特許第6335129号(P6335129)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6335129
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】ブラインドの回転機構
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/322 20060101AFI20180521BHJP
【FI】
   E06B9/322
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-31870(P2015-31870)
(22)【出願日】2015年2月20日
(65)【公開番号】特開2016-153568(P2016-153568A)
(43)【公開日】2016年8月25日
【審査請求日】2017年7月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134958
【氏名又は名称】株式会社ニチベイ
(74)【代理人】
【識別番号】100182349
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 誠治
(72)【発明者】
【氏名】江川 健
【審査官】 家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特許第3358638(JP,B2)
【文献】 特開2005−271873(JP,A)
【文献】 実開平7−5361(JP,U)
【文献】 米国特許第5238043(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/24−9/388
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラットを回転させる回転軸と一体に回転する駆動部と、
前記駆動部の回転が減速されて伝達される従動部と、
前記従動部と一体に回転する係合部と回転角度に応じて前記係合部が係合する被係合部とからなり、前記係合部と前記被係合部との係合により操作感を発生させる操作感発生部と、
を備えたことを特徴とする、ブラインドの回転機構。
【請求項2】
前記従動部は前記回転軸とは異なる軸心を有することを特徴とする、請求項1に記載のブラインドの回転機構。
【請求項3】
前記従動部の軸心は前記回転軸の軸心から下方にオフセットされた位置にあり、前記係合部と前記被係合部は前記回転軸の下方において係合することを特徴とする、請求項2に記載のブラインドの回転機構。
【請求項4】
前記被係合部は、ヘッドボックスの前後方向に延びて配置される板バネであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のブラインドの回転機構。
【請求項5】
前記係合部は前記従動部の周方向において、少なくとも2箇所設けられることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のブラインドの回転機構。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラインドの回転機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のブラインドの回転機構としては、特許第3358638号公報(特許文献1)に開示されているものがある。特許文献1に開示されるブラインドの回転機構は、スラットを回転させる回転軸と一体回転する係合突起と、回転軸と同軸に所定の角度範囲回動自在に設けられた弧状部材と、弧状部材から軸方向に突出し、係合突起と側面において係合する係止突起と、係合突起を保持する板ばね部材と、を備えて構成される。係止突起は、係合突起と係合した後、所定の角度一体に回転し、その後、弧状部材の回転が規制されて停止するように構成されている。これにより、係合突起は360度よりも大きい角度範囲で回転することができる。また、板ばね部材には、係止突起の回転の軌跡に沿って係止突起が嵌着する複数の凹部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許3358638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示されるブラインドの回転機構では、回転軸が回転する角度範囲が弧状部材の回動範囲に依存することになり、その角度も限定的であるため、回転軸が回転する角度範囲の設定に自由度を持たせることができないという問題がある。
【0005】
また、板ばね部材の凹部が係合突起の回転の軌跡に沿って複数設けられているため、係合突起を回転軸の限界角度まで回転させると、全ての凹部に嵌着しながら回転することになる。このため、操作中に操作感が複数回発生することになり、操作感によって回転軸を回転させてよい限界位置を知らせることができないという問題がある。
