特許第6335311号(P6335311)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6335311圧力ポッドダイヤフラムの自動検出及び調整
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6335311
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】圧力ポッドダイヤフラムの自動検出及び調整
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/36 20060101AFI20180521BHJP
【FI】
   A61M1/36 105
【請求項の数】20
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-541504(P2016-541504)
(86)(22)【出願日】2014年11月25日
(65)【公表番号】特表2017-504389(P2017-504389A)
(43)【公表日】2017年2月9日
(86)【国際出願番号】US2014067200
(87)【国際公開番号】WO2015099932
(87)【国際公開日】20150702
【審査請求日】2016年9月30日
(31)【優先権主張番号】14/139,061
(32)【優先日】2013年12月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508180910
【氏名又は名称】フレセニウス メディカル ケア ホールディングス インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098187
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 正司
(74)【代理人】
【識別番号】100085707
【弁理士】
【氏名又は名称】神津 堯子
(72)【発明者】
【氏名】ツルンコヴィッチ、マーティン
(72)【発明者】
【氏名】タネンバウム、リー
(72)【発明者】
【氏名】コトソス、マイケル エマニュエル
(72)【発明者】
【氏名】ワン、フェイ
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン、アレックス
【審査官】 宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−117332(JP,A)
【文献】 実開昭61−174943(JP,U)
【文献】 特開2001−099735(JP,A)
【文献】 米国特許第03635089(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/14 − A61M 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイヤフラムを含む圧力ポッドにおけるダイヤフラムの位置を制御するためのシステムであって、
流体ポンプと、
ダイヤフラムにより互いに分離された通過流体側及び気体側を画成する内部を有する圧力ポッドと、
前記通過流体側と流体連通する流体導管であって、前記流体ポンプが流体を前記流体導管を通過させて前記圧力ポッドの前記通過流体側に流体を送り込むことが可能となるように前記ポンプに対して動作可能に位置決めされた流体導管と、
前記圧力ポッドの前記気体側に動作可能に接続され、前記ダイヤフラムの動きにより生じた圧力を検知するように構成された圧力センサと、
前記圧力ポッドの前記気体側と流体連通するガス源であって、前記気体側と前記ガス源との間に流体連通をもたらすように構成され且つ前記気体側と前記ガス源との間の連通を遮断するように更に構成されたバルブを含むガス源と、
(1)前記圧力センサにより生成された圧力信号を受け取り、(2)該受け取った圧力信号を、前記圧力ポッドの正常動作中、正常な動作圧の下で、ダイヤフラムが適切又は最適に位置決めされた状態で生成される信号に対応する所定の圧力信号と比較し、(3)前記圧力センサから受け取った圧力信号と、前記所定の圧力信号との差を求め、(4)該求めた差に応じて前記バルブを制御し、該バルブの制御により前記圧力ポッドの気体側における圧力を制御し、これにより前記ダイヤフラムの位置を制御するコントローラと、を備えるシステム。
【請求項2】
前記流体ポンプがぜん動ポンプであり、前記圧力センサは、前記ぜん動ポンプが前記通過流体側を通じて流体を移動させることにより生じた圧力のパルスを検知するように構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記ガス源が1気圧より高い圧力の加圧ガスを含む、請求項1又は2記載のシステム。
【請求項4】
前記バルブは、開位置と閉位置との間で動作し、前記開位置のときに前記気体側と外気との間に気体連通をもたらすように構成された、請求項1〜3のいずれか一項記載のシステム。
【請求項5】
前記流体導管内の流体を更に備え、前記流体が血液である、請求項1〜4のいずれか一項記載のシステム。
【請求項6】
