(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6335227
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】コンピューター断層撮像を制御するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 6/14 20060101AFI20180521BHJP
A61B 6/08 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
A61B6/14ZDM
A61B6/08 309B
【請求項の数】30
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2016-149113(P2016-149113)
(22)【出願日】2016年7月29日
(62)【分割の表示】特願2013-527653(P2013-527653)の分割
【原出願日】2011年9月6日
(65)【公開番号】特開2016-182518(P2016-182518A)
(43)【公開日】2016年10月20日
【審査請求日】2016年8月25日
(31)【優先権主張番号】20105934
(32)【優先日】2010年9月8日
(33)【優先権主張国】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】509353665
【氏名又は名称】パロデックス グループ オイ
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154162
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 浩輔
(72)【発明者】
【氏名】ヨウヒカイネン,ペトリ
【審査官】
亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−280844(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/133937(WO,A1)
【文献】
特開平07−327985(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/138483(WO,A1)
【文献】
国際公開第2009/133896(WO,A1)
【文献】
特開平08−182672(JP,A)
【文献】
特開昭61−048342(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 − 6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制限エリアコンピューター断層撮像を制御する方法であって、
被写体に属する第1の撮像被写体の位置データを求めるステップを含み、該被写体は対称面を有し、該位置データを求めるステップは、少なくとも、
被写体位置決め手段によって、撮像装置に対して前記被写体を位置決めすること、及び
前記第1の撮像被写体の前記位置データを示すために、インジケーター手段によって、前記被写体を指し示すことを含み、
前記被写体は撮像されるべき患者であり、さらに、
前記第1の撮像被写体の前記位置データに基づいて、第1の撮像エリアの第1の回転軸を求めるステップを含み、該第1の撮像エリアは前記第1の撮像被写体を含み、該第1の回転軸は前記対称面から第1の距離を有し、さらに、
前記第1の撮像エリアをコンピューター断層撮像するステップと、
少なくとも前記第1の回転軸の位置に基づいて、第2の撮像エリアの第2の回転軸を求めるステップとを含み、該第2の回転軸は前記対称面から第2の距離を有し、該第2の距離は前記第1の距離とほぼ同等であり、さらに、
前記第2の撮像エリアをコンピューター断層撮像するステップを含む、
制限エリアコンピューター断層撮像を制御する方法。
【請求項2】
前記第2の撮像エリアは第2の撮像被写体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の撮像エリア及び前記第2の撮像エリアをコンピューター断層撮像するステップ中及びその間、前記第1の撮像被写体及び前記第2の撮像被写体が静止している、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の撮像被写体は、前記被写体の前記対称面、対称軸、又は中心線の反対側に、前記第1の撮像被写体に対して対称的に配置される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
以前に撮像された第1の撮像被写体及び基準位置のデータを受け取るステップをさらに含み、前記第1の撮像被写体の位置データを求めるステップは、基準位置データに対する前記位置データを求めることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の撮像被写体及び第2の撮像被写体のコンピューター断層撮影画像を該画像自身の単一のX線画像データファイル又は1つのX線画像データファイルとして表示及び/又は記憶するステップをさらに含み、それによって、双方の撮像被写体が基準位置データにつり合うようにされる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
各X線画像データファイルは複数の断面画像を含み、それによって、前記第1の撮像被写体及び前記第2の撮像被写体の該断面画像が互いに対応し、対応する断面画像間で測定が実行されることができる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の撮像被写体と前記第2の撮像被写体との間でX線画像データファイルによって測定を行うステップをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
各X線画像データファイルは複数の断面画像を含み、それによって、前記X線画像データファイルにおいて、前記第1の撮像被写体及び前記第2の撮像被写体の前記コンピューター断層撮影画像は前記基準位置データと同じ座標内にあり、それによって、前記第1の撮像被写体及び前記第2の撮像被写体を、自由に選択された断面レベルによって求められた断面画像によって検査することができる、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記位置データを求めるステップは、
前記被写体の耳道の位置に基づいて前記第1の撮像被写体の前記位置データを推定すること、および
前記被写体の幅に基づいて前記第1の撮像被写体の前記位置データを推定すること、のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
装置であって、
被写体に属する第1の撮像被写体の位置データを求める手段を備え、該被写体は対称面を有し、該位置データを求める手段は、
撮像装置に対して前記被写体を位置決めする被写体位置決め手段、及び
前記第1の撮像被写体の前記位置データを示すために前記被写体を指し示すインジケーター手段、のうちの少なくとも1つ備え、
前記被写体は撮像されるべき患者であり、さらに、
前記第1の撮像被写体の前記位置データに基づいて、第1の撮像エリアの第1の回転軸を求める手段を備え、該第1の撮像エリアは前記第1の撮像被写体を含み、該第1の回転軸は前記対称面から第1の距離を有し、さらに、
前記第1の撮像エリアを制限エリアコンピューター断層撮像することを制御する手段と、
少なくとも前記第1の回転軸の位置に基づいて、第2の撮像エリアの第2の回転軸を求める手段とを備え、該第2の回転軸は前記対称面から第2の距離を有し、該第2の距離は前記第1の距離とほぼ同等であり、さらに、
前記第2の撮像エリアを制限エリアコンピューター断層撮像することを制御する手段を備える、
装置。
【請求項12】
前記第2の撮像エリアは第2の撮像被写体を含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
コンピューター断層撮像する手段は、前記第1の撮像エリア及び前記第2の撮像エリアの撮像中及びその間静止している前記第1の撮像被写体及び前記第2の撮像被写体を含む、前記第1の撮像エリア及び前記第2の撮像エリアを撮像するように構成される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記第2の回転軸を求める手段は、前記第2の撮像被写体が、前記被写体の前記対称面、対称軸、又は中心線の反対側に、前記第1の撮像被写体に対して対称的に配置されることを推定するように構成される、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
以前に撮像された第1の撮像被写体及び基準位置のデータを受け取る手段をさらに備え、前記第1の撮像被写体の位置データを求める手段は、基準位置データに対する前記位置データを求めるようにさらに構成される、請求項11に記載の装置。
【請求項16】
前記第1の撮像被写体及び第2の撮像被写体のコンピューター断層撮影画像を該画像自身の単一のX線画像データファイル又は1つのX線画像データファイルとして表示及び/又は記憶する手段をさらに備え、それによって、双方の撮像被写体が基準位置データにつり合うようにされる、請求項11に記載の装置。
【請求項17】
各X線画像データファイルは複数の断面画像を含み、それによって、前記第1の撮像被写体及び前記第2の撮像被写体の該断面画像が互いに対応し、対応する断面画像間で測定が実行されることができる、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記第1の撮像被写体と前記第2の撮像被写体との間でX線画像データファイルによって測定を行う手段をさらに備える、請求項16に記載の装置。
【請求項19】
各X線画像データファイルは複数の断面画像を含み、それによって、前記X線画像データファイルにおいて、前記第1の撮像被写体及び前記第2の撮像被写体の前記コンピューター断層撮影画像は前記基準位置データと同じ座標内にあり、それによって、前記第1の撮像被写体及び前記第2の撮像被写体を、自由に選択された断面レベルによって求められた断面画像によって検査することができる、請求項16に記載の装置。
【請求項20】
前記位置データを求める手段は、
前記被写体の耳道の位置に基づいて前記第1の撮像被写体の前記位置データを推定する手段、および
前記被写体の幅に基づいて前記第1の撮像被写体の前記位置データを推定する手段、のうちの少なくとも1つを備える、請求項11に記載の装置。
【請求項21】
システムであって、
撮像装置と通信するように接続された制御装置を備え、
前記制御装置は、被写体に属する第1の撮像被写体の位置データを求めるように構成され、該被写体は対称面を有し、該装置は、