【0006】
そこで本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、回転軸が回転する角度範囲に自由度を持たせることができ、操作感によって回転軸を回転させてよい限界位置を知らせることができるブラインドの回転機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明によれば、スラットを回転させる回転軸と一体に回転する駆動部と、前記駆動部の回転が減速されて伝達される従動部と、前記従動部と一体に回転する係合部と回転角度に応じて前記係合部が係合する被係合部とからなり、前記係合部と前記被係合部との係合により操作感を発生させる操作感発生部と、を備えたことを特徴とする、ブラインドの回転機構が提供される。
【0008】
かかる構成によれば、駆動部の回転が減速されて従動部に伝達されることにより、回転軸が回転する角度範囲を360°以上としながら、従動部の回転を360°以内とすることができる。このため、回転軸が回転する角度範囲に自由度を持たせることができる。さらに、回転軸を回転させてよい限界位置でのみ係合部と被係合部とを係合させることが可能となるため、限界位置でのみ操作感が発生する。これにより、操作感を頼りに回転軸の回転を停止することができる。
【0009】
本発明は様々な応用が可能である。例えば、前記従動部は前記回転軸とは異なる軸心を有するようにしてもよい。これにより、従動部の軸心を回転軸と異なる軸心とすることで、従動部と駆動部の配置を適宜設定することができる。このため、ブラインドが長さ方向に大きくなることを回避できるため、小サイズのブラインドに対応することができる。
【0010】
また、前記従動部の軸心は前記回転軸の中心軸から下方にオフセットされた位置にあり、前記係合部と前記被係合部は前記回転軸の下方において係合するようにしてもよい。これにより、係合部と被係合部との係合位置として回転軸下の空間を利用できるため、回転機構の高さを低くすることができる。
【0011】
また、前記被係合部は、ヘッドボックスの前後方向に延びて配置される板バネであってもよい。このように、板バネをヘッドボックスの上下方向ではなく、前後方向に配置することで、板バネ長さを確保できる。このため、板バネの長さによって必要に応じた弾性力を得られるように調整可能となる。
【0012】
さらに、前記係合部は前記従動部の周方向において、少なくとも2箇所設けられるようにしてもよい。これにより、回転軸がスラットの全閉側に回転したときと反全閉側に回転したときとでは、被係合部に異なる係合部がそれぞれ係合する。このため、従動部の回転量が小さくても被係合部に係合部が係合することになる。これにより、減速比を大きくすることができるので、回転軸を回転させるトルクを抑えることができる。よって、回転軸を回転操作する操作荷重の増大を抑えることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、回転軸が回転する角度範囲に自由度を持たせることができ、操作感によって回転軸を回転させてよい限界位置を知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】ブラインドの正面図である。
図2】ヘッドボックスの回転機構付近の平面図である。
図3】回転機構の斜視図である。
図4】回転機構の分解斜視図である。
図5】(a)は図3をX方向から見た図であり、(b)は図3のA−A断面図であり、(c)は図3のB−B断面図である。
図6】回転機構の組み立て工程を説明するための図である。
図7】回転機構の動作を説明するための図であり、(a)はスラットが水平状態のブラインドを示し、(b)はスラットが水平状態のときの回転機構の状態を示す。
図8】回転機構の動作を説明するための図であり、(a)はスラットが全閉状態のときのブラインドを示し、(b)はスラットが全閉状態のときの回転機構の状態を示す。
図9】回転機構の動作を説明するための図であり、(a)はスラットが反全閉状態のときのブラインドを示し、(b)はスラットが反全閉状態のときの回転機構の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0016】
本実施形態に係るブラインドの回転機構は、スラットを回転させる回転軸が回転する角度範囲に自由度を持たせることができ、操作感によって回転軸を回転させてよい限界位置を知らせることができるものである。まず、本実施形態に係る回転機構100を実施したブラインド10の全体構成について、図1を参照しながら説明する。
【0017】
