特許第6335169号(P6335169)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6335169コビメチニブ及びメベムラフェニブを投与することを含むメラノーマの併用療法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6335169
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】コビメチニブ及びメベムラフェニブを投与することを含むメラノーマの併用療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/437 20060101AFI20180521BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20180521BHJP
   A61K 31/4523 20060101ALI20180521BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20180521BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20180521BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20180521BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20180521BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20180521BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20180521BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20180521BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20180521BHJP
   C12N 5/09 20100101ALI20180521BHJP
   C12Q 1/68 20180101ALI20180521BHJP
【FI】
   A61K31/437ZMD
   A61K9/20
   A61K31/4523
   A61K47/04
   A61K47/12
   A61K47/26
   A61K47/32
   A61K47/38
   A61P17/00
   A61P35/00
   A61P43/00 121
   C12N5/09
   C12Q1/68 A
【請求項の数】35
【全頁数】49
(21)【出願番号】特願2015-526987(P2015-526987)
(86)(22)【出願日】2013年8月15日
(65)【公表番号】特表2015-531763(P2015-531763A)
(43)【公表日】2015年11月5日
(86)【国際出願番号】EP2013067050
(87)【国際公開番号】WO2014027056
(87)【国際公開日】20140220
【審査請求日】2015年4月16日
【審判番号】不服2017-4873(P2017-4873/J1)
【審判請求日】2017年4月6日
(31)【優先権主張番号】61/684,673
(32)【優先日】2012年8月17日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/705,575
(32)【優先日】2012年9月25日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/706,026
(32)【優先日】2012年9月26日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/722,725
(32)【優先日】2012年11月5日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/780,708
(32)【優先日】2013年3月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】306021192
【氏名又は名称】エフ・ホフマン−ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ブレイ, ゴードン
(72)【発明者】
【氏名】チャン, アイリス ティー.
【合議体】
【審判長】 村上 騎見高
【審判官】 穴吹 智子
【審判官】 前田 佳与子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/104694(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/080151(WO,A1)
【文献】 特表2010−503695(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/031124(WO,A1)
【文献】 特表2012−509918(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/068562(WO,A1)
【文献】 J.Transl.Med.,2012 Jul,Vol.9,No.10,Art.No.85
【文献】 Drug Metab.Dispos.,2012 May,Vol.40,No.5,p.919−927
【文献】 Diagn.Mol.Pathol.,2012 Mar,Vol.21,No.1,p.1−8
【文献】 Clin.Cancer Res.,2012 Jun,Vol.18,No.11,p.3090−3099
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K31/00−33/44
A61K9/00−9/72
A61K47/00−47/48
CAplus
MEDLINE
BIOSIS
EMBASE
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)[3,4−ジフルオロ−2−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]フェニル][3−ヒドロキシ−3−[(2S)−2−ピペリジニル]−1−アゼチジニル]メタノン(化合物II)又はその薬学的に許容される塩を含む第一組成物及び
(ii)プロパン−1−スルホン酸{3−[5−(4−クロロフェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−2,4−ジフルオロ−フェニル}−アミド(化合物I)又はその薬学的に許容される塩を含む第二組成物を含む薬学的製品であって、BRAFV600変異陽性切除不能又は転移性メラノーマの治療における同時又は逐次使用のための併用製剤として、化合物II又はその薬学的に許容される塩は28日サイクルの第1日から第21日に60mgの用量で投与され、及び化合物I又はその薬学的に許容される塩は一用量960mgで、28日サイクルの各日に1日2回投与される、薬学的製品。
【請求項2】
第一組成物は第二組成物と逐次的に投与される、請求項1に記載の薬学的製品。
【請求項3】
第一組成物は第二組成物と同時に投与される、請求項1に記載の薬学的製品。
【請求項4】
第一及び第二組成物は共に製剤化される、請求項1に記載の薬学的製品。
【請求項5】
化合物I又はその薬学的に許容される塩は実質的に非晶質形態である、請求項1から4の何れか一項に記載の薬学的製品。
【請求項6】
化合物I又はその薬学的に許容される塩は非晶質形態である、請求項1から4の何れか一項に記載の薬学的製品。
【請求項7】
化合物I又はその薬学的に許容される塩が、非晶質形態で固定化されるように、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートにより形成された固体分子複合体中に含まれる、請求項1から6の何れか一項に記載の薬学的製品。
【請求項8】
前記複合体中の化合物I又はその薬学的に許容される塩、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの量は、それぞれ:9から:5の比率である、請求項7に記載の薬学的製品。
【請求項9】
前記複合体中の化合物I又はその薬学的に許容される塩、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの量は、それぞれ:8から:6の比率である、請求項7に記載の薬学的製品。
【請求項10】
前記複合体中の化合物I又はその薬学的に許容される塩、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの量は、それぞれ3:7の比率である、請求項7に記載の薬学的製品。
【請求項11】
第二組成物は、混合物の7重量%が請求項7による固体分子複合体であり、混合物の重量%が二酸化ケイ素である混合物を含む、請求項1から7の何れか一項に記載の薬学的製品。
【請求項12】
第二組成物は、薬学的に許容される担体中に請求項7による固体分子複合体の懸濁液を含む、請求項1から7の何れか一項に記載の薬学的製品。
【請求項13】
第二組成物は、化合物I又はその薬学的に許容される塩とヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートとの固体分子複合体を含む錠剤を含む、請求項1から7の何れか一項に記載の薬学的製品。
【請求項14】
第一組成物は、ラクトース一水和物、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、及びステアリン酸マグネシウムの一又は複数を含む、請求項1から13の何れか一項に記載の薬学的製品。
【請求項15】
化合物IIは、ラクトース一水和物、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、及びステアリン酸マグネシウムを含む錠剤として提供される、請求項1から13の何れか一項に記載の薬学的製品。
【請求項16】
錠剤は、部分加水分解ポリビニルアルコール、二酸化チタン、ポリエチレングリコール3350、及びタルクを含む錠剤のコーティングを含む、請求項15に記載の薬学的製品。
【請求項17】
化合物IIは、20mg錠剤として、40mg錠剤として、又は60mg錠剤として提供される、請求項1から16の何れか一項に記載の薬学的製品。
【請求項18】
化合物I又はその薬学的に許容される塩の2回目の960mgの用量が、化合物I又はその薬学的に許容される塩の1回目の960mgの用量の約12時間後に投与される、請求項1から17の何れか一項に記載の薬学的製品。
【請求項19】
化合物I又はその薬学的に許容される塩、及び化合物II又はその薬学的に許容される塩が各々、食物と共に又は食物無しで、経口投与される、請求項1から18の何れか一項に記載の薬学的製品。
【請求項20】
切除不能又は転移性メラノーマはBRAFV600E変異陽性メラノーマである、請求項1から19の何れか一項に記載の薬学的製品。
【請求項21】
切除不能又は転移性メラノーマは転移性メラノーマである、請求項1から20の何れか一項に記載の薬学的製品。
【請求項22】
BRAFV600変異が、(a)患者のメラノーマのサンプルから抽出された核酸のPCR又は配列決定を実行すること;及び(b)サンプル中でBRAFV600の発現を決定することを含む方法を用いて決定される、請求項1から21の何れか一項に記載の薬学的製品。
【請求項23】
メラノーマサンプルはホルマリン固定パラフィン包埋サンプルである、請求項22に記載の薬学的製品。
【請求項24】
患者の切除不能又は転移性メラノーマは、以前に治療を受けていない、請求項1から23の何れか一項に記載の薬学的製品。
【請求項25】
BRAFV600変異陽性切除不能又は転移性メラノーマの治療のための医薬の製造における使用のための、請求項1から24の何れか一項に記載の薬学的製品。
【請求項26】
BRAFV600変異陽性切除不能又は転移性メラノーマは以前に治療されていない、請求項25に記載の薬学的製品。
【請求項27】
BRAFV600変異陽性切除不能又は転移性メラノーマを有する患者における治療に対する応答の持続時間を延長するための方法に用いられるキットであって、該キットは(i)[3,4−ジフルオロ−2−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]フェニル][3−ヒドロキシ−3−[(2S)−2−ピペリジニル]−1−アゼチジニル]メタノン(化合物II)又はその薬学的に許容される塩を含む第一組成物及び
(ii)プロパン−1−スルホン酸{3−[5−(4−クロロフェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−2,4−ジフルオロ−フェニル}−アミド(化合物I)又はその薬学的に許容される塩を含む第二組成物を含み、
化合物II又はその薬学的に許容される塩は、28日サイクルの第1日から第21日に60mgの用量で投与され、及び化合物I又はその薬学的に許容される塩は一用量960mgで、28日サイクルの各日に1日2回投与される、キット。
【請求項28】
BRAFV600変異陽性切除不能又は転移性メラノーマを有する患者におけるBRAF治療に対する耐性の発生を遅延させるか又は予防する方法に用いられるキットであって、該キットは
(i)[3,4−ジフルオロ−2−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]フェニル][3−ヒドロキシ−3−[(2S)−2−ピペリジニル]−1−アゼチジニル]メタノン(化合物II)又はその薬学的に許容される塩を含む第一組成物及び
(ii)プロパン−1−スルホン酸{3−[5−(4−クロロフェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−2,4−ジフルオロ−フェニル}−アミド(化合物I)又はその薬学的に許容される塩を含む第二組成物を含み、
化合物II又はその薬学的に許容される塩は、28日サイクルの第1日から第21日に60mgの用量で投与され、及び化合物I又はその薬学的に許容される塩は一用量960mgで、28日サイクルの各日に1日2回投与される、キット。
【請求項29】
BRAFV600変異の存在がBRAF核酸を評価することにより決定される、請求項27又は28に記載のキット。
【請求項30】
BRAFV600変異の存在は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)配列決定対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドを用いたハイブリダイゼーション、プライマー伸長、対立遺伝子特異的ライゲーション、又は電気泳動分離技術及び5’ヌクレアーゼアッセイから選択される方法を用いて決定される、請求項27から29の何れか一項に記載のキット。
【請求項31】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が定量的リアルタイムPCR又は対立遺伝子特異的PCRであり、配列決定がサンガー配列決定及び/又はピロシーケンスであり、又は電気泳動分離技術が一本鎖高次構造多型(SSCP)又はヘテロ二本鎖分析である、請求項30に記載のキット。
【請求項32】
BRAFV600変異の存在は、PCR又は配列決定を用いて決定される、請求項27から29の何れか一項に記載のキット。
【請求項33】
BRAFV600変異の存在は、(a)BRAF標的配列の少なくとも一の変異体に対して第一及び第二オリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせ;前記第一のオリゴヌクレオチドは、標的配列の一以上の変異体に少なくとも部分的に相補的であり、前記第二のオリゴヌクレオチドは、標的配列の一以上の変異体に少なくとも部分的に相補的であり、標的配列の唯一の変異体に相補的な少なくとも一の内部選択的ヌクレオチドを有し;(b)核酸ポリメラーゼにより第二のオリゴヌクレオチドを伸長させ;前記ポリメラーゼが、前記第二のオリゴヌクレオチドを、前記選択的ヌクレオチドが標的と塩基対を形成するときに優先的に、前記選択的ヌクレオチドが標的と塩基対を形成しないときに実質的により少なく伸長することが可能であり、及び(c)前記オリゴヌクレオチド伸長の産物を検出し;その伸長はオリゴヌクレオチドが相補的な選択的ヌクレオチドを有する標的配列の変異体の存在を意味することを含む方法によって決定される、請求項27から29の何れか一項に記載のキット。
【請求項34】
BRAFV600変異陽性切除不能又は転移性メラノーマは以前に治療されていない、請求項27又は28に記載のキット。
【請求項35】
付加的治療薬を更に含む、請求項27又は28に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2012年8月17日に出願された米国特許出願番号61/684673、2012年9月25日に出願された米国特許出願番号61/705575、2012年9月26日に出願された米国特許出願番号61/706026、2012年11月5日に出願された米国特許出願番号61/722725、及び2013年3月13日に出願された米国特許出願番号61/780708に対する優先権を主張し、これらは、その全体が参考として援用される。
【0002】
本発明は、分子生物学及びシグナル伝達の分野に関する。より具体的には、本発明は、癌などの病的状態の治療のための治療法に関する。
【背景技術】
【0003】
癌は、依然としてヒトの健康に最も致命的な脅威の一つである。世界中で、メラノーマ症例数は、他のヒト癌のよりも速い速度で増えている(Roberts et al., Br. J. Dermatol (2002) 146:7-17, Boyle et al., Ann oncol (2004) 15:5-6)。年間発生率は集団間で異なるが、一般的には、発生率の上昇は、色白の白人集団においてより大きい(年間約3−7%)。毎年、世界的に約132000のメラノーマの新たな症例が発症し、そしてメラノーマから約37000人の死亡が発生するであろうと推定される。米国においては、2009年に68720の新規な症例とメラノーマから8650人の死亡が存在した(Jemal et al., CA Cancer J Clin (2009) 59:225-49)。メラノーマ患者の臨床転帰は、症状のステージに大きく依存している。転移性メラノーマは、最も致命的な癌の一つである。メラノーマのための新たな治療法の開発における最近の成功にもかかわらず、患者の大多数は、最終的に自分の疾患で死亡する;したがって、メラノーマ患者集団のこのセグメントの転帰を改善するための重要な満たされていない必要性が依然として存在する。
【0004】
ベムラフェニブは、FDAがコバス(登録商標)4800 BRAF V600変異試験を用いてBRAFV600E変異陽性である切除不能又は転移性メラノーマ患者の治療のためにFDAに承認されている(ZELBORAF(登録商標)[ベムラフェニブ]パッケージ挿入物を参照のこと)。ダカルバジンと比較した場合、ベムラフェニブは死亡リスクにおいて63%減少と疾患の進行又は死亡のリスクにおいて74%の減少と関連していた(Chapman et al., NEJM (2011) 364 (26):2507-16。更に、ベムラフェニブによる治療は、50%よりも一貫して高い奏効率及び14から16ヶ月のOS中央値をもたらした(Flaherty et al., NEJM (2010) 363:809-819; Chapman et al., id.; Sosman et al., NEJM (2012) 366(8):707)。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、MEK阻害剤がBRAF阻害剤と組み合わされ、それによって顕著な抗腫瘍活性を提供する、癌などの病的状態を治療するための併用療法を提供する。特に、本発明は、BRAFV600変異陽性切除不能又は転移性メラノーマを有する患者において、MEK阻害剤と組み合わせたBRAF阻害剤の臨床試験からのデータを提供する。
【0006】