被写体位置決め手段によって、前記撮像装置に対して前記被写体を位置決めすること、及び
前記第1の撮像被写体の前記位置データを示すために、インジケーター手段によって前記被写体を指し示すこと、のうちの少なくとも1つを実行するように構成され、
前記被写体は撮像されるべき患者であり、
前記制御装置は、前記第1の撮像被写体の前記位置データに基づいて、第1の撮像エリアの第1の回転軸を求めるように構成され、該第1の撮像エリアは前記第1の撮像被写体を含み、該第1の回転軸は前記対称面から第1の距離を有し、
前記制御装置は、前記第1の撮像エリアを制限エリアコンピューター断層撮像することを行うように前記撮像装置を制御するように構成され、
前記制御装置は、少なくとも前記第1の回転軸の位置に基づいて、第2の撮像エリアの第2の回転軸を求めるように構成され、該第2の回転軸は前記対称面から第2の距離を有し、該第2の距離は前記第1の距離とほぼ同等であり、さらに、
前記制御装置は、前記第2の撮像エリアを制限エリアコンピューター断層撮像することを行うように前記撮像装置を制御するように構成される、
システム。
【請求項22】
前記第2の撮像エリアは第2の撮像被写体を含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記第1の撮像エリア及び前記第2の撮像エリアの撮像中及びその間静止している前記第1の撮像被写体及び前記第2の撮像被写体を含む、前記第1の撮像エリア及び前記第2の撮像エリアを撮像するようにさらに構成される、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記第2の撮像被写体が、前記被写体の前記対称面、対称軸、又は中心線の反対側に、前記第1の撮像被写体に対して対称的に配置されることを推定するようにさらに構成される、請求項22に記載のシステム。
【請求項25】
以前に撮像された第1の撮像被写体及び基準位置のデータを受け取るようにさらに構成され、前記システムは、基準位置データに対する前記位置データを求めるようにさらに構成される、請求項21に記載のシステム。
【請求項26】
前記第1の撮像被写体及び第2の撮像被写体のコンピューター断層撮影画像を該画像自身の単一のX線画像データファイル又は1つのX線画像データファイルとして表示及び/又は記憶するようにさらに構成され、それによって、双方の撮像被写体が基準位置データにつり合うようにされる、請求項21に記載のシステム。
【請求項27】
各X線画像データファイルは複数の断面画像を含み、それによって、前記第1の撮像被写体及び前記第2の撮像被写体の該断面画像が互いに対応し、対応する断面画像間で測定が実行されることができる、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記第1の撮像被写体と前記第2の撮像被写体との間でX線画像データファイルによって測定を行うようにさらに構成される、請求項26に記載のシステム。
【請求項29】
各X線画像データファイルは複数の断面画像を含み、それによって、前記X線画像データファイルにおいて、前記第1の撮像被写体及び前記第2の撮像被写体の前記コンピューター断層撮影画像は前記基準位置データと同じ座標内にあり、それによって、前記第1の撮像被写体及び前記第2の撮像被写体を、自由に選択された断面レベルによって求められた断面画像によって検査することができる、請求項26に記載のシステム。
【請求項30】
前記システムは、
前記被写体の耳道の位置に基づいて前記第1の撮像被写体の前記位置データを推定すること、および
前記被写体の幅に基づいて前記第1の撮像被写体の前記位置データを推定すること、のうちの少なくとも1つを実行するように構成される、請求項21に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線撮像を制御するための方法、デバイス、及びシステムに関する。本発明は特に、歯や顎のエリアにおいて行われる制限エリアコンピューター断層撮像(limited-area computer tomography imaging)を制御することに関する。
【背景技術】
【0002】
歯や顎のエリアの撮像には、いわゆる制限エリアコンピューター断層撮影デバイスを用いる。制限エリアコンピューター断層撮影デバイスの例は、コーンビームコンピューター断層撮像デバイス(CBCT:cone-beam computed tomography imaging devices)である。このデバイスでは、患者の頭蓋骨内の所望の点におけるボリュームエレメント(volume element:体積要素)データを収集するために、ビームによって頭蓋骨に光を通過させ、生成されたデータに基づいて、問題となっている頭蓋骨の点の3次元画像が再構成される。このデバイスは、歯や顎のエリアの専門分野で、診断及び治療計画の際に、例えば手術、インプラント学、及び口腔病理学に関する処置において用いられる。
【0003】
制限エリアコンピューター断層撮像において用いられるX線装置は通常、支持フレームの一端に取り付けられた回転アームを備え、回転アームの対向する端部に、X線生成デバイスと、X線検出デバイスとが取り付けられる。X線への曝露は回転アームを回転させることによって行われ、それによって、回転アームの動き、したがって同様にX線生成デバイス及びX線検出デバイスの動きが同期し、それによって所望のサイズのエリア、例えば患者の歯又は顎関節のエリアの画像がX線検出デバイスに提供される。通常、回転アームはその固定回転軸の回りを回転する。X線検出デバイスは、例えば、撮像される被写体を貫通した放射線を検知するCCD(電荷結合素子)又はCMOSセンサーである。
【0004】
撮像されるエリアの直径は通常、頭蓋骨又は顎のエリア全体の直径の一部でしかない。X線撮像では、撮像される被写体の撮像エリアを、撮像装置に対して正しい位置において正確に位置決めすることが重要である。撮像のために、被写体が静止していることも重要である。撮像エリアの位置決め(及び同時に、撮像される患者の位置決め)は、撮像される被写体を選択し、配置することによって開始する。これは、例えば、光によって実現されたポインター及びインジケーター、又は例えば、撮影された被写体の別のX線画像を用いることによって補助されることができる。
【0005】
例えば、特許文献1から、X線生成デバイスとX線検出デバイスとの間に、撮像エリア内で撮像される被写体を位置決めする被写体位置決め手段が配置された、制限エリアコンピューター断層撮像に適用可能なX線装置が既知である。被写体位置決め手段、X線生成デバイス、及びX線検出デバイスは、それらの位置に対し、前後方向、横方向、及び垂直方向に相対的に調整可能である。特許文献1から、X線生成デバイスとX線検出デバイスとの間に位置決めされた被写体位置決め手段の位置が、X線装置のフレームに対し、前後方向、横方向、及び垂直方向に調整可能である、制限エリアコンピューター断層撮像のためのX線装置も既知である。そして、撮像エリアは、回転アームの回転軸に従った直線上に配置され、この回転軸の回りをX線生成デバイス及びX線検出デバイスが回転する。上記方向における被写体位置決め手段の正確な位置は、X線装置のフレームと被写体位置決め手段との間に設置された調整機構によって調整することができる。被写体位置決め手段の位置を調整するとき、パノラマ撮像によって以前に撮影された被写体の断層撮影画像から取得された被写体位置決めデータを用いることが可能である。被写体位置決め手段の位置の調整には、回転アームの回転軸上に配置された光インジケーターによって発せられた光ビームを用いることもでき、それによって、光ビームが被写体位置決め手段又は撮像される被写体上に焦点を合わせているとき、被写体の撮像エリアは正確に正しい場所となる。
【0006】
従来技術による上記の制限エリアコンピューター断層撮影デバイスにおいては、撮像される被写体は1つずつ選択され、撮像される被写体は、実際のX線撮像を行う前に、被写体位置決め手段によって1つずつ撮像エリア内に位置決めされる。次に、撮像される新たな被写体が選択され、被写体位置決めによって撮像エリア内に位置決めされ、その後、実際のX線撮像が行われる。このため、撮像エリアの位置決めは、撮像されるために選択された被写体ごとの独自の別々の処置として行われる。撮像される各被写体は、撮像エリアの位置決めによって求められた撮像のための特定の座標内に撮像される。
【0007】
従来技術による装置を、例えば患者の双方の顎関節を撮像するのに用いることを望むとき、撮像される第1の顎関節が、まず、被写体位置決め手段によって撮像エリア内のその所定の場所に位置決めされ、その後撮像され、次に、撮像される第2の顎関節が被写体位置決め手段によって撮像エリア内のその所定の場所に位置決めされ、その後撮像される。双方の顎関節が別々に撮像されるので、双方の顎関節を撮像することを可能にするために、撮像される患者は被写体位置決め手段によって撮像エリアに対して2回位置決めされなくてはならない。患者を撮像のためにそれぞれ別々に位置決めすることは時間がかかり、人的資源及びデバイス資源を消耗する。さらに、撮像される患者が、被写体位置決め手段によって、顎関節を撮像するために撮像エリアに対して2回位置決めされるとき、双方の顎関節が独自の座標内において撮像される。この後、追加ステップとして、双方の画像を同じ座標内に何らかの方法で登録(register)しなくてはならず、その後、撮像された被写体間で比較及び測定を行うことが可能になる。別々に撮られた画像が同じ座標内に登録されるとき、その寸法及び形状が知られており、かつ双方の画像において可視である追加の補助手段が必要とされるか、又はそれらの画像が双方の画像内で可視である共通エリアを有さなければならない。
【0008】
上記の構成の問題はまた、これらの構成が、撮像される被写体の位置又は類似性に関する特性を一切考慮しないことである。人体は、例えば身体の両側に対で位置する幾つかの撮像可能な被写体を有する。多くの場合に、撮像の需要は、被写体の予想される差異を比較することが可能となるように、そのような被写体の双方に関係する。人体におけるそのような被写体は、例えば、頭蓋骨の両側に対称的に位置している上述した顎関節である。従来技術によるデバイスによって撮像するとき、双方の顎関節が撮像エリア内に位置決めされ、かつ別々に撮像されなくてはならず、そのため、顎関節を撮像するために、撮像エリアを位置決めするための2つの位置決め期間が必要とされる。また、撮像エリアの2つの別々の位置決めによって、顎関節が異なる座標内に撮像されることになり、それらを同じ座標内に登録するには、上述した追加の処置が必要となる。このため、特に身体又は頭蓋骨の異なる側に対称的に位置する被写体の撮像は時間がかかり扱いにくい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6118842号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、従来技術に関する不都合な点を排除することである。目的によれば、本発明は、コンピューター断層撮像のワークフローを単純化し、高速化することを目指す。本発明が特に目的とするのは、撮像される被写体が、例えば人体の2つの側に対称的に位置するとき、コンピューター断層撮像のための被写体の位置決めを高速化することである。
