(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記復元用弾性部材は、前記延伸部材が前記収容部材に対して前記所定方向を回転軸として所定角度範囲内で回転することを許容するように設けられていることを特徴とする請求項8に記載の連結構造。
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔実施形態1〕
本発明の一実施形態について説明する。
【0027】
(1−1.管内作業装置1の全体構成)
図1は、本実施形態にかかる管内作業装置1の概略構成を示す説明図である。この図に示すように、管内作業装置1は、管2に設けられた分岐管3から管2の内部に挿入され、管2の内部で所定の作業を行う。
【0028】
なお、本実施形態では管内作業装置1が管2の検査を行う管検査装置である場合の例について説明するが、管内作業装置1の用途はこれに限るものではなく、例えば、管内の清掃を行う管清掃装置、管の補修を行う管補修装置、管内を撮影する撮像装置、管内の物質を採取する管内物質採取装置などに適用することもできる。
【0029】
管2は、例えば、上下水道管、ガス管などの流体を輸送するための配管である。また、分岐管3は、空気弁などを管2に取り付けるための、管2から分岐した管2よりも小径の分岐管である。なお、本実施形態では、管2の内径が1000mm、分岐管3の内径が75mmである場合の例について説明するが、管2および分岐管3のサイズはこれに限るものではない。
【0030】
管内作業装置1は、
図1に示すように、軸方向(所定方向)に沿って延伸する本体部10と、本体部10の先端に取り付けられたワイヤーケーブル(先端側ケーブル)11と、本体部10の後端側から本体部10の内部に挿入されたワイヤーケーブル(後端側ケーブル、線状部材)12と、本体部10の伸縮操作を行うための操作用治具13とを備えている。ワイヤーケーブル12の一端側は本体部10の内部を軸方向に沿って通って本体部10の先端近傍に取り付けられており、他端側は操作用治具13に取り付けられている。
【0031】
本体部10は、第1伸縮部14、第2伸縮部15、第3伸縮部16、第1関節部17、第2関節部18、位置決め用脚部(伸縮部材)19,21、検査用脚部(伸縮部材)20、およびモータ(駆動部)22を備えている。
【0032】
図2の(a)〜(c)は、それぞれ、ワイヤーケーブル12の構成、操作用治具13の構成、ワイヤーケーブル12の本体部10に対する接続部の構成を示す説明図である。
【0033】
図2に示したように、ワイヤーケーブル12は、インナーワイヤー31、アウターワイヤー32、アウターエンド33a,33b、インナー接続部34a,34b、ワイヤーエンド35a,35b、ロックナット36a〜36f、および取手部37を備えている。
【0034】
また、操作用治具13は、ワイヤーケーブル12の延伸方向に沿って延伸した基板40と、基板40から基板40の板面に対して略垂直な方向に突出したアウター取付板41およびU字板42a,42b,42cを備えている。アウター取付板41には、インナーワイヤー31が貫挿される穴(図示せず)が設けられている。また、U字板42a〜42cには、基板40から遠い側の端部をU字状に切り欠いた溝部(図示せず)が形成されている。
【0035】
インナーワイヤー31の一端側はインナー接続部34bでワイヤーエンド35bに固定されており、他端側はインナー接続部34aでワイヤーエンド35aに固定されている。インナーワイヤー31のワイヤーエンド35a,35bに対する固定方法は特に限定されるものではなく、例えばかしめ等の方法を用いることができる。
【0036】
アウターワイヤー32はインナーワイヤー31の周囲を覆うチューブ状の部材であり、一端側にアウターエンド33bが取り付けられ、他端側にアウターエンド33aが取り付けられている。また、アウターエンド33aにはロックナット36d,36eが取り付けられており、アウターエンド33bにはロックナット36fが取り付けられている。ロックナット36fは、アウターエンド33bを本体部10に取り付けるためのものである。ロックナット36d,36eは、これらロックナット36d,36eによって操作用治具13のアウター取付板41を挟み込むことにより、アウターエンド33aを操作用治具13に取り付けるためのものである。これにより、本体部10と操作用治具13との間ではインナーワイヤー31がアウターワイヤー32に覆われた状態になっている。
【0037】
アウターワイヤー32の材質は、特に限定されるものではないが、管内作業装置1を管内に挿入するときに延伸方向に対して湾曲可能であり、かつ延伸方向への圧縮荷重に対して変形しにくい材質であることが好ましい。本実施形態では、アウターワイヤー32として、ポリ塩化ビニル(PVC; polyvinyl chloride)製のチューブを用いている。なお、アウターワイヤー32は、内部に鋼線等の補強部材を備えた構成であってもよく、アウターワイヤー32の外周に沿って補強用のスプリング等を備えた構成であってもよい。
【0038】
インナーワイヤー31の一端側は、アウターワイヤー32における本体部10側の端部から露出しており、
図2の(c)に示すように、本体部10の内部を通って、インナーワイヤー31の一端側に取り付けられたワイヤーエンド35bが本体部10の先端側に配置された連結部材110に固定されている。
【0039】
インナーワイヤー31の他端側は、アウターワイヤー32における操作用治具13側の端部から露出しており、インナーワイヤー31の他端側に取り付けられたワイヤーエンド35aの端部にはロックナット36aにより取手部37が取り付けられている。
