特許第6335075号(P6335075)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6335075
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/625 20060101AFI20180521BHJP
【FI】
   H01R13/625
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-181390(P2014-181390)
(22)【出願日】2014年9月5日
(65)【公開番号】特開2016-58150(P2016-58150A)
(43)【公開日】2016年4月21日
【審査請求日】2017年6月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(72)【発明者】
【氏名】長▲崎▼ 泰介
(72)【発明者】
【氏名】山田 信二
【審査官】 高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−008877(JP,U)
【文献】 特開2008−192498(JP,A)
【文献】 特開2012−043763(JP,A)
【文献】 米国特許第05397196(US,A)
【文献】 特開2004−281060(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R13/56−13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バレルと、エンドベルと、前記バレルと前記エンドベルとを結合するアセンブリナットとを具備し、
前記バレル及び前記アセンブリナットは固定手段によって固定され、
前記エンドベルはばねアーム突起着座部及びストッパ突起を有し、前記アセンブリナットは突起を有し、前記アセンブリナットの突起が、前記エンドベルのばねアームの先端とストッパ突起との間に位置して前記エンドベルの前記アセンブリナットに対する回転方向の位置決めが行われるとともに、前記エンドベルの突起着座部上に着座することにより、前記エンドベル及び前記アセンブリナットが固定されることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記固定手段は、前記バレルに形成されたキーと、前記アセンブリナットに形成された、前記バレルのキーが挿入されるキー溝と、前記バレルに取り付けられるCリングとを備え、
前記アセンブリナットのキー溝を前記バレルのキーに嵌め入れることにより、前記アセンブリナットの前記バレルに対する回転方向の位置決め及び軸方向下方への抜け止めを行うとともに、前記Cリングを前記バレルに取り付けることにより前記アセンブリナットの前記バレルに対する軸方向上方への抜け止めを行うことを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記エンドベルの外周面には、前記アセンブリナットの突起が挿入可能なスロットが形成され、
前記エンドベルの前記ばねアームは、前記スロットの近傍から前記エンドベルの外周面に沿って片持ち梁状に延びるとともに、前記エンドベルの前記突起着座部は、前記ばねアームの下方で前記エンドベルの外周面から突出し、かつ前記スロットの近傍から前記エンドベルの外周面に沿って延びて前記ばねアームよりも長く形成され、
更に、前記エンドベルの前記ストッパ突起は、前記エンドベルの外周面であって前記スロットと反対側の前記突起着座部に隣接する部分に形成され、
前記アセンブリナットは、底板部と、該底板部の外縁から立ち上がる側壁部とを備えるとともに、前記アセンブリナットの突起は前記側壁部の上端部に設けられ、
前記アセンブリナットの突起を、前記スロットに挿入した後、前記アセンブリナット及びバレルを所定角度回転することにより、前記アセンブリナットの突起を前記エンドベルのばねアームを乗り越えて当該ばねアームの先端と前記ストッパ突起との間に位置させて前記エンドベルの前記アセンブリナットに対する回転方向の位置決めを行うとともに、前記アセンブリナットの突起を前記エンドベルの突起着座部上に着座させて、前記突起と前記アセンブリナットの底板部との間で前記突起着座部を上下から挟み込むことで前記エンドベルの前記アセンブリナットに対する軸方向上方及び軸方向下方への抜け止めを行うことを特徴とする請求項1又は2記載のコネクタ。
【請求項4】
前記突起着座部の前記ばねアームよりも長く形成される部分には他の部分よりも板厚が厚い厚肉部が設けられ、
