(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
各ステープルは、基部によって第2のレッグに相互連結された第1のレッグを有し、前記ステープルは、開き形態がU字形であり、前記第1のレッグは、遠位先端部を有し、前記第2のレッグは、遠位先端部を有し、前記第1のレッグは、長さがこれよりも長い前記第2のレッグよりも短く、前記ステープルは、前記第1のレッグが前記前側側壁に隣接して位置すると共に前記第2のレッグが前記後側側壁に隣接して位置するよう前記凹部内に納められ、
前記アンビル表面は、ポケットのない滑らかな表面であり、前記第2のレッグは、前記第1のレッグに向かって前記アンビル表面に対し閉じ形態に変形される、請求項1に記載の外科用ステープラ。
前記第1の表面は、細長い第1のプレートの片面であり、前記第2の表面は、隣の細長い第2のプレートの片面であり、前記第1のプレートは、前記第2のプレートに隣接して位置している、請求項1〜4のうちいずれか一に記載の外科用ステープラ。
前記第2のジョーは、互いに平行であり且つ前記頂面に垂直な第3の表面及び第4の表面を有し、前記第3の表面及び前記第4の表面は、前記第3の表面と前記第4の表面との間に設けられていて、前記第2のジョーの長さに沿って延びる第2のスロットを構成し、前記第4の表面には複数個の凹部が形成され、各凹部は、凹み壁、前側側壁、及び後側側壁を有し、前記第2のジョーは、複数個の第2のスロットステープルポケットを有し、各第2のスロットステープルポケットは、前記凹み壁、前記前側側壁、前記後側側壁、前記第2のジョーの底壁、第3の表面及び前記第2のジョーの前記頂面に開口した開口部によって構成され、
厚さを備えた第2のカム作用面を含み、前記第2のカム作用面は、前記アクチュエータによって前記第2のスロット内で前記第2のジョーの長さに沿って動くことができ、
複数個のステープルを含み、各々のステープルはステープル幅を有し且つ前記複数個の第2のスロットステープルポケット内に納められ、前記ステープル幅の一部分は、前記第2のスロット内に位置し、前記ステープル幅の一部分は、前記第4の表面の前記凹部内に位置している、請求項1〜6のうちいずれか一に記載の外科用ステープラ。
前記第1のジョー及び前記第2のジョーが前記閉じ位置にあるときに前記ジョー組立体の長さに沿って且つ前記頂面と前記アンビル表面との間に形成された前記隙間内で動くことができるブレードを更に含み、前記ブレードは、前記第1のカム作用面と前記第2のカム作用面との間に配置されている、請求項7記載の外科用ステープラ。
前記第1のジョー及び前記第2のジョーが前記閉じ位置にあるときに前記ジョー組立体の長さに沿って且つ前記頂面と前記アンビル表面との間に形成された前記隙間内で動くことができるブレードを更に含み、前記第1のカム作用面及び前記第2のカム作用面は、前記ブレードの一方の側部上に配置されている、請求項7記載の外科用ステープラ。
前記第1の表面は、細長い第1のプレートの片面であり、前記第2の表面と前記第3の表面は、細長い第2のプレートの互いに反対側の面であり、前記第4の表面は、細長い第3のプレートの片面である、請求項7記載の外科用ステープラ。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】本発明のステープラカートリッジ組立体の側面図である。
【
図3】本発明のステープラカートリッジ組立体の近位端部の半透明側面図である。
【
図4】本発明のアクチュエータシャフト及びIビームの側面図である。
【
図5】本発明のアクチュエータシャフト及びIビームの遠位端部の斜視図である。
【
図9】本発明に従ってジョーが開き位置にある状態のエンドエフェクタの斜視図である。
【
図10】本発明の上側ジョーの下から見た斜視図である。
【
図12】本発明に従って湾曲したチャネルを備えた上側ジョーの下から見た斜視図である。
【
図13】本発明の湾曲したチャネルを備えた上側ジョーの端面図である。
【
図14】本発明の下側ジョーの上から見た斜視図である。
【
図16】本発明の下側ジョーの後ろ上から見た斜視図である。
【
図17】本発明のステープルカートリッジの上から見た斜視図である。
【
図18】本発明のステープルカートリッジの上から見た斜視図である。
【
図19】本発明のステープルカートリッジの上から見た分解組立て斜視図である。
【
図20】本発明のステープルカートリッジの第1のプレートの側面図である。
【
図21】本発明のステープルカートリッジの上から見た断面斜視図である。
【
図22】本発明のステープルカートリッジ、Iビーム及びスライダの上から見た断面斜視図である。
【
図23】本発明の非対称ステープルカートリッジが施されたた取り出し状態の組織の略図である。
【
図24】本発明に従って組織を把持している非対称ステープラの略図である。
【
図25】本発明に従って湾曲したエンドエフェクタを備えた非対称ステープラの略図である。
【
図26】本発明のスライダの上から見た斜視図である。
【
図30】本発明のスライダの後ろ上から見た斜視図である。
【
図31】本発明のステープルの上から見た斜視図である。
【
図35】本発明に従って閉じ形態にあるステープルの上から見た斜視図である。
【
図36】本発明に従って閉じ形態にあるステープルの側面図である。
【
図37】本発明に従って閉じ形態にあるステープルの端面図である。
【
図38】本発明に従って刺部を備えたステープルの側面図である。
【
図39】本発明に従って刺部を備えたステープルの側面図である。
【
図40】本発明に従ってステープルポケット内に位置した4つの枝部付きステープル及びスライダの上から見た断面斜視図である。
【
図41】本発明によるスライダ及び下側ジョー及びスライダ内に装填された複数個の4つの枝部付きステープルの上から見た半透明断面斜視図である。
【
図42A】本発明の4つの枝部付きステープルの上から見た斜視図である。
【
図42B】本発明の4つの枝部付きステープルの側面図である。
【
図42C】本発明の4つの枝部付きステープルの平面図である。
【
図42D】本発明の4つの枝部付きステープルの端面図である。
【
図43A】本発明の4つの枝部付きステープルの上から見た斜視図である。
【
図43B】本発明のステープルの上から見た斜視図である。
【
図44A】本発明の4つの枝部付きステープルの上から見た斜視図である。
【
図44B】本発明の4つの枝部付きステープルの側面図である。
【
図44C】本発明の4つの枝部付きステープルの平面図である。
【
図44D】本発明の4つの枝部付きステープルの端面図である。
【
図45A】本発明の4つの枝部付きステープルの上から見た斜視図である。
【
図45B】本発明の4つの枝部付きステープルの側面図である。
【
図45C】本発明の4つの枝部付きステープルの平面図である。
【
図45D】本発明の4つの枝部付きステープルの端面図である。
【
図46A】本発明の6つの枝部付きステープルの上から見た斜視図である。
【
図46B】本発明の6つの枝部付きステープルの側面図である。
【
図46C】本発明の6つの枝部付きステープルの平面図である。
【
図46D】本発明の6つの枝部付きステープルの端面図である。
【
図47A】本発明の下側ジョー及び上側ジョーのステープルポケット内に位置したステープルの断面側面図である。
【
図47B】本発明のステープルが上側ジョーに接触している状態を示す断面側面図である。
【
図47C】本発明に従ってステープルが上側ジョーに接触して変形している状態を示す断面側面図である。
【
図48】本発明に従って背骨状体に連結された複数個のステープルの平面図である。
【
図49】本発明に従って下側ジョー内に挿入されたステープルカートリッジの上から見た斜視図である。
【
図50】本発明に従って下側ジョー内に挿入されたステープルカートリッジの上からみた斜視図である。
【
図51】本発明に従って下側ジョー内に挿入されているステープルカートリッジの上からみた斜視図である。
【
図52】本発明に従って下側ジョー内に挿入されているステープルカートリッジの上から見た斜視図である。
【
図53】本発明のハンドル組立体の透明な断面図である。
【
図54】本発明に従って上側ジョーが開き位置にある状態のエンドエフェクタの後ろ上から見た斜視図である。
【
図55】本発明に従って上側ジョーが閉じ位置にある状態のエンドエフェクタの後ろ上から見た斜視図である。
【
図56】本発明に従ってジョーが開き位置にある状態のエンドエフェクタの側面図である。
【
図57】本発明に従って上側ジョーが閉じ位置にある状態のエンドエフェクタの側面図である。
【
図58】本発明の外科用ステープラの後ろ上から見た断面斜視図である。
【
図59】本発明のハンドル組立体の後ろ上から見た半透明断面斜視図である。
【
図60】本発明のハンドル組立体の断面側面図である。
【
図61】本発明のエンドエフェクタの半透明断面側面図である。
【
図62】本発明のエンドエフェクタの半透明断面側面図である。
【
図63】本発明のエンドエフェクタの上から見た半透明断面斜視図である。
【
図64】本発明のハンドル組立体の半透明断面側面図である。
【
図65】本発明のハンドル組立体の上から見た半透明断面斜視図である。
【
図66】本発明に従って上側ジョーが開き位置にある状態のエンドエフェクタの半透明側面図である。
【
図67】本発明のエンドエフェクタの半透明端面図である。
【
図68】本発明のプレート、スライダ及びステープルの上から見た断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1を参照すると、本発明の外科用ステープラ10の斜視図が示されている。ステープラ10は、ステープラカートリッジ組立体14に取り外し可能に連結されたハンドル(取っ手)組立体12で構成されている。ハンドル組立体12は、器械を制御してステープラカートリッジ組立体14の遠位端部内に設けられたステープルの配備を行うよう構成されている。ステープルをステープラ10から伸長させた後、ステープラカートリッジ組立体14をハンドル組立体12から取り外し、新品のステープラカートリッジ組立体14をハンドル組立体12に連結してステープル留めを続ける。
【0015】
次に、
図2を参照してステープラカートリッジ組立体14について詳細に説明する。ステープラカートリッジ組立体14は、近位端部のところに設けられたコネクタ16及び遠位端部のところに設けられたエンドエフェクタ18を含む。外側管20が遠位端部のところでエンドエフェクタ18に連結されると共に近位端部のところでコネクタ16に連結されている。アクチュエータシャフト22が外側管20のルーメン内に設けられている。外側管20は、実質的に円筒形であり、約5〜10mmの外径を有する。アクチュエータシャフト22は、外側管20に対して長手方向に摺動するよう構成されている。ステープラカートリッジ組立体14の遠位端部の詳細が