【0040】
これにより、管内作業装置1の操作者が取手部37を持ってワイヤーケーブル12を延伸方向に操作することにより、ワイヤーエンド35aに取り付けられたロックナット36b,36cが操作用治具13のU字板42a〜42cのいずれかに引掛けられるようになっている。
【0041】
また、インナーワイヤー31を引っ張ると、インナーワイヤー31はアウターワイヤー32内をアウターワイヤー32に対して長手方向に相対的に移動し、アウターワイヤー32から本体部10側に露出する部分の長さ、すなわちアウターエンド33bからワイヤーエンド35bまでの長さが変化するようになっている。なお、以下の説明では、ロックナット36b,36cをU字板42aに引掛けた状態を第1状態、U字板42bに引掛けた状態を第2状態、U字板42cに引掛けた状態を第3状態と称する。
【0042】
インナーワイヤー31の材質は、管内作業装置1を管内に挿入するときに延伸方向に対して湾曲可能であり、かつ延伸方向への引張荷重に対して適度な強度を有する材質であれば特に限定されるものではなく、例えば各種金属材料からなるものを用いることができる。なお、インナーワイヤー31におけるアウターワイヤー32に覆われる部分に、潤滑剤を塗布しておいてもよい。
【0043】
ワイヤーケーブル(先端側ケーブル)11は、連結部材110の先端側に固定されたアイナット114に取り付けられている。ワイヤーケーブル11は、管2における分岐管3とは異なる分岐部(図示せず)から管2の外部に引き出され、このワイヤーケーブル11を引っ張ることにより管内作業装置1が管2内を移動するようになっている。
【0044】
(1−2.本体部10の構成)
図3は、本体部10の構成を示す断面図であり、(a)は第1状態、(b)は第2状態、(c)は第3状態を示している。
【0045】
本体部10は、
図1および
図3に示したように、第1伸縮部14、第2伸縮部15、第3伸縮部16、第1関節部17、および第2関節部18を備えている。また、第1伸縮部14には周方向に沿って略等間隔で3か所に位置決め用脚部(伸縮部材)19が備えられており、第2伸縮部15には本体部10の中心軸に対して対称な2か所に検査用脚部(伸縮部材)20が備えられており、第3伸縮部16には周方向に沿って略等間隔で3か所に位置決め用脚部(伸縮部材)21が備えられている。
【0046】
図3の(a)に示したように、第1状態では、第1伸縮部14、第2伸縮部15、および第3伸縮部16はいずれも伸長した状態になり、位置決め用脚部19,21および検査用脚部20は、
図4の(a)〜(c)に示すように、本体部10に近接する位置まで収縮し、本体部10の外径は分岐管3の内径よりも小さくなる。
図4の(a)〜(c)は、それぞれ
図3の(a)におけるA−A断面、B−B断面、C−C断面の断面図である。
【0047】
また、第1状態では、第1関節部17および第2関節部18は軸方向に対して屈曲可能な状態になる。これにより、本体部10を分岐管3から管2内に容易に挿入することができる。
【0048】
図3の(b)に示したように、第2状態では、第1伸縮部14および第3伸縮部16が収縮した状態になる一方、第2伸縮部15は伸長した状態に維持される。これにより、位置決め用脚部19,21が伸長して管2の内壁に当接し、本体部10はこれら各位置決め用脚部によって本体部10の軸心と管2の軸心とが略一致する位置で位置決めされて支持される。また、検査用脚部20は、本体部10に近接する位置まで収縮した状態に維持される。また、第2状態では、第1関節部17は軸方向に対する屈曲が制限された状態(軸方向に屈折しない状態)になり、第2関節部18は軸方向に対して屈曲可能な状態に維持される。
【0049】
図3の(c)に示したように、第3状態では、第1伸縮部14、第3伸縮部16、および第2伸縮部15がいずれも収縮した状態になる。これにより、位置決め用脚部19,21は伸長して管2の内壁に当接した状態に維持されるとともに、検査用脚部20が伸長して検査用脚部20の先端が所定の検査位置(
図3の例では管2に当接する位置)まで伸長する。なお、第3状態では、第1関節部17および第2関節部18は軸方向に対する屈曲が制限された状態(軸方向に屈折しない状態)になる。
【0050】
図5は、第3状態における本体部10の構成を示す説明図である。この図に示すように、第3状態では、各3本の位置決め用脚部19,21が伸長して管2の内壁に当接し、本体部10の軸心が管2の軸心と略一致するように本体部10が支持される。また、第3状態では、2本の検査用脚部20が伸長し、検査用脚部20の先端に設けられた検査装置(図示せず)が所定の検査位置に配置される。
【0051】
なお、上記検査装置の構成は特に限定されるものではなく、例えば、過流探傷装置、超音波探傷装置、撮像装置など、管の検査を行うための各種装置を用いることができる。
【0052】
また、上記所定の検査位置は、検査用脚部20の先端に取り付けられた検査装置(図示せず)を用いて管2の検査を行うための位置であり、検査装置の種類や特性等に応じて設定される。例えば、上記検査位置は、検査装置が管2の内壁に当接する位置であってもよく、管2の内壁の近傍の位置であってもよく、管2の内壁から所定距離だけ離れた位置であってもよい。また、検査用脚部20を省略し、検査装置を本体部10、位置決め用脚部19、あるいは位置決め用脚部21に取り付けてもよい。
【0053】
また、本実施形態では、位置決め用脚部19,21を周方向に沿ってそれぞれ3本備えているが、位置決め用脚部19,21の本数はこれに限るものではなく、本体部10を安定して支持できる構成であればよい。
