特許第6335218号(P6335218)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6335218
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】開閉装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/02 20060101AFI20180521BHJP
【FI】
   G01R31/02
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-116397(P2016-116397)
(22)【出願日】2016年6月10日
(65)【公開番号】特開2017-219516(P2017-219516A)
(43)【公開日】2017年12月14日
【審査請求日】2016年10月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】水野 幹滋
(72)【発明者】
【氏名】小松 一宏
(72)【発明者】
【氏名】石橋 龍博
(72)【発明者】
【氏名】小堀 真吾
【審査官】 山崎 仁之
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭56−001368(JP,A)
【文献】 特開2016−054362(JP,A)
【文献】 特開2005−024402(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブル特性の測定に使用される開閉装置であって、
測定対象ケーブル内の複数の配線の一端を接続するための複数の接続用端子と、
前記接続用端子間を短絡又は開放するスイッチと、
前記スイッチを駆動する駆動回路と、
他の装置と接続するための第1の装置接続用端子及び第2の装置接続用端子と、
前記第1の装置接続用端子から入力されたリセット信号を遅延させて前記第2の装置接続用端子へ出力する遅延回路と、
を備え、
前記駆動回路は、前記第1の装置接続用端子から入力されたリセット信号に基づくタイミングで、前記スイッチを短絡させる、開閉装置。
【請求項2】
前記駆動回路は、前記第1の装置接続用端子から入力された前記リセット信号に基づくタイミングで、前記スイッチを周期的に短絡させる、
請求項に記載の開閉装置。
【請求項3】
ケーブル特性の測定に使用される開閉装置であって、
測定対象ケーブル内の複数の配線の一端を接続するための複数の接続用端子と、
前記接続用端子間を短絡又は開放するスイッチと、
他の装置と接続するための第2の装置接続用端子と、
ユーザ操作に応じてリセット信号を生成するリセット回路と、
前記スイッチを駆動し、前記リセット回路が生成したリセット信号に基づくタイミングで、前記スイッチを短絡させる駆動回路と、
前記リセット回路が生成したリセット信号を遅延させて前記第2の装置接続用端子に出力する遅延回路と、
を備える開閉装置。
【請求項4】
前記駆動回路は、前記リセット回路が生成した前記リセット信号に基づくタイミングで、前記スイッチを周期的に短絡させる、
請求項3に記載の開閉装置。
【請求項5】
前記遅延回路が前記第2の装置接続用端子に出力した前記リセット信号に基づいて前記他の装置を介して生成された、遅延時間を伴うリセット信号が入力される第1の装置接続用端子と、
前記第1の装置接続用端子から入力された前記遅延時間を伴うリセット信号が示すタイミングが、前記駆動回路が前記スイッチを周期的に短絡させる短絡時間と重複するか否かを示す信号を出力する出力回路と、をさらに備える、
請求項4に記載の開閉装置。
【請求項6】
発光ダイオードをさらに備え、
前記発光ダイオードは、前記出力回路に接続され、前記重複するか否かを示す信号に応じて発光する、
請求項に記載の開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル特性の測定に使用される開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の芯線を有する多芯ケーブルを試験或いは評価するために、ケーブルの様々な電気的特性を測定することが行われている。
【0003】
例えば、特許文献1は、製造段階における多芯ケーブルの絶縁特性を求めるために、2本の芯線に対して充放電を行い、充放電電流に基づいて、芯線間の絶縁状態を評価する方法を開示する。
【0004】
また、特許文献2は、多芯ケーブルの電気的特性を測定してケーブルの長さを算出するケーブル長測定方法を開示する。この方法は、2本の芯線の遠端同士が抵抗を介して接続された状態で、一方の芯線の一端からパルス信号を注入し、他方の芯線の一端でその信号を検出し、その長さを算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−280876号公報
【特許文献2】特許第4757166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された方法は、自由にケーブルを移送できる状況(すなわち製造段階)にのみ実施可能な方法であり、既設のケーブルに実施することはできない。また、特許文献2に記載の測定方法は、ケーブルの長さを算出することしかできず、ケーブルの特性、例えばケーブルの芯線の断線(導通)、混線又は劣化について調べることはできない。さらに、特許文献1及び特許文献2には、分岐を有するケーブルの特性を測定する方法が開示されていない。
【0007】