図3に示されている。
【0016】
図3を参照すると、ステープラカートリッジ組立体14の遠位端部が示されている。コネクタ16は、コネクタ16の外面から側方外方に延びるボルト24を有する。同様なボルト24がコネクタ16の反対側で延びており、これは、
図3では見えない。ボルト24は、ステープラのハンドル組立体12との差し込み状連結が可能であるよう構成されており、ハンドル組立体12は、カートリッジ組立体14をハンドル組立体12に固定するようボルト24を受け入れる相補形状のスロットを有している。
図3は又、アクチュエータシャフト22が外側管20に対して遠位側に動かされている状態で示された
図2と比較して、外側管20に対して近位側に動かされたアクチュエータシャフト22を示している。
図3で理解されるように、アクチュエータシャフト22の近位端部は、アクチュエータシャフト22から側方外方に延びるボルト26を有している。ボルト26は、ハンドル組立体12のアクチュエータシャフトと差し込み状連結が可能であるよう構成され、このアクチュエータシャフトは、ボルト26を受け入れる相補形状のスロットを有している。コネクタ16のボルト24をハンドル組立体12に結合すると、それと同時に、アクチュエータシャフト22のボルト26がハンドル組立体12のアクチュエータシャフトに結合される。ハンドル組立体12に連結されると、ハンドル組立体12は、アクチュエータシャフト22を外側管20内で前後に動かして遠位ジョー状部材の開閉を行うと共にステープルの配備を行うよう用いられる。
【0017】
次に
図4を参照してアクチュエータシャフト22について説明する。アクチュエータシャフト22は、遠位端部のところに設けられていて、ハンドル組立体12のアクチュエータと連結可能なアクチュエータボルト26を有する実質的に円筒形の近位部分28を有する細長いシャフトである。実質的に円筒形の部分28は、外側管20のルーメン内にぴったりと嵌まるよう寸法決めされている。円筒形部分28は、ピンによりアクチュエータシャフト22の遠位端部に向かって、延長状態のIビーム部分30に連結されている。アクチュエータシャフト22の遠位端部は、延長Iビーム部分30に連結されたIビーム32を有している。Iビーム32は、
図5に示されているように延長Iビーム部分30に連結されている。
【0018】
次に
図6〜
図8を参照してIビーム32について説明する。Iビーム32は、中間部分38によって互いに連結された頂部分34及び底部分36を有している。頂部分34は、斜切前側端部40及び湾曲した頂部を有している。中間部分38は、前側端部のところにブレード42及び傾斜部分44を有している。中間部分38は、後側端部のところに、
図5に示されているように延長Iビーム部分30と連結可能な延長部46を有している。底部分36は、Iビーム32の前側端部に接続されていて、この底部分は、湾曲した底部を有する。Iビームの正面図が
図8に示されており、
図8は、大文字“I”の形をしている輪郭形状を示している。
【0019】
次に
図9を参照してエンドエフェクタ18について説明する。エンドエフェクタ18は、下側ジョー50にヒンジ留めされた上側ジョー48を有する。複数個のステープル54を収容した少なくとも1つのステープルカートリッジ52が下側ジョー50内に設けられている。少なくとも1つのステープルカートリッジ52は、
図9では見えない複数個のステープル54を受け入れるよう構成されている。エンドエフェクタ18は、ステープル54をカートリッジ52から押し出すよう構成されたスライダ56を更に有する。スライダ56は、
図9では見えない。
【0020】
次に
図10及び
図11を参照して上側ジョー48について説明する。上側ジョー48は、中央スロット60を備えた平坦なアンビル表面58又はプレートを有する。中央スロット60は、細長く、開口した近位端部を備えている。中央スロット60は、Iビーム32の中間部分38の少なくとも一部分を受け入れるよう寸法決めされると共に形作られており、その結果、Iビーム32は、中央スロット60内でこれに沿って上側ジョー48に対して摺動するようになっている。上側ジョー48の外面は、上側ジョーが挿入されるカニューレの円筒形ルーメンに合致するよう形状が実質的に半円形である。上側ジョー48は、頂部カバー62を有している。頂部カバー62は、上側ジョー48の外周部の一部をなし、アンビル表面58と一緒になって、これらの間にIビーム32の頂部分34を受け入れる通路64を構成しており、頂部分34は、通路64内で上側ジョー48に対して摺動するようになっている。上側ジョー48は、近位端部のところに、ピンを受け入れる孔を有すると共に下側ジョー50に連結されるフランジを更に有している。
【0021】
従来型外科用ステープラの典型的なアンビルは、このアンビルの表面に設けられていて、ステープルのレッグ(脚部)を受け入れると共にステープルをアンビルに押し付けるときにステープルレッグを案内し、傾斜させ、そして曲げるよう設計されたステープル形成ポケットを有する。典型的なアンビルのこれら表面形成部は、アンビルを配備して適正なステープルフォーメーションを達成するときにステープルの変形を助ける。ステープル形成ポケットとステープルとの間に位置合わせ不良があれば、その結果として、ステープルは、ステープル形成ポケットに入り損ね、その結果、ステープルラインの壊滅的な失敗が生じる。綿密なステープル形成ポケットは、相当大きな製造上の課題をもたらすと共に製造費を高くする。有利には、本発明は、アンビルの表面にステープル形成ポケットを利用しない。アンビル表面は、滑らかであると共に/或いは平坦である。ステープルを再設計してアンビルポケットを形成する必要がないようにすることによって、アンビルポケットが完全に不要になって設計が単純化される一方で、有利には、ステープラ10に追加の信頼レベルをもたらす。位置合わせ不良が僅かであれば、これは、特に平べったいプレート設計に関する懸念とはもはやならない。単純化された設計は又、アンビルに関するコストが減少するので製造にとって大きな利点であり、超高精度部品が完全な位置合わせを維持するという必要性はもはやない。一形態では、アンビル表面58は、
図10に示されているように完全に平坦である。
図12に示されている別の形態では、アンビル表面は、ステープルが当てられて適正な形態に変形することができるようにする実質的に滑らかな表面を備えた一連の湾曲したチャネル66を有している。チャネル66の長さは、上側ジョー48の長手方向軸線に垂直である。チャネル66の波状構成は、アンビル表面に中央スロット60を形成すると共に左右の重要な位置合わせの必要性を軽減する。ステープルの重要な位置合わせは、チャネル66がステープルレッグを容易に受け入れるのに足るほど広いので、必要ではない。チャネル66の曲率は、ステープルレッグを適正な方向に偏向させるのを助ける。別の形態では、アンビル表面は、
図13に示されているように器具の軸線に沿って延びる2本又は3本以上の長手方向の湾曲したチャネル68を有する。細長い湾曲したチャネル66,68は、心配なく且つ各ステープルと各ステープル形成ポケットの適正な位置合わせコストをかけないで、ステープル54のフォーメーションを可能にする。チャネル66,68が湾曲した状態で示されているが、これらチャネルは、ステープルを所望の方向に閉じるのを助ける正方形又は長方形の断面を有しても良い。
【0022】
次に
図14〜
図16を参照して下側ジョー50について説明する。下側ジョー50は、上側ジョー48と相補的に嵌合するよう寸法決めされると共に形作られた細長い部品である。下側ジョー50は、開放した頂部及び湾曲した外面を有する。下側ジョー50の断面は、下側ジョーの断面が実質的に円形である近位端部のところを除き、形状が実質的に半円形である。上側ジョー48の垂下したフランジは、近位端部の近くで下側ジョー50に設けられた孔内に挿入されたピンにより下側ジョー50に取り付けられている。互いに取り付けられると、上側ジョー48と下側ジョー50は、実質的に円筒形の輪郭形状を作る。下側ジョー50の遠位端部は、傾けられ、円筒形近位端部は、
図16で見える垂直に差し向けられたスロット70を備えている。このスロット70は、アクチュエータシャフト22の延長Iビーム部分30を受け入れるよう寸法決めされると共に形作られており、Iビーム32それ自体は、スロット70の遠位側で下側ジョー50内に位置している。円筒形近位端部は、外側管20に取り付けられるようになっている。下側ジョー50は、ステープルカートリッジ受け入れ部分72を更に有している。1つ又は2つ以上のステープルカートリッジ52が下側ジョー50のステープルカートリッジ受け入れ部分72内に挿入されると、1つ又は2つ以上のステープルカートリッジ52と底部カバー74との間には通路が形成される。この通路は、Iビーム32の底部分36を受け入れるよう寸法決めされると共に形作られており、底部分36は、通路内で下側ジョー50に対して長手方向に摺動するようになっている。ステープルカートリッジ受け入れ部分72内には、遠位端部のところに位置していて、1つ又は2つ以上のステープルカートリッジ52の前側端部を固定する棚部76が設けられている。舌部78がステープルカートリッジ52の近位端部を下側ジョー50に固定するようステープルカートリッジ52の溝と嵌合可能に近位端部のところに形成されている。
図9に示されているカートリッジリテーナ80がステープルカートリッジ52が下側ジョー50内に挿入された後、ステープルカートリッジ52の遠位端部の舌部を覆っている。
【0023】
次に
図17〜
