(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
環状に形成され、かつ、内周面から上面の径方向の中途部の範囲に環状の第1の凹み部が形成された第1の下壁部、前記上面に設けられた第1の支持部、及び環状に形成され、前記第1の支持部に支持された第1の上壁部を具備する外フレームと、
前記第1の凹み部に載置され、前記第1の凹み部の内周面との間に第1の隙間を有し、前記第1の凹み部の上面に溶接により固定された環状の第2の下壁部、前記第2の下壁部の上面に設けられた第2の支持部、前記第2の支持部に支持されて前記第1の上壁部の内側に配置された環状の第2の上壁部を具備する内フレームと、
前記第1の隙間に配置され、前記第1の凹み部の前記内周面及び前記第2の下壁部に接触する第1のスペーサと、
を具備する固定子。
環状に形成され、かつ、内周面から上面の径方向の中途部の範囲に環状の第1の凹み部が形成された第1の下壁部、前記上面に設けられた第1の支持部、及び環状に形成され、前記第1の支持部に支持された第1の上壁部を具備する外フレームと、前記第1の凹み部に載置され、前記第1の凹み部の内周面との間に第1の隙間を有し、前記第1の凹み部の上面に溶接により固定された環状の第2の下壁部、前記第2の下壁部の上面に設けられた第2の支持部、前記第2の支持部に支持されて前記第1の上壁部の内側に配置された環状の第2の上壁部を具備する内フレームと、前記第1の隙間に配置され、前記第1の凹み部の前記内周面及び前記第2の下壁部に接触する第1のスペーサと、前記内フレームに固定される固定子鉄心と、前記固定子鉄心に固定される固定子巻線と、を具備し、前記内フレーム、前記固定子鉄心、及び、前記固定子巻線の一体物は絶縁材料が含浸された固定子と、
前記固定子の内側に、前記固定子の軸心と同軸となる位置に配置された回転子と、
を具備する回転電機。
環状に形成され、かつ、内周面から上面の径方向の中途部の範囲に環状の第1の凹み部が形成された第1の下壁部、前記上面に設けられた第1の支持部、及び環状に形成され、前記第1の支持部に支持された第1の上壁部を具備する外フレームを設置場所に固定し、
環状の第2の下壁部、前記第2の下壁部の上面に設けられた第2の支持部、前記第2の支持部に支持されて前記第1の上壁部の内側に配置された環状の第2の上壁部を具備し、絶縁材料が含浸された固定子鉄心、固定子巻線、及び内フレームの一体物を、前記第1の上壁部の内側を通して前記外フレーム内に挿入し、
前記第2の下壁部を、上方から前記第1の凹み部に載置し、
前記内フレームを、前記外フレームと同軸となるよう位置を調整し、
前記第1の凹み部の内周面と前記第2の下壁部の外周面との間の第1の隙間に第1のスペーサを設置して前記内フレームを前記外フレームに径方向に固定し、
前記第1の凹み部の上面と前記第2の下壁部の下面とを溶接する
固定子の組み立て方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した、外フレーム及び内フレームを有する固定子には、以下の問題があった。即ち、内フレームの上壁部及び下壁部に付着した絶縁材料を完全に除去することは難しく、残った絶縁材料により内フレームを外フレーム内に挿入しにくくなる為、固定子の組立作業の作業性が悪いという問題がある。
【0007】
この問題を解決する為に、内フレームの上壁部と外フレームの上壁部との間の隙間を大きくし、内フレームの下壁部と外フレームの下壁部との間の隙間を大きくすることも考えられるが、隙間を大きくすることにより、内フレームを外フレームに溶接する際に内フレームの位置がずれる虞がある。
【0008】
そこで本発明は、内フレームの位置ずれを防止しつつ、組立作業の作業性を向上することが可能な固定子、及びこの固定子を有する回転電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明の固定子及び回転電機は、次のように構成されている。
本発明の一態様として、固定子は、環状に形成され、かつ、内周面から上面の径方向の中途部の範囲に環状の第1の凹み部が形成された第1の下壁部、前記上面に設けられた第1の支持部、及び環状に形成され、前記第1の支持部に支持された第1の上壁部を具備する外フレームと、前記第1の凹み部に載置され、前記第1の凹み部の内周面との間に第1の隙間を有