図1は、ブラインド10の全体の構成を示す正面図である。ブラインド10は、図1に示したように、ヘッドボックス20と、ヘッドボックス20から垂下するラダーコード30と、ラダーコード30によって整列状態に支持される複数のスラット40と、複数のスラット40を昇降する昇降コード50と、ヘッドボックス20内に配置され、ラダーコード30の上端を巻き取り及び巻き解く回転ドラム60と、回転ドラム60を回転駆動する回転軸70と、ヘッドボックス20の一端から吊り下げられ回転軸70の回転を操作する操作棒80と、ヘッドボックス20の一端から導出される昇降コード50の一端部に連結される補助コード90と、回転軸70と連動する回転機構100と、を備えて構成される。
【0018】
ヘッドボックス20の一端には、図1に示したように、回転軸70の回転を操作する操作棒80が吊り下げられているとともに、操作棒80に隣り合って昇降コード50の移動を拘束するストッパ21が設けられている。
【0019】
ヘッドボックス20内には、図2に示したように、回転ドラム60と、回転軸70と、回転機構100が設けられる。回転ドラム60と回転機構100は、隣り合って配置されており、回転ドラム60と回転機構100には、ヘッドボックス20の長手方向ほぼ全長にわたって回転可能に設けられた回転軸70が挿通している。
【0020】
ラダーコード30は、はしご状に構成されており、複数のスラット40を整列状態に支持する。また、ラダーコード30は、図2に示したように、上端が回転ドラム60に連結されており、回転ドラム60に巻き取り及び巻き解きされることにより傾動する。
【0021】
複数のスラット40は、図1に示したように、ラダーコード30によって整列状態に支持されており、ラダーコード30が傾動することによって、全閉と反全閉の間で回転する。ここで、「全閉」とは、スラット40の一方の面が略垂直状態で室外側に向く状態を言い、「反全閉」とは、スラット40の一方の面が略垂直状態で室内側に向く状態を言うこととする。
【0022】
昇降コード50は、昇降することによりスラット40を昇降するものである。昇降コード50は、図1に示したように、一端が複数のスラット40の最下段に配置されるボトムレール45に連結されるとともに、他端が複数のスラット40を挿通し、図2に示したように、ヘッドボックス20内に導入される。ヘッドボックス20内に導入された昇降コード50は、ヘッドボックス20の一端に導かれて、ストッパ21を介して外部に導出される。ヘッドボックス20から導出された昇降コード50の一端は、昇降コード50を昇降操作可能な補助コード90に連結される。
【0023】
回転軸70は、ヘッドボックス20の長手方向ほぼ全長にわたって伸びており、回転軸70の一端は、図示しないウォームギアを介して操作棒80に連結されている。操作棒80が回転することによって回転軸70が回転する。
【0024】
回転ドラム60には、前述のように、回転軸70が挿通しており、回転ドラム60は回転軸70と一体に回転する。また、回転ドラム60には、図2に示したように、ラダーコード30の上端が連結されている。回転ドラム60は、回転軸70と一体に回転することにより、ラダーコード30を巻き取り及び巻き解きする。これにより、ラダーコード30が傾動し、ラダーコード30に支持されている複数のスラット40が回転する。
【0025】
回転機構100は、回転軸70と連動し、スラット40が全閉及び反全閉の状態になったときに操作感を発生させるものである。回転機構100は、図2に示したように、ヘッドボックス20内において、回転ドラム60に隣り合って配設されている。また、回転機構100は、回転軸70と一体に回転する駆動部110と、駆動部110と連動して回転する従動部120と、従動部120と一体に回転する係合部140と、係合部140が係合する被係合部150と、ヘッドボックス20に固定されるケース170と、によって構成される。
【0026】
以上、ブラインド10の全体構成について説明した。以下では、本実施形態に特徴的な構成要素である回転機構100について詳細に説明する。
【0027】
(回転機構100)
まず、本実施形態の回転機構100の全体の構成について、図3を参照しながら説明する。回転機構100は、スラット40を回転させる回転軸70と一体に回転する駆動部110と、回転軸70とは異なる軸心を有し、駆動部110の回転が減速されて伝達される従動部120と、従動部120と一体に回転する係合部140と回転角度に応じて係合部140が係合する板バネ150とからなり、係合部140と板バネ150の係合により操作感を発生させる操作感発生部160と、駆動部110と、従動部120と、係合部140と板バネ150を収容するケース170と、を備えて構成される。
【0028】
以下では、回転機構100の各構成要素について、図4及び図5を参照しながら説明する。
【0029】
(駆動部110)
駆動部110は、回転軸70の回転を従動部120に伝達するものであり、駆動部110は、図4に示したように、歯車の形状をしている。駆動部110は、図5(a)に示したように、軸心に回転軸70が挿通する六角形の回転軸挿通孔111が形成されている。駆動部110の両端から後述するケース170に回転自在に支持される円柱状の回転支持部112が突出している。
【0030】
(従動部120)