図22を参照してステープルカートリッジ52について説明する。ステープルカートリッジ52は、互いに連結された第1のプレート82、第2のプレート84及び第3のプレート86を有している。プレート82,84,86は、任意のポリマー材料、金属、例えばアルミニウム若しくはステンレス鋼又はガラス繊維入りナイロンで作られる。第1のプレート82は、細長く、且つ形状が実質的に長方形であり、この第1のプレートは、外面88及び内面90を有している。外面88は、滑らかであり、内面90は、複数個のステープル保持場所92を備えている。ステープル保持場所92は、第1のプレート82の内面90に形成された凹部である。各ステープル保持場所92は、実質的にU字形であり、各ステープル保持場所は、後側側壁96と対向して形成されると共にこの後側側壁に実質的に平行である前側側壁94によって構成されている。後側側壁96は、底壁98に相互連結されて底壁98と前側側壁94との間に隙間100を構成するL字形連続壁を形成している。一形態では、隙間100が形成されない。これに代えて、底壁98は、前側側壁94と後側側壁96の両方に相互連結されて完全なU字形ステープル保持場所92が形成されている。U字形ステープル保持場所は、約30°〜90°の角度をなし、90°は、角度をなしていない垂直の向きである。凹み壁99は、内面90に対して引っ込められている。第1のプレートは、厚さ約0.020〜0.025インチ(0.508〜0.635mm)であり、各凹部の深さ又は各側壁94,96,98の厚さは、約0.005〜0.008インチ(0.127〜0.203mm)である。ステープル保持場所92は、側壁94,96,98の厚さよりも厚い相補形状の実質的にU字形ステープルを部分的に受け入れて保持するよう構成されている。第1のプレート82の遠位端部は、舌部102を有し、第1のプレート82の近位端部は、下側ジョー50の棚部76及び舌部78と連結可能な溝104を有している。第1のプレート82の遠位端部及び近位端部は、それぞれ、スペーサ103,105を更に有し、スペーサ103,105は、内方に延びると共に内面90を第2のプレート84から隔てるよう構成されている。第1のプレート82は、金属又はプラスチックで作られる。
【0024】
第2のプレート84又は中間シム84は、滑らかな外面を備えた金属又はプラスチックの薄くて細長い実質的に長方形のプレートである。第2のプレート84は、厚さが約0.01〜0.02インチ(0.254〜0.508mm)である。遠位端部は、舌部106を有し、近位端部は、下側ジョー50の棚部76及び舌部78と連結可能に構成された溝108を有している。別の形態では、2枚の第2のプレート84a,84bが設けられ、各第2のプレートは、厚さが約0.005インチ(0.127mm)である。一方の第2のプレート84aは、この一方の第2のプレートが第1のプレート82に向かって力を及ぼすようしなっており、他方の第2のプレート84bも又、この他方の第2のプレートが第3のプレート86に向かって力を及ぼすようしなっている。
【0025】
第3のプレート86は、第1のプレート82と実質的に同一であり且つこの鏡像である。第3のプレート86は、細長く且つ形状が実質的に長方形であり、この第3のプレートは、外面110及び内面112を有している。外面110は、滑らかであり、内面112は、第1のプレート82の複数個のステープル保持場所92と実質的に同一であり且つこれらの鏡像をなす複数個のステープル保持場所92を備えている。ステープル保持場所92は、第3のプレート86の内面112に形成された凹部である。各ステープル保持場所92は、実質的にU字形であり、各ステープル保持場所は、2つの対向して形成された実質的に互いに平行な側壁、即ち前側の側壁94と後側の側壁96によって構成されている。後側側壁96は、底壁98に相互連結されて底壁98と前側側壁94との間に隙間100を構成するL字形連続壁を形成している。一形態では、隙間100が形成されない。これに代えて、底壁98は、前側側壁94と後側側壁96の両方に相互連結されて完全なU字形ステープル保持場所92が形成されている。凹み壁99は、内面112に対して引っ込められている。U字形ステープル保持場所は、約30°〜90°の角度をなし、90°は、角度をなしていない垂直の向きである。第3のプレートは、厚さ約0.020〜0.025インチ(0.508〜0.635mm)であり、各凹部の深さ又は各側壁94,96,98の厚さは、約0.005〜0.008インチ(0.127〜0.203mm)である。ステープル保持場所92は、側壁94,96,98の厚さよりも厚い相補形状の実質的にU字形ステープルを部分的に受け入れて保持するよう構成されている。第3のプレート86の遠位端部は、舌部114を有し、第3のプレート86の近位端部は、下側ジョー50の棚部76及び舌部78と連結可能な溝116を有している。第3のプレート86の遠位端部及び近位端部は、それぞれ、スペーサ115,117を更に有し、スペーサ115,117は、内方に延びると共に第3のプレート86の内面112を第2のプレート84から隔てるよう構成されている。
【0026】
第1のプレート82、第2のプレート84及び第3のプレート86は、Iビーム32のブレード42の一方の側上に配置可能に互い違いのステープルポケット118の2つの列を有するステープルカートリッジ52を形成するよう互いに連結され又はサンドイッチされている。ステープルポケット118は、ステープルの完全な閉じラインを形成するよう互い違いに配列されている。第2のステープルカートリッジ52は、Iビーム32のブレード42の他方の側上に配置され、ブレード42の他方の側上にステープルポケット118の2つの列を形成し、それによりステープルポケット118の全部で4つの列が形成されている。カートリッジ52は、追加のプレートによって改造されても良く、それにより3つ以上の列をなすステープルを作ることができ、カートリッジ52は、Iビーム32の各側にステープルの3つ又は4つの列を有することができる。ステープルポケット118は、凹み壁99、前側側壁94、後側側壁96、底壁98及び第2のプレート84の外面によって形成されている。各ポケット118は、開放頂部及び部分的に開放した底部を有する。一形態では、底部は、閉じられる。第1のプレート82のスペーサ103,105が第1のプレート82の内面90を第2のプレート84から離隔させているので、第1のプレート82と第2のプレート84との間には第1のスロット120が形成されている。第1のスロット120は、本明細書において以下に詳細に説明するスライダ56の第1の傾斜カム作用面を受け入れるよう構成されている。第1のスロット120は、ステープルポケット118の第1の列と交差している。第3のプレート86のスペーサ115,117が第3のプレート86の内面112を第2のプレート84から離隔させているので、第3のプレート86と第2のプレート84との間には第2のスロット122が形成されている。第2のスロット122は、本明細書において以下に詳細に説明するスライダ56の第2の傾斜カム作用面を受け入れるよう構成されている。第2のスロット122は、ステープルポケット118の第2の列と交差している。同一の構成は、Iビーム32の他方の側に設けられたステープルカートリッジに表われている。ステープルカートリッジ52は、Iビーム32の各側上のステープルを全て保持する単一のユニットであるとみなされ、或いは、変形例として、Iビーム32の各側に1つずつ設けられた2つのステープルカートリッジユニットが設けられる。
【0027】
次に
図22を参照すると、ステープルカートリッジ52の別の形態が示されており、この場合、第2のプレート84は、滑らかではなく、第1及び第3のプレート82,86のステープル保持場所92とほぼ同じ複数個のステープル保持場所124を更に有する。この形態では、第2のプレート84の互いに反対側の外面の両方は、外面から引っ込められた凹み壁126、前側側壁128、後側側壁130及び底壁(図示せず)によって形成された凹部を有する。底壁は、隙間を備えても良く隙間を備えなくても良い。第2のプレート84の第1の外面のステープル保持場所124は、第1のプレート82のステープル保持場所92と対向して配置され、これらステープル保持場所は、一緒になって、ステープルポケット118を形成している。また、第2のプレート84の第2の外面に形成されたステープル保持場所124は、第3のプレート86のステープル保持場所92と対向して配置され、これらステープル保持場所は、一緒になって、ステープルポケット118を形成している。ステープル保持場所124は、第1及び第3のプレート82,86の対向したステープル保持場所92と同一の角度を有する。ステープル保持場所92,124によって形成された各ポケット118は、実質的にU字形のステープル54を受け入れるよう構成され、U字形ステープル54は、側壁によって支持されるが、第1及び第2のスロット120,122内に位置するステープル54の無支持部分を有する。第1のスロット120か第2のスロット122かのいずれかの中に位置するステープル54のこの無支持部分は、スライダ56の傾斜カム作用面と接触可能に露出され、スライダ56は、スロットを通過してステープル54をポケット118から上方に押し出す。第2のプレート84がステープル保持場所124を有するこの形態では、ステープル受け入れ部分92,124の深さは、各々約0.005インチ(0.127mm)であり、各スロット120,122の幅は、約0.005〜0.006インチ(0.127〜0.152mm)であり、ステープル54の全厚約0.015インチ(0.381mm)であり、ステープルの約0.005インチ(0.127mm)分がスロット120,122内に位置し、ステープルの約0.005インチ(0.127mm)分が第1のプレート82のステープル保持場所92内に位置すると共にこれによって支持され、ステープルの約0.005インチ(0.127mm)分が第3のプレート86のステープル保持場所124内に位置すると共にこれによって支持されている。
図22は、互い違いのステープルポケット118の2つの列がスライダIビーム32のブレード42の各側に配置されて全部で4本のラインをなす互い違いのステープル54を送り出すようになった標準構成例を示している。別の形態では、ステープルカートリッジ52は、ブレード42の各側にステープルポケット118の第3の列を形成して全部で6つの列をなす互い違いのステープル54が得られるよう互いにサンドイッチされた追加の第4のプレート(図示せず)を有するよう構成されている。任意の数のステープル列は、追加のプレートの追加によって達成される本発明の範囲に含まれる。
【0028】
次に
図23〜