前記コントローラは、オシロスコープを含み、前記圧力センサから受け取った圧力信号を波形として前記オシロスコープ上に表示するように構成されると共に、前記波形を1つ以上の所定の波形と比較するように構成された、請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記コントローラは、前記圧力センサから受け取った信号の波形を1つ以上の所定の波形と比較するように構成された、請求項1〜5のいずれか一項記載のシステム。
【請求項8】
前記コントローラがメモリを含み、前記1つ以上の所定の波形は、前記メモリに格納され、前記1つ以上の所定の波形は、前記ダイヤフラムが第1の極限位置にあるときに受け取った信号に対応する第1の波形と、前記ダイヤフラムが前記第1の極限位置と反対の第2の極限位置にあるときに受け取った信号に対応する第2の波形とを含む、請求項6又は7記載のシステム。
【請求項9】
前記ダイヤフラムの前記第1の極限位置は、前記圧力ポッドの前記通過流体側が最大の容積を有し且つ前記圧力ポッドの前記気体側が最小の容積を有する位置である、請求項8記載のシステム。
【請求項10】
前記ダイヤフラムの前記第2の極限位置は、前記圧力ポッドの前記通過流体側の容積が最小であり、前記圧力ポッドの前記気体側が最大となる位置である、請求項9記載のシステム。
【請求項11】
前記コントローラは、前記圧力センサから受け取った圧力信号を、前記圧力ポッドの正常動作に対応する所定の圧力信号と比較し、また、前記コントローラは、受け取った前記圧力信号が前記所定の圧力信号に対する許容可能な分散度内にあるかを判断する、請求項1〜5のいずれか一項記載のシステム。
【請求項12】
圧力ポッド内のダイヤフラムの位置を自動的に調整する方法であって、
ダイヤフラムと、前記ダイヤフラムの一方の側に配置された通過流体側と、前記ダイヤフラムの前記通過流体側とは反対側に配置された気体側とを含む圧力ポッドの前記通過流体側を通じて、ポンプを用いて、流体を流動させることと、
前記圧力ポッドの前記通過流体側を通じて流動する流体の圧力に対応する圧力信号を経時的に生成することと、
前記圧力信号を、前記圧力ポッドの正常動作中、正常な動作圧の下で、ダイヤフラムが適切又は最適に位置決めされた状態で生成される信号に対応する一以上の所定の圧力信号と比較することと、
前記比較に基づいて、(i)前記圧力ポッドの前記気体側から圧力を解放すること、(ii)前記圧力ポッドの前記気体側を加圧すること、又は(i)及び(ii)の両方を行うこと、を含み、
前記圧力を解放すること、前記加圧すること、又は両方を行うことを用いて、前記ダイヤフラムを前記圧力ポッドの前記通過流体側と前記気体側との間で適切に位置決めする、方法。
【請求項13】
前記圧力を解放すること、加圧すること、又は両方を行うことが、前記圧力ポッドの前記気体側と流体連通するバルブを作動させることを含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記圧力を解放すること、加圧すること、又は両方を行うことが、前記圧力ポッドの前記気体側を加圧することを含み、該加圧することが、バルブを開放して前記圧力ポッドの前記気体側と加圧ガス源との間に流体連通を形成し、前記加圧ガス源からの加圧ガスが前記圧力ポッドの前記気体側に入るようにすることを含む、請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記圧力を解放すること、加圧すること、又は両方を行うことが、前記圧力ポッドの前記気体側から圧力を解放することを含み、該圧力を解放することが、バルブを開放して前記圧力ポッドの前記気体側と周囲大気との間に流体連通を形成し、前記開放により、前記圧力ポッドの前記気体側の加圧ガスが前記気体側から前記周囲大気へ排出されることを含む、請求項12〜14のいずれか一項記載の方法。
【請求項16】
前記ポンプがぜん動ポンプであり、前記圧力信号が、前記ぜん動ポンプが前記流体を前記圧力ポッドの前記通過流体側に通過させることにより生じた圧力パルスを含む、請求項12〜15のいずれか一項記載の方法。
【請求項17】
前記比較することが、前記圧力信号を、複数の所定の圧力信号と比較することを含む、請求項12〜16のいずれか一項記載の方法。
【請求項18】
前記比較することが、所定の信号に対する前記生成された圧力信号の平均偏差を計算することと、前記計算された平均偏差が偏差の許容範囲内にあるか否かを判断することとを含む、請求項12〜16のいずれか一項記載の方法。
【請求項19】
前記解放すること、加圧すること、又は両方を行うことが、
前記圧力ポッドの前記気体側からガスを排出すること、
前記圧力ポッドの前記通過流体側を通じて流動する流体の圧力に対応する新たな圧力信号を、前記排出後に生成すること、
前記新たな圧力信号が平均圧力信号から実質的に逸脱していないことを判断すること、
前記新たな圧力信号を生成した後で、前記圧力ポッドの前記気体側を加圧すること、
更に別の圧力信号を生成することを含む、請求項12記載の方法。
【請求項20】