【0054】
また、位置決め用脚部19,21の一方を省略してもよく、位置決め用脚部19,21に加えて他の位置決め用脚部(図示せず)を備えていてもよい。
【0055】
(1−3.本体部10の構成)
図6は、ワイヤーケーブル12におけるインナーワイヤー31の張力の状態と本体部10の各部の伸縮状態との関係を示す説明図であり、(a)は第1状態、(b)は第2状態、(c)は第3状態を示している。
【0056】
図6の(a)〜(c)に示したように、本体部10は、軸方向に沿って直列に配置された連結部材50、60、70、80、90、100、および110からなる連結構造を有している。
【0057】
連結部材(延伸部材)50は、ベース部50aと、ベース部50aから本体部10の軸方向に沿って連結部材60側に延伸する延伸部51とを備えている。延伸部51は、根元側(ベース部50a側)に設けられた胴体部52と、先端側に設けられた曲面部である球状部54と、胴体部52と球状部54とを接続する小径部53とを備えている。なお、胴体部52における延伸方向に垂直な方向の外径と球状部54における同方向の外径とは略同一であり、小径部53における上記方向の外径は胴体部52および球状部54の外径よりも小さくなっている。また、連結部材50(ベース部50a)における連結部材60との対向部近傍の外周面には、位置決め用脚部19を取り付けるための脚取付部55が周方向に沿って等間隔で3か所に設けられている。
【0058】
なお、ベース部50aは必須の構成ではなく、省略してもよい。例えば、
図11に示すように、ベース部50aを省略して連結部材50を延伸部51のみからなる構成とし、脚取付部55を延伸部51の胴体部52に設けてもよい。
【0059】
また、本実施形態では、胴体部52の外径と球状部54の外径とを略同一とし、胴体部52と球状部54との間にそれら両部材よりも外径が小さい小径部53を設けているが、これに限るものではない。例えば、
図12に示すように、胴体部52の外径を球状部54の外径よりも小さくし、小径部53を省略してもよい。また、
図13に示すように、小径部53を省略するとともに、胴体部52を先端側へ向かうほど外径が小さくなるテーパ形状とし、かつ胴体部52における球状部54との接続部の外径を球状部54の外径よりも小さくしてもよい。
【0060】
連結部材(貫通部材)60は、連結部材50の延伸部51が貫挿される、延伸部51の外径よりも内径がわずかに大きい貫通孔61を備えている。また、連結部材60における連結部材50との対向部近傍の外周面には、連結部材50の各脚取付部55に対応する位置に、位置決め用脚部19を取り付けるための脚取付部62がそれぞれ設けられている。
【0061】
また、連結部材50と連結部材60との間(第1伸縮部14)には、延伸部51の外周に沿ってバネ(弾性部材、第1弾性部材)56が配置されており、連結部材50と連結部材60とはバネ56によって互いに離間する方向に付勢されている。
【0062】
連結部材70は、連結部材60との対向面に、連結部材60を貫通した延伸部51を収容するための、延伸部51の外径よりもわずかに大きい内径を有する収容部71を備えている。また、連結部材60と連結部材70との接続部(第1関節部17)には、これら両連結部材の外周面に沿ってバネ(復元用弾性部材)63(
図1参照)が配置されている。バネ63は、連結部材60と連結部材70との間に外力が作用していない場合に、これら両連結部材を互いの軸心が略一致する状態で当接させる方向に付勢している。すなわち、バネ63は、連結部材60と連結部材70との間が屈曲した場合に、これら両部材の相対位置(相対角度)を互いの軸心が略一致する初期位置に復元させる復元力を付与している。
【0063】
なお、連結部材60は必須の構成ではなく、省略してもよい。例えば、
図14に示すように、連結部材60を省略し、連結部材50と連結部材70との間における延伸部51の外周に沿ってバネ56を配置してもよい。あるいは、
図15に示すように、バネ56を連結部材70における収容部71内(連結部材50の球状部54と収容部71の底面(収容部における連結部材50から遠い側の端部)との間)に配置してもよい。また、連結部材60を省略する場合、脚取付部62を連結部材70に設けてもよい。
【0064】
また、本実施形態ではバネ63によって上記復元力を付与しているが、これに限るものではない。例えば、連結部材70の収容部71における第1状態において球状部54に当接する部分に周方向に沿ってゴム等の弾性部材を配置し、連結部材50の球状部54に上記弾性部材に係合する溝を設けておき、上記弾性部材によって連結部材50を連結部材70に対して屈曲可能に支持するとともに、外力が加えられたときに復元力が付与される構成としてもよい。
【0065】
また、連結部材(収容部材)70には、連結部材80,90を本体部10の軸方向に沿って回転駆動するためのモータ(駆動部)22が取り付けられている。
【0066】
図7は、モータ22と連結部材80との接続部の構成を示す説明図である。この図に示すように、モータ22の駆動軸22aには外歯歯車22bが形成されている。また、連結部材80における連結部材70側の面は連結部材70側に開口した略円筒形状になっており、この円筒形状の内周面はモータ22の外歯歯車22bと噛み合う歯面が形成された内歯歯車になっている。
【0067】
これにより、モータ22の駆動軸22aが回転駆動されると連結部材80および90(
図6に示した第2関節部18から回転接続部18bまでの範囲)が本体部10の軸方向に沿って回転する。
【0068】
