(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6335182
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】フードプロセッサ用のブレード駆動組立体およびそれを組み込んだフードプロセッサ
(51)【国際特許分類】
A47J 43/046 20060101AFI20180521BHJP
A47J 19/00 20060101ALI20180521BHJP
A47J 43/08 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
A47J43/046
A47J19/00 E
A47J43/08
【請求項の数】7
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-543514(P2015-543514)
(86)(22)【出願日】2013年10月25日
(65)【公表番号】特表2016-501580(P2016-501580A)
(43)【公表日】2016年1月21日
(86)【国際出願番号】GB2013052787
(87)【国際公開番号】WO2014083306
(87)【国際公開日】20140605
【審査請求日】2016年10月21日
(31)【優先権主張番号】1221294.0
(32)【優先日】2012年11月27日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】508160129
【氏名又は名称】ケンウッド リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Kenwood Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】ハーヴェイ、 デイヴィッド
【審査官】
土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】
英国特許出願公開第02218347(GB,A)
【文献】
特開昭61−259620(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 43/046
A47J 19/00
A47J 43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フードプロセッサ用のブレード駆動組立体であって、
前記フードプロセッサは、
電気モータを収容し、駆動出力軸の周りを回転駆動可能な駆動出力部を有する支持面を有するベースと、
駆動シャフト(20)を含むベース部(16)であって、前記駆動シャフト(20)をその長手軸(22)周りに回転させるために、前記駆動出力部から駆動力を得るようになっている前記ベース部(16)を有するゴブレット(10)と、を備え、
前記駆動組立体は、
前記ベース部(16)により支持され、回転のために、前記ゴブレット(10)内に配置されて、前記駆動シャフト(20)の前記軸(22)に対して横方向にずれた長手軸(26)を有するブレード支持シャフト(24)と、
遊星駆動手段(30,32)と、
をさらに備え、
前記遊星駆動手段(30,32)は、前記ベース部(16)により支持され、前記駆動シャフト(20)からの回転駆動を前記ブレード支持シャフト(24)に伝達し、前記ブレード支持シャフト(24)がそれ自体の軸(26)周りに強制的に回転させられるように構成され、したがって、前記ブレード支持シャフト(24)によって支持される1または複数のブレード(28)を回転し、一方、同時に、前記ブレード支持シャフト(24)を前記駆動シャフト(20)の軸(22)の周りに丸ごと回転させ、それによって、前記軸(22)を中心とするが前記横方向のずれと対応する半径方向の距離(d)だけ前記軸(22)から離れている軌跡を描き、それによって、ゴブレット内の食品に対する駆動シャフト(20)周りの1または複数のブレード(28)の単純な回転を伴う渦パターンの形成を低減する、ブレード駆動組立体。
【請求項2】
前記遊星駆動手段は、前記駆動シャフト(20)によって支持される太陽歯車(30)および前記ブレード支持シャフト(24)によって支持される遊星歯車(32)を有する、請求項1に記載の組立体。
【請求項3】
前記遊星歯車(32)は、当該遊星歯車(32)の軌道を包囲する固定部品(38)の円形の凹部内に形成された固定歯付リング(34)と噛み合って動く、請求項2に記載の組立体。
【請求項4】
前記駆動シャフト(20)の軸(22)は、ゴブレット(10)の長手軸と一致し、ブレード支持シャフト(24)は、1または複数のブレード(28)を支持し、1または複数のブレード(28)の少なくとも1つの先端は、直径が前記ブレード支持シャフト(24)の軸(26)と前記駆動シャフト(20)の軸(22)との間の前記横方向のずれ(d)よりも大きい円形の軌道を描く、請求項1から3のいずれか1項に記載の組立体。
【請求項5】
前記ゴブレットは前記ベースの前記支持面の上に載置されるようになっている、請求項1から4のいずれか1項に記載の組立体。
【請求項6】
