【文献】
社団法人日本電子機械工業会,改訂医用超音波機器ハンドブック,日本,コロナ社,1997年 1月20日,p.15, p.35
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の基準センサおよび前記EMセンサに接続され、かつ前記呼吸パターンに基づき患者の呼吸を補正することにより前記EMセンサの位置を特定するように構成された追跡装置をさらに備える、請求項8に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示は、診断、ナビゲーションおよび治療目的のために、標的を特定し、かつその位置を突き止めるのに十分な解像度を与える超音波(US)画像診断法を用いて肺の管腔網を可視化するためのシステムおよび方法に関する。特に非侵襲的画像診断と共に用いられるUS画像診断により、より高い解像度が得られ、かつ管腔網のマッピングおよび標的の特定が可能になる。さらに、特定された標的に隣接する組織に関してさらなる鮮明性が得られ、それにより異なる治療選択肢を検討して隣接する組織に悪影響を与えるのを回避することができる。なおさらに、治療と共にUS画像診断を使用することで治療後分析および治療の十分性の確認のために詳細な画像診断を行うことができる。本開示を具体的な例示的実施形態に関して説明するが、本開示の趣旨を逸脱することなく、各種修飾、再構成および置き換えを行うことができることは当業者には容易に明らかになるであろう。本開示の範囲は、本開示に添付されている特許請求の範囲によって定められている。
【0021】
図1は、CT、MRIまたは蛍光透視画像を患者の肺の管腔網を通って標的までナビゲートするのを支援するUS画像データで増補するように構成された電磁ナビゲーション(ENM)システム100を示す。そのようなENMシステムの1つは、現在コヴィディエン社によって販売されている電磁ナビゲーション気管支鏡(登録商標)システムであってもよい。システム100は、カテーテルガイドアセンブリ110、気管支鏡115、計算装置120、監視装置130、EMボード140、追跡装置160および基準センサ170を備える。気管支鏡115は、有線接続(
図1に示す)または無線接続(図示せず)を介して計算装置120および監視装置130に動作可能に接続されている。
【0022】
気管支鏡115を患者150の口に挿入し、肺の管腔網の画像を取得する。EMNシステム100では、患者150の管腔網の末梢へのアクセスを達成するためにカテーテルガイドアセンブリ110を気管支鏡115に挿入する。カテーテルガイドアセンブリ110は、遠位先端にEMセンサ265(
図2B)を備えた位置特定可能ガイドカテーテル(LG)220が挿入される伸長式作業チャネル(EWC)230を備えていてもよい。以下により詳細に説明するように、EWC230、LG220およびEMセンサ265を使用して肺の管腔網を通してナビゲートする。
【0023】
ラップトップ、デスクトップ、タブレットまたは他の同様の計算装置などの計算装置120は、表示装置122、1つ以上のプロセッサ124、メモリ126、ネットワークカード128および入力装置129を備える。またシステム100は、複数の計算装置を備えていてもよく、ここで複数の計算装置120は、計画、治療、可視化のため、あるいは医療手術に適した方法で臨床医を支援するために用いられる。表示装置122は、表示装置122を入力装置および出力装置の両方として機能させることができるタッチセンサ式および/または音声作動式であってもよい。表示装置122は、肺疾患の症状を示す肺の一部を特定し、かつその位置を突き止めるために、肺の2次元(2D)画像または3次元(3D)モデルを表示してもよい。そのような画像およびモデルの生成については以下により詳細に説明する。表示装置122は、治療される標的を選択、追加および削除するためのオプションおよび肺の可視化のために設定可能な項目をさらに表示してもよい。一態様では、表示装置122は、肺の2D画像または3Dモデルに基づき、肺の管腔網内のカテーテルガイドアセンブリ110の位置も表示してもよい。説明(本開示の範囲を限定するものではない)を容易にするために3Dモデルについて以下に詳細に説明するが、当業者であれば2Dモデルおよび画像を用いて同様の機能およびタスクを達成できることが分かるであろう。
【0024】
1つ以上のプロセッサ124はコンピュータ実行可能命令を実行する。プロセッサ124は、肺の3Dモデルを表示装置122に表示することできるように画像処理機能を行ってもよい。実施形態では、1つ以上のプロセッサ124が他のプログラムに利用可能になり得るように、計算装置120は、画像処理機能のみを行う別個のグラフィックアクセラレータ(図示せず)をさらに備えていてもよい。
【0025】
