【実施例】
【0028】
以下に、以上のように構成した本実施形態による蒸着材料の具体的な実施例、および実施例におけるスプラッシュの発生回数を、比較例とともに詳しく説明する。
図2は、実施例に係る蒸着材料および比較例に係る蒸着材料を用いて蒸着を行った際に発生したスプラッシュの数の測定結果を示す図である。
【0029】
本実施形態では、0.212−0.6mmの小径粒子によるSiOと、2−4mmの大径粒子によるSiOとを準備した。さらに、準備した各粒子の所定量を所定の容器に入れ、容器を蒸着装置内にセットして、40Å/sの成膜レートまたは100Å/sの成膜レートで抵抗加熱による蒸着を行った。なお、2−4mmの大径粒子については、100Å/sの成膜レートでEB加熱による蒸着も行った。そして、それぞれの蒸着時にスプラッシュの発生回数を測定した。
【0030】
スプラッシュの発生回数は、ビデオカメラを用いて蒸着中の蒸着材料表面の様子を30コマ/sで撮影し、録画した動画のうち成膜中の60秒間の動画を1コマずつ再生して、目視計数することで測定した。
【0031】
<実施例1>
まず、Si含有量98%で粒径が60μm〜80μmの金属Si粉(Si粉末に相当)と、SiO
2含有量99%で粒径が250μm〜400μmのけい砂(SiO
2粉末に相当)とを等しいモル数で混合した粉末を原料として用い、これを造粒して造粒物を調製した上で、加熱装置を用いて造粒物を真空中で加熱することにより、造粒物からの昇華によってSiOの製造を行った。このときの加熱温度は1500℃で、炉内圧力は0.01気圧とした。
【0032】
次に、昇華させて析出基体に析出させた生成物を粉砕機で粉砕することにより、SiOの粒子を生成し、篩を用いて粒度を調整した。すなわち、目開きが0.6mmの篩をパスしたSiOの粒子を、目開きが0.212mmの篩にかけ、目開きが0.212mmの篩にオンしたSiOの粒子を収集した。
【0033】
さらに、粒度を調整されたSiOの粒子の100gを、150mm×150mm×50mmの箱型の形状のアルミナ製の容器に入れ、大気と連通している加熱装置に容器を入れて加熱装置内を昇温し、温度810℃±20℃で6時間保持することで、熱処理によるSiOの粒子の表面の酸化を行った。この酸化処理後、加熱装置を冷却し、冷却後に容器を加熱装置から取り出した。なお、温度については700℃〜1000℃で、時間については2時間〜72時間でそれぞれ実施したところ、以下に示す特性と同等の特性を有する材料が得られた(以下の各実施例において同様)。
【0034】
以上の一連の工程によって得られた酸化ケイ素の粒子は、HAADF―STEMを用いて観察したところ、
図3に示すように、内部の第1の領域11に第1の酸化ケイ素が形成され、その周囲の第2の領域12に第2の酸化ケイ素が形成されていた。そして、第2の領域12の厚さは202nmであった。この実施例1では、第1の領域11と第2の領域12との境界が見ために分かりやすい。このような粒子の場合、第1の領域11は特許請求の範囲のコアに相当し、第2の領域12は特許請求の範囲のシェルに相当する。また、EELS(電子エネルギー損失分光法)を用いた測定の結果、第2の領域12中にSi−Si結合は検出されなかった。
【0035】
さらに、得られた酸化ケイ素の粒子について、STEM−EDXを用いてケイ素原子数100に対する酸素原子数の割合を測定した。第1の領域11については、粒子表面からの深さが0.1mm乃至0.3mmの範囲で測定を行ったところ、ケイ素原子数100に対して酸素原子数が114.22の割合である第1の酸化ケイ素SiO
x(x=1.1422)で構成されていた。また、第2の領域12については、粒子表面からの深さが70nm乃至135nmの範囲で測定を行ったところ、ケイ素原子数100に対して酸素原子数が195.42の割合である第2の酸化ケイ素SiO
x(x=1.9542)で構成されていた。
【0036】
以上のようにして得られた酸化ケイ素の粒子を蒸着材料として使用して、蒸着装置において成膜レート40Å/sで抵抗加熱による真空蒸着を実施した。このとき、蒸着材料からSiOが蒸発する様子を、ビデオカメラを用いて30コマ/sで撮影し、録画した動画のうち成膜中の60秒間の部分について1コマずつ画像を目視確認することで、スプラッシュの発生回数を計数した。スプラッシュの発生回数は0.2回/sであった。