前記駆動シャフトの前記長手軸は前記駆動出力軸と実質的に一致する、請求項1から5のいずれか1項に記載の組立体。
【請求項7】
前記ブレード支持シャフトの前記長手軸は前記駆動シャフトの前記軸に対して実質的に平行である、請求項1から6のいずれか1項に記載の組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フードプロセッサ用のブレード駆動組立体およびそのようなブレード組立体を組み込んだフードプロセッサに関する。
【背景技術】
【0002】
フードプロセッサは、多用途な家電製品であり、キッチンにおいて、スープおよび飲み物を作るために液化したり混合したりし、アイスキューブを粉砕したり、フルーツや野菜の一般的な切断などの幅広い種類の作業のために用いられている。実際、家電製品が行うと予想される作業の範囲は、特に外来の食品や健康的な食事に対する意識が向上するのに伴って、ますます拡大している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0018534号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、少なくともいくつかの分野で、従来のフードプロセッサの能力は多少足りず、性能の向上が望まれている。性能の向上が求められている1つの領域は、フードプロセッサのブレードと処理される材料、原料、または食品との間の相互作用の効率である。そのような改良された性能を有するブレード組立体を提供することは、本発明の1つの目的である。フードプロセッサの具体的な課題は、ゴブレット内で処理される食品に対するブレードの
高速回転が静的な渦パターンを引き起こし、ゴブレット内に食料品が効率的に処理されていない1つまたは複数の空間をもたらすことである。本発明は、この問題に対処することを目的とする。処理効率を向上させる試みにおいて、ゴブレット内にそれぞれの回転軸を有する複数のブレードを利用することが提案されている(例えば、US2005/0018534Al)。しかしながら、このアプローチは、複数のブレードを並列に駆動する必要があり、また1つでなくいくつかの静的な渦パターンを引き起こす傾向があり、それによって処理効率が低下し、全体の寸法が増大した複雑な領域を生成するため、電力を無駄にする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によると、フードプロセッサ用のブレード駆動組立体が提供される。プロセッサは、電気モータを収容し、駆動出力軸の周りを回転駆動可能な駆動出力部を有する支持面を有するベースと、支持面上に載置されたとき、駆動シャフトをその長手軸周りに回転させるために、に駆動出力部から駆動力を得るようになっているベース部を有するゴブレットとを備え、長手軸は、駆動出力軸と実質的に一致し、駆動組立体は、ベース部により支持され、回転のために、駆動シャフトの軸と実質的に平行であるが横方向にずれた長手軸と共にゴブレット内に配置されたブレード支持シャフトをさらに備え、遊星駆動手段は、駆動シャフトからブレード支持シャフトに回転駆動を伝達するよう構成され、構成は、ブレード支持シャフトがそれ自体の軸周りに強制的に回転させられるようになっており、一方、同時に、ブレード支持シャフトを駆動シャフトの軸周りに丸ごと回転させ、それによって、駆動出力軸中心の軌跡を描くが、横方向のずれに対応する半径方向の距離によってそれから分離されている。
【0006】
遊星駆動手段は、駆動シャフトによって支持される太陽歯車およびブレード支持シャフトによって支持される遊星歯車を備えることが好ましい。
【0007】
遊星ホイールは、遊星ホイールの軌道を包囲する円形の凹部内に形成された固定歯付リングと噛み合って動くことが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】断面図において、本発明の一例に係るブレード駆動組立体を利用したフードプロセッサゴブレットを示している。
【
図3】ゴブレットの頂部からみた平面図であり、ゴブレットの幾何学的形状の点で、本発明の好適な実施形態におけるブレードの配置を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を明確に理解し、容易に有効に実施することができるようにするために、実施形態は、単なる例として、添付の図面を参照しながら説明される。
【0010】
図面を参照すると、それらの全てにおいて同様の構成は同じ参照番号で示されている。電気モータを収容し駆動出力軸の周りを回転駆動可能な駆動出力部を有する支持面を有するフードプロセッサベースは、本発明の本質と関係がなく、また、良く知られている形状および形態のうちのいずれかをとることができるため、図示されていない。周知の方法で、ベースは、オン/オフスイッチやスピードコントロールのような、ユーザが操作可能な制御を提供し、害を及ぼす可能性のある状況で、モータの動作を防止することによってユーザを保護するためにインターロックを装着されている。図示されたように、ゴブレット10は、ハンドル14と、受け部12と、取り外し可能なベース部16とを有し、ベース部16の結合スプライン18は、駆動シャフト20を駆動出力部の軸と実質的に一致するように配置され、ゴブレット10の中心軸をまた示すその長手軸の周りに回転させるために、上記のベースの支持面上に載置されるとき、上述のベース上の駆動出力部と接続して駆動出力部から駆動力を得るように取り付けられている。駆動組立体は、ゴブレット内で回転するように配置され、その長手軸26が実質的にシャフト20の軸22と平行であるが、横方向に距離dだけずれているブレード支持シャフト24をさらに含む。