図25を参照すると、本発明の一形態では、非対称ステープルカートリッジが提供されている。非対称ステープルカートリッジは、Iビーム32のブレード42の各側にステープルポケットの異なる数の列を利用している。一形態では、ステープルカートリッジは、Iビーム32のブレード42の一方の側にステープルポケットの2つ又は3つの列を有すると共にIビーム32のブレード42の他方の側にステープルポケットのたった1つの列を有し、それにより全部で3つ又は4つの列をなすステープルが作られ、ステープルの1つの列が切断線の一方の側で送り出される。ステープルカートリッジは、単一の一体形部品であっても良く、或いは、1つがブレード42の一方の側部上に配置された2つ又は3つの列をなすステープルを送り出すためのステープルポケットの2つ又は3つの列を有する2つのカートリッジ及びブレード42の他方の側上のたった1つの列をなすステープルを送り出すためのステープルポケットのたった1つの列を有する第2のステープルカートリッジで構成されても良い。非対称ステープラの使用の結果として、有利には、エンドエフェクタ18の直径が減少した小型の器具が得られる。変形例として、エンドエフェクタ18内の節約された空間を利用すると、有利には、同一直径の器具内に追加の構造的支持体を提供することができる。ブレード42の両方の側部上にステープルの2つ又は3つの列が生きている組織を保持するのに好ましい場合があるが、取り出されるべき検体は、取り出されるべき組織上への短時間保持向きに設計された切断線の一方の側上にステープルの1つの列しか必要としない場合がある。その結果得られた小さな器具直径は、或る特定の手技、例えば管腔内ポリープの除去において有益である。かかる手技では、管腔内ポリープ除去ステープラは、ブレードの一方の側上に設けられていて、2つ又は3つの列をなすステープルを切断線の結腸側中に送り出すステープルポケットの2つ又は3つの列及び1つの列をなすステープルを切断線のポリープ側中に送り出すステープルポケットの1つの列を有する。切断線の各側に異なる数のステープル列が使用されているが、ステープラは、これらの特定の外科的用途に合わせて特注可能である。その結果、器械サイズ、特にエンドエフェクタ18の直径の劇的な減少が得られ又は同一サイズのものであるが器械挙動及び信頼性が高められた器械が得られる。
図23は、本発明の非対称ステープラを用いた結果としての切れ目を示している。
図23は、器官側134中に送り出された互い違いのステープルの3本のライン132及び除去された組織138中に送り出されたステープルの1本のライン136を示している。ステープラ10のどちらの側がより少ない列を送り出すかどうかについての視覚的標識をユーザとしての外科医に提供するため、ステープラ10のエンドエフェクタ18は、ステープルの少ない列を有するステープラ10の側が
図24に示されているようにステープルの2つ又は3つ以上の列を有するステープラの側とが異なる色を呈するよう着色されている。例えば、ステープルの単一のラインを備えたステープラの側は、赤色に着色され、ブレードの他方の側は、緑色に着色されている。ステープラ10に施される他の印が可能である。
図25に示された別の形態では、ステープラのエンドエフェクタ18は、曲率の凹状部分を例えばポリープ138の側に当てて又はポリープ138の側上に配置し、湾曲したエンドエフェクタの凸状側部を結腸側134に当てて配置するのが外科医に分かるよう湾曲している。湾曲したジョーは、ステープルの列の数が多いブレードの凹状側部と比較して曲率の凹状側部が少ない列のステープルを有する状態でステープラの適正な向きを示す際にユーザとしての外科医を助ける。別の形態では、ステープラブレードの凹状側部は、ステープラブレードの凸状側部に対してステープルの少ない列を有する。
【0029】
次に
図26〜
図30を参照してスライダ56について説明する。スライダ56は、底面142及び頂面144を備えたスライダ基部140を有する。遠位端部寄りの底面142の少なくとも一部分は、下側ジョー50の湾曲した底部74に合うよう湾曲している。スライダ56の近位端部のところに、底面142は、Iビーム32の底部分36を受け入れるよう寸法決めされると共に形作られた凹み部分146を有している。スロット148がスライダ基部140に形成されており、このスロットは、近位端部のところで開口すると共にスライダ基部140の遠位端部に向かって延びている。スロット148は、Iビーム32の少なくとも下側中間部分38を受け入れるよう寸法決めされると共に形作られている。一形態では、遠位側への並進を導くスライダ56の前側端部は、ステープルを器具から押し出すのを助ける斜切又は傾斜した前面を有する。少なくとも2つの傾斜したカム作用面150がスライダ基部140の頂面144から直立している。
図26〜
図30は、4つの直立した傾斜カム作用面150a,150b,150c,150dを有するスライダ56を示している。本発明の非対称ステープルカートリッジは、Iビームブレード42の各側に設けられたステープル列の数に対応したスライダ56を有する。2つの傾斜カム作用面150a,150bは、Iビーム受け入れ部分152によって2つの傾斜カム作用面150c,150dから隔てられている。Iビーム受け入れ部分152は、Iビーム32の中間部分38を受け入れるよう寸法決めされると共に形作られている。各カム作用面150は、厚さが約0.005インチ(0.127mm)であり、傾斜遠位端部を有している。カム作用面150の角度は、約30°から約90°の範囲にあるステープル保持場所92,124の角度に一致し、90°が垂直カム作用面150である。スライダ56は、1つ又は2つ以上のステープルカートリッジと底部カバー74との間に形成された下側通路内で下側ジョー50の内側に設けられている。スライダ56は、1つ又は2つ以上のステープルカートリッジ52と底部カバー74との間で下側ジョー50内に保持されるが、スライダ56は、下側ジョー50に対して自由に長手方向遠位側に並進したり長手方向近位側に並進したりすることができる。上方に延びるカム作用面150a,150bは、それぞれ、Iビーム32のブレード42の一方の側部上でステープルカートリッジ52のスロット120,122を貫通して上方に延びている。他の2つの上方に延びるカム作用面150c,150dは、それぞれ、ステープルカートリッジ52又はIビーム32のブレード42の他方の側上の第2のステープルカートリッジ52の他方の側のスロット120,122を貫通して上方に延びている。スライダのカム作用面150は、スライダ56がエンドエフェクタ18に沿って並進しているときに、ステープルポケット118内に位置するステープルに接触して、これらステープルを順次上側ジョー48のアンビル表面58に向かって押し出すよう構成されている。
【0030】
次に
図31〜
図34を参照して本発明のステープル54について説明する。ステープル54は、その非変形又は開き状態で示されている。ステープル54は、基部158によって互いに連結された第1のレッグ154と第2のレッグ156を有する。第1のレッグ154は、基部158と約90°の角度をなして交差し、第1の交差部160を形成している。第2のレッグ156は、基部158と約90°の角度をなして交差し、第2の交差部162を形成している。第1のレッグ154は、第2のレッグ156よりも長い。ステープル54は、第1の側壁168及び第2の側壁170によって互いに連結された内面164と外面166を有している。内面164は、外面166と第1のレッグ154の第1の箇所172のところ及び第2のレッグ156の第2の箇所174のところで交差している。第1の箇所172及び第2の箇所174は、
図31に示されていて、ステープル54の長さに垂直な交線である。別の形態では、交線は、ステープル54の長さに平行である。別の形態では、第1の箇所172及び/又は第2の箇所174は、交点である。別の形態では、第1の箇所172及び/又は第2の箇所174は、ステープルを送り込む組織を穴あけすると共に穿通するのに適した平坦な表面又は任意他の幾何学的形状である。第1のレッグ154は、第1のレッグ154の自由遠位端部のところに位置する第1の先端部176を有し、第2のレッグ156は、第2のレッグ156の自由遠位端部のところに位置する第2の先端部178を有する。第1及び第2の先端部176,178は、第1のレッグ154及び第2のレッグ156がレッグ154,156に沿って遠位側の方向にテーパし又は断面積が減少し始めるところで始まる。
【0031】
図32〜
図34を特に注意して参照すると、第1のレッグ154は、長さが約0.097インチ(2.464mm)であり、第2のレッグ156は、長さが約0.050インチ(1.270mm)である。短い第2のレッグ156と長い第1のレッグ154の比は、約1/2である。基部158の全長は、約0.080インチ(2.032mm)であり、各レッグ154,156は、基部158に垂直である。第1及び第2の交差部160,162のところの外面166の曲率半径は、約0.009インチ(0.229mm)である。第1の側壁168と第2の側壁170との間の距離又はステープルの厚さは、約0.015インチ(0.381mm)である。内面164と外面166との間の距離又は第1及び第2のレッグ154,156の幅は、約0.010インチ(0.254mm)である。内面164と外面166との間の距離又は基部158の幅も又、約0.010インチ(0.254mm)である。第1の先端部176は、約0.034インチ(0.864mm)の曲率半径を備えた湾曲した外面166を有する。この曲線は、第1の先端部176の配置場所に凹状の外面166を形成する。第1の先端部176のところの内面164は、基部158に垂直であり、第1の箇所172を定める交線のところで湾曲外面166と交差している。第2の先端部178は、傾斜した外面166を有する。第2の先端部178の配置場所のところの外面166の部分は、垂線から内面164に向かって約10°の角度をなしている。第2の先端部178の配置場所の内面164の部分は、垂線から外面166に向かって約30°の角度をなしている。第2の先端部178の配置場所のところの傾斜した外面166と傾斜した内面164は、一緒になって、これら相互間に約40°の角度をなすと共に第2の箇所174のところに交線を定めている。
【0032】
図35〜
図37を特に注意して参照すると、ステープル54は、その変形又は閉じ形態で示されており、この場合、第1のレッグ154は、第2のレッグ156に向かって傾けられていて三角形の形状又はデルタ又はD字形形態を作っている。非変形状態のステープル54を下側ジョー50のステープルポケット118から押し出して本発明のステープラ10の上側ジョー48のアンビル表面58に当てた結果として第1のレッグ154を変形させると、三角形の形状が結果として得られる。このデルタ形形態では、第2のレッグ156は、直立し且つ基部158に実質的に垂直のままであり、第1のレッグ154は、第1及び第2の先端部176,178が互いに出会い又は互いに実質的に並置関係をなすまで第2のレッグ156に向かって偏向される。基部158に対する偏向状態の第1のレッグ154の結果として得られる角度は、約29°である。一形態では、ステープルは、円形な断面を有する。ステープル54の別の形態では、応力集中が第1のレッグ154に生じ、それにより第1のレッグ154に弱い場所が作られ、その結果、第1のレッグ154の変形、曲げ又は偏向が応力集中場所で起こるようになる。応力集中の一例は、第1のレッグ154の曲げが応力集中のところで起こるようにするよう第1のレッグ154に沿う場所のところで内面164に形成された少なくとも1つの切り欠きである。切り欠き188の形態をした応力集中の一例が