【0037】
また、上記と同様にして製造したSiOの粒子を、目開きが4mmの篩をパスし、目開きが2mmの篩にオンする粒度に調製した。さらに、調整したSiOの粒子の100gを、大気と連通している加熱装置に入れて加熱装置内を昇温し、温度810℃±20℃で6時間保持することで、熱処理によるSiOの粒子の表面の酸化を行った。
【0038】
そして、このようにして製造した蒸着材料を用いて、蒸着装置において成膜レート40Å/sで抵抗加熱による真空蒸着を実施した。このとき、蒸着材料からSiOが蒸発する様子を、ビデオカメラを用いて30コマ/sで撮影し、録画した動画のうち成膜中の60秒間の部分について1コマずつ画像を目視確認することで、スプラッシュの発生回数を計数した。スプラッシュの発生回数は0.1個/sであった。
【0039】
さらに、0.212−0.6mmの小径粒子と2−4mmの大径粒子とをそれぞれ上述と同じ条件で加熱処理することよって表面酸化を行い、これによって得られた蒸着材料を使用して、蒸着装置において成膜レート100Å/sで抵抗加熱による真空蒸着を実施した。この場合、0.212−0.6mmの小径粒子による蒸着材料を用いた場合のスプラッシュの発生回数は0.9個/sであり、2−4mmの大径粒子による蒸着材料を用いた場合のスプラッシュの発生回数は0.3個/sであった。2−4mmの大径粒子についてはEB加熱による真空蒸着も実施した。この場合のスプラッシュの発生回数は0.4個/sであった。
【0040】
<実施例2>
まず、目開きが0.212mmと0.6mmの篩、および目開きが2mmと4mmの篩を用いて分級されたCERAC社製の材料Silicon mono oxideを、アルミナ乳鉢を用いて細かく粉砕した後、目開きが0.6mmの篩をパスしたSiOの粒子を、目開きが0.212mmの篩にかけ、目開きが0.212mmの篩にオンしたSiOの粒子を収集した。
【0041】
次に、粒度を調整されたSiOの粒子の100gを、150mm×150mm×50mmの箱型の形状のアルミナ製の容器に入れ、大気と連通している加熱装置に容器を入れて加熱装置内を昇温し、温度810℃±20℃で6時間保持することで、熱処理によるSiOの粒子の表面の酸化を行った。この酸化処理後、加熱装置を冷却し、冷却後に容器を加熱装置から取り出した。
【0042】
これによって得られた酸化ケイ素の粒子は、HAADF―STEMを用いて観察したところ、内部の第1の領域11に第1の酸化ケイ素が形成され、その周囲の第2の領域12に第2の酸化ケイ素が形成されていた。ただし、
図4に示すように、第1の領域11と第2の領域12との境界は不鮮明であった。境界が不鮮明というのは、その不鮮明な部分において、第1の酸化ケイ素と第2の酸化ケイ素とが混在していることが原因であると推察される。このように、内側の第1の領域11から周囲の第2の領域12へ、SiとSiO
2との存在割合が変化している特性を有する酸化ケイ素の粒子も、本発明の範囲に含まれる。
【0043】
また、得られた酸化ケイ素の粒子について、STEM−EDXを用いてケイ素原子数100に対する酸素原子数の割合を測定した。第1の領域11については、粒子表面からの深さが0.1mm乃至0.3mmの範囲で測定を行ったところ、ケイ素原子数100に対して酸素原子数が103.00の割合である第1の酸化ケイ素SiO
x(x=1.0300)で構成されていた。また、第2の領域12については、粒子表面からの深さが11nm乃至65nmの範囲で測定を行ったところ、ケイ素原子数100に対して酸素原子数が201.20の割合である第2の酸化ケイ素SiO
x(x=2.0120)で構成されていた。さらに、EELS(電子エネルギー損失分光法)を用いた測定の結果、第2の領域12中にSi−Si結合は観察されなかった。
【0044】
以上のようにして得られた酸化ケイ素の粒子を蒸着材料として使用して、蒸着装置において成膜レート40Å/sで抵抗加熱による真空蒸着を実施した。このとき、蒸着材料からSiOが蒸発する様子を、ビデオカメラを用いて30コマ/sで撮影し、録画した動画のうち成膜中の60秒間の部分について1コマずつ画像を目視確認することで、スプラッシュの発生回数を計数した。スプラッシュの発生回数は0.7個/sであった。
【0045】
<実施例3>
まず、Si含有量98%で粒径が60μm〜80μmの金属Si粉と、SiO
