特許第6335195号(P6335195)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6335195
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】電動過給機用の固定子組立体
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/52 20060101AFI20180521BHJP
   H02K 11/30 20160101ALI20180521BHJP
   F02B 39/10 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   H02K3/52 E
   H02K11/30
   F02B39/10
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-555802(P2015-555802)
(86)(22)【出願日】2014年1月31日
(65)【公表番号】特表2016-507208(P2016-507208A)
(43)【公表日】2016年3月7日
(86)【国際出願番号】GB2014050266
(87)【国際公開番号】WO2014118557
(87)【国際公開日】20140807
【審査請求日】2017年1月19日
(31)【優先権主張番号】1301793.4
(32)【優先日】2013年2月1日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】515163519
【氏名又は名称】ヴァレオ エアー マネージメント ユーケー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】VALEO AIR MANAGEMENT UK LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100077780
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 泰甫
(74)【代理人】
【識別番号】100106024
【弁理士】
【氏名又は名称】稗苗 秀三
(74)【代理人】
【識別番号】100167841
【弁理士】
【氏名又は名称】小羽根 孝康
(74)【代理人】
【識別番号】100168376
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 清隆
(72)【発明者】
【氏名】ナイト スティーブン マイケル
【審査官】 三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−303363(JP,A)
【文献】 特開2012−110203(JP,A)
【文献】 特開2008−128112(JP,A)
【文献】 特表2004−534493(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0070228(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0261691(US,A1)
【文献】 特開2002−300755(JP,A)
【文献】 特開2010−081728(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/52
F02B 39/10
H02K 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータを備えた電動過給機であって、前記モータは、複数の巻線対を備える固定子組立体を含み、各巻線対は、第1の極を形成するための第1の巻線および第2の反対の極を形成するための第2の巻線を備え、各巻線は、入力終端および出力終端を有する電動過給機において、
各巻線対の前記終端は、前記第1の巻線および前記第2の巻線の前記入力終端が互いに隣接して位置するように、かつ前記第1の巻線および前記第2の巻線の前記出力終端が互いに隣接して位置するように配置されることを特徴とする、
電動過給機。
【請求項2】
前記第1の巻線および前記第2の巻線が、互いに対向して配置されている、請求項1に記載の電動過給機。
【請求項3】
各巻線対の2つの終端対が、互いに隣接して配置されている、請求項1または2に記載の電動過給機。
【請求項4】
前記第1の巻線および前記第2の巻線の前記入力終端が、互いに直接的に隣接し、前記第1の巻線および前記第2の巻線の前記出力終端が、互いに直接的に隣接する、請求項1から3のいずれか一項に記載の電動過給機。
【請求項5】
前記第1の巻線および前記第2の巻線の前記入力終端が、一緒に電気接続され、前記第1の巻線および前記第2の巻線の前記出力終端が、一緒に電気接続される、請求項4に記載の電動過給機。
【請求項6】
