特許第6335164号(P6335164)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6335164
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】ブローダウンアクチュエータ組立体
(51)【国際特許分類】
   B64C 25/20 20060101AFI20180521BHJP
   B64C 25/24 20060101ALI20180521BHJP
   B64C 13/28 20060101ALI20180521BHJP
   B64C 13/50 20060101ALI20180521BHJP
   F15B 15/14 20060101ALI20180521BHJP
   F15B 15/26 20060101ALI20180521BHJP
   F16H 25/20 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   B64C25/20
   B64C25/24
   B64C13/28
   B64C13/50
   F15B15/14 350
   F15B15/14 380B
   F15B15/26
   F16H25/20 B
【請求項の数】20
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-516116(P2015-516116)
(86)(22)【出願日】2013年6月4日
(65)【公表番号】特表2015-525168(P2015-525168A)
(43)【公表日】2015年9月3日
(86)【国際出願番号】US2013044068
(87)【国際公開番号】WO2013184656
(87)【国際公開日】20131212
【審査請求日】2016年6月6日
(31)【優先権主張番号】61/655,331
(32)【優先日】2012年6月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514309446
【氏名又は名称】アエロ コントロレックス グループ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168871
【弁理士】
【氏名又は名称】岩上 健
(72)【発明者】
【氏名】フェン クリストファー エル
(72)【発明者】
【氏名】クロニン パトリック エム
【審査官】 川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】 英国特許出願公告第587460(GB,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0282901(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0024580(US,A1)
【文献】 特開2002−213406(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 13/28
B64C 13/50
B64C 25/18
B64C 25/20
B64C 25/24
F15B 15/14
F15B 15/26
F16H 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被制御部材を作動させるために伸縮するように適合された駆動アーム組立体を含む駆動組立体を備えるアクチュエータ組立体であって、
前記駆動アーム組立体は、作動部材を備え
前記駆動アーム組立体は、更に、解放部材と、
加圧ガス源と、
を備え、
正常動作モード中は、前記作動部材及び前記解放部材は、固定機構と係合して一斉に移動し
非常動作モード中は、前記作動部材が前記被制御部材を伸長させるように、加圧ガスが、前記作動部材を前記解放部材から自動的に結合解除して別個に動かし、
前記固定機構は、前記非常動作モード中に、前記作動部材を完全に伸長した位置にロックするように適合されていることを特徴とする、アクチュエータ組立体。
【請求項2】
周縁部上に軌道を有するように構成されたボールねじと、前記軌道上を動く軸受を収容するボールナットとをさらに備え、前記ボールナットは、前記ボールねじの回転方向が、前記作動部材をハウジングから伸長させるか又は前記ハウジングに収縮させるかを定めるように、前記正常動作モード中は、前記作動部材に結合されることを特徴とする、請求項1に記載のアクチュエータ組立体。
【請求項3】
記固定機構は、前記正常動作モード中、前記作動部材を前記解放部材に解放可能にロックすることにより前記作動部材及び前記解放部材が係合して一つの組立体として一斉に移動するように適合されていることを特徴とする、請求項1に記載のアクチュエータ組立体。
【請求項4】
前記作動部材を覆うカバーチューブと、前記カバーチューブの端部に設けられ前記作動部材を通す端部キャップと、前記作動部材の端部を塞ぐ密封プラグとをさらに備え
前記解放部材は、伸長位置でロックされた前記作動部材に向かって移動し、前記解放部材を前記作動部材と再係合させることにより前記解放部材と前記作動部材とがその後前記正常動作モードで作動するように適合されていることを特徴とする、請求項3に記載のアクチュエータ組立体。
【請求項5】
前記作動部材内において前記密封プラグとの間に伸縮チャンバを定める前記解放ピストンをさらに備えることを特徴とする、請求項4に記載のアクチュエータ組立体。
【請求項6】
加圧ガスが前記伸縮チャンバ内に解放されると、前記解放部材が駆動されて前記固定機構をロック解除し、前記作動部材を解放して、前記解放部材を超えて抑制せずに動かすことを特徴とする、請求項5に記載のアクチュエータ組立体。