また、連結部材(延伸部材)80は、ベース部80aと、ベース部80aから本体部10の軸方向に沿って連結部材90側に延伸する延伸部81とを備えている。延伸部81は、根元側(ベース部80a側)に設けられた胴体部82と、先端側に設けられた曲面部である球状部84と、胴体部82と球状部84とを接続する小径部83とを備えている。なお、胴体部82における延伸方向に垂直な方向の外径と球状部84における同方向の外径とは略同一であり、小径部83における上記方向の外径は胴体部82および球状部84の外径よりも小さくなっている。また、連結部材80における連結部材90との対向部近傍の外周面には、検査用脚部20を取り付けるための脚取付部85が連結部材80の軸に対して対称な2か所に設けられている。
【0069】
連結部材(貫通部材)90は、連結部材80の延伸部81が貫挿される、延伸部81の外径よりも内径がわずかに大きい貫通孔91を備えている。また、連結部材90における連結部材80との対向部近傍の外周面には、連結部材80の各脚取付部85に対応する位置に、検査用脚部20を取り付けるための脚取付部92がそれぞれ設けられている。
【0070】
また、連結部材80と連結部材90との間(第2伸縮部15)には、延伸部81の外周に沿ってバネ(弾性部材、第2弾性部材)86が配置されており、連結部材80と連結部材90とはバネ86によって互いに離間する方向に付勢されている。なお、本実施形態では、バネ86として、バネ56よりも弾性力が強いバネを用いている。
【0071】
連結部材(収容部材)100は、連結部材90との対向面に、連結部材90を貫通した延伸部81を収容するための、延伸部81の外径よりもわずかに大きい内径を有する収容部101を備えている。
【0072】
また、
図8の(a)に示すように、連結部材90と連結部材100との接続部(第2関節部18)には、これら両連結部材の外周面に沿ってバネ(復元用弾性部材)93が配置されている。
【0073】
バネ93は、
図8の(b)に示すように、連結部材90,100に螺旋状に巻き付けられる螺旋部93cと、螺旋部93cの両端に形成された接続部93a,93bとを備えている。接続部93a,93bはそれぞれ連結部材90,100の周方向に沿って形成された開口部を有しており、この開口部に連結部材90,100の外周面に形成された突出部94,104を引掛けることにより、バネ93が連結部材90,100に装着される。上記各開口部は、連結部材90,100の周方向に沿って約180°の範囲にわたって形成されている。
【0074】
これにより、モータ22が駆動軸22aを回転させることにより、連結部材90と連結部材100とが所定の基準位置に対して相対的に±180°の範囲で回転できるようになっている。また、バネ93により、連結部材90と連結部材100とは、これら両連結部材に外力が作用していない場合に貫通孔91と収容部101とが連通する状態(連結部材90の軸心と連結部材100の軸心とが略一致する状態)で当接するように付勢されている。なお、上述したバネ63の構成およびバネ63の連結部材60,70に対する装着方法についても、バネ93の構成およびバネ93の連結部材90,100に対する装着方法と略同様である。
【0075】
また、連結部材100は、連結部材110との対向面に、連結部材110に備えられる延伸部111を収容するための、延伸部111の外径よりもわずかに大きい内径を有する収容部102を備えている。また、連結部材100における連結部材110との対向部近傍の外周面には、位置決め用脚部21を取り付けるための脚取付部103が周方向に沿って等間隔で3か所に設けられている。
【0076】
連結部材110は、ベース部110aと、本体部10の軸方向に沿って連結部材100側に延伸する円筒形状の延伸部111とを備えており、延伸部111の一部は連結部材100の収容部102に収容されている。また、連結部材110における連結部材100との対向部近傍の外周面には、連結部材100の各脚取付部103に対応する位置に、位置決め用脚部21を取り付けるための脚取付部112がそれぞれ設けられている。
【0077】
また、連結部材100と連結部材110との間(第3伸縮部16)には、延伸部111の外周に沿ってバネ(弾性部材、第1弾性部材)113が配置されており、連結部材100と連結部材110とはバネ113によって互いに離間する方向に付勢されている。なお、本実施形態では、バネ113として、バネ56と略同一の弾性力を有するバネを用いている。また、連結部材110には、
図2の(c)に示したように、ワイヤーケーブル12のワイヤーエンド35b(インナーワイヤー31の一端部)、およびワイヤーケーブル11を取り付けるためのアイナット114が取り付けられている。
【0078】
(1−4.位置決め用脚部19,21および検査用脚部20の構成)
図9は、位置決め用脚部19,21の構成を示す説明図であり、(a)は位置決め用脚部19,21を収縮させた状態の側面図、(b)は位置決め用脚部19,21の上面図(管2の内壁との当接面の図)、(c)は位置決め用脚部19,21を伸長させた状態の側面図である。なお、検査用脚部20の構成は、検査用脚部20の先端部に管2を検査するための検査装置(図示せず)が設けられている以外は位置決め用脚部19,21と略同様である。このため、検査用脚部20の構成の詳細については説明を省略する。
【0079】
図9の(c)に示すように、位置決め用脚部19,21は、連結棒120,121,122からなる第1連結棒群と、連結棒123,124,125からなる第2連結棒群とを備えている。
【0080】