従動部120は、駆動部110の回転速度から減速されて回転するものである。従動部120は、図4に示したように、駆動部110よりも大径の歯車の形状をしており、駆動部110よりも歯数が多く構成されている。従動部120の両端から円柱状の回転支持部121が突出しており、一方の回転支持部121は、後述するように、ケース170に回転自在に支持される。また、従動部120は、図5(b)に示したように、従動部120の軸心が回転軸70の軸心から下方にオフセットされて配置されている。従動部120は、駆動部110と噛み合わされて、駆動部110から従動部120に回転が伝達されるようになっている。駆動部110の歯数よりも従動部120の歯数が多いことにより、駆動部110の回転速度よりも減速された回転速度で従動部120が回転するようになっている。
【0031】
なお、本実施形態では、従動部120と回転支持部121とを一体で構成したが、これは一例である。例えば、従動部120と回転支持部121とを別体で構成し、回転支持部121を長尺の円柱状の部材とし、従動部120の軸心に回転支持部121が挿通する構成としてもよい。
【0032】
(係合部140)
係合部140は、板バネ150に係合することにより操作感を発生させるものである。係合部140は、図4に示したように、従動部120の回転支持部121に一体回転するように連結される円筒状部141の外周に形成されている。係合部140は、円筒状部141の外周の2か所に設けられており、図5(c)に示したように、第1係合部142と第2係合部143がなす角度は、180度より少し大きい角度に設定されている(なお、以下、第1係合部142と第2係合部143を総称するときは、係合部140と称する。)。係合部140は、円筒状部141の外周から三角形状に突出しており、円筒上部141の軸方向に三角柱状に延びている。円筒状部141の一端から従動部120の回転支持部121と同心の回転支持部144が突出しており、回転支持部144は、ケース170に回転自在に支持される。
【0033】
なお、本実施形態では、従動部120と係合部140とを別体としたが、これは一例であり、係合部140を従動部120の外周に形成するなど、係合部140と従動部120を一体に形成してもよい。
【0034】
(板バネ150)
板バネ150は、図4に示したように、両端部に外方向に突出するフランジ151が形成された略U字形状をしている。
【0035】
(操作感発生部160)
操作感発生部160は、係合部140と板バネ150により構成されており、回転する係合部140が板バネ150を乗り越えることにより、操作感を発生する。
【0036】
(ケース170)
ケース170は、図3に示したように、駆動部110と、従動部120と、係合部140と板バネ150を収容するものである。また、ケース170は、ケース170の両側壁とケース170内に形成される中間壁に第1挿通孔173と第2挿通孔174がそれぞれ形成されている。第1挿通孔173は、駆動部110の回転支持部112を回転自在に支持し、第2挿通孔174は、従動部120と、係合部140を回転自在に支持する。
【0037】
また、ケース170は、図4に示したように、上下のケース171、172によって構成されており、上下のケース171、172には、組み立てられた状態で第1挿通孔173と第2挿通孔174を構成する凹部が形成されている。
【0038】
第1挿通孔173は、図4に示したように、上下のケース171、172にそれぞれ形成される半円弧状の上凹部173aと下凹部173bによって構成される。また、第2の挿通孔174は、上ケース171から下方に突出する突出部175の先端に形成される半円弧状の上凹部174aと、下ケース172に形成される略U字状の下凹部174bによって構成される。
【0039】
上ケース171の後壁176には、図4に示したように、方形状のスリット177が形成されている。スリット177には、図5(c)に示したように、板バネ150が挿通しており、後壁176の後ろの面には、板バネ150のフランジ151が当接し、板バネ150がスリット177を通り抜けて移動することが規制されている。また、板バネ150は、係合部140の後方において、係合部140の軸心と板バネ150の先端とは、上下方向において同じ高さに配置される。
【0040】
以上、本実施形態の回転機構100の構成について説明した。次に、回転機構100の組み立て工程について図6を参照しながら説明する。
【0041】
図6に示すように、まず、下ケース172内に従動部120と係合部140を収容する。このとき、従動部120の回転支持部121を下ケース172の一方の側壁と中間壁の下凹部174bに支持させるとともに、係合部140の回転支持部144を下ケース172の他方の側壁の下凹部174bに支持させる。これにより、従動部120と係合部140が下ケース172に回転自在に支持される。
【0042】