【0011】
更なる目的によれば、本発明は、X線画像データの行い得る用法を多様化することを目指す。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一目的は請求項1に記載の方法によって提供され、一目的はデバイスの独立請求項に記載のデバイスによって提供され、一目的はシステムの独立請求項に記載のシステムによって提供され、一目的はコンピュータープログラムの独立請求項に記載のコンピュータープログラムによって提供される。
【0013】
本発明の一実施形態は請求項1に記載の方法に関し、一実施形態はデバイスの独立請求項に記載のデバイスに関し、一実施形態はシステムの独立請求項に記載のシステムに関し、一実施形態はコンピュータープログラムの独立請求項に記載のコンピュータープログラムに関する。
【0014】
本発明の他の実施形態は従属請求項に記載される。
【0015】
制限エリアコンピューター断層撮像を制御するための本発明の一実施形態による方法では、第1の撮像被写体の位置データが求められ、第1の撮像被写体に関する基準位置データが求められ、第1の撮像被写体の位置データと上記基準位置データとに基づいて、被写体に属する第2の撮像被写体を撮像するために撮像エリアが調整される。
【0016】
制限エリアコンピューター断層撮像を制御するための本発明の一実施形態によるデバイス、例えば制御デバイス又は制御ユニットは、第1の撮像被写体の位置データを求め、第1の撮像被写体に関する基準位置データを求め、第1の撮像被写体の位置データと上記基準位置データとに基づいて、被写体に属する第2の撮像被写体を撮像するために撮像エリアを調整するように構成される。
【0017】
制限エリアコンピューター断層撮像を制御するための本発明の一実施形態によるシステムは、少なくとも例えば、X線撮像デバイスと、そのX線撮像デバイスに統合されるか又は他の形で接続された制御デバイス又は制御ユニットとを備え、第1の撮像被写体の位置データを求め、第1の撮像被写体に関する基準位置データを求め、第1の撮像被写体の位置データと上記基準位置データとに基づいて、被写体に属する第2の撮像被写体を撮像するために撮像エリアを調整するように構成される。
【0018】
制限エリアコンピューター断層撮像を制御するための本発明の一実施形態によるコンピュータープログラムは、第1の撮像被写体の位置データを求め、第1の撮像被写体に関する基準位置データを求め、第1の撮像被写体の位置データと上記基準位置データとに基づいて、被写体に属する第2の撮像被写体を撮像するために撮像エリアを調整するように構成されたコード手段(code means)を備える。
【0019】
本明細書において提示される用語は、特に、以下の意味で用いられる:
「被写体」は、例えば、撮像される被写体、例えば顎関節が属するエンティティ(entity)、例えば人体、頭蓋骨、又は顎域を指す。
「撮像エリア」は、例えば、撮像被写体が位置決め又は自動的に配置され、撮像時に、撮像被写体のX線曝露を可能な限り少なくして鮮明なX線画像が提供されるように、撮像被写体が撮像手段に対し可能な限り最適に位置決めされる、エリアを指す。
「位置データ」は、例えば、制限エリアコンピューター断層撮影画像が撮影されるか、この画像が撮影されているか、又はこの画像が既に撮影された撮像エリア内で、位置決めされているか、位置決めされるか、又は自動的に配置される撮像被写体の点に関するデータを指す。位置データは、例えば3次元座標内に表されるデータである。
「基準位置データ」は、エンティティに関するデータ、例えば人体、頭蓋骨、又は顎域に関するデータを指し、このデータは、エンティティに属する撮像される被写体、例えば顎関節の相対位置、例えば身体の対向する側における互いに対する顎関節の対称的な位置を示すことができる。
【0020】
制限エリアコンピューター断層撮像を制御するための本発明の一例によれば、第1の撮像被写体の位置データは、第1の撮像被写体が撮像エリア内に位置決めされるときに求められる。
【0021】
本発明の一例によれば、第1の撮像被写体に関する基準位置データが求められ、第1の撮像被写体の位置データと上記基準位置データとに基づいて、被写体に属する第2の撮像被写体を撮像するために撮像エリアが調整され、それによって、第2の撮像被写体は、第1の撮像被写体から、基準位置データによって求められた距離に配置される。
【0022】
本発明の一例によれば、第1の撮像被写体に関する基準位置データが求められ、第1の撮像被写体の位置データと上記基準位置データとに基づいて、被写体に属する第2の撮像被写体を撮像するために撮像エリアが調整され、それによって、第1の撮像被写体及び第2の撮像被写体は、基準位置データに対して対称的に配置される。
【0023】
本発明の一例によれば、第1の撮像被写体に関する基準位置データが求められ、コリメーターによってX線を制限することによって、第1の撮像被写体の位置データと上記基準位置データとに基づいて、被写体に属する第2の撮像被写体を撮像するために撮像エリアが調整され、それによって、第1の撮像被写体及び第2の撮像被写体は、基準位置データに対して対称的に配置される。
【0024】
本発明の一例によれば、第1の撮像被写体及び第2の撮像被写体は1つの撮像イベント(imaging event)中に1回で撮像される。
【0025】
本発明の実施形態による方法は、制限エリアコンピューター断層撮像のための撮像被写体の位置決めを高速化し、これによって、身体の両側に対称的に位置する撮像される被写体を位置決めするのに、撮像される被写体のうちの一方が撮像エリア内に位置決めされることで十分となる。このとき、撮像される双方の被写体、例えば双方の顎関節が撮像のために撮像エリア内に別個に位置決めされる状況と比較して、撮像エリアの位置決めに費やされる時間が大幅に減少する。
【0026】
さらに、本発明の実施形態による方法は、1回の撮像エリアの位置決めで、撮像される双方の被写体、例えば人体の両側に対称的に位置する撮像被写体を、有利には同じ座標内に互いに対し比較できるように(comparably)登録し、それによって、撮像処理のために必要とされる付加的な処置も、別個の座標内に撮像された画像がその座標内で互いに対し比較できるよう登録されるように構成される追加の付属物(accessories)も用いることなく、撮像被写体を互いに比較することができるので、コンピューター断層撮像のワークフローを単純化する。
【0027】
加えて、本発明の実施形態による方法は、双方の撮像被写体のX線画像が1つの撮像イベント中に撮像され、それによって双方の撮像被写体がともに共通座標内にあるので、X線画像データの行い得る用法を拡張する。
【0028】
本発明によれば、例えば撮像される被写体の撮影された投影画像が、X線画像データフォーマットでX線画像データファイル内に保存され、それらの投影画像から、更なる処理によって3次元X線画像が再構成され、また、完成した3次元X線画像及びそれらから形成された断面画像のセットも、行い得る更なる処理のためにX線画像データファイル内に保存される。
【0029】
次に、添付の図面を参照して、本発明の有利な実施形態をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明による方法のフローチャートを例として示す図である。
【
図2】顎域及び本発明による顎域の撮像構成を例として示す図である。
【
図3】顎域及び本発明による顎域の別の撮像構成を例として示す図である。
【
図4】本発明によるデバイスのブロック図を例として示す図である。
【
図5】本発明によるシステムのブロック図を例として示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、本発明による、制限エリアコンピューター断層撮像を制御するための方法を示している。この方法では、開始ステップ(図示せず)において、ユーザーが、コンピューターと、そのコンピューター内で動作する、撮像及び撮像装置を制御するコンピュータープログラムとを始動する。
【0032】
ステップ101において、撮像被写体が撮像のために選択され、この撮像被写体は通常、特定のエンティティ、例えば人体、骨格、頭蓋骨、顎域、又は他の等価な被写体を形成する、被写体の一部である。撮像被写体は、例えば、顎関節、1本の歯、1組の歯、又はエンティティを形成する被写体の何らかの他の部分とすることができる。
【0033】
ステップ103において、選択された撮像被写体の、制限エリアコンピューター断層撮像を行うことができるように、撮像装置に対して患者が位置決めされる。撮像される撮像被写体は、X線生成デバイスとX線検出デバイスとの間に位置する撮像エリア内に位置決めされる。撮像エリアの位置は、X線生成デバイス、X線検出デバイス、及び撮像被写体の、互いに対する相対的な相互位置によって求められ、この相対位置は、例えば前後方向、横方向、及び垂直方向において調整することができる。
【0034】
一実施形態によれば、撮像被写体は、被写体位置決め手段が例えば患者の顎、首、額、耳、又は被写体における何らかの他の等価な点を支えるように、被写体位置決め手段によって撮像エリア内に位置決めされ、それによって、実際の撮像被写体は、コンピューター断層撮像のための撮像エリア内に正確にかつ固定して位置決めされることができる。被写体位置決め手段の位置は、X線生成デバイス及びX線検出デバイスに対して調整可能であり、例えば、被写体位置決め手段、X線生成デバイス、及びX線検出デバイスが、例えば撮像装置のフレーム上に調整可能に支持されるようにされる。
【0035】
ステップ105において、撮像被写体が撮像エリア内に位置決めされたとき、撮像エリアにおいて、撮像される撮像被写体の位置データが求められる。撮像被写体が撮像エリア内に位置決めされると、撮像エリア内の撮像被写体の位置データが、X線生成デバイス、X線検出デバイス、及び撮像被写体又は被写体位置決め手段の、互いに対する相対的な相互位置によって求められる。撮像エリア内の撮像被写体の位置データは、例えば撮像被写体のサイズ及び/又は直径に基づいて求めることができ、そのため、位置データを、例えば撮像被写体における所望の点と関連付け、例えば3次元座標内に示すことができる。撮像被写体の位置データは、例えば撮像装置のフレーム、又はX線生成デバイスとX線検出デバイスとを互いに接続する支持アームの回転軸につり合うようにされる(is proportioned to)。
【0036】