2含有量99%で粒径が250μm〜400μmのけい砂とを等しいモル数で混合した粉末を原料として用い、これを造粒して造粒物を調製した上で、加熱装置を用いて造粒物を真空中で加熱することにより、造粒物からの昇華によってSiOの製造を行った。このときの加熱温度は1500℃で、炉内圧力は0.01気圧とした。
【0046】
次に、昇華させて析出基体に析出させた生成物を、粉砕せずに篩を用いて粒度を調整した。ここでは、目開きが0.6mmの篩をパスしたSiOの粒子を、目開きが0.212mmの篩にかけ、目開きが0.212mmの篩にオンしたSiOの粒子を収集した。
【0047】
さらに、粒度を調整されたSiOの粒子の100gを、150mm×150mm×50mmの箱型の形状のアルミナ製の容器に入れ、大気と連通している加熱装置に容器を入れて加熱装置内を昇温し、温度810℃±20℃で6時間保持することで、熱処理によるSiOの粒子の表面の酸化を行った。この酸化処理後、加熱装置を冷却し、冷却後に容器を加熱装置から取り出した。
【0048】
以上の一連の工程によって得られた酸化ケイ素の粒子は、HAADF―STEMを用いて観察したところ、内部の第1の領域11に第1の酸化ケイ素が形成され、その周囲の第2の領域12に第2の酸化ケイ素が形成されていた。そして、第2の領域12の厚さは205nmであった。この実施例3に係る粒子も、第1の領域11は特許請求の範囲のコアに相当し、第2の領域12は特許請求の範囲のシェルに相当する。また、EELS(電子エネルギー損失分光法)を用いた測定の結果、第2の領域12中におけるSi−Si結合の比率は2.1%であった。
【0049】
さらに、得られた酸化ケイ素の粒子について、STEM−EDXを用いてケイ素原子数100に対する酸素原子数の割合を測定した。第1の領域11については、粒子表面からの深さが0.1mm乃至0.3mmの範囲で測定を行ったところ、ケイ素原子数100に対して酸素原子数が81.42の割合である第1の酸化ケイ素SiO
x(x=0.8142)で構成されていた。また、第2の領域12については、粒子表面からの深さが70nm乃至135nmの範囲で測定を行ったところ、ケイ素原子数100に対して酸素原子数が198.86の割合である第2の酸化ケイ素SiO
x(x=1.9886)で構成されていた。
【0050】
以上のようにして得られた酸化ケイ素の粒子を蒸着材料として使用して、蒸着装置において成膜レート40Å/sで抵抗加熱による真空蒸着を実施した。このとき、蒸着材料からSiOが蒸発する様子を、ビデオカメラを用いて30コマ/sで撮影し、録画した動画のうち成膜中の60秒間の部分について1コマずつ画像を目視確認することで、スプラッシュの発生回数を計数した。スプラッシュの発生回数は6.0個/sであった。
【0051】
<比較例1>
目開きが0.212mmと0.6mmの篩、および目開きが2mmと4mmの篩を用いて分級されたCERAC社製の材料Silicon mono oxideを、アルミナ乳鉢を用いて細かく粉砕し、これを蒸着材料として使用した。この蒸着材料は、SiO
xでxの値が1.95乃至2.02の酸化ケイ素を持たず、表面からの深さ17nm乃至78nmの位置で測定したケイ素原子数100に対する酸素原子数の割合は95.77であり、内部におけるケイ素原子数100に対する酸素原子数の割合97.43とほぼ同じ値を示した。また、Si−O結合に対するSi−Si結合の比率は60.2%であった。
【0052】
この蒸着材料を使用して、蒸着装置において成膜レート40Å/sおよび100Å/sで抵抗加熱およびEB加熱による真空蒸着を実施した。このとき、実施例1と同じ方法でスプラッシュの発生回数を計数したところ、スプラッシュの発生回数は以下の通りであった。
・抵抗加熱の成膜レートが40Å/sで、目開きが0.212mmと0.6mmの条件では152.0個/s
・抵抗加熱の成膜レートが100Å/sで、目開きが0.212mmと0.6mmの条件では84.0個/s
・抵抗加熱の成膜レートが40Å/sで、目開きが2mmと4mmの条件では0.2個/s
・抵抗加熱の成膜レートが100Å/sで、目開きが2mmと4mmの条件では1.5個/s
・EB加熱の成膜レートが100Å/sで、目開きが2mmと4mmの条件では3.8個/s
【0053】
<比較例2>
