(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した特許文献1に記載の収納庫監視システムでは、伝送線路(通信線)に介入するノイズ等によって、ホスト機器が収納庫から送信されるデータを正確に受信できない等の通信エラーが発生する場合がある。その場合、収納庫からのデータを正確に記録できず、データの記録の信頼性が低下する。また、収納庫から送信されるデータには、機器情報データ、庫内温度データ等、多種類のデータが含まれ、通常、データの種類に応じて、データを取得して記録する方法が異なる。例えば、収納庫の機器情報データと、庫内温度データ(監視データ)とでは収納庫からデータを取得する頻度が異なり、記録する回数も異なる。そのため、収納庫からのデータの種類に適合して、データの記録の信頼性を向上させる技術が望まれていた。
【0005】
本明細書では、収納庫監視システムにおいて、収納庫からのデータの記録の信頼性を、データの種類に適合して向上させる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書によって開示される収納庫監視システムは、冷却器および加熱器の少なくとも一方を備え、庫内温度を所定温度に制御する収納庫と、通信線と、前記通信線を介して前記収納庫と接続され、制御装置を含むホスト機器と、を備えた収納庫監視システムであって、前記制御装置は、前記収納庫にデータの送信を要求する要求処理と、送信要求する前記データの種類を判別する判別処理と、判別されたデータの種類に応じた記録方法にしたがって前記データを記録する記録処理と、を実行する。
本構成によれば、収納庫からの送信データが、送信データの種類に応じたデータ記録方法にしたがって記録される。そのため、例えば、送信データに数値データと文字データとが含まれる場合、数値データと文字データとでは記録方法を異ならせ、各データの種類に適合した記録方法を採用することができる。それによって、データの種類に適合して記録の信頼性が向上する。
【0007】
上記収納庫監視システムにおいて、前記制御装置は、前記記録処理において、前記要求処理に対する応答が所定期間内にない場合、前記データの送信の要求を再度行い、前記所定期間は、前記データの種類に応じて異なるようにしてもよい。
本構成によれば、送信データの送信を再要求する場合、要求するための所定期間が送信データの種類に応じて異なる。例えば、通常、送信データが収納庫の監視データの場合と、収納庫の機種情報データの場合とでは、送信データの所得頻度(サンプリング間隔)が異なる。そのため、送信データ要求に対する応答がない場合の再送要求の待ち時間である所定期間を、送信データの種類に応じて異ならせることによって、送信データの種類に応じた期間後に再送要求を行うことができる。それによって、必要以上に再送要求を行うことを抑制できる。また、要求処理に対する応答が所定期間内にない場合に再送要求を行うことによって、各データの記録の信頼性が向上する。
【0008】
また、上記収納庫監視システムにおいて、前記制御装置は、前記判別されたデータの種類が、所定のサンプリング間隔毎にデータの送信を要求する監視データである場合、前記記録処理において、前記要求処理に対するデータの受信が前記サンプリング間隔より短い第1期間内にない場合、前記データの再送要求を行い、前記判別されたデータの種類が、前記監視データでない場合、前記記録処理において、前記要求処理に対するデータの受信が前記第1期間より長い第2期間内にない場合、前記データの再送要求を行うようにしてもよい。
本構成によれば、送信データが監視データでない場合、再送要求の待ち時間である所定期間が、送信データが監視データである場合より長くされる。また、送信データの取得間隔は送信データの種類に応じて異なり、通常、監視データの取得間隔、すなわち、サンプリング間隔が一番短い。そのため、送信データが監視データでない場合の所定期間を、監視データである場合より長くすることによって、必要以上に再送要求を行うことを抑制できる。
【0009】
また、上記収納庫監視システムにおいて、前記制御装置は、前記判別されたデータの種類が固定値のデータである場合、前記記録処理において、前記データの送信要求を再度行い、2回の送信要求により取得した2つの固定値のデータが完全一致した場合に、前記データを記録し、一致しない場合に、先に取得したデータを破棄するとともに前記データの送信要求をさらに行うようにしてもよい。