前記アセンブリナットの突起を、前記スロットに挿入した後、前記アセンブリナット及びバレルを所定角度回転することにより、前記アセンブリナットの突起を前記突起着座部の厚肉部上に着座させて、前記突起と前記アセンブリナットの底板部との間で前記厚肉部を上下から挟み込むことで前記エンドベルの前記アセンブリナットに対する軸方向上方及び軸方向下方への抜け止めを行うことを特徴とする請求項3記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バレルとエンドベルとをアセンブリナットによって結合するコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数のコンタクトを収容したプラグのバレルとケーブルの端部に取り付けられたエンドベルとをアセンブリナットにより結合するコネクタが知られている。
従来のこの種のコネクタの一例として、例えば、特許文献1に示すものが知られている。
特許文献1に示されたコネクタは、バレルと、エンドベルと、バレルとエンドベルとを結合するアセンブリナットとを備えている。バレルは、複数のコンタクトを収容したプラグの端部に設けられ、径方向に突出する複数のキーを有している。一方、エンドベルは、一端部にバレルのキーと係合する複数のキー溝が形成され、他端部に複数のコンタクトに接続されたケーブルを引き出すケーブル用引出口が設けられている。また、アセンブリナットは、バレルのキーが挿入されるキー溝が複数形成され、かつ、エンドベルに所定角度回転可能に保持されている。
【0003】
そして、コネクタの組立に際しては、まず、アセンブリナットをエンドベルの先端部に所定の角度関係でエンドベルのキー溝とアセンブリナットのキー溝とが合うように挿入する。次いで、バレルのキーをアセンブリナットのキー溝を通過させてエンドベルのキー溝に挿入し、ケーブルの引出方向の位置決めを行う。その後、アセンブリナットを所定角度回転して、バレルとエンドベルとを固定するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−267006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この従来の特許文献1に示したコネクタにあっては、以下の問題点があった。
即ち、特許文献1に示したコネクタの場合、アセンブリナットをエンドベルの先端部に挿入する際に、アセンブリナットの突起をエンドベルのスロットに実質的に圧入している。このため、初回の組立時に大きな力を要し、また、分解及び組立を繰り返すと、エンドベルが削れてアセンブリナットのエンドベルに対する保持力が低下するという問題があった。
【0006】
従って、本発明はこの問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、組立時に大きな力を要することなく、分解及び組立を繰り返してもアセンブリナットのエンドベルに対する保持力が低下することがない、バレルとエンドベルとをアセンブリナットによって結合するコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のある態様に係るコネクタは、バレルと、エンドベルと、前記バレルと前記エンドベルとを結合するアセンブリナットとを具備し、前記バレル及び前記アセンブリナットは固定手段によって固定され、前記エンドベルはばねアーム突起着座部及びストッパ突起を有し、前記アセンブリナットは突起を有し、前記アセンブリナットの突起が、前記エンドベルのばねアームの先端とストッパ突起との間に位置して前記エンドベルの前記アセンブリナットに対する回転方向の位置決めが行われるとともに、前記エンドベルの突起着座部上に着座することにより、前記エンドベル及び前記アセンブリナットが固定されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るコネクタによれば、バレル及びアセンブリナットが固定手段によって固定され、アセンブリナットの突起が、エンドベルのばねアームに係合するとともに、エンドベルの突起着座部上に着座することにより、エンドベル及びアセンブリナットが固定される。このため、組立時に大きな力を要することなく、分解及び組立を繰り返しても、エンドベル及びアセンブリナットが削れたりして損傷することがなく、アセンブリナットのエンドベルに対する保持力が低下することがない、バレルとエンドベルとをアセンブリナットによって結合するコネクタコネクタを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係るコネクタの斜視図である。
