(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
イミダゾール系硬化触媒(B)が、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、ジメチルイミダゾール、N-ベンジルイミダゾール、1−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、ベンジルメチルイミダゾール、およびイミダゾールよりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の光学材料の製造方法。
イミダゾール系硬化触媒(B)が、ジメチルイミダゾール、およびベンジルメチルイミダゾールよりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1または2に記載の光学材料の製造方法。
脂環族イソシアネート化合物(c1)は、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス(4−イソシアナトシクロへキシル)メタン、ビス(イソシアナトメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、およびイソホロンジイソシアネートよりなる群から選択される少なくとも1種であり、
脂肪族イソシアネート化合物(c2)は、m−キシリレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,7−ヘプタメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、およびデカメチレンジイソシアネートおよびその変性体よりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれかに記載の光学材料の製造方法。
チオール化合物(A)のうち1以上のスルフィド結合を有する二官能以上のチオール化合物は、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン、4,8または4,7または5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、4,6−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアン、および2−(2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)−1,3−ジチエタンよりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれかに記載の光学材料の製造方法。
一般式(1)で表されるチオール化合物において、l、mは、独立して1〜2の整数を示し、rは1〜3の整数、およびnは1または2である、請求項6に記載の光学材料の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の光学材料の製造方法を、以下の実施の形態に基づいて説明する。
本実施形態の光学材料の製造方法は、以下の工程を含む。
工程a:1以上のスルフィド結合および/または1以上のエステル結合を有する二官能以上のチオール化合物(A)と、イミダゾール系硬化触媒(B)との混合液を調製する。
工程b:前記混合液と、少なくとも1種の二官能以上の脂環族イソシアネート化合物(c1)および/または二官能以上の脂肪族イソシアネート化合物(c2)を含むイソシアネート化合物(C)と、を混合して光学材料用重合性組成物を調製する。
工程c:前記光学材料用重合性組成物を、鋳型内に注入する。
工程d:前記光学材料用重合性組成物を前記鋳型内で重合硬化する。
【0013】
<工程a>
本工程においては、1以上のスルフィド結合および/または1以上のエステル結合を有する二官能以上のチオール化合物(A)と、イミダゾール系硬化触媒(B)との混合液を調製する。
まず、各成分について説明する。
【0014】
[チオール化合物(A)]
チオール化合物(A)は、1以上のスルフィド結合および/または1以上のエステル結合を有する二官能以上のチオール化合物である。
チオール化合物(A)として、具体的には、
1以上のスルフィド結合を有する二官能以上のチオール化合物(a1)(以下、「チオール化合物(a1)」と略することもある。)、
1以上のエステル結合を有する二官能以上のチオール化合物(a2)(以下、「チオール化合物(a2)」と略することもある。)、
1以上のエステル結合および1以上のスルフィド結合を有する二官能以上のチオール化合物(a3)(以下、「チオール化合物(a3)」と略することもある。)
を挙げることができる。
チオール化合物(A)は、天然物由来(植物由来)の原料、または化石由来の原料のいずれから製造されたものを用いても構わない。
【0015】
チオール化合物(A)としては、チオール化合物(a1)〜(a3)のいずれか1つに含まれる化合物から選択される一種以上の化合物、チオール化合物(a1)〜(a3)のいずれか2つに含まれる化合物から選択される一種以上の化合物、またはチオール化合物(a1)〜(a3)に含まれる化合物から選択される一種以上の化合物を挙げることができる。
本実施形態において、チオール化合物(A)は、チオール化合物(a1)とチオール化合物(a2)から選択される一種以上を用いることが好ましく、より好ましくは、チオール化合物(a1)からのみ選択される化合物、または、チオール化合物(a1)に含まれる化合物から選択される一種以上の化合物と、チオール化合物(a2)に含まれる化合物から選択される一種以上の化合物と、を組み合わせて用いることができる。
【0016】
チオール化合物(a1)は、1以上のスルフィド結合を有し、2つ以上のSH基を有する化合物である。
チオール化合物(a1)として、具体的には、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン、4,8または4,7または5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、ビス(メルカプトメチル)スルフィド、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、ビス(メルカプトメチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトメチルチオ)メタン、ビス(2−メルカプトエチルチオ)メタン、1,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エタン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)エタン、1,3−ビス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,3−ビス(2−メルカプトエチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(2−メルカプトエチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(3−メルカプトプロピルチオ)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、4,6−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアン、2−(2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)−1,3−ジチエタン、テトラキス(メルカプトメチルチオメチル)メタン、テトラキス(2−メルカプトエチルチオメチル)メタン、ビス(2,3−ジメルカプトプロピル)スルフィド、等を挙げることができ、少なくとも1種を用いることができる。
【0017】
本実施形態において、チオール化合物(a1)として、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン、4,8または4,7または5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、4,6−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアン、2−(2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)−1,3−ジチエタンよりなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
【0018】
チオール化合物(a2)は、1以上のエステル結合を有し、2つ以上のSH基を有する化合物である。
チオール化合物(a2)として、具体的には、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール(3−メルカプトプロピオネート)、3−メルカプト−1,2−プロパンジオールビス(2−メルカプトアセテート)、3−メルカプト−1,2−プロパンジオールジ(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールエタントリス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリス(3−メルカプトプロピオネート)、グリセリントリス(2−メルカプトアセテート)、グリセリントリス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−シクロヘキサンジオールビス(2−メルカプトアセテート)、1,4−シクロヘキサンジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、チオグリコール酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、ヒドロキシエチルスルフィド(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルスルフィド(3−メルカプトプロピオネート)、下記一般式(1)で表されるチオール化合物等が挙げられる。