位置決め用脚部19を代表に説明すると、連結棒120の一端側は接続部130によって連結部材50の脚取付部55に対して回転可能に取り付けられており、連結棒120の他端側は接続部134によって連結棒121の一端側に互いに回転可能に接続されている。また、連結棒121の他端側は接続部136によって連結棒122の一端側に互いに回転可能に接続されている。また、連結棒122の他端側は、連結棒122および連結棒125を接続するための接続部材143に対して回転可能に接続されている。
【0081】
また、連結棒123の一端側は接続部131によって連結部材60の脚取付部62に対して回転可能に取り付けられており、連結棒123の他端側は接続部133によって連結棒124の一端側に互いに回転可能に接続されている。また、連結棒124の他端側は接続部137によって連結棒125の一端側に互いに回転可能に接続されている。また、連結棒125の他端側は接続部材143に対して回転可能に接続されている。
【0082】
また、接続部材143における本体部10の径方向外側には、管2と当接する部材である先端部材142が配置されている。また、先端部材142は位置決め用脚部19,21に対して本体部10の径方向に所定範囲内で平行移動可能になっており、先端部材142と接続部材143との間にはバネ(先端付勢部材)140,141が配置されており、このバネ140,141によって先端部材142は本体部10の径方向外側(当該先端部材142を管の内壁に押し付ける方向)に付勢されている。なお、本実施形態では、バネ140,141によって先端部材142を径方向外側に付勢しているが、これに限らず、例えばゴム等の弾性部材によって付勢してもよい。
【0083】
また、連結棒120と連結棒123とは略同じ長さを有しており、互いに交差するように配置されるとともに、これら両部材の交差部が接続部132によって互いに回転可能に接続されている。なお、接続部130から接続部132までの距離と接続部131から接続部132までの距離とは略同じ長さに設定されている。
【0084】
また、連結棒121と連結棒124とは略同じ長さを有しており、互いに交差するように配置されるとともに、これら両部材の交差部が接続部135によって互いに回転可能に接続されている。なお、接続部133から接続部135までの距離と接続部134から接続部135までの距離とは略同じ長さに設定されている。また、連結棒122と連結棒125とは略同じ長さを有している。
【0085】
また、位置決め用脚部19,21の各連結棒は、第1状態では
図9の(a)に示すように互いに折り重なるようにして本体部10の軸心に略平行な状態に配置されるようになっている。
【0086】
(1−5.本体部10の動作)
(1−5−1.第1状態)
ワイヤーケーブル12が第1状態に設定されている場合、
図6の(a)に示したように、連結部材50と連結部材60との間隔(第1伸縮部14の間隔)および連結部材100と連結部材110との間隔(第3伸縮部16の間隔)がバネ56,113の弾性力によって広げられて距離D1になり、連結部材80と連結部材90との間隔(第2伸縮部15の間隔)がバネ86の弾性力によって広げられて距離D3になる。
【0087】
その結果、位置決め用脚部19,21および検査用脚部20は、
図6の(a)および
図9の(a)に示したように、本体部10に近接する位置まで収縮し、位置決め用脚部19,21および検査用脚部20の各連結棒は互いに折り重なる構成になる。これにより、第1状態では、
図4の(a)〜(c)に示したように、位置決め用脚部19,21および検査用脚部20が収縮して本体部10の外径が分岐管3の内径よりも小さくなり、分岐管3を介して管2内に本体部10を挿入可能になる。
【0088】
図10の(a)は、第1状態における第1伸縮部14の状態をより詳細に示した説明図である。この図に示すように、第1状態では、連結部材50における延伸部51は、先端の球状部54が連結部材70の収容部71に収容され、小径部53が連結部材60と連結部材70との接続部である第1関節部17に配置される。
【0089】
これにより、連結部材50,60は、球状部54を軸として連結部材70に対して軸方向に屈曲可能になる。なお、第1関節部17にはバネ63が備えられており、このバネ63によって連結部材50,60と連結部材70とは互いの軸方向が一致する方向に付勢されている。これにより、連結部材50,60は、バネ63の弾性力に打ち勝つ外力が作用した場合に連結部材70に対して屈曲する。また、連結部材50,60が連結部材70に対して屈曲した場合であっても、バネ63が設けられていることによってこれら各連結部材が完全に離脱せず、外力が除去された場合に元の位置に容易に復元するようになっている。
【0090】
同様に、第1状態では、
図6の(a)に示したように、連結部材80における延伸部81は、先端の球状部84が連結部材100の収容部101に収容され、小径部83が連結部材90と連結部材100との接続部である第2関節部18に配置される。
【0091】
これにより、連結部材80,90は、球状部84を軸として連結部材100に対して軸方向に屈曲可能になる。また、第2関節部18にはバネ93が備えられており、このバネ93によって連結部材80,90と連結部材100とは互いの軸方向が一致する方向に付勢されている。これにより、連結部材80,90は、バネ93の弾性力に打ち勝つ外力が作用した場合に連結部材100に対して屈曲する。また、連結部材80,90が連結部材100に対して屈曲した場合であっても、バネ93が設けられていることによってこれら各連結部材が完全に離脱せず、外力が除去された場合に元の位置に容易に復元するようになっている。なお、本実施形態ではバネ93によって上記復元力を付与しているが、これに限るものではなく、例えば上述したバネ63に代えてゴム等の弾性部材を用いる構成と同様、ゴム等の弾性部材によって復元力を付与する構成としてもよい。