一実施形態によれば、撮像エリア内の撮像被写体はインジケーター手段によって指し示され、インジケーター手段は撮像被写体の位置データを示す。次に、インジケーター手段は位置に関するデータを感知し、例えばディスプレイ上に位置に関するデータを示す。インジケーター手段は静止しているか又は移動している。インジケーター手段によって感知される位置に関するデータは、制御デバイス内のメモリに保存される。インジケーター手段は、例えば光インジケーター、レーザーインジケーター、又は等価なインジケーターを備えることができ、それによってインジケーターは、実際の撮像被写体に対するその相対位置、例えば距離、間隔、及び/又は角度が知られている所望の撮像被写体の点又は被写体の点を指し示すことができる。このようにして、例えばインジケーター手段によって患者の外耳道を指し示して、撮像エリア内の顎関節の位置データを求めることが可能である。なぜなら、顎関節は、非常に典型的に、全ての人の場合に外耳道に対して同じ点にあるためである。顎関節が撮像エリア内に位置決めされている場合に、外耳道を指し示すのにインジケーター手段が用いられるとき、このインジケーター手段は撮像エリア内の顎関節の位置データを示す。
【0037】
一実施形態によれば、撮像エリア内の撮像被写体の位置データは、制御デバイスのメモリから受け取った同じ撮像被写体の位置に関する以前のデータに基づいて求められる。次に、インジケーター手段のインジケーターを、メモリから受け取った撮像被写体の位置データを示すように自動的にセットすることができ、それによって、インジケーター手段によって送られた光インジケーション(indication)が、撮像エリア内で撮像被写体、例えばその中心と交差する。一例によれば、インジケーター手段は、同じ患者の顎関節に関する以前の位置データをメモリから受け取り、それによってインジケーター手段のインジケーターは、受け取った顎関節の位置データを示すように自動的にセットされる。
【0038】
一実施形態によれば、撮像エリア内の撮像被写体の位置データは、制限エリアコンピューター断層撮像、口腔内撮像、又はパノラマ撮像によって撮影された同じ撮像被写体の以前の画像に基づいて求められる。特許文献1は、中でも、二重目的の撮像装置について記載しており、この撮像装置は、まずパノラマモードにおいて撮像被写体のパノラマ画像を撮影し、このパノラマ画像が解析及び処理されて、位置データが得られ、その後、得られた位置データに基づいて、同じ撮像被写体が、制限エリアコンピューター断層撮像のために撮像エリア内に位置決めされることができる。
【0039】
本方法の幾つかの実施形態によれば、ステップ105をステップ103の前に行うことができる。例えば、撮像被写体の位置データが求められ、その後、撮像被写体が撮像エリア内に位置決めされるように撮像装置が誘導される。
【0040】
ステップ107において、ステップ103及び/又は105に従ってその位置データが求められた撮像エリア内の撮像被写体は、制限エリアコンピューター断層撮影装置によって撮像される。撮像被写体が撮像エリア内にあるとき、X線生成デバイス及びX線検出デバイスは撮像エリア内でそれらの間にある撮像被写体の回りを回転し、それによって、撮像被写体の所望の投影画像が、例えば180度〜360度の各周期で撮影される。撮像エリア内の撮像被写体全体を、特定の数の投影画像によって撮像することができる。投影画像は、更なる処理のために、例えばX線画像データフォーマットでX線画像データファイル内に保存される。
【0041】
代替的に、ステップ107において、撮像エリアが少なくとも1つの動的コリメーターによりX線を制限することによって調整されているとき、撮像被写体は撮像エリア内にあり、そのため、X線生成デバイス及びX線検出デバイスは、X線生成デバイス及びX線検出デバイスによって形成される回転中心が撮像中に撮像被写体間で全く動かないように、撮像エリア内でそれらの間にある撮像被写体の回りを回転する。少なくとも1つの動的コリメーターによりX線を制限することによって、及び撮像被写体間で、ただし撮像被写体の距離全体よりも短い移動距離(travel)にわたって回転中心を動かすことによって、より正確な撮像エリアが探索される、組み合わされた方式で撮像エリアの焦点調節を実施することも可能である。
【0042】
ステップ109において、撮像被写体が撮像エリア内にあるとき、撮像エリア内の撮像被写体の位置データに関する基準位置データが求められる。本方法の幾つかの実施形態によれば、ステップ109は、ステップ103の前又は後に行うこともできるし、ステップ103の一部として実行することもできる。
【0043】
基準位置データは、被写体、例えば人体、頭蓋骨、又は顎域に関するデータを指し、他方で、被写体に属する撮像される撮像被写体、例えば顎関節に属するデータを指す。一実施形態によれば、基準位置データは、例えば、被写体に属する撮像被写体がその異なる側に対称的に位置している被写体の対称面、対称軸、中心線、又は等価なデータを記述する。例えば人体において、幾つかのそのような撮像被写体が存在する。例えば顎関節は、頭蓋骨又は顎域の対称面の2つの側に対称的に位置する。一実施形態によれば、基準位置データは、例えば被写体に属する撮像被写体間の距離を記述する。
【0044】
ステップ109において、例えば頭部若しくは頭蓋骨又は何らかの他の被写体の測定値又は寸法に関する基準位置データが求められる。後に、そのような測定値の幾つかの例を説明する。基準位置データは、例えば頭部又は頭蓋骨の幅に基づいて求めることができる。次に、基準位置データは有利には、例えば所望の撮像被写体間の距離を求める。代替的に、基準位置データは有利には、ステップ103の前に求めることができる。そのときステップ103において、被写体位置決め手段は、撮像される被写体、例えば患者の頭部を、固定しておくために支持する。一実施形態によれば、求められた基準位置データに基づいて、上述したようなインジケーター手段は、撮像される撮像被写体が撮像エリア内にあるために配置されるべきである点、又は撮像される撮像被写体が撮像エリア内にあるために被写体の特定の部分、例えば鼻又は顎が配置されるべきである点を指し示す。基準位置データによって、インジケーター手段は、上述した点を、例えば光インジケーター、レーザーインジケーター、又は他の等価なインジケーターによって示す。インジケーター手段は、位置に関するデータを、例えばインジケーター手段のディスプレイ上に示す。インジケーター手段によって感知された基準位置に関するデータは、制御デバイス内のメモリに保存される。
【0045】
ステップ109において、例えば頭部若しくは頭蓋骨又は何らかの他の被写体の対称面に関する基準位置データが求められる。代替的に、基準位置データを有利にはステップ103の前に求めることができる。そのときステップ103において、被写体位置決め手段を、基準位置データに基づいて誘導することができる。被写体位置決め手段は、撮像される被写体、例えば患者の頭部を、静止するように所望の点において支持することができる。代替的に、例えば、被写体位置決め手段が被写体をその基準位置データによって求められた平面、例えば対称面の点において支持するように、被写体位置決め手段を誘導することができ、それによって、基準位置によって求められた平面、例えば対称面に対して、被写体は2つの部分に対称的に分割される。
【0046】
ステップ111において、被写体に属する撮像被写体の位置データ、及びステップ109において求められた撮像被写体に関する基準位置データは、制御デバイスによって互いにつり合うようにされる。
【0047】
一実施形態によれば、基準位置データは、ステップ109において目視検査(visual inspection)によって求められる。例えば、被写体が頭部(頭蓋骨)であるとき、目視検査によって、頭部が鼻及び顎を通る平面に対して前から見て2つの部分に対称的に分割されることを示すことができ、そのため、基準位置データを表す平面は、鼻及び顎を通る対称面となる。それぞれ、歯及び顎関節を有する顎骨が、基準位置データによって求められた、頭部及び頭蓋骨と同じ平面に従って対称的に分割されることを推定することができる。例えば、左顎関節及び右顎関節によって形成された対称面内の各点は、双方の顎関節から等距離にある。一実施形態によれば、基準位置データは、上記のタイプのインジケーター手段が目視検査により、例えば鼻及び/又は顎を指し示すことによって求められ、それによってインジケーター手段は基準位置データを示す。次に、インジケーター手段は、例えば鼻及び/又は顎の位置に関するデータを感知し、例えばインジケーター手段のディスプレイ上に位置に関するデータを示す。インジケーター手段によって感知された基準位置に関するデータは、制御デバイス内のメモリに保存される。インジケーター手段は、例えば光インジケーター、レーザーインジケーター、又は他の等価なインジケーターを備えることができ、それによって、インジケーターは被写体内の所望の点を指し示すことができる。ステップ111において、撮像被写体を指し示す上述したインジケーター手段と、基準位置データを指し示すインジケーター手段とが互いに調整及び較正され、それによって、それらのインジケーター手段によって感知及び表示され、コンピューターによって保存される位置データが互いに比較可能になる。例えば、被写体位置決め手段、例えば顎支持体、額支持体、首支持体、及び/又は他の等価な支持体が、その基準位置データによって求められた平面に従って被写体、すなわち頭部を支持するよう設定されるように、被写体は基準位置データによって求められた平面に従って誘導されることができ、それによって、被写体位置決め手段、有利にはその中心線が、頭部の対称面の点において頭部を支持する。代替的に、被写体位置決め手段は、撮像される被写体、すなわち頭部を、静止するように所望の点において支持することができる。
【0048】
一実施形態によれば、基準位置データはステップ109において、患者の頭部、例えば頭蓋骨幅の寸法を測定することによって求められ、それによって、測定された寸法に基づいて基準位置データを求めることができる。有利には、測定された上記寸法又はそこから計算可能なデータは、基準位置データとして用いられる。患者の頭蓋骨幅の測定は、多くの既知の方法、例えば光測定によって実行することができる。患者の頭蓋骨幅の測定は、欧州特許第1161122号に記載されているように実行することもできる。一例によれば、被写体位置決め手段は、患者の頭部を異なる側から、例えば耳又は耳の上方の点において支持するように調整可能な少なくとも2つの支持要素を備え、それによって、互いに対して調整可能な支持要素間の距離はW1によって表される。支持要素がともに頭部の最も広い点において頭蓋骨に固定されるように調整されるとき、それらの支持要素の間の距離、すなわち頭蓋骨幅はW2によって表される。さらに、被写体位置決め手段は、例えば額を支持する支持要素を備えることができ、それによって支持要素は頭部に密接して取り付けられる「ヘッドギア」を形成し、これらの支持要素は互いに対して調整可能である。それぞれ、顎の下方及び頭頂部の平面上の支持要素を調整することによって頭蓋骨高さHを測定するか、又は額の平面及び後頭部上の支持要素を調整することによって頭蓋骨深さDを測定することが可能である。有利には、上記2つの対向する支持要素はセンサーに接続され、このセンサーは、例えば欧州特許1161122号明細書に記載されているように、患者の頭蓋骨の距離W1、H、又はD、等価には幅W2、高さ、又は深さに相当する電気信号をコンピューターに対し生成する。例えば、センサーによって生成された種々のサイズの電気信号は、種々の距離W1の値に等しい。測定された頭蓋骨幅W2から、これを2で除算することによって頭蓋骨の中心線を求めることが可能である。ステップ111において、コンピューターが、被写体(例えば頭蓋骨)の中心線に等価な信号と、撮像される撮像被写体(例えば顎関節)の位置を表す信号とのつり合いをとると、頭蓋骨の中心線、すなわち対称面に等価な基準位置データが得られる。このようにして、基準位置データを撮像被写体の位置データと同じ座標内にスケーリングすることができる。有利には、被写体位置決め手段の支持点、例えば「ヘッドギア」の額を支持する支持要素又は用い得る顎支持体が、上記の中心線又は対称面の点において被写体(頭部)を支持するように誘導される。