本構成によれば、データの種類が固定値のデータである場合、データの送信要求を再度行い、受信された2つのデータが完全一致した場合にのみ、データが記録される。そのため、通信線がノイジィな環境下にある場合であっても、固定値のデータの記録の信頼性を向上させることができる。
【0010】
また、上記収納庫監視システムにおいて、前記制御装置は、前記要求処理において、前記データの送信要求を3回以上の奇数回数行い、前記判別されたデータの種類が数値データである場合、前記記録処理において、前記要求処理によって得られた3個以上の奇数個の数値データの内、中央値を記録し、前記判別されたデータの種類が文字データである場合、前記記録処理において、前記要求処理によって得られた3個以上の奇数個の文字データの内、最多数の同一文字データを記録するようにしてもよい。
本構成によれば、データの種類が数値データである場合は、中央値が記録され、データの種類が文字データである場合は、最多数の同一文字データが記録される。そのため、数値データおよび文字データに適合した記録方法が採用され、それによって、取得したデータの中にノイズ化けしたデータがあっても、正常なデータを記録できる。その結果、数値データおよび文字データの記録の信頼性が向上する。
【発明の効果】
【0011】
明細書によって開示される収納庫監視システムによれば、収納庫からのデータの記録の信頼性を、データの種類に適合して向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態>
一実施形態を
図1から
図9を参照して説明する。
1.冷温蔵装置監視システムの構成
図1を参照して、一実施形態に係る冷温蔵装置監視システム1の全体構成について説明する。冷温蔵装置監視システム1は、複数の冷温蔵装置(20A〜20N)、複数のプロトコル変換装置31、および、パーソナルコンピュータ(以下、「PC」と記す)10を備える。なお、本実施形態では、プロトコル変換装置31は、各冷温蔵装置に設けられている。ここで、冷温蔵装置監視システム1は収納庫監視システムの一例であり、冷温蔵装置20は収納庫の一例であり、PC10はホスト機器の一例である。なお、各冷温蔵装置(20A〜20N)は、区別する必要がない限り、以下、「冷温蔵装置20」と記して説明する。
【0014】
冷温蔵装置20は、冷却器および加熱器を備える収納庫であって、庫内温度を所定の設定温度に制御する。冷温蔵装置20はプロトコル変換装置31を介してLAN(Local Area Network)などの通信ネットワーク(通信線の一例)30に接続されている。通信ネットワーク30は、通信線の一例である。
【0015】
PC10は、通信ネットワーク30を介して冷温蔵装置20と通信可能に接続されている。PC10は、所定のプログラムを実行することにより、送信要求によって冷温蔵装置20から送信されるデータを、通信ネットワーク30を介して受信し、データに含まれる庫内温度等を表示部15(
図2参照)に表示する。本実施形態では、PC10と冷温蔵装置20との通信は、日本エレクトロヒートセンター(JEHC)による業務用監房機器標準通信仕様書に基づいて、TCP/IP(Transmission Cntrol Protocol/Internet Protocol)にしたがって行われるものとする。なお、PC10と冷温蔵装置20との通信態様は、これに限られない。
【0016】
2.PCの電気的構成
次に、
図2を参照して、PC10の電気的構成について説明する。PC10は制御部11、操作部12、記憶部13、通信部14、表示部15等を備えている。
【0017】
制御部11はCPU11A、ROM11B、RAM11C等を含む。CPU11Aは、ROM11Bや記憶部13に記憶されているプログラムを実行することによってPC10の各部を制御する。また、CPU11Aは、後述するように、冷温蔵装置20に対して各種のデータの送信を要求し、送信されたデータの記録に係る処理を実行する。すなわち、CPU11Aは、通信ネットワーク30を介して冷温蔵装置20を監視する制御を行う。
【0018】
ROM11BにはCPU11Aによって実行されるプログラムなどが記憶されている。RAM11CはCPU11Aが各種の処理を実行するための主記憶装置として用いられる。CPU11Aは、制御装置の一例である。なお、制御部11は、例えば、CPUを含むASIC(特定用途用IC)によって構成されてもよい。