図2図1に示すコネクタの正面図である。
図3図1に示すコネクタの平面図である。
図4図1に示すコネクタの右側面図である。
図5図2における5−5線に沿う断面図である。
図6図4における6−6線に沿う断面図である。
図7図1に示すコネクタの分解斜視図である。
図8図1に示すコネクタを構成するバレルを示し、(A)は平面図、(B)は正面図である
図9図1に示すコネクタの組立方法を説明する図で、バレル及びリングハウジングを組み立てた後、アセンブリナットのキー溝をバレルのキーに嵌め入れる前の状態を示している。
図10】アセンブリナットの底面図である。
図11】アセンブリナットの平面図である。
図12図1に示すコネクタの組立方法を説明する図で、アセンブリナットのキー溝をバレルのキーに嵌め入れた後、Cリングをバレルに取り付ける前の状態を示している。
図13図1に示すコネクタの組立方法を説明する図で、Cリングをバレルに取り付けてアセンブリナットをバレルに固定した固定した状態を示している。
図14】アセンブリナットをバレルに固定した固定したものの正面図である。
図15図14における15−15線に沿う断面図である。
図16】アセンブリナットをバレルに固定した固定したものを底面側から見た斜視図である。
図17図1に示すコネクタの組立方法を説明する図で、アセンブリナットをバレルに固定した後、エンドベルをアセンブリナットに固定する前の状態を示している。
図18図1に示すコネクタの組立方法を説明する図で、エンドベルをアセンブリナットに固定した状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図7に示すコネクタ1は、バレル10と、エンドベル30と、バレル10とエンドベル30とを結合するアセンブリナット40とを具備している。
バレル10は、例えば、モータ(図示せず)の筐体に取り付けられたヘッダコネクタ(図示せず)に嵌合するよう構成され、合成樹脂を成形することによって略円筒状に形成されている。バレル10は、図5及び図6に示すように、2列に配置された複数(本実施形態にあっては4個)のコンタクト収容室11を備えている。各コンタクト収容室11は、図5に示すように、バレル10の矢印Lで示す軸方向の上面及び下面に開口している。
【0011】
また、バレル10の外周面の軸方向の上下略中央部には、図7に示すように、後述するリングハウジング19の軸方向の上方及び下方への移動を規制する上ストッパ12a及び下ストッパ12bが本実施形態にあっては2対設けられている。各対の上ストッパ12a及び下ストッパ12bは、上下において所定間隔離してバレル10の外周面から突出するように設けられている。また、バレル10の外周面の上ストッパ12aよりも軸方向上方側には、複数(本実施形態にあっては、3個)のキー13が突出形成されている。複数のキー13は、バレル10の周方向において90°間隔で設けられている。また、バレル10の外周面のキー13よりも軸方向上方側には、後述する固定手段50を構成するCリング51を取り付けるための周溝14が形成されている。更に、バレル10の外周面の周溝14よりも軸方向上方側には、第1シール部材20が嵌り込む環状の第1シール溝15が形成されている。一方、バレル10の外周面の下ストッパ12bよりも軸方向下方側には、第2シール部材21が嵌り込む環状の第2シール溝16が形成されている。
【0012】
そして、バレル10の各コンタクト収容室11には、図5に示すように、リセプタクル型のコンタクト17が収容される。各コンタクト17は、相手コンタクト(図示せず)を受容するリセプタクル型の接触部17aと、ケーブルC(図5参照)からの各電線が接続される電線接続部17bとを備えている。各コンタクト17は、導電性金属板を打抜き及び曲げ加工することによって形成される。そして、各コンタクト17は、軸方向の下方側に接触部17aが配置され、軸方向の上方側に電線接続部17bが配置されるように、各コンタクト収容室11内に収容される。
【0013】
また、バレル10の外周であってキー13と上ストッパ12aとの間には、図5及び図15に示すように、コイルばね18が巻装されている。コイルばね18の一端はバレル10に固定され、コイルばね18の他端は後述するリングハウジング19に固定されている。コイルばね18は、リングハウジング19をバレル10に対して矢印Rで示す回転方向の一方向に付勢している。
【0014】