し、前記第1の凹み部の上面に固定された環状の第2の下壁部、前記第2の下壁部の上面に設けられた第2の支持部、前記第2の支持部に支持されて前記第1の上壁部の内側に配置された環状の第2の上壁部を具備する内フレームと、前記第1の隙間に配置され、
前記第1の凹み部の前記内周面及び前記第2の下壁部に接触する第1のスペーサと、を備える。
【0010】
本発明の一態様として、回転電機は、環状に形成され、かつ、内周面から上面の径方向の中途部の範囲に環状の第1の凹み部が形成された第1の下壁部、前記上面に設けられた第1の支持部、及び環状に形成され、前記第1の支持部に支持された第1の上壁部を具備する外フレームと、前記第1の凹み部に載置され、前記第1の凹み部の内周面との間に第1の隙間を有
し、前記第1の凹み部の上面に固定された環状の第2の下壁部、前記第2の下壁部の上面に設けられた第2の支持部、前記第2の支持部に支持されて前記第1の上壁部の内側に配置された環状の第2の上壁部を具備する内フレームと、前記第1の隙間に配置され、
前記第1の凹み部の前記内周面及び前記第2の下壁部に接触する第1のスペーサと、
前記内フレームに固定される固定子鉄心と、前記固定子鉄心に固定される固定子巻線と、を具備し、
前記内フレーム、前記固定子鉄心、及び、前記固定子巻線の一体物は絶縁材料が含浸された固定子と、前記固定子の内側に
、前記固定子の軸心と同軸となる位置に配置された回転子と、を備える。
【0011】
本発明の一態様として、固定子の組み立て方法は、環状に形成され、かつ、内周面から上面の径方向の中途部の範囲に環状の第1の凹み部が形成された第1の下壁部、前記上面に設けられた第1の支持部、及び環状に形成され、前記第1の支持部に支持された第1の上壁部を具備する外フレームを設置場所に固定し、
環状の第2の下壁部、前記第2の下壁部の上面に設けられた第2の支持部、前記第2の支持部に支持されて前記第1の上壁部の内側に配置された環状の第2の上壁部を具備
し、絶縁材料が含浸された固定子鉄心、固定子巻線、及び内フレーム
の一体物を、前記第1の上壁部の内側を通して前記外フレーム内に挿入し、前記第2の下壁部を、上方から前記第1の凹み部に載置し、前記内フレームを、前記外フレームと同軸となるよう位置を調整し、前記第1の凹み部の内周面と前記第2の下壁部の外周面との間の第1の隙間に第1のスペーサを設置して前記内フレームを前記外フレームに径方向に固定し、前記
第1の凹み部の上面と前記第2の下壁部の下面とを溶接する。
【発明の効果】
【0012】
内フレームの位置ずれを防止しつつ、組立作業の作業性を向上することが可能な固定子、この固定子を有する回転電機、及び固定子の組み立て方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態に係る発電機10を、
図1乃至
図6を用いて説明する。
図1は、発電機10の要部構成を示す断面図である。
図2は、発電機10の固定子20の要部を示す断面図である。
図3は、固定子20の要部を示す断面図である。
図3は、具体的には、第1の隙間S1及びその近傍を示している。
図4は、固定子20を示す平面図である。
図5は、固定子20の外フレーム構成部37の周方向一端を示す断面図。
図6は、固定子20の要部を示す平面図である。
図6は、具体的には、第1の隙間S1及びその近傍を示している。
【0015】
発電機10は、回転電機の一例である。発電機10は、
図1に示すように、例えば、固定子20及び回転子60の軸心が上下方向Vに平行な姿勢で配置され、水車により回転子60が回転される立形水車発電機である。上下方向Vは、重力が作用する方向を下方向として設定されている。発電機10は、この発電機10が設置される設置場所1に固定された固定子20、固定子20内に配置された回転子60、回転子60に固定された回転軸70、水力により駆動して回転軸70を回転する水車を有している。発電機10が設置される設置場所1には、中心線Cが設定されている。発電機10は、その製造過程で、固定子20の軸心が中心線Cと同軸となる位置に設置され、回転子60の軸線が中心線Cと同軸となる位置に設置される。中心線Cは、上下方向Vに平行である。