メモリ126はデータおよびプログラムを格納する。例えば、データは3Dモデルの画像データであってもよく、あるいは患者の医療記録、処方および/または患者の疾患歴などの任意の他の関連データであってもよい。メモリ126に格納されるプログラムの一種は3Dモデル/経路計画ソフトウェアモジュール(計画ソフトウェア)である。3Dモデル生成/経路計画ソフトウェアの例は、現在コヴィディエン社によって販売されているILOGIC(登録商標)計画ソフトウェアパッケージであってもよい。例えばCT画像データセット(または他の画像診断法による画像データセット)から得られた、典型的には「医用におけるデジタル画像と通信(DICOM:Digital Imaging and COmmunications in Medicine)」フォーマットである患者の画像データを計画ソフトウェアにインポートすると、気管支樹の3Dモデルが生成される。一態様では、CT画像診断法、磁気共鳴画像(MRI)法、機能的MRI法、X線法および/または任意の他の画像診断法によって画像診断を行ってもよい。3Dモデルを生成するために、計画ソフトウェアは領域分割、表面レンダリングおよび/または体積レンダリングを用いる。次いで、計画ソフトウェアにより、3Dモデルを元の画像データを見直すために一般に使用される軸方向表示、冠状方向表示および矢状方向表示を含む多くの異なる表示にスライスしたり操作したりすることができる。これらの異なる表示によりユーザは画像データを全て見直し、画像内の潜在的標的を特定することができる。
【0026】
標的を特定したら、当該ソフトウェアは経路計画モジュールを開始する。経路計画モジュールは標的へのアクセスを達成するための経路計画を作成し、その経路計画は標的の位置を正確に示し、かつEMNシステム100、特にEWC230およびLG220と共にカテーテルガイドアセンブリ110を用いて標的に到達することができるように標的の座標を特定する。経路計画モジュールは、臨床医を一連の工程を通して案内して、エクスポートのため、および患者150の体内の標的へのナビゲーション中に後で使用するために経路計画を作成する。臨床医という用語は、医師、外科医、看護師、医療助手または医療処置の計画、実行、監視および/または監督に関わる経路計画モジュールのあらゆるユーザを含んでもよい。
【0027】
これらのプロセスおよび経路計画モジュールの詳細は、2014年8月11日に出願された「治療手順計画システムおよび方法(Treatment procedure planning system and method)」という発明の名称の本開示と同時に出願され、かつ本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第62/035,863号、およびコヴィディエン社によって2013年6月21日に出願された「経路計画システムおよび方法(Pathway planning system and method)」という発明の名称の米国特許出願第13/838,805号に記載されており、それらの各開示内容全体が参照により本開示に組み込まれる。そのような経路計画モジュールにより、臨床医はCT画像データセットの個々のスライスを見て1つ以上の標的を特定することができる。これらの標的は、例えば、肺疾患により肺機能が損なわれている組織の作用に影響を与える病変部または神経の位置であってもよい。
【0028】
メモリ126は、臨床医に案内を行い、かつ3Dモデルおよび3Dモデルから得られた2D画像上の計画された経路の表示を行うための、EMNシステム100とインタフェースで接続するナビゲーション/手順ソフトウェアを格納していてもよい。そのようなナビゲーションソフトウェアの例は、コヴィディエン社によって販売されているILOGIC(登録商標)ナビゲーション/手順ソフトウェアパッケージであってもよい。実際には、EM場発生装置145により生じたEM場における患者150の位置を、3Dモデルおよびそのモデルから得られた2D画像に登録しなければならない。
【0029】
そのような登録は手動であっても自動であってもよく、コヴィディエン社によって2014年7月2日に出願された「肺の中をナビゲートするためのシステムおよび方法(System and method for navigating within the lung)」という発明の名称の本開示と同時に出願され、かつ本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第62/020,240号に詳細に記載されている。
【0030】
図1に示すように、EMボード140は、患者が横たわる平らな表面を提供するように構成されており、EM場発生装置145を備える。患者150がEMボード140に横たわると、EM場発生装置145は、患者150の一部を取り囲むのに十分なEM場を発生する。LG220の遠位先端260にあるEMセンサ265を使用して、EM場発生装置145により生じたEM場におけるEMセンサ265の位置を決定する。
【0031】
