再投入までの時間の長さに依存することなく、かつ外部からの制御信号を必要とせずに安定して動作することができる。