【0049】
一実施形態によれば、基準位置データは、ステップ109において、被写体、例えば患者、患者の頭部、又は他の部分の光学画像を、撮像装置に接続されたカメラによって撮影し、その光学画像から、例えば頭蓋骨幅等の患者の頭部の寸法を測定することによって求められ、それによって、例えば上述した方式で、測定された寸法に基づいて基準位置データを求めることができる。有利には、上記の測定された寸法又はそこから計算可能なデータが基準位置データとして用いられる。基準位置データを求める際の助けとして、カメラと被写体との間の距離に関するデータ、又は何らかの他の等価なデータを用いることが可能であり、このデータに基づいて、光学画像から、例えば患者の頭部の幅を測定することが可能であり、再びこれに基づいて基準位置データを求めることができる。
【0050】
一実施形態によれば、ステップ111において、被写体の基準位置データ及び撮像エリア内の撮像被写体の位置データに基づいて、基準位置データに対する撮像被写体の位置、例えば基準位置データによって求められた平面からの撮像被写体の距離が求められる。以後、ステップ103における撮像エリア内の撮像被写体及びその位置データを、第1の撮像被写体及び第1の撮像被写体の位置データと呼ぶ。第1の被写体の位置データはステップ105において説明されたように求められ、第1の撮像被写体に関する基準位置データはステップ109において説明されたように求められる。ステップ111において、第1の撮像被写体が撮像エリア内に位置決めされるように、患者が位置決めされているとき、基準位置データに対する第1の撮像被写体の位置データ、例えばその中心が求められ、そのため有利には、被写体の支持点は、被写体(例えば頭部)が静止するよう被写体を支持するように向けられる。一例によれば、被写体位置決め手段の支持点は、上記基準位置データによって求められた平面の点において被写体を支持するように向けられる。一例によれば、基準位置データによって求められた線又は平面からの第1の撮像被写体の距離は、コンピューターによって計算することによって求められる。一例によれば、第1の撮像被写体の位置データは、コンピューターによって計算することにより、基準位置データによって求められた線又は平面からの距離及び角度によって求めることができる。
【0051】
一実施形態によれば、ステップ113において、被写体に属する第2の撮像被写体の位置データが求められ、この第2の撮像被写体は、被写体の基準位置データによって比較可能に求められた第1の撮像被写体に対して配置される。一例によれば、第2の撮像被写体は、第1の撮像被写体に対して基準位置データによって求められた距離に配置される。一例によれば、第1の撮像被写体が撮像エリア内にあるとき、第2の撮像被写体は通常、第1の撮像被写体に対して、基準位置データによって求められた平面、例えば対称面の反対側に配置される。第2の被写体の位置データは、例えば、基準位置データによって求められた、第1の被写体の位置データに対する距離(上記第1の被写体に対する距離に従った変位)として得られる。代替的に、第2の被写体の位置データは、例えば第1の被写体の位置データを、基準位置データに対して所望のように、例えば対称的に、対称線の反対側に回転させて得られる。第2の撮像被写体の位置データは、例えば第1の撮像被写体の位置データを、基準位置データによって求められた線又は平面に対して投影することによって求めることができる。一例によれば、第2の撮像被写体の位置データは、第1の撮像被写体の距離を、基準位置データによって求められた線又は平面に対してその反対側に投影することによって得られる(上記線/平面に対する距離に従った変位)。一例によれば、第2の撮像被写体の位置データは、第1の撮像被写体の位置データの距離及び角度を記述する位置ベクトルを、基準位置データによって求められた線又は平面からその反対側に投影することによって得られる(上記線/平面に対する位置ベクトルに従った回転)。上記に基づいて、例えば、第1の撮像被写体と第2の撮像被写体との間の距離、及び/又は基準位置データの中心線からの第2の撮像被写体の距離、及び/又は基準位置データの中心線に対する第2の撮像被写体の角度を求めることが可能である。
【0052】
ステップ113において上記で示したように、第2の撮像被写体の位置データは、ステップ103に従って第1の撮像被写体が撮像エリア内にあるとき、第1の撮像被写体の位置データ及び/又は基準位置データに対して見出される。被写体位置決め手段の支持点は、被写体(例えば頭部)が静止するよう被写体を支持するように向けられ、それによって、第1の撮像被写体及び第2の撮像被写体は、第1の撮像被写体が撮像エリア内にあるとき、基準位置データに対して反対側に対称的に配置される。
【0053】
幾つかの実施形態によれば、ステップ105において行われる第1の撮像被写体の位置データを求めることの前に、又はステップ105において行われる第1の撮像被写体の位置データを求めることと同時に、ステップ113において求めることができる第2の撮像被写体の位置データを求めることが可能である。換言すれば、第1の撮像被写体及び第2の撮像被写体の位置データを求めることは、いかなる特定の順序で行われることにも限定されない。このため有利には、ステップ109において、第1の撮像被写体及び第2の撮像被写体の位置データに関する基準位置データがまず求められる。例えば、上記の頭蓋骨測定は、基準位置データとして、例えば頭蓋骨幅を求めることができ、それによって、この頭蓋骨幅に基づいて第1の撮像被写体及び第2の撮像被写体の位置データが求められる。次に、頭蓋骨幅によって、第1の撮像被写体及び第2の撮像被写体の互いからの距離が決まり、第1の撮像被写体及び第2の撮像被写体の位置データを所望の順序で、又は更には同時に求めることができる。
【0054】
一実施形態によれば、ステップ115において、第2の撮像被写体が撮像エリア内に位置決めされるように、ステップ113において求められた第2の撮像被写体の位置データに基づいて撮像エリアが調整される。一例によれば、撮像のための撮像エリアにおける第2の撮像被写体の位置決めは、撮像エリアにおいて、X線生成デバイス及びX線検出デバイスが撮像エリアに対して自動的に調整されるように第1の撮像被写体を位置決めすること(ステップ103)に基づき、それによって、第2の被写体を撮像するための撮像エリアの位置は、基準データに対する第1の撮像被写体の位置データを用いて調整される。こうして、第1の撮像被写体の位置データと上記基準位置データとに基づいて、被写体に属する第2の撮像被写体を撮像するために撮像エリアが調整され、それによって、第1の撮像被写体及び第2の撮像被写体は、例えば互いから所望の距離において、又は基準位置データに対して対称的に、基準位置データに対して所望のように配置される。有利には、ステップ115において、撮像される被写体は静止されたままであり、それによって、撮像エリアを調整するとき、第1の撮像被写体及び第2の撮像被写体は静止している。有利には、ステップ115において、被写体位置決め手段、例えば被写体位置決め手段の支持点が、所望の点、例えば基準位置データによって求められた線又は平面の点において被写体を支持するよう向けられるように、撮像される被写体は静止されたままである。ステップ115において、X線生成デバイス及びX線検出デバイスは、X線生成デバイスとX線検出デバイスとの間の撮像エリアがステップ113において求められた第2の撮像被写体の位置データの点に位置決めされるように、静止している撮像される被写体に対して移動及び/又は回転する。換言すれば、第1の撮像被写体の撮像に対して、ステップ115では、X線生成デバイスとX線検出デバイスとの間の撮像エリアは、第1の撮像被写体と第2の撮像被写体との間の距離にわたって移動及び/又は回転し、基準位置データによって求められた線/平面に従って、第1の撮像被写体の距離の、この基準位置データによって求められた線/平面の反対側への変位を得るか、又は第1の撮像被写体の距離及び角度に対して、基準位置データによって求められた線/平面に従って、この線/平面の反対側への変位/回転を得る。このとき、撮像エリア内で第2の撮像被写体を別個に位置決めする必要はなく、撮像される第2の被写体の位置が、第1の被写体の位置データと、それに関する基準位置データ、例えば距離又は対称線の位置とに基づいて求められる。
【0055】
代替的に、ステップ115において、X線生成デバイスとX線検出デバイスとの間の撮像エリアが、少なくとも1つの動的コリメーターによりX線を制限することによってステップ113において求められた第2の撮像被写体の位置データの点において位置決めされるように、X線生成デバイス及びX線検出デバイスは静止している撮像される被写体に対して回転する。撮像エリアが少なくとも1つの動的コリメーターによりX線を制限することによって調整されているとき、X線生成デバイス及びX線検出デバイスは、X線生成デバイス及びX線検出デバイスによって形成される回転中心が、撮像エリアの調整中及び撮像中に動かないように、撮像エリア内でそれらのデバイス間にある撮像被写体の回りを回転する。
【0056】
代替的に、撮像エリアは、少なくとも1つの動的コリメーターにより制限することによって、並びにX線生成デバイス及びX線検出デバイスにより形成される回転中心を撮像エリアの調整中及び撮像中に動かすことによって、撮像エリアが焦点を合わせられる組み合わせの解決策(hybrid solution)を用いて調整することができる。このとき、回転中心は、或る移動距離であるが、撮像被写体の距離全体よりも短い移動距離にわたって撮像被写体間を移動する。
【0057】
第1の撮像被写体の撮像に関連するステップ107と同様な対応する方式で、ステップ115に従って第2の撮像被写体が撮像エリア内に入った後に、ステップ117において第2の撮像被写体が撮像される。有利には、撮像エリアは、第1の撮像被写体の画像が撮像されるとき(ステップ107)には第1の撮像被写体の点に、及び第2の撮像被写体が撮影されるとき(ステップ117)には第2の撮像被写体の点にある。有利には、第1の撮像被写体(ステップ107)及び第2の撮像被写体(ステップ117)が1つの撮像イベントにおいて撮像される。