【0016】
固定子20は、
図2に示すように、下壁部21a及び上壁部21bを有するフレーム21、このフレーム21に固定された環状の固定子鉄心23、並びに、固定子鉄心23に固定された複数の固定子巻線24を有している。
【0017】
フレーム21は、具体的には、外縁からその径方向の中途部までの部分を構成する外フレーム30、径方向の中途部から内縁までの部分を構成する内フレーム40、並びに、外フレーム30及び内フレーム40の間に配置された複数の第1のスペーサ51及び複数の第2のスペーサ58を有している。
【0018】
外フレーム30は、下壁部21aの一部を構成する環状の第1の下壁部31、第1の下壁部31の上面31aに固定された複数の第1の支持部材33、及び複数の第1の支持部材33の上端に固定され、上壁部21bの一部を構成する環状の第1の上壁部34を有している。
【0019】
第1の下壁部31は、外フレーム30の下壁部を構成する。第1の下壁部31は、環状の板状に形成されている。第1の下壁部31は、その軸心が中心線Cと同軸となる設置場所1の位置に固定される。
図3に示すように、第1の下壁部31の上面31aには、内周面31bから径方向の中途部までの範囲に、断面矩形の環状の第1の凹み部35が形成されている。
【0020】
第1の凹み部35は、本実施形態では、上面31aの内周部に形成されている。第1の凹み部35の内周面35aは、第1の下壁部31の外径よりも小径である。第1の凹み部35の内径は、内周面35aの径である。第1の下壁部31は、例えば、一対の半環状に形成された第1の下壁部構成部材32が、後述する板部材38を介して固定されることにより、形成されている。
【0021】
複数の第1の支持部材33は、上面31aの第1の凹み部35より径方向外側の部分に、周方向に並んで固定されている。複数の第1の支持部材33は、軸方向に延びている。
【0022】
第1の上壁部34は、複数の第1の支持部材33の上端に固定されている。第1の上壁部34は、環状の板状に形成されている。第1の上壁部34は、複数の第1の支持部材33に固定されることにより、上壁部を構成する。第1の上壁部34は、第1の下壁部31と同軸に配置されている。第1の上壁部34は、例えば、一対の半環状に形成された第1の上壁部構成部材34aが、後述する板部材38を介して固定されることにより、形成されている。
【0023】
板部材38は、
図5に示すように、第1の上壁部構成部材34aの周方向の一端から第1の下壁部構成部材32の上面まで延びる板状に形成されており、第1の上壁部構成部材34aの周方向の一端、及び第1の支持部材33に固定されている。板部材38は、第1の凹み部35の径方向外側に配置されている。板部材38は、この板部材38を貫通する孔39が複数形成されている。孔39は、ボルトを配置可能に形成されている。一対の外フレーム構成部37は、孔39内に配置されたボルト、及びこのボルトに螺合するナットによって締結され、固定される。
【0024】
このように、第1の下壁部構成部材32及び第1の上壁部構成部材34aを有する一体物により、外フレーム構成部37が形成される。外フレーム30は、一対の外フレーム構成部37が、互いに対向して接触する一対の板部材38の孔39にボルトを通してこのボルトにより固定されることにより構成される。このとき、一対の第1の下壁部構成部材32の周方向端面は、互いに当接される。なお、本実施形態では、第1の下壁部31は、一対の第1の下壁部構成部材32が板部材38を介して接続されることにより、環状に形成されている。しかしながら、第1の下壁部31は、一対の第1の下壁部構成部材32のように複数の部材を組み合わせることにより構成されることに限定されない。他の例では、第1の下壁部31は、1つの環状の部材から形成されてもよい。第1の上壁部34は、一対の第1の上壁部構成部材34aが板部材38を介して接続されることにより、環状に形成されている。しかしながら、第1の上壁部34は、一対の第1の上壁部構成部材34a及び板部材38のように複数の部材を組み合わせることにより構成されることに限定されない。他の例では、第1の上壁部34は、1つの環状の部材から形成されてもよい。