【請求項7】
前記加圧ガス源は、前記アクチュエータ組立体内部に収容されたガス発生器であることを特徴とする、請求項5に記載のアクチュエータ組立体。
【請求項8】
前記カバーチューブの遠位端に向かって収容された伸縮可能保持リングをさらに備え、前記作動部材は、外周保持溝を含み、前記伸縮可能保持リングは、前記作動部材が前記カバーチューブの前記端部キャップから所定距離伸長すると、付勢されて前記保持溝内に圧縮されることを特徴とする、請求項4に記載のアクチュエータ組立体。
【請求項9】
前記伸縮可能保持リングは、少なくとも2つの弓状区画を備えることを特徴とする、請求項8に記載のアクチュエータ組立体。
【請求項10】
前記ボールナットと前記解放部材とに結合されたナットアダプタをさらに備え、前記ナットアダプタは、前記解放部材が前記作動部材に固定されると、前記伸縮可能保持リングを伸長させるための解放機構を有するように構成されることを特徴とする、請求項9に記載のアクチュエータ組立体。
【請求項11】
前記解放機構は、前記ナットアダプタ上に構成された、傾斜した延長部であることを特徴とする、請求項10に記載のアクチュエータ組立体。
【請求項12】
前記ボールねじは、中空であり、非常動作モード中は、加圧ガスは前記ボールねじを通って前記伸縮チャンバに送給されることを特徴とする、請求項5に記載のアクチュエータ組立体。
【請求項13】
前記正常動作モード中、前記ボールねじを駆動して前記作動部材を伸長及び収縮させるための、モータとギア列とをさらに備えることを特徴とする、請求項2に記載のアクチュエータ組立体。
【請求項14】
作動部材と解放部材とを有する電気機械式駆動システムと、
加圧ガスにより動作する統合バックアップシステムと、
を備える電気機械式アクチュエータであって
正常動作モード中は、前記作動部材及び前記解放部材は、固定機構と係合して一斉に移動し、
前記バックアップシステムが起動されると、前記電気機械式駆動システム結合解除されることにより前記作動部材が被制御部材を所定位置まで伸長させるように前記作動部材と前記解放部材とが別個に移動し前記固定機構は前記被制御部材をその位置に機械的にロックることを特徴とする、電気機械式アクチュエータ。
【請求項15】
前記電気機械式駆動システムは、周縁上に軌道を有するように構成されたボールねじと、前記軌道上を動く軸受を収容するボールナットとを含み、前記ボールナットは、前記正常動作モード中、結合されて作動部材を駆動することを特徴とする、請求項14に記載のアクチュエータ。
【請求項16】
前記加圧ガスは、加圧窒素であることを特徴とする、請求項14に記載のアクチュエータ。
【請求項17】
前記駆動システムは、前記加圧ガスを受けるための伸縮チャンバを定める解放ピストンを備えることを特徴とする、請求項14に記載のアクチュエータ。
【請求項18】
固定機構は、前記駆動システムの駆動アーム上のリング溝に付勢されて係合する伸縮可能保持リングを含むことを特徴とする、請求項14に記載のアクチュエータ。
【請求項19】
前記伸縮可能保持リングは、少なくとも2つの弓状区画を備えることを特徴とする、請求項18に記載のアクチュエータ。
【請求項20】
請求項14に記載の電気機械式アクチュエータを含む航空機用の降着装置ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータ機構、より具体的には、統合型非常用バックアップシステムを有するアクチュエータ組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
機械式線形アクチュエータは、回転運動を線形運動に変換するために用いられる。例えば、ボールねじは、ネジ付き軸とナットハウジングに依存する線形アクチュエータである。ナットハウジングは、通常、ネジ付き軸により定まる螺旋軌道と係合するボール軸受を含有する。従って、軸の回転運動は、軸に沿ったナットハウジングの線形運動に変換する。このタイプの線形アクチュエータは、航空用途、例えば、制御表面の動き、窓、ドア及び/又はアクセスパネルの開閉の制御、並びに降着装置の伸長の制御のために用いられることが多い。また、線形アクチュエータは、電気モータからの回転運動を車両パワーステアリングシステムのステアリングラックの軸方向運動への変換及びロボットによる製造における精密制御のために用いられることが多い。
【0003】
特に、航空用途において、機械式線形駆動システムの故障は、破局的結末を招きかねない。モータ、歯車列、或いはボールねじドライブ等の駆動システムの1つ又はそれ以上の態様が故障すると、例えば、航空機の降着装置が伸長しなかったり、完全にロックされた開位置まで伸長しなかったりしかねない。従って、機械式線形駆動システムをオーバーライドする及び/又はバイパスする非常用システムを設けて、かかる故障に対処することが多い。しかし、非常用システムは、駆動組立体とは別個の組立体であり、該組立体を収容するために追加の空間及びハードウェアを必要とすることが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
統合型非常用システム、つまり非常時に正常な駆動構造からシステムの態様を自動的に結合解除するシステムを有するアクチュエータ組立体に対する必要性及び要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は、有利にアクチュエータ組立体及びその使用方法を提供する。アクチュエータ組立体の好ましい実施形態は、作動部材と、解放部材と、加圧ガス源を含み、正常運転モード中は、作動部材と解放部材は係合して一致して動き、非常運転モード中は、加圧ガスにより作動部材を解放部材から自動的に結合解除して、別個に動かす。
【0006】