【0058】
ステップ117において、X線生成デバイス及びX線検出デバイスは、撮像エリア内でそれらのデバイスの間にある撮像被写体の回りを回転し、それによって、撮像被写体の所望の投影画像が、例えば180度〜360度の各周期で撮影される。3次元画像が、撮像被写体の種々の方向から撮影された投影画像からの画像処理に適用可能なコンピューターによって再構成される。完成した3次元画像は、3D画素、すなわちボクセルからなる。撮像エリア内の第2の撮像被写体は、特定の数の投影画像を用いて全体として撮像することができ、これらの投影画像は撮像後にコンピューターに転送され、コンピューターのディスプレイ上に示すことができる3次元画像として再構成される。コンピューターは、投影画像を、例えば互いに垂直な3つの方向において計算し、これによって撮像エリアの統合された3次元画像を形成する。撮像エリアの3次元処理によって、撮像被写体を常に最適な方向から見ることができることが可能になる。有利には、撮像は、撮像エリア内の撮像被写体に向けてX線生成デバイスによって発せられたX線ビームに基づき、それによって、X線検出デバイスは、撮像被写体を貫通したX線ビームを受け取る。例えば、適切にパルス化されたビームが、撮像被写体の回りを回転するとき、各パルスを用いて投影画像を形成し、その投影画像の3次元画像がその一部について計算される。このようにして、3次元画像が、第1の撮像エリア及び第2の撮像エリアから、例えばステップ103において実行される1回の位置決めで取得される。
【0059】
一実施形態によれば、ステップ119において、ステップ107において撮影されたX線画像データフォーマットの第1の投影画像、及びステップ117において撮影された第2の投影画像が、更なる処理のためにX線画像データファイル内に保存される。ステップ107において撮影された第1の投影画像はまた、ステップ107の後いつでもX線画像データファイル内に保存することができる。有利には、1組の投影画像がX線画像データファイル内に保存される。X線画像データファイル内に保存された1組の投影画像から、撮像被写体の3次元X線画像が、例えば当該技術分野において既知の方法でコンピューターによって再構成される。第1の撮像被写体及び第2の撮像被写体の位置データは、上記のように、例えばそれらの撮像被写体間の距離として、又は基準位置データに対するそれらの撮像被写体の距離及び角度として互いに制約されるので、第1の投影画像及び第2の投影画像は、別個のX線画像データファイル又は共通X線画像データファイルに登録されるとき、同じ3次元座標内に保存される。有利には、第1の撮像被写体及び第2の撮像被写体は1つの撮像イベント中に撮像され、それによって第1の投影画像及び第2の投影画像はともに共通座標内にある。
【0060】
X線画像データファイル内に保存された各3次元画像は、1組の断面画像として更に処理することができる。自由に選択された断面に関して、3次元画像、例えば円柱から断面画像が求められる。撮像被写体の3次元X線画像データが1つのX線画像データファイル又は共通座標を有する2つの単一のX線画像データファイルとして表されるとき、第1の撮像被写体と第2の撮像被写体との間での測定、例えば基準平面/線からの角度若しくは距離の測定、又は撮像被写体間の距離の測定を実行することが可能である。第1の撮像被写体及び第2の撮像被写体の形成される3次元X線画像データは、共通の座標を有するように2つのX線画像データファイルとして表すこともでき、それによって、互いに等価な第1の撮像被写体及び第2の撮像被写体の断面画像を同時に示し、それと同時に、3次元座標においてX線画像データファイル間の測定を実行することが可能である。各X線画像データファイルは幾つかの断面画像からなり、それによって、互いに対応する第1の撮像被写体及び第2の撮像被写体の断面画像を所望のように検査することができ、対応する断面画像間で測定を行うことができる。第1の撮像被写体及び第2の撮像被写体のコンピューター断層撮影画像がX線画像データファイル内の基準位置データと同じ座標内にあるとき、第1の撮像被写体及び第2の撮像被写体は、自由に選択された切断面によって求められた断面画像によって検査することができる。
【0061】
図2は、例として、顎域202内にある左顎関節211を、X線生成デバイス206とX線検出デバイス208との間に位置する撮像エリア210に対し位置決めすることを示している。撮像するとき、X線生成デバイス206は有利には、撮像エリア210内の左顎関節211に向けてビーム204を発し、それによって、X線検出デバイス208は、左顎関節211を貫通したX線ビーム204を受け取る。撮像するとき、所望の形状の撮像エリア210の画像をX線検出デバイス208からメモリに保存することができるように、X線生成デバイス206及びX線検出デバイス208の動きが同期される。有利には、X線生成デバイス206及びX線検出デバイス208は、撮像エリア210の中心を通る回転軸の回りを、互いに同期した円軌道220上で回転する。有利には、X線生成デバイス206及びX線検出デバイス208は、支持アームの対向する端部又は支持アームの一部分に取り付けられ、支持アーム又は支持アームの一部分は、撮像装置のフレームに移動可能に取り付けられ、その回転軸の回りを回転する。例えば、180度〜360度にわたって回転するとき、種々の方向から撮影された投影画像からなる左顎関節211の画像データが撮影される。所望の数の投影画像が撮影されると、コンピューターによって、左顎関節211の3次元画像が投影画像から再構成される。
図2において、撮像エリア210の中心は、互いに対して垂直な直線234、236、237の交点によって示される。(紙面に対して垂直な)直線237は同時に上記回転軸を表す。左顎関節211が撮像エリア210内に位置決めされているとき、直線234、236、237の交点は、撮像エリア210内の左顎関節211の位置データを示す。この場合には、左顎関節211の位置データは回転軸(直線237)につり合うようにされる。左顎関節211が撮像される、撮像される撮像エリア210の直径について、直線234、236、237の交点の回りの所望のエリアが選択される。撮像エリア210内の左顎関節211は、例えば撮像エリア210の中心を示すインジケーター手段214a、216a、218aによって示すことができる。インジケーター手段は、1つ又は複数のインジケーター214a、216a、218a、例えばレーザーインジケーターを備え、これらのインジケーターは、直線234、236、237の交点を、有利にはそれらの方向において示す。インジケーター218aは(
図2の側方に示されているが)回転軸(直線237)の方向における撮像エリア210の中心を示す。撮像装置は、1つ又は複数のインジケーター214b、216b、218bから形成された少なくとも第2のインジケーター手段を備えることもでき、第2のインジケーターは、所望に応じて、撮像被写体以外の被写体内の何らかの他の点、例えば直線232、238、239の交点における被写体の基準点(例えば顎域の対称面内の点)を示すことができる。(
図2の側方に描かれているが紙面に対し垂直な)直線239は、上記回転軸と平行である。
【0062】
図2において、顎域の基準位置データは、直線232、238、239によって形成された交点を通る平面又は線を示し、それらの平面又は線の異なる側に、顎域202に属する左顎関節211及び右顎関節213が対称的に位置する。上記ステップ109の説明に関連して、左顎関節211及び対称面/対称線の互いに対する位置、並びに左顎関節211の位置及び/又は対称面/対称線の位置に対する右顎関節213の位置を求める様々な方法が示された。例えば、直線232、238、239によって形成された交点を通る対称面が基準位置データとして用いられるとき、
図2において、距離aは左顎関節211と対称面との間の距離を表し、距離bは左顎関節211と右顎関節213との間の距離を表し、それによって、右顎関節213の位置データは、上記のデータに基づいて求めることができる。例えば、距離bを基準位置データとして用いることができる。例えば、直線232、238、239によって形成された交点を通る対称線が基準位置データとして用いられるとき、
図2において、距離a及びcと、直線238及び243間の角度wとによって、対称線に対する左関節211の位置を求めることができ、それによって、右顎関節213の位置データを上記のデータに基づいて求めることができる。一実施形態によれば、撮像される被写体、例えば患者の頭部は、その頭部を静止させておくために、所望のように、又は例えば基準位置データによって求められた点において、例えば顎の中央において、被写体位置決め手段、例えば顎支持体によって支持される。
【0063】
一実施形態によれば、
図3は、
図2に示した左顎関節211の撮像に加えて、右顎関節213を撮像することを望むとき、位置210から位置210’に撮像エリアを自動的に調整することを示している。このとき、撮像エリア210’内の右顎関節213の位置決めは、撮像エリア210内の左顎関節211の以前の位置決め、及び上記したように右顎関節213の位置データを求めることに基づく。一例によれば、顎域202は、撮像される顎関節が撮像中、可能な限り正確に静止し続けるために、所望の点又は対称面/対称線の点において、例えば顎支持体又は他の被写体位置決め手段によって支持される。
図3によれば、位置210から位置210’への撮像エリアの変位及び/又は回転は、右顎関節213の位置データに基づいて、例えば
図2に示される距離a、b、及び/又はc、及び/又は角度wに基づいて求められる。撮像エリア210’内の右顎関節213を撮像するとき、X線生成デバイス206’及びX線検出デバイス208’は、撮像エリア210’の中心を通る回転軸の回りを、互いに同期した円軌道220’上で回転する。撮像するとき、X線生成デバイス206’は有利には、撮像エリア210’内の右顎関節213に向けてビーム204’を発し、それによってX線検出デバイス208’は右顎関節213を貫通したX線ビーム204’を受け取る。例えば、180度〜360度の円軌道220’上を回転しているとき、右顎関節213の画像データが撮像され、この画像データは種々の方向から撮影された投影画像からなる。所望の数の投影画像が撮影されると、コンピューターによって、投影画像から右顎関節213の3次元画像が再構築される。左顎関節211及び右顎関節213の撮影された投影画像はX線画像データファイル内に保存され、上述したように(ステップ119)、更なる処理のためにコンピューターによって投影画像から3次元画像が構築される。
【0064】