【0025】
内フレーム40は、
図2に示すように、下壁部21aの一部を構成する環状の第2の下壁部41、第2の下壁部41の上面42に固定された複数の第2の支持部材43、及び第2の支持部材43の上端に固定され、上壁部21bの一部を構成する環状の第2の上壁部44を有している。
【0026】
第2の下壁部41は、内フレーム40の下側端壁部を構成する。第2の下壁部41は、例えば第1の下壁部31よりも厚い、環状の板状に形成されている。なお、第2の下壁部41の厚みは、第1の下壁部31の厚みよりも厚いことに限定されない。第2の下壁部41は、その軸心を中心線Cと同軸に配置している。
図3に示すように、第2の下壁部41の外径は、第1の下壁部31の内径より大きく、第1の凹み部35の内径よりも小さい。第2の下壁部41及び第1の下壁部31は、第2の下壁部41の外周面41aと内周面35aとの間に、第1のスペーサ51を配置可能な第1の隙間S1を有する。
【0027】
第2の下壁部41の外径及び第1の凹み部35の内径は、第2の下壁部41を第1の凹み部35上に載置するときに、内フレーム40に付着した後述する絶縁材料が、第1の凹み部35の内周面35aと上面31aの第1の凹み部35より径方向外側の部分との間の稜部に干渉することがない径に設定されている。
【0028】
第2の下壁部41の外周面41aから第2の下壁部41の下面45の径方向の中途部までの範囲に、第1の凹み部35の上面36の一部に載置される、断面矩形の第2の凹み部46が形成されている。第2の凹み部46は、第2の下壁部41と同軸に形成されている。第2の凹み部46は、例えば、下面45の外周部に形成されている。第2の凹み部46の外周面46aの外径は、第1の下壁部31の内径よりも小さい。第2の凹み部46の外径は、外周面46aの径である。
【0029】
第2の凹み部46の外周面46aは、第1の下壁部31の内周面31bとの間に隙間S3を有する。外周面46aは、外周面41aよりも小径である。第2の凹み部46の外径及び第1の下壁部31の内径は、第2の下壁部41を第1の凹み部35上に載置する際に、第2の下壁部41に付着した後述する絶縁材料が、第1の凹み部35の上面36と第1の下壁部31の内周面31bとの間の稜部に干渉しない径に設定されている。下面47は、第1の凹み部35の上面36に、溶接により固定される。
【0030】
第2の支持部材43は、
図2に示すように、軸方向に延びている。第2の支持部材43は、第2の上壁部44を第2の下壁部41に支持可能であり、さらに、固定子鉄心23が固定可能に形成されている。第2の支持部材43は、具体的には、第2の下壁部41の上面42に、周方向に等間隔離間して複数並んで固定されている。複数の第2の支持部材43の内側には、固定子鉄心23が配置される。すなわち、複数の第2の支持部材43の径方向内側端が、環状に形成された固定子鉄心23の外周面に当接することにより、固定子鉄心23が固定される。なお、第2の支持部材43に加えて、固定子鉄心23を固定可能な別の支持部が形成されてもよい。
【0031】
第2の上壁部44は、複数の第2の支持部材43の上端に固定されている。第2の上壁部44は、例えば第1の上壁部34よりも厚い、環状の板状に形成されている。なお、第2の上壁部44は、第1の上壁部34より厚いことに限定されない。第2の上壁部44は、複数の第2の支持部材43に固定されることにより、内フレーム40の上壁部を構成する。
【0032】
第2の上壁部44は、第2の下壁部41と同軸に配置されている。第2の上壁部44の外径は、第1の上壁部34の内径よりも小さい。第2の上壁部44の外周面44a、及び第1の上壁部34の内周面34bは、間に、第2のスペーサ58を配置可能な第2の隙間S2を有している。第1の上壁部34の内径及び第2の上壁部44の外径は、内フレーム40を外フレーム30に挿入する際に、内フレーム40に付着した絶縁材料が、第1の上壁部34の内周面34bと第1の上壁部34の上面34cとの間の稜部に干渉することがない径に設定されている。
【0033】
複数の第1のスペーサ51は、第1の隙間S1に配置される。複数の第1のスペーサ51は、周方向に離間して配置されている。複数の第1のスペーサ51は、