実施形態では、EMボード140は、患者の胸部170に位置する基準センサ170に動作可能に接続されるように構成されていてもよい。基準センサ170は患者150が息を吸い込む間は胸部に従って上下に移動し、患者150が息を吐いている間は胸部に従って下に移動する。患者150の呼吸パターンを認識することができるように、EM場における基準センサ170の移動は基準センサ170によって取得されて、追跡装置160に送信される。追跡装置160はEMセンサ265の出力も受信し、両方の出力を組み合わせ、EMセンサ265の位置特定のために呼吸パターンを補正する。このように、EMセンサ265の補正された位置を肺の3Dモデルと同期させるように、EMセンサ265によって特定された位置を補正してもよい。患者150を3Dモデルに登録すると、EWC230および特にLG220の位置をEM場発生機145により生じたEM場内で追跡することができ、LG220の位置をナビゲーション/手順ソフトウェアの3Dモデルまたは2D画像内に示すことができる。
【0032】
図2Aは、
図1のカテーテルガイドアセンブリ110の一実施形態を示す。カテーテルガイドアセンブリ110は制御ハンドル210を備える。制御ハンドル210は、伸長式作業チャネル(EWC)230またはEWC230に挿入される位置特定ガイドカテーテル(LG)220を選択的かつ機械的に操縦、回転および前進させるためのアクチュエータおよびセレクター機序を有し、これはLG220の遠位先端260が制御ハンドル210の移動に従った方向を向くことを意味している。固定機序225はEWC230およびLG220を互いに固定する。本開示で使用可能なカテーテルガイドアセンブリは、スーパーディメンション(superDimension)(登録商標)手順キットおよびEDGE(商標)手順キットという名称でコヴィディエン社によって現在市販および販売されている。カテーテルガイドアセンブリのより詳細な説明は、Ladtkowらにより2013年3月15日に出願された共同所有の米国特許出願第13/836,203号および米国特許第7,233,820号に記載されており、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0033】
図2Bは、
図2AのEWC230の遠位端250の拡大図である。US変換器265はEWC230の遠位端250に位置している。EMセンサ265は、EWC230の遠位端250を超えて延在している状態で示されているLG220の遠位先端260に位置している。上に簡単に説明したように、EMセンサ265はEM場発生装置145により生じたEM場を感知する。感知されたEM場を使用してEM場の座標系に従い、EMセンサ265の位置を特定する。追跡装置160によってEMセンサ265の位置が決定されると、計算装置120はEMセンサ265の位置を肺の3Dモデルと比較し、EMセンサ265の位置を3Dモデルの座標系の中に登録する。
【0034】
例えば、EMセンサ265が気管への入口の近くにある場合、EMセンサ265はEM場を感知し、次いで、EMセンサ265の位置がナビゲーション/手順ソフトウェアの3Dモデルおよび2D画像の対応する位置に示されるように、EMセンサの位置は3Dモデルの気管部分と比較される。次いで、EMセンサ265を気管を通して気管支樹が分岐している位置までさらに挿入すると、EMセンサ265が気管の入口から分岐位置まで移動した距離は、ナビゲーション/手順ソフトウェアの3Dモデルおよび2D画像内の対応する距離に一致するように縮尺される。具体的には、EMセンサ265が気管に沿って移動すると、その距離がEM場の座標系に従って測定される。EM場の座標系は3Dモデルの座標系と異なるため、EM場の座標系を3Dモデルの座標系に一致させるための縮尺係数が存在する。従って、縮尺係数をEMセンサ265が移動した距離に掛けて、EM場の座標系を3Dモデルの座標系と同期させる。このように、EM場をナビゲーション/手順ソフトウェアの3Dモデルおよび2D画像と同期させてもよい。あるいは、他の好適な方法を用いてEM場の座標系を3Dモデルの座標系と同期させてもよい。
【0035】
上述のように、3Dモデルでは、カテーテルガイドアセンブリ110のEWC230を標的に案内するのに十分な解像度を得ることができないが、これは3Dモデルが不鮮明になったりEWC230が特定の地点に接近すると管腔網を認識しなくなったりすることを意味する。例えば、CTスキャン装置によって1mmの厚さおよび1cmの間隔でCTスキャン画像が撮影された場合、対応する3Dモデルおよび/または経路計画は、1cm未満の大きさの標的の全体像または直径が1cm未満の管腔網の部分を示すことができない。従って、CTスキャン画像が十分に詳細に示すことができない特定の大きさに満たない大きさの標的および/または終末気管支分岐部を発見および/または特定するために別の画像診断法が必要である。この目的のために、メモリ126は、以下に詳細に説明するように、カテーテルガイドアセンブリ110に関連する画像診断法によって取得された画像データを処理および変換することができる別のプログラムも格納する。この画像データをそのような標的および終末気管支分岐部を特定するのに十分な解像度を有する可視画像に変換してもよく、あるいは、より高い解像度を得、かつCTスキャンで欠けていたデータを埋める目的で、それらを組み込んで使用してCTスキャンからのデータを更新してもよい。