【0020】
式中、l、m、rは、独立して1〜4の整数を示し、nは1〜3の整数を示す。Rは、水素またはメチル基を表し、Rが複数存在する場合は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。l、mは、独立して1〜2の整数を示し、rは1〜3の整数、nは1または2であることが好ましい。
【0021】
一般式(1)で表されるチオール化合物は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコールとメルカプトアルキルカルボン酸との縮合物であり、具体的には、エチレングリコールビス(メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビス(メルカプトブチレート)、ジエチレングリコールビス(メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(メルカプトブチレート)、トリエチレングリコールビス(メルカプトアセテート)、トリエチレングリコールビス(メルカプトプロピオネート)、トリエチレングリコールビス(メルカプトブチレート)、ビス(3−メルカプトプロピオン酸)1,4−ブタンジオール等を挙げることができる。これらのうちから1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0022】
一般式(1)で表されるチオール化合物として、好ましくは、ジエチレングリコールビス(メルカプトプロピオネート)、ビス(3−メルカプトプロピオン酸)1,4−ブタンジオールを用いることができる。
【0023】
チオール化合物(a2)としては、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、および上記一般式(1)で表されるチオール化合物よりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0024】
本実施形態において、チオール化合物(a2)として、より好ましくは、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(メルカプトプロピオネート)、ビス(3−メルカプトプロピオン酸)1,4−ブタンジオールを用いることができる。
【0025】
チオール化合物(a3)は、1以上のエステル結合および1以上のスルフィド結合を有し、2つ以上のSH基を有する化合物である。
チオール化合物(a3)として、具体的には、2,2´−チオジエタノールビス(2−メルカプトアセテート)、2,2´−チオジエタノールビス(3−メルカプトプロピオネート)、チオジメタノールビス(2−メルカプトアセテート)、チオジメタノールビス(3−メルカプトプロピオネート)等を挙げることができる。これらのうちから1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0026】
[イミダゾール系硬化触媒(B)]
イミダゾール系硬化触媒(B)としては、特に限定されないが、下記一般式(2)で表される化合物を用いることができ、当該化合物を少なくとも1種以上含むことができる。
【0028】
式中、R1、R2、R3及びR4は独立して水素、メルカプト基、シアノ基、置換されていてもよいアルキル基、または置換されていてもよいフェニル基で表される基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
置換されていてもよいアルキル基とは、置換または無置換の炭素数1〜12のアルキル基である。
置換された炭素数1〜12のアルキル基の置換基としては、水酸基、シアノ基、メルカプト基などを挙げることができる。置換されたフェニル基の置換基としては、水酸基、シアノ基、メルカプト基などを挙げることができる。
【0029】
イミダゾール系硬化触媒(B)としては、具体的に、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2−フェニルイミダゾール、2-メルカプト−1−メチルイミダゾール、ジメチルイミダゾール、N-ベンジルイミダゾール、1−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、ベンジルメチルイミダゾール、イミダゾール等が挙げられる。
好ましくは、ジメチルイミダゾール、ベンジルメチルイミダゾールが挙げられる。ジメチルイミダゾール、ベンジルメチルイミダゾールの位置異性体においては、1,2−ジメチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾールが好ましい例として挙げられる。
工程aにおいては、後述する「その他の成分」をさらに添加することもできる。
【0030】
本工程においては、チオール化合物(A)とイミダゾール系硬化触媒(B)とを含む混合液を調製する。チオール化合物(A)は1種単独で用いることができ、2種以上を混合して用いることもできる。混合方法は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。
公知の方法としては、例えば、イミダゾール系硬化触媒(B)とチオール化合物(A)を含むマスターバッチを作製して、このマスターバッチをチオール化合物(A)に分散・溶解させ、混合液を得る方法などが挙げられる。
混合温度は、5〜50℃、好ましくは、10〜30℃とすることができる。添加順序、添加速度は、各成分を均一に混合することができれば特に限定されない。混合時間についても、上記観点から、5〜60分、好ましくは、15〜30分とすることができる。常圧下でも、加圧下でも特に限定されない。
このようにして得られた混合液は、取扱いが容易であり、本実施形態の製造方法に用いることにより光学材料の生産性が向上する。
【0031】
本実施形態において、脈理の発生率が低く、異物の発生が抑制されたプラスチックレンズ等の光学材料を効率良く製造する観点から、イミダゾール系硬化触媒(B)は、チオール化合物(A)および後述するイソシアネート化合物(C)の合計量に対して、5ppm以上、好ましくは10ppm以上、さらに好ましくは50ppm以上、特に好ましくは100ppm以上の量で用いることができる。一方、上限値は、プラスチックレンズ等の光学材料の脈理や異物の発生を抑制し、さらにポットライフ等の作業性の観点から、3000ppm以下、好ましくは2000ppm以下、さらに好ましくは1000ppm以下とすることができる。
イミダゾール系硬化触媒(B)の使用量は、上記の上限値および下限値を適宜組み合わせることができるが、5ppm〜3000ppm、好ましくは5〜2000ppm、さらに好ましくは5〜1000ppm、より好ましくは50〜1000ppm、特に好ましくは100〜1000ppmとすることができる。このような量でイミダゾール系硬化触媒(B)を含むことにより、脈理の発生率が低く、異物の発生が効果的に抑制されたプラスチックレンズを作業性良く得ることができる。
【0032】
<工程b>
本工程においては、工程aで得られた混合液と、少なくとも1種の二官能以上の脂環族イソシアネート化合物(c1)および/または二官能以上の脂肪族イソシアネート化合物(c2)を含むイソシアネート化合物(C)と、を混合して光学材料用重合性組成物を調製する。
まず、各成分について説明する。
【0033】
[イソシアネート化合物(C)]
イソシアネート化合物(C)は、二官能以上の脂環族イソシアネート化合物(c1)、および/または二官能以上の脂肪族イソシアネート化合物(c2)を含む。
イソシアネート化合物(C)としては、脂環族イソシアネート化合物(c1)に含まれる化合物から選択される一種以上の化合物、脂肪族イソシアネート化合物(c2)に含まれる化合物から選択される一種以上の化合物、または脂環族イソシアネート化合物(c1)に含まれる化合物から選択される一種以上の化合物と、脂肪族イソシアネート化合物(c2)に含まれる化合物から選択される一種以上の化合物との組み合わせ、を挙げることができる。
イソシアネート化合物(C)は、天然物由来(植物由来)の原料、または化石由来の原料のいずれから製造されたものを用いても構わない。
【0034】
さらに、イソシアネート化合物(C)は単量体以外に、変性体および/または変性体との混合物の場合も含み、イソシアネートの変性体としては、例えば、多量体、ビウレット変性体、アロファネート変性体、オキサジアジントリオン変性体、ポリオール変性体などが挙げられる。多量体としては、例えば、ウレットジオン、ウレトイミン、カルボジイミド等の二量体、イソシアヌレート、イミノオキサジアンジオン等の三量体以上の多量体が挙げられる。脂肪族ポリイソシアネートの変性体においては、好ましくは、脂肪族ポリイソシアネートの多量体が挙げられ、さらに好ましくは、脂肪族ポリイソシアネートのイソシアヌレート体が挙げられる。