目開きが0.212mmと0.6mmの篩を用いて分級されたCERAC社製の材料Silicon mono oxideを、一切の処理を行なわずそのまま蒸着材料として使用した。この蒸着材料は、保管中に酸化還元反応が進んだ結果、表面に厚さ100nmの酸化層を持ち、表層のケイ素原子数100に対する酸素原子数の割合は171.15であった。また、内部におけるケイ素原子数100に対する酸素原子数の割合は95.01であった。また、Si−O結合に対するSi−Si結合の比率は13.2%であった。
【0054】
この蒸着材料を使用して、蒸着装置において成膜レート40Å/sで抵抗加熱による真空蒸着を実施した。このとき、実施例1と同じ方法でスプラッシュの発生回数を計数したところ、スプラッシュの発生回数は172.0個/sであった。
【0055】
通常、加熱によって蒸着材料から蒸発したSiOが基材に蒸着する際に発生するスプラッシュの数は、酸化ケイ素の粒径を大きくすることで、より良好に抑制することが可能である。一方、酸化ケイ素の粒径を小さくすると、スプラッシュが発生しやすくなる傾向にある。
【0056】
ここで、粒径の大きい蒸着材料を用いて蒸着を行った場合のスプラッシュの発生回数を比較すると、比較例1の蒸着材料では、抵抗加熱の成膜レートが40Å/sの条件でスプラッシュの発生回数は0.2回である。また、実施例1の蒸着材料では、抵抗加熱の成膜レートが40Å/sの条件でスプラッシュの発生回数は0.1回であり、比較例1と比べてスプラッシュの発生回数に差は殆どない。
【0057】
一方、粒径の小さい蒸着材料を用いて蒸着を行った場合のスプラッシュの発生回数を比較すると、比較例1,2の蒸着材料では、抵抗加熱の成膜レートが40Å/sの条件でスプラッシュの発生回数が6個/sを大きく超え、150個/s以上発生する。これに対し、本実施形態の蒸着材料では、実施例1〜3に示すように、小径粒子で構成されている場合であってもスプラッシュの発生回数を6個/s以下とすることが可能である。
【0058】
このように、粒径の小さい蒸着材料の場合、実施例1〜3で示される本実施形態の蒸着材料では、比較例1,2で示される従来の蒸着材料と比較して、スプラッシュの発生回数が非常に抑制されている。このことから、本実施形態における蒸着材料は、粒子が小さい粒径から構成される場合に特にスプラッシュの抑制効果が大きいと言える。
【0059】
比較例1の蒸着材料は、内部の領域も周囲の領域も、ケイ素原子数に対する酸素原子数の割合がほぼ同じ値を示しており、領域による差がみられない。また、Si−O結合に対するSi−Si結合の比率は13.2であり、実施例1〜3に示す本実施形態の蒸着材料と比べ高い値を示している。
【0060】
比較例2の蒸着材料は、表面に層が観察されるが、表面組成はケイ素原子数100に対して酸素原子数の割合が171.15であり、実施例1〜3に示す本実施形態の蒸着材料よりも低い値を示している。また、Si−Si結合の存在比率は60.4であり、実施例1〜3に示す本実施形態の蒸着材料よりも高い値を示している。
【0061】
以上のことから、スプラッシュの発生を抑制するための構成として、第1の領域11を構成する第1の酸化ケイ素はxの値が0.81乃至1.14であり、第2の領域12を構成する第2の酸化ケイ素はxの値が1.95乃至2.02であることが好ましい。また、第2の領域における第2の酸化ケイ素は、Si−O結合に対するSi−Si結合の割合が3%以下であることが好ましい。
【0062】
なお、
図2に示す実験結果において、ケイ素原子数に対する酸素原子数の割合は、第1の領域11内における特定の深さの位置、第2の領域12内における特定の深さの位置において測定したものであって、その割合の酸化ケイ素が領域内に唯一存在することを意味するものではない。
【0063】
例えば、実施例1の場合、第2の領域12について粒子表面からの深さが70nm乃至135nmの範囲で測定を行った結果、xの値が1.9542であったことを示している。しかし、これは、第2の領域12内の全ての位置において、SiO
x(x=1.9542)の酸化ケイ素のみが存在することを示すものではない。すなわち、第2の領域12には、x=1.9542に近い値から成る酸化ケイ素も含まれ得る。他の実施例2,3についても同様である。
【0064】