【0036】
そのような画像診断法の1つが
図2Bに示されており、ここではUS変換器255はEWC230の遠位端の近くに示されている。当業者であれば、US変換器255およびEMセンサ265の位置をLG220とEWC230との間で入れ替えてもよく、あるいは本開示の範囲から逸脱することなく、2つ以上の各センサおよび変換器を用いてもよいことが分かるであろう。US変換器255は超音波を送信し、かつ反射された超音波を受信する。一般に、超音波は超音波の周波数に基づき組織に浸透する。例えば、1メガヘルツ(MHz)の超音波は2cm〜5cmの深さまで浸透し、3MHzの超音波は1.5cmの深さまで浸透する。従って、US波は気管支樹の画像診断に好適である。一態様では、US変換器255はラジアルUS変換器であってもよい。
【0037】
一般に、US波は密度が変わる境界または組織の界面で反射される。US変換器255が肺の管腔網をナビゲートしている間、US波は、気管支樹の内壁、気管支樹の外壁、および気管支樹の外壁に位置する罹患部または癌性部分から反射され、非侵襲的画像診断手段を用いた場合には明らかにすることができない肺構造の限定された細部および組織の開存性を提供する。
【0038】
反射されたUS波は、振幅やUS波の送信と反射されたUS波の受信との間の遅延時間などの情報を有する。US波は、組織の密度に従って異なるように移動し、かつ異なるように振幅を減衰させるため、振幅および遅延時間を使用して組織の種類、組織の密度および/または組織の大きさを特定してもよい。異常組織(例えば、罹患細胞または癌性細胞)の密度は正常な肺組織とは異なるため、反射されたUS波を使用して罹患細胞または癌性細胞を正常細胞と識別し、かつ罹患細胞または癌性細胞の大きさおよび/または厚さを特定してもよい。
【0039】
計算装置120は反射されたUS波を分析し、かつ3DモデルまたはCTスキャン画像よりも高い解像度を有する可視画像を生成する。生成された可視画像で肺の3DモデルまたはCTスキャン画像などの2D画像を増補してそれらを統合してもよい。
【0040】
実施形態では、気管支樹の外壁に位置する異常組織を治療するために治療を行うと、一般に異常組織の大きさは縮小し、異常組織の密度は正常な肺組織の密度に変化する。伝統的に治療を行う場合は、臨床医が治療が完了したか否か、あるいは別の治療を行うべきか否かを判定することができるように、別のCTスキャンを行って別のCT画像セットを得て、罹患細胞または癌性細胞の大きさを確認する。US変換器255は異常組織の大きさおよび密度を確認することができるため、別のCTスキャンを行わずにその場で治療のレベルを確認してもよい。
【0041】
図2Bに示すように、US変換器255およびEMセンサ265は、ある距離D
OFFだけ離れている。この距離D
OFFは、臨床医が感知し、ナビゲーション/手順ソフトウェアにコード化して測定および送信してもよく、あるいはUS変換器255およびEMセンサ265が感知してもよい。計算装置120は距離D
OFFを使用して、US画像の3Dモデルまたはそこから得られた2D画像への組み込みを調整する。例えば、EMセンサ265がLG220の遠位先端260に位置し、US変換器255がEWC230の遠位端250またはその周囲に位置し、かつ両センサが互いから1cmの距離だけ離れている場合、この距離はソフトウェアによって認識され、USデータまたは画像は、EM場の座標系において1cmに相当する3Dモデルの座標系における距離だけ位置をずらして3Dモデルまたはそこから得られた2D画像の中に統合される。
【0042】
経路計画に従ったカテーテルガイドアセンブリ110の操作によりEWC230およびLG220が標的に到達すると、EMセンサ265は標的におけるその位置を確認し、臨床医はUS画像から生成された可視画像を見て標的におけるその位置を目で確認してもよい。LGカテーテル220をカテーテルガイドアセンブリ110から取り出してもよく、生検具をEWC230の中に標的まで挿入して疾患の確認のために標的試料を採取してもよい。固定具を用いてEWC230を標的に固定してもよい。さらに、焼灼カテーテルなどの治療具をEWC230を通して標的の中に挿入してもよい。次いで、US変換器255を使用してUS波を送受信してもよく、計算装置120は治療具を取り囲んでいる組織の密度を比較するか、臨床比較のために標的のUS画像を生成して治療具が標的の中心点にあるか否かを判定する。標的の中心点に位置していることで、治療具は高効率で治療を行うことができる。一態様では、EMセンサ265およびUS変換器255は互いにある距離だけ離れてEWC230の位置またはその周囲に、あるいは互いにある距離だけ離れてLG220の位置またはその周囲に位置していてもよい。
【0043】
実施形態では、US変換器255および計算装置120により、治療の前または後のいずれかにおいて標的の大きさを確認してもよい。標的の大きさが閾値の大きさよりも大きい場合には、治療を完了するために別の治療が必要になり得る。従って、標的の大きさが閾値の大きさよりも小さくなるまで治療を継続する。このように治療のレベルを確認するために、US波を用いた可視化を利用してもよい。