【0019】
冷温蔵装置20に送信を要求するデータ(以下、「送信データ」と記す)には、
図3に示すように、機種情報データ、データフォーマットデータ、モニタデータ、およびエラーフォーマットデータ等が含まれる。
【0020】
機種情報データは、冷温蔵装置20の各装置(機器)固有の情報を示すデータである。データフォーマットデータは、機器から送信される庫内温度等のモニタデータのフォーマットを示すデータである。
【0021】
モニタデータは、庫内温度等の機器の現在の運転状態を示すデータであり、データフォーマットに示されるフォーマットで送信される。「モニタデータ」は、所定のサンプリング間隔毎にデータの送信を要求する監視データの一例である。
【0022】
エラーフォーマットデータは、機器が持つエラーコードとその対応方法等の情報の一覧を示すデータである。実際に発生したエラーは、モニタデータ中に、コードでPCに通知される。
【0023】
また、
図4に示されるように、送信データは所定の属性にしたがって構成される。例えば、タイマに関するデータは、例えば、属性「T」とされ、属性「T」のデータは、6単位のデータで構成され、各単位は0から9までの数値を示す。詳しくは、第1、第2単位は時間、第3、第4単位は分、第5、第6単位は秒を示す数値である。なお、単位は、ここでは、例えば、1バイトのデータで構成される。
また、1バイトのデータで示される文字データは、例えば、属性「A」とされ、属性「A」のデータは、6単位のデータで構成される。また、数値データは、例えば、属性「S」とされ、属性「S」のデータは、7単位のデータで構成される。詳しくは、第1単位は、プラス、マイナス、あるいはコロン記号を示し、第2単位から第5単位までは0から9までの数値を示し、第6単位および第7単位は、温度等の単位(文字データ)を示す。
【0024】
操作部12はキーボードやマウスなどの入力機器、それらの入力機器が接続されるコネクタなどを含む。
記憶部13は、ハードディスクなどの不揮発性の記憶媒体を用いて各種のプログラムやデータを記憶する外部記憶装置である。記憶部13にはOS(オペレーティングシステム)、実施形態に係る制御プログラムなどが記憶されている。
【0025】
通信部14は、PC10を通信ネットワーク30に接続するためのハードウェアインタフェースである。
表示部15は液晶ディスプレイなどの表示装置、表示装置を駆動する駆動回路などを含む。
【0026】
3.冷温蔵装置
次に、
図5を参照して、冷温蔵装置20について概略的に説明する。冷温蔵装置20は病院などにおいて食事の提供に用いられるものである。なお、冷温蔵装置20は、一般に再加熱カートと呼ばれている。
【0027】
冷温蔵装置20は、冷却器および加熱器を有するステーション21、断熱扉22Bが設けられている断熱箱22Aを有するカート本体22、および、複数のトレイ40が前後上下に収容されるフレームカート23を備えている。また、冷温蔵装置20は、図示しない制御部、後述する加熱室の庫内温度を検出する図示しないサーミスタ、および、後述する冷蔵室の庫内温度を検出する図示しないサーミスタも備えている。
【0028】
フレームカート23は断熱性の仕切壁23Aによって左右に仕切られている。仕切壁23Aには切れ込みが設けられている。食事が盛りつけられているトレイ40は、フレームカート23の前後からその切れ込みに差し込まれるようにしてフレームカート23の左右に亘って収容される。
【0029】
フレームカート23がカート本体22に収容されると、仕切壁23Aによって断熱箱22Aの内部が加熱室と冷蔵室とに仕切られる。加熱室は加熱のみが行われる空間ではなく、冷却および加熱の両方が行われる空間である。
【0030】
食事を提供する作業者は、フレームカート23が収容されたカート本体22をステーション21に格納し、ステーション21に設けられている運転スイッチをオンにする。冷温蔵装置20の制御部は、運転スイッチがオンにされると冷温蔵装置20の運転を開始する。
【0031】
4.送信データの記録
次に、
図6から
図9を参照して、本実施形態に係る、PC10による、詳しくは、CPU11Aによる冷温蔵装置20からの送信データの記録に係る実施例を説明する。各実施例において、CPU11Aは所定のプログラムにしたがって、送信データの記録に係る各処理を実行する。