代替的に、別の実施形態によれば、位置210から位置210’に撮像エリアを自動的に調整することは、動的コリメーターによって構成することができ、それによって、X線生成デバイス206とX線検出デバイス208とを互いに接続する支持アームの回転中心は、撮像装置のフレームに対して静止したままであり、その回転軸の回りを回転する。代替的に、撮像エリア210、210’は、少なくとも1つの動的コリメーターにより制限することによって、並びにX線生成デバイス206及びX線検出デバイス208により形成される回転中心を撮像エリア210、210’の調整中及び撮像中に動かすことによって、撮像エリアが焦点を合わせられる、組み合わせの解決策を用いて調整することができる。このとき、回転中心は、或る移動距離であるが、撮像被写体の距離全体bよりも短い移動距離にわたって左顎関節211と右顎関節213との間を移動する。有利には、第1の顎関節211及び第2の顎関節213は1つの撮像イベント中に撮像される。
【0065】
図4は、本発明によるデバイス400、例えば制御ユニット又は制御デバイスを示しており、このデバイスによって、制限エリアコンピューター断層撮像を制御することが可能である。デバイス400は、有利には撮像装置に統合されるか又は他の形で接続される。デバイス400は、ユーザー及び/又はソフトウェアによって規定されたコマンドを実行し、それらに関連するデータを処理するための1つ若しくは複数のプロセッサ410又は等価なプログラム可能なコントローラー回路を備える。デバイス400は、データ、例えばコマンド及び他の情報を保存及び記憶するための1つ又は複数の外部メモリ及び/又は内部メモリ420を備える。デバイス400は、例えば制御パネルにおいて、デバイス400に対しコマンド、データ、及び他の情報を入力するための、及び/又はそれらをデバイス400から受け取るためのI/O手段430、例えばキーボード、ポインター、インジケーター、又は他のユーザー入力インターフェースと、コマンド、データ、及び他の情報をユーザーに表示するためのディスプレイ440とを備える。デバイス400は、例えば、メモリ420内に撮像装置を制御するための1つ又は複数の制御ソフトウェア450を備える。制御ソフトウェア450は、部分的に又は完全にファームウェアタイプのデバイスソフトウェアとすることもできる。さらに、デバイス400は、第1の撮像被写体の位置データを求める手段460と、基準位置データを求める手段470と、第2の撮像被写体の位置データを求める手段480と、第1の撮像被写体及び/又は第2の撮像被写体の位置データに従って撮像エリアを調整するための制御パラメーターを求める手段490とを備える。上記手段460、470、480、490は、プロセッサ410及びメモリ420とともに動作し、少なくとも手段490は、さらに制御ソフトウェア450とともに動作する。有利には、手段460及び手段470は、I/O手段430、例えば
図2に示すインジケーター手段214a、216a、218a及び/又はインジケーター手段214b、216b、218bを介して位置に関する情報を受け取る。一代替形態によれば、手段460及び手段470は、メモリ420から位置に関連する情報を受け取る。メモリ420には、例えば以前に実行された撮像に基づいて、同じ撮像被写体の位置に関する以前に保存された情報がある。一代替形態によれば、手段470は、撮像装置と接続されたカメラ(図示せず)又はそのメモリから基準位置データに関する情報を受け取る。メモリには特定の距離にある撮像被写体の撮影された画像が存在し、そこから、基準位置データに関する情報、例えば患者の頭部等の被写体の撮影された画像から測定された寸法データを測定することが可能である。デバイス400のメモリ420は、例えばX線画像データの記憶及び/又は処理に関するソフトウェアを備えることもできる。
【0066】
制御ソフトウェア450は、プロセッサ410とともに、本発明の一実施形態による方法を、デバイス400、例えば制御デバイス又は制御ユニットにおいて実行することができるようにする。
【0067】
本発明の一実施形態によれば、デバイス400は、第1の撮像被写体の位置データを求め、第1の撮像被写体に関する基準位置データを求め、撮像される第1の被写体の位置データと、上記基準位置データとに基づいて、第2の撮像被写体を撮像するために撮像エリアを調整するように構成される。一例によれば、デバイス460は、第1の撮像被写体が撮像エリア内に位置決めされるとき、第1の撮像被写体の位置データを求めるように構成され、手段470は、第1の撮像被写体に関する基準位置データを求めるように構成され、手段480は、第1の撮像被写体の位置データと上記基準位置データとに基づいて第2の撮像被写体の位置データを求めるように構成され、手段490は、第2の撮像被写体の位置データに基づいて、撮像エリアを調整する制御パラメーターを求めるように構成される。手段490は、第1の撮像被写体の位置データと上記基準位置データとに基づいて、第2の撮像被写体を撮像するために、例えばプロセッサ410及び/又はメモリ420及び/又は手段460、470、480のうちの少なくとも1つによって撮像エリアを調整するように構成された制御ソフトウェア450に制御パラメーターを提供し、それによって、第1の撮像被写体及び第2の撮像被写体は、基準位置データによって求められた互いからの距離に、又は基準位置データに対して対称的に配置される。第2の撮像被写体の位置データに従って撮像エリアを調整する手段490は、例えば撮像装置のフレームに対してX線生成デバイス206及びX線検出デバイス208を互いに接続する支持アームの回転中心を動かすための制御パラメーターを求めることを含む。手段490は代替的に、例えば、X線生成デバイス206及びX線検出デバイス208を互いに接続する支持アームの回転中心に対し、その回転中心が撮像装置のフレームに対して静止したままであるようにコリメーターを動かすためのモーターのための制御パラメーターを求めることを含むことができる。手段490は代替的に、例えば、X線生成デバイス206及びX線検出デバイス208を互いに接続する支持アームの回転中心に対し、その回転中心が撮像装置のフレームに対して静止したままであるように被写体位置決め手段を動かすためのモーターのための制御パラメーターを求めることを含むことができる。有利には、第1の撮像被写体及び第2の撮像被写体は、1つの撮像イベント中に撮像される。
【0068】
本発明の一実施形態によれば、デバイス400は、第1の撮像被写体及び第2の撮像被写体が撮像イベント全体にわたって静止しているように、基準位置データに対して撮像エリアを調整するように構成される。有利には、被写体は第1の撮像被写体及び第2の撮像被写体、例えば顎域202に属する左顎関節211、右顎関節213を含み、それによって被写体、例えば顎域202は、例えば基準位置データによって求められた平面/線の点、例えば直線232、238、239によって形成された交点を通る対称線の点において静止するように支持される。
【0069】
本発明の別の実施形態によれば、デバイス400は、まず第1の撮像被写体が撮像エリア内にあり、次に第2の撮像被写体が撮像エリア内に移動するように、基準位置データに対して撮像エリアを調整するように構成することができる。このとき、X線生成デバイス206及びX線検出デバイス208を互いに接続する支持アームの回転中心は、撮像装置のフレームに対して静止し、撮像状況においてその回転軸の回りを回転する。有利には、第1の撮像被写体及び第2の撮像被写体は1つの撮像イベント中に撮像される。
【0070】
本発明の一実施形態によれば、デバイス400は、少なくとも1つの動的コリメーターにより制限することによって、並びにX線生成デバイス及びX線検出デバイスにより形成される回転中心を撮像エリアの調整中及び撮像イベント中に動かすことによって、撮像エリアに焦点を合わせるように構成することができる。このとき、回転中心は、或る移動距離であるが、撮像被写体の距離全体よりも短い移動距離にわたって撮像被写体間を移動する。
【0071】
本発明の一実施形態によれば、デバイス400は、第2の撮像被写体が、基準位置データを示す被写体の対称面、対称軸、又は中央線の反対側に、第1の撮像被写体に対し対称的に位置決めされるように、基準位置データに対して撮像エリアを調整するように構成される。
【0072】
本発明の一実施形態によれば、デバイス400は、基準位置データに対する撮像エリアの距離及び方向が、第1の撮像被写体の位置に基づいて評価又は測定され、基準位置データに対する第2の撮像被写体の位置データが、第1の撮像被写体の距離及び方向の投影として求められるように、撮像エリアを基準位置データに対して調整するように構成される。
【0073】
本発明の一実施形態によれば、デバイス400は、例えばI/O手段430によって、第1の撮像被写体又は第1の撮像被写体から特定の距離に配置された被写体を示すインジケーション、例えば光若しくはレーザーによるインジケーション又は他のポインターを受け取ることによって、基準位置データに対する第1の撮像被写体の位置データを求めるように構成され、それによって、幾つかのインジケーター手段214a、216a、218aによって、第1の撮像被写体若しくは第1の撮像被写体から特定の距離に配置された被写体を示すこと、及び/又は幾つかのインジケーター手段214b、216b、218bによって基準位置データを示すことにより、インジケーションが提供される。
【0074】
本発明の一実施形態によれば、デバイス400は、例えばメモリ420及び/又はI/O手段430から、以前に撮像された第1の撮像被写体及び基準位置に関するデータを受け取るように構成され、これに基づいて、デバイス400は基準位置データに対する第1の撮像被写体の位置データを求める。
【0075】
本発明の一実施形態によれば、デバイス400は、第1の撮像被写体及び第2の撮像被写体のコンピューター断層撮影画像を、該画像自身の単一のX線画像データファイルとして、又は1つのX線画像データファイルとして表示するように構成されたディスプレイ440を備え、それによって双方の撮像被写体が基準位置データにつり合うようにされる。
【0076】
本発明の一実施形態によれば、デバイス400は、第1の撮像被写体及び第2の撮像被写体のコンピューター断層撮影画像を、該画像自身の単一のX線画像データファイルとして、又は1つのX線画像データファイルとして保存及び記憶するように構成されたメモリ420を備え、それによって、双方の撮像被写体が基準位置データにつり合うようにされる。メモリ420は、X線画像データを処理するために、例えばプロセッサ410を用いて、幾つかの投影画像及び幾つかの投影画像からなるX線画像データファイルを処理するように構成された1つ又は複数の画像処理ソフトウェアを備えることができる。X線画像データを処理するための1つ又は複数の画像処理ソフトウェアを備える外部コンピューター又は内部コンピューターは、有利には、メモリ420内に記憶された投影画像からなるX線画像データファイルを受け取り、それらから3次元X線画像を再構成する。互いに対応する第1の撮像被写体及び第2の撮像被写体の3次元画像、並びにそれらから形成された断面画像を、コンピューターによって所望のように検査することができ、測定が対応する3次元画像間で実行されることができる。測定は、互いに対応する断面画像を用いて行うこともできる。X線画像データファイルは投影画像からなり、これらの投影画像から、メモリ420内に記憶された画像処理ソフトウェア及び/又は画像処理を目的としたコンピュータメモリ内に記憶された画像処理ソフトウェアは、例えばディスプレイ440上に表示するために、例えば3次元X線画像を再構成するように構成される。画像処理ソフトウェアは、例えばプロセッサ410及び/又はメモリ420によって、X線画像データファイルにより、第1の撮像被写体と第2の撮像被写体との間の測定を実行するように構成される。X線画像データファイル間の測定は、互いに等価な第1の撮像被写体及び第2の撮像被写体の3次元画像及び/又は断面画像が検査されるのと同時に実行されることができる。