請求項19記載の方法において、前記新たな圧力信号が前記平均圧力信号から実質的に逸脱していないことを判断することは、前記新たな圧力信号が前記平均圧力信号より少なくとも5mmHg高い又は低い圧力に対応するか否かを判断することを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアレス血液ラインシステムにおいて用いる圧力ポッドダイヤフラムの自動検出及び調整のための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
エアレス(airless)血液ラインシステムは、「圧力ポッド」として知られる動脈及び静脈圧監視機能を含むものが実現されている。このポッドは、血液ラインシステムに統合されて、圧力情報をポッドの血液側から薄いダイヤフラムを介して機械の測定機能へ伝える成形プラスチック特徴部から成る。例えば、操作者のミス、漏れ、又は配管の損傷により生じる特定の動作条件下では、図に示したように、ダイヤフラムが圧力ポッドの剛体内面又は外殻壁に押し付けられた状態となる可能性がある。これが発生すると、透析機の圧力監視機能は、圧力上昇に反応しなくなり、一定の不正確な圧力示度を記録する。圧力ポッドダイヤフラムが圧力ポッドの内面に押し付けられると、その順応が、上昇した圧力の監視を妨げる。使用者は、この状態を視覚的に検出し、ダイヤフラムを手動で調整する必要がある。
【発明の概要】
【0003】
本願の教示は、エアレス血液ラインシステム内の圧力ポッドダイヤフラムの位置を検出して自動的に調整するシステム及び方法に関する。この方法は、ダイヤフラムの位置を検出するアルゴリズムを用いると共に圧力調整を自動的に用いて、ダイヤフラムを外殻壁から離す。このシステムは、動脈血液ポンプモジュールの入口に配置された動脈圧力ポッドと、透析装置の静脈(出口)側に配置された静脈圧力ポッドとを含むことができる。圧力ポートは、血液透析システムのレベル検出器モジュールに接続することができる。ダイヤフラムは、圧力ポッド内で適切に位置決めされると、圧力監視範囲の全域で血圧情報を伝えるのに十分な可撓性を有する。
【発明の効果】
【0004】
動脈血液ポンプ及びレベル検出器モジュール内に含まれる既存の機械のドリップチャンバレベル調整機能は、圧力ポッドダイヤフラムの位置を操作するのに適用することができる。従来、こうしたレベル制御は、従来の血液ラインの動脈及び静脈ドリップチャンバにおける液体/空気レベルを操作者が手動で調整するために使用される。しかしながら、本願の教示によれば、これらのモジュールレベル制御を自動機械の機能として利用するために追加のハードウェア及びソフトウェアが実現される。動脈圧力ポッドの場合、機械のソフトウェアは動脈圧を監視する。血液ポンプの回転により生じる周期的な動脈圧パルスが検出されない場合、又は他の要因により生じる予測可能な圧力の信号又は変動が検出されない場合、ソフトウェアアルゴリズムは、動脈圧力ポッドに対するレベル制御を少なくとも瞬間的に作動させるコマンドを発生させ、ダイヤフラムを押すこと、引くこと、又は他の形で強制することにより、外殻壁から離す。静脈圧力ポッドについて、機械のソフトウェアは静脈圧を監視する。血液ポンプの回転により生じる周期的な静脈圧パルスが検出されない場合、又は他の要因により生じる予測可能な圧力の信号又は変動が検出されない場合、ソフトウェアアルゴリズムは、静脈圧力ポッドに対するレベル制御を少なくとも瞬間的に作動させるコマンドを発生させ、ダイヤフラムを押すこと、引くこと、又は他の形で強制することにより、外殻壁から離す。何れかの圧力ポッドについて、システムは、自動的に、少なくとも瞬間的に、レベルダウンポンプをオンにするか、又はレベルアップバルブを開き、ダイヤフラムを自動的に調整して外殻壁から離すことができる。何れかの圧力ポッドについて、追加の調整を行って、ダイヤフラムを外殻壁から離すこと、又はダイヤフラムを外殻壁から更に離すことができる。アルゴリズムは、ダイヤフラムを移動させる加圧ガスの量を正確に測定するために、或いは圧力ポッドから排出されるべきガスの量を正確に測定するために、パルス幅調整制御信号を実現することができる。
【0005】
本願の教示により、使用者はダイヤフラムを手動で位置決めする作業を行わなくてよくなると共に、手動手段により達成可能な、より正確で時宜に適ったレベル調整が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
添付図面を参照することで本発明を更に完全に理解することができるであろう。図面は、例示のためのものであり、本願の教示を限定するものではない。
【0007】
図1】(A)本願の教示に従って使用可能な通過式圧力ポッドを示す部分断面斜視図であり、ダイヤフラムを取り外した状態にある。 (B)図1Aの圧力ポッドの側断面図であり、ダイヤフラムが圧力ポッドの上方内側壁に接する上方極限位置に位置決めされた状態で図示されている。
【0008】
図2】ダイヤフラム室の下半分と上半分との間の本体中央位置に図示されたダイヤフラムを含む圧力ポッドの概略断面図である。
【0009】
図3】動脈側圧力ポッド及び静脈側圧力ポッドを共に含む、本願の教示に従うシステムを示し、圧力ポッドダイヤフラム制御システムをブロック図の形態で示す概略図である。
【0010】
図4】本願の教示の様々な実施形態に従う、圧力ポッドダイヤフラムの位置を自動的に制御することに関わるアルゴリズムを示すプロセスフロー図である。
【0011】
