(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6335283
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】内部温度作用素子をもつ統合型スリップリングアセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01R 39/00 20060101AFI20180521BHJP
【FI】
H01R39/00 H
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-516695(P2016-516695)
(86)(22)【出願日】2014年5月21日
(65)【公表番号】特表2016-524796(P2016-524796A)
(43)【公表日】2016年8月18日
(86)【国際出願番号】US2014038892
(87)【国際公開番号】WO2014204607
(87)【国際公開日】20141224
【審査請求日】2017年1月6日
(31)【優先権主張番号】13/904,277
(32)【優先日】2013年5月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501188177
【氏名又は名称】ムーグ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コールマン、ドニー、エス.
(72)【発明者】
【氏名】ハリス、マイケル、エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ウィレミン、テリー、エイ.
【審査官】
竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−162608(JP,A)
【文献】
特開2012−079434(JP,A)
【文献】
特開昭59−026080(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 39/00 − 39/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子を有し、トラックを備えた回転子を有し、および前記固定子の上に取り付けられた近位端を有し、前記回転子の前記トラックに摺動可能に係合する遠位端を有するブラシを含むスリップリングであって、前記ブラシが、前記固定子と前記回転子との間の界面を越えて電気信号を搬送するように適応され、
支持部材を含む前記回転子と、
前記回転子の温度に選択的に作用するために前記回転子の前記支持部材内に構成された熱素子と、
前記回転子の前記支持部材内に物理的に配置された制御電子回路であって、前記制御電子回路は前記回転子の動作温度範囲の温度が増加するように前記熱素子を動作させる制御電子回路と
を含み、
それにより、前記スリップリングの動作温度範囲も増加され得る、
スリップリング。
【請求項2】
前記回転子はパンケーキ型回転子である、請求項1に記載のスリップリング。
【請求項3】
前記熱素子は加熱器である、請求項1に記載のスリップリング。
【請求項4】
前記熱素子は熱電冷却器である、請求項1に記載のスリップリング。
【請求項5】
前記支持部材は凹部を有し、前記制御電子回路は前記凹部内に物理的に配置される、請求項1に記載のスリップリング。
【請求項6】
前記支持部材はプリント回路基板であり、前記熱素子は前記プリント回路基板内のトレースである、請求項1に記載のスリップリング。
【請求項7】
前記支持部材は炭素繊維複合材料から形成される、請求項1に記載のスリップリング。
【請求項8】
前記熱電冷却器は、前記スリップリングを加熱、冷却、または熱絶縁として動作するように選択的に制御され得る、請求項4に記載のスリップリング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にスリップリング技術に関し、より詳細には、より広い温度範囲にわたるスリップリングを通して信頼性のある信号および電力伝送を可能にする改善されたスリップリング技術に関する。
【背景技術】
【0002】