【0092】
(1−5−2.第2状態)
ワイヤーケーブル12が第1状態から第2状態に切り替えられると、インナーワイヤー31の張力がバネ56,113の弾性力に打ち勝って連結部材50と連結部材60との間隔(第1伸縮部14の間隔)および連結部材100と連結部材110との間隔(第3伸縮部16の間隔)が距離D1より狭い距離D2になる。これにより、
図6の(b)および
図9の(c)に示したように、位置決め用脚部19,21は管2の内壁に当接する位置まで伸長する。
【0093】
また、本実施形態では、上述したように、バネ56,113の弾性力を略同一とし、バネ86の弾性力をバネ56,113よりも強く設定している。これにより、第2状態では、
図6の(b)に示したように、第1伸縮部14と第3伸縮部16とが収縮して位置決め用脚部19,21が伸長する一方、第2伸縮部15(連結部材80と連結部材90との間隔)は伸長した状態に維持され、検査用脚部20は収縮したままになる。
【0094】
図10の(b)は、第2状態における第1伸縮部14の状態をより詳細に示した説明図である。この図に示すように、第2状態では、連結部材50における延伸部51は、先端の球状部54と、小径部53と、胴体部52の一部とが連結部材70の収容部71に収容される。これにより、胴体部52と収容部71の内壁とが干渉し、連結部材50,60の連結部材70に対する屈曲が制限される。
【0095】
なお、第2状態では、第1状態と同様、連結部材80,90(第2伸縮部15)は、球状部84を軸として連結部材100に対して軸方向に屈曲可能な状態に維持される。
【0096】
(1−5−3.第3状態)
ワイヤーケーブル12が第2状態から第3状態に切り替えられると、
図6の(c)に示したように、インナーワイヤー31の張力がバネ86の弾性力に打ち勝って連結部材80と連結部材90との間隔(第2伸縮部15の間隔)が第1状態および第2状態における距離D3よりも狭い距離D4になり、検査用脚部20が所定の検査位置まで伸長する。
【0097】
また、第3状態では、
図6の(c)に示したように、連結部材80における延伸部81は、先端の球状部84と、小径部83と、胴体部82の一部とが連結部材100の収容部101に収容される。これにより、胴体部82と収容部101の内壁とが干渉し、連結部材80,90の連結部材100に対する屈曲が制限される。
【0098】
(1−6.実施形態1のまとめ)
以上のように、本実施形態にかかる管内作業装置1は、所定方向に連結された複数の連結部材(50,60,70,80,90,100,110)を備え、管2に挿入されて当該管2の内部で作業を行う管内作業装置1の連結構造であって、前記連結部材として、前記所定方向に延伸する延伸部(51,81)を有する延伸部材(50,80)と、前記延伸部(51,81)を収容する収容部(71,101)を有する収容部材(70,100)とを備え、前記延伸部は、前記所定方向に延伸する胴体部(52,82)と、前記所定方向の先端に設けられた球状部(54,84)とを有し、前記延伸部材と前記収容部材との間隔を、前記球状部が前記収容部に収容された状態で前記胴体部が前記収容部から離脱し、前記延伸部材と前記収容部材との接続部が前記球状部を軸として前記所定方向に対して屈曲可能になる第1状態と、前記胴体部の少なくとも一部と前記球状部とが前記収容部に収容され、前記胴体部と前記収容部の内壁とが干渉することにより前記接続部の屈曲が前記第1状態よりも制限される第2状態とに切替可能になっている。
【0099】
これにより、第1状態において本体部10を軸方向に対して屈曲可能にすることができることができるので、管2に備えられる分岐管3から管内作業装置1を管2内に容易に挿入することができる。また、第2状態に切り替えることにより本体部10の第1関節部17の屈曲が制限された状態にすることができ、第3状態に切り替えることにより第2関節部18の屈曲が制限された状態にすることができるので、管内作業装置1を管に挿入した後の管内作業装置1の位置決めを精度よく行うとともに、管内作業装置1の姿勢を安定させることができる。また、従来のように、管の継手部を解体したり、管に管内作業装置を挿入するための大きな開口を設けたりする必要がないので、管内作業を容易に行うことができる。
【0100】
なお、本実施形態では、連結部材50の延伸部51、および連結部材80の延伸部81が同方向に延伸するように配置された構成について説明したが、これに限らず、上記両延伸部が互いに反対方向(互いに向き合う方向、または互いに反対側に延伸する方向)に配置されていてもよい。
【0101】
また、本実施形態では、第1伸縮部14、第2伸縮部15、および第3伸縮部16の3つの伸縮部を備えた構成について説明したが、これに限るものではなく、伸縮部の数は検査対象とする管2のサイズや分岐管3のサイズ等に応じて適宜変更してもよい。
【0102】
また、本実施形態では、本体部10を軸方向に対して屈曲可能な関節部を2か所(第1関節部17および第2関節部18)に設けた構成について説明したが、関節部の数は検査対象とする管2のサイズや分岐管3のサイズ等に応じて適宜変更してもよい。
【0103】
また、本実施形態では、本体部10の延伸方向に沿った2箇所(第1伸縮部14および第3伸縮部16)に位置決め用脚部19,21を備え、1箇所(第2伸縮部15)に検査用脚部20を備えている構成について説明したが、これに限るものではない。例えば、位置決め用脚部19,21の一方または両方に代えて、気体または液体を注入することによって膨張するバルーン(膨張体;図示せず)を配置し、管内作業装置1を管2内に挿入した後に上記バルーンを管2の内壁に当接するまで膨らませることにより、管内作業装置1の管2に対する位置決めおよび支持を行うようにしてもよい。