【0032】
各実施例において、CPU11Aは、冷温蔵装置20に送信データの送信を要求する要求処理と、送信要求する送信データの種類を判別する判別処理と、判別された送信データの種類に応じた記録方法にしたがって送信データを記録する記録処理と、を実行する。記録処理において、CPU11Aは、冷温蔵装置20から受信した送信データを、例えば、記憶部13に記録する。また、CPU11Aは、操作部12の操作に応じて、記録された送信データを、表示部15に表示させたり、あるいはプリンタ(図示せず)に印刷させたりして外部に出力する。
なお、各実施例において同一の処理には、同一のステップ記号を付し、詳細な説明を省略する。
【0033】
4−1.実施例1
まず、
図6を参照して、送信データの記録に係る実施例1を説明する。実施例1では、CPU11Aは、記録処理において、要求処理に対する応答が所定期間PK内にない場合、送信データの送信の要求を再度行う。その際、所定期間PKは、送信データの種類に応じて異なる値とされる。なお、実施例1における送信データは、「モニタデータ」のように、所定のサンプリング間隔毎にデータの送信を要求するデータと、機種情報データのように、所定のサンプリング間隔毎にデータの送信を要求されない「モニタデータ以外のデータ」に分類される。「モニタデータ以外のデータ」には、例えば、機器情報データ、エラーデータ、各種データのフォーマットデータ等が含まれる(
図3参照)。
【0034】
CPU11Aは、まず、各冷温蔵装置20に対して、所定の送信データ(
図3参照)の送信要求を行う(ステップS10:要求処理)。次いで、CPU11Aは、送信要求した送信データが、「モニタデータ」か否かを判別する(ステップS12:判別処理の一例)。なお、ここでの判別は、送信データの受信前に、例えば、送信データの送信要求時に行われる。
【0035】
送信データが、「モニタデータ」であると判別した場合(ステップS12:YES)、CPU11Aは、要求処理に対する応答時間である所定期間をサンプリング間隔より短い第1期間に設定する(ステップS14)。ここでは、サンプリング間隔は、例えば1分間とされ、第1期間は、例えば3秒とされる。
【0036】
一方、送信データが、「モニタデータ」でないと判別した場合(ステップS12:NO)、例えば、送信データが、「モニタデータ以外のデータ」であると判別した場合、CPU11Aは、要求処理に対する応答時間である所定期間を第1期間PK1より長い第2期間PK2に設定する(ステップS15)。ここでは、第2期間PK2は、例えば30秒とされる。
【0037】
次いで、CPU11Aは、送信要求した送信データを、設定した所定期間(PK1,PK2)内に受信したか否かを判定する(ステップS16)。送信データを、設定した所定期間(PK1,PK2)内に受信していないと判定した(ステップS16:NO)、CPU11Aは、送信データを受信していない冷温蔵装置20に対して送信データの再送要求を行う(ステップS17)、一方、所定期間(PK1,PK2)内に送信データを受信したと判定した(ステップS16:YES)、CPU11Aは、受信した送信データを、記憶部13に記憶して、記録する(ステップS18)。
ここで、ステップS14からステップS18までの処理が、送信データの種類に応じた記録方法に相当する。
【0038】
このように、実施例1においては、要求処理に対する応答が所定期間PK内にない場合、送信データの送信を再要求する場合、要求するための所定期間PKが送信データの種類に応じて異なる。すなわち、所定のサンプリング間隔でサンプリングされるモニタデータと、他のデータ、例えば、機種情報データとでは、所定期間PKが異なる。このように、送信データ要求に対する応答がない場合の再送要求の待ち時間である所定期間PKを、送信データの種類に応じて異ならせることによって、送信データの種類に応じた期間後に再送要求を行うことができる。それによって、必要以上に再送要求を行うことを抑制できる。
【0039】
また、送信データの再送要求によって、通信ネットワーク30がノイジィな環境下にある場合等において、送信要求に対する応答がないことに起因する通信の停止時間を、低減できる。すなわち、送信要求に対する応答がない場合に再送要求を行わないと、受信データの記録がされないことになり、受信データに欠損が生じるが、再送要求を行うことによって、そのような通信記録の欠損を低減できる。