互いに対して回転可能または移動可能である2つの部材間で信号を伝導するための装置が、当技術分野でよく知られている。一般にロータリージョイントとして知られるそのような装置は、スリップリングとツイストカプセルの両方を含む。スリップリングは、典型的には、部材間の無制限の回転が所望されるときに使用されるが、ツイストカプセルは、部材間の限られた回転のみが必要とされるときに使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
現在の高周波スリップリング技術の例は、代表として、以下の従来技術の特許において図示および説明されている。
【特許文献1】米国特許第6,956,445B2 ブロードバンド高周波スリップリングシステム
【特許文献2】米国特許第7,142,071B1 ブロードバンド高周波スリップリングシステム
【特許文献3】米国特許第7,559,767B2 高周波ドラム型・スリップリング・モジュール
【特許文献4】米国特許第8,283,993B2 ブロードバンドツイストカプセル
【特許文献5】米国特許第6,437,656B1 ブロードバンド高データレートのアナログおよびデジタル通信リンク
【特許文献6】米国特許第6,433,631B2 コンピュータ断層撮影システムのためのRFスリップリング受信器
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロータリージョイントを通して高周波信号を送る問題は、帯域幅およびインピーダンス整合制約となる高速エッジ速度によって悪化される。高周波スリップリング技術を拡張する様々な技法が存在するが、ロータリージョイントへの能動電子回路の物理的統合はしばしば困難であり、特に低温における熱限界によってしばしば制約される。低温は、電気的接触の働きを損ない、電子回路への熱的問題を提示する。そのような条件下でのロータリージョイントの信頼できる動作は、環境の悪影響を改善するための処置を必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
限定としてではなく例示のみのために、開示する実施形態の対応する部品、部分または表面への括孤付きの参照符号を用いて、本発明は、固定子、回転子、および固定子と回転子とのうちの一方の上に取り付けられた近位端を有し固定子と回転子とのうちの他方に係合する遠位端を有し、固定子と回転子との間の界面を越えて電気信号を搬送するように適応されるブラシを含むスリップリングにおける改善を提供する。
【0006】
改善は、概して、支持部材(1)を含む回転子と、固定子と回転子とのうちの他方の上に設けられブラシ遠位端とのすべり接触のために構成されたトラックと、回転子の温度に選択的に作用するために支持部材内に構成された熱素子(3または4)とを含み、それにより、スリップリングの温度動作範囲が増加され得る。
【0007】
回転子はパンケーキ型回転子であり得る。
【0008】
熱素子は加熱器または冷却器であり得る。
【0009】
改善は、熱素子を動作させるための制御電子回路(6)をさらに含み得る。制御電子回路は、支持部材(1)内に物理的に配置され得る。
【0010】
支持部材は凹部を有し得、制御電子回路はこの凹部内に物理的に配置され得る。
【0011】
支持部材はプリント回路基板であり得る。熱素子はプリント回路基板内のトレースであり得る。
【0012】
支持部材は炭素繊維複合材料から形成され得る。
【0013】
したがって、本発明の一般的な目的は、改善されたスリップリングを提供することである。
【0014】
別の目的は、改善されたスリップリングの温度動作範囲が増加され得るように、支持部材内に構成された内部熱素子をもつ改善されたスリップリングを提供することである。
【0015】
これらおよび他の目的および利点は、上記および以下の本明細書、図面、および添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】支持部材における凹部内に配置された熱素子と制御電子回路とを示す、パンケーキ型スリップリング回転子の一部分の部分概略縦断面図である。
【
図2】加熱トレースを2つの内部層として組み込んだ6層プリント回路基板の部分概略分解縦断面図である。
【
図3】加熱素子トレースのうちの1つの平面図を示す、それの部分水平断面図である。
【
図5】炭素繊維ラジアル支持部材をもつ回転子の平面図である。
【
図6】いくつかの追加の制御回路板がそれに接続されたプリント回路基板支持部材の斜視図である。