更に、バレル10の外側には、図9に示すように、バレル10のキー13よりも軸方向下方側を覆うリングハウジング19が配置されている。このリングハウジング19は、バレル10に対して矢印R(図1参照)で示す回転方向に回転可能に取り付けられている。リングハウジング19は、合成樹脂を成形することによって形成される。リングハウジング19は、図7及び図15に示すように、上下方向に貫通する貫通穴19aを有する円環状に形成されている。また、リングハウジング19の内周面であって軸方向上下略中央部には、内側に突出する環状板部19bが設けられている。この環状板部19bは、図15に示すように、バレル10の上ストッパ12a及び下ストッパ12b間に嵌め込まれる。これにより、リングハウジング19は、バレル10に対して軸方向への移動が規制された状態で回転可能に取り付けられる。また、リングハウジング19の内周面の軸方向下端には、カム突起19c(図5参照)が設けられている。
【0015】
また、エンドベル30は、図1に示すように、矢印Lで示す軸方向に延びる嵌合部31と、当該軸方向に直交する方向に延びるケーブル取付部32とを備える側面から見て略L字形に形成されている。嵌合部31及びケーブル取付部32はそれぞれ円筒状に形成されて結合され、合成樹脂を成形することによって一体に形成される。嵌合部31及びケーブル取付部32の内部には、嵌合部31の軸方向下端面及びケーブル取付部32の端面に開口する略L字形の貫通穴33が設けられている。嵌合部31の軸方向下端面に開口する貫通穴33の部分は、図5に示すように、バレル10の軸方向上端部が嵌合する嵌合穴33aを形成する。また、ケーブル取付部32の端面に開口する貫通穴33の部分は、ケーブルCの導出穴33bを形成する。ケーブル取付部32の外周には、雄ねじ部32aが設けられている。
【0016】
また、エンドベル30の嵌合部31の外周面であって軸方向下端部には、図3図6及び図17に示すように、4個のスロット34が周方向に90°間隔で設けられている。各スロット34は、エンドベル30の軸方向下端面に開口し、後述するアセンブリナット40の各突起43が軸方向下方側から挿入可能となっている。また、嵌合部31の外周面であって軸方向下端部には、2個のばねアーム35が設けられている。2個のばねアーム35のそれぞれは、図6及び図17に示すように、4個のスロット34のうちの隣り合う2個のスロット34のそれぞれの近傍から嵌合部31の外周面に沿って片持ち梁状に反時計回りに延びている。更に、嵌合部31の外周面であって軸方向下端部には、図6に示すように、4個の突起着座部36が設けられている。4個の突起着座部36のうち2個の突起着座部36は、図17に示すように、ばねアーム35の下方で嵌合部31の外周面から突出し、かつスロット34の近傍から嵌合部31の外周面に沿って延び、ばねアーム35よりも長く形成されている。この2個の突起着座部36のばねアーム35よりも長く形成される部分には他の部分よりも板厚が厚い厚肉部36aが設けられている。この厚肉部36aは、図17に示すように、突起着座部36の板厚が薄い部分から斜め上方に傾斜する傾斜面36bを経て形成される。また、残りの2個の突起着座部36は、前記2個の突起着座部36と軸方向に同じ位置で嵌合部31の外周面から突出し、かつスロット34の近傍から前記2個の突起着座部36と同じ長さで嵌合部31の外周面に沿って延びている。また、嵌合部31の外周面であって軸方向下端部には、4個のストッパ突起37が設けられている。各ストッパ突起37は、嵌合部31の外周面であってスロット34と反対側の突起着座部36に隣接する部分に形成されている。
【0017】
そして、エンドベル30のケーブル取付部32の雄ねじ32aを形成した部分の内周側には、図5及び図7に示すように、円筒状の防水ゴム38aが挿入され、防水ゴム38aの外周側にはクランプハウジング38bが挿入される。また、ケーブル取付部32の雄ねじ32aには、防水ゴム締付部材39の雌ねじ部39aが螺合するようになっている。防水ゴム38aの内径は、図5に示すように、ケーブルCの導出穴33bの直径とほぼ同一径となっている。ケーブルCの取付けに際しては、図5に示すように、ケーブルCの先端を防水ゴム38aの内側貫通穴を通して導出穴33b内に位置するように挿入する。そして、防水ゴム締付部材39のケーブル取付部32の雄ねじ部32aに対する螺合を進めることにより、防水ゴム38aがケーブルCをケーブルCの外周側から締め付ける。これにより、防水ゴム38aとケーブルCとの間がシールされる。
【0018】