図5】(A)動脈側圧力ポッドにより経時的に生じる圧力信号を表す波形を示す3つのグラフのうち、正常且つ適切な動作条件下で得られた圧力測定値に対応するグラフを示す図である。 (B)動脈側圧力ポッドにより経時的に生じる圧力信号を表す波形を示す3つのグラフのうち、圧力ポッドダイヤフラムが第1の極限である加圧過剰位置で固着した条件下で得られた圧力測定値に対応するグラフを示す図である。 (C)動脈側圧力ポッドにより経時的に生じる圧力信号を表す波形を示す3つのグラフのうち、圧力ポッドダイヤフラムが第2の極限である加圧不足位置で固着した条件下で得られた圧力測定値に対応するグラフを示す図である。
【発明の詳細な説明】
【0012】
本発明の1つ以上の実施形態によれば、ダイヤフラムを含む圧力ポッド内でのダイヤフラムの位置を制御するためのシステムが提供される。このシステムは、流体ポンプと、圧力ポッドと、圧力ポッドに動作可能に接続された圧力センサと、圧力センサにより生成された圧力信号を受け入れると共に、受け入れた圧力信号に基づいて圧力ポッド内部のガス圧を制御するように構成されたコントローラとを含むことができる。ダイヤフラムが圧力測定値を正確に生成できるようにダイヤフラムを圧力ポッド内で位置決めするのに、圧力ポッド内部のガス圧を制御することが用いられる。
【0013】
圧力ポッドは、ポッドを介して流動する流体の圧力を測定するために用いられる様々な圧力ポッドの何れかを含むことができる。圧力ポッドは、通過流体側と気体側とを画成する内部を備えることができる。通過流体側と気体側とは、ダイヤフラムにより互いから分離することができる。本願の教示にしたがって使用可能な圧力ポッドの例には、例えば、それぞれ出典を明記することによりその開示内容全体を本願明細書の一部に組み込む米国特許No.US8,210,049B2、米国特許No.US8,092,414B2,、米国特許US6,526,357B1、米国特許No.3,863,504、欧州特許出願公開No.0 30 891A1に図示及び記載されるものが含まれる。
【0014】
圧力ポッドの通過流体側に流体連通した状態で流体導管を設けることができる。ポンプにより導管を通じて流体を移動させて、流体を圧力ポッドの通過流体側に通過させるように、流体ポンプに関して流体導管が動作可能に位置決めされる。流体導管は、流体ポンプに対して動作可能に位置決めし、一部の例では、流体ポンプは、流体を押すことで、流体導管及び圧力ポッドに通すように配置される。他の実施形態において、流体ポンプは、流体を引くことで、流体導管及び圧力ポッドに通すように配置される。流体ポンプは、ぜん動ポンプを含むことが可能であり、流体導管は、ぜん動ポンプのロータの作用を受けるように、例えば、レースウェイ又は半円形の軌道内に位置決めされる。
【0015】
圧力センサは、圧力ポッドの気体側に動作可能に接続され、ダイヤフラムの動きにより生じる圧力を検知するように構成することができる。ダイヤフラムを圧力ポッド内部の中央部分又は本体中央の位置に維持するために、例えば、圧力ポッドを流れる流体の圧力の増減を正確に検知するためには、圧力ポッドの気体側からガスを排出すること、又は圧力ポッドの気体側を加圧すること、又はその両方を行うことが必要となる場合がある。ガス源は、圧力ポッドの気体側と流体連通した状態で設けることが可能であり、気体側とガス源との間に流体連通をもたらすように構成されたバルブ及び/又はレギュレータを含むことができる。バルブ及び/又はレギュレータは、更に、気体側とガス源との間の連通を遮断し、例えば、ガス源による気体側の加圧又は一層の加圧を妨げるように構成することができる。バルブ及び/又はレギュレータは、開放又はベント位置となることで、気体側とベントポート、例えば、外気に通じるベントポートとの流体連通を形成するように構成することができる。開放又はベント位置において、バルブ及び/又はレギュレータは、加圧ガスを圧力ポッドの気体側から放出し、例えば、ダイヤフラムを通過流体側へ過剰に押しやって本体中央に近い位置から離していた気体側の圧力を解放することができる。上述したように、本体中央位置は、圧力の変動を検知するのに好適なダイヤフラム位置となる場合が多い。本明細書では、バルブ又はバルブ群に何度も言及するが、レギュレータは、本明細書において、使用可能なバルブの一種を構成すると理解されたい。
【0016】
本願の教示の1つ以上の実施形態において、流体ポンプは、ぜん動ポンプを含むことが可能であり、圧力センサは、圧力ポッドの通過流体側を介して流体を移動させるぜん動ポンプにより生じる圧力パルスを検知する構成にすることができる。コントローラは、圧力センサから受け取った圧力信号を、所定の圧力信号、例えば、圧力ポッドの正常動作中、正常な動作圧の下で、ダイヤフラムが適切又は最適に位置決めされた状態で生成される信号に対応する所定の圧力信号と比較するように構成することができる。一部の例では、コントローラは、受け取った圧力信号が所定の圧力信号に対する許容可能な分散度内にあるかを判断する。圧力センサから受け取った圧力信号と所定の圧力信号との間の差に基づいて、標準偏差を計算することができる。標準偏差は、閾値と比較して、例えば、最大閾値及び最小閾値と比較して、圧力ポッドが適切に動作しているか、及び/又はダイヤフラムが圧力ポッド内で適切に位置決めされているかを判定することができる。