次に、下ケース172内に駆動部110を収容する。このとき、従動部120のギア111を駆動部110のギア121に噛み合わせるとともに、駆動部110の回転支持部112を下ケース172の一方の側壁と中間壁の下凹部173bに支持させる。これにより、駆動部110が下ケース172に回転自在に支持される。
【0043】
また、上ケース171の後壁176の後方からスリット177を介して板バネ150をケース170内に挿入する。板バネ150は、前述のように、フランジ151が後壁176に当接して、スリット177を通り抜けて移動することが規制されているとともに、板バネ150の弾性力により後壁176に圧接して固定される。
【0044】
最後に、上ケース171と下ケース172を組み付ける。これにより、駆動部110の回転支持部112が第1挿通孔173に、従動部120と係合部140の回転支持部121、144が第2挿通孔174に回転自在に挿通した状態となる。このように組み立てられた回転機構100をヘッドボックス20内に配置し、駆動部110の回転軸挿通孔111に回転軸70を挿通させる。
【0045】
このように組み立てられた回転機構100は、図5に示したように、駆動部110の軸心よりも従動部120の軸心の方が斜め下方にオフセットされた状態となる。このため、従動部120が駆動部110のななめ下方で噛み合うようになっている。また、係合部140と板バネ150は、回転軸70の下の空間に配置されるため、回転機構100の高さを低く抑えることができる。
【0046】
次に、本実施形態の回転機構100の動作について、図7図9を参照しつつ説明する。
【0047】
図7(a)に示したように、スラット40が水平な状態のときは、図7(b)に示したように、板バネ150と係合部140の軸心とを結ぶ線と各係合部140との成す角度は、2つの係合部140とも同じである。この状態では、第1係合部142が上に、第2係合部143が下に位置する状態となっている。
【0048】
次に、図8(a)に示したように、スラット40を全閉の状態にするときには、操作棒80を操作し、回転軸70を図8(b)中矢印A方向に回転操作する。これにより、回転軸70と一体に駆動部110が回転し、駆動部110の回転が減速されて従動部120伝達される。よって、従動部120と一体に係合部140が図8(b)中矢印B方向に回転する。
【0049】
スラット40が図7(a)に示したように水平な状態から、図8(a)に示したように全閉の状態になるまで回転軸70を回転させると、回転軸70は、図8(b)に示したように、スラット40が水平な状態のときから215°回転する。よって、回転軸70と一体に回転する駆動部110も215°回転するが、従動部120には駆動部110の回転が減速されて伝達されるため、従動部120は120°回転する。これにより、第1係合部142が120°回転して、板バネ150を乗り越える。第1係合部142が板バネ150を乗り越えたときに操作感が発生するため、操作者はスラット40が全閉の状態になったことを知ることができる。よって、操作者は操作棒80の操作の停止を判断することができる。
【0050】
次に、図9(a)に示したように、スラット40を反全閉の状態にするときには、操作棒80を操作し、回転軸70を図9(b)中矢印B方向に回転操作する。これにより、回転軸70と一体に駆動部110が回転し、駆動部110の回転が減速されて従動部120に伝達される。よって、従動部120と一体に係合部140が図9(b)中矢印A方向に回転する。
【0051】
スラット40が図7(a)に示したように水平な状態から、図9(a)に示したように全閉の状態になるまで回転軸70を回転させると、回転軸70は、図9(b)に示したように、スラット40が水平な状態のときから215°回転する。よって、回転軸70と一体に回転する駆動部110も215°回転するが、従動部120には駆動部110の回転が減速されて伝達されるため、従動部120は120°回転する。これにより、第2係合部143が120°回転して、板バネ150を乗り越える。第2係合部143が板バネ150を乗り越えたときに操作感が発生ため、操作者はスラット40が反全閉の状態になったことを知ることができる。よって、操作者は操作棒80の操作の停止を判断することができる。
【0052】
このように、スラット40が全閉から反全閉に回転するときに、回転軸70は430°回転するが、従動部120には駆動部110の回転が減速されて伝達されるため、従動部120は240°しか回転しない。このため、スラット40が全閉になると第1係合部142が板バネ150に係合し、スラット40が反全閉になると第2係合部143が板バネ150に係合する、というように、回転軸70の430°の回転中に、第1係合部142と第2係合部143の両方が板バネ150に係合するということがない。
【0053】
(本実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、駆動部110の回転が減速されて従動部120に伝達されることにより、回転軸70が回転する角度範囲を360°以上としながら、従動部120の回転を360°以内とすることができる。このため、回転軸70が回転する角度範囲に自由度を持たせることができる。さらに、回転軸70を回転させてよい限界位置でのみ係合部140と板バネ150とを係合させることが可能となるため、限界位置でのみ操作感が発生する。これにより、操作感を頼りに回転軸70の回転を停止することができる。