一態様において、(i)[3,4−ジフルオロ−2−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]フェニル][3−ヒドロキシ−3−[(2S)−2−ピペリジニル]−1−アゼチジニル]メタノン(化合物II)又はその薬学的に許容される塩を含む第一組成物;及び(ii)プロパン−1−スルホン酸{3−[5−(4−クロロフェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−2,4−ジフルオロ−フェニル}−アミド(化合物I)又はその薬学的に許容される塩を含む第二組成物を、28日サイクルの第1日から第28日に、960mgの一用量で1日2回患者に投与することを含む、BRAFV600変異陽性の癌を有する患者(本明細書においては互換的に「個体」とも呼ばれる)を治療する(例えば治療的に処置する)方法が提供される。
【0007】
一態様において、(i)化合物II又はその薬学的に許容される塩を含む第一組成物を、28日サイクルの第1日から第21日に60mgの用量(例えば1個の60mg錠剤)で、及び(ii)化合物I又はその薬学的に許容される塩を含む第二組成物を、28日サイクルの第1日から第28日に960mgの一用量(例えば4つの240mg錠剤)で1日2回患者に投与することを含む、BRAFV600変異陽性切除不能又は転移性メラノーマを有する患者を治療する(例えば治療的に処置する)方法が提供される。
【0008】
幾つかの実施態様において、化合物I又はその薬学的に許容される塩は、実質的に非晶質形態である。幾つかの実施態様において、化合物I又はその薬学的に許容される塩は非晶質形態である。幾つかの実施態様において、化合物I又はその薬学的に許容される塩は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートにより形成された固体の分子複合体中に含まれ、その非晶質形態に固定されるようになっている。幾つかの実施態様において、前記複合体中の化合物I又はその薬学的に許容される塩、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMC−AS)の量は、それぞれ約1:9から約5:5の比率である。幾つかの実施態様において、前記複合体中の化合物I又はその薬学的に許容される塩、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの量は、それぞれ約2:8から約4:6の比率である。幾つかの実施態様において、前記複合体中の化合物I又はその薬学的に許容される塩、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの量は、それぞれ約3:7の比率である。幾つかの実施態様において、第二組成物は、混合物の約97重量%が上記の固体分子複合体であり、混合物の約3重量%が二酸化ケイ素である、混合物を含む。幾つかの実施態様において、第二組成物は、薬学的に許容される担体中の上記の固体分子複合体の懸濁液を含む。幾つかの実施態様において、第二組成物は、化合物I又はその薬学的に許容される塩、及びHPMC−ASとの固体分子複合体を含む錠剤を含む。幾つかの実施態様において、化合物Iは錠剤として提供される。幾つかの実施態様において、化合物Iは、240mgの錠剤(即ち、化合物Iの240mgを含む錠剤)として提供される。幾つかの実施態様において、化合物Iは、ZELBORAF(登録商標)として販売される錠剤として提供される。
【0009】
幾つかの実施態様において、化合物IIを含む第一組成物は、ラクトース一水和物、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、及びステアリン酸マグネシウムの一以上を含む。幾つかの実施態様において、化合物IIは、ラクトース一水和物、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、及びステアリン酸マグネシウムを含む錠剤として提供される。幾つかの実施態様において、錠剤は、部分加水分解ポリビニルアルコール、二酸化チタン、ポリエチレングリコール3350、及びタルクを含む錠剤のコーティングを含む。幾つかの実施態様において、化合物IIは、20mg錠剤として、40mg錠剤として、又は60mg錠剤として(即ち、化合物IIの60mgを含む錠剤)提供される。幾つかの実施態様において、化合物IIは60mg錠剤として提供される。幾つかの実施態様において、60mg錠剤はピルカード又はブリスターパックで提供される。
【0010】
幾つかの実施態様において、投薬は、同時又は逐次であってもよく、投与は複合製剤として、又は別個の製剤としてであってもよい。幾つかの実施態様において、(化合物IIを含む)第一組成物は(化合物Iを含む)第二組成物と逐次に投与される、(限定されないが以下を含む:化合物Iを含む一以上の錠剤が投与され、次いで化合物IIの一以上の錠剤:一以上の化合物Iの錠剤が投与され、次いで一以上の化合物IIの錠剤、次いで一以上の化合物Iの錠剤)。幾つかの実施態様において、第一組成物は第二組成物の前に投与される。幾つかの実施態様において、第二組成物は第一組成物の前に投与される。幾つかの実施態様において、第一組成物は第二組成物と同時に投与される。幾つかの実施態様において、第一組成物は、第二組成物と同時に投与され、続いて第一の化合物が投与される。幾つかの実施態様において、第一及び第二組成物は、(幾つかの実施態様において錠剤として)併用製剤として提供される。幾つかの実施態様において、第一及び第二組成物は(例えば、薬学的製剤として)共に製剤化される。幾つかの実施態様において、化合物I又はその薬学的に許容される塩の2回目の960mg用量(例えば、4つの240mg錠剤)が、化合物I又はその薬学的に許容される塩の1回目の960mg用量(例えば、4つの240mg錠剤)の約12時間後に投与される。幾つかの実施態様において、化合物I又はその薬学的に許容される塩、及び化合物II又はその薬学的に許容される塩が各々、食物と共に又は食物無しで、経口投与される。幾つかの実施態様において、化合物I又はその薬学的に許容される塩、及び化合物II又はその薬学的に許容される塩が各々、食物と共に、経口投与される。幾つかの実施態様において、化合物I又はその薬学的に許容される塩、及び化合物II又はその薬学的に許容される塩が各々、食物無しで、経口投与される。
【0011】
幾つかの実施態様において、切除不能又は転移性メラノーマは、BRAFV600変異陽性メラノーマである。幾つかの実施態様において、切除不能又は転移性メラノーマは、転移性メラノーマである。幾つかの実施態様において、切除不能又は転移性メラノーマは、切除不能メラノーマである。幾つかの実施態様において、患者の切除不能又は転移性メラノーマは(例えば、ベムラフェニブ又はBRAF阻害剤により)以前に治療されていない。幾つかの実施態様において、患者の切除不能又は転移性メラノーマは(幾つかの実施態様において、BRAF阻害剤の事前治療を含まずに)以前に治療されている。
【0012】
幾つかの実施態様において、BRAFV600変異が、(a)患者のメラノーマのサンプルから抽出された核酸(例えば、DNA、例えば、ゲノムDNA)のPCR又は配列決定を実行すること;及び(b)サンプル中でBRAFV600の発現を決定することを含む方法を用いて決定される。幾つかの実施態様において、メラノーマサンプルは、ホルマリン固定パラフィン包埋されている。幾つかの実施態様において、BRAFV600変異が、(a)患者のメラノーマのサンプルからDNA(例えば、ゲノムDNA)を単離し、(b)患者のメラノーマのサンプルから抽出された核酸(例えば、DNA)のPCR又は配列決定を実行し;及び(c)サンプル中でBRAFV600の発現を決定することを含む方法を用いて決定される。幾つかの実施態様において、メラノーマサンプルは、ホルマリン固定パラフィン包埋されている。
【0013】
別の態様において、(i)化合物II又はその薬学的に許容される塩を含む第一組成物を、28日サイクルの第1日から第21日に60mgの用量で;及び(ii)化合物I又はその薬学的に許容される塩を含む第二組成物を、28日サイクルの各日に960mgの一用量で1日2回、患者に投与することを含む、切除不能又は転移性メラノーマ(例えば、BRAFV600変異陽性切除不能又は転移性メラノーマ)を有する患者における治療(例えば、治療的処置)に対する応答の持続時間を延長する方法が提供される。
【0014】
別の態様において、(i)化合物II又はその薬学的に許容される塩を、28日サイクルの第1日から第21日に60mgの用量で;及び(ii)化合物I又はその薬学的に許容される塩を、28日サイクルの各日に960mgの一用量で1日2回、患者に投与することを含む、切除不能又は転移性メラノーマ(例えば、BRAFV600変異陽性切除不能又は転移性メラノーマ)を有する患者における、治療に対する耐性(例えば、BRAF阻害剤治療に対する耐性)の発生を遅延させる又は予防する方法が提供される。
【0015】
別の態様では、BRAFV600変異陽性切除不能又は転移性メラノーマの治療において同時又は逐次使用のための併用製剤として、(i)[3,4−ジフルオロ−2−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]フェニル][3−ヒドロキシ−3−[(2S)−2−ピペリジニル]−1−アゼチジニル]メタノン(化合物II)又はその薬学的に許容される塩を含む第一組成物;及び(ii)プロパン−1−スルホン酸{3−[5−(4−クロロフェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−2,4−ジフルオロ−フェニル}−アミド(化合物I)又はその薬学的に許容される塩を含む第二組成物を含む薬学的製品が提供され、ここで、化合物IIは28日サイクルの第1日から第21日に60mgの用量で投与され、及び化合物Iは28日サイクルの各日に960mgの一用量で1日2回投与される。
【0016】
幾つかの実施態様において、化合物I又はその薬学的に許容される塩は、実質的に非晶質形態である。幾つかの実施態様において、化合物I又はその薬学的に許容される塩は非晶質形態である。幾つかの実施態様において、化合物I又はその薬学的に許容される塩は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートにより形成された固体の分子複合体中に含まれ、その非晶質形態に固定されるようになっている。幾つかの実施態様において、前記複合体中の化合物I又はその薬学的に許容される塩、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの量は、それぞれ約1:9から約5:5の比率である。幾つかの実施態様において、前記複合体中の化合物I又はその薬学的に許容される塩、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの量は、それぞれ約2:8から約4:6の比率である。幾つかの実施態様において、前記複合体中の化合物I又はその薬学的に許容される塩、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの量は、それぞれ約3:7の比率である。幾つかの実施態様において、第二組成物は、混合物の約97重量%が上記の固体分子複合体であり、混合物の約3重量%が二酸化ケイ素である、混合物を含む。幾つかの実施態様において、第二組成物は、薬学的に許容される担体中の上記の固体分子複合体の懸濁液を含む。幾つかの実施態様において、第二組成物は、化合物I又はその薬学的に許容される塩、及びHPMC−ASとの固体分子複合体を含む錠剤を含む。幾つかの実施態様において、化合物Iは錠剤として提供される。幾つかの実施態様において、化合物Iは、240mgの錠剤(即ち、化合物Iの240mgを含む錠剤)として提供される。幾つかの実施態様において、化合物Iは、ZELBORAF(登録商標)として販売される錠剤として提供される。
【0017】
幾つかの実施態様において、第一組成物は、ラクトース一水和物、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、及びステアリン酸マグネシウムの一以上を含む。幾つかの実施態様において、化合物IIは、ラクトース一水和物、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、及びステアリン酸マグネシウムを含む錠剤として提供される。幾つかの実施態様において、錠剤は、部分加水分解ポリビニルアルコール、二酸化チタン、ポリエチレングリコール3350、及びタルクを含む錠剤のコーティングを含む。幾つかの実施態様において、化合物IIは、20mg錠剤として、40mg錠剤として、又は60mg錠剤として提供される。幾つかの実施態様において、化合物IIは60mg錠剤として提供される。
【0018】
幾つかの実施態様において、投薬は、同時又は逐次であってもよく、投与は複合製剤として、又は別個の製剤としてであってもよい。幾つかの実施態様において、(化合物IIを含む)第一組成物は(化合物Iを含む)第二組成物と逐次に投与される、(限定されないが以下を含む:化合物Iを含む一以上の錠剤が投与され、次いで化合物IIの一以上の錠剤:一以上の化合物Iの錠剤が投与され、次いで一以上の化合物IIの錠剤、次いで一以上の化合物Iの錠剤)。幾つかの実施態様において、第一組成物は第二組成物の前に投与される。幾つかの実施態様において、第二組成物は第一組成物の前に投与される。幾つかの実施態様において、第一組成物は第二組成物と同時に投与される。幾つかの実施態様において、第一組成物は、第二組成物と同時に投与され、続いて第一の化合物が投与される。幾つかの実施態様において、第一及び第二組成物は、(幾つかの実施態様において錠剤として)併用製剤として提供される。幾つかの実施態様において、第一及び第二組成物は(例えば、薬学的製剤として)共に製剤化される。幾つかの実施態様において、化合物I又はその薬学的に許容される塩の2回目の960mg用量(例えば、4つの240mg錠剤)が、化合物I又はその薬学的に許容される塩の1回目の960mg(例えば、4つの240mg錠剤)用量の約12時間後に投与される。幾つかの実施態様において、化合物I又はその薬学的に許容される塩、及び化合物II又はその薬学的に許容される塩が各々、食物と共に又は食物無しで、経口投与される。幾つかの実施態様において、化合物I又はその薬学的に許容される塩、及び化合物II又はその薬学的に許容される塩が各々、食物と共に、経口投与される。幾つかの実施態様において、化合物I又はその薬学的に許容される塩、及び化合物II又はその薬学的に許容される塩が各々、食物無しで、経口投与される。
【0019】
幾つかの実施態様において、切除不能又は転移性メラノーマはBRAFV600E変異陽性メラノーマである。幾つかの実施態様において、切除不能又は転移性メラノーマは、転移性メラノーマである。幾つかの実施態様において、切除不能又は転移性メラノーマは、切除不能メラノーマである。幾つかの実施態様において、患者の切除不能又は転移性メラノーマは(例えば、ベムラフェニブ又はBRAF阻害剤により)以前に治療されていない。幾つかの実施態様において、患者の切除不能又は転移性メラノーマは(幾つかの実施態様において、BRAF阻害剤の事前治療を含まずに)以前に治療されている。
【0020】
幾つかの実施態様において、BRAFV600変異が、(a)患者のメラノーマのサンプルから抽出された核酸(例えば、DNA)のPCR又は配列決定を実行すること;及び(b)サンプル中でBRAFV600の発現を決定することを含む方法を用いて決定される。幾つかの実施態様において、メラノーマサンプルは、ホルマリン固定パラフィン包埋サンプルである。
【0021】
別の態様において、患者の切除不能又は転移性メラノーマサンプルにおいてBRAFV600変異の存在を決定すること、及びBRAFV600変異の存在に基づいて癌医薬を選択することを含む、切除不能又は転移性メラノーマの患者のための治療法を選択するための方法が提供される。幾つかの実施態様において、サンプルは、BRAFV600変異を発現することが示され、化合物Iを含む組成物と組み合わせた、化合物IIを含む組成物による治療が選択される。幾つかの実施態様において、患者は、(i)化合物II又はその薬学的に許容される塩を含む第一組成物を、28日サイクルの第1日から第21日に60mgの用量で、及び(ii)化合物I又はその薬学的に許容される塩を含む第二組成物を、28日サイクルの第1日から第28日に960mgの一用量で1日2回患者に投与することを含む方法によって切除不能又は転移性メラノーマを治療される。
【0022】
別の態様において、患者の切除不能又は転移性メラノーマサンプルにおいてBRAFV600変異の存在を決定すること、及びBRAFV600変異の存在に基づいて癌医薬を選択することを含む、治療的有効性を最適化するための方法が提供される。幾つかの実施態様において、サンプルは、BRAFV600変異を発現することが示され、化合物Iを含む第二組成物と組み合わせた、化合物IIを含む第一組成物による治療が選択される。幾つかの実施態様において、患者は、(i)化合物II又はその薬学的に許容される塩を含む第一組成物を、28日サイクルの第1日から第21日に60mgの用量で、及び(ii)化合物I又はその薬学的に許容される塩を含む第二組成物を、28日サイクルの第1日から第28日に960mgの一用量で1日2回患者に投与することを含む方法によって切除不能又は転移性メラノーマを治療される。
【0023】
本明細書に記載される発明の何れかの幾つかの実施態様において、BRAFV600変異の存在(幾つかの実施態様においてはその存在又は非存在)が、BRAF核酸を評価することにより決定される。幾つかの実施態様において、BRAFV600変異の存在は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(限定されないが、定量的リアルタイムPCR及び対立遺伝子特異的PCRを含む)、配列決定(限定されないが、サンガー配列決定及び/又はピロシーケンスを含む)、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドを用いたハイブリダイゼーション、プライマー伸長、対立遺伝子特異的ライゲーション、又は電気泳動分離技術(限定されないが、一本鎖高次構造多型(SSCP)及びヘテロ二本鎖分析を含む)、及び5’ヌクレアーゼアッセイから選択される方法を用いて決定される。幾つかの実施態様において、BRAFV600変異の存在は、PCR又は配列決定を用いて決定される。幾つかの実施態様において、BRAFV600変異の存在は、(a)患者のメラノーマのサンプルから抽出されたゲノムDNAのPCRを実行すること;及び(b)PCR増幅された核酸を配列決定することにより変異体BRAFポリヌクレオチドの発現を決定することを含む方法により決定される。幾つかの実施態様では、BRAFV600変異の存在は、(a)BRAF標的配列の少なくとも一の変異体に対して第一及び第二オリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせ;前記第一のオリゴヌクレオチドは、標的配列の一以上の変異体に少なくとも部分的に相補的であり、前記第二のオリゴヌクレオチドは、標的配列の一以上の変異体に少なくとも部分的に相補的であり、標的配列の唯一の変異体に相補的な少なくとも一の内部選択的ヌクレオチドを有し;(b)核酸ポリメラーゼにより第二のオリゴヌクレオチドを伸長させ;前記ポリメラーゼが、前記第二のオリゴヌクレオチドを、前記選択的ヌクレオチドが標的と塩基対を形成するときに優先的に、前記選択的ヌクレオチドが標的と塩基対を形成しないときに実質的により少なく伸長することが可能であり、及び(c)前記オリゴヌクレオチド伸長の産物を検出し;その伸長はオリゴヌクレオチドが相補的な選択的ヌクレオチドを有する標的配列の変異体の存在を意味する、方法によって決定される。幾つかの実施態様において、サンプル(メラノーマサンプル)は、ホルマリン固定パラフィン包埋サンプルである。サンプルは、癌治療薬による患者の治療前に得られてもよい。サンプルは原発腫瘍又は転移性腫瘍から得ることができる。サンプルは、癌が最初に診断されたとき及び/又は、例えば、腫瘍が転移した後に得ることができる。幾つかの実施態様において、転移した腫瘍サンプルは、肺、皮膚、リンパ節、骨、肝臓、結腸、甲状腺、及び/又は卵巣のものである。