【0017】
圧力センサから受け取った圧力信号は、複数の所定の信号と比較することができる。複数の所定の信号の少なくとも1つは、ダイヤフラムが第1の極限位置にあるときに圧力ポッドの動作により生成された信号に対応させることができる。この第1の極限位置は、例えば、圧力ポッドの気体側が最小となり且つ圧力ポッドの通過流体側が最大となる位置であることができる。こうしたダイヤフラムの位置は望ましくなく、また、ダイヤフラムが既に完全に拡張された又は完全に加圧された位置にあるため、圧力ポッドが圧力パルスを増加させるのを妨げる。こうした位置において、ダイヤフラムは、ガス圧の増加に反応して更に動くことができないため、圧力パルスを圧力センサに送ることができない。圧力センサから受け取った圧力信号は、圧力ポッドの通過流体側が最小となり且つ圧力ポッドの気体側が最大となる第2の極限位置にダイヤフラムがあるときに生成される所定の信号と比較することができる。この第2の極限位置において、ダイヤフラムは、通過流体側に向けて完全に拡張された状態となり、圧力の更なる低下を全く検出できなくなる。
【0018】
ダイヤフラムが極限位置の一方にあったことを示す所定の信号に、圧力センサから受け取った圧力信号が類似すると判断した場合、コントローラは、ガス源及びバルブを作動させて、圧力ポッドの気体側の加圧又は排出を行うことができる。これにより、ダイヤフラムを、圧力ポッド内の本体中央に近い位置に動かすことができる。当業者に既知の論理回路を設け、コントローラがバルブ、ガス源、又はその両方を制御して、気体側からガスを排出すること、気体側をガス源により加圧すること、又はその両方を適宜に実行させることができる。これにより、ダイヤフラムの位置を調整することができる。圧力センサから受け取った圧力信号が、圧力ポッドの正常動作に対応する所定の圧力信号に類似すると判断された場合、コントローラは、調整を行わない又は調整は必要でないとみなして、バルブ及びガス源をその状態に維持することができる。
【0019】
圧力信号は、周期的、断続的、不規則、又は連続的にコントローラに送信され、そしてコントローラによって受け取られる。気体側のガス圧の調整時に、コントローラは、一次停止又は待機した後に、結果的に生じた圧力を所定の信号と比較することができる。一部の例では、コントローラは、調整により生じた新たな圧力信号を、直ちに、1つ以上の所定の信号と比較することができる。
【0020】
圧力センサが生成した圧力信号は、例えば、時間軸に沿って、1秒を超える長さにすることができる。信号は、一定の期間に亘って、例えば、2秒間、3秒間、5秒間、7秒間、10秒間、又は更に長い期間に亘って生成するのがよい。圧力信号の長さは、ポンプが1個、2個、3個、又は更に多くの圧力パルスを発生させるのに要する時間量と等しくするのがよい。一部の例では、ぜん動ポンプが使用され、また、比較対象の信号は、ポンプが2個、3個、又は4個の圧力パルスを発生させるのに必要な時間量に亘って生成される。
【0021】
ガス源は、1気圧より高い圧力、例えば、1.5気圧の圧力、2気圧の圧力、又は3気圧以上の圧力の加圧ガスを含むことができる。ガス源は、1.1気圧乃至100気圧、1.1気圧乃至10気圧、1.1気圧乃至5気圧、又は1.5気圧乃至3.0気圧の圧力下にあるガスを含むことができる。一部の例において、ガス源は、ガス圧縮機や、例えば約5psig乃至約150psig、約10psig乃至約100psig又は約15psig乃至約50psigの圧力で加圧ガスを保持するタンクであってよい。ガス源は、加圧された空気、二酸化炭素、窒素、他の不活性ガス等であってよい。ガス源は、ガスポンプ又はインフレータを含むことができる。
【0022】
バルブは、ガス源の一部として、又は単にガス源と流体連通した状態で構成することができる。一部の例において、バルブは、気体側とガス源との流体連通を制御するためのバルブと、圧力ポッドの気体側からガス圧を解放するベントを制御するためのバルブである2つのバルブを含むことができる。一部の例において、バルブ、又は各バルブは、T型バルブ、ピンバルブ、ねじ付き閉鎖弁、数値操作式バルブ、液圧駆動バルブ等であってよい。バルブは、マルチウェーブバルブ(multi-wave valve)、例えば、閉鎖状態と、圧力ポッドの気体側内部のガス圧を解放可能な排出状態と、ガス源からの加圧ガスを圧力ポッドの気体側に流体連通させることが可能なガス吸入状態とになることが可能なバルブを含むことができる。バルブ又は各バルブの動作は、コントローラにより、例えば、制御論理、サーボモータ、ステッパモータ、空圧、水圧、それらの組み合わせ等を用いて制御することができる。
【0023】