次に、アセンブリナット40は、図7及び図9乃至図11に示すように、中央にバレル10が挿通可能な貫通穴41aを有する円環状の底板部41と、底板部41の外縁から立ち上がる円筒状の側壁部42とを備えている。アセンブリナット40は、合成樹脂を成形することによって一体に形成される。そして、側壁部42の内周面の上端部には、周方向に90°間隔で設けられる4個の突起43が内方に突出するように形成されている。また、アセンブリナット40の底板部41の下面には、図7及び図10に示すように、バレル10の複数(本実施形態にあっては3個)のキー13が挿入される複数(本実施形態にあっては3個)のキー溝44が形成されている。複数のキー溝44は、底板部41の内周縁に90°間隔で配置されている。
【0019】
そして、バレル10及びアセンブリナット40は、固定手段50(図7参照)によって固定されるようになっている。この固定手段50は、バレル10に取り付けられるCリング51と、バレル10に形成された前述のキー13と、アセンブリナット40に形成された、バレル10のキー13が挿入される前述のキー溝44とで構成されている。固定手段50によるバレル10及びアセンブリナット40の固定方法は、後述する。
【0020】
次に、コネクタ組立体の組立方法について、図9乃至図18を参照して説明する。
先ず、図9に示すように、バレル10にリングハウジング19を取り付ける。この取り付けに際し、リングハウジング19の環状板部19bを、図15に示すように、バレル10の上ストッパ12a及び下ストッパ12b間に嵌め込む。これにより、リングハウジング19は、バレル10に対して軸方向への移動が規制された状態で回転可能に取り付けられる。この際に、バレル10の外周に巻装されたコイルばね18によりリングハウジング19はバレル18に対して回転方向の一方向に付勢される。そして、第2シール溝16には第2シール部材21を嵌め入れておく。
【0021】
次いで、図9乃至図16に示すように、固定手段50によってバレル10にアセンブリナット40を固定する。この固定に際し、まず、図9に示すように、アセンブリナット40のキー溝44にバレル10のキー13を上方から嵌め入れる。これにより、図12に示すように、アセンブリナット40のバレル10に対する矢印Rで示す回転方向の位置決めがなされる。また、アセンブリナット40のキー溝44にバレル10のキー13を嵌め入れることにより、図15に示すように、アセンブリナット40のバレル10に対する矢印Lで示す軸方向の下方への抜け止めが行われる。その後、Cリング51を、図12図13及び図15に示すように、バレル10の周溝14に嵌め入れることによりCリング51がバレル10に取り付けられる。これにより、図13及び図15に示すように、アセンブリナット40のバレル10に対する軸方向上方への抜け止めが行われる。そして、バレル10の第1シール溝15に第1シール部材20を嵌め入れる。
【0022】
そして、バレル10にアセンブリナット40を固定したら、図17及び図18に示すように、エンドベル30をアセンブリナット40に固定する。
ここで、この固定に際し、まず、ケーブルC(図5参照)の各電線を各コンタクト17に接続する。次いで、各コンタクト17を、防水ゴム38aの内側貫通穴を通して導出穴33bを介してエンドベル30内に挿入する。また、同時に、ケーブルCの先端を防水ゴム38aの内側貫通穴を通して導出穴33bを通じてエンドベル30内に挿入する。その後、各コンタクト17を、図17に示すように、バレル10の各コンタクト収容室11内に収容する。そして、防水ゴム締付部材39のケーブル取付部32に対する螺合を進めることにより、防水ゴム38aがケーブルCをケーブルCの外周側から締め付ける。これにより、防水ゴム38aとケーブルCとの間をシールした状態でケーブルCがエンドベル30に接続される。
【0023】
その後、図17に示すように、アセンブリナット40の2個の突起43を、エンドベル30のばねアーム35が設けられている2個のスロット34に挿入する。ここで、アセンブリナット40の2個の突起43は、エンドベル30から導出されるケーブルCの配向方向に応じた任意の隣接する2個の突起43を選択する。その後、アセンブリナット40及びバレル10を、図18に示すように、矢印R1で示す反時計回りに所定角度回転することにより、アセンブリナット40の突起43をエンドベル30のばねアーム35の先端に係合させる。具体的には、アセンブリナットの突起43をばねアーム35の先端とストッパ突起37との間に位置させる。これにより、エンドベル30のアセンブリナット40に対する回転方向の位置決めが行われる。また、このとき同時に、アセンブリナット40の突起43は突起着座部36の厚肉部36a上に着座される。これにより、図5に示すように、突起43とアセンブリナット40の底板部41との間で厚肉部36aを上下から挟み込み、エンドベル30のアセンブリナット40に対する軸方向上方及び軸方向下方への抜け止めがなされる。