本実施形態においては、イソシアネート化合物(C)として脂環族イソシアネート化合物(c1)と脂肪族イソシアネート(c2)から選択される一種以上を用いることが好ましい。
【0035】
二官能以上の脂環族イソシアネート化合物(c1)は、芳香環以外の環状骨格および2つ以上のイソシアナト基を有する化合物である。脂環族イソシアネート化合物(c1)として、具体的には、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス(4−イソシアナトシクロへキシル)メタン、ビス(イソシアナトメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、イソホロンジイソシアネート等を挙げることができ、少なくとも1種を用いることができる。
【0036】
なお、ビス(イソシアナトメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンは、2,5−ビス(イソシアナトメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、および2,6−ビス(イソシアナトメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンの異性体の混合物である。本実施形態において、この異性体の混合物からなる当該化合物は、1種の化合物として用いられる。
本実施形態においては、脂環族イソシアネート化合物(c1)として、ビス(4−イソシアナトシクロへキシル)メタン、ビス(イソシアナトメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンが好ましく、少なくとも1種を用いることができる。
【0037】
二官能以上の脂肪族イソシアネート化合物(c2)は、炭素数1〜15のアルキレン鎖および2つ以上のイソシアナト基を有する化合物である。
脂肪族イソシアネート化合物(c2)として、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2−ジメチルペンタンジイソシアネート、1,7−ヘプタメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートメチルエステル、リジントリイソシアネート、o−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、α,α,α′,α′−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)ナフタリン、メシチリレントリイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)スルフィド、ビス(イソシアネートエチル)スルフィド、ビス(イソシアネートメチル)ジスルフィド、ビス(イソシアネートエチル)ジスルフィド、ビス(イソシアネートメチルチオ)メタン、ビス(イソシアネートエチルチオ)メタン、ビス(イソシアネートエチルチオ)エタン、ビス(イソシアネートメチルチオ)エタン、ダイマー酸ジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトエチル)カーボネート、ビス(イソシアナトエチル)エーテル、1,6,11−ウンデカトリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオクタン、または上記化合物の変性体等を挙げることができ、少なくとも1種を用いることができる。
【0038】
本実施形態において、脂肪族イソシアネート化合物(c2)として、m−キシリレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,7−ヘプタメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート,ダイマー酸ジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、およびデカメチレンジイソシアネートまたは上記化合物の変性体が好ましく、少なくとも1種を用いることができる。
工程bにおいては、以下に記載された、その他の成分をさらに添加することもできる。
【0039】
[その他の成分]
本実施形態の重合性組成物は、その他の活性水素化合物、内部離型剤、樹脂改質剤、光安定剤、ブルーイング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色防止剤、染料等の添加剤等をさらに含んでいてもよい。
【0040】
(活性水素化合物)
本実施形態では、チオール化合物(A)、イミダゾール系硬化触媒(B)以外の活性水素化合物を含むことができる。
本実施形態における活性水素化合物としてのチオール化合物としては、例えば、脂肪族チオール化合物、芳香族チオール化合物等が挙げられる。
【0041】
脂肪族チオール化合物は、スルフィド結合およびエステル結合を含まない化合物であり、例えば、メタンジチオール、1,2−エタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,2−シクロヘキサンジチオール、3,4−ジメトキシブタン−1,2−ジチオール、2−メチルシクロヘキサン−2,3−ジチオール、1,2−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,3−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、ビス(2−メルカプトエチル)エーテル、テトラキス(メルカプトメチル)メタン等が挙げられる。
【0042】
芳香族チオール化合物としては、例えば、1,2−ジメルカプトベンゼン、1,3−ジメルカプトベンゼン、1,4−ジメルカプトベンゼン、1,2−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3−トリメルカプトベンゼン、1,2,4−トリメルカプトベンゼン、1,3,5−トリメルカプトベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、2,5−トルエンジチオール、3,4−トルエンジチオール、1,4−ナフタレンジチオール、1,5−ナフタレンジチオール、2,6−ナフタレンジチオール、2,7−ナフタレンジチオール、1,2,3,4−テトラメルカプトベンゼン、1,2,3,5−テトラメルカプトベンゼン、1,2,4,5−テトラメルカプトベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、2,2'−ジメルカプトビフェニル、4,4'−ジメルカプトビフェニル等が挙げられる。
【0043】
(内部離型剤)
本実施形態の重合組成物は、成形後におけるモールドからの離型性を改善する目的で、内部離型剤を含むことができる。
内部離型剤としては、酸性リン酸エステルを用いることができる。酸性リン酸エステルとしては、リン酸モノエステル、リン酸ジエステル等を挙げることができ、それぞれ単独または2種類以上混合して使用することできる。
例えば、STEPAN社製のZelecUN、三井化学社製のMR用内部離型剤、城北化学工業社製のJPシリーズ、東邦化学工業社製のフォスファノールシリーズ、大八化学工業社製のAP、DPシリーズ等、を用いることができる。
【0044】
(樹脂改質剤)
また、本実施形態の重合性組成物には、得られる樹脂の光学物性、耐衝撃性、比重等の諸物性の調節及び、当該組成物の粘度やポットライフの調整を目的に、樹脂改質剤を本実施形態の効果を損なわない範囲で加えることができる。
樹脂改質剤としては、例えば、エピスルフィド化合物、アルコール化合物、アミン化合物、エポキシ化合物、有機酸及びその無水物、(メタ)アクリレート化合物等を含むオレフィン化合物等が挙げられる。
【0045】
(光安定剤)
光安定剤としては、ヒンダードアミン系化合物を用いることができる。ヒンダードアミン系化合物は、市販品としてChemtura社製のLowilite76、Lowilite92、BASF社製のTinuvin144、Tinuvin292、Tinuvin765、ADEKA社製のアデカスタブLA−52、LA−72、城北化学工業社製のJF−95等を挙げることができる。
【0046】
(ブルーイング剤)
ブルーイング剤としては、可視光領域のうち橙色から黄色の波長域に吸収帯を有し、樹脂からなる光学材料の色相を調整する機能を有するものが挙げられる。ブルーイング剤は、さらに具体的には、青色から紫色を示す物質を含む。
【0047】
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤としては、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−アクリロイルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−アクリロイルオキシ−5−tert−ブチルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−アクリロイルオキシ−2',4'−ジクロロベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、