様々なバルブの何れか1つを、ガス源の一部として、又はガス源と接続して用いることができる。バルブは、以下の種類の何れかから選択することができる。すなわち、ボールバルブ、バタフライバルブ、逆止弁、ゲートバルブ、ニードルバルブ、1/4回転式バルブ(quarter-turn valve)、流量制御バルブ、ガス圧レギュレータ、プランジャバルブ、圧力レギュレータ、減圧バルブ、圧力維持バルブ、背圧レギュレータ、サドルバルブ(saddle valve)、安全バルブ、リリーフバルブ、ソレノイドバルブ及び止めコック(stopcock)。バルブは、様々なシステム及び機器の何れかにより制御することができる。バルブ又はバルブ群は、例えば、バルブステムに取り付けたアクチュエータにより制御することができる。アクチュエータは、例えば、電気モータ又はソレノイドを含む電気機械式アクチュエータ、空気圧により制御される空圧アクチュエータ、又は油又は水等の液体の圧力により制御される液圧アクチュエータであってよい。アクチュエータは、自動制御、遠隔制御、又はその組み合わせのために用いることができる。加圧空気又は液体ラインに基づいて動作する空圧アクチュエータ及び液圧アクチュエータを使用することができる。パイロットバルブを用いて、1つ以上の他のバルブを制御することができる。アクチュエータライン内のパイロットバルブを用いて、アクチュエータへ向かう空気又は液体の供給を制御することができる。一部のバルブ設計では、ガス流自体の圧力又はポート間のガス流の圧力差を用いて、バルブを通過する流れを自動的に制御することができる。
【0024】
圧力センサは、モジュラユニット、永久ユニット、交換式ユニット等にすることができる。圧力センサは、圧力ポッドの気体側と流体連通しており、通過流体側で圧力ポッドを通過する流体とは接触しない。そのため、圧力センサは流体によって決して汚染されないため、圧力センサは、再使用可能なシステム構成要素として構成することができる。
【0025】
圧力センサは、圧力配管又は空気配管等の圧力ラインが接続されて、圧力ポッドの気体側と圧力センサとの流体連通を形成することが可能な入口ポートを備えることができる。圧力ポッドの気体側はポートを有していてもよい。気体側ポート及び圧力センサ用の入口ポートは、同一の内径、同一の外径、又はその両方を有し、例えば、所定の外径の圧力管を圧力ポッドの気体側と圧力センサの入口ポートとの両方に接続可能にすることができる。
【0026】
圧力センサは、例えば、それぞれ出典を明記することによりその開示内容全体を本願明細書に組み込む米国特許No.US8,210,049 B2、米国特許No.US8,092,414 B2、米国特許No.US6,526,357 B1、米国特許No.3,863,504、及び欧州特許出願公開No.0 30 891 A1の何れかに記載の1つ以上の圧力センサを含むことができる。
【0027】
図面の各図を参照すると、図1Aは、本願の教示に従って使用可能な通過式圧力ポッドを、ダイヤフラムを取り外した状態で示す部分断面斜視図である。図1Bは、ダイヤフラムが圧力ポッドの上方内側壁に接する上方極限位置に位置決めされた状態で図示されている、図1Aの圧力ポッドの側断面図である。図1A及び1Bから分かるように、圧力ポッド100は、上殻102、下殻104、及びダイヤフラム106を備える。下殻104は、図示したように、入口ポート110及び出口ポート112を含む流通管108を形成するように構成することができる。下殻104は、更に、ダイヤフラム室116の下半分114を構成する。ダイヤフラム室116の下半分114は、内側壁118を含む。上殻102は、ダイヤフラム室116の上半分120を構成し、内側壁122を含む。図1Bから分かるように、ダイヤフラム106は、上方極限位置にあるダイヤフラム室116の内側壁122に対して上向きに押し当てられている。流通管108を通過する流体の圧力が増加した場合、ダイヤフラム106は更に上方へ動くことができず、圧力ポッドは、対応する検出可能なガス圧を増加させて流体圧力の増加を知らせることができない。
【0028】
上殻102は、圧力ポート124を形成し、ダイヤフラム106の上側のガスは、例えば、圧力ポート124を通じて上方に移動し、圧力センサ(図示せず)と動作可能に流体連通可能な圧力ライン(図示せず)に入ることができる。ダイヤフラム106が下方に移動すると、圧力ポート124を通じてガスをダイヤフラム室116の上半分120に引き込むことが可能であり、その結果、圧力センサにより検出可能な圧力の低下が生じる。圧力ポート124内、圧力ライン内、及びダイヤフラム106の上側におけるガス圧の変化は、圧力センサにより検知され、また、流通管108を通過する流体の圧力を測定するのに用いられる。
【0029】
図2は、図1A及び1Bに図示した圧力ポッド100に類似する圧力ポッド200の概略断面図である。図2において、ダイヤフラム206は、ダイヤフラム室216の下半分214と上半分220との間の本体中央位置に図示されている。上向きの矢印は、流通管208を通じて流動する流体の圧力増加を受けた際にダイヤフラム206が動く方向を示している。ダイヤフラム室216の上方内側壁222に沿って図示された破線は、ダイヤフラム206が検出可能な最大圧力条件の下で取ることが可能な極限上方位置を示す。下向きの矢印は、ダイヤフラム206が流通管208を通じて流動する流体の圧力低下による負圧又は低圧に晒された際にダイヤフラム206が移動可能な方向を示している。ダイヤフラム室216の底部の破線は、ダイヤフラム206が検出可能な最小圧力条件の下で取ることが可能な極限下方位置を示す。
【0030】