【0011】
本発明のこの実施形態において、遊星駆動手段が設けられ、駆動シャフト20からブレード支持シャフト24に回転駆動を伝達するように適合されており、ブレード支持シャフト24がそれ自体の軸26の周りを回転するように拘束されるように配置され、それによって、それに
支持されている1または複数の切断ブレード28が回転する。一方、同時にブレード支持シャフト24を軸22周りに丸ごと回転させ、それによって、軸22を中心とする円形の軌跡を描くが、距離dの横方向のずれと対応する半径方向の距離だけそこから分離されている。本発明のこの実施形態において、遊星駆動手段は、駆動シャフト20によって支持される太陽歯車30とブレード支持シャフト24によって支持される遊星歯車32とを含む。さらに、遊星歯車32は、円形の歯付凹部と噛み合って動く歯付ホイールを含むことが好ましい。この手段によって、ブレード28は、中心軸22の周りを丸ごと回転するブレード支持シャフト24の軸26の周りに回転駆動される。そしてブレード28は、効率的に食品に達し、しかしながらゴブレット内でそれらの食品が分散される遊星切断動作を生成する。さらにこれは静的な渦を形成せずに達成される。ゴブレット10は、受け部12およびベース部16を含み、受け部は、例えばねじ止めまたは出力により固定されることが理解されるだろう。シール36は、ベース16の主な固定部38とゴブレット10との間に設けられる。中心軸22と同軸であるベース16の固定部38中において、メインシャフト20のための主軸受40が設けられている。シャフト24はブレード28に伝動し、遊星歯車32は第2の軸受42内で回転する。第2の軸受42は、ベースがゴブレット内にねじ止めまたは出力により固定されている場合、ゴブレット10のベースを形成する上部の遊星キャリア44内に取り付けられている。上部の遊星キャリア44は、下部の遊星キャリア46に取り付けられ、事実上、遊星歯車32を所定の位置に挟み込んでいる。
【0012】
ベース16の内部構造の固定部38の一部は、上述のように遊星歯車システムを形成する遊星歯車32と向き合うリング歯車34を支持する。遊星歯車システムにおいて、メインシャフト20の時計回りの回転は、同様に太陽ホイール30を回転させ、そして、遊星歯車32および切断ブレード28の反時計回りの回転を引き起こす。ベース部38内のリング歯車34は固定されているため、上部および下部遊星キャリア44および46は、主軸22の周りを時計回りに回転させられ、最終的にはブレード軸26上の全ての部品を、主軸22の周りに時計方向に回転させる。一方同時に、切断ブレード28は、それ自体の軸26の周りに逆時計回りに回転させる。遊星システム内で方向間の関係が変化することができるように、上記の回転方向は好ましい場合変更することができる。32のような1または複数の遊星歯車は、好ましい場合または必要な場合、歯車の摩耗および負荷を確実にするために、上部および下部遊星キャリア44および46を支持するために用いることができる。メインシール48は、上部および下部遊星キャリア44および46と、ベースまたはゴブレット10の主な固定部分38との間を密封するために設けられる。上部遊星キャリア44および第2のシャフト24の間に、小さなシール50がある。類似の最終結果は、代わりに、メインシャフト20を上部および下部遊星キャリア44および46に取り付けることによっても達成される。それらが回転すると、遊星歯車32はリング歯車34と向き合い、主軸22周りの回転は、切断ブレード28の回転を引き起こす。
【0013】
好ましい場合には、遊星歯車のメカニズムの代わりにベルトおよびプーリーのシステムを用いることができる。例えば、太陽歯車および遊星歯車が、直接接触しないがベルトによって結合されるプーリーによって置き換わる場合、およびメインシャフト20が上部および下部遊星キャリア44および46を回転させる場合、太陽プーリーが固定されている間、ブレード28は、上部および下部の遊星キャリア44および46のモータ駆動の回転に応じて回転する。太陽プーリーもまた移動プロファイルを変更するためにいずれかの方向に駆動することができる。プーリーは、必ずしも同じサイズである必要はなく、異なるサイズのプーリーがメインシャフト20およびブレード28の間の選択された比率の動きをもたらすために用いることができる。いずれにせよ、
図1および3に示すように、切断ブレード28の先端によって記載された外径は、主軸22を横切って延びていることが好ましい。言い換えると、少なくとも1つのブレード28の先端は、ブレード支持シャフト24の軸26と、システムの中心軸22との間の横方向のずれdよりも大きい寸法の円形の軌跡を描く。