2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−(2'−エチル)ヘキシル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−ブチルオキシフェニル)−6−(2,4−ビス−ブチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン等のトリアジン系紫外線吸収剤、
2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−tert−オクチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール、2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−tert−ブチルフェノール、2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2,4−tert−ブチルフェノール、2,2'−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤などが挙げられるが、好ましくは2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−tert−オクチルフェノールや2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−tert−ブチルフェノールのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は単独でも2種以上を併用することもできる。
【0048】
工程bにおいて、イソシアネート化合物(C)のイソシアナト基に対する、チオール化合物(A)のメルカプト基のモル比率が0.8〜1.2の範囲内、好ましくは0.85〜1.15の範囲内、さらに好ましくは0.9〜1.1の範囲内となるように、イソシアネート化合物(C)を用いることができる。上記範囲内であることで、光学材料、特に眼鏡用プラスチックレンズ材料として好適に使用される樹脂を得ることができる。
【0049】
工程bにおいては、イソシアネート化合物(C)と、工程aで得られた混合液、さらに必要に応じて内部離型剤、その他添加剤を混合して重合性組成物を調製する。混合の際の液温は通常25℃以下である。重合性組成物のポットライフの観点から、さらに低温にすると好ましい場合がある。ただし、内部離型剤、添加剤のモノマーへの溶解性が良好でない場合は、あらかじめ加温して、モノマー、樹脂改質剤に溶解させることも可能である。
【0050】
本実施形態において、イミダゾール系硬化触媒(B)とチオール化合物(A)とを含む混合液を調製し、工程bにおいて工程aで得られた混合液とイソシアネート化合物(C)とを混合して光学材料用重合性組成物を調製することで、イミダゾール系触媒による重合性化合物および重合性組成物への影響が抑えられ、その結果、脈理の発生率が低く、異物の発生が効果的に抑制された高品質のプラスチックレンズを製造することができる。
【0051】
<工程c>
本工程では、工程bで得られた光学材料用重合性組成物を、鋳型内に注入する。
例えば、ガスケットまたはテープ等で保持された成型モールド(鋳型)内に重合性組成物を注入する。この時、得られるプラスチックレンズ等の光学材料に要求される物性によっては、必要に応じて、減圧下での脱泡処理や加圧、減圧等の濾過処理等を行うことが好ましい場合が多い。
【0052】
光学材料用重合性組成物の鋳型内への注入は、従来公知の方法により行うことができ、例えば手動で注入を行うことも、または混合・注入機を用いて行うこともできる。
本実施形態における鋳型は、光学材料を調製するためのものであれば様々な形態のものを用いることができ、特に限定されるものではない。
【0053】
<工程d>:
本工程では、工程cにおいて鋳型内に注入された光学材料用重合性組成物を重合硬化する。
重合条件については、重合性組成物の組成、触媒の種類と使用量、モールドの形状等によって大きく条件が異なるため限定されるものではないが、およそ、−50〜150℃の温度で1〜50時間かけて行われる。場合によっては、10〜150℃の温度範囲で保持または徐々に昇温して、1〜25時間で硬化させることが好ましい。
【0054】
本実施形態のチオウレタン樹脂からなる光学材料は、必要に応じて、アニール等の処理を行ってもよい。処理温度は通常50〜150℃の間で行われるが、90〜140℃で行うことが好ましく、100〜130℃で行うことがより好ましい。
【0055】
本実施形態において、チオウレタン樹脂からなる光学材料を成形する際には、上記「その他の成分」に加えて、目的に応じて公知の成形法と同様に、鎖延長剤、架橋剤、油溶染料、充填剤、密着性向上剤などの種々の添加剤を加えてもよい。
【0056】
本実施形態における光学材料の製造方法によりプラスチック眼鏡レンズを製造する場合には、工程dにおいて、略円盤状のレンズ基材を調製する。
さらに、プラスチック眼鏡レンズを製造する場合には、このレンズ基材の少なくとも一方の面上に、コーティング層を形成する工程を含むことができる。
【0057】
コーティング層として、具体的には、プライマー層、ハードコート層、反射防止層、防曇コート層、防汚染層、撥水層等が挙げられる。これらのコーティング層はそれぞれ単独で用いることも複数のコーティング層を多層化して使用することもできる。両面にコーティング層を施す場合、それぞれの面に同様なコーティング層を施しても、異なるコーティング層を施してもよい。
本実施形態のプラスチック眼鏡レンズは、前記光学材料からなるレンズ基材の少なくとも一方の面上に、プライマー層、ハードコート層、反射防止層を順に形成する工程を含む製造方法により得ることができ、さらに他の層を形成することもできる。
【0058】
これらのコーティング層はそれぞれ、紫外線からレンズや目を守る目的で紫外線吸収剤、赤外線から目を守る目的で赤外線吸収剤、レンズの耐候性を向上する目的で光安定剤や酸化防止剤、レンズのファッション性を高める目的で染料や顔料、さらにフォトクロミック染料やフォトクロミック顔料、帯電防止剤、その他、レンズの性能を高めるための公知の添加剤を併用してもよい。塗布によるコーティングを行う層に関しては塗布性の改善を目的とした各種レベリング剤を使用してもよい。
【0059】
プライマー層は通常、後述するハードコート層とレンズとの間に形成される。プライマー層は、その上に形成するハードコート層とレンズとの密着性を向上させることを目的とするコーティング層であり、場合により耐衝撃性を向上させることも可能である。プライマー層には得られたレンズに対する密着性の高いものであればいかなる素材でも使用できるが、通常、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、メラニン系樹脂、ポリビニルアセタールを主成分とするプライマー組成物などが使用される。プライマー組成物は組成物の粘度を調整する目的でレンズに影響を及ぼさない適当な溶剤を用いてもよい。無論、無溶剤で使用してもよい。
【0060】
プライマー層は塗布法、乾式法のいずれの方法によっても形成することができる。塗布法を用いる場合、プライマー組成物を、スピンコート、ディップコートなど公知の塗布方法でレンズに塗布した後、固化することによりプライマー層が形成される。乾式法で行う場合は、CVD法や真空蒸着法などの公知の乾式法で形成される。プライマー層を形成するに際し、密着性の向上を目的として、必要に応じてレンズの表面は、アルカリ処理、プラズマ処理、紫外線処理などの前処理を行っておいてもよい。
【0061】
ハードコート層は、レンズ表面に耐擦傷性、耐摩耗性、耐湿性、耐温水性、耐熱性、耐候性等機能を与えることを目的としたコーティング層である。
ハードコート層は、一般的には硬化性を有する有機ケイ素化合物とSi,Al,Sn,Sb,Ta,Ce,La,Fe,Zn,W,Zr,In及びTiの元素群から選ばれる元素の酸化物微粒子の1種以上および/またはこれら元素群から選ばれる2種以上の元素の複合酸化物から構成される微粒子の1種以上を含むハードコート組成物が使用される。
【0062】
ハードコート組成物には上記成分以外にアミン類、アミノ酸類、金属アセチルアセトネート錯体、有機酸金属塩、過塩素酸類、過塩素酸類の塩、酸類、金属塩化物および多官能性エポキシ化合物の少なくともいずれかを含むことが好ましい。ハードコート組成物にはレンズに影響を及ぼさない適当な溶剤を用いてもよいし、無溶剤でもよい。
【0063】
ハードコート層は、通常、ハードコート組成物をスピンコート、ディップコートなど公知の塗布方法で塗布した後、硬化して形成される。硬化方法としては、熱硬化、紫外線や可視光線などのエネルギー線照射による硬化方法等が挙げられる。干渉縞の発生を抑制するため、ハードコート層の屈折率は、レンズとの屈折率の差が±0.1の範囲にあるのが好ましい。
【0064】
反射防止層は、通常、必要に応じて前記ハードコート層の上に形成される。反射防止層には無機系および有機系があり、無機系の場合、SiO
2、TiO
2等の無機酸化物を用い、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビ−ムアシスト法、CVD法などの乾式法により形成される。有機系の場合、有機ケイ素化合物と、内部空洞を有するシリカ系微粒子とを含む組成物を用い、湿式法により形成される。
【0065】
反射防止層は単層および多層があり、単層で用いる場合はハードコート層の屈折率よりも屈折率が少なくとも0.1以上低くなることが好ましい。効果的に反射防止機能を発現するには多層膜反射防止膜とすることが好ましく、その場合、低屈折率膜と高屈折率膜とを交互に積層する。この場合も低屈折率膜と高屈折率膜との屈折率差は0.1以上であることが好ましい。高屈折率膜としては、ZnO、TiO