図3は、圧力ポッドダイヤフラム制御の概略図であり、動脈側圧力ポッド302及び静脈側圧力ポッド304を共に含むシステム300の例を示すと共に、両方を制御するためのシステム構成要素を示すブロック図である。図3に示したように、血液回路306は、患者から動脈側圧力ポッド302、及び圧力ポッド302から血液ポンプ310への流体連通を形成する血液ライン308を含む。血液ライン308は、その後、血液ポンプ310から透析装置312、及び透析装置312から静脈側圧力ポッド304への流体連通を含む。血液ライン308は、その後、圧力ポッド304を通過後に血液を患者に戻す。動脈側圧力ポッド302はダイヤフラム314を含む。ダイヤフラム314は、圧力ポッド302を、ダイヤフラム314下方の通過流体側の半分と、圧力センサ318と流体連通するガス側半分316とに分ける。圧力センサ318は、圧力ポッド302のガス側半分316内のガス圧を検知し、ガス圧を表す信号を中央処理装置(CPU)320に送信する。圧力センサ318から受信した信号に基づいて、CPU320は、ダイヤフラム314の位置に対する調整が必要かを判断する。例えば、圧力信号が、ガス側半分316内の圧力が許容範囲内であり、圧力の増減が適切に検出されていることを示す場合、CPU320は、ダイヤフラム314の位置に対する調整は必要ないと判断することができる。一方、圧力センサ318から送信された信号に基づいて、より高いガス圧がガス側半分316において必要であると判断した場合、CPU320は、バルブ324を介してガス側半分316に加圧ガスを入れさせることが可能な空気ポンプ322を作動させる信号を送信する。バルブ324は、例えば、図示したように2方向バルブであるのがよい。同時に、CPU320は、バルブ324を開けて、空気ポンプ322により生成した加圧ガスをガス側半分316に送り込むことが可能となるように、信号をバルブ324へ送信することができる。圧力センサ318から受け取った信号に基づいて空気ポンプ322及びバルブ324を制御することにより、CPU320は、ガス側半分316内のガス圧を調節して、ダイヤフラム314を圧力ポッド302内部で本体中央位置に維持することができる。この本体中央位置において、ダイヤフラム314は、患者からの血液ライン308の一部分における圧力の増加及び減少の結果として、それぞれ上方又は下方へ動くことが可能となる。
【0031】
システム300の静脈側において、血液ポンプ310により血液ライン308に沿って、また、透析装置312を介して送り出された血液は、静脈側圧力ポッド304を通過する。圧力ポッド304を通過する血液の、圧力パルスを含む圧力の増減は、圧力ポッド304内のダイヤフラム330の動きにより検出される。圧力ポッド302の構造と同様に、圧力ポッド304は、ダイヤフラム330上方の体積として構成されるガス側半分332を含む。ガス側半分332内のガスの圧力変化は、CPU320に信号を送信する圧力センサ334により検出される。CPU320は、圧力センサ334から圧力信号を受け取り、空気ポンプ336及びバルブ338を制御して、ガス側半分332内の圧力を調節する。ガス側半分332内のガス圧が最高限度、閾値、及び/又は所定値を超えると、CPU320は、バルブ338及び空気ポンプ336を制御して、ガス側半分332からのガスが、バルブ338、空気ポンプ336、更にベント340を介して外部へ排出されるようにすることができる。その後、ダイヤフラム330は、圧力ポッド304のダイヤフラム室内で、本体中央に近い位置を取ることができる。ガス側半分332内のガス圧が最小限度、閾値、及び/又は所定値を下回ると、CPU320は、バルブ338及び空気ポンプ336を制御して、空気ポンプ336により、バルブ338を介してガス側半分332内へガスを送り込むことが可能であり、これによりダイヤフラム330は、圧力ポッド304のダイヤフラム室内で本体中央に近い位置を取ることができる。
【0032】
図4は、本願の教示による、圧力ポッドダイヤフラムの位置を自動的に制御することに関連するアルゴリズムを示すプロセスフロー図である。アルゴリズムは、システムの各圧力ポッド制御するために用いることが可能であり、例えば、動脈側圧力ポッド及び静脈側圧力ポッドを備えるシステムにおいて、各圧力ポッドは、互いに独立して制御することができる。図4に示すアルゴリズムでは、静脈側圧力ポッドの制御を例示している。図4に示すように、透析治療が開始されると、静脈圧力ポッドの気体側におけるガス圧が圧力センサにより検出される。検知された圧力に対応する信号がCPUに送信される。ステップ400に示すように、静脈圧力ポッドの気体側における圧力は圧力センサにより検知され、そして、対応する信号が50ミリ秒(msec)毎にCPUへ送られる。その後、CPUは、50msec毎に受け取った圧力信号を平均化し、ステップ402において平均静脈圧データを生成するのがよい。CPUが受け取った新着の各圧力信号は平均静脈圧データ(平均値)と比較され、ステップ404において、この測定値が平均値から5mmHgよりも大きく逸脱しているかが判断される。測定された圧力が平均から5mmHgより逸脱している場合、CPUは、ステップ406において、全ての値をリセットし、静脈圧力ポッドのガス側半分内の圧力が変化していることを示すことができる。これに応じて、新たな1組の圧力示度を、新たな時間間隔に亘って取り出し、新たな平均静脈圧データ値を生成するのがよい。