なお、上記特許文献1及び特許文献2に開示されていない方法として、ケーブル内の芯線の断線、混線又は劣化等を調べるために、電気抵抗や配線間の容量(絶縁抵抗)などをマルチメータ等の計測装置により測定する方法が知られている。この方法によれば、ケーブルがトグロ状に巻かれている場合には、ケーブルの一端と他端が接近しているため、マルチメータ等の計測装置の測定コードをケーブルの芯線の一端と他端に接続してケーブルの特性を測定することができる。
【0008】
しかし、既設のケーブルは、ケーブルの一端と他端(近端と遠端)が数十メートル以上も離れている場合が多い。この場合、ケーブルの芯線の一端と他端にマルチメータ等の測定コードを接続することは困難である。
【0009】
このような場合に、ペアにした2本の芯線の遠端同士を短絡して、それらの近端にマルチメータを接続することにより、配線2本分の抵抗値を測定し、次に、ケーブルの遠端同士を開放し、芯線間の容量値(絶縁抵抗値)を測定することも可能である。
【0010】
しかし、この方法では、試験実施者が、ケーブルの近端の場所から遠端の場所まで移動して、短絡状態にしていた2本の芯線の遠端同士を開放状態に変更する作業をしなければならない。先に容量測定を実施して抵抗測定を始める場合も同様である。そのため、測定作業の効率が悪くなってしまう。また、試験対象のケーブルが分岐を有するケーブルであれば、試験実施者の往復回数が多くなるため、特に測定作業の効率が低くなる。
【0011】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、ケーブルの特性を測定する作業の効率化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明に係る開閉装置は、
ケーブル特性の測定に使用される開閉装置であって、
測定対象ケーブル内の複数の配線の一端を接続するための複数の接続用端子と、
前記接続用端子間を短絡又は開放するスイッチと、
前記スイッチを駆動する駆動回路と、
他の装置と接続するための第1の装置接続用端子及び第2の装置接続用端子と、
前記第1の装置接続用端子から入力されたリセット信号を遅延させて前記第2の装置接続用端子へ出力する遅延回路と、
を備え、
前記駆動回路は、前記第1の装置接続用端子から入力されたリセット信号に基づくタイミングで、前記スイッチを短絡させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ケーブルの特性を測定する作業の効率化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態に係るケーブル特性試験システムの構成図である。
図2】本発明の第1実施形態の開閉制御システムの構成図である。
図3】本発明の第1実施形態の開閉装置の動作の一例を示すタイミングチャート図であり、(A)は駆動回路出力1、(B)は駆動回路出力2、(C)は駆動回路出力3、(D)は駆動回路出力4を示している。
図4】本発明の第2実施形態に係るケーブル特性試験システムの構成図である。
図5】本発明の第2実施形態の開閉装置(その1)の構成図である。
図6】本発明の第2実施形態の開閉装置(その2)の構成図である。
図7】本発明の第2実施形態の開閉装置の動作確認試験を行う場合の接続状態を示す図である。
図8】動作確認試験における開閉装置の動作の一例を示すタイミングチャート図であり、(A)は駆動回路出力1、(B)は駆動回路出力2、(C)は駆動回路出力3、(D)は駆動回路出力4、(E)はリセット信号、(F)はOUT1の出力信号、(G)はOUT2の出力信号、(H)はOUT3の出力信号、(I)はOUT4の出力信号、(J)はLED1の光出力、(K)はLED2の光出力、(L)はLED3の光出力、(M)はLED4の光出力、(N)はLED−OKの光出力を示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係るケーブル特性試験システムについて図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
(第1実施形態)
図1に示すケーブル特性試験システム1は、測定対象の芯線ペアの一端を開放(開)してケーブルの特性を測定する動作と、芯線ペアの一端を互いに接続(閉)してケーブル特性を測定する動作とを周期的に行うシステムである。なお、ケーブルの特性とは電気的特性である。
【0017】
ケーブル特性試験システム1は、開閉動作を行う開閉装置20a、20b、20c、20dと、開閉装置20a、20b、20c、20dを制御する制御装置30と、ケーブル特性を測定する計測装置40と、を備える。
【0018】
測定対象であるケーブル10は、2本の芯線11,12を有する2芯ケーブルである。ケーブル10は、黒丸で示す分岐点によって、点線で示すように途中から4本に分岐する。試験実施者から見て芯線11の遠端は一端11a、11b、11c、11dであり、試験実施者から見て芯線11の近端は、他端11eである。試験実施者から見て芯線12の遠端は一端12a、12b、12c、12dであり、試験実施者から見て芯線12の近端は他端12eである。
【0019】
なお、測定対象は、ケーブル10のような2芯ケーブルに限らず、芯線が1本のシールドケーブル又は同軸ケーブルであってもよい。この場合、2本の芯線の代わりに1本の芯線(内部導体)とシールド線(外部導体)を使用する。すなわち、ケーブル内に2本の配線(芯線又は芯線以外の導体)があれば測定対象となり得る。
【0020】
開閉装置20aには、ケーブル10の芯線11、12の遠端である一端11a、12aが接続される。開閉装置20aは、接続されている一端11a、12a間を短絡又は開放する開閉動作を行う。
【0021】