図6に示すように、例えば、直方体状のブロックである。複数の第1のスペーサ51は、第1の凹み部35の内周面35a及び第2の下壁部41の外周面41aに接触することにより、第2の下壁部41を、中心線Cと同軸となる位置に径方向に固定可能に形成されている
複数の第1のスペーサ51は、
図3及び
図6に示すように、底面52、上面56、設置されたときに内周面35aに対向する外面53、設置されたときに外周面41aに対向する内面54、並びに、外面53及び上面56に連続する一対の側面55を有している。複数の第1のスペーサ51は、底面52が第1の凹み部35の上面36に載置され、外面53及び側面55の間の稜部57が、第1の凹み部35の内周面35aに接触し、内面54が第2の下壁部41の外周面41aに接触する。
【0034】
複数の第2のスペーサ58は、
図2に示すように、第2の隙間S2に配置される。第2のスペーサ58は、第2の隙間S2に上方から差し込み可能に形成された楔である。複数の第2のスペーサ58が第2の隙間S2に差し込まれることにより、第2の上壁部44が第2のスペーサ58を介して第1の上壁部34の内側に嵌合するので、第1の上壁部34及び第2の上壁部44が固定される。
【0035】
第2のスペーサ58は、内周面34bに対向する曲面58a、及び外周面44aに接触する曲面58bを有している。第2のスペーサ58は、その断面形状が、曲面58a及び曲面58bの間の長さが先端に向かうにつれて小さくなる三角形状に形成されている。曲面58aは、内周面34bに沿う曲面に形成されている。曲面58aは、具体的には、曲面58bとの間の長さが最も長くなる一端の曲率半径が、内周面34bの曲率半径よりも大きく、曲面58bとの間の長さが最も小さい他端の曲率半径が、内周面34bの曲率半径も小さく形成されている。さらに、曲面58aは、曲面58bとの間の長さが最も小さい他端の曲率半径が、曲面58bの曲率半径と同じまたは若干大きい。なお、曲面58aの曲率中心は、第2のスペーサ58が第2の隙間S2内に設置されると、内周面34bの曲率中心と同軸となる。曲面58aの曲率半径は、上述の一端から他端にかけて、次第に小さくなる。このように形成された曲面58aは、内周面34b及び第1の上壁部34の上面34cの間の稜部に接触する。
【0036】
曲面58bは、外周面44aに沿う曲面に形成されている。曲面58bは、具体的には、外周面44aの曲率半径と同じまたは若干大きい曲率半径を有する。このように形成された曲面58bは、外周面44aに面接触する。なお、曲面58bの曲率中心は、曲面58aと同軸であり、第2のスペーサ58が第2の隙間S2内に設置されると、外周面44aと同軸となる。なお、第2のスペーサ58の曲面58a及び曲面58bは、上述のように形成されることに限定されない。他の例では、曲面58a及び曲面58bは、同じ曲率半径を有し、曲率中心を同軸とする曲面に形成されてもよい。この場合、曲面58a及び曲面58bの曲率半径は、外周面44aの径と同じまたは若干大きくてもよい。または、第2のスペーサ58は、内周面34bに対向する面、及び外周面44aに対向する面が、平面となる楔形状に形成されてもよい。
【0037】
固定子鉄心23は、内フレーム40の周方向に複数並ぶ第2の支持部材43の内側に配置され、これら複数の第2の支持部材43により固定される。固定子鉄心23は、例えば、扇形の鉄心板を複数積層されたものが一対の押え板により挟持された構造を有している。本実施形態では、この一対の押え板として、固定子鉄心23の上端を支持する押え板23a、及び固定子鉄心23の下端を支持する第2の下壁部41が用いられている。すなわち、第2の下壁部41は、押え板としても用いられる。固定子巻線24は、
図2に示すように、固定子鉄心23に固定される。固定子巻線24は、回転子60の回転により交流電流を発生可能に構成されている。
【0038】
回転子60は、
図1に示すように、その軸心が中心線Cと同軸に配置される。回転軸70は、回転子60と同軸に配置されている。回転軸70が回転することにより、回転子60が一体に回転する。
【0039】
このように構成された固定子20の設置場所への搬送の一例、及び固定子20の組み立て作業の一例を説明する。