本開示の別の態様によると、電気機械式アクチュエータは、電気機械式駆動システムとガス発生器により動作する統合型バックアップシステムを含み、バックアップシステムが作動すると、電気機械式駆動システムは結合解除され、アクチュエータは、所定の位置まで動いて、その位置で機械的にロックされる。
【0007】
従って、本発明の特定の実施形態は、その詳細な説明をより良く理解することができ、本発明の当技術に対する寄与がより良く理解されるように、むしろ広範囲に概説されている。当然、以下に説明され、添付の特許請求の範囲の主題を形成する、本発明の付加的な実施形態もある。
【0008】
この点で、本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その用途が、以下の説明に述べられ又は図面に示される構成の詳細及びコンポーネントの配置に限定されないことを理解されたい。本発明は、説明されるものに加えた実施形態が可能であり、様々な方法で実施及び実行することが可能である。また、本明細書並びに要約で用いられる語法及び用語は、説明の目的のためであり、限定と考えるべきではことを理解されたい。
【0009】
従って、当業者であれば、本開示が基づいている概念は、本発明のいくつかの目的を実行するための他の構造、方法及びシステムの設計の基礎として容易に用い得ることを理解するであろう。従って、特許請求の範囲は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱しない限り、かかる同等の構成を含むものとみなすことが重要である。
【0010】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付図面は、本発明と一致する種々の実施形態を示し、説明と合わせて、本発明の原理を説明する役割を担う。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の特定の態様による、ブローダウンアクチュエータ組立体の前面斜視図である。
図2】本発明の特定の態様による、ブローダウンアクチュエータ組立体の別の斜視図である。
図3】本発明の特定の態様による、ブローダウンアクチュエータ組立体の側面図である。
図4】本発明の特定の態様による、図3の線A−Aに沿って見たときの、ブローダウンアクチュエータ組立体の断面図である。
図5】本発明の特定の態様による、組立体の内部コンポーネントを示すためにカバーチューブ及びギアハウジングが取り除かれた、ブローダウンアクチュエータ組立体の前面斜視図である。
図6】本発明の特定の態様による、カバーチューブ及びギアハウジングが取り除かれ、駆動アーム組立体が伸長した使用の位置にある、ブローダウンアクチュエータ組立体の前面斜視図である。
図7】本発明の特定の態様による、ブローダウンアクチュエータ組立体の切取前面図である。
図8】本発明の特定の態様による、ブローダウンアクチュエータ組立体の近接切取前面図である。
図9】本発明の特定の態様による、ブローダウンアクチュエータ組立体のロックリング機構の使用を連続して示す。
図10】本発明の特定の態様による、ブローダウンアクチュエータ組立体のロックリング機構の使用を連続して示す。
図11】本発明の特定の態様による、ブローダウンアクチュエータ組立体のロックリング機構の使用を連続して示す。
図12】本発明の特定の態様による、非常動作モードにあるブローダウンアクチュエータ組立体の切取前面図である。
図13】本発明の特定の態様による、非常動作モードにあり、完全に伸長し機械的にロックされたブローダウンアクチュエータ組立体の切取前面図である。
図14】本発明の特定の態様による、ブローダウンアクチュエータ組立体の斜視図である。
図15】本発明の特定の態様による、図14に示すブローダウンアクチュエータ組立体の切取斜視図である。
図16】本発明の特定の態様による、組立体の内部コンポーネントを示すためにカバーチューブ及びギアハウジングが取り除かれた、図14に示されるブローダウンアクチュエータ組立体の前面斜視図である。
図17】本発明の特定の態様による、カバーチューブ及びギアハウジングが取り除かれ、駆動アーム組立体が伸長した使用の位置にある、図14に示すブローダウンアクチュエータ組立体の前面斜視図である。
図18】本発明の特定の態様による、図14に示されるブローダウンアクチュエータ組立体の態様の近接切取図である。
図19】本発明の特定の態様による、図14に示されるすブローダウンアクチュエータ組立体の態様の前面切取図である。
図20】本発明の特定の態様による、ブローダウンアクチュエータ組立体上の固定機構の使用を連続して示す。
図21】本発明の特定の態様による、ブローダウンアクチュエータ組立体上の固定機構の使用を連続して示す。
図22】本発明の特定の態様による、カバーチューブ及びギアハウジングが取り除かれ、内部コンポーネントが非常動作モードにある、図14に示されるブローダウンアクチュエータ組立体の切取前面図である。
図23】本発明の特定の態様による、非常動作モードにある図14に示されるブローダウンアクチュエータ組立体の内部コンポーネントを示すようにカバーチューブが取り除かれた近接切取斜視図である。
図24】本発明の特定の態様による、非常手順に続く再係合手順を示すようにカバーチューブが取り除かれた、図14に示されるブローダウンアクチュエータ組立体を連続して示す。
図25】本発明の特定の態様による、非常手順に続く再係合手順を示すようにカバーチューブが取り除かれた、図14に示されるブローダウンアクチュエータ組立体を連続して示す。