【0044】
実施形態では、US変換器255は、標的を特定するために前向きに位置づけることができる犠牲的US変換器255であってもよい。US変換器255は、治療装置のマイクロ波エネルギーの照射による標的の治療後に効果がなくなることがあるため犠牲的である。
【0045】
実施形態では、治療前工程において、標的の位置を特定するために1つ以上のマーカーをEWC230の中に配置することができる。このマーカーは、本開示のEMナビゲーション機能が有効になり得ない場合、特にLG220およびEMセンサ265の取り出し後に、所望の位置へのナビゲーションおよびEWC230の配置の確認を支援することができる。このマーカーにより、臨床医は標的の治療後に標的を再診し、かつさらなる試料を採取することができるようになる。このマーカーは、基準マーカー、蛍光染料またはFLUOROGOLD(登録商標)であってもよい。蛍光染料マーカーの場合、US画像診断の性能により、治療の十分性の判定をさらに高めたり、標的の正確な位置に関するより高い鮮明性が得られたりする。当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、標的の位置をマークするために他のマーカーを用いてもよい。
【0046】
図3は、肺と共に患者の気管支樹および気管の3Dモデル300を示す。3Dモデル300は、
図3に示すように臨床医が特定の臓器または対象の臓器の部分を選択的に見ることができるように、臓器の大部分の情報を含んでいてもよい。この場合、これらの選択された臓器は、右葉310、左葉320、気管330および気管支樹340を含む肺である。右葉310は3つの下位の葉、すなわち上葉312、中葉314および下葉316を有し、左葉320は2つの下位の葉、すなわち上葉322および下葉324を有する。
【0047】
気管330は、咽頭および喉頭を肺310および320に繋げる管である。気管330の下端では左および右主気管支342に分かれる。また、主気管支342の下端では葉気管支344に分かれる。主気管支342の外周は葉気管支344の外周よりも大きい。同じように、葉気管支344の下端では区域気管支346に分かれ、区域気管支346の下端では終末細気管支348に分かれる。主気管支342、葉気管支344および区域気管支346は軟骨板によって支えられている。しかし、区域気管支346の大きさが段々と小さくなると軟骨板は存在しなくなり、外壁は平滑筋で占められる。終末細気管支348の外壁も平滑筋で占められている。
【0048】
罹患細胞または癌性細胞あるいは簡単に言うと標的は、あらゆる気管支樹、主気管支342、葉気管支344、区域気管支346および終末細気管支348上に存在し得る。標的がどこに位置していても、標的が小さすぎてCT画像診断法により検出できない場合でさえ、US変換器255を備えたEWC230が別の標的に向かって肺の管腔網を通ってナビゲートしている間に、US画像診断法によって標的を検出することができる。US変換器255により、患者の体内の標的の位置を検出および特定する際により高い特異性およびより高い正確性が得られる。少なくとも1つの実施形態によれば、US変換器255は、上記経路計画に従い、かつ経路に沿ってUS画像データを取得することにより肺の画像データをさらに精細化するために用いられるラジアル超音波変換器であってもよい。このUS画像データをCTスキャン画像および/または3Dモデル300に登録して、標的の検出、位置および大きさに関してより高い鮮明性を得てもよい。また、例えばこのデータを診断的に使用して、臨床医が全てのそれらしい標的が特定されていること、あるいは治療後に完全に治療されていることを確認するのを支援してもよい。
【0049】
さらに、US変換器255が画像データを取得すると、取得された画像データは無線または有線接続を介して計算装置120に転送される。超音波画像診断法によって取得された画像データは、臨床医によってまだ容易に理解される状態ではない。計算装置120はそれを臨床医が組織の種類を特定したり、疾患を診断したり、画像の撮影場所であるカテーテルガイドアセンブリ110の位置を特定したり、治療のレベルを決定したりすることができる画像に処理および変換する。
【0050】
図4Aは、3Dモデルの気管支樹の平面図すなわち
図3の気管支樹などの肺のスライス画像と標的までの経路計画とを示す。経路計画は、標的が
図3の終末細気管支の下側左端の先端に位置している場合に肺の管腔網を通って標的に到着する方法を示す。
【0051】
図4Bは、
図4Aの断面線B−Bに沿って切断された終末細気管支の拡大横断面図である。終末細気管支は平滑筋405によって囲まれている。神経410および静脈415は平滑筋405の外壁に位置している。US画像診断法では上記のように、終末細気管支に向かう気道の局所表示までも得られるため、平滑筋405上の細い神経410および静脈415さえも検出および特定することができる。従って、CT画像診断に加えてUS画像診断を用いることで、肺の末梢であっても、治療選択肢のより高い細分性およびより高い精度を可能にする、除神経などの治療法に対するナビゲーションおよび方向づけを達成することができる。