固定子20は、外フレーム30から、内フレーム40、固定子鉄心23、及び固定子巻線24の一体物が分離した状態で、設置場所に搬送される。外フレーム30は、外フレーム構成部37が分離した状態で、設置場所1に搬送される。
【0040】
内フレーム40、固定子鉄心23、及び固定子巻線24は、工場で一体に組み付けられてワニス等の絶縁材料が含浸された後、搬送される。具体的には、固定子鉄心23に固定子巻線24が固定され、固定子鉄心23及び固定子巻線24の一体物が内フレーム40の第2の支持部材43間に固定される。そして、一体に組みつけられた、内フレーム40、固定子鉄心23、及び固定子巻線24に、ワニス等の絶縁材料が含浸される。含浸する手段の一例として、真空含浸が用いられる。含浸作業が完了すると、不要な絶縁材料を除去する除去作業が行われる。不要な絶縁材料は、例えば、固定子巻線24の絶縁に寄与しない絶縁材料、固定子巻線24及び固定子鉄心23の間に介在していない絶縁材料である。
【0041】
設置場所1では、一対の外フレーム構成部37がボルト及びナットにより締結されて外フレーム30が構成される。外フレーム30は、その軸心が設置場所の中心線Cと一致する位置に固定される。
【0042】
内フレーム40、固定子鉄心23、及び固定子巻線24の一体物は、例えば外フレーム30が設置場所1に固定された後に、外フレーム30に固定される。具体的には、内フレーム40は、外フレーム30の第1の上壁部34の内側を通して上方から挿入され、第1の下壁部31の第1の凹み部35上に載置される。
【0043】
内フレーム40の第2の下壁部41が第1の凹み部35の上面36上に載置されると、内フレーム40の軸心を設置場所1の中心線Cと同軸となるように、即ち、外フレーム30と同軸とするように、内フレーム40の位置を調整する。この調整が完了すると、複数の第1のスペーサ51を第1の隙間S1に設置する。具体的には、複数の第1のスペーサ51を、第1の凹み部35の内周面35a、第1の凹み部35の上面36、及び第2の下壁部41の外周面41aに接触させる。
【0044】
複数の第1のスペーサ51が上述のように設置されることにより、内フレーム40は、その軸心が中心線Cと同軸となる位置に、径方向に固定される。次に、第2のスペーサ58を第2の隙間S2に差し込む。第2の隙間S2に第2のスペーサ58が差し込まれることにより、内フレーム40は、その軸心が中心線Cと同軸となる位置に、径方向に外フレーム30に固定される。
【0045】
複数の第1のスペーサ51及び複数の第2のスペーサ58が設置され、内フレーム40が外フレーム30に径方向に固定されると、第2の下壁部41の第2の凹み部46の下面47を第1の下壁部31の第1の凹み部35の上面36に溶接により固定する。第2の下壁部41及び第1の下壁部31が固定されることにより、固定子20の組み立て作業が完了する。
【0046】
このように構成された発電機10は、第1の下壁部31の第1の凹み部35の内周面35a、及び第2の下壁部41の外周面41aの間に第1の隙間S1を有し、第1の上壁部34の内周面34b及び第2の上壁部44の外周面44aの間に第2の隙間S2を有することにより、外周面41a及び外周面44aに絶縁材料が付着していても、内フレーム40をスムーズに外フレーム30内に挿入できる。
【0047】
さらに、第1のスペーサ51及び第2のスペーサ58を設置することにより、第1の下壁部31及び第2の下壁部41を溶接する際に内フレーム40の位置がずれることを防止できる。これらのことから、発電機10は、内フレーム40の位置がずれることを防止しつつ、固定子20の組み立て作業の作業性を向上することができる。
【0048】
さらに、第2のスペーサ58が楔状に形成されることにより、第2のスペーサ58の取り付けは、第2のスペーサ58を第2の隙間S2内に差し込むだけよいので、固定子20の組み立て作業の作業性を向上することができる。
【0049】