図26】本発明の特定の態様による、非常手順に続く再係合手順を示すようにカバーチューブが取り除かれた、図14に示されるブローダウンアクチュエータ組立体を連続して示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで、本発明が図面を参照して説明され、図中、同様の参照番号は全体を通して同様の部品を指す。
【0013】
アクチュエータ組立体の種々の態様は、結合された、取り付けられた、及び/又は一緒に接合されたコンポーネントを説明することにより示される場合がある。本明細書で使用するように、「結合された」、「取り付けられた」及び/又は「接合された」という用語は、2つのコンポーネントの間の直接的接続、又は、必要に応じて、介在する若しくは中間のコンポーネントを通した、相互の間接的な接続を示すために用いられる。対照的に、コンポーネントが別のコンポーネントに「直接結合された」、「直接取り付けられた」及び/又は「直接接合された」といわれる場合は、介在する要素が存在しないことを示す。
【0014】
「下部」又は「底部」及び「上部」又は「頂部」等の相対的用語は、本明細書では、図に示した一つの要素の別の要素に対する関係を説明するために用いられる場合がある。相対的用語は、図に示される向きに加えて、電気走向組立体の異なる向きを包含するように意図されることを理解されたい。例として、図に示したアクチュエータ組立体をひっくり返した場合、他の要素の「底部」側にあると説明された要素は、他の要素の「頂部」側の向きになる。従って、「底部」という用語は、装置の特定の向きに応じて、「底部」及び「頂部」の向きの両方を包含することができる。
【0015】
図1乃至図4は、本発明の態様による、組み立て済みブローダウンアクチュエータ組立体100の複数の図である。アクチュエータ組立体100は、ギアハウジング300内に収容されたギア列を介して駆動組立体200に動作可能に接続された電気モータ110を含むことができる。ブラケット又は任意の他の好適な取り付け機構等の取り付け装置120をギアハウジング300の表面上に設けて、アクチュエータ組立体100を航空機の本体構造部等の安定した支持構造部に取り付けることができる。駆動組立体200は、例えば制御表面、ドア又は降着装置等の被制御部材の作動用の駆動アーム組立体202を含む。駆動アーム組立体202の遠位端には、駆動アーム組立体202を被制御部材に接続するための、アイボルトロッド又は任意の他の好適な接続装置等の接続装置204を設けることができる。
【0016】
図2に示すように、アクチュエータ組立体は、モジュール式とすることができ、例えばモータ110及び駆動組立体200等の主要コンポーネントの各々は、保守及び/又は交換を容易に行えるように、別個にかつ独立して、ギアハウジング300に取り付けること及び/又はギアハウジング300から取り外すことができる。モータ取付板112及び/又は駆動組立体取付板206を設けて、モータ110及び駆動組立体200を、ボルト又はねじ等の取り付け手段を介してギアハウジング300に取り付けることができる。
【0017】
図3は、図1及び図2に示すアクチュエータ組立体の側面図である。図4は、図3の断面A−Aに沿って取ったアクチュエータ組立体100の断面図を示す。モータ110は、ギア116及び118を介して動作可能に接続されて駆動組立体200のボールねじ208を駆動する中央駆動軸114を有することができる。駆動組立体200は、カバーチューブ210及び端部キャップ212を有する。端部キャップ212は、中央オリフィス214を有し、これを通して、駆動アーム組立体202が摺動可能に延びる。ボールナット216は、駆動組立体200の正常な動作中、ボールねじ208の回転により、ボールナット216を、収容された軸受217を介して付勢して、ボールねじ208のねじにより定まる軌道に沿って移動させるように、ボールねじ208上に配置することができる。ボールねじ208の回転方向は、駆動アーム組立体202がオリフィス214を通って伸長するか又は収縮するかを定める。
【0018】
ナットアダプタ218をボールナット216の遠位端上に設けることができる。ナットアダプタ218は、1つ又はそれ以上の解放レバー224の1つ又はそれ以上の端部分222を着座させるために、1つ又はそれ以上のノッチ付き台座220を有するように形成することができる。以下により詳細に説明するように、解放レバー224は、解放キャップ226上に回転可能に取り付けることができる。
【0019】
解放キャップ226は、ピストン状駆動アーム組立体202の主要長手方向本体コンポーネントである、作動チューブ230に固定することができる。解放チューブ234を、作動チューブ230の内部に同軸に配置することができる。ロックリング236は、解放チューブ234と作動チューブ230とを解放可能に係合するように設けることができる。解放チューブ234は、作動チューブ230内を長手方向に延びて、解放ピストン238に当接する。解放ピストン238は、ガス発生器240を収容する。図4に示すように、作動チューブ230の遠位端は、解放チューブ234と作動チューブ230がロックリング236を介してロック位置で係合すると、解放チューブ234と解放ピストン238を超えて延びる。
【0020】
密封プラグ244を設けて、作動チューブ230の遠位端を塞ぐ。密封プラグ244は、駆動組立体200の正常動作中、解放ピストン238に当接することができる。解放ピストン238と密封プラグ244の間に、伸縮チャンバ250を定めることができる。例えば、解放ピストン238及び/又は密封プラグ244に陥凹領域252を形成して、伸縮チャンバ250を形成することができる。接続装置204は、例えば圧入又はねじ接続を介して密封プラグ244に取り付けることができ、又は代替的に、密封プラグ244と一体的に形成することができる。複数のOリング254又は他の好適な密封機構を用いて、伸縮チャンバ250を完全に密封することを保証できる。