図44A及び
図44Bに示されている。別の形態では、応力集中、例えば1つ又は2つ以上の切り欠きが種々の閉じられたステープル形状を作るよう巧妙に配置される。例えば、閉じられたステープル形状は、三角形のステープルには限定されず、長方形、正方形、菱形、及び台形の形状を含む。さらに、別の形態では、切り欠きが反対側のステープルレッグに形成された切り欠き内に一方のレッグを捕捉するよう形成され、それにより、閉じられたステープル形状がステープルを閉じられて且つインターロックされた形態から開く力に抵抗するよう構成された相互にインターロックされた第1のレッグと第2のレッグを含むロック形態が作られる。
【0033】
図38及び
図39を参照すると、ステープル54は、少なくとも1つの刺部180を有するものとして示されている。
図38に示されている形態では、単一の刺部180が各レッグ154,156の遠位端部の近くでステープル54の内面164に形成されている。刺部は、組織中へのステープルの機械的保持具合の増強をもたらすのを助け、かかる刺部は、いずれか一方のレッグ又は両方のレッグ上で内面164又は外面166上に形成されるのが良い。レッグのうちの一方に沿う多数の刺部180が
図39に示されている。
図39では、4つの刺部180が第1のレッグ154の内面に形成され、1つの刺部180が第2のレッグ156の内面に形成されている。小さな刺部180、例えばマクロサイズ又はナノサイズの刺部も又、本発明の範囲に含まれる。
【0034】
次に
図40及び
図41を参照すると、4つの枝部を備えたステープル182が示されている。4つの刺部を備えたステープル182は、基部158aによって短い第2のレッグ156aに相互連結された長い第1のレッグ154a及び基部158bによって短い第2のレッグ156bに相互連結された第2の長い第1のレッグ154bを有する。ステープルレッグの各対154a,156a及び154b,156b並びにこれらの相互連結基部158a,158bは、4つの枝部を備えたステープル182では、2つの対をなすレッグが厚さ約0.010インチ(0.254mm)のステープル基部158a,158bと同一厚さを有する拡大された基部184によって互いに連結されていることを除き、
図31〜
図37を参照して説明したステープル54と実質的に同一である。拡大基部184は、基部158a及び基部158bに連結されており、かかる拡大基部は、スライダ56と係合可能なカム作用面としての役目を果たし、スライダ56は、拡大された傾斜しているスライダカム作用面186を有する。ステープルカートリッジ52は、依然として、これが幅の広い4つの枝部付きステープル182及び幅の広いスライダ56に対応する幅の広いスロット120,122を備えた幅の広いステープルを受け入れるようになっていることを除き、
図17〜
図22を参照して説明したのとほぼ同じ仕方で形成されている。4つの枝部付きステープル182向きに構成されたカートリッジ52は、好ましくは、
図22を参照して説明したカートリッジとほぼ同じであり、この場合、第1のプレート82及び第2のプレート84は、それぞれ、対向して形成された傾斜ステープル保持場所92,124を有している。第1のレッグ154a、第2のレッグ156a及び基部158aの少なくとも一部分が第1のプレート82のステープル保持場所92内に配置され、第1のレッグ154b、第2のレッグ156b及び基部158bの少なくとも一部分が第2のプレート84のステープル保持場所124内に配置されている。追加の第3のプレート86が上述した第3のプレート86と第2のプレート84との間に4つの枝部付きステープル182の別の列を保持するのが良く、別のスライダカム作用面186が第2のスロット122内に位置する。4つの枝部付きステープル182は、スライダ56のカム作用面186の角度に一致するよう傾けられており、その結果、スライダ56を並進Iビーム32によって前方に押すと、傾斜スライダカム作用面186は、ステープル182の拡大基部180に接触してステープル182を上方に押してカートリッジ52から押し出して上側ジョー48のアンビル表面58に押し付け、ここで、ステープル182を組織中に変形させる。変形したステープルは、2つの三角形の形をしたクロージャを有し、この場合、第1のレッグ154a,154bは、それぞれ、第2のレッグ156a,156bに向かって曲げられている。
【0035】
図42A〜
図42Dは、4つの枝部付きステープル182の種々の図を示しており、この4つの枝部付きステープルは、ステープル182に追加の強度をもたらす更に広い基部184を有する。第1及び第2の先端部176a,176b,178a,178bは、ステープル182の長さに平行な交線を形成するよう傾斜した第1及び第2の側壁168a,168b,170a,170bを有する。平べったく且つ尖っていない第1の先端部176a,176b及び第2の先端部178a,178bを有する4つの枝部付きステープル182が
図43Aに示されている。
図43Aの4つの枝部付きステープル182は、点線に沿って切断されるのが良く、それにより各々が
図43Bに示されているように第1及び第2の先端部176,178を備えた2つのレッグ154,156しか備えていない2つの単一のステープル54が形成されている。
【0036】
次に
図44A〜
図44Dを参照すると、切り欠き188が第1のレッグ154a,154bの内面に形成された4つの枝部付きステープル182が示されている。切り欠き188は、湾曲した半円筒形の凹みであり、これら凹みは、レッグ154a,154bに応力州中部を生じさせ、その結果、変形している間、レッグ154a,154bは、切り欠き188の場所で曲がる傾向がある。
図44A〜
図44Dの4つの枝部付きステープル182の形態では、第1の先端部176a,176bは、真っ直ぐな内面164a,164bと交差する湾曲した外面166a,166bを有し、それによりステープル182の長さに垂直な交線が形成されている。第2の先端部178a,178bは、傾斜した外面166a,166bが真っ直ぐな内面164a,164bと交差することによって形成され、それによりステープル182の長さに垂直な交線が形成されている。変形時、第1のレッグ154a,154bは、切り欠き188のところで曲げられ、その結果、第1の先端部176a,176bは、先端部178a,178bに接触して2つの互いに連結された三角形のクロージャが形成される。
【0037】
図45A〜
図45Dを参照すると、互い違いのレッグを備えた4つの枝部付きステープル190が示されている。基部158aにより短い第2のレッグ156aに相互連結された長い第1のレッグ154aを有する第1の2つ枝部付きステープルが傾けられている拡大された平べったい基部184により、基部158bにより短い第2のレッグ156bに相互連結された長い第1のレッグ154bを有する第2の2つの枝部付きステープルに連結されており、第1の2つの枝部付きステープルは、第2の2つの枝部付きステープルに対してずらされ又は互い違いになっている。第1及び第2の2つの枝部付きステープルは、
図31〜
図37を参照して上述したステープルと実質的に同一である。第1及び第2の2つの枝部付きステープルを相互に連結する傾斜基部184により、第1の2つの枝部付きステープルを第2の2つの枝部付きステープルからずらすことができ、その結果、互い違いのレッグ154a,154b,156a,156bを備えた4つの枝部付きステープル190が得られる。拡大基部184は、スライダ56の傾斜カム作用面150に対してカム作用するカム作用面としての役目を果たす。作動されると、2つの長い第1のレッグ154a,154bは、アンビル表面58に当てられてそれぞれ第2のレッグ156a,156bの方へ変形し、それにより、2つの三角形のクロージャが形成され、これらクロージャ相互間には組織が捕捉される。4つの枝部付きステープル190の1つの列全体が配備されると、その結果、互い違いのステープルの2つの有効な列が得られる。
【0038】
次に
図46A〜
図46Dを参照すると、6つの枝部付きステープル192が示されている。6つの枝部付きステープル192は、第1の2つの枝部付きステープル194を有し、この第1の2つの枝部付きステープル194は、互い違いの仕方で第2の2つの枝部付きステープル196に連結され、この第2の2つの枝部付きステープル196は、互い違いの仕方で第3の2つの枝部付きステープル198に連結されている。第1、第2及び第3の2つの枝部付きステープル194,196,198は、上述の
図31〜
図37の2つの枝部付きステープル54と実質的に同一である。第1の2つの枝部付きステープル194は、基部158aにより短い第2のレッグ156aに相互連結された長い第1のレッグ154aを有する。第2の2つの枝部付きステープル196は、基部158bにより短い第2のレッグ156bに相互連結された長い第1のレッグ154bを有する。第3の2つの枝部付きステープル198は、基部158cにより短い第2のレッグ156cに相互連結された長い第1のレッグ154cを有している。2つの枝部付きステープル194,196,198の各々は、それぞれ、その基部158a,158b,158cのところで互いに連結されている。第1の2つの枝部付きステープル194は、第2の2つの枝部付きステープル196にこれらの間に位置する傾斜延長基部によって連結され、第1の2つの枝部付きステープル194は、第2の2つの枝部付きステープル196からずらされている。第2の2つの枝部付きステープル196は、第3の2つの枝部付きステープル198にこれらの間に位置する傾斜延長基部によって連結され、第2の2つの枝部付きステープル196は、第3の2つの枝部付きステープル198からずらされている。3つの2つの枝部付きステープル194,196,198は、第1及び第3の2つの枝部付きステープル194,198が互いに対して整列状態にあり、中間の第2の2つの枝部付きステープル196が第1及び第3の2つの枝部付きステープル194,198に対してずらされるように互いに連結されている。6つの枝部付きステープル192は、
図22並びに