【0024】
別の態様において、本明細書に記載の方法は、付加的治療薬による治療を更に含む。幾つかの実施態様において、付加的治療薬は癌医薬である。
【0025】
別の態様において、(i)化合物II又はその薬学的に許容可能な塩を含む第一組成物;及び(ii)化合物I又はその薬学的に許容可能な塩を含む第二組成物を含むキットが提供される。幾つかの実施態様において、キットは、本明細書に記載される方法の何れかを実行するための指示を含む。幾つかの実施態様において、指示は、(i)化合物II又はその薬学的に許容される塩を含む第一組成物を、28日サイクルの第1日から第21日に60mgの用量で、及び(ii)化合物I又はその薬学的に許容される塩を含む第二組成物を、28日サイクルの第1日から第28日に960mgの一用量で1日2回患者に投与することを含む、BRAFV600変異陽性切除不能又は転移性メラノーマを有する患者を治療する(例えば治療的に処置する)方法のためである。幾つかの実施態様において、キットは、BRAFV600変異陽性切除不能又は転移性メラノーマの治療における使用のためである。幾つかの実施態様において、メラノーマはBRAFV600E変異陽性切除不能又は転移性メラノーマである。幾つかの実施態様において、切除不能又は転移性メラノーマは以前に治療を受けていない。幾つかの実施態様において、患者の切除不能又は転移性メラノーマは(幾つかの実施態様において、BRAF阻害剤の事前治療を含まずに)以前に治療されている。幾つかの実施態様において、化合物IIを含む第一組成物は錠剤である。幾つかの実施態様において、化合物Iを含む第二組成物は錠剤である。幾つかの実施態様において、化合物IIを含む第一組成物及び化合物Iを含む第二組成物はそれぞれ錠剤で提供される。幾つかの実施態様において、化合物Iを含む第一組成物及び化合物IIを含む第二組成物は単一投薬形態として提供される。幾つかの実施態様において、化合物IIを含む第一組成物及び化合物Iを含む第二組成物は(例えば薬学的製剤として)共に製剤化される
【0026】
別の態様において、癌(例えば、BRAFV600変異陽性切除不能又は転移性メラノーマなど)を治療すること(例えば治療的に処置すること)に使用のための製造品が提供される。製造品は、容器と容器上ないしは容器に付随するラベルないしはパッケージ挿入物を含んでなる。適切な容器は、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、ピルパック、ブリスターパック、ダイヤルパックなどを含む。幾つかの実施態様において、製造品は、容器及び化合物IIを60mg含む錠剤を含む。幾つかの実施態様において、製造品は、容器及び化合物IIを20mg又は40mg含む錠剤を含む。幾つかの実施態様において、製造品は、(a)錠剤として提供される化合物IIを含む第一組成物(例えば、化合物IIを60mg)及び(b)錠剤として提供される化合物Iを含む第二組成物(例えば、化合物Iを960mg)を含む容器を含む。幾つかの実施態様において、容器はピルパック又はブリスターパックである。幾つかの実施態様において、製造品(例えば、ピルパック又はブリスターパックとして提供される)は、化合物IIを含む組成物を21錠剤(例えば、化合物IIを60mg);及び化合物Iを含む組成物の錠剤(例えば、化合物Iを960mg(例えば4つの240mg錠剤))を含む。幾つかの実施態様において、ラベルは本明細書に記載される治療の方法の何れかの指示を提供する。
【0027】
別の態様において、本明細書中で同定されるバイオマーカーの任意の一又は複数を検出するために有用な診断キットが提供される。従って、癌患者由来のサンプルにおけるBRAFV600バイオマーカーの発現など、BRAF発現の発現を決定するための一又は複数の試薬を含む診断キットが提供される。任意で、キットは、患者を治療する(例えば、治療的処置をする)ために化合物Iと組み合わせて化合物IIを選択するために、患者の切除不能又は転移性メラノーマがBRAFV600を発現する場合にキットを使用するための指示を含み、ここで、治療は、(i)化合物II又はその薬学的に許容される塩を28日サイクルの第1日から第21日に60mgの用量で;及び(ii)化合物I又はその薬学的に許容される塩を28日サイクルの第1日から第28日に960mgの一用量で1日2回投与することを含む。幾つかの実施態様において、患者の切除不能又は転移性メラノーマは、以前に治療を受けていない。幾つかの実施態様において、患者の切除不能又は転移性メラノーマは(幾つかの実施態様において、BRAF阻害剤の事前治療を含まずに)以前に治療されている。
【0028】
別の実施態様において、本発明は、ベムラフェニブと組み合わせて、BRAFV600変異陽性切除不能又は転移性メラノーマを有する患者を治療する(例えば治療的に処置する)ための化合物IIの使用をターゲット・オーディエンスに対して促進することを含む、癌医薬を促進又は宣伝するための方法を提供し、治療は(i)化合物II又はその薬学的に許容される塩を、28日サイクルの第1日から第21日に60mgの用量で;及び(ii)化合物I又はその薬学的に許容される塩を、28日サイクルの第1日から第28日に960mgの一用量で1日2回投与することを含む。幾つかの実施態様において、患者の切除不能又は転移性メラノーマは(例えば、ベムラフェニブ又はBRAF阻害剤により)以前に治療されていない。幾つかの実施態様において、患者の切除不能又は転移性メラノーマは(幾つかの実施態様において、BRAF阻害剤の事前治療を含まずに)以前に治療されている。
【0029】
別の実施態様において、本発明は、化合物Iと組み合わせて、BRAFV600変異陽性切除不能又は転移性メラノーマを有する患者を治療する(例えば治療的に処置する)ための化合物IIの使用をマーケティンすることを含むビジネス法が提供され、治療は(i)化合物II又はその薬学的に許容される塩を、28日サイクルの第1日から第21日に60mgの用量で;及び(ii)化合物I又はその薬学的に許容される塩を、28日サイクルの第1日から第28日に960mgの一用量で1日2回投与することを含む。幾つかの実施態様において、患者の切除不能又は転移性メラノーマは(例えば、ベムラフェニブ又はBRAF阻害剤により)以前に治療されていない。幾つかの実施態様において、患者の切除不能又は転移性メラノーマは(幾つかの実施態様において、BRAF阻害剤の事前治療を含まずに)以前に治療されている。
【0030】
本発明のこれら及び他の態様及び利点は、以下の詳細な説明及び添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。それは1つが、いくつかの、又は本明細書に記載の様々な実施態様の特性のうち一つ、幾つか、又は全ては、本発明の他の実施態様を形成するために組み合わせることができることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、次の28日間のスケジュール:試験薬を連続14日間の後に14日間の休薬期間(14/14)、試験薬を連続21日間の後に7日間の休薬期間(21/7)又は連続する毎日の投与(28/0)としての何れかで投与されるベムラフェニブとGDC0973との組み合わせによる治療を含むフェーズIb臨床試験のための用量漸増計画を示す。各治療サイクルは28日であった。
図2図2は、ベムラフェニブとGDC−0973又はプラセボの投与スキームを示す。投薬の2サイクルが示されている。
図3図3は患者の特徴を示す。
図4図4は、全ての患者においてベムラフェニブ又はGDC−0973のどちらかに起因する有害事象を示している。
図5図5は、投薬の中断、削減及び永続的な中止につながった有害事象を示している。
図6図6は、事前のベムラフェニブで進行した患者における最良応答に対するベースラインからの腫瘍サイズの変化を示す。
図7図7は、ベムラフェニブナイーブ患者における最良応答に対するベースラインからの腫瘍サイズの変化を示す。
図8A-B】A.事前のベムラフェニブ治療で進行し、ベムラフェニブ+GDC−0973による治療後の患者のPETスキャン応答。B.事前のベムラフェニブ治療で進行し、ベムラフェニブ+GDC−0973により治療された患者のPET応答の更なる例。
【0032】
本発明の実施態様の詳細な記述
BRAFV600変異陽性切除不能又は転移性メラノーマの治療において同時又は逐次使用のための併用製剤として、(i)[3,4−ジフルオロ−2−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]フェニル][3−ヒドロキシ−3−[(2S)−2−ピペリジニル]−1−アゼチジニル]メタノン(化合物II)又はその薬学的に許容される塩を含む第一組成物;及び(ii)プロパン−1−スルホン酸{3−[5−(4−クロロフェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−2,4−ジフルオロ−フェニル}−アミド(化合物I)又はその薬学的に許容される塩を含む第二組成物を含む薬学的製品であって、化合物IIは28日サイクルの第1日から第21日に60mgの用量で投与され、及び化合物Iは28日サイクルの各日に960mgの一用量で1日2回投与される薬学的製品。
【0033】
別の実施態様において、前記第一組成物は第二組成物と逐次的に投与される、パラグラフ[0032]による薬学的製品が提供される。
【0034】
別の実施態様において、第一組成物は第二組成物と同時に投与される、パラグラフ[0032]による薬学的製品が提供される。
【0035】
別の実施態様において、第一及び第二組成物が共に製剤化される、パラグラフ[0032]による薬学的製品が提供される。
【0036】
別の実施態様において、化合物I又はその薬学的に許容される塩は実質的に非晶質形態である、パラグラフ[0032]からパラグラフ[0035]の何れか一による薬学的製品が提供される。
【0037】
別の実施態様において、化合物I又はその薬学的に許容される塩は非晶質形態である、パラグラフ[0032]からパラグラフ[0035]の何れか一による薬学的製品が提供される。
【0038】
別の実施態様において、化合物I又はその薬学的に許容される塩が、非晶質形態で固定化されるように、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートにより形成された固体分子複合体中に含まれる、パラグラフ[0032]からパラグラフ[0037]の何れか一による薬学的製品が提供される。
【0039】
別の実施態様において、前記複合体中の化合物I又はその薬学的に許容される塩、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの量は、それぞれ約1:9から約5:5の比率である、パラグラフ[0038]による薬学的製品が提供される。
【0040】
別の実施態様において、前記複合体中の化合物I又はその薬学的に許容される塩、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの量は、それぞれ約2.8から約4.6の比率である、パラグラフ[0038]による薬学的製品が提供される。
【0041】
別の実施態様において、前記複合体中の化合物I又はその薬学的に許容される塩、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの量は、それぞれ約3:7の比率である、パラグラフ[0038]による薬学的製品が提供される。
【0042】
別の実施態様において、前記複合体中の化合物I又はその薬学的に許容される塩、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの量は、それぞれ3:7の比率である、パラグラフ[0038]による薬学的製品が提供される。
【0043】
別の実施態様において、第二組成物は、混合物の約97重量%が請求項7による固体分子複合体であり、混合物の約3重量%が二酸化ケイ素である混合物を含む、パラグラフ[0032]からパラグラフ[0042]の何れか一による薬学的製品が提供される
【0044】
別の実施態様において、第二組成物は、薬学的に許容される担体中に請求項7による固体分子複合体の懸濁液を含む、パラグラフ[0032]からパラグラフ[0042]の何れか一による薬学的製品が提供される。
【0045】
別の実施態様において、第二組成物は、化合物I又はその薬学的に許容される塩とHPMC−ASとの固体分子複合体を含む錠剤を含む、パラグラフ[0032]からパラグラフ[0042]の何れか一による薬学的製品が提供される。
【0046】
別の実施態様において、第一組成物は、ラクトース一水和物、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、及びステアリン酸マグネシウムの一又は複数を含む、パラグラフ[0032]からパラグラフ[0045]の何れか一による薬学的製品が提供される。
【0047】
別の実施態様において、化合物IIは、ラクトース一水和物、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、及びステアリン酸マグネシウムを含む錠剤として提供される、パラグラフ[0032]からパラグラフ[0045]の何れか一による薬学的製品が提供される。
【0048】
別の実施態様において、錠剤は、部分加水分解ポリビニルアルコール、二酸化チタン、ポリエチレングリコール3350、及びタルクを含む錠剤コーティングを含む、パラグラフ[0047]による薬学的製品が提供される。
【0049】
別の実施態様において、化合物IIは、20mg錠剤として、40mg錠剤として、又は60mg錠剤として提供される、パラグラフ[0032]からパラグラフ[0048]の何れか一による薬学的製品が提供される。
【0050】
別の実施態様において、化合物I又はその薬学的に許容される塩の2回目の960mgの用量が、化合物I又はその薬学的に許容される塩の1回目の960mgの用量の約12時間後に投与される、パラグラフ[0032]からパラグラフ[0049]の何れか一による薬学的製品が提供される。
【0051】
別の実施態様において、化合物I又はその薬学的に許容される塩、及び化合物II又はその薬学的に許容される塩が各々、食物と共に又は食物無しで、経口投与される、パラグラフ[0032]からパラグラフ[0050]の何れか一による薬学的製品が提供される。
【0052】
別の実施態様において、切除不能又は転移性メラノーマはBRAFV600E変異陽性メラノーマである、パラグラフ[0032]からパラグラフ[0051]の何れか一による薬学的製品が提供される。
【0053】
別の実施態様において、切除不能又は転移性メラノーマは転移性メラノーマである、パラグラフ[0032]からパラグラフ[0052]の何れか一による薬学的製品が提供される。
【0054】
別の実施態様において、BRAFV600変異が、(a)患者のメラノーマのサンプルから抽出された核酸(例えば、DNA)のPCR又は配列決定を実行すること;及び(b)サンプル中でBRAFV600の発現を決定することを含む方法を用いて決定される、パラグラフ[0032]からパラグラフ[0053]の何れか一による薬学的製品が提供される。
【0055】
別の実施態様において、メラノーマサンプルはホルマリン固定パラフィン包埋サンプルである、パラグラフ[0054]による薬学的製品が提供される。
【0056】
別の実施態様において、患者の切除不能又は転移性メラノーマは以前に治療されていない、パラグラフ[0032]からパラグラフ[0055]の何れか一による薬学的製品が提供される。
【0057】
別の実施態様において、BRAFV600変異陽性切除不能又は転移性メラノーマの治療のための医薬の製造において使用のための、パラグラフ[0032]からパラグラフ[0056]の何れか一による薬学的製品が提供される。
【0058】
別の実施態様において、BRAFV600変異陽性切除不能又は転移性メラノーマは以前に治療されていない、パラグラフ[0057]による薬学的製品が提供される。
【0059】
別の実施態様において、(i)化合物II又はその薬学的に許容可能な塩を含む第一組成物;及び(ii)化合物I又はその薬学的に許容可能な塩を含む第二組成物を含むキットが提供される。
【0060】
別の実施態様において、BRAFV600変異陽性切除不能又は転移性メラノーマの治療における使用のための、パラグラフ[0059]によるキットが提供される。
【0061】
別の実施態様において、BRAFV600変異陽性切除不能又は転移性メラノーマは以前に治療されていない、パラグラフ[0060]によるキットが提供される。
【0062】
一実施態様において、(i)化合物II又はその薬学的に許容される塩を含む第一組成物を、28日サイクルの第1日から第21日に60mgの用量で;及び(ii)化合物I又はその薬学的に許容される塩を含む第二組成物を、28日サイクルの各日に960mgの一用量で1日2回患者に投与することを含む、BRAFV600変異陽性切除不能又は転移性メラノーマを有する患者における治療に対する応答の持続時間を延長するための方法が提供される。
【0063】
一実施態様において、(i)化合物II又はその薬学的に許容される塩を含む第一組成物を、28日サイクルの第1日から第21日に60mgの用量で;及び(ii)化合物I又はその薬学的に許容される塩を含む第二組成物を、28日サイクルの各日に960mgの一用量で1日2回患者に投与することを含む、BRAFV600変異陽性切除不能又は転移性メラノーマを有する患者における治療に対する耐性(例えば、BRAF治療に対する耐性)の発生を遅延させる又は予防する方法が提供される。
【0064】
一実施態様において、(i)化合物II又はその薬学的に許容される塩を含む第一組成物を、28日サイクルの第1日から第21日に60mgの用量で、及び(ii)化合物I又はその薬学的に許容される塩を含む第二組成物を、28日サイクルの第1日から第28日に960mgの一用量で1日2回患者に投与することを含む、BRAFV600変異陽性切除不能又は転移性メラノーマを有する患者を治療する方法が提供される。
【0065】
別の実施態様において、第一組成物は第二組成物と逐次的に投与される、パラグラフ[0062]からパラグラフ[0064]の何れか一による方法が提供される。
【0066】
別の実施態様において、第一組成物は第二組成物と同時に投与される、パラグラフ[0062]からパラグラフ[0064]の何れか一による方法が提供される。
【0067】
別の実施態様において、第一及び第二組成物が共に製剤化される、パラグラフ[0066]による方法が提供される。
【0068】
別の実施態様において、患者の切除不能又は転移性メラノーマサンプルにおいてBRAFV600変異の存在を決定すること、及びBRAFV600変異の存在に基づいて癌医薬を選択することを含む、切除不能又は転移性メラノーマの患者のための治療法を選択するための方法が提供される。
【0069】
別の実施態様において、サンプルがBRAFV600変異を発現することが示され、化合物Iと組み合わせた化合物IIによる治療が選択される、パラグラフ[0068]による方法が提供される。
【0070】
別の実施態様において、患者は(i)化合物II又はその薬学的に許容される塩を含む第一組成物を、28日サイクルの第1日から第21日に60mgの用量で、及び(ii)化合物I又はその薬学的に許容される塩を含む第二組成物を、28日サイクルの第1日から第28日に960mgの一用量で1日2回投与することを含む方法によってBRAFV600変異陽性切除不能又は転移性メラノーマを治療される、パラグラフ[0069]による方法が提供される。
【0071】
別の実施態様において、患者の切除不能又は転移性メラノーマサンプルにおいてBRAFV600変異の存在を決定すること、及びBRAFV600変異の存在に基づいて癌医薬を選択することを含む、治療的有効性を最適化するための方法が提供される。
【0072】
別の実施態様において、サンプルがBRAFV600変異を発現することが示され、化合物Iと組み合わせた化合物IIによる治療が選択される、パラグラフ[0071]による方法が提供される。
【0073】
別の実施態様において、患者は(i)化合物II又はその薬学的に許容される塩を含む第一組成物を、28日サイクルの第1日から第21日に60mgの用量で、及び(ii)化合物I又はその薬学的に許容される塩を含む第二組成物を、28日サイクルの第1日から第28日に960mgの一用量で1日2回投与することを含む方法によってBRAFV600変異陽性切除不能又は転移性メラノーマを治療される、パラグラフ[0072]による方法が提供される。