【0021】
本開示の他の態様によると、カバーチューブ210の遠位端に向かって内部表面に、ロックチャネル256又は任意の他の好適な回り止め手段を設けることができる。以下により詳しく説明するように、ロックチャネル256は、アクチュエータ組立体100の非常動作中、解放レバー224と係合する。
【0022】
図5乃至図7は、正常モード中のアクチュエータ組立体100の動作を示し、モータ110は、駆動組立体200を制御して駆動アーム組立体202を伸長及び/又は収縮させる。図5及び図6では、内部コンポーネントの動作の理解を助けるために、カバーチューブ210及びギアハウジングを取り除いて示す。
【0023】
具体的には、図5は、駆動アーム組立体202が完全に収縮した位置にある組立体100を示す。例えば降着装置等の被制御装置の運動を制御するために、モータ110に信号を送信し、駆動アーム組立体202を、所定の位置、つまり完全に伸長した位置及び/又は中間の任意の位置に伸長させることができる。図6に示すように、モータ110は、ギア列を介してボールねじ208を回転させるように動作し、次いでボールねじ208は、ボールナット216をボールねじ208の軸に沿って伸ばし、駆動アーム組立体202を押して伸長させる。
【0024】
図7に示すように、正常な動作モードでは、ロックリング236は作動チューブ230及び解放チューブ234の両方と完全に係合する。従って、ボールナット216、ナットアダプタ218、及び解放チューブ234は、全て係合して一つの組立体として一斉に動く。このように、組立体は、カバーチューブ210内を所望の位置に摺動することができる。駆動アーム組立体が一斉に動くので、解放レバー224の端部分222は、座220とカバーチューブ210の間の閉位置に着座したままである。
【0025】
解放レバー224は、端部分222を座220に向けて付勢するばね負荷を有するばね荷重式ヒンジ228により解放キャップ226に取り付けることができる。従って、正常動作中、解放レバー224のキャッチ端部223は、カバーチューブ210のロックチャネル256に係合しない。解放レバー224のキャッチ端部223は、端部分222が座220から離座し、ヒンジ228のばね力がキャッチ端部223を外向きに回転させてしまう場合のみ、解放されてロックチャネル256に係合する。この様式で、正常モード動作中、駆動アーム組立体202は、アクチュエータ組立体100が全開位置で解放レバー224によりロックされることなく、全開位置まで伸長できる。従って、駆動アーム組立体202は、所望するように全開位置から収縮させることができる。
【0026】
図7乃至図13は、アクチュエータ組立体100の非常動作モードを示し、非常動作モードでは、正常な駆動組立体の態様は、自動的に結合解除され、作動チューブ230を完全に伸長した、ロック位置まで緊急に伸長させる。例えば、飛行中にモータ、ギア列、及び/又はボールねじ/ボールナット等のアクチュエータ組立体100のコンポーネントの動作不良が発生した場合、降着装置は完全に伸長することができなくなる。従って、この状況では、アクチュエータ組立体100の非常動作モードが自動的に開始されるか、又は例えばパイロットにより手動で開始される。図7に示すように、非常モードを起動すると、ガス発生器240に信号が電気的に送信されて、非常シーケンスを起動させる。本開示の他の態様によると、非常モードは、圧電スイッチ又は撃針等の起動スイッチを有する機械的起動方法など、任意の好適な手段により起動させることができる。本開示のさらに他の態様によると、ボールねじ208は、中空で、起動信号をガス発生器240に伝送するワイヤを通すことができる。信号によりガス発生器240における工程が開始され、例えば、従来のエアバッグ装置のように、アジ化ナトリウム(NaN3)と硝酸カリウム(KNO3)を混合して、反応させて、高温の窒素ガスを大量に発生させる。窒素ガスの急激な膨張は、伸縮チャンバ250内に解放される。本開示のさらに別の態様において、ガス発生器240は、例えば伸縮チャンバ250内に加圧流体を急速に解放して供給すると知られる化学物質の任意の組み合わせを解放できる。本開示のさらに他の態様において、従来の燃焼技術を用いて、非常用バックアップシステムの起動の結果として、伸縮チャンバ250において必要な急速圧力上昇を発生させることができる。
【0027】
加圧流体を伸縮チャンバ250に急速に解放すると、同時に、解放ピストン238及び密封プラグ244に対して圧力が発生する。解放ピストン238は、フランジ部260を有するように形成することができる。解放ピストン238に対して圧力が印加されると、フランジ部260は、解放チューブ234の遠位端と係合し、解放チューブ234を付勢して、ナットアダプタ218及びロックリング236に向かう方向に摺動させる。図7に示すように、正常動作中、解放チューブの近位端とナットアダプタ218との間に空間235が存在する。空間235により、非常動作中に解放チューブ234が逆向きに解放する余地ができる。
【0028】
図8の切取図に示すように、ロックリング236は、作動チューブ230と解放チューブ234のスロットに係合するための突起部を有するように形成することができる。図9乃至図11の連続近接図に示すように、解放チューブ234は、伸縮チャンバ250内の増大する圧力により押し戻されるので、解放チューブ234に形成されたスロット264は、ロックリング236の突起部237を、作動チューブ230に形成されたスロット266を通って回転させる。作動チューブのスロット266は、ロックリング236が図11に示す位置まで回転すると、作動チューブ230をロックリング236から解放させるように形成される。ばね270を設けて、解放チューブ234の張力を維持し、衝撃及び/又は振動に起因する早発の起動を防止できる。