開閉装置20bには、ケーブル10の芯線11、12の遠端である一端11b、12bが接続される。開閉装置20bは、接続されている一端11b、12b間を短絡又は開放する開閉動作を行う。
【0022】
開閉装置20cには、ケーブル10の芯線11、12の遠端である一端11c、12cが接続される。開閉装置20cは、接続されている一端11c、12c間を短絡又は開放する開閉動作を行う。
【0023】
開閉装置20dには、ケーブル10の芯線11、12の遠端である一端11d、12dが接続される。開閉装置20dは、接続されている一端11d、12d間を短絡又は開放する開閉動作を行う。
【0024】
制御装置30は、開閉装置20a、20b、20c、20dと無線通信可能に接続される。制御装置30は、開閉装置20a、20b、20c、20dにリセット信号を送信して開閉装置20a、20b、20c、20dを制御する。
【0025】
計測装置40は、測定コード41,42を介してケーブル10内の芯線11,12の近端である他端11e,12e間に接続される。計測装置40は、例えば抵抗値や容量値等の測定機能を有するマルチメータやTDR(Time Domain Reflectometry:時間領域反射)測定装置から構成される。なお、TDR測定とは、パルス信号やステップ信号を配線に注入し、その反射波形を観測する手法である。
【0026】
ここで、上述のように、開閉装置20a、20b、20c、20dは、制御装置30によって制御される。そのため、これらをまとめて開閉制御システム2(図1において不図示)と称する。以下、開閉制御システム2の構成について説明する。
【0027】
図2に示すように、開閉装置20aは、2つの接続用端子21a,21bと、接続用端子21a,21b間を短絡又は開放するリレースイッチ21と、リレースイッチ21を駆動する駆動回路22と、駆動回路22に電源を供給する電源回路23と、駆動回路22がリレースイッチ21を周期的に短絡させるオンオフ制御をリセットするリセット回路24と、アンテナ26を介してリセット信号を受信する受信回路25とを備える。
【0028】
リレースイッチ21はメカニカルリレーから構成される。開閉装置20aの接続用端子21a,21bには、図1に示すケーブル10内の芯線11,12の一端11a,12aが接続される。
【0029】
駆動回路22は、リレースイッチ21のオンオフ制御を行うための開閉信号を生成するタイマ回路、開閉信号によりリレースイッチ21を駆動するドライバ回路等から構成される。タイマ回路は、電源回路23によって印加される直流電圧を周期的な開閉信号に変換する。駆動回路22の開閉信号の周期は、ユーザ又は製造業者によって予め定められる周期である(詳細は後述する)。
【0030】
電源回路23は、例えば、一次電池又は二次電池、電源スイッチ等から構成される。電源回路23は、電池の電圧を駆動回路22及び受信回路25に印加する。リセット回路24は、受信したリセット信号を駆動回路22に供給することにより、駆動回路22のオンオフ制御をリセットする。受信回路25は、無線周波数(RF:Radio Frequency)回路、ベースバンド(BB:Base Band)回路、集積回路(LSI:Large Scale Integration)等から構成される。受信回路25は、アンテナ26を介してリセット信号を受信する。
【0031】
開閉装置20b、20c、20dは、詳細な図示はしないが、開閉装置20aと同様な構成を備えている。そのため、開閉装置20b、20c、20dの構成要素には、開閉装置20aと同一の符号を付して説明する。
【0032】
開閉装置20bの接続用端子21a,21bには、芯線11,12の一端11b,12bが接続され、開閉装置20cの接続用端子21a,21bには、芯線11,12の一端11c,12cが接続され、開閉装置20dの接続用端子21a,21bには、芯線11,12の一端11d,12dが接続される。
【0033】
制御装置30は、装置全体を制御するプロセッサ、電源を供給するための電源回路、アンテナ36を介してリセット信号を送信するための送信回路等から構成される。なお、電源回路は、例えば、電池、電源スイッチ等から構成され、受信回路は、例えばRF回路、BB回路、LSI等から構成される。制御装置30は、開閉装置20a、20b、20c、20dの各々に、リセット状態の解除タイミングが異なるリセット信号を送信する(詳細は後述する)。
【0034】
以上、開閉制御システム2の構成について説明した。次に開閉制御システム2における開閉装置20a、20b、20c、20dの動作の一例を、図3のタイミングチャート図を参照しながら説明する。この図は、横軸は左から右に向かう時間軸であり、縦軸は、出力信号がH(High)かL(Low)かを示している。なお、時間軸は、点線で示すように一定間隔(後述するT/8相当)で区切られ、時刻t〜t18を示している。時刻t〜t18は、開閉装置20a、20b、20c、20dが制御装置30からリセット信号を受信したタイミングを示している。
【0035】
(A)の駆動回路出力1は、開閉装置20aの駆動回路22の出力である。(B)の駆動回路出力2は、開閉装置20bの駆動回路22の出力である。(C)の駆動回路出力3は、開閉装置20cの駆動回路22の出力である。(D)の駆動回路出力4は、開閉装置20dの駆動回路22の出力である。これらの駆動回路出力は、Hであればリレースイッチ21がオン(短絡状態)となり、Lであればリレースイッチ21がオフ(開放状態)になる。すなわち、駆動回路出力はオンオフ制御のオンオフに対応する。
【0036】