2、CeO
2、Sb
2O
5、SnO
2、ZrO
2、Ta
2O
5等の膜があり、低屈折率膜としては、SiO
2膜等が挙げられる。
【0066】
反射防止層の上には、必要に応じて防曇層、防汚染層、撥水層を形成させてもよい。防曇層、防汚染層、撥水層を形成する方法としては、反射防止機能に悪影響をもたらすものでなければ、その処理方法、処理材料等については特に限定されずに、公知の防曇処理方法、防汚染処理方法、撥水処理方法、材料を使用することができる。例えば、防曇処理方法、防汚染処理方法では、表面を界面活性剤で覆う方法、表面に親水性の膜を付加して吸水性にする方法、表面を微細な凹凸で覆い吸水性を高める方法、光触媒活性を利用して吸水性にする方法、超撥水性処理を施して水滴の付着を防ぐ方法などが挙げられる。また、撥水処理方法では、フッ素含有シラン化合物等を蒸着やスパッタによって撥水処理層を形成する方法や、フッ素含有シラン化合物を溶媒に溶解したあと、コーティングして撥水処理層を形成する方法等が挙げられる。
【0067】
本実施形態のチオウレタン樹脂を用いたプラスチック眼鏡レンズはファッション性やフォトクロミック性の付与などを目的として、目的に応じた色素を用い、染色して使用してもよい。レンズの染色は公知の染色方法で実施可能であるが、通常、以下に示す方法で実施される。
【0068】
一般的には、使用する色素を溶解または均一に分散させた染色液中に所定の光学面に仕上げられたレンズ生地を浸漬(染色工程)した後、必要に応じてレンズを加熱して色素を固定化(染色後アニール工程)する方法である。染色工程に用いられる色素は公知の色素であれば特に限定されないが、通常は油溶染料もしくは分散染料が使用される。染色工程で使用される溶剤は用いる色素が溶解可能もしくは均一に分散可能なものであれば特に限定されない。この染色工程では、必要に応じて染色液に色素を分散させるための界面活性剤や、染着を促進するキャリアを添加してもよい。染色工程は、色素および必要に応じて添加される界面活性剤を水又は水と有機溶媒との混合物中に分散させて染色浴を調製し、この染色浴中に光学レンズを浸漬し、所定温度で所定時間染色を行う。染色温度および時間は、所望の着色濃度により変動するが、通常、120℃以下で数分から数十時間程度でよく、染色浴の染料濃度は0.01〜10重量%で実施される。また、染色が困難な場合は加圧下で行ってもよい。必要に応じて実施される染色後アニール工程は、染色されたレンズ生地に加熱処理を行う工程である。加熱処理は、染色工程で染色されたレンズ生地の表面に残る水を溶剤等で除去したり、溶媒を風乾したりした後に、例えば大気雰囲気の赤外線加熱炉、あるいは抵抗加熱炉等の炉中に所定時間滞留させる。染色後アニール工程は、染色されたレンズ生地の色抜けを防止する(色抜け防止処理)と共に、染色時にレンズ生地の内部に浸透した水分の除去が行われる。
【0069】
<用途>
本実施形態の製造方法から得られるチオウレタン樹脂からなる光学材料は、注型重合時のモールドの種類を変えることにより種々の形状として得ることができる。
本実施形態の光学材料は、高い屈折率及び高い透明性を備え、プラスチックレンズ、カメラレンズ、発光ダイオード(LED)、プリズム、光ファイバー、情報記録基板、フィルター等としての各種用途に使用することが可能である。特に、プラスチックレンズ、カメラレンズ、発光ダイオード等の光学材料、光学素子として好適である。
プラスチックレンズとしては、上記の製造方法により得られるポリチオウレタン樹脂からなるプラスチック眼鏡レンズ、偏光フィルムの少なくとも一方の面に、ポリチオウレタン樹脂からなる層が積層しているプラスチック偏光レンズを挙げることができる。プラスチック偏光レンズの製造方法については後述する。
【0070】
本発明の光学材料の製造方法は、以下のように、プラスチック偏光レンズの製造方法により説明することもできる。なお、同様な工程については適宜説明を省略する。
【0071】
<プラスチック偏光レンズの製造方法>
本実施形態のプラスチック偏光レンズの製造方法は、以下の工程を備える。
工程i:レンズ注型用鋳型内に、偏光フィルムの少なくとも一方の面がモールドから離隔した状態で、該偏光フィルムを固定する。
工程ii:1以上のスルフィド結合および/または1以上のエステル結合を有する二官能以上のチオール化合物(A)と、イミダゾール系硬化触媒(B)との混合液を調製する。
工程iii:前記混合液と、少なくとも1種の二官能以上の脂環族イソシアネート化合物(c1)および/または二官能以上の脂肪族イソシアネート化合物(c2)を含むイソシアネート化合物(C)と、を混合して光学材料用重合性組成物を調製する。
工程iv:前記偏光フィルムと前記モールドとの間の空隙に、前記光学材料用重合性組成物を注入する。
工程v:前記光学材料用重合性組成物を重合硬化して、前記偏光フィルムの少なくとも一方の面にポリチオウレタン樹脂からなる層を積層する。
以下、各工程に沿って順に説明する。
【0072】
[工程i]
レンズ注型用鋳型の空間内に、偏光フィルムを、フィルム面の少なくとも一方が対向するモールド内面と平行となるように固定する。
レンズ注型用鋳型は、ガスケットで保持された2個の略円盤状のモールドから構成されるものが一般的である。このレンズ注型用鋳型の空間内に、偏光フィルムを、フィルム面が対向するフロント側のモールド内面と平行となるように設置する。偏光フィルムとモールドとの間には、空隙部が形成される。なお、偏光フィルムは予め附形されていてもよい。
【0073】
偏光フィルムには、ポリビニルアルコール偏光フィルム、熱可塑性ポリエステル偏光フィルムなど種々のものを用いることができる。熱可塑性ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、及びポリブチレンテレフタレート等を挙げることができる。
偏光フィルムとして、具体的には、二色性染料含有熱可塑性ポリエステル偏光フィルム、ヨウ素含有ポリビニルアルコール偏光フィルム、二色性染料含有ポリビニルアルコール偏光フィルム等が挙げられる。
【0074】
[工程ii、工程iii]
工程iiおよび工程iiiは、前述の光学材料の製造方法における工程aおよび工程bと各々同様に行うことができる。
【0075】
[工程iv]
本工程においては、偏光フィルムとモールドとの間の空隙に、前記光学材料用重合性組成物を注入する。工程ivにおける注入方法は、前述の光学材料の製造方法における工程cと同様に行うことができる。
[工程v]
そして、工程vは、前述の光学材料の製造方法における工程dと同様に行うことができる。
以上のような製造方法により、プラスチック偏光レンズを得ることができる。
【0076】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の様々な構成を採用することができる。
【実施例】
【0077】
以下に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下説明中、特に言及が無い限り「部」、%は重量基準である。
【0078】
(1,5−ペンタメチレンジイソシアネートの変性体を含む組成物であるポリイソシアネート(I)中の、未反応1,5−ペンタメチレンジイソシアネート濃度(%)の測定方法)
以下の装置を用い、1,5−ペンタメチレンジイソシアネートを標品として作成した検量線から変性体を含むポリイソシアネート(I)中の未反応1,5−ペンタメチレンジイソシアネートの濃度を求めた。
【0079】
装置:Prominence(島津製作所社製)
カラム:SHISEIDO SILICA SG−120
カラム温度:40℃
溶離液:n−ヘキサン/メタノール/1,2−ジクロロエタン=90/5/5(体積比)
流量:0.2ml/min
検出器:UV 225nm
R.Time:16.9min
測定溶液調整:50mlのメスフラスコに試料0.1gおよび試料の約20倍モルのジベンジルアミンを加え、1,2−ジクロロエタンでメスアップし測定溶液とした。
測定:測定溶液1μLを注入して測定を行った。
【0080】
(ポリイソシアネート(I)のイソシアネート基濃度(%)の測定方法)
電位差滴定装置を用いて、JIS K−1556に準拠したn−ジブチルアミン法により測定し、求めた。
【0081】
(ポリイソシアネート(I)中のイソシアヌレート1核体濃度(%)の測定方法)
以下の装置を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより求められたクロマトグラムより、全ピーク面積に対する1,5−ペンタメチレンジイソシアネートの3倍の分子量に相当するピークの面積比率をポリイソシアネート(I)中のイソシアヌレート1核体濃度(%)とした。
【0082】
装置:HLC−8020(東ソー社製)
カラム:G1000HXL、G2000HXL、G3000HXL(東ソー社製)の直列連結
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
流量:0.8ml/min
検出器:示差屈折系
R.Time:イソシアヌレート1核体 27.2min
標準物質:ポリエチレンオキシド(東ソー社製 TSK標準ポリエチレンオキシド)
測定:試料30mgをテトラヒドロフラン10mlに溶解し、得られた溶液100μLを注入して測定を行った。
【0083】
(ポリイソシアネート(I)の平均官能基数の算出方法)