【0074】
別の実施態様において、BRAFV600変異がBRAF核酸を評価することにより決定される、パラグラフ[0068]からパラグラフ[0073]の何れか一による方法が提供される。
【0075】
別の実施態様において、BRAFV600変異の存在は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(限定されないが、定量的リアルタイムPCR及び対立遺伝子特異的PCRを含む)、配列決定(限定されないが、サンガー配列決定及び/又はピロシーケンスを含む)、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドを用いたハイブリダイゼーション、プライマー伸長、対立遺伝子特異的ライゲーション、又は電気泳動分離技術(限定されないが、一本鎖高次構造多型(SSCP)及びヘテロ二本鎖分析を含む)、及び5’ヌクレアーゼアッセイから選択される方法を用いて決定される、パラグラフ[0068]からパラグラフ[0074]の何れか一による方法が提供される。
【0076】
別の実施態様において、BRAFV600変異は、PCR又は配列決定を用いて決定される、パラグラフ[0068]からパラグラフ[0074]の何れか一による方法が提供される。
【0077】
別の実施態様では、BRAFV600変異の存在は、(a)BRAF標的配列の少なくとも一の変異体に対して第一及び第二オリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせ;前記第一のオリゴヌクレオチドは、標的配列の一以上の変異体に少なくとも部分的に相補的であり、前記第二のオリゴヌクレオチドは、標的配列の一以上の変異体に少なくとも部分的に相補的であり、標的配列の唯一の変異体に相補的な少なくとも一の内部選択的ヌクレオチドを有し;(b)核酸ポリメラーゼにより第二のオリゴヌクレオチドを伸長させ;前記ポリメラーゼが、前記第二のオリゴヌクレオチドを、前記選択的ヌクレオチドが標的と塩基対を形成するときに優先的に、前記選択的ヌクレオチドが標的と塩基対を形成しないときに実質的により少なく伸長することが可能であり、及び(c)前記オリゴヌクレオチド伸長の産物を検出し;その伸長はオリゴヌクレオチドが相補的な選択的ヌクレオチドを有する標的配列の変異体の存在を意味することを含む方法によって決定される、パラグラフ[0068]からパラグラフ[0074]の何れか一による方法が提供される。
【0078】
別の実施態様において、サンプルはホルマリン固定パラフィン包埋サンプルである、パラグラフ[0077]による方法が提供される。
【0079】
別の実施態様において、付加的治療薬による治療を更に含む、パラグラフ[0032]からパラグラフ[0078]の何れか一による方法が提供される。
【0080】
別の実施態様において、BRAFV600変異陽性切除不能又は転移性メラノーマは以前に治療されていない、パラグラフ[0062]からパラグラフ[0079]の何れか一による方法が提供される。
【0081】
別の実施態様において、化合物I又はその薬学的に許容される塩は実質的に非晶質形態である、パラグラフ[0062]からパラグラフ[0080]の何れか一による方法が提供される。
【0082】
別の実施態様において、化合物I又はその薬学的に許容される塩は非晶質形態である、パラグラフ[0062]からパラグラフ[0080]の何れか一による方法が提供される。
【0083】
別の実施態様において、化合物I又はその薬学的に許容される塩が、非晶質形態で固定化されるように、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートにより形成された固体分子複合体中に含まれる、パラグラフ[0062]からパラグラフ[0082]の何れか一による方法が提供される。
【0084】
別の実施態様において、前記複合体中の化合物I又はその薬学的に許容される塩、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの量は、それぞれ約1:9から約5:5の比率である、パラグラフ[0083]による方法が提供される。
【0085】
別の実施態様において、前記複合体中の化合物I又はその薬学的に許容される塩、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの量は、それぞれ約2:8から約4:6の比率である、パラグラフ[0083]による方法が提供される。
【0086】
別の実施態様において、前記複合体中の化合物I又はその薬学的に許容される塩、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの量は、それぞれ約3:7からの比率である、パラグラフ[0083]による方法が提供される。
【0087】
別の実施態様において、前記複合体中の化合物I又はその薬学的に許容される塩、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの量は、それぞれ3:7の比率である、パラグラフ[0083]による方法が提供される。
【0088】
別の実施態様において、第二組成物は、混合物の約97重量%が請求項7による固体分子複合体であり、混合物の約3重量%が二酸化ケイ素である混合物を含む、パラグラフ[0062]からパラグラフ[0082]の何れか一による方法が提供される。
【0089】
別の実施態様において、第二組成物は、薬学的に許容される担体中に請求項7による固体分子複合体の懸濁液を含む、パラグラフ[0062]からパラグラフ[0082]の何れか一による方法が提供される。
【0090】
別の実施態様において、第二組成物は、化合物I又はその薬学的に許容される塩とHPMC−ASとの固体分子複合体を含む錠剤を含む、パラグラフ[0062]からパラグラフ[0082]の何れか一による方法が提供される。
【0091】
別の実施態様において、第一組成物は、ラクトース一水和物、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、及びステアリン酸マグネシウムの一又は複数を含む、パラグラフ[0062]からパラグラフ[0090]の何れか一による方法が提供される。
【0092】
別の実施態様において、化合物IIは、ラクトース一水和物、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、及びステアリン酸マグネシウムを含む錠剤として提供される、パラグラフ[0062]からパラグラフ[0091]の何れか一による方法が提供される。
【0093】
別の実施態様において、錠剤は、部分加水分解ポリビニルアルコール、二酸化チタン、ポリエチレングリコール3350、及びタルクを含む錠剤コーティングを含む、パラグラフ[0091]による方法が提供される。
【0094】
別の実施態様において、化合物IIは、20mg錠剤として、40mg錠剤として、又は60mg錠剤として提供される、パラグラフ[0062]からパラグラフ[0091]の何れか一による方法が提供される。
【0095】
別の実施態様において、化合物I又はその薬学的に許容される塩の2回目の960mgの用量が、化合物I又はその薬学的に許容される塩の1回目の960mgの用量の約12時間後に投与される、パラグラフ[0062]からパラグラフ[0094」]の何れか一による方法が提供される。
【0096】
別の実施態様において、化合物I又はその薬学的に許容される塩、及び化合物II又はその薬学的に許容される塩が各々、食物と共に又は食物無しで、経口投与される、パラグラフ[0062]からパラグラフ[0095]の何れか一による方法が提供される。
【0097】
別の実施態様において、切除不能又は転移性メラノーマはBRAFV600E変異陽性メラノーマである、パラグラフ[0062]からパラグラフ[0096]の何れか一による方法が提供される。
【0098】
別の実施態様において、切除不能又は転移性メラノーマは転移性メラノーマである、パラグラフ[0062]からパラグラフ[0096]の何れか一による方法が提供される。
【0099】
別の実施態様において、BRAFV600変異が、(a)患者のメラノーマのサンプルから抽出された核酸(例えば、DNA)のPCR又は配列決定を実行すること;及び(b)サンプル中でBRAFV600の発現を決定することを含む方法を用いて決定される、パラグラフ[0062]からパラグラフ[0098]の何れか一による方法が提供される。
【0100】
別の実施態様において、メラノーマサンプルはホルマリン固定パラフィン包埋される、パラグラフ[0099]による方法が提供される。
【0101】
別の実施態様において、BRAFV600変異陽性切除不能又は転移性メラノーマは以前に治療されていない、パラグラフ[0062]からパラグラフ[0101]の何れか一による方法が提供される。
【0102】
別の実施態様において、付加的治療薬による治療を更に含む、パラグラフ[0032]からパラグラフ[0101]の何れか一による方法が提供される。
【0103】
I.定義
本明細書において、「患者」(同義的に「個体」と称される)はヒト患者である。患者は「癌患者」、即ち癌の一以上の症状を患っているか又はその危険にさらされている者であってもよい。患者は「メラノーマ患者」、即ちメラノーマの一以上の症状を患っているか又はその危険にさらされている者であってもよい。幾つかの実施態様において、患者は「切除不能又は転移性メラノーマ患者」、即ち切除不能又は転移性メラノーマの一以上の症状を患っているか又はその危険にさらされている者であってもよい。
【0104】
本明細書で使用されるように用語「BRAF」は、特に断らない限り、任意の天然型又は変異体(天然型であろうと変異体であろうと)BRAFポリペプチドを意味する。用語「野生型BRAF」は一般に天然に生じるBRAFタンパク質のアミノ酸配列を含むポリペプチドを意味する。
【0105】
本明細書で使用されるように用語「BRAF」変異体は、天然型BRAF配列中に一以上のアミノ酸変異を含むBRAFポリペプチドを意味する。随意で、一以上のアミノ酸変異はアミノ酸置換(複数)を含む。
【0106】
本明細書で使用される、「BRAFV600変異陽性メラノーマ」は、BRAFV600を発現することが示されている患者のメラノーマ(例えば、切除不能又は転移性メラノーマ)を指す。
【0107】
本明細書で使用されるように、「BRAFV600E変異陽性メラノーマ」は、BRAFV600Eを発現することが示されている患者のメラノーマ(例えば、切除不能又は転移性メラノーマ)を指す。
【0108】
本明細書で使用されるように、BRAFの「V600」変異(同義的に「BRAFV600」と称される)は、BRAFの残基位置600でバリン残基が別のアミノ酸残基で置換されている、BRAFタンパク質における変異を指す。「V600」は、以前の番号付けシステムの下で「V599」として知られている(Kumar et al., Clin. Cancer Res. 9:3362-3368, 2003)。
【0109】
本明細書で使用されるように、BRAFの「V600E」変異は、BRAFの残基位置600でバリン残基がグルタミン酸で置換されている、BRAFタンパク質における変異を指す。「V600E」は、以前の番号付けシステムの下で「V599E」として知られている(Kumar et al., Clin. Cancer Res. 9:3362-3368, 2003)。
【0110】
本明細書中で使用されるように、用語「変異」は、特定のタンパク質又は核酸(遺伝子、RNA)のアミノ酸又は核酸配列の、それぞれ野生型タンパク質又は核酸に対する差異を意味する。変異したタンパク質又は核酸は、遺伝子の一方の対立遺伝子(ヘテロ接合)又は両方の対立遺伝子(ホモ接合体)から発現され又は見いだすことができ、体細胞又は生殖線であってもよい。本発明においては、変異は一般的には体細胞である。変異は、挿入、欠失及び点変異(単一ヌクレオチド/アミノ酸多型を含む)などの配列再配列を含む。
【0111】
「阻害する」とは、基準と比較して、活性、機能、及び/又は量を減少させる又は低下させることである。
【0112】
タンパク質「発現」とは、遺伝子にコードされた情報のメッセンジャーRNA(mRNA)への、次いでタンパク質への変換を指す。
【0113】
本明細書では、目的のタンパク質(BRAFV600、例えばBRAFV600Eなど)を「発現する」サンプル又は細胞は、タンパク質、又はそれらの断片を含むタンパク質をコードする核酸(例えば、DNA又はmRNA)が、サンプル又は細胞中に存在することが決定されるものである。目的のタンパク質(BRAFV600、例えばBRAFV600Eなど)を「発現する」癌(例えば、切除不能又は転移性メラノーマ)は、タンパク質、又はそれらの断片を含むタンパク質をコードする核酸(例えば、DNA又はmRNA)が、癌(例えば、切除不能又は転移性メラノーマ)のサンプル中に存在することが決定されるものである。
【0114】
患者の「集団」は、例えば臨床試験において、又は例えば切除不能又は転移性メラノーマ癌療法などの特定の症状についてFDA承認に従って腫瘍学者によって観察される癌を有する患者の群を指す。幾つかの実施態様において、症状はBRAFV600変異陽性切除不能又は転移性メラノーマである。
【0115】
本発明の方法については、患者を「指示する」という用語は、適用可能な治療法、薬物、治療、治療レジメンなどのについての指示を、任意の手段によって、しかし好ましくは書面で、例えばパッケージ挿入物又は他の文書による宣伝用資料の形態で提供することを意味する。
【0116】
本発明の方法については、用語「促進する」とは、パッケージ挿入物の形態のような文書を含む任意の手段によって、特定の薬物、薬物の組み合わせ、又は治療法を提供し、宣伝し、販売し、又は説明することを意味する。本明細書において促進するとは、例えばBRAFV600変異陽性切除不能又は転移性メラノーマの治療などの適応のための、MEK阻害剤及び/又はBRAF阻害剤などの治療薬の促進を指し、そこで促進は、食品医薬品局(FDA)によって、被験体の集団において統計的に有意な治療効果と許容可能な安全性が認められることが実証されているとして承認されている。
【0117】
用語「マーケティング」は、製品(例えば、薬物)の促進、販売又は配布を説明するために使用される。マーケティングは、具体的には、パッケージング、宣伝、製品の商品化を目的としたすべてのビジネス活動が含まれる。
【0118】
本明細書の目的のために、「以前に治療された」癌患者は前に癌治療を受けている。以前に治療された癌患は、切除不能又は転移性メラノーマについて事前の治療を受けている。
【0119】
「癌医薬」は癌の治療に有効な薬物である。
【0120】
本明細書で用いられる「バイオマーカー」又は「マーカー」なる用語は一般的に、遺伝子、mRNA、タンパク質、糖質構造又は糖脂質を含む分子を指し、組織内又は組織上、又は細胞内又は細胞上、又は分泌内又は分泌上でのその発現は既知の方法(又はここで開示される方法)で検出することができ、かつ細胞、組織又は治療レジメンに対する患者の応答性に対して予測的であるか又は予測する(又は予測を補助する)ことに用いることができる。
【0121】
「患者のサンプル」により、癌患者から得た類似細胞の収集物を意味する。組織又は細胞サンプルの起源は、新鮮な、冷凍された、及び/又は保存された臓器又は組織サンプル、又は生検又は吸引からの固形組織、血液又は任意の血液成分、脳脊髄液、羊水、腹水、又は間質液などの体液、被検体の妊娠期間又は発育の任意の時期に由来する細胞であり得る。組織サンプルは、本質的に組織と自然に混在しない化合物、例えば、防腐剤、抗凝血剤、緩衝剤、定着剤、栄養剤、抗生物質などが含まれる場合がある。腫瘍サンプルの例は、限定されないが、腫瘍生検、循環性腫瘍細胞、血清又は血漿、循環性血漿タンパク質、腹水、腫瘍に由来するか又は腫瘍のような特性を呈する細胞株又は初代細胞培養物、並びに、ホルマリン固定腫瘍サンプル、パラフィン包埋腫瘍サンプル又は凍結腫瘍サンプルなどの保存された腫瘍サンプルを含む。一実施態様において、サンプルは切除不能又は転移性メラノーマのものである。
【0122】
医薬による治療に対する患者の「効果的な応答」又は患者の「応答性」及び類似した表現は、癌医薬の投与の際、癌(例えば、BRAFV600変異陽性である切除不能又は転移性メラノーマ)のリスクにあるか又は罹患している患者に与えられる臨床的又は治療的利益を指す。このような利点は、(全生存期間と無増悪生存期間を含む)生存期間を延長すること;(完全寛解又は部分応答を含む)を客観的反応をもたらすこと;又は癌の徴候又は症状等を向上させることの何れか一以上を含む。
【0123】
「生存」は、生存している患者を指し、全生存期間並びに無増悪生存期間を含む。
【0124】
「全生存期間」は、診断又は治療の時からの定められた期間において生存している患者を指す。
【0125】
「無増悪生存期間」とは、癌が進行又は悪化することなく、生存している患者を指す。
【0126】
「延長生存」とは、未治療の患者と比較して(すなわち、医薬で治療されていない患者と比較して)、又は指定レベルでバイオマーカーを発現しない患者と比較して、及び/又は承認されたベムラフェニブなどの癌医薬で治療された患者と比較して、治療された患者における全生存又は無増悪生存の増加を意味する。
【0127】
「客観的反応」とは、完全寛解(CR)又は部分寛解(PR)を含めて、測定可能な反応を意味する。
【0128】
「完全寛解」又は「CR」は、治療に反応して癌の全ての徴候の消失を目的としている。これは、常に癌が治癒されたという意味ではない。
【0129】
「部分寛解」又は「PR」は、治療に応答して、体内での一以上の腫瘍若しくは病変の大きさ又は癌の範囲の縮小を指す。
【0130】
「治療」は、治療的処置及び予防手段又は防止手段の両方を指す。
【0131】
用語「治療有効量」は、哺乳動物における疾患又は障害を治療又は予防する治療薬の量を指す。腫瘍の場合は、治療的有効量の治療薬は、癌細胞の数を減少させる、腫瘍の大きさを小さくする、癌細胞の周辺器官への浸潤を阻害する(すなわち、ある程度遅くする、好ましくは止める)、腫瘍の転移を阻害する(すなわち、ある程度遅くする、好ましくは止める)、腫瘍の成長をある程度阻害する、及び/又は疾患に関連する一又は複数の症状をある程度和らげうる。薬物が、成長を妨げ及び/又は現存の癌細胞を死滅させる範囲において、それは細胞分裂停止性及び/又は細胞障害性である。癌治療においては、インビボにおける効力は、例えば生存期間、病状の進行時間(TTP)、応答速度(RR)、応答期間、及び/又は生活の質の評価により測定される。
【0132】
用語「癌」及び「癌性」は、無秩序な細胞増殖により典型的特徴付けられる哺乳動物における生理学的状態を指す。良性及び悪性の癌は、この定義に含まれる。幾つかの実施態様において、癌は、BRAFV600を発現し又は発現することが示されている切除不能又は転移性メラノーマである。
【0133】
単数又は複数で使用される場合、「ポリヌクレオチド」なる用語は、一般に任意のポリリボヌクレオチド又はポリデオキシリボヌクレオチドを意味し、これは未修飾RNA又はDNA又は修飾RNA又はDNAであり得る。よって、例えば、ここで定義されるポリヌクレオチドには、限定するものではないが、一本鎖及び二本鎖DNA、一本鎖及び二本鎖領域を含むDNA、一本鎖及び二本鎖RNA、及び一本鎖及び二本鎖領域を含むRNA、一本鎖であってもよく、又はより典型的には二本鎖であっても又は一本鎖又は二本鎖領域を含んでもよいDNA及びRNAを含む混成分子が含まれる。また「ポリヌクレオチド」なる用語は、ここで使用される場合RNA又はDNA又はRNAとDNAの双方を含む三本鎖領域を意味する。そのような領域のストランドは同じ分子由来でも又は異なった分子由来でもよい。その領域は一又は複数の分子の全てを含みうるが、より典型的には幾らかの分子の領域のみを含む。三本ヘリックス領域の分子の一つがしばしばオリゴヌクレオチドである。「ポリヌクレオチド」なる用語は特にcDNA(複数)を含む。その用語には、一又は複数の修飾塩基を含むDNA(cDNAを含む)及びRNAが含まれる。よって、安定性又は他の理由のために修飾された骨格を持つDNA又はRNAは、その用語がここで意図するところの「ポリヌクレオチド」である。更に、イノシンのような希な塩基又はトリチウム化塩基のような修飾された塩基を含むDNA又はRNAはここで定義される「ポリヌクレオチド」という用語内に含まれる。一般に、「ポリヌクレオチド」という用語は未修飾のポリヌクレオチドの全ての化学的、酵素的及び/又は代謝的に修飾された形態並びに単純細胞及び複雑細胞を含む細胞及びウイルスに特徴的なDNA及びRNAの化学的形態を包含する。