ここで、上述した開閉信号の周期について説明する。開閉信号の周期をTとし、そのうち、短絡時間(閉時間)をT、開放時間(開時間)をTとし、使用される開閉装置の台数をn台とした場合に、TとTは、T=T/2n、T=(2n−1)T/2nとなるように設定される。本実施形態では、ケーブル特性試験システム1全体で開閉装置20a、20b、20c、20dの4台が使用されているため、T=T/8、T=7T/8となるような周期Tが設定される。このような周期Tは、すべての開閉装置20a、20b、20c、20dに設定される。
【0037】
次に、上述した制御装置30から開閉装置20a、20b、20c、20dのそれぞれに送信されるリセット信号について説明する。リセット信号は、開閉装置20a、20b、20c、20dの駆動回路22を、それぞれのリセット時間だけリセット状態に保持し、解除タイミングでリセット状態を解除する。
【0038】
リセット信号は、制御装置30から開閉装置20a、20b、20c、20dに一斉送信されるが、リセット状態に保持するリセット時間がそれぞれ異なっている。そのため、開閉装置20a、20b、20c、20dに送信されるリセット信号は、それぞれ解除タイミングが異なる。
【0039】
リセット信号のそれぞれのリセット時間は、例えば、使用される開閉装置の台数がn台である場合に、N台目の開閉装置のリセット時間Tが、T=NT/nとなるように設定される。
【0040】
本実施形態では、ケーブル特性試験システム1全体で開閉装置20a、20b、20c、20dの4台が使用されている。そのため、開閉装置20aに送信されるリセット信号のリセット時間tR1は、T/4に設定される。開閉装置20bに送信されるリセット信号のリセット時間tR2は、T/2に設定される。開閉装置20cに送信されるリセット信号のリセット時間tR3は、3T/4に設定される。開閉装置20dに送信されるリセット信号のリセット時間tR4は、Tに設定される。これにより、開閉装置20a、20b、20c、20dに送信されるリセット信号の解除タイミングは、T/4ずつずれることになる。
【0041】
以上で開閉信号の周期とリセット信号について説明した。そこで、開閉制御システム2における開閉装置20a、20b、20c、20dの動作の説明に戻る。
【0042】
まず、図3(A)に示すように、駆動回路出力1は、リセット信号受信時である時刻tからT/4のリセット時間tR1だけリセット状態(すなわちL)に保持され、時刻t2から上述した周期Tの開閉信号が開始する。図3(B)に示すように、駆動回路出力2は、リセット信号受信時である時刻tからT/2のリセット時間tR2だけリセット状態(すなわちL)に保持され、時刻tから上述した周期Tの開閉信号が開始する。
【0043】
図3(C)に示すように、駆動回路出力3は、リセット信号受信時である時刻tから3T/4のリセット時間tR3だけリセット状態(すなわちL)に保持され、時刻tから上述した周期Tの開閉信号が開始する。図3(D)に示すように、駆動回路出力4は、リセット信号受信時である時刻tからTのリセット時間tR4だけリセット状態(すなわちL)に保持され、時刻tから上述した周期Tの開閉信号が開始する。
【0044】
以上、開閉制御システム2における開閉装置20a、20b、20c、20dの動作の一例を説明した。次に、このような開閉制御システム2を使用したケーブル特性試験システム1によって、ケーブル10の特性を測定する手順について説明する。
【0045】
まず、試験実施者は、図1のようにケーブル10の遠端側に移動して、開閉装置20a、20b、20c、20dを芯線11の一端11a、11b、11c、11d、12a、12b、12c、12dにそれぞれ接続する。その後、試験実施者は、計測装置40と制御装置30とを持ってケーブル10の近端側に移動して、計測装置40の測定コード41、42を芯線11の他端11e、12eにそれぞれ接続する。
【0046】
この状態で、試験実施者は、手元にある計測装置40を測定状態に操作し、制御装置30を操作して、制御装置30から開閉装置20a、20b、20c、20dにリセット信号を送信させる。
【0047】
そうすると、図3に示すように、開閉装置20a、20b、20c、20dは、それぞれ異なるリセット時間tR1、tR2、tR3、tR4を有し、解除タイミングが異なるリセット信号を受信し、開閉装置20a、20b、20c、20dの駆動回路22の駆動回路出力1〜4は、異なるタイミングで開閉周期を開始する。
【0048】
これらの異なるタイミングで開始した開閉信号において、短絡時間(閉時間)Tが互いに重なることはなく、開閉装置20a、20b、20c、20dのリレースイッチ21はそれぞれ短絡時間が重なることがない。そのため、図1において開閉装置20a、20b、20c、20dが一つずつ順次短絡することになる。
【0049】
そうすると、試験実施者は、制御装置40から開閉装置20a、20b、20c、20dにリセット信号を送信してからの経過時間とケーブル10の遠端が短絡・開放しているかを計測装置40によって確認することで、芯線11の一端11a、12a間、一端11b、12b間、一端11c、12c間、一端11d、12d間のうち、現在短絡又は開放しているものを特定することができる。
【0050】
また、芯線11の一端11a、12a間、一端11b、12b間、一端11c、12c間、一端11d、12d間は、周期的に短絡・開放されるため、試験実施者は、試験実施者から見てケーブル10の遠端側に移動すること無く、抵抗測定(断線チェック)、容量測定(芯線間の絶縁チェック)等を行うことができる。したがって、ケーブル10の特性を測定する作業の効率化を図ることが可能となる。
【0051】
(第2実施形態)