ポリイソシアネート(I)の平均官能基数は、ポリイソシアネート(I)中のイソシアヌレート1核体濃度と同様の測定にて得られた数平均分子量およびポリイソシアネート(I)のイソシアネート基濃度を用い、以下の式より算出した。
(ポリイソシアネート(I)の平均官能基数)=(ポリイソシアネート(I)の数平均分子量)×(ポリイソシアネート(I)のイソシアネート基濃度(%))/4202
[合成例1]
(1,5−ペンタメチレンジイソシアネート変性体の合成(ポリイソシアネート(I)の調製))
攪拌器、温度計、還流管、および窒素導入管を備えた四つ口フラスコに1,5−ペンタメチレンジイソシアネート500部、イソブチルアルコールを1部、2,6−ジ(tert−ブチル)−4−メチルフェノールを0.3部、トリス(トリデシル)ホスファイト(城北化学(株)製、商品名:JP−333E)を0.3部装入し、80℃で2時間反応させた。次に、トリマー化触媒としてN−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム−2−エチルヘキサノエート(エアープロダクツジャパン(株)製、商品名:DABCO(R)TMR)を0.05部添加した。50分反応後o−トルエンスルホンアミド(以下、OTSと略記する場合がある)を0.12部添加した。得られた反応液を薄膜蒸留装置に通液して真空度0.09KPa、温度150℃で蒸留し、未反応のペンタメチレンジイソシアネートを401部得た。さらに得られた組成物100部に対してo−トルエンスルホンアミドを0.02部添加し、1,5−ペンタメチレンジイソシアネートの変性体を含む組成物であるポリイソシアネート(I)を100部得た。この変性体を構成する1,5−ペンタメチレンジイソシアネート由来の量は、98重量%であった。
【0084】
ポリイソシアネート(I)は、未反応1,5−ペンタメチレンジイソシアネート濃度が1%重量未満、イソシアヌレート1核体濃度が65重量%、数平均分子量が554.7、イソシアネート基濃度が25%、平均官能基数が3.3であった。
【0085】
重合により得られた樹脂成形体は性能試験を行い評価した。性能試験は、屈折率およびアッベ数、耐熱性および比重、異物の生成および脈理発生とし、以下の試験方法により評価した。
・屈折率(ne)、アッベ数(νe): 島津製作所社製プルフリッヒ屈折計KPR−30を用いて、20℃で測定した。
・耐熱性: 島津製作所社製TMA−60を使用し、TMAペネトレーション法(50g荷重、ピン先0.5mmφ)でのガラス転移温度(Tg)を耐熱性とした。
【0086】
・樹脂成形体中の異物:スライドプロジェクター(CABIN社製、CS−15)光源を用い、作製したレンズを目視観察し、樹脂成形体に異物が観測されるか否かを評価した。
【0087】
・脈理:高圧水銀灯(ウシオ電機株式会社製)光源を用い、作製した樹脂成形体10枚を目視観察したうち、樹脂成形体に脈理が全く観察されない良好なものが8−10枚であるものを○、6−7枚であるものを△、5枚以下であるものを×として評価した。
【0088】
[実施例1]
Zelec UN(酸性リン酸エステル:登録商標、Stepan社製)0.24部、viosorb583(紫外線吸収剤:登録商標、共同薬品株式会社製)3.0部および1,5−ペンタメチレンジイソシアネート48.3部を混合し、室温で15分間攪拌溶解させた後、1,5−ペンタメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体を含むポリイソシアネート(I)56.3部を混合してポリイソシアネート液を調製した。一方、4,8および4,7および5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンを主成分とするポリチオール66.1部、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)29.4部および1−ベンジル−2−メチルイミダゾール0.06部を混合し、室温で30分間攪拌溶解させてポリチオール液を調製した。上記ポリイソシアネート液とポリチオール液を全量混合し、室温で撹拌混合させモノマー混合物の均一溶液を得た。この均一溶液を、室温、減圧下にて30分間脱泡し、1μmテフロン(登録商標)フィルターにてろ過を行った後、ガラスモールドとテープからなるモールド型へ注入した。これをオーブンへ投入し、25℃〜120℃までおよそ24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンからモールド型を取り出し、離型した後、さらに120℃で2時間アニールを行い樹脂成形体を得た。樹脂成形体は、異物が認められず、無色透明な外観を有し、屈折率(ne)1.60、アッベ数(νe)38、耐熱性85℃であった。得られた10枚の樹脂成形体のうち脈理の無い良好なものは10枚であり、評価は○であった。
【0089】
[実施例2]
Zelec UN(酸性リン酸エステル:登録商標、Stepan社製)0.1部、viosorb583(紫外線吸収剤:登録商標、共同薬品株式会社製)1.5部および2,5(6)−ビス(イソシアナトメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン50.6部を混合し、室温で15分間攪拌溶解させてポリイソシアネート液を調製した。一方、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)23.9部、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン25.5部および1−ベンジル−2−メチルイミダゾール0.03部を混合し、室温で30分間攪拌溶解させてポリチオール液を調製した。上記ポリイソシアネート液とポリチオール液を全量混合し、室温で撹拌混合させモノマー混合物の均一溶液を得た。この均一溶液を、室温、減圧下にて30分間脱泡し、1μmテフロン(登録商標)フィルターにてろ過を行った後、ガラスモールドとテープからなるモールド型へ注入した。これをオーブンへ投入し、25℃〜120℃までおよそ24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンからモールド型を取り出し、離型した後、さらに120℃で2時間アニールを行い樹脂成形体を得た。樹脂成形体は、異物が認められず、無色透明な外観を有し、屈折率(ne)1.60、アッベ数(νe)39、耐熱性112℃であった。得られた10枚の樹脂成形体のうち脈理の無い良好なものは9枚であり、評価は○であった。
【0090】
[実施例3]
Zelec UN(酸性リン酸エステル:登録商標、Stepan社製)0.1部、viosorb583(紫外線吸収剤:登録商標、共同薬品株式会社製)1.5部およびm−キシリレンジイソシアネート52.0部を混合し、室温で15分間攪拌溶解させてポリイソシアネート液を調製した。一方、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン48.0部および1−ベンジル−2−メチルイミダゾール0.03部を混合し、室温で30分間攪拌溶解させてポリチオール液を調製した。上記ポリイソシアネート液とポリチオール液を全量混合し、室温で撹拌混合させモノマー混合物の均一溶液を得た。この均一溶液を、室温、減圧下にて30分間脱泡し、1μmテフロン(登録商標)フィルターにてろ過を行った後、ガラスモールドとテープからなるモールド型へ注入した。これをオーブンへ投入し、25℃〜120℃までおよそ24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンからモールド型を取り出し、離型した後、さらに120℃で2時間アニールを行い樹脂成形体を得た。樹脂成形体は、異物が認められず、無色透明な外観を有し、屈折率(ne)1.67、アッベ数(νe)31、耐熱性85℃であった。得られた10枚の樹脂成形体のうち脈理の無い良好なものは8枚であり、評価は○であった。
【0091】
[実施例4]
Zelec UN(酸性リン酸エステル:登録商標、Stepan社製)0.1部、viosorb583(紫外線吸収剤:登録商標、共同薬品株式会社製)1.5部およびm−キシリレンジイソシアネート50.6部を混合し、室温で15分間攪拌溶解させてポリイソシアネート液を調製した。一方、4,8および4,7および5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンを主成分とするポリチオール49.4部および1−ベンジル−2−メチルイミダゾール0.03部を混合し、室温で30分間攪拌溶解させてポリチオール液を調製した。上記ポリイソシアネート液とポリチオール液を全量混合し、室温で撹拌混合させモノマー混合物の均一溶液を得た。この均一溶液を、室温、減圧下にて30分間脱泡し、1μmテフロン(登録商標)フィルターにてろ過を行った後、ガラスモールドとテープからなるモールド型へ注入した。これをオーブンへ投入し、25℃〜120℃までおよそ24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンからモールド型を取り出し、離型した後、さらに120℃で2時間アニールを行い樹脂成形体を得た。樹脂成形体は、異物が認められず、無色透明な外観を有し、屈折率(ne)1.67、アッベ数(νe)31、耐熱性98℃であった。得られた10枚の樹脂成形体のうち脈理の無い良好なものは9枚であり、評価は○であった。
【0092】
[実施例5]