【0040】
また、その際、送信データがモニタデータでない場合、再送要求の待ち時間である所定期間(第2期間)PK2が、送信データが監視データである場合の所定期間(第1期間)PK1より長くされる。通常、送信データの取得間隔は送信データの種類に応じて異なり、モニタデータの取得間隔、すなわち、サンプリング間隔が一番短い。そのため、送信データがモニタデータでない場合の所定期間PK2を、監視データである場合より長くすることによって、必要以上に再送要求を行うことを抑制できる。
【0041】
なお、通信回線上のトラフィック占有を防止するために、再送要求(送信要求)を送信データの種類に応じて制限するようにしてもよい。例えば、モニタデータに対しては、送信要求を、例えば20回行っても通信が成立しなかった場合に再送要求を中断し、モニタデータ以外のデータに対しては、送信要求を、例えば10回行っても通信が成立しなかった場合に再送要求を中断するようにしてもよい。
【0042】
あるいは、例えば、モニタデータに対しては、送信要求の開始時刻から、例えば、1分経過しても通信が成立しなかった場合に再送要求を中断し、モニタデータ以外のデータに対しては、送信要求の開始時刻から、例えば、3分経過しても通信が成立しなかった場合に再送要求を中断するようにしてもよい。このように、再送要求を中断することによって、通信回線上のトラフィック占有を防止することができる。
【0043】
4−2.実施例2
次に、
図7から
図9を参照して、送信データの記録に係る実施例2を説明する。実施例2における送信データは、機種情報データのように、時間に対して変動しない「固定値のデータ(以下、固定データと記す)」と、モニタデータのように、時間に対して変動する「変動データ」と、に分類される。
実施例2では、CPU11Aは、判別されたデータの種類が「固定データ」である場合、記録処理において、送信データの再送要求を行う。そして、送信要求によって取得した2つの固定値のデータが完全一致した場合に、データを記録する。また、判別されたデータの種類が「固定データ」でない場合、すなわち、「変動データ」の場合、以下に説明する「変動データ処理」によってデータを記録する。
【0044】
CPU11Aは、まず、送信要求する送信データが、「固定データ」か否か、言い換えれば、送信要求する送信データが、「固定データ」か「変動データか」を判別する(ステップS20:判別処理の一例)。
【0045】
ここで、「固定データ」とは、データの内容が冷温蔵装置20に固有のデータであって、時間とともに変化しないデータのことである。一方、「変動データ」とは、時間とともに変動するデータのことである。
図3に示されるように、「固定データ」には、機種情報データ、データフォーマットデータ、およびエラーフォーマットデータが含まれ、「変動データ」にはモニタデータが含まれる。
【0046】
送信データが、「固定データ」であると判別した場合(ステップS20:YES)、実施例1と同様に、冷温蔵装置20に対して、所定の送信データの送信要求を行う(ステップS10:要求処理)。次いで、CPU11Aは、冷温蔵装置20から取得した送信データを、例えば、RAM11Cに一時保存し(ステップS22)、取得した送信データが二つそろったか否かを判断する(ステップS24)。送信データが二つそろっていないと判断した場合(ステップS24:NO)、ステップS10に戻って、取得した送信データと同一の送信データを再度送信する再送要求を冷温蔵装置20に対して行う。
【0047】
一方、送信データが二つそろっていると判断した場合(ステップS24:YES)、CPU11Aは、二つの送信データが完全に一致するか否かを判定する(ステップS26)。通常、「固定データ」の送信データには、数値、符号、単位等を示す部分が含まれている(
図4参照)。そのため、送信データが完全に一致するとは、それら、送信データを構成する全てのデータが一致することを意味する。その際、データ比較は、具体的には、データのビット単位で行われる。
【0048】