【0134】
「ターゲット層(target audience)」は、患者、患者集団;新聞、医学文献、雑誌の読者;テレビやインターネットの視聴者;ラジオやインターネットのリスナー:医師、製薬会社など、とりわけ特定の使用、治療、又は適応症について、マーケティング又は宣伝により、特定の医薬が宣伝されるか又は宣伝されることが意図される人々のグループ又は機関である。
【0135】
「パッケージ挿入物」は、効能、用法、用量、投与、禁忌、パッケージ製品と併用される他の治療用製品、及び/又はそのような治療用製品の使用に関する警告を含む、治療用製品の商用パッケージに慣習的に含まれている説明書を指すために使用される。
【0136】
用語「薬学的製剤」は、医薬の生物学的活性を許容するような形態であって、製剤を投与する被検体にとって許容できない毒性である追加成分を含まない無菌調製物を指す。
【0137】
「無菌」製剤は、無菌であるか、又は全ての生きている微生物及びそれらの胞子を含まない。
【0138】
「キット」は、少なくとも一の試薬、例えば、癌(例えば、切除不能又は転移性メラノーマ)の治療のための医薬、又はバイオマーカー遺伝子又はタンパク質を特異的に検出するための試薬(例えば、プライマー)を含んでなる任意の製品(パッケージ又は容器など)である。製造品は、好ましくは、本発明の方法を実施するためのユニットとして宣伝され、流通され、又は市販される。
【0139】
「薬学的に許容される担体」は、被検体に非毒性であり、有効成分以外の薬学的製剤中の成分を指す。典型的な薬学的に許容される担体の非限定的なリストは、緩衝液、賦形剤、安定剤、又は保存剤である。
【0140】
「薬学的に許容される塩」なる語句は、本明細書中で使用される場合、化合物の薬学的に受容可能な有機もしくは無機の塩をいう。
【0141】
本明細書で使用されるように、用語「実質的に非晶質」な材料は、約10%未満の結晶化度を有する材料を意味する;そして「非晶質」材料は、約2%未満の結晶化度を有する材料を意味する。
【0142】
本明細書で使用される、「分子状に分散した」という用語は、ポリマー化合物(例えば、化合物I)のランダム分布を指す。ある実施態様において、化合物は、細分割の最終状態でポリマー中に存在する。例えば、M G, Vachon et al., J Microencapsulation, 14 281-301 (1997) 及びVandelli et al,. J Microencapsulation, 10- 55-65 (1993)を参照。幾つかの実施態様において、化合物(例えば、化合物I)は、化合物がその非晶質形態に固定されるように、固体状態のポリマーによって形成されるマトリックス内に分散させることができる。化合物がポリマー中に分子的に分散されているかどうかは様々な方法で、例えば、単一のガラス転移温度を有する得られた固体分子複合体によって証明することができる。
【0143】
本明細書で使用する用語「固体分子複合体」は、ポリマーマトリックス内に分子的に分散した化合物Iを含む固体分散体を意味する。
【0144】
ポリマーマトリックス中の活性化合物の固定化に関連して本明細書で使用される用語「固定化」は、化合物の分子が上記マトリックス中に保持され、可動性の欠如のために結晶核形成を防止するように、化合物の分子がポリマーの分子と相互作用することを意味する。幾つかの実施態様において、ポリマーは、化合物Iの二以上の薬剤分子との間の分子間水素結合又は弱い分散力を妨げることができる。例えば、Matsumoro and Zografi, Pharmaceutical Research, Vol. 16. No. 11, p 1722-1728, 1999を参照。
【0145】
II.癌医薬
一態様において、本発明は、患者において、癌などの、病理学的状態を治療するための併用療法におけるMEK阻害剤及びBRAF阻害剤の使用を特徴とする。別の態様では、本発明は、本明細書に開示されたバイオマーカーのうちの一又は複数の発現に基づいてMEK阻害剤及びBRAF阻害剤で治療することができる患者を選択することに関する。
【0146】
[0100]ベムラフェニブ
ベムラフェニブはBRAFV600Eを含むBRAFセリン/スレオニンキナーゼの幾つかの変異型の経口投与可能な阻害剤である。ベムラフェニブは経口用途の240mgの錠剤として利用可能である。本明細書で「化合物I」とも称されるベムラフェニブは、化学名をプロパン−1−スルホン酸{3−[5−(4−クロロフェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−2,4−ジフルオロ−フェニル}−アミドと言う。この化合物は、国際公開第2007/002325号に開示されているある(例えば、80ページ及び82ページの対応する式を参照)。化合物Iは、以下の化学構造を有する:
【0147】
化合物Iは、結晶形態で、その天然の熱力学的に安定な状態で存在する。しかし、化合物の非晶質形態は、結晶形態と比較して、水へのより大きな溶解度を有し、従って改善された溶解速度を有し、従って結晶形態と比較して改善された生物学的利用能を有する。従って、本発明の幾つかの実施態様において、化合物Iは、実質的に非晶質形態であり、幾つかの実施態様においては非晶質形態である。
【0148】
[0101]GDC−0973
GDC−0973(本明細書では「コビメチニブ」又は「化合物II」と呼ばれる)は経口で利用可能で、MEK1及びMEK2の高度に選択的な阻害剤であり、RAS/RAF経路の中心的な構成要素である。GDC−0973は、化学名を[3,4−ジフルオロ−2−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]フェニル][3−ヒドロキシ−3−[(2S)−2−ピペリジニル]−1−アゼチジニル]メタノンと言う。GDC−0973は下記化学構造を有する。
【0149】
化合物IIは、米国特許出願公開第2009/0156576豪に記載された方法(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)に従って調製することができる。化合物IIは以下のCAS登録番号:934660−93−2を有する。
【0150】
付加的治療薬
本発明の併用療法は、一以上の治療薬での治療を更に含むことができる。幾つかの実施態様において、一以上の治療薬は、一以上の癌治療薬(複数可)である。併用投与は、別個の製剤又は単一の薬学的製剤、及び何れかの順番での連続的投与を用いた、同時投与を含み、ここで好ましくは両方(又は全ての)活性薬剤が同時にその生物学的活性を発揮する期間が存在することを特徴とする。治療薬は、投与した場合、通常は、そのための既知の用量で投与され、又は場合により薬の複合作用のために減らされる。このような治療薬の調製及び投与計画は製造者の指示に従って使用されても当業者によって経験的に決定されるように使用されても良い。幾つかの実施態様において、付加的治療剤は化学療法剤である。
【0151】
III.併用療法
一態様において、BRAF阻害剤(例えば、ベムラフェニブ)及びMEK阻害剤(例えば、GDC−0973)の有効(例えば、治療上有効)量を投与することを含む、癌を有する患者を治療するための方法が提供される。方法は、本明細書の任意の治療方法を含む。
【0152】
一態様において、(i)[3,4−ジフルオロ−2−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]フェニル][3−ヒドロキシ−3−[(2S)−2−ピペリジニル]−1−アゼチジニル]メタノン(化合物II)又はその薬学的に許容される塩を含む第一組成物;及び(ii)プロパン−1−スルホン酸{3−[5−(4−クロロフェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−2,4−ジフルオロ−フェニル}−アミド(化合物I)又はその薬学的に許容される塩を含む第二組成物を、28日サイクルの第1日から第28日に、960mgの一用量(例えば、4つの240mg錠剤)で、1日2回患者に投与することを含む、BRAFV600変異陽性の癌を有する患者を治療する(例えば治療的に処置する)方法が提供される。
【0153】
一実施態様において、(i)化合物II又はその薬学的に許容される塩を含む第一組成物を、28日サイクルの第1日から第21日に60mgの用量で、及び(ii)化合物I又はその薬学的に許容される塩を含む第二組成物を、28日サイクルの第1日から第28日に960mgの一用量で1日2回患者に投与することを含む、BRAFV600変異陽性切除不能又は転移性メラノーマを有する患者を治療する(例えば治療的に治療する)方法が提供される。
【0154】
一態様において、(i)化合物II又はその薬学的に許容される塩を含む第一組成物を、28日サイクルの第1日から第21日に60mgの用量で;及び(ii)化合物I又はその薬学的に許容される塩を含む第二組成物を、28日サイクルの各日に960mgの一用量で1日2回患者に投与することを含む、切除不能又は転移性メラノーマを有する患者における治療に対する応答の持続時間を延長するための方法が提供される。幾つかの実施態様において、併用療法に対する応答の持続時間は、化合物Iによる治療(例えば、化合物Iの単剤療法処置)に対する持続時間に対して延長される。
【0155】
一態様において、(i)化合物II又はその薬学的に許容される塩を含む第一組成物を、28日サイクルの第1日から第21日に60mgの用量で;及び(ii)化合物I又はその薬学的に許容される塩を含む第二組成物を、28日サイクルの各日に960mgの一用量で1日2回患者に投与することを含む、切除不能又は転移性メラノーマを有する患者における治療に対する耐性(例えば、BRAF阻害剤治療に対する耐性)の発生を遅延させる又は予防する方法が提供される。幾つかの実施態様において、併用療法に対する耐性の発生は、化合物Iによる治療(例えば、化合物Iの単剤療法処置)に対する耐性の発生に対して遅延される。
【0156】
別の態様において、化合物II又はその薬学的に許容される塩を含む第一組成物を含む、切除不能又は転移性メラノーマを有する患者の治療(例えば治療的処置)に使用のための組成物が提供され、前記使用は、化合物Iを含む第二組成物の同時又は連続的投与を含み;化合物IIを含む第一組成物は、28日サイクルの第1日から第21日に60mgの用量で投与され、化合物Iを含む第二組成物は、28日サイクルの各日に960mgの一用量で1日2回投与される。
【0157】
本明細書中の治療の方法の何れかの幾つかの実施態様において、患者は、切除不能又は転移性メラノーマのための事前治療を受けていない。幾つかの実施態様において、患者の切除不能又は転移性メラノーマは(幾つかの実施態様において、BRAF阻害剤の事前治療を含まずに)以前に治療されている。幾つかの実施態様において、患者はRaf経路阻害剤による事前治療を受けていない。幾つかの実施態様において、患者はMEK経路阻害剤による事前治療を受けていない。幾つかの実施態様において、患者はRaf経路阻害剤又はMEK経路阻害剤による事前治療を受けていない。幾つかの実施態様において、患者は事前アジュバント治療を受けている。幾つかの実施態様において、患者はRaf経路阻害剤による事前治療を受けておらず、事前アジュバント治療を受けている。幾つかの実施態様において、患者はMEK経路阻害剤による事前治療を受けておらず、事前アジュバント治療を受けている。幾つかの実施態様において、患者はRaf経路阻害剤又はMEK経路阻害剤による事前治療を受けておらず、事前アジュバント治療を受けている。
【0158】
癌の病期分類システムは、癌が解剖学的にどこまで広がっているかを説明し、患者と同じ病期分類グループ内の類似の予後及び治療とを一致させようと試みる。幾つかの試験は、生検及び胸部X線、マンモグラム、骨スキャン、CTスキャン、及びMRIスキャンなど特定の画像検査を含み、癌をステージ分類することを支援するために実施され得る。血液検査及び臨床評価は、患者の全体的な健康状態を評価し、癌が特定の器官に転移しているかどうかを検出するために使用される。
【0159】
癌をステージ分類するために、対がん米国合同委員会は最初に癌、特に個体腫瘍をTNM分類システムを使用して文字カテゴリーに配置した。癌は、文字T(腫瘍サイズ)、N(触知可能なリンパ節腫大)、及び/又はM(転移)と命名される。T1、T2、T3、及びT4は、原発巣の大きさの増大を記述し;N0、N1、N2、N3は徐々に進行する節転移を示し;M0及びM1は遠位転移の欠如又は存在を反映する。
【0160】
全ステージ分類又はローマ数字ステージ分類としても知られる、第二ステージング法において、癌は、原発巣の大きさ並びに節及び遠位転位の存在を組み入れた0からIVのステージへ分割される。このシステムでは、症例は、ローマ数字IからIVにより示される4段階にグループ化され、又は「再発」として分類される。幾つかの癌において、ステージ0は、乳癌の非浸潤性乳管がん又は上皮内小葉がんなどの「インサイツ(in situ)」又は「Tis」と呼ばれる。高悪性度の腺腫は、ステージ0に分類することができる。一般に、ステージIは、通常硬化性である小さな局所性の癌であり、一方、ステージIVは、通常、手術不能又は転移性の癌を表す。ステージIIとIIIの癌は、通常局所的に進行しているか及び/又は局所リンパ節の関与を示している。一般に、より大きなステージ番号は、大きな腫瘍のサイズ、及び/又は近くのリンパ節及び/又は原発腫瘍に隣接する器官への癌の転移を含む、より広範な疾患を示す。これらのステージは、正確に定義されているが、しかし、定義は癌の種類ごとに異なり、当業者には知られている。
【0161】
監視疫学遠隔成績プログラム(SEER)など多くの癌登録所は、要約ステージングを使用する。このシステムは、全てのタイプの癌について使用される。それは5つの主要カテゴリに癌症例をグループ分けする:
【0162】
インサイツとは、癌が発症した細胞の層中にのみ存在する早期癌である。
【0163】
局在化(Localized)とは、広がりの証拠が無く、癌が発症した器官に限定されている癌である。
【0164】
局所的(Regional)とは、元の(原発)部位を越えて近くのリンパ節又は器官及び組織に広がっている癌である。
【0165】
遠位(Distant)とは、原発部位から遠位器官又は遠位リンパ節に広がっている癌である。
【0166】
未知(Unknown)とは、ステージを示すのに十分な情報がない症例を説明するために使用される。
【0167】
米国がん合同委員会(AJCC)のメラノーマのためのTNM分類は、メラノーマをステージングするためのシステムである。幾つかの実施態様において、メラノーマは、切除不能なステージIIIcである。幾つかの実施態様において、メラノーマは、ステージM1aである。幾つかの実施態様において、メラノーマは、ステージM1bである。幾つかの実施態様において、メラノーマは、ステージM1cである。
【0168】
加えて、癌は、原発腫瘍が除去された後数ヶ月又は数年で再発することは一般的である。全ての目視腫瘍が根絶された後に再発する癌は、再発性疾患と呼ばれている。原発腫瘍の領域に再発する疾患は、局所再発であり、転移として再発する疾患は遠位再発と呼ばれる。
【0169】
一態様において、癌患者は、付加的な癌医薬で治療(例えば、治療的に処置)される。幾つかの実施態様において、付加的な癌医薬は化学療法剤である。
【0170】
本発明で使用される治療薬は良好な医療行為に合致した方法で処方され、投与され、投薬される。この観点において考慮すべき要因は、治療すべき特定の障害、治療すべき特定の患者、患者の臨床状態、障害の原因、薬剤送達部位、投与方法、投与日程、組み合わせるべき薬剤の薬物間相互作用、及び医療従事者が知る他の要因を包含する。
【0171】
治療用製剤は、所望の純度を有する活性成分を、任意の生理的に許容される担体、賦形剤又は安定剤と混合することによって、当分野で公知の標準的な方法を用いて調製されうる(Remington's Pharmaceutical Sciences (20th edition), ed. A. Gennaro, 2000, Lippincott, Williams &amp; Wilkins, Philadelphia, PA)。適当な担体、希釈剤及び賦形剤は当業者に周知であり、炭水化物、ワックス、水溶性及び/又は膨潤性ポリマー、親水性又は疎水性材料、ゼラチン、油、溶媒、水等の材料を含む。使用される特定の担体、希釈剤又は賦形剤は、本発明の化合物が適用される手段及び目的に依存するであろう。溶媒は、一般的に哺乳動物に投与することが安全と当業者によって認識される溶媒に基づいて選択される。一般に、安全な溶媒は、水及び水に可溶性又は混和性である他の非毒性溶媒などの非毒性水性溶媒である。適切な水性溶媒には、水、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(例えば、PEG400、PEG300)など、及びそれらの混合物が挙げられる。組成物は、一又は複数のバッファー、安定剤、界面活性剤、湿潤剤、滑剤、乳化剤、懸濁剤、保存料、抗酸化剤、不透明化剤、流動促進剤、加工助剤、着色料、甘味料、芳香剤、香味剤、及び薬物(即ち、化合物又はその薬学的組成物)を見栄え良く提供するための又は薬学的製品(すなわち、医薬)の製造を補助する他の既知の添加剤を含みうる。幾つかの実施態様において、化合物は、薬学的に許容される担体又は賦形剤と一緒に製剤化される。
【0172】
また活性成分は、例えばコアセルベーション技術あるいは界面重合により調製されたマイクロカプセル、例えばそれぞれヒドロキシメチルセルロース又はゼラチンマイクロカプセル及びポリ−(メタクリル酸メチル)マイクロカプセルに、コロイド状ドラッグデリバリー系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフィア、マイクロエマルション、ナノ−粒子及びナノカプセル)で、あるいはマクロエマルションで封入させてもよい。このような技術は、上掲のRemington's Pharmaceutical Sciencesにおいて開示される。
【0173】