前記モータが、スイッチトリラクタンスモータ(SRM)であり、前記モータが、前記固定子組立体内の前記巻線対の各々を選択的に通電するための制御モジュールを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の電動過給機。
【請求項7】
前記制御モジュールが、複数の電力モジュールを備え、各電力モジュールが、前記巻線対のうちの1つに電力を供給するように構成される、請求項6に記載の電動過給機。
【請求項8】
各対の前記第1の巻線および前記第2の巻線が互いに直径方向に対向した状態で、前記巻線が円状に配置される、請求項1から7のいずれか一項に記載の電動過給機。
【請求項9】
各巻線の前記入力終端および前記出力終端が、それぞれに対応する、前記巻線に至る入力ワイヤおよび前記巻線からの出力ワイヤの端部上にあり、各巻線の前記入力ワイヤおよび前記出力ワイヤが、実質的に円周方向に延在し、したがって前記終端が、そのそれぞれに対応する巻線から円周方向に離れている、請求項8に記載の電動過給機。
【請求項10】
前記終端が前記巻線の径方向内側に位置決めされる、請求項8または9に記載の電動過給機。
【請求項11】
電動過給機で使用する固定子組立体であって、前記固定子組立体は、複数の巻線対を備え、各巻線対は、第1の極を形成するための第1の巻線、および第2の反対の極を形成するための第2の巻線を備え、各巻線は、入力終端および出力終端を有する、固定子組立体において、
各巻線対の前記終端は、前記第1の巻線および前記第2の巻線の前記入力終端が互いに隣接して位置するように、かつ前記第1の巻線および前記第2の巻線の前記出力終端が互いに隣接して位置するように配置されることを特徴とする、
固定子組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動過給機、特に固定子組立体を有するモータを備えた電動過給機に関する。
【背景技術】
【0002】
図1aおよび図1bは、本発明が開発される基となった、電動過給機用の固定子組立体を示す。電動過給機(図示せず)は、スイッチトリラクタンスモータを備える。モータの固定子組立体1は、3対(各対が、反対の極を形成するための、互いに対向する2つの巻線3A、3B、3Cを備える)で構成される6つの巻線3を有する。各巻線3は、金属磁心に巻き付けられたワイヤのコイルである。各巻線3は、入力終端5およびそれに対応する出力終端7を有する。これらの終端は、通電電源(図1aには図示せず)に接続可能である。図1aおよび図1bの固定子組立体では、終端5、7が、それぞれに対応する各巻線3の真上に延びている。したがって、終端5、7は、(入力終端5と出力終端7がそれぞれに対応する各巻線3の上方で連続する対をなす、12個の終端から形成される)リングの形で配列される。
【0003】
巻線の通電を制御するために、固定子組立体は、制御モジュール(全体的に符号9で表し、図1bに示す)を備える。制御モジュール9は、巻線3を通電する順序を決定および制御するためのマイクロプロセッサ(図示せず)と、巻線対3A、3B、3Cのうちの1つに電力を供給するようにそれぞれが構成された、3つの電力制御モジュール11A、11B、11Cと、各巻線対3A、3B、3Cをそれぞれに対応する電力制御モジュール11A、11B、11Cに接続するためのトラッキング(tracking:導電部)13とを含む。見やすいように、図1bには、(電力制御モジュール11A〜Cが3つ全てあることを除き)1つの巻線対3Bに関係する要素のみが示してある。
【0004】
トラッキング13(図1bに簡単な形でしか示していない)は、互いに積層された3つのPCB層から形成され、各層がそれぞれに対応する巻線対3A〜Cに対応する。各層は、巻線対の入力終端5同士を一緒に接続する第1のトラック(track:導電路)15と、同じ巻線対の出力終端7同士を一緒に接続する第2のトラック17と、それぞれに対応する電力モジュール11A〜CのI/O端子を第1のトラック15および第2のトラック17と連結する付加トラック19とを有する。
【0005】
そのようなトラッキング構成は複雑であり、したがって、制御モジュールのコストがかかる可能性がある。さらに、トラッキングを層状にする結果、PCBが複数層となり、したがって制御モジュールが比較的厚くなり、これは、コスト面および/またはPCBと過給機の周囲構成要素との相互作用の面から、望ましくない場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した欠点のうち少なくとも一部をなくし、または軽減しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、モータを備えた電動過給機であって、モータは、複数の巻線対を備える固定子組立体を含み、各巻線対は、第1の極を形成するための第1の巻線および第2の反対の極を形成するための第2の巻線を備え、各巻線は、入力終端および出力終端を有する電動過給機において、各巻線対の終端は、第1の巻線および第2の巻線の入力終端が互いに隣接して位置するように、かつ第1の巻線および第2の巻線の出力終端が互いに隣接して位置するように配置されることを特徴とする、電動過給機が提供される。第1の巻線および第2の巻線の入力終端を互いに隣接して、かつ第1の巻線および第2の巻線の出力終端を互いに隣接して配置することによって、トラッキングの複雑な層の必要性をなくすことができる。本発明により、実際に、巻線から延在するワイヤでトラッキングを置き換えることができ、それによって、改善された解決策を提供できることが分かっている。