【0054】
また、従動部120の軸心と回転軸70の軸心とを異なる軸心とすることで、従動部120と駆動部110の配置を適宜設定することができる。ブラインド10の長さ方向に大きくなることを回避できるため、小サイズのブラインド10に対応することができる。
【0055】
さらに、従動部120の軸心を回転軸70の中心軸から下方にオフセットさせることにより、係合部140と板バネ150は回転軸70の下方において係合するようにすることができる。これにより、係合部140と板バネ150との係合位置として回転軸70の下の空間を利用できるため、回転機構100の高さを低くすることができる。
【0056】
また、板バネ150をヘッドボックス20の上下方向ではなく、前後方向に延びるように配置することで、板バネ150の長さを確保できる。このため、弾性力を高めることができる。
【0057】
さらに、係合部140を従動部120の周方向において、2箇所設けることにより、回転軸70がスラット40の全閉側に回転したときと反全閉側に回転したときとでは、板バネ150に異なる係合部140がそれぞれ係合する。このため、従動部140の回転量が小さくても板バネ150に係合部140が係合することになる。これにより、減速比を大きくすることができるので、回転軸70を回転させるトルクを抑えることができる。よって、回転軸70を回転操作する操作荷重の増大を抑えることができる。
【0058】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0059】
例えば、上記実施形態では、駆動部110と従動部120とを歯数の異なる2つの歯車とし、歯車の噛み合いで回転を伝達することによって減速手段を構成したが、本発明はこれに限定されない。例えば、遊星歯車、スプロケットとローラーチェーン、摩擦車、プーリとベルトなどでこのような減速手段を構成してもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、従動部120は回転軸70とは異なる軸心としたが、本発明はこれに限定されない。例えば、遊星歯車などを用いて同軸の構成としてもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、従動部120の軸心を回転軸70の中心軸から下方にオフセットさせ、係合部140と板バネ150とを回転軸70の下方において係合するようにしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、従動部120の軸心を回転軸70の中心軸から上方にオフセットさせ、係合部140と板バネ150とを回転軸70の上方において係合するようにしもよい。
【0062】
また、上記の実施形態では、操作感発生部160として、係合部140と板バネ150を用いたが、これに限定されない。係合部140が係合することにより操作感を発生させるものであればよく、例えば、ケース170に形成した突起などでもよい。
【0063】
また、上記の実施形態では、板バネ150をヘッドボックス20の前後方向に延びるように配置したが、本発明はこれに限定されない。例えば、板バネ150を上下方向や左右方向など、適宜方向に配置するようにしてもよい。
【0064】
さらに、上記の実施形態では、係合部140は従動部120の周方向において2箇所設けたが、これに限定されない。例えば、係合部140を従動部120の周方向において3箇所設け、スラット40の全閉、水平、反全閉の状態のときに、それぞれ操作感が発生するようにしてもよい。また、係合部140を従動部120の周方向において4箇所以上に設け、さらに、細かい刻みの複数のスラット角度において操作感を発生させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0065】
10 ブラインド
20 ヘッドボックス
30 ラダーコード
40 スラット
50 昇降コード
60 回転ドラム
70 回転軸
80 操作棒
90 補助コード
100 回転機構
110 駆動部
111 回転軸挿通孔
112 回転支持部
120 従動部
121 回転支持部
140 係合部
142 第1係合部
143 第2係合部
141 円筒状部
144 回転支持部
150 板バネ(被係合部)
151 フランジ
160 操作感発生部
170 ケース
171 上ケース
172 下ケース
173 第1挿通孔
173a 上凹部
173b 下凹部
174 第2挿通孔
174a 上凹部
174b 下凹部
175 突出部
176 後壁
177 スリット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9