2つの送信データが完全に一致すると判定した場合(ステップS26:YES)、RAM11Cに一時保存した送信データを、記憶部13に移動させて、記録する(ステップS18)。一方、2つの送信データが完全に一致しないと判定した場合(ステップS26:NO)、最初に一時保存した送信データ(先に取得したデータ)を破棄し(ステップS28)、ステップS10の処理に戻り、送信データを再要求する。なお、ここで破棄するデータは、必ずしも先に取得したデータに限られない。例えば、何れの送信データを破棄するかの判断を行い、判断結果にしたがってデータを破棄するようにしてもよい。
【0049】
また、ステップS20において、送信データが、「固定データ」でないと判別した場合、すなわち、送信データが、「変動データ」であると判別した場合、(ステップS20:NO)、CPU11Aは、変動データ処理を行う(ステップS30)。
ここで、ステップS22からステップS30までの処理、および、ステップS18の処理が、送信データの種類に応じた記録方法に相当する。
【0050】
このように、実施例2においては、送信データの種類が、機種情報データ、データフォーマットデータ、およびエラーフォーマットデータ等の「固定データ」である場合、送信データの送信要求を再度行い、取得された2つの送信データが完全一致した場合にのみ、データが記録される。そのため、通信ネットワーク30がノイジィな環境下にある場合であっても、「固定データ」の記録の信頼性が向上する。
【0051】
次に、
図8および
図9を参照して、変動データ処理を説明する。変動データ処理では、CPU11Aは、要求処理において、データの送信要求を3回以上の奇数回数行う。そして、判別されたデータの種類が「数値データ」である場合、要求処理によって得られた3個以上の奇数個の「数値データ」の内、中央値を記録する。一方、判別されたデータの種類が「文字データ」である場合、要求処理によって得られた3個以上の奇数個の「文字データ」の内、最多数の同一文字データを記録する。
【0052】
変動データ処理は、例えば変動データである「モニタデータ」(
図3参照)に適用される。変動データ処理において、CPU11Aは、まず、冷温蔵装置20に対して、所定の送信データの送信要求を連続して所定回数(本実施例では5回)、行う(ステップS32:要求処理)。次いで、CPU11Aは、送信要求し、取得した各送信データの解析処理を行う(ステップS34)。解析処理では、各送信データが、
図4に示される所定の属性によって規定されたデータであるか否かを解析する。送信データが、属性によって規定されたデータでないと判定した場合、送信データの再送要求をする。すなわち、解析処理では、CPU11Aは送信データが属性によって規定された正常データであるか否かのフィルタリングし、送信データが属性によって規定されたデータでない場合、その送信データは記録されず、再送要求される。なお、この解析処理は、変動データに限られず、固定データに対しても適用されてもよい。
【0053】
各送信データが正常データであると判定した場合、各送信データをRAM11Cに一時保存し(ステップS36)、データフォーマットによってデータの比較範囲を決定する(ステップS38)。具体的には、データフォーマットが、例えば
図9に示すような20単位から構成される場合、現在の比較範囲を、データの第1単位から第5単位(第1バイトから第5バイト)までの、庫内温度を示す数値データの範囲と決定する。また、
図8に示されるように、次の比較範囲は、データの第6単位および第7単位(第6バイトおよび第7バイト)の、庫内温度の単位を示す文字データの範囲とされ、さらに、次の比較範囲は、データの第8単位から第14単位(第8バイトから第14バイト)までの、運転状態を示す文字データの範囲とされる。なお、各比較範囲は、事前に決定されている。
【0054】
次いで、CPU11Aは、決定された範囲のデータが「数値データ」か否か、言い換えれば、送信要求した送信データが、「数値データ」か「文字データ」かを判別する(ステップS40:判別処理の一例)。
【0055】
詳しくは、
図9に示される各範囲の送信データに含まれる各種データに関して、「数値データ」か「文字データ」かを判別する。各種データのうち、「数値データ」としては、タイマ(計時時間)情報を示すデータ、庫内温度等の測定データが含まれる。また、「文字データ」としては、日付データ、数値データの単位を示すデータ、各種名称を示すデータ等が含まれる。
【0056】