【0008】
入力終端は、そこを通って電流が巻線に流れ込むように構成された終端である。出力終端は、そこを通って電流が巻線から流れ出すように構成された終端である。例えば、入力終端から出力終端への電圧降下があり得る。
【0009】
第1の極は、例えば、S極でよく、第2の極はN極(またはその逆)でよい。各巻線によって形成される極は、巻線の方向および/または巻線を通って電流が流れる方向によって変わることが理解されよう。
【0010】
原則として、第1の巻線および第2の巻線は、任意数の異なる相対位置にあってよい。しかし、本発明のより好ましい実施形態では、第1の巻線および第2の巻線は、互いに対向する位置にある。
【0011】
各巻線対の2つの終端対は、(例えば、固定子組立体の対向する任意の位置で)互いに離れていてよい。しかし、より好ましくは、各巻線対の2つの終端対は、互いに隣接する位置にある。そのような配置にすると、終端対の一方または両方に到達するための過度のトラッキングまたは他の電気コネクタを必要とせずに、(たとえば電力モジュールによって)巻線対の入力終端と出力終端の両方に直接的に電気接続することが容易となり得る。各巻線対の2つの終端対は、ある程度間隔をあけたまま隣接してよいことが理解されよう。各巻線対の2つの終端対は、好ましくは、固定子組立体の周りに連続して配置される。例えば、固定子組立体を回って移動すると、第1の巻線対の入力終端対および出力終端対に遭遇することができ、次いで、第2の巻線対の入力終端対および出力終端対に遭遇することができ、複数ある巻線対の残りの任意の巻線対についても同様である。各巻線対の2つの終端対は、好ましくは、円周方向にオーバーラップしない。終端対は、それが対応する巻線対から離れていてよい。
【0012】
第1の巻線および第2の巻線の各終端対の終端は、互いに隣接する。これらの終端は、ある程度離間していても隣接するものであることが理解されよう。しかし、本発明のいくつかの実施形態において、(第1の巻線及び第2の巻線の各終端対の)終端が互いに直接的に隣接しているように、各終端対の終端間に実質的に隙間がなくてもよい。第1の巻線および第2の巻線の各終端対の終端は、電気的に短絡させることができる。したがって、第1の巻線および第2の巻線は、好ましくは並列接続される。各終端対の終端は、終端同士が一緒に配線接続されることによって短絡させることができるが、より好ましくは、終端は、(例えば制御モジュールが過給機内に設置される際に)中間的な電気コネクタで終端対を連結することによって短絡させる。
【0013】
モータは、リラクタンスモータでよく、好ましくは、可変リラクタンスモータであり、より好ましくは、スイッチトリラクタンスモータ(SRM)である。モータは、固定子組立体内の巻線対の各々の通電を制御する(controlling the energising)ための制御モジュールを含むことができる。例えば、制御モジュールは、巻線対を選択的に通電して、変化し、好ましくは回転する、磁界を発生させることができる。制御モジュールは、いつの時点でも2つ以上の巻線対を選択的に通電するように構成することができる。制御モジュールは、複数の電力モジュールを備えることができ、各電力モジュールは、巻線対のうちの1つに給電するように構成される。各巻線対が受け取る信号の波形は、同じでよい。各巻線対が受け取る信号は、少なくとも部分的には、互いに位相がずれていてもよい。
【0014】
複数の電力モジュールを備える実施形態では、各巻線対の入力終端対および/または出力終端対が、(例えば介在するトラックなしで)単一の接続を介して各終端対を電力モジュールに接続することができるように、互いに隣接してよい。したがって、各巻線対の入力終端および出力終端に、容易にアクセスすることができる。好ましくは、ある電力モジュールとその入力終端および出力終端との間の接続と、別の電力モジュールとそのそれぞれに対応する入力終端および出力終端との間の接続とに、オーバーラップがない。
【0015】
各巻線は、好ましくは、ワイヤのコイルの形をとる。巻線は、磁心に巻き付けられてよい。
【0016】
巻線は、好ましくは、円状に配置される。各対の第1の巻線および第2の巻線は、互いに直径方向に対向してよい。各巻線の入力終端および出力終端は、それぞれに対応する、巻線に至る入力ワイヤおよび巻線からの出力ワイヤの端部上にあってよい。各巻線の入力ワイヤおよび出力ワイヤは、実質的に円周方向に延在し、したがって終端は、そのそれぞれに対応する巻線から円周方向に離れていてよい。隣接する終端対内の終端は、好ましくは、円の10度未満、より好ましくは5度未満の扇形内に位置する。