【0052】
図4Cは、経路計画に従いカテーテルガイドアセンブリが患者の天然の開口部(例えば口)から標的まで肺の中に挿入された状態の気管支鏡420を示す。気管支鏡420が肺の特定の位置に到達すると、気管支鏡420はサイズ制限により、動けなくなって気管支樹内をさらに進むことができなくなる。そこで、上記のようにカテーテルガイドアセンブリのEWC430を使用して、経路計画に従い標的450まで管腔網をナビゲートしてもよい。EWC430は標的450に到達するのに十分な程に小さくて細い。
図4Dは、
図4Cの丸で囲まれた領域の拡大詳細図を示し、ここでは、位置特定可能ガイド(LG)はEWC430の遠位先端から突き出ていてもよく、肺の終末細気管支に位置する標的450まで管腔網をナビゲートする。
【0053】
図5Aは、US画像診断法を用いて肺を可視化する方法500のフローチャートである。方法500は、肺の3Dモデルおよび標的までの経路計画を
図1の計算装置120などのコンピュータに格納されたナビゲーション/手順ソフトウェアにインポートする工程505で開始する。
【0054】
工程510では、
図1に示すように、EMボード140のEM場発生装置145のように、EMボードによりEM場を発生させる。工程515では、EMセンサ265およびUS変換器255を天然の開口部または切開部から肺の中に挿入する。EMセンサ265およびUS変換器255はある距離だけ離れてEWC230上に位置していてもよく、あるいは異なる場所に位置していてもよい。例えば、EMセンサ265はLG220の遠位先端260またはその周囲に位置していてもよく、US変換器255はEWC230の遠位端250またはその周囲に位置していてもよく、あるいはそれらは逆であってもよい。
【0055】
工程520では、EMセンサ265はEM場を感知し、感知された結果は計算装置120に送信される。感知された結果を使用してEM場の座標系におけるEMセンサ265の位置を計算する。位置を計算したら、計算装置はEMセンサ265の位置を、3Dモデル、そこから得られた2D画像および経路計画と比較する。一態様では、計算装置に送信する前に、EMセンサ265の位置を追跡装置160および基準センサ170により患者の呼吸パターンに従って補正してもよい。従って、患者が息を吸ったり吐いたりする間にMEセンサ255の位置が3Dモデルの座標系において異なることはない。
【0056】
工程525では、EMセンサ265の位置を3Dモデルおよびそこから得られた2D画像に同期させる。この位置は3Dモデルの開始位置すなわち3Dモデルの気管の入口であってもよい。この位置を同期させたとしても、EMセンサ265の実際の移動はここではまだ3Dモデルに同期されていない。
【0057】
EMセンサ265は、ある距離だけ(例えば、気管の入口から気管の底にある分岐点まで)移動する。EMセンサ265がEM場の感知を開始した後、この距離をEM場の座標系において測定してもよい。工程530では、EM場の座標系によるEMセンサ265の移動距離を、縮尺された距離が3Dモデルの座標系に一致するように縮尺してもよい。この工程の後に、EMセンサ265の位置および移動を3Dモデルに実質的にマッピングする。これは3Dモデルおよびそこから得られた2D画像への患者の同期すなわち登録である。
【0058】
工程535では、EMセンサ265、LG220およびEWC230は経路計画に従って標的まで肺の管腔網をナビゲートする。工程540では、センサ265が標的に到達したか否かを判定する。EMセンサ265が標的に到達していないと判定された場合、経路計画に従い標的に到達するまで工程535すなわちナビゲーション工程を継続する。
【0059】
実施形態では、工程540において標的に到達していると判定された場合、工程545を行い、US変換器255で標的を撮像してその位置を確認してもよい。これは組織密度を確認する工程またはマーカーに対する位置を確認する工程および他の位置確認工程を含んでもよい。さらに、標的の画像診断を治療後に用いて治療の十分性を確保してもよい。以下の
図5Cでは工程545をさらに詳細に説明する。
【0060】
図5Bは、標的へのナビゲーションの詳細な工程すなわち
図5Aの方法500の工程535を示す。工程550では、EWC230の遠位端が経路計画に従い標的までナビゲートする間に、US変換器255によりUS波が送信される。工程555では、US変換器255は肺組織から反射されたUS波を受信して計算装置120に送信し、次いで工程560では、計算装置120は反射されたUS波を処理する。反射されたUS波は、振幅および送信から受信までの遅延時間などの情報を有する。計算装置120はその情報を処理して肺組織の密度または大きさを決定し、かつ/またはCTスキャン画像内に新しい標的(すなわち治療される罹患細胞または癌性細胞)が発見されていないか否かを判定する。