Zelec UN(酸性リン酸エステル:登録商標、Stepan社製)0.1部、viosorb583(紫外線吸収剤:登録商標、共同薬品株式会社製)1.5部および2,5(6)−ビス(イソシアナトメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン49.7部を混合し、室温で15分間攪拌溶解させてポリイソシアネート液を調製した。一方、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)24.4部、4,8および4,7および5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンを主成分とするポリチオール25.9部および1−ベンジル−2−メチルイミダゾール0.03部を混合し、室温で30分間攪拌溶解させてポリチオール液を調製した。上記ポリイソシアネート液とポリチオール液を全量混合し、室温で撹拌混合させモノマー混合物の均一溶液を得た。この均一溶液を、室温、減圧下にて30分間脱泡し、1μmテフロン(登録商標)フィルターにてろ過を行った後、ガラスモールドとテープからなるモールド型へ注入した。これをオーブンへ投入し、25℃〜120℃までおよそ24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンからモールド型を取り出し、離型した後、さらに120℃で2時間アニールを行い樹脂成形体を得た。樹脂成形体は、異物が認められず、無色透明な外観を有し、屈折率(ne)1.60、アッベ数(νe)39、耐熱性121℃であった。得られた10枚の樹脂成形体のうち脈理の無い良好なものは9枚であり、評価は○であった。
【0093】
[比較例1]
Zelec UN(酸性リン酸エステル:登録商標、Stepan社製)0.24部、viosorb583(紫外線吸収剤:登録商標、共同薬品株式会社製)3.0部、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール0.06部、および1,5−ペンタメチレンジイソシアネート48.3部を混合し、室温で15分間攪拌溶解させた後、1,5−ペンタメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体を含むポリイソシアネート(I)56.3部を混合してポリイソシアネート液を調製した。このポリイソシアネート液を調製する際に、発泡が確認された。このポリイソシアネート液に、4,8および4,7および5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンを主成分とするポリチオール66.1部およびペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)29.4部を加えて室温で撹拌混合させモノマー混合物の均一溶液を得た。この均一溶液を、室温、減圧下にて30分間脱泡し、1μmテフロン(登録商標)フィルターにてろ過を行った後、ガラスモールドとテープからなるモールド型へ注入した。これをオーブンへ投入し、25℃〜120℃までおよそ24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンからモールド型を取り出し、離型した後、さらに120℃で2時間アニールを行い樹脂成形体を得た。樹脂成形体は、無色透明な外観を有し、屈折率(ne)1.60、アッベ数(νe)38、耐熱性85℃であった。樹脂成形体において若干の脈理および異物が観察されたものがあった。得られた10枚の樹脂成形体のうち脈理の無い良好なものは4枚であり、評価は×であった。
【0094】
[比較例2]
Zelec UN(酸性リン酸エステル:登録商標、Stepan社製)0.24部、viosorb583(紫外線吸収剤:登録商標、共同薬品株式会社製)3.0部および1,5−ペンタメチレンジイソシアネート48.3部を混合し、室温で15分間攪拌溶解させた後、1,5−ペンタメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体を含むポリイソシアネート(I)56.3部を混合してポリイソシアネート液を調製した。このポリイソシアネート液に、4,8および4,7および5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンを主成分とするポリチオール66.1部、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)29.4部および1−ベンジル−2−メチルイミダゾール0.06部、を加えて室温で撹拌混合させモノマー混合物の均一溶液を得た。また、モノマー混合物の均一溶液を調製する際に発熱が確認された。この均一溶液を、室温、減圧下にて30分間脱泡し、1μmテフロン(登録商標)フィルターにてろ過を行った後、ガラスモールドとテープからなるモールド型へ注入した。これをオーブンへ投入し、25℃〜120℃までおよそ24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンからモールド型を取り出し、離型した後、さらに120℃で2時間アニールを行い樹脂成形体を得た。樹脂成形体は、無色透明な外観を有し、屈折率(ne)1.60、アッベ数(νe)38、耐熱性85℃であった。樹脂成形体において若干の脈理および異物が観察されたものがあった。得られた10枚の樹脂成形体のうち脈理の無い良好なものは2枚であり、評価は×であった。
【0095】
[比較例3]
Zelec UN(酸性リン酸エステル:登録商標、Stepan社製)0.1部、viosorb583(紫外線吸収剤:登録商標、共同薬品株式会社製)1.5部、2,5(6)−ビス(イソシアナトメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン50.6部および1−ベンジル−2−メチルイミダゾール0.03部を混合し、室温で15分間攪拌溶解させてポリイソシアネート液を調製した。このポリイソシアネート液を調製する際に、発泡が確認された。ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)23.9部および4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン25.5部を混合し、室温で30分間攪拌溶解させてポリチオール液を調製した。上記ポリイソシアネート液とポリチオール液を全量混合し、室温で撹拌混合させモノマー混合物の均一溶液を得た。この均一溶液を、室温、減圧下にて30分間脱泡し、1μmテフロン(登録商標)フィルターにてろ過を行った後、ガラスモールドとテープからなるモールド型へ注入した。これをオーブンへ投入し、25℃〜120℃までおよそ24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンからモールド型を取り出し、離型した後、さらに120℃で2時間アニールを行い樹脂成形体を得た。樹脂成形体は、無色透明な外観を有し、屈折率(ne)1.60、アッベ数(νe)39、耐熱性112℃であった。樹脂成形体において若干の脈理および異物が観察されたものがあった。得られた10枚の樹脂成形体のうち脈理の無い良好なものは2枚であり、評価は×であった。
【0096】
[比較例4]
Zelec UN(酸性リン酸エステル:登録商標、Stepan社製)0.1部、viosorb583(紫外線吸収剤:登録商標、共同薬品株式会社製)1.5部および2,5(6)−ビス(イソシアナトメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン50.6部を混合し、室温で15分間攪拌溶解させてポリイソシアネート液を調製した。このポリイソシアネート液に、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)23.9部、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン25.5部および1−ベンジル−2−メチルイミダゾール0.03部を加えて室温で撹拌混合させモノマー混合物の均一溶液を得た。また、モノマー混合物の均一溶液を調製する際に発熱が確認された。この均一溶液を、室温、減圧下にて30分間脱泡し、1μmテフロン(登録商標)フィルターにてろ過を行った後、ガラスモールドとテープからなるモールド型へ注入した。これをオーブンへ投入し、25℃〜120℃までおよそ24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンからモールド型を取り出し、離型した後、さらに120℃で2時間アニールを行い樹脂成形体を得た。樹脂成形体は、無色透明な外観を有し、屈折率(ne)1.60、アッベ数(νe)39、耐熱性112℃であった。樹脂成形体において若干の脈理および異物が観察されたものがあった。得られた10枚の樹脂成形体のうち脈理の無い良好なものは1枚であり、評価は×であった。
【0097】
[比較例5]