薬学的に許容される塩は、本明細書に記載され、及び当該技術分野で知られている。典型的な塩としては、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、酸性酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩「メシル酸」、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、及びパモ酸塩(pamoate)(即ち、1,1’−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエート)が挙げられるが、これらに限定されない。薬学的に許容可能な塩は、他の分子、例えば酢酸イオン、琥珀酸イオン又は他の対イオンの包含を伴ってもよい。対イオンは、親化合物上の荷電を安定化する任意の有機又は無機の部分でもよい。さらに、薬学的に許容可能な塩は、その構造内に複数の荷電原子を有してもよい。複数の荷電原子が薬学的に許容可能な塩の一部である場合は複数の対イオンを有しうる。したがって、薬学的に許容可能な塩は、一又は複数の荷電原子及び/又は一又は複数の対イオンを有してもよい。本発明の化合物が塩基性である場合、当分野で有用な任意の好適な方法、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸、リン酸などといった無機酸による遊離塩基の処理、又は酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、ピラノシジル酸、例としてグルクロン酸又はガラクツロン酸、αヒドロキシ酸、例えばクエン酸又は酒石酸、アミノ酸、例えばアスパラギン酸又はグルタミン酸、芳香族酸、例えば安息香酸又はニッケイ酸、スルホン酸、例えばp−トルエンスルホン酸又はエタンスルホン酸などといった有機酸による遊離塩基の処理によって調製されてもよい。一般に塩基性薬学化合物からの薬学的に有用又は許容可能な塩の形成に適すると考えられる酸は、例えば、P. Stahl et al, Camille G. (eds.) Handbook of Pharmaceutical Salts. Properties, Selection and Use. (2002) Zurich: Wiley-VCH; S. Berge et al, Journal of Pharmaceutical Sciences (1977) 66(1) 1 19; P. Gould, International J. of Pharmaceutics (1986) 33 201 217; Anderson et al, The Practice of Medicinal Chemistry (1996), Academic Press, New York; Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th ed., (1995) Mack Publishing Co., Easton Pa.; and in The Orange Book (Food & Drug Administration, Washington, D.C. ウェブサイト上)で論じられている。化合物が酸である場合、所望の薬学的に許容可能な塩は、任意の好適な方法、例えば、アミン(一次、二次又は三次)、アルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物などといった無機塩基又は有機塩基による遊離酸の処理によって調製されてもよい。好適な塩の例示的な例には、限定するものではないが、アミノ酸、例えばグリシン及びアルギニン、アンモニア、一次、二次、三次のアミン、及び環状アミン、例えばピペリジン、モルホリン及びピペラジンから得られる有機塩、並びにナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム及びリチウムから得られる無機塩が含まれる。薬学的に許容可能な塩、水和物、及び例えばベムラフェニブの多形など他の固体形態は、国際特許出願第PCT/US2012/025965に開示されている。
【0174】
幾つかの実施態様において、化合物IIは、20mg錠剤として、40mg錠剤として、又は60mg錠剤として提供される。幾つかの実施態様において、化合物IIは60mg錠剤として提供される。幾つかの実施態様において、化合物IIは、錠剤コアとして、ラクトース一水和物、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、及びステアリン酸マグネシウムの一又は複数を含む錠剤として提供される。幾つかの実施態様において、錠剤コーティングは、部分加水分解ポリビニルアルコール、二酸化チタン、ポリエチレングリコール3350、及びタルクの一又は複数を含む。幾つかの実施態様において、化合物IIは、錠剤コアのためのラクトース一水和物、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、及び部分加水分解ポリビニルアルコール、二酸化チタン、ポリエチレングリコール3350、及びタルクを含む錠剤コーティングを含む錠剤として提供される。幾つかの実施態様において、化合物IIは、(a)化合物II(有効成分)を60mg;及び(b)錠剤コアのためのラクトース一水和物、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、及び部分加水分解ポリビニルアルコール、二酸化チタン、ポリエチレングリコール3350、及びタルクを含む錠剤コーティングを含む錠剤として提供される。
【0175】
本発明の実施態様において、化合物Iは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMC−AS)で形成された固体分子複合体中に含まれる。ある実施態様において、化合物Iは、細分割の最終状態でポリマー中に存在する。幾つかの実施態様において、化合物Iは、それがその非晶質形態で固定されるように、HPMC−ASマトリックス内で分子的に分散されている。幾つかの実施態様において、ポリマーは、化合物Iの二以上の分子との間の分子内水素結合又は弱い分散力を妨げることができる。幾つかの実施態様において、固体分子複合体中の化合物Iの重量による量の、その中のHPMC−ASの重量による量に対する比は、約1:9から約5:5である。一実施態様において、前記比は約2:8から約4:6である。別の実施態様において、前記比は約3:7である。
【0176】
ある実施態様において、化合物Iは、化合物I及びコロイド状二酸化ケイ素と混合したHPMC−ASとの前述の固体分子複合体で与えられる。ある実施態様において、混合物は少なくとも0.5二酸化ケイ素重量%である。本発明の一実施態様において、混合物は約97%が複合体で、約3%が二酸化ケイ素である。
【0177】
ある実施態様において、化合物Iは、上述される二酸化ケイ素と混合された又は混合されていない前述の固体分子複合体、及び薬学的に許容される担体を含む組成物として与えられる。ある実施態様において、前述の複合体又はそれを含む混合物は担体中に懸濁されている。担体の例は、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)である。一実施態様において、ビヒクルは約2HPC重量%含まれる。組成物はまた、防腐剤、可溶化剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、香味剤、浸透圧を変化させる塩、緩衝液、コーティング剤及び酸化防止剤などの付加的薬剤を含有することができる。ある実施態様において、化合物Iは、化合物I、及びコロイド状二酸化ケイ素、ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン(崩壊剤)、ステアリン酸マグネシウム(錠剤とカプセル化の操作で使用することができる潤滑剤)、及び/又はクロスカルメロースナトリウム(崩壊剤)を混合されたHPMC−ASとの固体分子複合体を含む組成物として提供される。一実施態様において、化合物Iは、化合物I、及びコロイド状二酸化ケイ素、ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、及びクロスカルメロースナトリウムを混合されたHPMC−ASとの固体分子複合体を含む硬質ゼラチンカプセルとして提供される。一実施態様において、化合物Iは、化合物I又はその薬学的に許容される塩を含む錠剤として提供される。一実施態様において、錠剤は、化合物I又はその薬学的に許容される塩、及びHPMC−ASとの固体分子複合体を含む。複合体は、例えば、コロイド状二酸化ケイ素、ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、クロスカルメロースナトリウムを混合されても良い。錠剤は、例えば、フィルムコーティングで被覆することができる。フィルムコーティングは、例えば、ポリビニルアルコール、二酸化チタン、ポリエチレングリコール3350、タルク、及び赤色酸化鉄を含んでもよい。幾つかの実施態様において、化合物Iは240mg錠剤として提供される。化合物Iを含む組成物及びそのような組成物の製造方法は、国際公開第2010/114928号(その全体が本明細書に参考として援用される)に記載される。
【0178】
幾つかの実施態様において、化合物I又はその薬学的に許容される塩は、実質的に非晶質形態である。幾つかの実施態様において、化合物I又はその薬学的に許容される塩は非晶質形態である。幾つかの実施態様において、化合物I又はその薬学的に許容される塩は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートにより形成された固体の分子複合体中に含まれ、その非晶質形態に固定されるようになっている。幾つかの実施態様において、前記複合体中の化合物I又はその薬学的に許容される塩、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートは、それぞれ約1:9から約5:5の比率で存在する。幾つかの実施態様において、前記複合体中の化合物I又はその薬学的に許容される塩、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートは、それぞれ約3:7の比率で存在する。幾つかの実施態様において、化合物Iは、混合物の約97重量%は固体分子複合体であり、混合物の約3重量%が二酸化ケイ素である、混合物中に含まれる。幾つかの実施態様において、化合物Iは、固体分子複合体が薬学的に許容される担体中に存在する、薬学的に許容される担体中の固体分子複合体の懸濁液中に含まれる。幾つかの実施態様において、第一成分は、化合物I又はその薬学的に許容される塩、及びHPMC−ASとの固体分子複合体を含む錠剤を含む。幾つかの実施態様において、化合物Iは錠剤として提供される。幾つかの実施態様において、化合物Iは、240mgの錠剤(即ち、化合物Iの240mgを含む錠剤)として提供される。
【0179】
組み合わせた治療薬の投与は、典型的には規定された期間(選択された組み合わせに応じて通常は数分、数時間、数日又は数週間)にわたって行われる。併用療法は、逐次的なこれらの治療薬の投与、つまり、各治療薬は(任意の順序で)異なる時点で投与されることがある投与、並びに同時(concurrent)(同時(simultaneous))様式での治療剤の投与を包含することが意図される。同時投与は、別々の薬学的製剤として、又は単一の投薬形態として(例えば、単一の薬学的製剤として)であってもよい。幾つかの実施態様において、化合物IIは、製剤で、一日一回、例えば、午前中に投与される。幾つかの実施態様において、化合物IIは1日の任意の時間帯で1日1回投与される。幾つかの実施態様において、化合物Iの2回目の960mgの投薬(例えば4つの240mg錠剤)は、化合物Iの1回目の960mgの投薬(例えば4つの240mg錠剤)の約12時間後である。幾つかの実施態様において、化合物Iは、朝に1回、夕方に回投与される。
【0180】
このように、単一投薬形態での化合物I及びIIの提供が意図される(例えば、二以上の活性成分の共製剤)。従って、一実施態様において、本明細書の薬学的組成物は、一以上の活性化合物を含んでいてもよい(すなわち、第一の活性成分を含む第一組成物は、第二の活性成分を含む第二組成物と共製剤化することができる)。このような分子は、意図する目的に有効な量の組み合わせで適切に存在する。
【0181】
更なる態様において、二つ(又はそれ以上)の活性成分の各々が丹念に処方され、別々の投薬形態として投与される。従って、幾つかの実施態様において、薬学的製品は、(有効成分として)化合物IIを含む第一組成物を含み;(有効成分として)化合物Iを含む第二組成物を含み、ここで、第一組成物は第一投与形態で投与され、そして第二組成物は、第二投与形態で投与される。幾つかの実施態様において、第一組成物は第二組成物に順に投与される。幾つかの実施態様において、第一組成物は第二組成物の前に投与される。幾つかの実施態様において、第二組成物は第二組成物の後に投与される。幾つかの実施態様において、第一組成物は第一組成物と同時に投与される。
【0182】
治療薬は、ボーラス、若しくは一定時間にわたる連続注入による静脈内投与として、筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、皮下、関節内、滑液包内、髄腔内、経口、局所、又は吸入経路によるなど既知の方法に従ってヒト患者に投与される。幾つかの実施態様において、投与は、(幾つかの実施態様では食物と共に又は食物無しで)経口である。幾つかの実施態様において、経口投与は、食物と一緒である。幾つかの実施態様において、経口投与は、食物無しである。
【0183】
治療薬は、同じ経路又は異なる経路によって投与することができる。例えば、併用における治療薬は、静脈注射により投与することができ、一方併用における別の治療薬の阻害剤は経口投与されてもよい。あるいは、例えば、具体的治療薬に応じて、治療薬は両方共、経口投与することができ、又は治療薬は両方共、静脈内注射によって投与することができる。幾つかの実施態様において、化合物II及び化合物Iは、経口投与される。化合物II及び化合物Iは、食物と共に又は食物無しで経口投与され得る。幾つかの実施態様において、化合物IIは、食物と共に又は食物無しで経口投与される。幾つかの実施態様において、化合物Iは、食物と共に又は食物無しで経口投与される。
【0184】
III.診断方法
幾つかの実施態様において、本明細書における患者は、例えば治療の前、及び/又は最中、及び/又は後に診断試験に供される。
【0185】
幾つかの態様において、患者の切除不能又は転移性メラノーマサンプルにおいてBRAFV600変異の存在(幾つかの実施態様においては存在又は非存在)を決定すること、及びBRAFV600変異の存在(幾つかの実施態様においては存在又は非存在)に基づいて癌医薬を選択することを含む、切除不能又は転移性メラノーマの患者のための治療法を選択するための方法が提供される。一実施態様において、化合物Iと組み合わせた化合物IIによる治療(例えば治療的処置)が(例えば本明細書に記載されるように)選択され、サンプルはBRAFV600変異(例えばBRAFV600E変異)を発現することが示される。幾つかの実施態様において、患者は、(i)化合物II又はその薬学的に許容される塩を含む第一組成物を、28日サイクルの第1日から第21日に60mgの用量で、及び(ii)化合物I又はその薬学的に許容される塩を含む第二組成物を、28日サイクルの第1日から第28日に960mgの一用量で1日2回患者に投与することを含む方法によって切除不能又は転移性メラノーマを治療(例えば治療的に処置)される。治療法は、本明細書の任意の治療方法を含む。幾つかの実施態様において、患者の切除不能又は転移性メラノーマは(例えば、ベムラフェニブ又はBRAF阻害剤により)以前に治療されていない。幾つかの実施態様において、患者の切除不能又は転移性メラノーマは(幾つかの実施態様において、BRAF阻害剤の事前治療を含まずに)以前に治療されている。
【0186】
他の態様において、患者の切除不能又は転移性メラノーマサンプルにおいてBRAFV600変異の存在(幾つかの実施態様においては存在又は非存在)を決定すること、及びBRAFV600変異の存在(幾つかの実施態様においては存在又は非存在)に基づいて癌医薬を選択することを含む、治療的有効性を最適化するための方法が提供される。一実施態様において、化合物Iと組み合わせた化合物IIによる治療が(例えば本明細書に記載されるように)選択され、サンプルはBRAFV600変異(例えばBRAFV600E変異)を発現することが示される。幾つかの実施態様において、患者は、(i)化合物II又はその薬学的に許容される塩を、28日サイクルの第1日から第21日に60mgの用量で、及び(ii)化合物I又はその薬学的に許容される塩を、28日サイクルの第1日から第28日に960mgの一用量で1日2回用量で患者に投与することを含む方法によって切除不能又は転移性メラノーマを治療される。治療法は、本明細書の任意の治療方法を含む。幾つかの実施態様において、患者の切除不能又は転移性メラノーマは(例えば、ベムラフェニブ又はBRAF阻害剤により)以前に治療されていない。幾つかの実施態様において、患者の切除不能又は転移性メラノーマは(幾つかの実施態様において、BRAF阻害剤の事前治療を含まずに)以前に治療されている。
【0187】
BRAF及び変異体BRAFの検出のための方法は当技術分野で公知であり、市販されている。例えば、Hailat et al, Diagn Mol Pathol. 2012 Mar;21(1):1-8を参照。幾つかの実施態様において、エクソン15のコドン600におけるヌクレオチド位置1799で単一塩基の変異(TからA)の存在を決定することを含む方法を使用して、BRAF V600E変異(V599E(T1796A)としても知られる))が検出された。この変異はまた、ヌクレオチド位置1799−1800におけるTGからAAへの二塩基変異TGから生じうる。他の変異はまた、BRAFタンパク質残基600で生じる可能性がある。これらは、V600K、V600D、及びV600Rが含まれる。
【0188】
幾つかの実施態様において、位置1799での塩基置換の存在について、BRAF核酸、例えば、ゲノムDNA又はmRNAを評価することにより、V600変異の存在を決定することができる。幾つかの実施態様において、以下のV600変異が検出される:V600K(GTGからAAG)、V600R(GTGからAGG)、V600E(GTGからGAA)及び/又はV600D(GTGからGAT),;全ての場合において括弧はBRAFの核酸位置1798−1800を意味する。幾つかの実施態様において、変異体BRAFポリヌクレオチドはT1799A変異を含む。
【0189】
DNA(例えば、ゲノムDNA又はcDNA)を分析するための様々な方法は当技術分野で知られており、限定されないが、遺伝子発現プロファイリング、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(定量的リアルタイムPCR(qRT−PCR)、対立遺伝子特異的PCRを含む)、配列決定、RNA−SEQ、FISH、及び/又はマイクロアレイ解析を含む。幾つかの実施態様において、核酸の分析方法は、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドを用いたハイブリダイゼーション、プライマー伸長、対立遺伝子特異的ライゲーション、配列決定(限定されないがサンガー配列決定、ピロシーケンスを含む)、又は電気泳動分離技術、例えば、一本鎖高次構造多型(SSCP)及びヘテロ二本鎖分析、5’ヌクレアーゼアッセイ、対立遺伝子特異的PCR、鋳型指向ダイターミネーターの取り込み、分子ビーコン対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドアッセイ、一塩基伸長アッセイの一又は複数である。
【0190】
増幅された核酸配列の分析は、マイクロチップ、蛍光偏光アッセイ、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)質量分析法などの様々な技術を用いて行うことができる。幾つかの実施態様において、増幅された核酸は、配列決定によって分析される。使用することができる2つの追加の方法は、フラップヌクレアーゼによる侵襲的切断及びパドロックプローブを採用した方法に基づいたアッセイである。
【0191】
コバス(登録商標)4800 BRAF V600変異試験は市販に入手可能であり、リアルタイムPCR技術を利用する。反応におけるそれぞれの標的特異的オリゴヌクレオチドプローブは、リポーターとして役立つ蛍光染料、及び無傷のプローブ内のリポーター染料からの蛍光放射を吸収する(クエンチする)クエンチャー分子で標識される。増幅の各サイクルの間に、アンプリコン中の一本鎖DNA配列と相補的なプローブが結合し、次いで、Z05 DNAポリメラーゼの5’から3’に向かうヌクレアーゼ活性により切断される。リポーター染料がこのヌクレアーゼ活性によりクエンチャーから分離されると、リポーター染料が適切なスペクトルの光により励起された時に特徴的な波長の蛍光を測定することができる。2つの異なるリポーター染料を用いて、標的特異的BRAF野生型(WT)プローブ及びBRAF V600E変異(MUT)プローブを標識する。専用の光チャンネルにおける2つの特徴的な波長で蛍光を測定することにより、2つのBRAF配列の増幅を単一の反応において独立に検出することができる。
【0192】