なお、本実施形態では、第1のスペーサ51は、想定される第1の隙間S1の大きさに合わせてあらかじめ形成されているが、これに限定されない。第1のスペーサ51は、その大きさを調整できるように、想定される第1の隙間S1よりも大きく形成されてもよい。第1のスペーサ51が大きく形成されることにより、例えば稜部57を削ることによって、第1のスペーサ51を第1の隙間S1に合わせて調整することができる。第2のスペーサ58も同様に、想定される第2の隙間S2より少し大きく形成されてもよい。そして、第2のスペーサ58も、削ることにより、その大きさが調整されてもよい。
【0050】
また、発電機10は、第2のスペーサ58を有しているが、これに限定されない。第1のスペーサ51のみで内フレーム40の位置ずれを防止できる場合は、第2のスペーサ58は用いなくてもよい。
【0051】
なお、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
以下に、本願出願の当初の特許請求範囲に記載された発明を付記する。
[1]
環状に形成され、かつ、内周面から上面の径方向の中途部の範囲に環状の第1の凹み部が形成された第1の下壁部、前記上面に設けられた第1の支持部、及び環状に形成され、前記第1の支持部に支持された第1の上壁部を具備する外フレームと、
前記第1の凹み部に載置され、前記第1の凹み部の内周面との間に第1の隙間を有する環状の第2の下壁部、前記第2の下壁部の上面に設けられた第2の支持部、前記第2の支持部に支持されて前記第1の上壁部の内側に配置された環状の第2の上壁部を具備する内フレームと、
前記第1の隙間に配置され、前記第1の下壁部及び前記第2の下壁部に接触する第1のスペーサと、
を具備する固定子。
[2]
前記第2の上壁部は、前記第1の上壁部の内周面との間に第2の隙間を有し、
前記第2の隙間に配置された、前記第1の上壁部及び前記第2の上壁部に接触する第2のスペーサを備える
[1]に記載の固定子。
[3]
前記内フレームに固定される固定子鉄心、及び前記固定子鉄心に固定される固定子巻線を具備し、
前記内フレーム、前記固定子鉄心、及び前記固定子巻線の一体物は、絶縁材料が含浸された[1]に記載の固定子。
[4]
環状に形成され、かつ、内周面から上面の径方向の中途部の範囲に環状の第1の凹み部が形成された第1の下壁部、前記上面に設けられた第1の支持部、及び環状に形成され、前記第1の支持部に支持された第1の上壁部を具備する外フレームと、前記第1の凹み部に載置され、前記第1の凹み部の内周面との間に第1の隙間を有する環状の第2の下壁部、前記第2の下壁部の上面に設けられた第2の支持部、前記第2の支持部に支持されて前記第1の上壁部の内側に配置された環状の第2の上壁部を具備する内フレームと、前記第1の隙間に配置され、前記第1の下壁部及び前記第2の下壁部に接触する第1のスペーサと、を具備する固定子と、
前記固定子の内側に配置された回転子と、
を具備する回転電機。
[5]
環状に形成され、かつ、内周面から上面の径方向の中途部の範囲に環状の第1の凹み部が形成された第1の下壁部、前記上面に設けられた第1の支持部、及び環状に形成され、前記第1の支持部に支持された第1の上壁部を具備する外フレームを設置場所に固定し、
環状の第2の下壁部、前記第2の下壁部の上面に設けられた第2の支持部、前記第2の支持部に支持されて前記第1の上壁部の内側に配置された環状の第2の上壁部を具備する内フレームを、前記第1の上壁部の内側を通して前記外フレーム内に挿入し、
前記第2の下壁部を、上方から前記第1の凹み部に載置し、
前記内フレームを、前記外フレームと同軸となるよう位置を調整し、
前記第1の凹み部の内周面と前記第2の下壁部の外周面との間の第1の隙間に第1のスペーサを設置して前記内フレームを前記外フレームに径方向に固定し、
前記1の凹み部の上面と前記第2の下壁部の下面とを溶接する
固定子の組み立て方法。
【解決手段】固定子20は、上面31aに環状の第1の凹み部35が形成された第1の下壁部31、第1の支持部材33、及び第1の支持部材33に設けられた第1の上壁部34を備える外フレーム30と、第1の凹み部35に固定され、第1の凹み部35の内周面35aとの間に第1の隙間S1を有する第2の下壁部41、第2の支持部材43、第2の支持部材43に設けられて第1の上壁部34の内側に配置され、第1の上壁部34の内周面34bとの間に第2の隙間S2を有する環状の第2の上壁部44を備える内フレーム40と、第1の隙間S1に配置された第1のスペーサ51と、を備える。