【
図7B】3次元プリント回路基板の別の斜視図である。
【
図8】改善されたロータリージョイントの概略等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
最初に、本明細書全体によって要素、部分または表面がさらに記述または説明され得るように、同じ参照番号は、いくつかの図面全体にわたって一貫して同じ構造的要素、部分または表面を識別するものであることが明確に理解されるべきであり、この詳細な説明は、本明細書全体の一体部分である。別段に規定されていない限り、図面は、本明細書とともに読まれるべきであり(例えば、クロスハッチング、部品の配置、比率、程度など)、本発明の明細書全体の一部分であると見なされるべきものである。以下の説明で使用する「水平」、「垂直」、「左」、「右」、「上」および「下」という用語、ならびにそれらの形容詞的および副詞的派生語(例えば、「水平に」、「右方に」、「上方に」など)は、特定の図面が読者に対面するように図示された構造の配向を指すものにすぎない。同様に、「内部に」および「外部に」という用語は概して、表面の、それの伸長軸または回転軸に対する配向を適宜に指す。
【0018】
回転子と固定子との間で電力および信号を転送するために導電性ブラシが導電性リング上で摺動する装置は、電気スリップリングとして知られている。
【0019】
スリップリングの動作をより低い温度(例えば、−50〜−60℃)に拡張することに対する従来の手法は、適切な電気接点設計、ならびに境界潤滑剤の適切な選定を伴う。電流は、接点間の負荷を支持する各接点部材の金属凹凸を介して接点間を流れる。境界潤滑剤も接点負荷の一部分を支持する。潤滑剤の粘性が増加し、したがって、金属凹凸上の接点圧力が低減された場合、電力および信号が中断され得る。回転子の表面速度が増加すると、流体力学的揚力が生じ得、回路は開き得る。この影響は、少なくとも部分的には、アセンブリの温度を上げることによって回避され得る。
【0020】
スリップリングの動作温度範囲を増加させることはまた、ロータリージョイントの一部である電子回路に利益を与えることができる。低温範囲を拡張することに対する従来の解決策は、アセンブリの温度を上げるためにモノリシックまたは周囲バンド加熱器を使用することによるなど、能動的な加熱によるものである。そのような手法は有効であり得るが、最も重要な構成要素に熱を効率的および直接的に送達しないという欠点を有する。電子回路をロータリージョイントに組み込むことに対する典型的な手法も、個別の加熱装置および熱制御機構を稠密なアセンブリ内に物理的に収容することにおいて課題を提示する。
【0021】
本発明は、能動制御電子回路をその中にもつ改善された統合型ロータリー・ジョイント・アセンブリを提供するものであり、1つまたは複数のパンケーキ型スリップリングを取り付けるために独自のラジアル支持ハブまたは部材を利用する新規の空間効率的な構成を採用し、支持構造内で能動電子装置と受動電子装置とが内部統合される。本発明のさらなる請求項は、ロータリージョイントの電気的および環境的動作範囲を拡張するために、ロータリー・ジョイント・アセンブリの加熱と冷却とについてのインテリジェント・マイクロプロセッサ制御の使用を含む。
【0022】
本開示では、従来の技法を使用した場合に実際的であり得る以上に、高い周波数およびより広い温度範囲へとスリップリングの動作範囲を拡張することができる熱的および空間管理技術について説明する。
【0023】
本発明は、プリント回路基板(「PCB」)ロータリー・ジョイント・サブアセンブリ内部に電子回路および熱緩和を組み込む統合型ロータリー・ジョイント・アセンブリによって、これらの欠陥に対処する。
【0024】
図1に、従来技術に勝る改善を提供する発明の性質を示す。
図1において、ラジアルプレート(1)は、平坦なロータリー・ジョイント・アセンブリ(2)を取り付けるのに役立ち、電子的構成要素(6)および3次元PCB構成(4)、配線(5)、ならびに構成要素の選択的加熱(3)および/または冷却(4)のための設備を含むための内部容積を凹部内に提供する。
【0025】