【0104】
また、本実施形態では、第1伸縮部14、第2伸縮部15、および第3伸縮部16に備えられる弾性部材としてバネ56,86,113を用いているが、これに限らず、ゴム等の他の弾性部材を用いてもよい。
【0105】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1と同じ機能を有する部材については同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0106】
実施形態1では、第1状態では第1関節部17および第2関節部18が共に屈曲可能になり、第2状態では第1関節部17の屈曲が制限される一方、第2関節部18が屈曲可能な状態に維持され、第3状態では第1関節部17および第2関節部18の屈曲が共に制限される構成について説明した。これに対して、本実施形態では、第1状態では第1関節部17および第2関節部18が共に屈曲可能になり、第2状態および第3状態では第1関節部17および第2関節部18の屈曲が共に制限される構成について説明する。
【0107】
(2−1.本体部10bの構成)
図16は、本実施形態にかかる管内作業装置1における本体部10bの構成を示す説明図であり、(a)は第1状態、(b)は第2状態、(c)は第3状態を示している。なお、本体部10bは、実施形態1における本体部10に代えて管内作業装置1に備えられるものである。
【0108】
図16に示すように、本体部10bは、実施形態1の本体部10における連結部材80、90、100、および110に代えて、連結部材150、160、170、および180を備えている。連結部材50、60、および70の構成は実施形態1と同様である。
【0109】
連結部材150は、ベース部150aと、ベース部150aから本体部10bの軸方向に沿って連結部材160側に延伸する延伸部151とを備えている。また、連結部材150における連結部材160との対向部近傍の外周面には、検査用脚部20を取り付けるための脚取付部152が本体部10bの軸方向に対して対称な2か所に設けられている。
【0110】
また、連結部材150における連結部材70側の面は、実施形態1における連結部材80と同様(
図7参照)、連結部材70側に開口した略円筒形状になっており、この円筒形状の内周面はモータ22の外歯歯車22bと噛み合う歯面が形成された内歯歯車になっている。これにより、モータ22の駆動軸22aが回転駆動されると連結部材150および160(
図16に示した第2関節部18から回転接続部18bまでの範囲)が本体部10bの軸方向に沿って回転する。
【0111】
連結部材160は、連結部材150との対向面に、連結部材150に備えられる延伸部151を収容するための、延伸部151の外径よりもわずかに大きい内径を有する収容部161を備えている。また、連結部材160における連結部材150との対向部近傍の外周面には、連結部材150の各脚取付部152に対応する位置に、検査用脚部20を取り付けるための脚取付部162がそれぞれ設けられている。
【0112】
また、連結部材160は、連結部材170との対向面に、連結部材180に備えられる延伸部181を収容するための、延伸部181の外径よりもわずかに大きい内径を有する収容部163を備えている。
【0113】
また、連結部材50と連結部材150との間(第2伸縮部15)には、延伸部151の外周に沿ってバネ(第2弾性部材)86が配置されており、連結部材150と連結部材160とはバネ86によって互いに離間する方向に付勢されている。なお、本実施形態では、バネ86として、バネ56よりも弾性力が強いバネを用いている。
【0114】
連結部材170は、連結部材180に備えられる延伸部181が貫挿される、延伸部181の外径よりも内径がわずかに大きい貫通孔172を備えている。また、連結部材170における連結部材180との対向部近傍の外周面には、位置決め用脚部21を取り付けるための脚取付部171が周方向に沿って等間隔で3か所に設けられている。
【0115】
また、連結部材160と連結部材170との接続部(第2関節部18)には、実施形態1と同様(
図8の(a)参照)、これら両連結部材の外周面に沿ってバネ(復元用弾性部材)93が配置されている(
図16では図示せず)。
【0116】
連結部材180は、ベース部180aと、ベース部180aから本体部10bの軸方向に沿って連結部材170側に延伸する延伸部181とを備えている。延伸部181は、根元側(ベース部180a側)に設けられた胴体部184と、先端側に設けられた球状部182と、胴体部184と球状部182とを接続する小径部183とを備えている。なお、胴体部184における延伸方向に垂直な方向の外径と球状部182における同方向の外径とは略同一であり、小径部183における上記方向の外径は胴体部184および球状部182の外径よりも小さくなっている。また、連結部材180における連結部材170との対向部近傍の外周面には、連結部材170の各脚取付部171に対応する位置に、位置決め用脚部21を取り付けるための脚取付部185がそれぞれ設けられている。
【0117】