つまり、xが0.81乃至1.14の何れかの値から成る第1の酸化ケイ素(異なるxの値からなるものが複数種類混在していてもよい)によって第1の領域11が構成されるともに、xが1.95乃至2.02の何れかの値から成る第2の酸化ケイ素(異なるxの値からなるものが複数種類混在していてもよい)によって第2の領域12が構成された蒸着材料は、何れも本発明の範囲に含まれる趣旨である。
【0065】
なお、顆粒形状ではなくペレット形状の蒸着材料についても、スプラッシュの発生が同様の要因であれば、本発明を適用することが可能である。すなわち、本実施形態の蒸着材料を使用してペレット形状のものを作成するか、あるいは、酸化ケイ素の粉末をペレット形状にした後、上述の酸化加熱処理によって第1の領域11と第2の領域12とを形成することで、スプラッシュの発生を抑制する効果が得られる。
【0066】
以下に、蒸着材料を用いた蒸着による光学素子の製造について、実施例4および比較例3を用いて説明する。
【0067】
<実施例4>
実施例1で製造された0.212−0.6mmの小径粒子による蒸着材料を用いて、抵抗加熱によりSiとOからなるガスを発生させて、φ40.2mmのCaF2基板(光学素子の一例)の表面に成膜レート100Å/sで成膜を行った。そして、成膜によりCaF2基板上に発生した欠陥の数を、ビデオマイクロスコープを用いた自動計数により測定した。その結果、10μm以上の大きさの欠陥個所の個数は1.6(pcs/cm
2)であった。
【0068】
<比較例3>
比較例1で使用した0.212−0.6mmの小径粒子による蒸着材料を用いて、φ40.2mmのCaF2基板表面に、抵抗加熱により成膜レート100Å/sで成膜を行った。そして、成膜によりCaF2基板上に発生した欠陥の数を、ビデオマイクロスコープを用いた自動計数により測定した。その結果、10μm以上の大きさの欠陥個所の個数は11.4(pcs/cm
2)であった。
【0069】
このように、蒸着の際に発生するスプラッシュを抑制したことで、光学素子の膜の損傷を減らすことができる。
【0070】
以下に、蒸着材料を用いた蒸着によるガスバリアフィルムの製造について、実施例5および比較例4を用いて説明する。
【0071】
<実施例5>
実施例1で製造した0.212−0.6mmの小径粒子による蒸着材料を用いて、EB加熱によりSiとOからなるガスを発生させて、成膜レート100Å/sで、高分子フィルム上に成膜を行った。そして、成膜の際に高分子フィルム上に発生した欠陥の数を、ビデオマイクロスコープを用いた自動計数により測定した。その結果、10μm以上の大きさの欠陥個所の個数は0.8(pcs/cm
2)であった。
【0072】
<比較例4>
比較例1で用いた0.212−0.6mmの小径粒子の蒸着材料を用いて、EBにより成膜レート100Å/sで、高分子フィルム上に成膜を行った。そして、成膜の際に高分子フィルム上に発生した欠陥の数を、ビデオマイクロスコープを用いた自動計数により測定した。その結果、10μm以上の大きさの欠陥個所の個数は9.4(pcs/cm
2)であった。
【0073】
このように、蒸着の際に発生するスプラッシュを抑制したことで、ガスバリアフィルムの膜の損傷を減らすことができ、ガス透過性の抑制効果が向上する。
【0074】
なお、上記実施例では、目開きが0.600mmである篩をパスし、目開きが0.212mmである篩にオンする粒径で酸化ケイ素の粒子を構成する例について説明したが、これは一例に過ぎない。すなわち、目開きが0.600mm以下である篩をパスし、目開きが0.212mm以上である篩にオンする粒径に酸化ケイ素の粒子を調製するようにしてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、粒子の組成をSTEM−EDXを用いて測定する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、XPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy:X線光電子分光分析法)、ラマン分光を用いた分析法、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry:二次イオン質量分析法)などで測定するようにしてもよい。
【0076】
その他、上記実施形態および実施例は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。