第1実施形態においては、制御装置30からのリセット信号によって開閉装置20a、20b、20c、20dの開閉周期が開始するタイミングを制御している。しかし、制御装置30を使用せずに、本発明を実現することも可能である。
【0052】
以下、制御装置30を使用しない第2実施形態のケーブル特性試験システム3について説明する。なお、上記第1実施形態と共通する構成要素については同一の符号を付する。
【0053】
ケーブル特性試験システム3は、図4に示すように、開閉動作を行う開閉装置50a、50b、50c、50dと、ケーブル特性を測定する計測装置40と、を備える。
【0054】
開閉装置50aには、ケーブル10の芯線11、12の遠端である一端11a、12aが接続される。開閉装置50aは、接続されている一端11a、12a間を短絡又は開放する開閉動作を行う。なお、開閉装置50aは、他の開閉装置50b、50c、50dと一部の構成が異なるものである(詳細については後述する)。
【0055】
開閉装置50bには、ケーブル10の芯線11、12の遠端である一端11b、12bが接続される。開閉装置50bは、接続されている一端11b、12b間を短絡又は開放する開閉動作を行う。
【0056】
開閉装置50cには、ケーブル10の芯線11、12の遠端である一端11c、12cが接続される。開閉装置50cは、接続されている一端11c、12c間を短絡又は開放する開閉動作を行う。
【0057】
開閉装置50dには、ケーブル10の芯線11、12の遠端である一端11d、12dが接続される。開閉装置50dは、接続されている一端11d、12d間を短絡又は開放する開閉動作を行う。
【0058】
開閉装置50aと開閉装置50b、開閉装置50bと開閉装置50c、開閉装置50cと開閉装置50dは、それぞれ互いに接続される。これは、後述するように、開閉装置50aで生成したリセット信号を開閉装置50b、開閉装置50c、開閉装置50dに順次伝送するためである。
【0059】
次に、開閉装置50aの構成について図5を参照しながら説明する。開閉装置50aは、上記実施形態1の開閉装置20aと同様に、測定対象であるケーブル10内の芯線11の一端11a、12aを接続するための接続用端子21a、21bと、接続用端子21a、21b間を短絡又は開放するリレースイッチ21と、リレースイッチ21を周期的に短絡させるオンオフ制御を行う駆動回路22とを備える。
【0060】
また、開閉装置50aは、他の装置と接続するための第1の装置接続用端子56及び第2の装置接続用端子63と、駆動回路22のオンオフ制御をリセットするリセット回路60と、第1の装置接続用端子56から入力されたリセット信号の解除タイミングが駆動回路22の出力信号のリレースイッチ21を短絡させるタイミングと重複するか否かを示す信号を出力する出力回路としての判定回路57と、リセット回路60が生成したリセット信号を遅延させて第2の装置接続用端子63に出力する遅延回路61と、駆動回路22、判定回路57及びリセット回路60に電源を供給する電源回路54と、を備える。
【0061】
また、開閉装置50aは、ユーザによって押下された場合に、リセット回路60にリセット信号を生成させるためのボタン59を備える。開閉装置50aの判定回路57は、発光ダイオード58のアノード側に接続され、開閉装置50aのリセット回路60は、発光ダイオード62のアノード側に接続される。
【0062】
判定回路57とリセット回路60は、それぞれ発光ダイオード58、62を発光させるためのドライバ回路を含み、発光ダイオード58、62は、接続されている判定回路57又はリセット回路60のドライバ回路の出力信号がHighである場合に発光する。なお、発光ダイオード58、62のカソード側は、抵抗R1又はR2を介して接地されるか、電源回路54の接地側配線に接続される。
【0063】
判定回路57は、駆動回路22と第1の装置接続用端子56と発光ダイオード58とのそれぞれに接続される。また、判定回路57は、電源回路54に接続され、電圧が印加される。判定回路57は、駆動回路22の出力信号の短絡時間(閉時間)Tと第1の装置接続用端子56から入力されるリセット信号がHighとなる時間が重複しない場合に、電源回路54からの印加電圧でドライバ回路の出力をHighにして発光ダイオード58を発光させる。
【0064】
リセット回路60は、ボタン59と遅延回路61と発光ダイオード62と駆動回路22とのそれぞれに接続される。また、リセット回路60は電源回路54にも接続され、電圧が印加される。リセット回路60は、ボタン59が押下されるとリセット信号を生成して遅延回路61にそのリセット信号を入力し、ドライバ回路の出力信号をHighにして発光ダイオード62を発光させる。また、リセット回路60は、生成されたリセット信号を駆動回路22に入力してオンオフ制御をリセットする。
【0065】
遅延回路61は、タイマ回路から構成され、第2の装置接続用端子63に接続される。遅延回路61は、リセット回路60から入力されたリセット信号を遅延させて第2の装置接続用端子63に出力する。
【0066】
以上、開閉装置50aの構成について説明した。次に、他の開閉装置50b、50c、50dの構成について説明する。開閉装置50b、50c、50dは、同一の構成を有するため、図6を参照しながら、それらの代表例として開閉装置50bの構成を説明する。なお、開閉装置50aと共通する構成要素には同一の符号を付する。
【0067】
開閉装置50bは、測定対象であるケーブル10内の芯線11の一端11b、12bを接続するための接続用端子21a、21bと、接続用端子21a、21b間を短絡又は開放するリレースイッチ21と、リレースイッチ21を周期的に短絡させるオンオフ制御を行う駆動回路22とを備える。