【0061】
工程565では、標的までの経路計画に沿って新しい標的が存在するか否かを判定する。新しい標的が存在すると判定された場合、工程570では新しい標的を特定して、後での治療のために3Dモデルに登録する。工程575では、標的までの経路計画の一部である新しい標的までの経路も新しい標的までの経路計画として保存する。次いで、方法535は工程565に戻って、さらなる新しい標的が存在するか否かの確認を続ける。
【0062】
工程565において新しい標的が存在しないと判定された場合、計算装置は、処理された反射されたUS波に基づき画像を生成してもよい。US波は密度が変化する組織の界面から反射されるため、生成された画像は気管支樹の内部および外部の両方の詳細を示す。生成された画像は、気管支樹の外部に存在する罹患細胞または癌性細胞を示してもよい。一態様では、治療装置が治療目的で標的に貫通した場合、生成された画像を使用して治療装置が標的の中心にあるか否かを示すこともできる。
【0063】
工程585では、EMセンサ265の位置およびEMセンサ265とUS変換器255との離間距離D
OFFに基づき、生成された画像を3Dモデルに統合する。実施形態では、CTスキャン画像のより低い解像度部分をより高い解像度画像(すなわち生成されたUS画像)で置き換えることができるように、生成された画像をCTスキャン画像に上書きしてもよく、画像データを選択的に融合して複合画像データセットを作成してもよく、あるいはこれらのデーダをCT画像データに組み込んでもよい。工程590では、計算装置は、3Dモデルを含む生成された画像すなわち簡単に言うと統合された3Dモデルを表示する。
図5Aの方法500に図示するように、これらのナビゲーション工程550〜590を標的に到達するまで繰り返す。
【0064】
一実施形態では、US波を用いた可視化を使用して治療の十分性を判定してもよい。標的に対して1回の治療を行った場合、標的の大きさ、密度および水分を含む標的の属性は一般に変化する。従って、治療が完了したか否かを確認するために、標的の属性を治療前に取得した同様の測定値と確認および比較しなければならない。
図5Cは、
図5Aの工程540においてEMセンサ265が標的に到達したと判定された後に治療の十分性を確認する方法のフローチャートである。工程605では、LG220およびそのEMセンサ265の取り出し後に、焼灼カテーテルなどの治療装置をEWC230に挿入する。工程610では、治療装置が標的の中心点にあるか否かを判定する。US変換器255を使用してこれを行う。US画像は、撮像された組織の密度が変化し、かつ標的が正常な肺組織とは異なる密度を有することを示す。
【0065】
治療装置が標的の中心点にないと判定された場合、工程615では治療装置を多少挿入または後退させてその位置を調整する。次いで、工程610では治療装置の位置を再び確認する。工程610において治療装置が標的の中心点に位置していると判定された場合、治療装置で標的を治療する。
【0066】
実施形態では、
図5Cの工程605〜615と同様の工程を生検に適用してもよい。生検具を挿入して標的の試料を採取したら、US変換器255を使用して生検具が正しい標的の位置にあるか否かを確認する。生検具が正しい場所にあると判定された場合、生検具で試料を採取する。あるいは、生検具が標的の位置にないと判定された場合、生検具を調整して標的に正確に到達させてもよい。
【0067】
工程620では、治療装置で標的を治療する。治療への適用後にUS変換器255を用いて標的を撮像してもよく、工程625では標的の属性(例えば大きさ)を決定し、工程630では標的の属性を閾値と比較する。ここで閾値の大きさは、疾患の種類に基づいて予め定められていてもよく、疾患が完全に治療されていることを示してもよい。
【0068】
治療された標的の大きさが閾値の大きさを超えていると判定された場合、計算装置120は工程635において、治療が不完全であることを表示画面にそのような通知を表示して臨床医に知らせる。次いで、方法545は、別の治療のために工程620に戻る。これらの工程620〜635を治療が完了するまで繰り返す。一態様では、これらの治療をその場で、あるいは一定の期間にわたって行ってもよい。一定の期間にわたって治療を行う場合、後での治療の間に治療装置を確実に標的まで挿入することができるように、マーカーを標的またはその近くに配置してもよい。
【0069】
工程630において標的の大きさが閾値の大きさ以下であると判定された場合、計算装置120は工程640で治療が完了したことを表示して臨床医に治療の完了を知らせ、治療のレベルを確認する方法545は終了する。従って、本開示のUS変換器255およびUS画像診断機能を用いて標的の治療の十分性を確認してもよい。
【0070】