ロータリー・ジョイント・アセンブリ内における電子回路と配線との統合の利点は、(a)アセンブリエンベロープ内の空間を共有することによるサイズと重量の節減、(b)損失の低減とインピーダンス整合の改善とを生じる高周波性能の改善、(c)PCBスタックアップ(3)の内部に組み込まれたプリント回路基板加熱素子による構成要素の局部加熱による低温動作範囲の拡張、(d)マイクロプロセッサ、クロックデータ復元装置、およびフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(「FPGA」)など、能動装置(6)のための低温限界と高温限界の両方を拡張するために、加熱、冷却、または熱絶縁を提供するためのロータリー・ジョイント・アセンブリに組み込まれた熱電装置(4)の使用、(e)オンボードセンサおよびマイクロプロセッサ制御によるロータリージョイント加熱コアと熱電冷却器(「TEC」)とのインテリジェント熱管理、ならびに(f)ラジアル取付構造(1)によって提供される放射の低減および遮蔽の改善を含む。
【0026】
ラジアル取付構造における炭素繊維または同様の複合構造の使用により、金属に匹敵する電磁干渉(「EMI」)遮蔽が提供され、アセンブリ内のRF吸収性材料の包含が電磁界を吸収し減衰させることが可能になる。
【0027】
図2は、PCBスタック内にトレース層として実装される加熱素子を組み込んだPCB構造を示す。そのような加熱層は、
図3に示されたものなどの従来の銅トレースによって、または、より高い抵抗トレースがよりコンパクトな構成で構成されることを可能にするニッケル合金などの高抵抗材料の使用によって実現され得る。一体型加熱コアをそれらの構造に組み込んだプリント回路基板構造は、構造の加熱によって、ならびに、
図1に示されているように、アセンブリに組み込まれた電子回路の低温範囲を拡張することによって、接触型ロータリージョイントの低温動作範囲を拡張することができる。
【0028】
ロータリージョイント構成要素のための物理的支持は、
図4に示されたものなど、ラジアル支持部材によって提供される。
図1はまた、上面と下面との上に取り付けられるプリント回路基板構造のための取付ベースを提供するラジアル取付プレートを示している。ラジアル支持構造は、本発明にいくつかの有意な特徴を提供する。すなわち、ラジアル支持構造は、(a)すべり電気的接触または非接触信号転送のためのプリント回路基板など、硬い取付表面をロータリージョイント構造に提供し、(b)熱電装置と制御装置とを含む、構成要素と能動電子回路との配置のための内部空洞または凹部を提供し、(c)ケーブリングと配線とのルーティングのための内部空洞を提供し、(d)内部および外部EMIから電子回路を保護するための遮蔽を提供し、ならびに(e)RF吸収体材料を組み込むための空間を提供するか、あるいは炭素繊維または他の複合材料から製造される場合、構造的、遮蔽、および吸収性性質を提供する。
【0029】
図5は、一体型駆動エレクトロニクスおよび熱管理とともに、3.125ギガビット毎秒(「Gbps」)高速デジタルチャネルの8チャネルを具備する、本発明のプロトタイプの写真である。このプロトタイプにおけるラジアル支持ケースは、炭素繊維複合材料である。炭素繊維複合材料の使用により、平坦で硬い構造が得られ、この構造は、より近接したボード間隔で動作することができ、より低い送信電力を必要とし得る。炭素繊維複合材料の遮蔽性質は、電磁放射および妨害感受性を低減し、ならびにチャネル間クロストークを低減する。電磁界をさらに吸収し減衰させるために、アセンブリ中に無線周波数吸収性材料が含まれ得る。
【0030】
[3次元PCB構成]
統合型ロータリー・ジョイント・アセンブリの一実施形態は、
図6に示されているように、3次元PCB構成の使用である。3次元PCB構成の使用により、PCB回路モジュールの作成は、メインPCB構成と同時に行なわれ、メインPCBに組み込まれることが可能になる。この技法の利点は、空間と重量との節減ならびに信号完全性を利るとともに、メインボードとは異なる特性をもつ小さい回路板を最適化するための能力を含む。3次元PCB構成は、それが総物理体積の最適な使用を可能にするので、統合型ロータリー・ジョイント・アセンブリの観点からも有利である。
【0031】
[ロータリー・ジョイントのマイクロプロセッサ制御および健康監視]