Zelec UN(酸性リン酸エステル:登録商標、Stepan社製)0.1部、viosorb583(紫外線吸収剤:登録商標、共同薬品株式会社製)1.5部、m−キシリレンジイソシアネート52.0部および1−ベンジル−2−メチルイミダゾール0.03部を混合し、室温で15分間攪拌溶解させてポリイソシアネート液を調製した。このポリイソシアネート液を調製する際に、発泡が確認された。このポリイソシアネート液に、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン48.0部を加えて室温で撹拌混合させモノマー混合物の均一溶液を得た。この均一溶液を、室温、減圧下にて30分間脱泡し、1μmテフロン(登録商標)フィルターにてろ過を行った後、ガラスモールドとテープからなるモールド型へ注入した。これをオーブンへ投入し、25℃〜120℃までおよそ24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンからモールド型を取り出し、離型した後、さらに120℃で2時間アニールを行い樹脂成形体を得た。樹脂成形体は、無色透明な外観を有し、屈折率(ne)1.67、アッベ数(νe)31、耐熱性85℃であった。樹脂成形体において若干の脈理および異物が観察されたものがあった。得られた10枚の樹脂成形体のうち脈理の無い良好なものは2枚であり、評価は×であった。
【0098】
[比較例6]
Zelec UN(酸性リン酸エステル:登録商標、Stepan社製)0.1部、viosorb583(紫外線吸収剤:登録商標、共同薬品株式会社製)1.5部およびm−キシリレンジイソシアネート52.0部および1−ベンジル−2−メチルイミダゾール0.03部を混合し、室温で15分間攪拌溶解させてポリイソシアネート液を調製した。このポリイソシアネート液に、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン48.0部および1−ベンジル−2−メチルイミダゾール0.03部を加えて室温で撹拌混合させモノマー混合物の均一溶液を得た。また、モノマー混合物の均一溶液を調製する際に発熱が確認された。この均一溶液を、室温、減圧下にて30分間脱泡し、1μmテフロン(登録商標)フィルターにてろ過を行った後、ガラスモールドとテープからなるモールド型へ注入した。これをオーブンへ投入し、25℃〜120℃までおよそ24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンからモールド型を取り出し、離型した後、さらに120℃で2時間アニールを行い樹脂成形体を得た。樹脂成形体は、無色透明な外観を有し、屈折率(ne)1.67、アッベ数(νe)31、耐熱性85℃であった。樹脂成形体において若干の脈理および異物が観察されたものがあった。得られた10枚の樹脂成形体のうち脈理の無い良好なものは1枚であり、評価は×であった。
【0099】
[比較例7]
Zelec UN(酸性リン酸エステル:登録商標、Stepan社製)0.1部、viosorb583(紫外線吸収剤:登録商標、共同薬品株式会社製)1.5部、m−キシリレンジイソシアネート50.6部および1−ベンジル−2−メチルイミダゾール0.03部を混合し、室温で15分間攪拌溶解させてポリイソシアネート液を調製した。このポリイソシアネート液を調製する際に、発泡が確認された。このポリイソシアネート液に、4,8および4,7および5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンを主成分とするポリチオール49.4部を加えて室温で撹拌混合させモノマー混合物の均一溶液を得た。この均一溶液を、室温、減圧下にて30分間脱泡し、1μmテフロン(登録商標)フィルターにてろ過を行った後、ガラスモールドとテープからなるモールド型へ注入した。これをオーブンへ投入し、25℃〜120℃までおよそ24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンからモールド型を取り出し、離型した後、さらに120℃で2時間アニールを行い樹脂成形体を得た。樹脂成形体は、無色透明な外観を有し、屈折率(ne)1.67、アッベ数(νe)31、耐熱性98℃であった。樹脂成形体において若干の脈理および異物が観察されたものがあった。得られた10枚の樹脂成形体のうち脈理の無い良好なものは3枚であり、評価は×であった。
【0100】
[比較例8]
Zelec UN(酸性リン酸エステル:登録商標、Stepan社製)0.1部、viosorb583(紫外線吸収剤:登録商標、共同薬品株式会社製)1.5部およびm−キシリレンジイソシアネート50.6部および1−ベンジル−2−メチルイミダゾール0.03部を混合し、室温で15分間攪拌溶解させてポリイソシアネート液を調製した。このポリイソシアネート液に、4,8および4,7および5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンを主成分とするポリチオール49.4部および1−ベンジル−2−メチルイミダゾール0.03部を加えて室温で撹拌混合させモノマー混合物の均一溶液を得た。また、モノマー混合物の均一溶液を調製する際に発熱が確認された。この均一溶液を、室温、減圧下にて30分間脱泡し、1μmテフロン(登録商標)フィルターにてろ過を行った後、ガラスモールドとテープからなるモールド型へ注入した。これをオーブンへ投入し、25℃〜120℃までおよそ24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンからモールド型を取り出し、離型した後、さらに120℃で2時間アニールを行い樹脂成形体を得た。樹脂成形体は、無色透明な外観を有し、屈折率(ne)1.67、アッベ数(νe)31、耐熱性98℃であった。樹脂成形体において若干の脈理および異物が観察されたものがあった。得られた10枚の樹脂成形体のうち脈理の無い良好なものは2枚であり、評価は×であった。
【0101】
[比較例9]
Zelec UN(酸性リン酸エステル:登録商標、Stepan社製)0.1部、viosorb583(紫外線吸収剤:登録商標、共同薬品株式会社製)1.5部、2,5(6)−ビス(イソシアナトメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン49.7部および1−ベンジル−2−メチルイミダゾール0.03部を混合し、室温で15分間攪拌溶解させてポリイソシアネート液を調製した。このポリイソシアネート液を調製する際に、発泡が確認された。このポリイソシアネート液に、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)24.4部および4,8および4,7および5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンを主成分とするポリチオール25.9部を加えて室温で撹拌混合させモノマー混合物の均一溶液を得た。この均一溶液を、室温、減圧下にて30分間脱泡し、1μmテフロン(登録商標)フィルターにてろ過を行った後、ガラスモールドとテープからなるモールド型へ注入した。これをオーブンへ投入し、25℃〜120℃までおよそ24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンからモールド型を取り出し、離型した後、さらに120℃で2時間アニールを行い樹脂成形体を得た。樹脂成形体は、無色透明な外観を有し、屈折率(ne)1.60、アッベ数(νe)39、耐熱性121℃であった。樹脂成形体において若干の脈理および異物が観察されたものがあった。得られた10枚の樹脂成形体のうち脈理の無い良好なものは3枚であり、評価は×であった。
【0102】
[比較例10]
Zelec UN(酸性リン酸エステル:登録商標、Stepan社製)0.1部、viosorb583(紫外線吸収剤:登録商標、共同薬品株式会社製)1.5部および2,5(6)−ビス(イソシアナトメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン49.7部を混合し、室温で15分間攪拌溶解させてポリイソシアネート液を調製した。このポリイソシアネート液に、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)24.4部、4,8および4,7および5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンを主成分とするポリチオール25.9部および1−ベンジル−2−メチルイミダゾール0.03部を加えて室温で撹拌混合させモノマー混合物の均一溶液を得た。また、モノマー混合物の均一溶液を調製する際に発熱が確認された。この均一溶液を、室温、減圧下にて30分間脱泡し、1μmテフロン(登録商標)フィルターにてろ過を行った後、ガラスモールドとテープからなるモールド型へ注入した。これをオーブンへ投入し、25℃〜120℃までおよそ24時間かけて徐々に昇温して重合した。重合終了後、オーブンからモールド型を取り出し、離型した後、さらに120℃で2時間アニールを行い樹脂成形体を得た。樹脂成形体は、無色透明な外観を有し、屈折率(ne)1.60、アッベ数(νe)39、耐熱性121℃であった。樹脂成形体において若干の脈理および異物が観察されたものがあった。得られた10枚の樹脂成形体のうち脈理の無い良好なものは2枚であり、評価は×であった。
【0103】
実施例および比較例の結果から、イミダゾール系硬化触媒をチオール化合物と混合し、得られた混合液をポリイソシアネート化合物と混合して得られた光学材料用重合性組成物を用いることにより、脈理の発生率が低く、異物の発生が抑制され、さらに屈折率、アッベ数、耐熱性等の物性にバランスよく優れた光学材料が得られ、光学材料の歩留まりが向上することが確認された。
【0104】
この出願は、2014年2月20日に出願された日本出願特願2014−030885号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。