図40及び
図41を参照して上述したようにカートリッジ内に傾けられた状態で装填され、この場合、第1の2つの枝部付きステープル194は、少なくとも一部が第1のプレート82のステープル保持場所92内に配置され、第3の2つの枝部付きステープル198は、少なくとも一部が第2のプレート84のステープル保持場所124内に配置され、中間の又は第2の2つの枝部付きステープル196は、
図40及び
図41を参照して上述したスライダの拡大カム作用面186を有するスライダ56と一緒に第1のスロット120内に位置し、傾斜拡大基部は、配備のためにかかるスライダに係合する。当然のことながら、ステープル保持場所92を備えた第3のプレート86には、第2のスロット122内に位置する第2のスライダ56と係合可能に同様な仕方でステープル192が装填される。6つの枝部付きステープル192をスライダによってアンビル表面58に押し付けた後、第1のレッグ154a,154b,154cは、それぞれ、第2のレッグ156a,156b,156cに向かって偏向され、それにより組織を捕捉する3つの三角形のクロージャが形成される。これら3つの三角形のクロージャは、互いに対して互い違いに配列されるが、組織の広く且つ強固なステープル留め部を形成するよう互いに連結される。
【0039】
次に
図47A〜
図47Cを参照すると、ステープルの別の形態が示されている。この形態では、ステープル204は、基部158によって第2のレッグ156に相互連結された第1のレッグ154を有する。第1のレッグ154は、非変形時には実質的に真っ直ぐであり、この第1のレッグは、傾けられ又は面取りされた外面を備えた第1の先端部176を有する。第2のレッグ156は、第1のレッグ154よりも僅かに長い。第2のレッグ156は、エルボ206を更に有し、第2のレッグ156は、
図47A及び
図47Bに示されているように非変形状態にある間、このエルボのところで第1のレッグ154に向かって僅かに曲げられる。第2のレッグ156は、第2の先端部178を有し、第2の先端部178は、一形態では、エルボ206からテーパし始める。ステープル204が上述したような角度をなしてカートリッジ内に配置されるので、ステープル204を前進するスライダ(図示せず)によって上方に押されると、第1の先端部176と第2の先端部178の両方は、
図47Bに示されているように実質的に同時に平坦なアンビル表面58に接触する。ステープル204をアンビル表面58中に押し込み続けると、その結果として、
図47Cに示されているように、第1のレッグ154は、第2のレッグ156に向かって曲がり、第2のレッグ156は、第1のレッグ154に向かって曲がる。第1の先端部176のところの傾斜又は面取り外面は、第1のレッグ154を第2のレッグ156に向かって方向付けるのを助ける。エルボ206及び傾斜した第2のレッグ156は、第2のレッグ156を第1のレッグ154に向かって方向付けるのを助ける。ステープルポケット118が平坦なアンビル表面58に対して角度をなした状態でステープル204を保持するので、第2のレッグ156は、僅かに長いものでなければならず、しかも第2のレッグ156は、第2の先端部178が平坦なアンビル表面58に接触したときに、エルボ206の遠位側に位置する第2のレッグ156の部分が平坦なアンビル表面58に実質的に垂直になるように傾けられなければならない。この形態は、有利には、アンビル表面に形成されるアンビルポケットを必要とせず、しかもステープルレッグ154,156の互いに向かう偏向を行わせるステープルレッグ154,156とアンビルポケットの正確な位置合わせを必要としない。かかる偏向は、平坦なアンビル表面58に当たって達成される。
【0040】
図48を参照すると、背骨状体200に連結された複数個のステープル54が示されており、製造、組立て及び取り扱いを容易にするために魚骨(フィッシュボーン)形のステープル54のフォーメーションが示されている。金属、例えば外科用鋼、ステンレス鋼又はチタンのシートが設けられ、複数個のステープル54がワイヤ放電加工(EDM)機械で金属のシートの状態に切断される。ステープル54は又、マイクロウォータージェット、フォトエッチングを利用して又はスタンピングによって形成できる。ステープル54は、ステープル54が幅の狭い連結タブ202のところでちぎられてステープルカートリッジ内に装填されるまで、幅の狭い連結タブ202によって背骨状体200に連結されたままである。ステープル54をちぎった後、連結タブ202の一部分は、ステープル54に取り付けられたままである。残りのタブ202は、配備後に閉じられたステープル54内に捕捉された組織に対する機械的保持具合を増強させる刺部180として役立つ。したがって、ステープル54は、後処理、例えば曲げや研ぎを必要としないで製造される。また、背骨状体200は、ステープル54の貯蔵及びステープルカートリッジの組み立ての際の補助具であるのが良い。
【0041】
図49及び
図50を参照すると、単一のユニットの形態をしたステープルカートリッジ52が下側ジョー50のステープルカートリッジ受け入れ部分72内に挿入されている。ステープルカートリッジ52は、2つのユニット52a,52bの形態をしていても良く、各ユニットは、2つのスロット120,122を有し、ステープル54の2つの列がステープルポケット118内に位置している。上述の非対称カートリッジも又採用することができる。ステープルカートリッジ52は、第1、第2及び第3のプレート82,84,86のそれぞれの溝104,108,116が下側ジョー50の近位端部のところで舌部78に係合すると共に第1、第2及び第3のプレート82,84,86のそれぞれの舌部102,106,114が下側ジョー50の遠位端部のところで棚部76に係合するよう挿入される。カートリッジリテーナ80がカートリッジを定位置に固定するために
図50に示されているように舌部102,106,114を覆った状態で連結されている。各カートリッジ52は、貯蔵及び取扱中、ステープル50をポケット118の内側に保持するようステープルポケット118を覆う紙のカバースリップ(図示せず)を有するのが良い。次に、カートリッジ52の取り付けの直前又は直後に引きはがすことによってカバースリップは取り外される。各カートリッジ52は、カートリッジ52内に設けられたスライダ56を更に有し、スライダ56の傾斜カム作用面150a,150bがそれぞれ、Iビーム受け入れ部分152の一方の側でスロット120,122内に位置すると共にスライダ56の傾斜カム作用面150c,150dがそれぞれ、Iビーム受け入れ部分152の他方の側でスロット120,122内に位置するようになっている。カートリッジ52aの一方の側は、カートリッジ52bの他方の側から間隔を置いて配置され、それにより並進状態のIビーム32を通過させることができる中央通路208が形成されている。
【0042】
カートリッジ52の別の取り付け形態が
図51及び
図52に示されている。この形態では、下側ジョー50の前側又は遠位端部は、開いており、カートリッジ52は、下側ジョー50のステープルカートリッジ受け入れ部分72に形成された軌道210と嵌合するレール212を有している。カートリッジ52は、下側ジョー50の開き遠位端部を通って摺動し、この遠位端部は、次に、キャップ又はラッチ(図示せず)で閉鎖される。カートリッジ52は、器具の幅全体にわたる強度を高める頂部プレート214を有するものとして示されている。ステープル54を使い切った後、ステープルカートリッジ52を取り外して処分し、そして新品のカートリッジを挿入してステープル留めを続行するのが良い。別の形態では、ステープルカートリッジ52は、ステープラカートリッジ組立体14内にあらかじめ取り付けられており、ステープル54を使い切った後、ステープラカートリッジ組立体14全体を取り外して処分し、新品のステープラカートリッジ組立体14をハンドル組立体12に連結してステープル留めを続行する。
【0043】
ステープラカートリッジ組立体14がハンドル組立体12に連結された状態で、アクチュエータシャフト22をハンドル組立体12内のアクチュエータシャフト216に連結する。次に、ハンドル組立体12を用いてステープラ10を3つの互いに異なる機能又は動作モードで作動させる。第1のモードにより、ユーザは、エンドエフェクタ18のジョー48,50を開閉することができる。第2のモードにより、ステープルが発火され、第3の動作モードがステープルの発火に続きIビーム32をその元の近位側の位置に戻す。
【0044】
図53を参照すると、ハンドル218は、前方駆動装置220に連結されており、この前方駆動装置は、アクチュエータシャフト216に設けられている前方歯に係合する。ハンドル218を押すと、アクチュエータ216は、僅かに前方に動かされ、それによりステープラカートリッジ組立体14のアクチュエータシャフト22が前方に動かされる。アクチュエータシャフト22がIビーム32に連結されているので、Iビーム32は、ハンドル218を押すことにより前方に進む。Iビーム32が前進しているとき、Iビーム32の頂部分34の斜切前側端部40が上側ジョー48の通路64に入り、それにより、開いていると共にばね押しされている上側ジョー48が
図54及び
図55に示されているように下方に偏向させて開き位置から閉じ位置に動く。上側ジョー48は、上側ジョー48が下側ジョー50に対して回動するようピンにより下側ジョー50に連結されている。上側ジョー48を下側ジョー50に対して開き位置に押すばね付勢力を生じさせるようばね(図示せず)が設けられている。Iビーム32の頂部分34は、ジョーが開き位置に付勢された状態で
図54の通路64に入っている状態で示されている。
図55では、Iビーム32の頂部分34は、通路64に入って上側ジョー48を下側ジョー50に対して閉じられた向きに動かした状態にある。ハンドル218を放すと、アクチュエータシャフト216,22が近位側に動いてIビーム32も又近位側に引き、それにより、頂部分34が通路64を出ているときにばね付勢力がジョーを開くことができる。ユーザは、ハンドル218を押したり放したりすることによってエンドエフェクタ18のジョーを開閉することができ、それにより標的組織をステープラ10の上側ジョーと下側ジョーとの間に位置決めすることができる。エンドエフェクタ18は、
図56では開き位置で示され、
図57では閉じ位置で示されており、上側ジョー48と下側ジョー50との間の隙間の端から端までの距離は、閉じ位置にあるとき、約0.040インチ(1.016mm)である。
【0045】
ジョーを標的組織存在場所のところの定位置で閉じた後、