【0029】
解放チューブ234は、非常起動工程全体を通してロックリング236と係合したままであるように形成される。従って、ひとたび作動チューブ230が図11に示す位置に達すると、図12に示すように、作動チューブ230は、自由に伸長し、ロックされた解放チューブ234を超えて摺動し、伸縮チャンバ250をガス発生器240からの圧力により伸長させる。作動チューブ230が伸長すると、作動チューブに取り付けられた解放キャップ226も、解放チューブ234により動かないようにロックされたままのねじナット216及びナットアダプタ218から離れるように摺動する。従って、解放レバー224の端部分222は、座220から解放され、ばね荷重ヒンジ228のばね力により内向きに回転できる。しかし、カバーチューブ230により、図13に示すように、作動チューブ230が完全に伸長した位置に至るまで、解放レバー224の回転は防止される。完全に伸長した位置で、解放レバー224のキャッチ端部223は、ロックチャネル256に向かって自由に回転する。従って、作動チューブ230は、カバーチューブ210内に摺動して戻らないようにされ、アクチュエータ組立体100は、完全に伸長した位置にロックされる。
【0030】
本開示の多くの利点のなかで、非常工程の起動は、駆動アーム組立体202のストローク位置に関係なく開始され得る。従って、正常動作中に故障が発生したとしても、降着装置の降下等、工程の途中で、ブローダウンアクチュエータ組立体100の非常起動により、正常駆動モードに関連する組立体100の様々な態様が自動的に結合解除され、統合非常用バックアップシステムと関連付けられた組立体100の各種態様を介して作動チューブ230がロック位置まで完全に伸長される。
【0031】
本開示のさらに別の態様において、圧力解放弁を設けて、特に、正常駆動システムの駆動アーム組立体202がほとんど伸長した位置にあるときに非常モードが起動した場合、伸縮チャンバ250から過剰圧力を解放することができる。この場合、伸縮チャンバ250は、駆動アーム組立体202が概ね収縮した位置にあるときの状況ほどは、伸長する必要がない。
【0032】
本開示のさらに別の態様において、本明細書で説明した統合非常用バックアップシステムを、例えばロータリアクチュエータ等の非線形アクチュエータ駆動組立体に適用することができる。
【0033】
図14及び図15は、本発明のさらに別の態様による、組み立て済みブローダウンアクチュエータ組立体1100を示す。アクチュエータ組立体1100は、ギアハウジング1300内に収容されたギア列を介して駆動組立体1200に動作可能に接続された電気モータ1110を含むことができる。ブラケット又は任意の他の好適な取り付け機構等の取り付け装置1120をギアハウジング1300の表面上に設けて、アクチュエータ組立体1100を航空機の本体構造部等の安定した支持構造に取り付けることができる。駆動組立体1200は、例えば制御表面、ドア又は降着装置等の被制御部材の作動用の駆動アーム組立体1202を含む。駆動アーム組立体1202の遠位端には、駆動アーム組立体1202を被制御部材に接続するための、アイボルトロッド又は任意の他の好適な接続装置等の接続装置1204を設けることができる。
【0034】
アクチュエータ組立体は、モジュール式とすることができ、例えばモータ1110及び駆動組立体1200等の主要コンポーネントの各々は、保守及び/又は交換を容易に行えるように、別個にかつ独立して、ギアハウジング1300に取り付けること及び/又はギアハウジング1300から取り外すことができる。モータ取付板1112及び/又は駆動組立体取付板1206を設けて、モータ1110及び駆動組立体1200を、ボルト又はねじ等の取り付け手段を介してギアハウジング1300に取り付けることができる。
【0035】
図15は、アクチュエータ組立体1100の断面図を示す。モータ1110は、ギア1116及び1118を介して動作可能に接続されて駆動組立体1200のボールねじ1208を駆動する中央駆動軸1114を有することができる。駆動組立体1200は、カバーチューブ1210及び端部キャップ1212を有する。端部キャップ1212は、中央オリフィス1214を有し、これを通して、駆動アーム組立体1202が摺動可能に延びる。伸縮可能保持リング組立体1213用のハウジング1211は、カバーチューブ1210の遠位端に向かって構成することができる。
【0036】
ボールナット1216は、駆動組立体1200の正常な動作中、ボールねじ1208の回転により、ボールナット1216を、収容された軸受1217を介して付勢して、ボールねじ1208のねじにより定まる軌道に沿って移動させるように、ボールねじ1208上に配置することができる。ボールねじ1208の回転方向は、駆動アーム組立体1202がオリフィス1214を通って伸長するか収縮するかを定める。
【0037】
ナットアダプタ1218をボールナット1216の遠位端上に設けることができる。作動チューブ1230は、ピストン状駆動アーム組立体1202の主要長手方向本体コンポーネントであり、解放チューブ1234の周りに同軸に配置することができる。解放チューブ1234は、作動チューブ1230内を長手方向に延びて、解放ピストン1238に当接する。作動チューブ1230の遠位端は、解放チューブ1234と作動チューブ1230が固定機構を介してロック位置で係合すると、解放チューブ1234と解放ピストン1238を超えて延び、作動チューブ1230の近位端は、保持溝1231を有するように構成できる。
【0038】