【0068】
また、開閉装置50bは、他の装置と接続するための第1の装置接続用端子65及び第2の装置接続用端子67と、駆動回路22のオンオフ制御をリセットするリセット回路66と、リセット回路66が生成したリセット信号を遅延させて第2の装置接続用端子67に出力する遅延回路61と、駆動回路22、判定回路57、リセット回路66に電源を供給する電源回路64とを備える。
【0069】
また、開閉装置50bのリセット回路66は、発光ダイオード62のアノード側に接続される。リセット回路66は、発光ダイオード62を発光させるためのドライバ回路を含み、発光ダイオード62は、接続されているリセット回路66のドライバ回路の出力信号がHighである場合に発光する。なお、発光ダイオード62のカソード側は、抵抗R2を介して接地されるか、電源回路64の接地側配線に接続される。
【0070】
リセット回路66は、第1の装置接続用端子65と駆動回路22と遅延回路61と発光ダイオード62とのそれぞれに接続される。また、リセット回路66は電源回路64にも接続され、電圧が印加される。リセット回路66は、リセット信号が入力された場合に、遅延回路61にリセット信号を入力し、電源回路64の印加電圧によりドライバ回路の出力信号をHighにして発光ダイオード62を発光させる。また、リセット回路66は、入力されたリセット信号を駆動回路22に入力してオンオフ制御をリセットする。
【0071】
遅延回路61は、タイマ回路から構成される。遅延回路61は、リセット回路66と第2の装置接続用端子67とのそれぞれに接続される。遅延回路61は、リセット回路66から入力されたリセット信号を遅延させて第2の装置接続用端子67に出力する。
【0072】
ここで、開閉装置50a、50b、50c、50dの遅延回路61の遅延時間td1、td2、td3、td4は、それぞれT/4の時間に設定される。ただし、厳密には、リセット時間td4だけは、後述の理由のために、わずかにT/4より小さい時間に設定される。開閉装置50aで生成されるリセット信号のリセット時間tR1は、T/4の時間に設定される。開閉装置50a、50b、50c、50dの駆動回路22の周期T、短絡時間(閉時間)T、開放時間(開時間)Tは、上記第1実施形態と同様に設定される。
【0073】
以上、開閉装置50a、50b、50c、50dの構成を説明した。次に、このような開閉装置50a、50b、50c、50dを使用したケーブル特性試験システム3によって、ケーブル10の特性を測定する手順について説明する。
【0074】
まず、試験実施者は、図4のようにケーブル10の遠端側に移動して、開閉装置50a、50b、50c、50dを芯線11、12の一端11a、11b、11c、11d、12a、12b、12c、12dにそれぞれ接続する。開閉装置50aの第2の装置接続用端子63と開閉装置50bの第1の装置接続用端子65を接続する。開閉装置50bの第2の装置接続用端子67と開閉装置50cの第1の装置接続用端子65を接続する。開閉装置50cの第2の装置接続用端子67と開閉装置50dの第1の装置接続用端子65を接続する。
【0075】
その後、試験実施者は、開閉装置50aのボタン59を押下する。そうすると、開閉装置50a、50b、50c、50dは、図8のタイミングチャート図の(A)〜(M)に示すように動作する。
【0076】
まず、図8(E)に示すように、開閉装置50aのリセット回路60は、ボタン59の押下を契機としてリセット時間tR1を有するリセット信号を生成する。
【0077】
図8(A)に示すように、開閉装置50aの駆動回路22の駆動回路出力1は、ボタン59の押下時である時刻tからT/4のリセット時間tR1だけリセット状態(すなわちL)に保持され、時刻t2から上述した開閉信号の開閉周期である周期Tが開始する。
【0078】
開閉装置50aのリセット回路60が生成したリセット信号は、遅延回路61によって遅延時間td1だけ遅延され、開閉装置50aの第2の装置接続用端子63と開閉装置50bの第1の装置接続用端子65とを介して、開閉装置50bのリセット回路66に入力される。この第2の装置接続用端子63の出力信号OUT1は図8(F)に示される。そのため、図8(B)に示すように、開閉装置50bの駆動回路22の駆動回路出力2は、ボタン59の押下時である時刻tからT/2経過した時刻tから上述した周期Tの開閉信号が開始する。
【0079】
開閉装置50bの第1の装置接続用端子65に入力されたリセット信号は、さらに開閉装置50bの遅延回路61によって遅延時間td2だけ遅延され、開閉装置50bの第2の装置接続用端子67と開閉装置50cの第1の装置接続用端子65とを介して、開閉装置50cのリセット回路66に入力される。この第2の装置接続用端子67の出力信号OUT2は図8(G)に示される。そのため、図8(C)に示すように、開閉装置50cの駆動回路22の駆動回路出力3は、ボタン59の押下時である時刻tから3T/4経過した時刻tから上述した周期Tの開閉信号が開始する。
【0080】
開閉装置50cの第1の装置接続用端子65に入力されたリセット信号は、さらに開閉装置50cの遅延回路61によって遅延時間td3だけ遅延され、開閉装置50cの第2の装置接続用端子67と開閉装置50dの第1の装置接続用端子65とを介して、開閉装置50dのリセット回路66に入力される。この第2の装置接続用端子67の出力信号OUT3は図8(H)に示される。そのため、図8(D)に示すように、開閉装置50dの駆動回路22の駆動回路出力4は、ボタン59の押下時である時刻tからT経過した時刻tから上述した周期Tの開閉信号が開始する。
【0081】