別の実施形態では、監視装置130および/またはコンピュータ120は、臨床医に状況を知らせるカラーコードを表示装置に表示してもよい。その状況はカテーテルガイドアセンブリ110のEWC230の位置に基づいていてもよい。その状況は、EWC230の遠位端が標的内でない位置、標的の位置、または健康な組織に隣接する位置にあるか否か、および標的の治療が完了したか否かを示してもよい。例えば、赤色はEWC230が標的内でない位置にあることを示し、緑色はEWC230が標的の位置にあることを示し、黄色はEWC230が健康な組織に隣接していることを示し、かつ橙黄色は治療が完了したことを示すようにカラーコードを使用してもよい。但し、これは一例であって本開示の範囲を限定するものではない。当業者であれば理解するように、他の状況表示システムを用いてもよい。
【0071】
上に詳細に説明していないが、
図1に関して、ネットワークインタフェース128により、他の計算装置120、気管支鏡115およびカテーテルガイドアセンブリ110は互いに、有線および/または無線ネットワーク接続を介して通信することができる。
図1では、気管支鏡115およびカテーテルガイドアセンブリ110は、有線接続を介して計算装置120へ/から医用画像、医療データおよび制御データを送受信してもよい。ネットワークインタフェース128が他の計算装置または気管支鏡115およびカテーテルガイドアセンブリ110に無線で接続している場合、ネットワークインタフェース128は通信のために周波数を使用するが、これは気管支鏡115またはカテーテルガイドアセンブリ110が取得した画像を送信するために使用する周波数とは異なってもよい。
【0072】
計算装置120のメモリ126は、ソリッドステート記憶装置、フラッシュメモリチップ、大容量記憶装置、テープ駆動機構、またはストレージコントローラおよび通信バスを介してプロセッサに接続されているあらゆるコンピュータ可読記憶媒体のうちの1つ以上を備えていてもよい。コンピュータ可読記憶媒体としては、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュールまたは他のデータなどの情報の格納のための任意の方法または技術に実装される非一時的な揮発性および不揮発性の取外し可能および取外し不可能な媒体が挙げられる。例えば、コンピュータ可読記憶媒体としては、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、消去可能プログラム可能ROM(EPROM)、電気的消去可能プログラム可能ROM(EEPROM)、フラッシュメモリもしくは他のソリッドステートメモリ技術、CD−ROM、DVD、または他の光学記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置もしくは他の磁気記憶装置、あるいは所望の情報を格納するために使用することができ、かつ計算装置120がアクセスすることができるあらゆる他の媒体が挙げられる。
【0073】
実施形態では、表示装置122は、指を摘まんだり広げたりするなどの複数の指の動作を表示装置122が受信することができるような入力装置として機能してもよい。例えば、指を摘まんだ場合は、指を摘まむ前にその指が位置している表示装置122上の表示画像の一部は縮小されてもよく、指を広げた場合は、指を広げる前にその指が位置している表示装置122上の肺の画像の一部は拡大されてもよい。あるいは、複数の指で一緒に表示装置122を一方向にスワイプした場合は、スワイプしている方向および回転量がスワイプ動作の距離および/または速度に比例するように表示画像を同じ方向に回転させてもよい。入力装置129を用いてこれらの機能を実行してもよい。
【0074】
データまたは設定値などの制御情報あるいはテキスト情報を入力するために入力装置129を使用する。入力装置129としては、キーボード、マウス、スキャン装置または他のデータ入力装置が挙げられる。表示画像または3Dモデルを拡大、縮小および一方向へ回転させるように操作するために、入力装置129をさらに使用してもよい。
【0075】
監視装置130は、気管支鏡115および計算装置120に動作可能に接続されている。監視装置130は、監視装置130の設定可能な項目を設定するためのボタンおよびスイッチを備える。監視装置130は、監視装置130を入力装置および出力装置の両方として機能させることができるタッチセンサ式および/または音声作動式であってもよい。従って、ボタン、監視装置130の画面へのタッチまたは音声を用いて、監視装置130の設定可能な項目を設定、変更または調整してもよい。
【0076】
気管支鏡115が肺の管腔網の画像を取得し、取得した画像をヒトの目で見ることができるように処理する必要がない場合、特に登録の確認で使用するために臨床医がカテーテルガイドアセンブリ110の位置が意図した場所にあるかを確認することができるように、監視装置130は取得された画像を受信して監視装置130上に表示してもよい。
【0077】
例示および説明のために添付の図面を参照しながら実施形態について詳細に説明してきたが、当然のことながら本発明の方法および装置は限定されるものとして解釈されるべきではない。本開示の範囲から逸脱することなく、上記実施形態に対して様々な修飾をなし得ることは当業者には明らかであろう。