【0017】
終端は、好ましくは、巻線の径方向内側に位置決めされる。
【0018】
固定子組立体は、多数の巻線対を備えてよい。固定子組立体は、3つの巻線対を備えてよい。
【0019】
本発明の別の態様によれば、電動過給機で使用する固定子組立体であって、固定子組立体は、複数の巻線対を備え、各巻線対は、第1の極を形成するための第1の巻線、および第2の反対の極を形成するための第2の巻線を備え、各巻線は、入力終端および出力終端を有する、固定子組立体において、各巻線対の終端は、第1の巻線および第2の巻線の入力終端が互いに隣接して位置するように、かつ第1の巻線および第2の巻線の出力終端が互いに隣接して位置するように配置されることを特徴とする、固定子組立体が提供される。固定子組立体は、好ましくは、本発明の第1の態様に基づいて本明細書に説明したような電動過給機で使用される。
【0020】
本発明の別の態様によれば、本発明の第1の態様に基づいて本明細書に説明したような電動過給機と組み合わせた内燃機関が提供される。
【0021】
本発明の一態様に関して記載した任意の特徴は、本発明の他の任意の態様と同様に適用可能であり、逆も同様である。例えば、本発明の第1の態様の電動過給機に関して記載した任意の特徴は、本発明の第2の態様の固定子組立体に等しく適用可能である。
【0022】
次に、本発明のさまざまな実施形態について、単なる例として、添付の概略図を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1a】本発明が開発される基となった、電動過給機内の固定子組立体の部分分解斜視図である。
図1b図1aの固定子組立体の概略平面図であり、制御モジュールも示す図である。
図2】本発明の第1の実施形態による固定子組立体の斜視図である。
図3図2の固定子組立体内の、(巻線対をなす)第1の巻線および第2の巻線の斜視図である。
図4図2の固定子組立体の概略平面図であり、制御モジュールも示す図である。
図5a-e】本発明の第1の実施形態の固定子組立体の構築の仕方を示す斜視図である。
図6】本発明の第2の実施形態による固定子組立体の図である。
図7図6の固定子組立体内の、(巻線対をなす)第1の巻線および第2の巻線の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1aおよび図1bは、本発明が開発される基となった、電動過給機内の固定子組立体を示す。上で説明したように、固定子組立体は、各巻線対3A、3B、3Cをそれぞれに対応する電力制御モジュール11A、11B、11Cに接続するためのトラッキング13を含む、制御モジュールを備える。(図1bに簡単に示す)トラッキング13は、互いに積層された3つのPCB層からなり、各層が巻線対3A〜Cに対応する。そのようなトラッキング構成は複雑であり、したがって、固定子組立体のコストが増す可能性がある。さらに、トラッキングを層状にする結果、PCBが比較的厚くなり、これは、コスト面および/またはPCBと過給機の周囲構成要素との相互作用の面から、望ましくない場合がある。
【0025】
図2は、本発明の第1の実施形態による固定子組立体101を示す。固定子組立体101は、円状に配置された6つの巻線103を備える。各巻線は、ワイヤのコイルによって形成される。巻線は、金属磁心に巻き付けられている。巻線103は、直径方向に対向する巻線対103A〜Cに分割することができ、対の各巻線103は、(図2および図3には示していないが、以下に図4を参照して説明する)制御モジュール109によって通電されると、他方に対して反対の極を形成するように構成される。各巻線対内では、ある極を形成するための巻線を淡色ワイヤで表し、反対の極を形成するための巻線を濃色ワイヤで表している。
【0026】
各巻線は、入力終端105および出力終端107(入力または出力という呼称は、巻線を巡って電流が流れる方向によって変わる)を有する。図1aおよび図1bの固定子組立体とは対照的に、各巻線の終端(端子とも呼ばれる)は、巻線から離れて配置される。これについては図3に最も明確に示されており、図3は、分離した状態の巻線対103Aを示す。ここで図3を参照すると、対103Aは、(左側の)第1の巻線103’および(右側の)第2の巻線103’’を備える。第1の巻線103’からの終端105、107が、円の周りに実質的に円周方向に、時計回りの方向に延在し、したがって、入力105終端と出力107終端がどちらも、巻線103’から離れている。第2の巻線103’’上の終端も同様に、ただし反時計回りの方向に延在する。したがって、対103Aの第1の巻線103’および第2の巻線103’’の入力終端105が、互いに直接的に隣接する位置にあり、第1の巻線103’および第2の巻線103’’の出力終端107も、互いに直接的に隣接する位置にある。
【0027】