なお、開閉装置50dの第1の装置接続用端子65に入力されたリセット信号は、さらに開閉装置50dの遅延回路61によって遅延時間td4だけ遅延され、第2の装置接続用端子67に出力される。この第2の装置接続用端子67の出力信号OUT4は図8(I)に示される。
【0082】
開閉装置50a、50b、50c、50dをこのような動作状態にした後、試験実施者は、計測装置40を持ってケーブル10の近端側に移動して、計測装置40の測定コード41、42を芯線11、12の他端11e、12eにそれぞれ接続する。
【0083】
図8(A)〜(D)に示すように、開閉装置50a、50b、50c、50dの駆動回路22の駆動回路出力1〜4は、異なるタイミングで開閉信号を開始し、短絡時間(閉時間)Tが互いに重なることはなく、開閉装置50a、50b、50c、50dのスイッチ21はそれぞれ短絡時間が重なることがない。
【0084】
また、芯線11、12の一端11a、12a間、一端11b、12b間、一端11c、12c間、一端11d、12d間は、周期的に短絡・開放されるため、試験実施者は、試験実施者から見てケーブル10の遠端側に移動すること無く、抵抗測定(断線チェック)、容量測定(芯線間の絶縁チェック)等を行うことができる。したがって、ケーブル10の特性を測定する作業の効率化を図ることが可能となる。また、制御装置30も不要となる。
【0085】
ここで、本実施形態では、4台の開閉装置50a、50b、50c、50dが使用されることを前提としてリセット時間tR1、遅延時間td1、td2、td3、td4、周期T、短絡時間(閉時間)T、開放時間(開時間)Tが設定されている。しかし、実際には、ケーブル10の分岐数に応じて開閉装置の数は増減する。例えば、開閉装置が5台であり、上記のようにリセット時間tR1、遅延時間td1、td2、td3、td4、周期T、短絡時間(閉時間)T、開放時間(開時間)Tが設定されていると、開閉装置のスイッチの短絡時間が重なり、ケーブル10の特性を測定することができなくなってしまう。
【0086】
本実施形態の開閉装置50a、50b、50c、50dには、そのような事態が生じないように開閉装置50a、50b、50c、50dのリレースイッチ21の短絡時間が重なっているかどうかをチェックするための構成をも有している。そこで、以下、開閉装置50a、50b、50c、50dのリレースイッチ21の短絡時間が重なっているかどうかをチェックする方法について説明する。
【0087】
試験実施者は、まず、図7に示すように、開閉装置50a、50b、50c、50dをデイジーチェーン状に接続する。具体的には、開閉装置50aの第2の装置接続用端子63と開閉装置50bの第1の装置接続用端子65を接続する。開閉装置50bの第2の装置接続用端子67と開閉装置50cの第1の装置接続用端子65を接続する。開閉装置50cの第2の装置接続用端子67と開閉装置50dの第1の装置接続用端子65を接続する。開閉装置50dの第2の装置接続用端子67と開閉装置50aの第1の装置接続用端子56を接続する。
【0088】
この状態で、開閉装置50aのボタン59を押下する。そうすると、図8(E)に示すようにリセット信号が生成され、図8(A)〜(I)に示すように、駆動回路22の出力信号と、遅延時間td1、td2、td3、td4を伴う出力信号OUTとが出力される。
【0089】
ここで、図8(J)は開閉装置50aの発光ダイオード62(LED1)の光出力を示し、図8(K)は開閉装置50bの発光ダイオード62(LED2)の光出力、図8(L)は開閉装置50cの発光ダイオード62(LED3)の光出力、図8(M)は開閉装置50dの発光ダイオード62(LED4)の光出力を示している。これらの図8(J)〜(M)に示すように、開閉装置50a、50b、50c、50dの発光ダイオード62は、それぞれリセット回路60又はリセット回路66から入力されたリセット信号の解除タイミングで発光する。
【0090】
そして、開閉装置50aの判定回路57は、開閉装置50aの駆動回路22の出力信号である駆動回路出力1の短絡時間(閉時間)Tと、開閉装置50dの第2の装置接続用端子67と開閉装置50aの第1の装置接続用端子56を介して、開閉装置50dから入力されたリセット信号(出力信号OUT4)がHighとなる時間が重複しない場合に発光ダイオード58を発光させる。本実施形態では、重複しないために、図8(N)に示すように、発光ダイオード58(LED−OK)の光出力がHighとなって発光する。
【0091】
ここで、図8(A)と図8(I)を参照すると、駆動回路出力1の短絡時間(閉時間)Tと出力信号OUT4のHighとなる時間が重複しているように見える。しかし、上述のように、厳密には、リセット時間td4だけは、わずかにT/4より小さい時間に設定されているため、重複はしていない。
【0092】
試験実施者は、かかる発光ダイオード58の発光状態を確認することによって、開閉装置50a、50b、50c、50dのリレースイッチ21の短絡時間が重なっているかどうかを確認することができる。
【0093】
(変形例)
本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。以下、本発明の変形例について説明する。
【0094】
上記実施形態では開閉装置20a、20b、20c、20d、50a、50b、50c、50d及び制御装置30を持ち運びしやすいように、電源回路に電池を使用している。しかし、電池を使用しなくてもよい。例えば、アダプタを介して交流電源に接続することによって得た直流電圧を印加するような電源回路にしてもよい。
【0095】