図58に示されているようにハンドル組立体12に設けられた発火ボタン224を押すことによってステープラ10を切り替えて発火モードで作動させる。発火ボタン224は、開放駆動体226を
図59及び
図60に示されているようにアクチュエータシャフト216から離脱させ、それによりアクチュエータシャフト216を自由にして長手方向運動が可能であるようにする。開放駆動体226は、
図60ではアクチュエータシャフト216の歯に係合した状態で示されている。
図59では、開放駆動体226は、発火ボタン224が押された状態で、アクチュエータシャフト216の歯から離脱した状態で示されている。開放駆動体226が離脱した状態で、トリガハンドル218は、大きく揺動し、前方駆動体220は、アクチュエータ216に設けられている前方歯に係合する。ハンドル218を押すことにより、アクチュエータシャフト216が前方に送り進められる。というのは、前方駆動体220がトリガハンドル218を引く度に歯に自由に係合するからである。ハンドル218を多数回引いてIビーム32をカートリッジ52の遠位端部まで完全に前進させる。ハンドル組立体12は、係属中の米国特許仮出願(発明の名称:Surgical stapler having actuation mechanism with rotatable shaft)に記載されている回転可能なラックを更に含むのが良く、この係属中の米国特許仮出願を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。
【0046】
次に
図61を参照すると、ジョー48,50が閉じ位置にある状態のエンドエフェクタ18が示されている。Iビーム32を遠位側に前進させているとき、Iビーム32の超部分34は、上側通路64内を移動し、Iビーム32の底部分36は、スライダ56のスロット148に入ってスライダ56に係合し、そしてこれを遠位側に押す。傾斜カム作用面150が進んでいるとき、この傾斜カム作用面は、ステープル(図示せず)に接触してこれらステープルをステープル保持場所92から押し出す。Iビーム32のブレード42は、上側ジョー48と下側ジョー50との間の隙間228内に位置し、ジョー相互間に捕捉された組織を切断し又はブレード42の各側の2つ又は3つ以上の列をなしたステープルが付けられた組織をこれらステープル列の間で非対称に切断する。
【0047】
図62及び
図63は、スライダ56及びIビーム32が遠位側の方向に前進しているときのステープル54の配備の仕方を示している。ステープル54は、ステープルポケット118内に配置され、ステープル54の少なくとも一部分がU字形ステープル保持場所92に当たった状態で位置し、長い第1のレッグ154が短い第2のレッグ156に対して近位側に配置されるようにする。スライダ56が前進しているとき、傾斜カム作用面150は、順次ステープルに接触する。一形態では、スライダ56の斜切前側端部230がステープル54の外面166のその部分、例えばU字形ステープル保持場所92の底壁98に設けられた隙間100内に位置するステープル54の基部158に接触してステープル54を上方に押す。スライダ56が前進しているとき、スライダ56の傾斜カム作用面150は、ステープル54に接触し、そしてこれらステープルをスライダ56の遠位側への並進により順次上方に押し続ける。十分な配備高さになると、ステープル54の長い第1のレッグ154は、上側ジョー48の平坦なアンビル表面58に接触する。特に、第1の先端部176が平坦なアンビル表面58に接触する。第1の先端部176が湾曲し、面取りされ又は斜切された外面166を有しているので、この湾曲外面と平坦なアンビル表面58の接触により、第1のレッグ154が第2のレッグ156に向かって曲げられるのが助長される。第1の先端部176の湾曲外面166は、第1のレッグ154が曲がって閉じられた三角形の形態になっているときに平坦なアンビル表面58に当たった状態で摺動する。短い第2のレッグ156は、曲げられず又は変形しない。ステープルレッグが成形アンビルに垂直な状態で発火される従来型ステープルとは異なり、本発明のステープルは、平坦なアンビル表面58に対して角度をなした状態で発火される。本発明のアンビル表面にはステープル成形ポケットは設けられていない。長いレッグ154が平坦なアンビル表面58に接触すると、長いレッグ154の先端部176は、アンビル表面に沿って自由に摺動し、他方、ステープル54は、ステープルがスライダ56の傾斜カム作用面150と同一の角度をなしているので、ステープル基部158に垂直に次第に押されついには、長いレッグ154の先端部176が短い第2のレッグ156の先端部に出会い、ステープルは、閉じられて組織を三角形のクロージャ内に捕捉する。本発明のステープル54の閉じ力は、1つのレッグ、即ち、長い第1のレッグ154しか変形されることがないので、従来型ステープルと比較して比較的小さいので有利であり、これに対し、従来型ステープルでは、ステープルの両方のレッグが同時に変形する。さらに、閉じ力は、長いレッグが座屈してアンビルポケットに押し付けられるのではなく、単に曲げられるに過ぎないということによって一段と小さくなる。ビームの座屈力は、曲げ力よりも極めて大きく、従来型ステープルでは、2つのステープルレッグの同時座屈が必要である。従来型ステープル留め器具は、ステープルラインを付けるのに大きな発火力を必要とする。ステープルレッグは、アンビルポケットに垂直に力が加えられ、それによりステープルレッグが座屈する。このような大きな力は、相当大きな応力を器具コンポーネントに加え、それによりユーザにとって疲れを生じさせる場合がある。したがって、本発明のステープラ10は、ステープルを配備したり変形させたりするのに必要な力を大幅に減少させる。本発明のステープル成形力は、従来型ステープル設計と比較して比較的小さい。たった1つのレッグがアンビル表面と接触状態で曲がるので、ユーザ及び器具は、器具コンポーネントに加わる力の減少及びユーザにとっての作動力の減少により利益が得られる。
【0048】
本発明のステープル配備方法は、斜めになっているスライダをステープル留め器具のジョーに沿って先へ駆動する。スライダ56は、ステープルを配備しているのと同じ空間をこのスライダが通過しているときにステープル54に直に接触する。ステープルは、ステープル留め器具の内側ジョー又はカートリッジ52に設けられたポケット118によって部分的に定位置に保持される。これらポケットは、ステープルがステープル留め器具から押し出されて組織中に成形されているときにステープルのための案内となる。ステープルは、ステープル厚さの一部だけがポケット内に位置し、他の部分がスライダ56と同一平面内に位置する開放チャネル内に位置するようカートリッジ内に保持される。ステープルの一方の側は、ステープル受け入れ場所92内の第1のプレートに当てて保持され、ステープルの他方の側は、第2のプレートの滑らかな壁に当てて又は変形例として、これ又第2のプレートに形成されたステープル保持場所124内に保持される。各スライダカム作用面150は、各スロット120,122内でステープルの中心にそって先へ動く。スライダ56がジョーの長さに沿って遠位側に押されると、傾斜スライダ傾斜路は、ステープルを案内されたカートリッジポケットから打ち出す。スライダの傾斜カム作用面150は、ステープル基部158に対して垂直に押す。スライダは、ステープルの一部にしか接触せず、他方、ステープルの残りの部分は、ステープル保持場所92に当てて保持され、これらステープル保持場所は、ステープルを方向付けてカートリッジから出す案内としての役目を果たす。
【0049】
次に
図64及び
図65を参照すると、ステープルを発火した後、ハンドル組立体12を第3の作動モードに切り替え、この第3の作動モードでは、Iビーム32をその開始位置に近位側に戻す。歯車スイッチボタン232を押し、それにより、アクチュエータシャフト216を90°回転させてアクチュエータ216の後退歯が後退駆動体234に接触する。後退駆動体234は、一連の歯車によってハンドル218に連結されている。ハンドル218を引くと、後退駆動体234は、アクチュエータ216及びIビーム32を引き戻す。トリガハンドル218を多数回引いてIビーム32をその元の位置に戻す。Iビーム32をその元の近位側の位置に戻してジョー48,50を開く。Iビーム32が戻された状態では、スライダ56は、その遠位側の発火位置に残される。
図66は、Iビーム32が戻されて完全に引っ込められた状態を示しており、その結果、ばね押し上側ジョー48が開くようになっており、他方、スライダ56は、その遠位側の場所に残され、それによりステープル留めされた組織をジョーから解放することができる。アクチュエータシャフト216及びIビーム32を戻すと、ステープラカートリッジ組立体14をハンドル組立体12から取り外すことができ、そして新品のステープラカートリッジ組立体14を取り付けてステープル留めを続行することができる。
【0050】
従来型腹腔鏡下ステープラは、直径が現時点では約12ミリメートルであり、これは、挿入のために大きなサイズのカニューレを必要とし、それ故、患者に設けられる大きな切開創を必要とする。本発明の腹腔鏡下ステープラ10は、
図67に示されているように約0.271インチ(6.883mm)の直径を有し、これは、有利には、患者に設ける必要のある切開創が小さくてすむ小径カニューレ内に嵌まる。小さな切開創の結果として、疼痛が小さく、患者の回復時間が早く、しかも手術後に見える瘢痕が小さい。
図67は、Iビーム32がエンドエフェクタ18の直径を実質的に定めている状態を示している。ステープル留め器具の直径の半分よりもほぼほんの少ない直径分が上側ジョーに費やされ、上側ジョーと下側ジョーとの間の隙間としてステープル及びスライダを含むステープル配備機構体を収容するステープル留め器具の直径の約半分、即ち、約0.130インチ(3.302mm)が残される。
【0051】