密封プラグ1244を設けて、作動チューブ1230の遠位端を塞ぐ。密封プラグ1244は、駆動組立体1200の正常動作中、解放ピストン1238に当接することができる。解放ピストン1238と密封プラグ1244の間に、伸縮チャンバ1250を定めることができる。例えば、解放ピストン1238及び/又は密封プラグ1244に陥凹領域1252を形成して、伸縮チャンバ1250を形成することができる。接続装置1204は、例えば圧入又はねじ接続を介して密封プラグ1244に取り付けることができ、又は代替的に、密封プラグ1244と一体的に形成することができる。複数のOリング又は他の好適な密封機構を用いて、伸縮チャンバ1250を完全に密封することを保証できる。
【0039】
図16及び図17は、正常モード中のアクチュエータ組立体1100の動作を示し、モータ1110は、駆動組立体1200を制御して駆動アーム組立体1202を伸長及び/又は収縮させる。図16及び図17では、内部コンポーネントの動作の理解を助けるために、カバーチューブ1210及びギアハウジングを取り除いて示す。
【0040】
具体的には、図16は、駆動アーム組立体1202が完全に収縮した位置にある組立体1100を示す。例えば降着装置等の被制御装置の運動を制御するために、モータ1110に信号を送信し、駆動アーム組立体1202を、所定の位置、つまり完全に伸長した位置及び/又は中間の任意の位置に伸長させることができる。図17に示すように、モータ1110は、ギア列を介してボールねじ1208を回転させるように動作し、次いでボールねじ1208は、ボールナット1216をボールねじ1208の軸に沿って伸ばし、駆動アーム組立体1202を押して伸長させる。
【0041】
図18及び図19に示すように、作動チューブ1230及び解放チューブ1234は、ナットアダプタ1218に設けられたスロット1219内で摺動する保持ピン1215により係合する。正常動作モード中、保持ピン1215は、ボールナット1216、ナットアダプタ1218、作動チューブ1230及び解放チューブ1234が全て固定されて、一つの組立体として一斉に動くように、作動チューブ1230及び解放チューブ1234の両方が完全に係合することを保証する。従って、組立体は、カバーチューブ1210(図18及び図19には図示せず)内を所望の位置まで摺動できる。
【0042】
ナットアダプタ1218は、傾斜した延長部1221を有するように形成することができる。傾斜した延長部1221の機能は、以下でより詳しく説明する。しかし、正常動作中、傾斜した延長部1221は、伸縮可能保持リング組立体1213が、作動チューブ1230上の保持溝1231と係合しないように防止する。
【0043】
図20乃至図22は、アクチュエータ組立体1100の非常動作モードを示し、非常動作モードでは、正常な駆動組立体の態様は、自動的に結合解除され、作動チューブ1230を完全に伸長した、ロック位置まで緊急に伸長させる。例えば、飛行中にモータ、ギア列、及び/又はボールねじ/ボールナット等のアクチュエータ組立体1100のコンポーネントの動作不良が発生した場合、降着装置は完全に伸長することができなくなる。従って、この状況では、アクチュエータ組立体1100の非常動作モードが自動的に開始されるか、又は、例えばパイロットにより手動で開始される。再び図15を参照すると、非常モードを開始すると、信号が電気的に送信されて加圧ガス源を起動し、ボールねじ1208の中空チューブ部分に加圧ガスを送る。本開示の他の態様によると、非常モードは、圧電スイッチ又は撃針等の起動スイッチを有する機械的起動方法など、任意の好適な手段により起動させることができる。窒素等の任意の好適な加圧ガスを、組立体1100に取り付けられた又はその近くに配置された、又は任意の外部位置から送給するための導管により接続された、ガス発生器(図示せず)等の加圧ガス源から提供することができる。圧力導管の取り付けのための種々のタイプの圧力接続器具を組立体内に構成することにより、加圧ガス源への素早い取り付け又は加圧ガス源からの素早い取り外しが可能になる。
【0044】
加圧流体を伸縮チャンバ1250に急速に解放すると、同時に、解放ピストン1238及び密封プラグ1244に対して圧力が発生する。図14に示すように、解放ピストン1238は、フランジ部1260を有するように形成することができる。解放ピストン1238に対して圧力が印加されると、フランジ部1260は、解放チューブ1234の遠位端と係合し、解放チューブ1234を付勢して、ナットアダプタ1218及び保持ピン1215に向かう方向に摺動させる。図20及び図21に示すように、伸縮チャンバ1250内の増大する圧力により、解放チューブ1234が後ろ向きに付勢されると、保持ピン1215は、ナットアダプタ1218のスロット内で摺動し、解放チューブ1234を付勢して、作動チューブ1230を解放チューブ1234及びナットアダプタ1218から自由に係合解除できる。作動チューブ1230を解放チューブ1234から係合解除させるための、回り止め、溝、ばねピン、及び/又は任意の好適な手段を用いることができる。従って、図22に示すように、作動チューブ1230が解放チューブ1234及びナットアダプタ1218から係合解除されると、作動チューブ1230は、伸縮チャンバ1250の伸長を増大させる圧力に起因して、自由に伸長する。ばね1270(図20及び図21参照)を設けて、解放チューブ1234の張力を維持し、衝撃及び/又は振動に起因する早発の起動を防止できる。
【0045】