現在の比較範囲の送信データが、「数値データ」であると判別した場合(ステップS40:YES)、CPU11Aは、各単位のデータにおいて、5個の「数値データ」を比較して、5個の「数値データ」の中央値を決定する(ステップS42)。中央値は、例えば、5個の「数値データ」が、「1,2,3,4,7」の場合、数値「3」となる。次いで、データ比較を行ったデータが、
図9に示された送信データの末尾データ(第20単位のデータ)であるか否かを判定する(ステップS46)。
【0057】
一方、現在の比較範囲の送信データが、「数値データ」でないと判別した場合(ステップS40:NO)、すなわち、送信データが、「文字データ」であると判別した場合、CPU11Aは、各単位のデータにおいて、5個の「文字データ」を比較して、5個の「文字データ」の内、最多数の同一文字データを決定する(ステップS44)。最多数の同一文字データは、例えば、5個の「文字データ」が、「A,A,A,B,C」の場合、文字「A」となる。次いで、データ比較を行ったデータが、
図9に示された送信データの末尾データ(第20単位のデータ)であるか否かを判定する(ステップS46)。
【0058】
比較データが末尾データ(第20単位のデータ)でないと判定した場合(ステップS46:NO)、ステップS38に戻り、次の比較範囲を決定する。一方、比較データが末尾データであると判定した場合(ステップS46:YES)、
ステップS42およびステップS44で決定した各単位のデータによって変動データの記録データを構成して(ステップS48)、変動データ処理を終了する。そして
図7のステップS18に戻って、構成した記録データを記録する。
ここで、ステップS42、S44の処理、および、ステップS18の処理が、送信データの種類に応じた記録方法に相当する。
【0059】
このように、実施例2の変動データ処理においては、送信データの種類が「数値データ」である場合は、中央値が記録され、送信データの種類が「文字データ」である場合は、最多数の同一文字データが記録される。すなわち、送信データに含まれる、数値データおよび文字データに適合した記録方法が採用される。それによって、通信ネットワーク30がノイジィな環境下にある場合において、取得した「数値データ」および「文字データ」の中にノイズ化けしたデータがあっても、正常なデータを記録できる。その結果、送信データの記録の信頼性が向上する。
【0060】
なお、実施例2の変動データ処理において、データのサンプリング回数を5回とする例を示したが、これに限られない。例えば、サンプリング回数を、通信環境に応じて、3、5、7、および9回の中から選択するようにしてもよい。この場合、冷温蔵装置の設置場所のノイズ環境が悪く、取得送信データにノイズ化けが生じる場合、フィルタリング(サンプリング)回数を多くすることで、ノイズ化けデータの記録リスクを低減できる。また、通信トラフィク状況が混雑している場合には、フィルタリング(サンプリング)回数を少なくすることで、通信時間を低減できる。なお、このデータのサンプリング回数の選択処理は、変動データに限られず、固定データをフィルタリングする際にも適用できる。
【0061】
5.実施形態の効果
以上説明した一実施形態に係る冷温蔵装置監視システム1によると、冷温蔵装置20からの送信データは、送信データの種類に応じたデータ記録方法にしたがって取得される。そのため、例えば、送信データに数値データと文字データとが含まれる場合、数値データと文字データとでは記録方法を異ならせ、各データの種類に適合した記録方法を採用することができる。それによって、冷温蔵装置20からの送信データの記録の信頼性を、送信データの種類に適合して向上させることができる。
【0062】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0063】
(1)上記実施形態では、複数の冷温蔵装置20が冷温蔵装置監視システム1に含まれ、PC10が複数の冷温蔵装置20を監視する例を示したが、これに限られない。冷温蔵装置監視システム1には、1台の冷温蔵装置20しか含まれず、PC10は1台の冷温蔵装置20を監視する場合であってもよい。
【0064】
(2)上記実施形態では、冷却器および加熱器の少なくとも一方を備える収納庫として、冷温蔵装置20の例を示したが、これに限られない。収納庫は、冷蔵庫、冷凍庫、食器消毒保管庫、スチームコンベクションオーブン、ブラストチラー(急速冷却機)等であってもよい。