伝統的なステープラで提起される問題は、これらステープラが大きな直径及び大きな切開創を必要とすると共にステープルを配備するために大きな発火力を必要とすることにある。これは、伝統的なステープルがステープルを配備するためのプッシャを必要としていることに起因している。プッシャは、各ステープルとスライダとの間に設けられた中間カム作用面である。典型的には、各プッシャは、ステープルと同一高さのものであり、ステープルの真下に位置する。プッシャの高さは、ステープルをステープルポケットから完全に押し出して上側ジョーと下側ジョーとの間の隙間の中に押し込むためにはステープルの高さにほぼ等しくなければならない。プッシャは、典型的には、傾斜したスライダに対してカム作用する傾斜した下面を有する。プッシャの上面は、典型的には、平坦且つ水平であり、ステープルの基部に垂直にカム作用する。本質的には、プッシャは、典型的には5ミリメートルカニューレと呼ばれる小さなサイズのカニューレ内に嵌まる小さなステープラを達成しようとする場合に有用な空間を占める。本発明は、ステープルの基部がスライダの傾斜カム作用面に平行であるようなステープルの傾斜した位置決めに起因してプッシャを全て不要にしている。本発明のステープルは、角度をなして配置されるので、水平に移動するスライダは、配備中、ステープルに直接接触し、この場合、ステープルとスライダとの間に追加のプッシャが設けられない。本発明ではプッシャが不要なので、広い空間が節約され、その結果、非常に小さな直径の器具が得られる。
【0052】
ステープルサイズを減少させることが重要であるだけでなく、従来型ステープラと同じほど強固である仕方で組織を保持すると共に本発明のステープラによって達成される重要な要因である確実且つ繰り返し可能な仕方でこのように組織を保持することができる閉じステープル形態を形成するステープルを効果的に配備することが重要である。本発明が取り組んで首尾良く回避する従来型ステープラの別の問題は、アンビル表面に関する。伝統的なアンビル表面は、アンビル表面に形成された綿密に作られたアンビルポケットを有する。これらアンビル表面の形成部は、従来型ステープラにおいてステープルを確実且つ繰り返し形成するために必要である。アンビル表面は、従来型ステープルがアンビル表面に垂直に配置されるので特に重要であり、アンビル表面形成部なしでは、座屈するステープルレッグを案内するために、ステープルレッグは、任意の方向に広がり、組織を固定する上で重要な良好なクロージャを形成することはない。さらに、伝統的なステープラのアンビルポケットは、完全なステープルフォーメーションを行うためには、上側ジョーのアンビルがステープルポケット、特にポケット内に位置するステープルと完全に位置合わせされることを必要とする。アンビル表面形成部又はポケットは、ステープルフォーメーションの信頼性にとって必要条件であるが、これらアンビル表面形成部又はポケットは又、製造費を増大させ、かかる製造費の増大は、綿密に作られた表面形成部を形成するだけでなくアンビル表面形成部がステープル軌道と整列するのを確実にすることに起因して生じる。本発明は、有利には、アンビル表面形成部をなくし、ステープルレッグを当てて変形させる滑らかで平坦なアンビル表面を提供する。代表的には、アンビル表面形成部なしで、ステープルレッグは、任意の方向に広がり、完全なクロージャを形成することはない。しかしながら、本発明は、ステープルをアンビル表面に対して角度をなして保持する傾斜したステープル保持場所を提供する。さらに、ステープルは、1本の長いレッグ及び短いレッグを有する。この設計の結果として、ステープルが下側ジョーから突き出されると、ステープル突き出しをリードするのは、この長いレッグである。長いレッグがリードするので、このレッグは、アンビル表面に接触する最初のレッグであり、第1のレッグは、任意の方向に広がるのではなく、第2のレッグに向かって確実に曲げられる。ステープル先端部の位置合わせ不良は、長いレッグが平坦なアンビル表面に当てて変形しているときに短いレッグを含むステープルの残りの部分がステープルポケット又はステープル保持場所内に実質的に閉じ込められると共に案内されるままであり、結果として成形不良のステープルを生じさせるような側方変位しないようにされるからである。また、長いレッグの先端部は、湾曲し又は面取りされており、それによりステープルが第2のレッグに向かって曲がる傾向がもたらされる。また、湾曲した先端部により、長いレッグの先端部は、ステープルの長いレッグを変形させているときに滑らかなアンビル表面に当たった状態で摺動することができる。それ故、本発明は、エンドエフェクタの全体的直径を減少させるだけでなく、ステープルのフォーメーションの再現性及び確実性を犠牲にしないでこれを行うことができる。
【0053】
外科用ステープラを5mmカニューレ内に嵌め込む場合の問題は、スライダとステープルとの間に設けられた「プッシャ」とも呼ばれている中間カム作用部分が設けられていないことによって解決される。代表的には、ステープルのレッグは、これらがアンビルに初直であるように受け入れポケット内に配置される。傾斜スライダは、プッシャに接触し、プッシャは、次に、ステープルに接触してステープルをステープルポケットから打ち出す。中間カム作用部分又はプッシャが設けられていなければ、スライダは、ステープルに直接接触しなければならず、それにより斜めの力がステープルに加わる恐れが生じ、ステープルレッグを傾けてこれらをアンビル表面形成部との位置合わせ又は整列状態から外し、その結果、成形不良のステープルが生じ、又はステープルレッグをポケットに対して斜めにし、その結果、ステープルがポケットに当たって詰まることになる。代表的には、ステープルが、プッシャの上に積み重ねられる。したがって、プッシャの除去により、設計において極めて広い空間が節約され、斜めのステープルが、斜めのスライダに直接接触する。また、プッシャを不要にすることにより、コンポーネントの数が減少するので製造費が一段と減少し、しかも、プッシャをもはや組み立てる必要がないので製造が容易になる。ステープル自体の傾斜した向きは又、ステープルが伝統的なステープラの場合のように垂直に差し向けられていることとは異なり、非常に省スペース化が得られる。ステープルレッグが接触する標的ポケット又はアンビル表面形成部が設けられていないので、ステープルフォーメーションの確実性が大幅に向上する。というのは、ステープルは、伝統的なステープラの場合のようにアンビルポケットとの位置合わせ不良という危険を冒さないで、滑らかなアンビル表面に当たって自由に変形するからである。また、ステープラが位置する同一の空間又はスロットをスライダが通過することによって、有用な空間が節約される。
【0054】
次に
図68を参照すると、
図17〜
図21を参照して上述したステープルカートリッジとほぼ同じステープルカートリッジ52の別の形態が示されており、図中、同一の符号は、同一の部分を示すために用いられている。上述したように、カートリッジ52は、ステープル受け入れポケットの単一の列を形成するよう互いにサンドイッチされた少なくとも2枚のプレートを有し、ステープル列の所望の数を増大させるよう追加のプレートが追加されている。第1のプレート82の外面88は、滑らかであり、内面90は、複数個のステープル保持場所92を備えている。ステープル保持場所92は、第1のプレート82の内面90に形成された凹部である。各ステープル保持場所92は、実質的にU字形であり、各ステープル保持場所92は、後側側壁96と対向して且つ実質的にこれに平行に形成された前側側壁94によって構成されている。後側側壁96は、底壁98に相互連結され、底壁98と前側側壁94との間に隙間100を構成するL字形の壁が形成されている。一形態では、隙間100が形成されていない。これとは異なり、底壁98は、前側側壁94と後側側壁96の両方に相互連結されて完全なU字形のステープル保持場所92が形成されている。U字形ステープル保持場所は、約30°〜90°の角度をなしており、90°が垂直の非傾斜向きである。
図68は、U字形ステープル保持場所が90°の角度をなし又は実質的に垂直である状態を示している。凹み壁99は、内面90に対して引っ込んでいる。ステープル保持場所92相互間に位置する内面90のセグメントは、ステープル受け入れ場所92相互間に延びる複数の水平溝236を含む。溝236は、長方形であり、断面が正方形又は長方形である。溝236は、凹み壁99の深さに等しい深さを有している。溝236は、ランド238によって互いに隔てられており、ランド238は、内面90を構成し、従って、内面90と高さが同一である。溝236は、各側壁94,96及びステープル保持場所92の底壁98と交差する第1のプレートの長さ全体にわたって延びている。ステープル保持場所92は、溝付き側壁94,96,98の厚さよりも厚い相補する実質的にU字形のステープルを部分的に受け入れると共に保持するよう構成されている。一形態では、ステープル保持場所92は、
図68に示されているように相補するU字形のステープルの全厚を受け入れ、従って、ステープル保持場所92の外側に位置するステープル54の部分は存在しない。スライダ56は、これ又、ステープル保持場所92相互間に位置する直立ランド238を受け入れるチャネルを形成している複数個の水平溝240を備えた側面付きの傾斜カム作用面150を有する。第2のプレート84又はシムが
図68には示されていないが、かかる第2のプレート84又はシムは、第1のプレート82と一緒になって、これらの間にスロット120を形成しており、スライダ56の傾斜カム作用面150は、互いにインターロックされた溝240及びランド238を備えた側面に相互連結された状態でこのスロット120内で並進することができる。ステープル54が溝付きステープル受け入れ部分92内に位置しているので、スライダ56の傾斜カム作用面150は、傾斜カム作用面150が溝136を通って並進してステープル54を上方に押し出すときにステープルの外面166に依然として接触することができる。第1のプレート82の溝付き内面90は、有利には、極めて薄いステープル、例えば、ステープルポケット深さ又はステープル保持場所92の深さと同一の深さに等しい厚さを有するステープルの使用を可能にする。ステープルポケットの深さは、約0.0085インチ(0.216mm)であり、これは、本発明のこの形態で用いることができるステープル54の厚さでもある。したがって、溝付きプレート82は、極めて薄いステープルを許容するだけでなく、ステープルのサイズを減少させ又はエンドエフェクタを強固にする構造体のための追加の空間の実現を可能にする。
【0055】
本発明のステープラは、腹腔鏡下手技に特に適しているが、本発明は、これには限定されず、本発明のステープラは、開放外科的処置において等しく効果的に使用できる。腹腔鏡下手技では、本発明のステープラは、例えば、組織、例えば、結腸、小腸及び胃の閉じ及び吻合に使用できる。
【0056】
理解されるように、本明細書において開示した外科用ステープラの実施形態の種々の改造を行うことができる。したがって、上述の説明は、本発明を限定するものと解されてはならず、好ましい実施形態の例示として解されるに過ぎない。当業者であれば、本発明の範囲及び精神に含まれる他の改造例を想到できよう。