また、連結部材170と連結部材180との間(第3伸縮部16)には、延伸部181の外周に沿ってバネ(第1弾性部材)113が配置されており、連結部材170と連結部材180とはバネ113によって互いに離間する方向に付勢されている。なお、本実施形態では、バネ113として、バネ56と略同一の弾性力を有するバネを用いている。また、連結部材180には、実施形態1における連結部材110と同様、ワイヤーケーブル12のワイヤーエンド35b(インナーワイヤー31の一端部)、およびワイヤーケーブル11を取り付けるためのアイナット114が取り付けられている(
図2の(c)参照)。
【0118】
(2−2.本体部10bの動作)
(2−2−1.第1状態)
ワイヤーケーブル12が第1状態に設定されている場合、
図16の(a)に示したように、連結部材50と連結部材60との間隔(第1伸縮部14の間隔)および連結部材170と連結部材180との間隔(第3伸縮部16の間隔)がバネ56,113の弾性力によって広げられて距離D1になり、連結部材150と連結部材160との間隔(第2伸縮部15の間隔)がバネ86の弾性力によって広げられて距離D3になる。
【0119】
その結果、位置決め用脚部19,21および検査用脚部20は、
図16の(a)に示したように、本体部10bに近接する位置まで収縮し、位置決め用脚部19,21および検査用脚部20の各連結棒は互いに折り重なる構成になる。これにより、第1状態では、位置決め用脚部19,21および検査用脚部20が収縮して本体部10bの外径が分岐管3の内径よりも小さくなり、分岐管3を介して管2内に本体部10bを挿入可能になる。
【0120】
また、第1状態では、実施形態1と同様、第1関節部17において連結部材50,60が球状部54を軸として連結部材70に対して軸方向に屈曲可能になり、第3関節部18において連結部材170,180が球状部182を軸として連結部材160に対して軸方向に屈曲可能になる。
【0121】
(2−2−2.第2状態)
ワイヤーケーブル12が第1状態から第2状態に切り替えられると、インナーワイヤー31の張力がバネ56,113の弾性力に打ち勝って連結部材50と連結部材60との間隔(第1伸縮部14の間隔)および連結部材170と連結部材180との間隔(第3伸縮部16の間隔)が距離D1より狭い距離D2になる。これにより、
図16の(b)に示したように、位置決め用脚部19,21は管2の内壁に当接する位置まで伸長する。
【0122】
なお、本実施形態では、バネ56,113の弾性力を略同一とし、バネ86の弾性力をバネ56,113よりも強く設定している。このため、第2状態では、
図16の(b)に示したように、第1伸縮部14と第3伸縮部16とが収縮して位置決め用脚部19,21が伸長する一方、第2伸縮部15(連結部材150と連結部材160との間隔)は伸長した状態に維持され、検査用脚部20は収縮したままになる。
【0123】
また、第2状態では、連結部材50における延伸部51は、先端の球状部54と、小径部53と、胴体部52の一部とが連結部材70の収容部71に収容される。これにより、胴体部52と収容部71の内壁とが干渉し、連結部材50,60の連結部材70に対する屈曲が制限される。
【0124】
同様に、第2状態では、連結部材180における延伸部181は、先端の球状部182と、小径部183と、胴体部184の一部とが連結部材160の収容部163に収容される。これにより、胴体部184と収容部163の内壁とが干渉し、連結部材180の連結部材160,170に対する屈曲が制限される。
【0125】
(2−2−3.第3状態)
ワイヤーケーブル12が第2状態から第3状態に切り替えられると、
図16の(c)に示したように、インナーワイヤー31の張力がバネ86の弾性力に打ち勝って連結部材150と連結部材160との間隔(第2伸縮部15の間隔)が第1状態および第2状態における距離D3よりも狭い距離D4になり、検査用脚部20が所定の検査位置まで伸長する。
【0126】
なお、第3状態では、第2状態と同様、連結部材50,60の連結部材70に対する屈曲、および連結部材180の連結部材160,170に対する屈曲は制限される。
【0127】
(2−3.実施形態2のまとめ)
以上のように、本実施形態にかかる管内作業装置1では、第1状態では第1関節部17および第2関節部18が共に屈曲可能になり、第2状態および第3状態では第1関節部17および第2関節部18の屈曲が共に制限される。
【0128】
これにより、第2状態において位置決め用脚部19,21を伸長させて本体部10bの位置決め、および本体部10bの屈曲の制限(第1関節部17および第2関節部18の屈曲の制限)を行った後、第3状態において検査用脚部20を伸長させることができる。したがって、本体部10bの姿勢をより安定させた状態で検査用脚部20を伸長させることができるので、検査位置をより正確に設定することができる。
【0129】
また、本実施形態では、第2関節部18の位置を実施形態1よりも本体部10bの先端側に配置している。これにより、本体部10bを管2に挿入する作業をより容易に行うことができる。
【0130】
なお、上記2つの実施形態では、曲面部として略球状の曲面を有する球状部を用い、屈曲の方向を自在にしたものを記載したが、略球状に限られるものではなく、一方向への屈曲を可能とするような曲面であってもよい。
【0131】
また、上記2つの実施形態では、管に備えられる分岐管から管内作業装置を管内に挿入する例を記載したが、本発明の管内作業装置は対象となる管の直径よりも小さな開口から挿入できればよく、管側面に形成した小さな開口や、小径管の先端や、弁などから管内に挿入してもよく、分岐管から挿入する構成に限られるものではない。
【0132】
本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することもできる。