幾つかの実施態様において、変異体BRAFポリヌクレオチド(例えば、DNA)は、(a)患者の癌サンプル(FFPE固定された患者の癌サンプルなど)から抽出された核酸(例えば、ゲノムDNA)に対してPCRを実施すること;及び(b)サンプル中の変異体BRAFポリヌクレオチドの発現を決定することを含む方法を用いて検出される。幾つかの実施態様では、変異体BRAFポリヌクレオチドの発現は、(a)BRAF標的配列の少なくとも一の変異体に対して第一及び第二オリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせ;前記第一のオリゴヌクレオチドは、標的配列の一以上の変異体に少なくとも部分的に相補的であり、前記第二のオリゴヌクレオチドは、標的配列の一以上の変異体に少なくとも部分的に相補的であり、標的配列の唯一の変異体に相補的な少なくとも一の内部選択的ヌクレオチドを有し;(b)核酸ポリメラーゼにより第二のオリゴヌクレオチドを伸長させ;前記ポリメラーゼが、前記第二のオリゴヌクレオチドを、前記選択的ヌクレオチドが標的と塩基対を形成するときに優先的に、前記選択的ヌクレオチドが標的と塩基対を形成しないときに実質的により少なく伸長することが可能であり、及び(c)前記オリゴヌクレオチド伸長の産物を検出し;その伸長はオリゴヌクレオチドが相補的な選択的ヌクレオチドを有する標的配列の変異体の存在を意味する、方法を用いて決定される。幾つかの実施態様において、変異体BRAFポリヌクレオチド(例えば、DNA)は、(a)患者の癌サンプル(FFPE固定された患者の癌サンプルなど)から抽出された核酸(例えば、ゲノムDNA)に対してPCRを実施すること;及び(b)サンプル中の変異体BRAFポリヌクレオチドの発現を決定することを含む方法を用いて検出される。幾つかの実施態様において、変異体BRAFポリヌクレオチド(例えば、DNA)は、(a)患者の癌サンプル(FFPE固定された患者の癌サンプルなど)からDNA(例えば、ゲノムDNA)を単離すること;(b)患者の癌サンプルから抽出されたDNAに対してPCRを実施すること;及び(c)サンプル中の変異体BRAFポリヌクレオチドの発現を決定することを含む方法を用いて検出される。
【0193】
幾つかの実施態様では、BRAFV600変異の存在は、
(a)患者の癌サンプル(FFPE固定された患者の癌サンプルなど)からDNA(例えばゲノムDNA)を単離し;
(b)DNA中のBRAF標的配列の少なくとも一の変異体に対して第一及び第二オリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせ;前記第一のオリゴヌクレオチドは、標的配列の一以上の変異体に少なくとも部分的に相補的であり、前記第二のオリゴヌクレオチドは、標的配列の一以上の変異体に少なくとも部分的に相補的であり、標的配列の唯一の変異体に相補的な少なくとも一の内部選択的ヌクレオチドを有し;(c)核酸ポリメラーゼにより第二のオリゴヌクレオチドを伸長させ;前記ポリメラーゼが、前記第二のオリゴヌクレオチドを、前記選択的ヌクレオチドが標的と塩基対を形成するときに優先的に、前記選択的ヌクレオチドが標的と塩基対を形成しないときに実質的により少なく伸長することが可能であり、及び(d)前記オリゴヌクレオチド伸長の産物を検出し;その伸長はオリゴヌクレオチドが相補的な選択的ヌクレオチドを有する標的配列の変異体の存在を意味する、ことを含む方法を用いて検出される。幾つかの実施態様では、変異体BRAFポリヌクレオチドの発現は、(a)BRAF標的配列の少なくとも一の変異体に対して第一及び第二オリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせ;前記第一のオリゴヌクレオチドは、標的配列の一以上の変異体に少なくとも部分的に相補的であり、前記第二のオリゴヌクレオチドは、標的配列の一以上の変異体に少なくとも部分的に相補的であり、標的配列の唯一の変異体に相補的な少なくとも一の内部選択的ヌクレオチドを有し;(b)核酸ポリメラーゼにより第二のオリゴヌクレオチドを伸長させ;前記ポリメラーゼが、前記第二のオリゴヌクレオチドを、前記選択的ヌクレオチドが標的と塩基対を形成するときに優先的に、前記選択的ヌクレオチドが標的と塩基対を形成しないときに実質的により少なく伸長することが可能であり、及び(c)前記オリゴヌクレオチド伸長の産物を検出し;その伸長はオリゴヌクレオチドが相補的な選択的ヌクレオチドを有する標的配列の変異体の存在を意味する、方法を用いて決定される。
【0194】
幾つかの実施態様において、変異体BRAFポリヌクレオチド(例えば、DNA)は、(a)患者の癌サンプル(FFPE固定された患者の癌サンプルなど)から抽出された核酸(例えば、ゲノムDNA)に対してPCRを実施すること;(b)変異体BRAFポリヌクレオチドの発現を、PCR増幅された核酸を配列決定することにより決定することを含む方法を用いて検出される。幾つかの実施態様において、変異体BRAFのポリヌクレオチド(例えば、DNA)は配列決定(例えば、サンガー配列又はピロシーケンス)を用いて検出される。
【0195】
幾つかの実施態様において、BRAF(例えば、BRAFV600)タンパク質発現が分析される。かかるタンパク質分析は、例えば患者の腫瘍サンプル又はプロテオミクスの方法で免疫組織化学(IHC)を使用して実行することができる。
【0196】
患者からのサンプルは、本明細書中の一以上のバイオマーカーの発現について試験される。組織又は細胞サンプルの起源は、新鮮な、冷凍された、及び/又は保存された臓器又は組織サンプル、又は生検又は吸引からの固形組織、血液又は任意の血液成分、脳脊髄液、羊水、腹水、又は間質液などの体液、患者の妊娠期間又は発育の任意の時期に由来する細胞であり得る。組織サンプルは、防腐剤、抗凝固剤、緩衝液、固定液、栄養分、抗生物質など本質的に組織に混合されていない化合物を含有することができる。腫瘍サンプルの例は、限定されないが、腫瘍生検、腫瘍細胞、血清又は血漿、循環性血漿タンパク質、腹水、腫瘍に由来するか又は腫瘍のような特性を呈する細胞株又は初代細胞培養物、並びに、ホルマリン固定腫瘍サンプル、パラフィン包埋腫瘍サンプル又は凍結腫瘍サンプルなどの保存された腫瘍サンプルを含む。一実施態様において、患者のサンプルは、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)癌サンプル(例えば、切除不能又は転移性メラノーマ癌サンプル)である。サンプルは、癌治療薬による患者の治療前に得られてもよい。サンプルは原発腫瘍又は転移性腫瘍から得ることができる。サンプルは、癌が最初に診断されたとき及び/又は、例えば、腫瘍が転移した後に得ることができる。幾つかの実施態様において、転移した腫瘍サンプルは、肺、皮膚、リンパ節、骨、肝臓、結腸、甲状腺、及び/又は卵巣のものである。
【0197】
IV.製造品
本発明の別の実施態様において、癌(BRAFV600陽性切除不能又は転移性メラノーマなど)を治療することに使用のための製造品が提供される。製造品は、容器と容器上ないしは容器に付随するラベルないしはパッケージ挿入物を含んでなる。適切な容器は、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、ピルパック、ブリスターパック、ダイヤルパックなどを含む。容器は、ガラス又はプラスチック等の様々な材料から形成されてもよい。容器は、活性剤として癌治療薬(例えば、化合物II)を含む組成物を保持するか又は含む。幾つかの実施態様において、癌医薬を含む組成物は、錠剤として提供される。幾つかの実施態様において、製造品は、容器及び化合物IIを60mg含む錠剤を含む。幾つかの実施態様において、製造品は、容器及び化合物IIを20mg又は40mg含む錠剤を含む。幾つかの実施態様において、製造品は、(a)錠剤として提供される化合物IIを含む第一組成物(例えば、化合物IIを60mg)及び(b)錠剤として提供される化合物Iを含む第二組成物(例えば、化合物Iを960mg)を含む第一容器を含む。幾つかの実施態様において、容器はピルパック又はブリスターパックである。幾つかの実施態様において、化合物Iを含む第一組成物及び化合物IIを含む第二組成物は単一投薬形態として提供される。幾つかの実施態様において、化合物IIを含む第一組成物及び化合物Iを含む第二組成物は(例えば薬学的製剤として)共に製剤化される。幾つかの実施態様において、製造品(例えば、ピルパック又はブリスターパックとして提供される)は、化合物IIを含む組成物を21錠剤(例えば、化合物IIを含む組成物(例えば、化合物IIを60mg含む錠剤;及び化合物Iを含む組成物の錠剤(例えば、化合物Iを240mg含む錠剤)を含む。幾つかの実施態様において、化合物IIは60mg錠剤として提供される。幾つかの実施態様において、化合物IIは、錠剤コアとして、ラクトース一水和物、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、及びステアリン酸マグネシウムの一又は複数を含む錠剤として提供される。幾つかの実施態様において、錠剤コーティングは、部分加水分解ポリビニルアルコール、二酸化チタン、ポリエチレングリコール3350、及びタルクの一又は複数を含む。幾つかの実施態様において、化合物IIは、錠剤コアのためのラクトース一水和物、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、及び部分加水分解ポリビニルアルコール、二酸化チタン、ポリエチレングリコール3350、及びタルクを含む錠剤コーティングを含む錠剤として提供される。幾つかの実施態様において、化合物IIは、(a)化合物II(有効成分)を60mg;及び(b)錠剤コアのためのラクトース一水和物、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、及びステアリン酸マグネシウム、及び部分加水分解ポリビニルアルコール、二酸化チタン、ポリエチレングリコール3350、及びタルクを含む錠剤コーティングを含む錠剤として提供される。
【0198】
製造品には、第二容器、及び/又は、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、及びシリンジを含む、商業的及びユーザーの立場から望まれる他の物質を更に含んでもよい。
【0199】
本発明の製造品はまた、例えば、化合物IIは、化合物Iと組み合わせてBRAFV600変異陽性切除不能又は転移性メラノーマの患者を治療する(例えば、治療的に処置する)ためのものであることを示す情報を、例えばパッケージ挿入物の形態で含み、治療は(i)化合物II又はその薬学的に許容される塩を含む第一組成物を、28日サイクルの第1日から第21日に60mgの用量で;及び(ii)化合物Iを又はその薬学的に許容される塩を含む第二組成物を、28日サイクルの第1日から第28日に960mgの一用量(例えば、4つの240mg錠剤)で1日2回投与することを含む。治療は、例えば、患者の生存を増加させ、患者の癌の再発のリスクを減少させ、及び/又は生存の患者の可能性を高め得る。挿入物又はラベルは、紙媒体又は磁気記録媒体(例えば、フロッピーディスク)やCD−ROMなどの電子媒体上など任意の形態をとることができる。ラベル又は挿入物はまた、キット又は製造品のキットにおける薬学的組成物及び剤形に関する他の情報を含んでもよい。治療方法は、本明細書に開示される方法の何れかを含む。幾つかの実施態様において、患者の切除不能又は転移性メラノーマは(例えば、ベムラフェニブ又はBRAF阻害剤により)以前に治療されていない。幾つかの実施態様において、患者の切除不能又は転移性メラノーマは(幾つかの実施態様において、BRAF阻害剤の事前治療を含まずに)以前に治療されている。
【0200】
本発明は、化合物IIを含む薬学的組成物と、薬学的組成物が、ベムラフェニブと組み合わせて、BRAFV600変異陽性切除不能又は転移性メラノーマを有する患者を治療する(例えば治療的に治療する)ためのものであることを示すパッケージ挿入物とをパッケージ中で組み合わせることを含む製造品を製造するための方法に関し、(i)化合物II又はその薬学的に許容される塩を含む第一組成物が、28日サイクルの第1日から第21日に60mgの用量で投与され;及び(ii)化合物I又はその薬学的に許容される塩を含む第二組成物が、28日サイクルの第1日から第28日に960mgの一用量で1日2回投与されることを示すパッケージ挿入物を含む。治療は、例えば、患者の生存を増加させ、患者の癌の再発のリスクを減少させ、治療に対する応答の持続時間を増加させ、及び/又は生存の患者の可能性を高め得る。幾つかの実施態様において、切除不能又は転移性メラノーマは以前に治療を受けていない(即ち、切除不能又は転移性メラノーマは以前に治療されている)。治療方法は、本明細書に開示される方法の何れかを含む。幾つかの実施態様において、患者の切除不能又は転移性メラノーマは(例えば、ベムラフェニブ又はBRAF阻害剤により)以前に治療されていない。幾つかの実施態様において、患者の切除不能又は転移性メラノーマは(幾つかの実施態様において、BRAF阻害剤の事前治療を含まずに)以前に治療されている。
【0201】
製造品には、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、及びシリンジを含む、商業的及びユーザーの立場から望まれる他の物質を更に含んでもよい。
【0202】
V.キット
本発明は、切除不能又は転移性メラノーマの治療に使用するための、(i)化合物II又はその薬学的に許容される塩を含む第一組成物、(ii)化合物I又はその薬学的に許容される塩を含む第二組成物を含むキットであって、化合物IIは28日サイクルの第1日から第21日に60mgの用量で投与され、及び化合物Iは28日サイクルの毎日に、960mgの一用量(例えば、4つの240mg錠剤)で1日2回投与されるキットに関する。キットは、薬学的組成物が、ベムラフェニブと組み合わせて、BRAFV600変異陽性切除不能又は転移性メラノーマを有する患者を治療する(例えば治療的に処置する)ためのものであって、(i)化合物II又はその薬学的に許容される塩を含む第一組成物が、28日サイクルの第1日から第21日に60mgの用量で投与され;及び(ii)化合物I又はその薬学的に許容される塩を含む第二組成物が、28日サイクルの第1日から第28日に960mgの一用量(例えば、4つの240mg錠剤)で1日2回投与されることを示すパッケージ挿入物を含む。治療は、例えば、患者の生存を増加させ、患者の癌の再発のリスクを減少させ、治療に対する応答の持続時間を増加させ、及び/又は生存の患者の可能性を高め得る。幾つかの実施態様において、切除不能又は転移性メラノーマは以前に治療を受けていない(即ち、切除不能又は転移性メラノーマは以前に治療されている)。幾つかの実施態様において、切除不能又は転移性メラノーマは以前に治療を受けていない。幾つかの実施態様において、患者の切除不能又は転移性メラノーマは(幾つかの実施態様において、BRAF阻害剤の事前治療を含まずに)以前に治療されている。幾つかの実施態様において、化合物IIを含む第一組成物は錠剤である。幾つかの実施態様において、化合物Iを含む第二組成物は錠剤である。幾つかの実施態様において、化合物IIを含む第一組成物及び化合物Iを含む第二組成物はそれぞれ錠剤で提供される。幾つかの実施態様において、化合物Iを含む第一組成物及び化合物IIを含む第二組成物は単一投薬形態として提供される。幾つかの実施態様において、化合物IIを含む第一組成物及び化合物Iを含む第二組成物は(例えば薬学的製剤として)共に製剤化される。治療方法は、本明細書に開示される方法の何れかを含む。
【0203】
本発明は、本明細書中で同定されるバイオマーカーの任意の一又は複数を検出するために有用な診断キットに関する。従って、癌患者由来のサンプルにおけるBRAFV600バイオマーカーの発現など、BRAF発現の発現を決定するための一又は複数の試薬を含む診断キットが提供される。任意で、キットは、患者を治療する(例えば、治療的処置をする)ために化合物Iを含む組成物と組み合わせて化合物IIを含む組成物を選択するために、患者の切除不能又は転移性メラノーマがBRAFV600を発現する場合にキットを使用するための指示を含み、ここで、治療は(i)化合物II又はその薬学的に許容される塩を含む第一組成物を、28日サイクルの第1日から第21日に60mgの用量で;及び(ii)化合物I又はその薬学的に許容される塩を含む第二組成物を、28日サイクルの第1日から第28日に960mgの一用量で1日2回投与することを含む。幾つかの実施態様において、患者の切除不能又は転移性メラノーマは、以前に治療を受けていない。幾つかの実施態様において、患者の切除不能又は転移性メラノーマは(幾つかの実施態様において、BRAF阻害剤の事前治療を含まずに)以前に治療されている。治療方法は、本明細書に開示される方法の何れかを含む。
【0204】
VI.宣伝方法
本明細書の発明は、本発明は、ベムラフェニブと組み合わせて、BRAFV600変異陽性切除不能又は転移性メラノーマを有する患者を治療する(例えば治療的に処置する)ための化合物IIの使用をターゲット・オーディエンスに対して促進することを含む、癌医薬を促進又は宣伝するための方法を提供し、治療は(i)化合物II又はその薬学的に許容される塩を含む第一組成物を、28日サイクルの第1日から第21日に60mgの用量で;及び(ii)化合物Iを又はその薬学的に許容される塩を含む第二組成物を、28日サイクルの第1日から第28日に960mgの一用量で1日2回投与することを含む。治療は、例えば、患者の生存を増加させ、患者の癌の再発のリスクを減少させ、治療に対する応答の持続時間を増加させ、及び/又は生存の患者の可能性を高め得る。幾つかの実施態様において、切除不能又は転移性メラノーマは以前に治療を受けていない。幾つかの実施態様において、患者の切除不能又は転移性メラノーマは(幾つかの実施態様において、BRAF阻害剤の事前治療を含まずに)以前に治療されている。宣伝は一般に、出資者が同定され、メッセージが制御される非個人媒体を介する通信に支払われる。本明細書の目的のための宣伝は、広報、広報活動、プロダクトプレイスメント、資金提供、引受業務、及び販売促進を含む。この用語はまた、大衆に、説得する、情報提供する、促進する、動機付ける、又はさもなければ本明細書の発明を購入、支援、若しくは認可する好ましいパターンに向かって挙動を改めさせるように訴えるように設計された、任意の印刷通信媒体中に現れる資金提供された情報公示も含む。
【0205】
本明細書の診断法の宣伝及び促進は任意の手段により達成することができる。これらのメッセージを送達するために用いられる宣伝媒体の例としては、テレビジョン、ラジオ、映画、雑誌、新聞、インターネット、及び掲示板、例えば、放送媒体に出現するメッセージであるコマーシャルが挙げられる。宣伝はまた、カートのシート、空港の歩道の壁、及びバスの側面上のもの、又は電話に保持されたメッセージもしくは店内PAシステム中で聞かれるものが挙げられ、又は視覚的もしくは聴覚的通信をどこにでも置くことができる。
【0206】
促進又は宣伝手段のより具体的な例としては、テレビジョン、ラジオ、映画、ウェブ放送及びオンラインセミナーなどのインターネット、同時にユーザに届くように意図された双方向コンピュータネットワーク、固定掲示板又は電子掲示板及び他の公共用サイン、ポスター、雑誌及び新聞などの伝統的文献又は電子文献、例えば、電子メール、電話、インスタントメッセージ、郵便、国際宅配便、集団、又は配達郵便、来店などによる他の報道発信源、プレゼンテーション若しくは個別コンタクトが挙げられる。
【0207】
用いられる宣伝の種類は、多くの因子、例えば、届けようとする標的聴衆の性質、例えば、病院、保険会社、診療所、医師、看護師、及び患者、ならびに薬剤及び診断の宣伝を左右する費用の考慮及び関連する管轄の法律及び規則に依存する。宣伝は、サービス相互作用により規定されるユーザ特性及び/又はユーザの人口動態及び地理的位置などの他のデータに基づいて個別化又はカスタマイズすることができる。
【0208】
幾つかの実施態様において、促進はパッケージ挿入物により、そのパッケージ挿入物は患者を治療する(例えば、治療的処置をする)ために化合物Iと組み合わせて化合物IIによる治療を受けるために指示を与え、ここで、治療は(i)化合物II又はその薬学的に許容される塩を含む第一組成物を、28日サイクルの第1日から第21日に60mgの用量で;及び(ii)化合物I又はその薬学的に許容される塩を含む第二組成物を、28日サイクルの第1日から第28日に960mgの一用量(例えば4つの240mg錠剤)で1日2回投与することを含む。幾つかの実施態様において、促進はその後に、化合物Iと共に又は化合物I無しで、化合物IIによる患者の治療が続く。幾つかの実施態様において、パッケージ挿入物は、患者の切除不能又は再発転移性メラノーマサンプルがBRAFV600変異陽性である場合、化合物IIは患者を治療するために使用されることを示している。治療は、例えば、患者の生存を増加させ、患者の癌の再発のリスクを減少させ、治療に対する応答の持続時間を増加させ、及び/又は生存の患者の可能性を高め得る。治療方法は、本明細書に開示される方法の何れかを含む。幾つかの実施態様において、患者の切除不能又は転移性メラノーマは(例えば、ベムラフェニブ又はBRAF阻害剤により)以前に治療されていない。幾つかの実施態様において、患者の切除不能又は転移性メラノーマは(幾つかの実施態様において、BRAF阻害剤の事前治療を含まずに)以前に治療されている。