【0077】
有利な実施形態によれば、各X線画像データファイルは幾つかの断面画像からなり、これによって、X線画像データファイルにおいて、第1の撮像被写体及び第2の撮像被写体のコンピューター断層撮影画像は基準位置データと同じ座標内にあり、それによって第1の撮像被写体及び第2の撮像被写体を、断面レベル(section level)により求められた自由に選択された断面画像によって検査することができる。
【0078】
図5は、本発明によるシステム500を示しており、このシステム500によって、制限エリアコンピューター断層撮像を制御することが可能である。システム500は、例えばプロセッサ又はマイクロコントローラーと、メモリと、I/O手段、例えば制御パネルと、ディスプレイとを含む上記のタイプの制御デバイス520を備える。制御デバイス520は、制御ソフトウェアと、第1の撮像被写体の位置データを求める手段と、基準位置データを求める手段と、第2の撮像被写体の位置データを求める手段と、第2の撮像被写体の位置データに従って撮像エリアを調整するための制御パラメーターを求める手段とを更に備える。例えばプロセッサ又はマイクロコンピューターを含む、制御ソフトウェアが記憶される制御デバイス520は、有利には撮像装置510に統合される。さらに、システム500は、有線又は無線で制御デバイス520とデータ通信する撮像装置510を備える。撮像装置510は、支持アームの対向する端部又は支持アームの一部分に取り付けられたX線生成デバイス206及びX線検出デバイス208を備える。支持アーム又は支持アームの一部分は、撮像装置のフレームに移動可能に取り付けられ、その回転軸の回りを回転する。有利には、撮像装置510は被写体位置決め手段を備え、この被写体位置決め手段は、第1の撮像被写体及び第2の撮像被写体を含む撮像される被写体を、所望の点において、又は例えば第1の撮像被写体が撮像エリア内にある位置に対する基準位置データの点において支持することができるように、撮像装置のフレームに調整可能に取り付けられる。有利には、被写体は第1の撮像被写体及び第2の撮像被写体、例えば顎域202に属する左顎関節211及び右顎関節213を含み、そのため、被写体位置決め手段として動作する顎支持体が、適切な点において、例えば基準位置データによって求められた平面/線の点において顎域202を支持するように構成される。被写体位置決め手段は、患者の頭部を異なる側で支持するように調整可能な少なくとも2つの支持要素を備えることもできる。それによって、患者の頭蓋骨幅は、「ヘッドギア」に関連して上述したように測定することができる。有利には、撮像装置510は、撮像装置510に取り付けられたインジケーター手段214a、216a、218a及び/又はインジケーター手段214b、216b、218bを備え、それらのインジケーター手段によって示されるもの(インジケーション)は、例えば、撮像装置510のフレームに、並びに/又はX線生成デバイス206及びX線検出デバイス208を接続する回転支持アームの回転軸につり合うようにされる。さらに、システム500は、例えばX線画像データを処理し、3次元画像を上述したように再構成するための画像処理ユニット530を備えることができる。
【0079】
有利には、撮像装置510は、撮像エリア210内で第1の撮像被写体211の回りを回転するX線生成デバイス206及びX線検出デバイス208を備え、それによって、第1の撮像被写体211の所望の投影画像が、例えば180度〜360度の各周期で撮影される。制御デバイス520は、手段460によって求められた第1の撮像被写体211の位置データに基づいて、上述したように手段470によって基準位置データを求め、その後、手段480によって第2の撮像被写体213の位置データを求める。制御デバイス520は、上述したように手段490によって撮像装置510の制御パラメーターを求め、それによって、制御デバイス520は、X線生成デバイス206及びX線検出デバイス208が撮像エリア210’内で第2の撮像被写体213の回りを回転するようにX線生成デバイス206及びX線検出デバイス208の位置を調整し、それによって、第2の撮像被写体211の所望の投影画像が、例えば180度〜360度の各周期で撮影される。代替的に、制御デバイス520は、X線生成デバイス206及びX線検出デバイス208が撮像エリア210’内で第2の撮像被写体213の回りを回転するように、X線を制限するコリメーターの位置を調整し、それによって、第2の撮像被写体211の所望の投影画像が撮影される。有利には、第1の撮像被写体211及び第2の撮像被写体213は、撮像される被写体の単一の位置決めにおいて撮像される。有利には、第1の撮像被写体211及び第2の撮像被写体213は、1つの撮像イベント中に連続して撮像される。第1の撮像被写体211及び第2の撮像被写体213が撮像されるとき、撮像される被写体は、例えば撮像装置510内の被写体位置決め手段によって静止している。代替的に、撮像される被写体は、第1の撮像被写体211、次に第2の撮像被写体213が撮像エリア内に入るように移動する。撮像される被写体は、被写体位置決め手段によって移動させることができる。
【0080】
本発明の一実施形態によれば、システム500は、第1の撮像被写体の位置データを求め、第1の撮像被写体に関連する基準位置データを求め、撮像される第1の被写体の位置データと上記基準位置データとに基づいて、第2の撮像被写体を撮像するために撮像エリアを調整するように構成され、それによって、第1の撮像被写体及び第2の撮像被写体は、互いから基準位置データによって求められた距離に配置されるか、又は基準位置データに対して対称的に配置される。
【0081】
本発明の一実施形態によれば、コンピュータープログラム(制御ソフトウェア)がデバイス400、例えば制御デバイス520、例えばプロセッサ又はマイクロコントローラーにおいて実行されているとき、制限エリアコンピューター断層撮像を制御するためのコンピュータープログラムが、
図1に示された方法のステップ105、109、111、113、115、及び119の少なくとも一部を実行するように構成される。
【0082】
本発明の一実施形態によれば、コンピュータープログラムは、第1の撮像被写体の位置データを求め、第1の撮像被写体に関連する基準位置データを求め、撮像される第1の被写体の位置データと上記基準位置データとに基づいて、第2の撮像被写体を撮像するために撮像エリアを調整するように構成されたコード手段を備え、それによって、第1の撮像被写体及び第2の撮像被写体は、互いから基準位置データによって求められた距離に配置されるか、又は基準位置データに対して対称的に配置される。
【0083】
本発明の一実施形態によれば、コンピュータープログラムは、第1の撮像被写体及び第2の撮像被写体が撮像全体にわたって静止しているように、基準位置データに対して撮像エリアを調整するように構成されたコード手段を備える。
【0084】
本発明の一実施形態によれば、コンピュータープログラムは、第2の撮像被写体が、基準位置データを記述する被写体の対称面、対称軸、又は中心線の反対側に、第1の撮像被写体に対して対称的に配置されるように、基準位置データに対して撮像エリアを調整するように構成されたコード手段を備える。
【0085】
本発明の一実施形態によれば、コンピュータープログラムは、第1の撮像被写体の位置データに基づいて、基準位置データに対する第1の撮像被写体の距離及び方向を評価又は測定し、基準位置データに対する第2の撮像被写体の位置データを第1の撮像被写体の距離及び方向の投影として求めるように、基準位置データに対して撮像エリアを調整するように構成されたコード手段を備える。
【0086】
本発明の一実施形態によれば、コンピュータープログラムは、第1の撮像被写体又は第1の撮像被写体から特定の距離に配置された被写体を示すインジケーションを受け取ることによって、基準位置データに対する第1の撮像被写体の位置データを求めるように構成されたコード手段を備える。
【0087】
本発明の一実施形態によれば、コンピュータープログラムは、以前に撮像された第1の撮像被写体及び基準位置のデータを受け取ることによって、基準位置データに対する第1の撮像被写体の位置データを求めるように構成されたコード手段を備える。
【0088】
本発明の一実施形態によれば、コンピュータープログラムは、第1の撮像被写体及び第2の撮像被写体のコンピューター断層撮影画像を、該画像自身の単一のX線画像データファイル又は1つのX線画像データファイルとして表示するように構成されたコード手段を備え、それによって双方の撮像被写体が基準位置データにつり合うようにされる。
【0089】
本発明の一実施形態によれば、コンピュータープログラムは、第1の撮像被写体及び第2の撮像被写体のコンピューター断層撮影画像を、該画像自身の単一のX線画像データファイル又は1つのX線画像データファイルとして記憶するように構成されたコード手段を備え、それによって、双方の撮像被写体は基準位置データにつり合うようにされる。有利には、各X線画像データファイルは幾つかの断面画像からなり、それによって互いに対応する第1の撮像被写体及び第2の撮像被写体の断面画像を所望のように検査することができ、対応する断面画像間で測定を実行することができる。有利には、コンピュータープログラムは、X線画像データファイルから構築された第1の撮像被写体及び第2の撮像被写体の3次元画像によって第1の撮像被写体と第2の撮像被写体との間の測定を実行するように構成されたコード手段を備える。有利には、各X線画像データファイルは幾つかの断面画像からなり、それによって、X線画像データファイルにおいて、第1の撮像被写体及び第2の撮像被写体のコンピューター断層撮影画像は基準位置データと同じ座標内にあり、それによって、第1の撮像被写体及び第2の撮像被写体を、断面レベルによって求められた自由に選択された断面画像によって検査することができる。
【0090】
上記では本発明による構成の幾つかの実施形態のみを説明した。当然ながら、本発明の原理は、特許請求の範囲によって規定された範囲内で、例えば実施態様の詳細の一部及び利用分野にわたって変更することができる。