各巻線対103A〜C内の共通の終端105、107が互いに直接的に隣接する位置にあるだけでなく、各巻線対の2つの終端対(すなわち、入力終端105の対および出力終端107の対)も、互いに隣接する位置にある(が、それらは円周方向に離間されているため、互いに直接的に隣接する位置にあるわけではない)。とはいえ、各巻線対103A〜Cの2つの終端対は十分に隣接しており、それぞれの終端対は固定子組立体の円の周りに連続して位置決めされる(図2を参照)。
【0028】
終端をこのように配列すると、これから図4図1bと対比させながら参照して説明するように、特に有利となることが分かっている。図4は、第1の実施形態の固定子組立体101を、制御モジュール109と組み合わせて示す。制御モジュール109は、巻線103を通電する順序を決定および制御するためのマイクロプロセッサ(図示せず)を備え、巻線対103A〜Cのうちの1つに電力を供給するようにそれぞれが構成された3つの電力制御モジュール111A〜Cが配置されている。図1bに示す制御モジュールとは対照的に、本発明の第1の実施形態における制御モジュール109は、複雑でオーバーラップしているトラッキング構成を備えていない。代わりに、各巻線対103A〜Cの入力105終端同士および出力107終端同士が、互いに直接的に隣接して対をなし、それぞれに対応する電力モジュール111A〜Cの、2つの入力終端105および2つの出力終端107に至るI/O端子121への同時接続を可能にしている。さらに、各巻線対の2つの終端対(すなわち入力終端105の対および出力終端107の対)が、互いに隣接する位置にあるため、電力モジュール111A〜Cを、各巻線の両終端対にごく近接して配置し、それによって、長いまたは複雑なトラッキングの必要性をなくすことができる。
【0029】
図5aから図5eは、異なる組立段階にある固定子組立体を示す。図5aは、2つの隣接する巻線(対103Aの第1の巻線、および対103Bの第2の巻線)を示す。各巻線は、ワイヤのコイルによって形成される。巻線は、金属磁心127に巻き付けられる。支持構造129が、磁心127の径方向外側表面に取り付けられる(見やすいように、コイル125、磁心127、および支持構造129は、図5aに巻線のうちの1つに対してだけ表記してある)。それぞれに対応する巻線が巻き付けられた磁心に取り付けた支持構造同士が、さねはぎ継ぎ構成(tongue and groove arrangement)123を用いて互いに接続される(図5bを参照)。追加の2組の巻線が同様の方法で一緒に接続され、次いで、6つの巻線からなる円を形成するように配置される(図5cおよび図5dを参照)。その結果、全ての巻線が一緒に接続される。互いに直径方向に対向する巻線がそれぞれ、巻線対103A〜Cを画定する。各巻線から延在する入力ワイヤおよび出力ワイヤの端部がそれぞれ、入力終端105および出力終端107を画定する。これらの終端は、巻線が円状に配置されたときに、各対の巻線の入力終端105同士が互いに隣接する位置にあり、かつ各対の巻線の出力終端107同士が互いに隣接する位置にあるように配置される。図5eに示すように、巻線が一緒に接続された後、各巻線対の2本の入力ワイヤが撚り合わされ、各巻線対の2本の出力ワイヤが撚り合わされる(見やすいように、図2ではワイヤは撚り合わされたものとして示していない)。
【0030】
本発明の第2の実施形態を図6および図7に示す。第2の実施形態は、ワイヤが巻線から異なる方向に延在し、したがって、終端対が巻線に対して異なるように位置決めされることを除き、第1の実施形態と同じである。
【0031】
本発明の第2の実施形態の固定子組立体は、3つの巻線対203A〜Cを備え、各対は、直径方向に対向する巻線から形成される。図7に最もよく示されているように、本発明の第1の実施形態とは対照的に、各巻線203からのワイヤは、実質的に反対の円周方向に延在する。各対の第1の巻線および各対の第2の巻線は、互いの鏡像となっており、したがって、各対の入力終端205同士が互いに直接的に隣接し、各対の出力終端207同士が互いに直接的に隣接する(見やすいように、図6には、単一の巻線対203Cの2つの終端対だけが示してある)。そのような配置にすると、各終端対の終端を、電力モジュール(図示せず)からの単一のコネクタによって同時接続することが可能になる。
【0032】
以上、本発明について、特定の実施形態を参照して説明し例示してきたが、本発明は、本明細書に具体的に例示していない多くの異なる変形形態に適していることが、当業者には理解されよう。前述の説明で言及した値(integers)や構成要素に、公知、自明又は予測可能な均等物(equivalents)がある場合、その等価物は、個別に説明しているのと同様に本明細書に組み込まれる。本発明の正確な範囲を決定するには、特許請求の範囲に対し、上記のような均等物のいずれをも包含するよう解釈する論及がなされるべきである。好ましい、有利な、好都合な、などと記載される本発明の値や特徴は、任意選択的なものであり、独立請求項の範囲を限定するものでないことも分かる。
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図5d
図5e
図6
図7