解放チューブ1234は、非常起動工程全体を通して、保持ピン1215を介してナットアダプタ1218及びねじナット1216と係合したままであるように形成される。図23に示すように、作動チューブ1230は、作動チューブ1230上の保持溝1231がハウジング1211に入るまで伸長し、伸縮可能保持リング組立体1213は、付勢手段により付勢されて保持溝1231内に圧縮され、作動チューブ1230を完全に伸長した位置にロックする。伸縮可能保持リング組立体1213は、例えば、作動チューブ1230に向かう付勢位置へばね起動される、四半円リング部品として構成することができる。正常動作中、伸縮可能保持リング組立体1213又はそのコンポーネントは、作動チューブ1230の外部壁により圧縮されないように防止される。図26に示すように、例えば、ナットアダプタ1218上の傾斜した延長部1221を、作動チューブ1230の自由端周縁上の所定の位置に構成された溝1229と位置合わせするように形成する。正常動作中(再び図17を参照)、傾斜した延長部1221は、溝1229内に着座し、保持溝1231を横切って延びる。このように、作動チューブ1230、解放チューブ1234、及びナットアダプタ1218がハウジング1211に向かって摺動すると、傾斜した延長部1221は、保持リング組立体1213が保持溝1231内に圧縮されないように防止する。従って、正常動作中、傾斜した延長部1221は、作動チューブ1230を適正に収縮させる。
【0046】
しかし、図24乃至図26に示すように、本発明のさらに他の態様において、ナットアダプタ1218上の傾斜した延長部1221は、係合した保持リング1214を係合解除して、ひとたび非常状況が解決すると、アクチュエータ組立体1100をリセットできるように構成することもできる。従って、アクチュエータ組立体1100内部にガス発生器がないことと組み合わせて、ブローダウンアクチュエータ組立体1100は、次の非常動作のためにリセットするために分解及び再組み立てする必要がない。
【0047】
図24乃至図26に示すように、アクチュエータ組立体1100をリセットするためには、ボールねじ1208を作動させて、ボールナット1216、ナットアダプタ1218及び解放チューブ1234を、保持溝1231内に付勢された保持リング1213により伸長位置でロックされた作動チューブ1230に向けて、一体として動かすことができる。傾斜した延長部1221は、ハウジング1211に向かって溝1229内に摺動する(図25参照)。ボールねじ1208の連続した回転により、傾斜した延長部1221が付勢されて、伸縮リング組立体1213を下向きに押し、伸長させて、リング組立体1213をリング溝1231から係合解除する。従って、解放チューブ1234は、今や組立体であるアーム組立体全体がリセットされ、ハウジング1210内に収縮して正常状況下で動作するように、作動チューブ1230と再係合する。本工程は、圧力源が交換されるか、又はその後の非常状況において、組立体1100に加圧ガスを供給するよう構成されている限り、必要に応じて繰り返すことができる。
【0048】
本開示の多くの利点のなかで、非常工程の起動は、駆動アーム組立体1202のストローク位置に関係なく開始され得る。従って、正常動作中に故障が発生したとしても、降着装置の降下等、工程の途中で、ブローダウンアクチュエータ組立体1100の非常起動により、正常駆動モードに関連する組立体1100の様々な態様が自動的に結合解除され、統合非常用バックアップシステムと関連付けられた組立体1100の各種態様を介して作動チューブ1230をロック位置まで完全に伸長させる。
【0049】
本開示のさらに他の態様において、圧力解放弁を設けて、特に、正常駆動システムの駆動アーム組立体1202がほとんど伸長した位置にあるときに非常モードが起動した場合、伸縮チャンバ1250から過剰圧力を解放することができる。この場合、伸縮チャンバ1250は、駆動アーム組立体1202が概ね収縮した位置にあるときの状況ほどは、伸長する必要がない。
【0050】
本発明の多くの特徴及び利点は、詳細な明細書にから明らかであり、従って、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨及び範囲内にある、本発明のかかる特徴及び利点を全て網羅することを意図する。さらに、当業者には、多くの修正及び変形が容易に思い浮かぶので、本発明は、示され、説明される正確な構造及び動作に限定することは望まれず、従って、全ての好適な修正及び同等物は、本発明の範囲内にあるものとして用いることができる。
【符号の説明】
【0051】
100、1100:ブローダウンアクチュエータ組立体
110、1110:モータ
112、1112:モータ取付板
114、1114:中央駆動軸
116、118、1116、1118:ギア列
200、1200:駆動組立体
202:駆動アーム組立体
204、1204:接続装置
206、1206:駆動組立体取付板
208、1208:ボールねじ
210、1210:カバーチューブ
212、1212:端部キャップ
213、1213:伸縮可能保持リング組立体
214、1214:中央オリフィス
216、1216:ボールナット
218、1218:ナットアダプタ
217、1217:軸受
218、1218:ナットアダプタ
220:ノッチ付き台座
222:端部分
224:解放レバー
226:解放キャップ
228:荷重式ヒンジ
230、1230:作動チューブ
234、1234:解放チューブ
235:空間
236:ロックリング
238、1238:解放ピストン
240:ガス発生器
244、1244:密封プラグ
250、1250:伸縮チャンバ
252、1252:陥凹領域
256:ロックチャネル
260、1260:フランジ部
266:スロット
270、1270:ばね
300、1300:ギアハウジング
1215:保持ピン
1219:スロット
1221:延長部
1229:溝
1231:保持溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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