【0209】
本発明はまた、化合物Iと組み合わせて、BRAFV600変異陽性切除不能又は転移性メラノーマを有する患者を治療する(例えば治療的に処置する)ための化合物IIの使用をマーケティンすることを含むビジネス法を提供し、治療は(i)化合物II又はその薬学的に許容される塩を含む第一組成物を、28日サイクルの第1日から第21日に60mgの用量で;及び(ii)化合物I又はその薬学的に許容される塩を含む第二組成物を、28日サイクルの第1日から第28日に960mgの一用量(例えば4つの240mg錠剤)で1日2回投与することを含む。治療は、例えば、患者の生存を増加させ、患者の癌の再発のリスクを減少させ、治療に対する応答の持続時間を増加させ、及び/又は生存の患者の可能性を高め得る。治療方法は、本明細書に開示される方法の何れかを含む。幾つかの実施態様において、患者の切除不能又は転移性メラノーマは(例えば、ベムラフェニブ又はBRAF阻害剤により)以前に治療されていない。幾つかの実施態様において、患者の切除不能又は転移性メラノーマは(幾つかの実施態様において、BRAF阻害剤の事前治療を含まずに)以前に治療されている。
【実施例】
【0210】
以下は本発明の方法及び組成物の例である。種々の他の実施態様は、上記に示す一般的な説明を前提として実施することができることが理解される。
【0211】
実施例1
研究番号25395(BRIM−7)は、(a)GDC−0973によるMEK阻害、及び(b)ベムラフェニブによるBRAF阻害の組み合わせの、安全性、忍容性及び薬物動態を評価するために設計された第Ib相試験である。この多施設共同研究では、用量漸増ステージとコホート増大ステージの2段階がある。
【0212】
この研究は、ベムラフェニブにナイーブである(以前に未治療であるか又は治療を受けているが、BRAF療法への曝露は無い)か又はこの研究に登録直前にベムラフェニブ治療で進行している、BRAFV600変異陽性で切除不能な局所進行型又は転移性メラノーマの患者で行われている。重要な組み入れ基準は、コバス(登録商標)4800 BRAF V600変異試験を用いたメラノーマ腫瘍組織におけるV600E変異の存在、固形腫瘍における応答評価基準(RECIST)V1.1ごとに測定可能な疾患、ECOG PS≦1、及び実験室での主要な測定により評価される十分な血液学的及び末端器官機能を含む。患者が、眼の病理又は網膜静脈閉塞の素因となるリスク要因;QTc>450ms;又は活動性CNS転移を有する場合には患者は除外された。治療前に3週間以上安定である場合、定位放射線療法又は外科手術で治療された患者は適格とされた。
【0213】
用量漸増ステージにある全ての患者は、次の28日間のスケジュール:試験薬を連続14日間の後に14日間の休薬期間(14/14)、試験薬を連続21日間の後に7日間の休薬期間(21/7)又は連続する毎日の投与(28/0)としてのうちの一つに従って毎日投与されるGDC−0973と組み合わせて、1日2回ベムラフェニブを受けた。各治療サイクルは28日であった。
【0214】
コホートあたり3〜6人の患者の10の用量漸増コホートがあった(図1)。コホート1の患者は、併用投薬の各々の28日サイクルの連続14日間(14/14)、ベムラフェニブを連続して720mgの用量で1日2回(BID)及びGDC−0973を60mg1日1回(QD)受けた。用量漸増は、標準の3+3設計を用い、組み合わせの安全性及び忍容性を考慮して徐々に開始した。
結果
【0215】
2012年9月20日の時点で、総計92人の患者はベムラフェニブとGDC−0973との併用治療の少なくとも一方の投与を受けた。以下の用量レベルは安全で許容できると見なされた:
ベムラフェニブ720mgをBID+GDC−0973を60mgをQD 14/14(コホート1)
ベムラフェニブ720mgをBID+GDC−0973を80mgをQD 14/14(コホート2)
ベムラフェニブ960mgをBID+GDC−0973を60mgをQD 14/14(コホート3)
ベムラフェニブ720mgをBID+GDC−0973を60mgをQD 21/7(コホート1A)
ベムラフェニブ960mgをBID+GDC−0973を60mgをQD 21/7(コホート1B)
ベムラフェニブ720mgをBID+GDC−0973を60mgをQD 28/0(コホート1C)
ベムラフェニブ960mgをBID+GDC−0973を80mgをQD 14/14(コホート4)
ベムラフェニブ720mgをBID+GDC−0973を100mgをQD 14/14(コホート2A)
(BID=1日2回;QD=1日1回)
【0216】
適格患者はBRAFV600変異型で切除不能又は転移性メラノーマ及びECOG PS0−1を有していた。患者はベムラフェニブに対してナイーブであったか又はベムラフェニブで疾患が進行していた。研究は、用量漸増及び増大ステージから成る。患者は、28日サイクルの各日に720mg又は960mgのBID(1日2回)でベムラフェニブを受けた。GDC−0973は、60mg、80mg又は100mgをQD(1日1回)14日間投薬/14日間休薬(14/14);21日間投薬/7日間休薬(21/7);又は28日サイクルの各日、投与された。主要評価項目は、最大許容用量(MTD)、両薬剤の用量制限毒性(DLT)、安全性、及びPKであった。
【0217】
図3は2012年7月6日の時点の患者の特徴を示している。70人の患者(70%が男性、年齢の中央値:57.5歳[範囲:19〜76];74.3%がステージIV M1c、54.5%が以前ベムラフェニブで進行している)がGDC−0973+ベムラフェニブの1回投与又はそれ以上を受けた。サイクル数の中央値は3であった。
【0218】
2012年9月18日の時点で、用量制限毒性は、3人の患者で観察された:ベムラフェニブの中止に至ったベムラフェニブに関連するグレード3のQT延長(コホート1B)、ベムラフェニブとGDC−0973に関連するグレード3粘膜炎(コホート1D)、及びベムラフェニブに関連するグレード3関節痛(コホート1D)。
【0219】
図4は、2012年7月6日時点での全ての患者におけるベムラフェニブ又はGDC−0973のどちらかに起因する有害事象を示している。全患者で最も一般的な有害事象は、下痢(51.4%)、非ざ瘡様発疹(52.9%)、吐き気(28.6%)、疲労(30.0%)、及び光感受性/日焼け(31.4%)であった。付加的な毒性はベムラフェニブへのGDC−0973の添加では観察されなかった。患者の20%は主に軽度の肝機能検査の上昇を示した(グレード1又は2)。患者のわずか4.3%がグレード3又は4の肝機能検査の上昇を示した。関節痛は、患者の12.9%において観察され、これは、ベムラフェニブ単独治療で観察される範囲内である。漿液性脈絡網膜症は、3人の患者において観察され、全ての場合に軽度であった。ベムラフェニブとGDC−0973で治療した70人の患者のうち、1名だけが皮膚の扁平上皮癌を発症した。従って、扁平上皮癌の頻度は、ベムラフェニブ単独による治療で観察されたものよりも低いように思われた。この知見は、MAPK経路の奇異な活性化を介した扁平上皮癌病変の発生機序と一致している。最も頻度の高い治療に関連したグレード≧3の有害事象は、下痢(5.7%)、クレアチンホスホキナーゼの上昇(4.5%)、アルカリホスファターゼの上昇(4.5%)及び斑状丘疹状皮疹(4.5%)であった。
【0220】
図5は、2012年7月6日時点での投薬の中断、削減及び永続的な中止につながった有害事象を示している。ベムラフェニブの一時的中断の最も一般的な理由は、発疹(8患者)、肝機能検査(LFT)の異常(3患者)及び関節痛(3患者)であった。GDC−0973の一時的中断の最も一般的な理由は、発疹(5患者)及び下痢(3人)であった。ベムラフェニブの主な投薬削減の理由は、LFT異常(1患者)、中心性漿液性網膜症(1患者)及び発疹(1患者)であった。GDC−0973の主な投薬削減の理由は、中心性漿液性網膜症(1患者)及び発疹(1患者)であった。ベムラフェニブの中止の理由はQT間隔延長(1患者)であった。少数の患者のみが、投与量削減又は永続的な中止を必要とした。これらの結果は、組み合わせは試験された患者では十分に許容されたとする結論を支持する。
【0221】
2つの投与量レベルが増大用に選択された:ベムラフェニブ(720mg&960mgBID)+GDC−0973 60mg QD 21/7。
【0222】
図6は、事前のベムラフェニブで進行した患者における最良応答に対するベースラインからの腫瘍サイズの変化を示す。事前のベムラフェニブ治療で進行した患者における組み合わせによる治療は有意な腫瘍応答と関連していなかった。
【0223】
図7は、ベムラフェニブナイーブ患者における最良応答に対するベースラインからの腫瘍サイズの変化を示す。25人のベムラフェニブナイーブ患者における予備的な有効性データは、25人全ての患者が腫瘍の縮小を有することを示した。ベムラフェニブナイーブ患者におけるRECIST 1.1基準により確認された応答率は40%であり、安定した疾患の率は60%である。
【0224】
図8Aは、事前のベムラフェニブ治療で進行し、ベムラフェニブ+GDC−0973による治療後の患者のPETスキャン応答を示す。PET活性の有意な減少は、併用治療の14日目に観察された。この結果は、ベムラフェニブとGDC−0973との組み合わせによる治療は急速にベムラフェニブ耐性を反転することができることを実証した。図8Bは、事前のベムラフェニブ治療で進行し、ベムラフェニブ(Vem)+GDC−0973(GDC)により治療された患者のPET応答の更なる例を示す。
【0225】
これらの結果は、ベムラフェニブと組み合わせたGDC−0973は許容可能であり、有害事象は管理可能であることを実証した。その組み合わせは、ベムラフェニブ(960mg BID)及びGDC−0973(60mg 21/7)の各単剤のMTDで安全に送達された。研究からの薬物動態データはベムラフェニブ及びGDC−0973の暴露が単剤試験において以前に観察されたものと同様であったことを示した。有意なPK相互作用はベムラフェニブとGDC−0973との間で認められなかった。
【0226】
更新された結果:2013年1月25日の時点で、確認された応答は、以下のように有効性を評価可能な患者で観察された。
【0227】
共通に関連した選択された有害事象は、患者集団により、以下の通りであった:
【0228】
有害事象に起因する治療の修飾は、患者集団により、以下の通りであった:
【0229】
結論:ベムラフェニブとコビメチニブは、それぞれの単剤のMTDで安全に組み合わせることができる。最も一般的な有害事象は、発疹、下痢、感光性、及び肝機能検査の上昇であった。ほとんどの有害事象は、重症度が軽度から中等度であった。ほとんどの有害事象は、治療中断と支持療法で管理されたが、用量の削減は稀である。
【0230】
実施例2
28日間の治療サイクルにおいて、1日目から28日目に、ベムラフェニブ960mgをBID(1日2回)及び1日目から21日目にGDC−0973の60mgをOD(1日1回)による治療は、安全で良好な耐容性を示すことが実証された。GO28141は、切除不能な局所進行性又は転移性メラノーマに罹患した、以前に未治療であるBRAFV600変異陽性患者において、GDC−0973と組み合わせたベムラフェニブ及びベムラフェニブ単独の安全性と有効性を評価する、多施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照第III相臨床試験である。
【0231】
切除不能な局所進行性又は転移性メラノーマに罹患した約500人の未治療のBRAFV600変異陽性患者は、以下のレジメンの何れかで治療を受けるために1:1の比率で無作為化されるであろう。
[0102]−治療群A(対照治療群):各28日間の治療サイクルの1日目から28日目にベムラフェニブ960mgを経口(PO)でBID、及び1日目から21日目にプラセボをPOでQD。
[0103]−治療群B(治験の治療群):各28日間の治療サイクルの1日目から28日目にベムラフェニブ960mgをPOでBID、及び1日目から21日目にGDC−0973の60mgをPOでQD。
BID=1日2回;QD=1日1回。
【0232】
層別化され、順序を変えたブロックランダム化スキームは以下の層別因子に基づいて治療の割り当てのために使用される。
[0105]−地理的地域(北米、ヨーロッパ、オーストラリア/ニュージーランド、又はその他)。
[0106]−転移性分類(切除不能なステージIIIc、M1a、及びM1b;又はM1c)。
[0107]図2は、研究におけるベムラフェニブとGDC−0973/プラセボの投与スキームを示す。
【0233】
全ての患者は、治療の全てのサイクルの間、研究治療の最後の訪問で、そしてフォローアップ期間中、安全性及び忍容性について密接に監視される。患者は、最初の2サイクルの間2週間毎に、次いで必要に応じてその後の各サイクルの前に、有害事象について評価が行われる。
【0234】
腫瘍の反応はRECISTv1.1に応じて評価される。任意の評価可能な測定可能な疾患がスクリーニング時に文書化され、その後の各々の腫瘍評価で再評価された。反応は、8週間間隔で治験責任医師によって評価される。治験責任医師の判断で、進行性疾患が疑われる場合に任意の時点でCT/MRIスキャンが繰り返される。
【0235】
NCIの有害事象共通用語規準(CTCAE)v4.0が、全ての患者において試験治療の毒性プロファイルを特徴付けるために使用される。ECG評価は、最初の3サイクルの15日目に行われ、次いでその後の3治療サイクル毎(サイクル6、9、12等)の15日目に行われる。皮膚科学的評価は、サイクル2の開始時に行われ、次いでその後3治療サイクル毎(サイクル5、8、11等)(±1週間)行われる。臨床的に示されている場合は、眼科検査が繰り返される。
【0236】
患者は、疾患の進行、死亡、許容できない毒性、又は同意の撤回まで、どれが最初に生じるとしても治療される。ベムラフェニブとプラセボの治療群の患者は、疾患の進行時にベムラフェニブとGDC−0973の治療群にクロスオーバーする条件を満たしておらず、生存について追跡調査される。
【0237】
この試験の第一の有効性の目的は、研究サイトの治験責任医師研によって評価される、PFSの延長によって測定されるように、切除不能な局所進行性又は転移性メラノーマに罹患した、以前に未治療のBRAFV600変異陽性患者において、ベムラフェニブとプラセボと比較して、GDC−0973と組み合わせたベムラフェニブの有効性を評価することである。
【0238】
この試験の第二の有効性の目的は、客観的奏効率(ORR)、応答の持続時間(DOR)及び全生存期間(OS)により測定されるように、切除不能な局所進行性又は転移性メラノーマに罹患した、以前に未治療のBRAFV600変異陽性患者において、ベムラフェニブとプラセボと比較して、GDC−0973と組み合わせたベムラフェニブの有効性を評価することである。
【0239】
この研究の安全性の目的は、ベムラフェニブとGDC−0973又はベムラフェニブとプラセボを投与された患者で毒性プロフィールを特徴付けることである。本研究の薬物動態学的な目的は、GDC−0973とベムラフェニブとの薬物動態を特徴付け、GDC−0973と共に投与されたときのベムラフェニブの薬物動態を、プラセボと共に投与されたときのベムラフェニブの薬物動態に対して比較することである。この研究の患者報告アウトカムの目的は、研究と癌のための欧州機構(EORTC)生活の質アンケート及びEuroQol5次元(EQ−5D)アンケートによって測られるように、ベムラフェニブとプラセボに対してベムラフェニブとGDC−0973を受けた患者の健康に関連した生活の質を評価することである。
【0240】
患者
【0241】
この研究に適格であるために、患者は切除不能な局所進行性又は転移性メラノーマについて未治療である。患者は、メラノーマ腫瘍組織で確認されたBRAFV600変異を持っている。包含及び除外基準の非限定的なリストは以下を含む:
[0108]疾患特異的包含基準:
[0109]−AJCC第7版で定義された、切除不能なステージIIIc又はステージIVの転移性メラノーマの何れかである、組織学的に確認されたメラノーマを有する患者。
[0110]−患者は、局切除不能な局所進行性又は転移性メラノーマの治療にナイーブである(すなわち、進行疾患に対する事前の全身抗癌治療を受けていない;ステージIIIc及びIV)。事前のアジュバント免疫療法(イピリムマブを含む)が許可されている。
[0111]−メラノーマ腫瘍組織におけるBRAFV600変異陽性の状態の文書(保存の或いは新たに得られた腫瘍サンプル)。
[0112]−RECISTv1.1による測定可能な疾患。
[0113]癌に関連した除外基準:
[0114]−事前のRAF又はあMEK経路阻害剤治療のの履歴。
[0115]−研究治療の初回投与に先立つ14日以内の緩和放射線治療。
[0116]−研究治療の初回投与に先立って14日以内に大きな手術又は外傷性疾患。
[0117]−潜在的に有効性基準の解釈を妨げる可能性のあるメラノーマ以外の活動性悪性腫瘍。過去3年以内の以前に悪性腫瘍に罹患した患者は、切除された皮膚のBCC又はSCC、上皮内メラノーマ、子宮頸部の上皮内癌、乳房の上皮内癌の患者を除いて除外されている。
[0118]−転移性前立腺癌の証拠となるX線像が存在しない場合に前立腺特異抗原の単独上昇の履歴は許可される。
【0242】
GDC−0973及びプラセボ
【0243】
GDC−0973は、経口用途の240mgの錠剤として供給される。GDC−0973は、ブリスターパックにパッケージ化される。GDC−0973のプラセボは、GDC−0973パックと同一のブリスターパックにパッケージ化される。GDC−0973における不活性成分は以下のとおりである;錠剤コアのためのラクトース一水和物、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム。錠剤コーティングは、部分加水分解ポリビニルアルコール、二酸化チタン、ポリエチレングリコール3350、及びタルクからなる。GDC−0973についてのプラセボは、上記のすべての不活性成分からなり、GDC−0973と外観は同一である。
【0244】
ベムラフェニブ
【0245】
ベムラフェニブは経口用途の240mgの錠剤として供給される。ベムラフェニブは、ボトルにパッケージされる。ベムラフェニブにおける不活性成分は以下のとおりである;ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル、クロスカルメロースナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、ヒドロキシプロピルセルロース(錠剤コア)、ポリビニルアルコール、二酸化チタン、ポリエチレングリコール3350、タルク、及び赤色酸化鉄(錠剤コーティング)。
【0246】
BRAFV600変異検査
【0247】
メラノーマ腫瘍が、コバス4800 BRAF V600変異試験でBRAFV600変異について陽性であるとの結果の患者は、他の適格基準が満たされた場合、臨床試験への登録のために適格である。腫瘍サンプルは、以下の要件が満たされている限り、原発性メラノーマ腫瘍又は任意の転移部位から得ることができる。幾つかの実施態様において、保存又は新たに得られたホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腫瘍検体は、コバス4800 BRAF V600変異試験のために利用される。幾つかの実施態様において、腫瘍サンプルは新鮮凍結組織として回収されるが、細針吸引(FNA)から得られた組織は許可されない。
【0248】
前述の発明は、明瞭な理解のために説明及び例として幾らか詳細に記載したが、説明及び実施例は、発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。全ての特許及び本明細書に引用される科学文献の開示は、参照によりその全体が援用される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B