上記実施形態では、開閉装置20a、20b、20c、20d、50a、50b、50c、50dの駆動回路22にはタイマ回路が使用されている。しかし、タイマ回路の代わりに、カウンタ回路と、発振回路と、分周回路を使用されてもよい。駆動回路22がマイコンを備えていてもよい。この場合、試験実施者が周期T、短絡時間(閉時間)T、開放時間(開時間)Tを測定対象ケーブルに応じて適宜任意に設定することができる。
【0096】
上記第1実施形態では、開閉装置20a、20b、20c、20dと制御装置30とは互いに無線通信によりリセット信号を送受信する構成としている。しかし、これに限らず、
制御装置30を有線で開閉装置20a、20b、20c、20dに接続して制御装置30から開閉装置20a、20b、20c、20dにリセット信号を送信するようにしてもよい。
【0097】
上記第1実施形態のように、無線通信によってリセット信号を送受信する場合、開閉装置20a、20b、20c、20dと制御装置30との配線が不要であるため、芯線11、12の一端11a、12aと一端11b、12bと一端11c、12cと一端11d、12dとが離れた位置にある場合に適している。
【0098】
一方、有線通信によってリセット信号を送受信する場合、開閉装置20a、20b、20c、20dと制御装置30の構成を簡略化することができる。例えば、開閉装置20a、20b、20c、20dの受信回路25及びアンテナ26と、制御装置30のアンテナ36とリセット信号を送信するための送信回路等を省略することができる。また、有線通信の場合、構成が簡略化されるため、無線通信より操作も簡単になる。
【0099】
上記第2実施形態において、開閉装置50a、50b、50c、50dは上述のようにリセット信号を送受信するために配線が接続されている。この配線は、芯線11、12の一端11a、12aと一端11b、12bと一端11c、12cと一端11d、12dとの間の距離が長い場合に長くなってしまう。そのため、この配線の送電損失によってリセット信号が減衰することを考慮して、例えば、開閉装置50b、50c、50dのリセット回路66に増幅器を設けて入力されるリセット信号を増幅するように構成しても良い。
【0100】
上記実施形態のリセット回路24、60、66は、いわゆるローアクティブのリセット回路を前提としているため、リセット状態をL状態とし、L状態でリレースイッチ21が開放する構成としている。しかし、上記実施形態のリセット回路24、60、66をハイアクティブのリセット回路としてリセット状態をH状態とし、H状態でリレースイッチ21が短絡する構成としてもよい。すなわち、上記実施形態の信号のHとLが適宜反転された構成であっても、結果的にリレースイッチ21を短絡させるタイミングを制御する構成であればよい。
【0101】
上記実施形態の駆動回路22は、リレースイッチ21のオンオフ制御を行うための開閉信号を生成するタイマ回路、開閉信号によりリレースイッチ21を駆動するドライバ回路等から構成されている。
【0102】
しかし、本発明はこれに限られない。例えば、上記実施形態において、開閉装置が制御装置30又は他の開閉装置から開閉信号を受信して、その受信した開閉信号に基づいて駆動回路22がリレースイッチ21を駆動するように構成されてもよい。すなわち、上記実施形態のように開閉装置自身が開閉信号を生成するのではなく、他の装置で開閉信号が生成されてもよい。この場合、駆動回路22がタイマ回路を備える必要はなく、リセット回路24、60、66も不要となる。
【0103】
本発明のケーブル特性試験システムは、上記2芯ケーブルだけでなく、さらに3芯以上のケーブルも計測できるように拡張することができる。3芯以上のケーブルも計測可能な開閉装置は、3つ以上のリレースイッチを備える必要があり、接続されたすべての芯線ペア(配線ペア)が、それぞれ異なるタイミングで短絡又は開放させるように構成する必要がある。3芯以上のケーブルも計測可能な開閉装置は、より芯数が少ないケーブルでも計測可能となる。そのため、試験対象となるケーブルの種類が広くなり、汎用性を高くすることができる。
【0104】
また、上記実施形態において、測定対象の芯線のペアの遠端を短絡・開放するためのスイッチとしてリレースイッチ21を使用したが、他の素子を使用することも可能である。例えば、接続用端子21aと21bに電流路の一端(例えば、コレクタ、ソース)と他端(例えば、エミッタ、ドレイン)が接続されたバイポーラトランジスタやFETをスイッチとして使用してもよい。
【0105】
上記第2実施形態では、発光ダイオード58によってリレースイッチ21の短絡時間が重なっているかどうかを確認することができる。しかし、発光ダイオード58を用いて光出力をする構成ではなく、音声出力をする構成にしてもよい。また、発光ダイオード58は、重複がない場合に発光させてもよいし、重複がある場合に発光させてもよい。
【符号の説明】
【0106】
1,3 ケーブル特性試験システム、2 開閉制御システム、10 ケーブル、11,12 芯線、11a,11b,11c,11d,12a,12b,12c,12d 一端、11e,12e 他端、20a,20b,20c,20d,50a,50b,50c,50d 開閉装置、21a,21b 接続用端子、21 リレースイッチ、22 駆動回路、23,54,64 電源回路、24,60,66 リセット回路、25 受信回路、26,36 アンテナ、30 制御装置、40 計測装置、41,42 測定コード、56,65 第1の装置接続用端子、57 判定回路、58,62 発光ダイオード、59 ボタン、61 遅延回路、63,67 第2の装置接続用端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8