【0024】
エンドベル30のアセンブリナット40に対する回転方向の位置決め及び軸方向上方及び下方への抜け止めがなされると、エンドベル30のアセンブリナット40への固定作業が終了する。この固定作業が終了したときには、図5に示すように、バレル10の軸方向上端部がエンドベル30の嵌合部31の嵌合穴33aに嵌合している。そして、バレル10の軸方向上端部と嵌合穴33aとの間は、第1シール部材20によりシールされている。
【0025】
このように、本実施形態のコネクタ1においては、バレル10及びアセンブリナット40は固定手段50によって固定される。また、アセンブリナット40の突起43が、エンドベル30のばねアーム35に係合するとともに、エンドベル30の突起着座部36上に着座することにより、エンドベル30及びアセンブリナット40が固定される。このため、組立に大きな力を要することなく、また、分解及び組立を繰り返しても、アセンブリナット40及びエンドベル30が削れたりして損傷することがないので、アセンブリナット40のエンドベル30に対する保持力が低下することはない。
【0026】
また、アセンブリナット40のキー溝44にバレル10のキー13を嵌め入れることにより、アセンブリナット40のバレル10に対する回転方向の位置決め及び軸方向下方への抜け止めが行われる。また、Cリング51をバレル10に取り付けることにより、アセンブリナット40のバレル10に対する軸方向上方への抜け止めが行われる。このため、簡単な構成の固定手段50によりアセンブリナット40及びバレル10を固定できるとともに、簡単な作業でアセンブリナット40及びバレル10を固定できる。
【0027】
更に、アセンブリナット40の突起43を、エンドベル30のスロット34に挿入した後、アセンブリナット40及びバレル10を所定角度回転することにより、エンドベル30のアセンブリナット40に対する回転方向の位置決めを行う。また、同時に、エンドベル30のアセンブリナット40に対する軸方向上方及び下方への抜け止めを行う。このため、簡単な作業でエンドベル30及びアセンブリナット40を固定することができる。
【0028】
なお、エンドベル30をアセンブリナット40から取り外すときには、エンドベル30に形成されたばねアーム35を治具によってエンドベル30の内方へ変位させる。その後、アセンブリナット40及びバレル10を時計回りに所定角度回転させて突起43をスロット34に位置させ、エンドベル30をアセンブリナット40から取り外せばよい。従って、簡単な作業でアセンブリナット40から取り外ことができる。
【0029】
また、エンドベル30から導出されるケーブルCの配向方向を変更するときには、エンドベル30をアセンブリナット40から取り外した後、ケーブルCの配向方向に応じた別の隣接する2個の突起43を選択する。そして、上述の方法に応じてエンドベル30をアセンブリナット40に固定すればよい。このため、バレル10からアセンブリナット40を取り外すことなく、エンドベル30から導出されるケーブルCの配向方向を変更できる。
【0030】
そして、アセンブリナット40によってエンドベル30に結合されたバレル10は、例えば、モータ(図示せず)の筐体に取り付けられたヘッダコネクタに嵌合する。この際に、リングハウジング19のカム突起19cがヘッダコネクタの外面に形成されたカム溝に入り込み、バレル10とヘッダコネクタとが固定される。この際に、バレル10とヘッダコネクタとの間は、第2シール部材21によりシールされる。
【0031】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに、種々の変更、改良を行うことができる。
例えば、バレル10は、必ずしもモータの筐体に取り付けられたヘッダコネクタに嵌合しなくてもよい。
また、固定手段50は、バレル10及びアセンブリナット40を固定できればよく、バレル10に形成されたキー13と、アセンブリナット40に形成されたキー溝44と、バレル10に取り付けられるCリング51とで構成する必要は必ずしもない。
【符号の説明】
【0032】
1 コネクタ
10 バレル
13 キー
30 エンドベル
34 スロット
35 ばねアーム
36 突起着座部
36a 厚肉部
37 ストッパ突起
40 アセンブリナット
41 底板部
42 側壁部
43 突起
44 キー溝
50 固定手段
51 Cリング
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