ロータリー・ジョイント・アセンブリの能動的な加熱および冷却は、アセンブリに組み込まれたマイクロプロセッサベース熱管理システムによって達成され得る。統合型ロータリー・ジョイント・アセンブリの内部に設置され、いくつかの集積回路と一体である温度センサは、オンボードマイクロコントローラによるアセンブリ中の温度のインテリジェント制御をサポートし、加熱および冷却装置を制御する回路をサポートするためにデータを提供することができる。
【0032】
アセンブリへの抵抗加熱器の組込みは、装置の低温動作エンベロープを大幅に拡張することができるが、高温限界の同様の拡大は、アセンブリを冷却する手段を必要とする。アセンブリへの熱電冷却器(「TEC」)の組込みは、TEC装置の熱ポンプモードのために、冷却能力ならびに加熱能力を提供することができる。TECは、能動的冷却、能動的加熱、および受動的熱絶縁としての無給電という、3つの動作モードで有利に使用され得る。熱電装置の通常冷却モードは、熱を発熱装置から、ヒートシンクとして働く隣接構造に移動させ、発熱構成要素の温度を著しく減少させ、本来なら可能なはずであるよりも高い周囲温度における動作を可能にする。同様に、アセンブリの低温動作は、TECを通る電流の流れの方向と熱伝達の方向とを反転させ、熱を周囲環境から移動させ、熱を低温限界の近くにあり得る電子装置に伝達することによって拡張され得る。TECの自己加熱と組み合わされた、環境からの熱伝達は、本来なら実際的であるはずであるよりも低い温度における動作を可能にする。さらに、無給電であるとき、TECは、本来なら受動ヒートシンクでは生じるはずである電子装置の過大な冷却を回避するための熱絶縁器として働く。オンボード加熱装置をフレキシブルに利用することができるマイクロコントローラおよび制御ソフトウェアと、熱電冷却器の3つすべての動作モードとの使用により、本来なら実際的であるはずであるよりも広い動作温度範囲エンベロープの有意な拡大が提供され得る。
【0033】
上記で概説した制御機構の一実施形態は、マイクロプロセッサ制御型Hブリッジ制御回路の使用によるものであり、これは、制御電圧がマイクロプロセッサ制御下でどの方向にもTECに印加されることを可能にする。温度データを監視するソフトウェアアルゴリズムは、任意のデューティサイクルで加熱素子に電流を選択的に印加することができ、また、TEC動作モードの動作を選択的に制御するために、必要に応じて、装置を加熱、冷却、または熱絶縁して、一体型アセンブリの熱緩和のフレキシブルなストラテジーを実装することができる。抵抗加熱と熱電装置の両方の使用は、エンベロープの高温と低温両方の限界を拡張することに有利である。
【0034】
図8は、改善されたロータリージョイントの概略等角図であり、パンケーキ型回転子と、トラックと、ブラシと、固定子とを示す。このアセンブリ中には3つのスリップリングプラッタがあり、3つすべては、潤滑剤が低温でブラシを持ち上げないようにするための蛇状加熱器を有する。蛇状加熱素子はまた、電子回路を低温で暖めることができる。しかしながら、高温度では、すべり接触は機能し続けることになるが、電子回路の動作温度範囲を超え得るので、高温度において冷却するためにTECを電子回路に極めて近接して組み込む必要がある
【0035】
したがって、本発明は、概して、固定子、回転子、および固定子と回転子とのうちの一方の上に取り付けられた近位端を有し固定子と回転子とのうちの他方に係合する遠位端を有するブラシを含むスリップリングにおける改善を提供し、ブラシは、固定子と回転子との間の界面を越えて電気信号を搬送するように適応される。改善は、概して、支持部材(1)を含む回転子と、固定子と回転子とのうちの他方の上に設けられ遠位端とのすべり接触のために構成されたトラックと、回転子の温度に選択的に作用するために支持部材内に構成された熱素子(3または4)とを含み、それにより、スリップリングの温度動作範囲が増加され得る。
【0036】
[変形]
本発明は、多くの変更および修正が行われ得ることを企図する。例えば、熱素子は加熱器または冷却器であり得る。制御電子回路は、支持部材内に、例えば、支持部材に設けられた凹部中に物理的に配置され得る。熱素子はプリント回路基板内のトレースであり得る。
【0037】
したがって、改善の好ましい形態が図示および説明され、それらのいくつかの修正形態について論じられたが、当業者は、以下の特許請求の範囲によって定義され識別される本発明の趣旨から逸脱することなく、様々な追加の変更および修正が行われ得ることを容易に諒解するであろう。