一方、測定された圧力の平均値からの逸脱が5mmHg以下である場合、CPUは圧力が安定していると判断し、ステップ408において、CPUは、圧力が10秒間に亘り継続的に安定状態を保つか否かを判定する。圧力が10秒間に亘り安定状態を保たず、新たな測定圧力値が平均値から5mmHgよりも大きく逸脱する場合、CPUは、静脈側圧力ポッドのダイヤフラムが正しく位置決めされていると判断し、圧力ポッドのガス側半分内のガス圧に対する調整は行われない。一方、圧力が10秒間に亘り継続的に安定状態を保つと判断した場合、CPUは、ステップ410において、ベントコマンドが送信されたか否かを判断する。ベントコマンドが送信されていないと判断した場合、ステップ412において、CPUは静脈圧ベントコマンドを送信して、例えば、ベント機能を20msec間、作動させ、そしてステップ400、402、404を繰り返す。その後、新たな圧力値が検知され、動作が継続される。ベントによりダイヤフラムの位置が補正されず、代わりに圧力が安定状態を継続する場合、ステップ410において、CPUは、ベントコマンドを送信してから500msecが経過したかを判断する。ステップ414において、CPUが500msec経過していないと判断した場合、システムは、50msecの間隔で圧力の監視を続ける。ステップ414において、ベントコマンドを送信してから500msecが経過したとCPUが判断した場合、CPUは、ステップ416において、ポンプコマンドが送信されたか否かを判断する。ポンプコマンドが送信されていないときには、ステップ418において、CPUは、静脈空気ポンプコマンドを、例えば、100msec間、送信し、ステップ400、402、及び404を繰り返す。ステップ416において、ポンプコマンドが送信されているときには、CPUは、ステップ420において、ポンプコマンドを送信してから500msecが経過したか否かを判断する。ステップ420において、ポンプコマンドを送信してから500msecが経過していないと判断された場合は、ステップ400、402、及び404を繰り返し、そして、このシステムは50msecの間隔で圧力の監視を続ける。ポンプコマンドを送信してから500msecが経過したとステップ420において判断され、また、圧力が安定状態を保ち続けているときには、CPUはダイヤフラムが固着していると判断し、また、CPUは固着警報を有効にする。警報は、警報音、点滅光、又はその組み合わせ等にすることができる。
【0033】
追加又は変形例として、CPUは、圧力信号を波形として受信すること、又は圧力信号を波形に変換することが可能であり、この波形をCPUにより分析して、圧力変動が適切に検出されているかを判定すること、及び圧力ポッドのガス側半分内のガス圧の調整を行ってダイヤフラムの位置を調整する必要があるかを判定することができる。図5A乃至5Cは、CPUが波形の形とした入力圧力信号の比較を行うことが可能な波形の例を示す。更に詳しくは、図5A乃至5Cは、動脈側圧力ポッドにより経時的に生じる圧力信号を表す波形を示す3つのグラフであり、正常且つ適切な動作条件下で得られた圧力測定値に対応するグラフ(図5A)と、圧力ポッドダイヤフラムが第1の極限である加圧過剰位置で固着した条件下で得られた圧力測定値に対応するグラフ(図5B)と、圧力ポッドダイヤフラムが第2の極限である加圧不足位置で固着した条件下で得られた圧力測定値に対応するグラフ(図5C)とを含む。リアルタイムで生成された波形を、図5A乃至5Cに図示したもののような様々な格納済み波形と比較することにより、CPUは、リアルタイムで生成された波形が圧力の十分な変動を経時的に示し、圧力ポッドダイヤフラムが適切に位置決めされていると結論されるかを判断することができる。こうした比較を行うことにより、CPUは、また、波形が実質的に直線であり変動がないため、圧力ポッドダイヤフラムが固着しており適切に位置決めされていないはずであると判断することが可能であり、この場合、補正措置を行うこと、又は警報を起動することができる。
【0034】
本開示で引用した全ての参照文献は、出典を明記することによりその内容全体を本願明細書に組み込む。更に、量、濃度、又は他の値若しくはパラメータを、範囲、好適な範囲、又は好適な上限値と好適な下限値との一覧の何れかとして記載している場合、これは、何れかの範囲上限又は好適な上限値と何れかの範囲下限又は好適な下限値との任意の対により形成される全ての範囲を、こうした範囲が別々に開示されていたとしても、具体的に開示するものと理解されるべきである。本明細書に数値範囲が引用されている場合、特に記載がない限り、範囲は、その端点と、その範囲内の全ての整数及び分数を含むものである。本発明の範囲は、範囲を定義する際に引用した具体的な値に限定されないものとする。
【0035】
本明細書に記載した全ての特許、特許出願、及び刊行物は、特に記載がない限り、出典を明記することによりその内容全体を本願明細書に組み込む。
【0036】
本発明の他の実施形態は、本明細書と本明細書に開示の本発明の実践とを検討することにより、当業者に明らかとなろう。本明細書及び実施例は、単に例示として見做されるものであり、発明の範囲及び趣旨は、以下の特許請求の範囲及びそれと同等のものが示すものとする。
図1
図2
図3
図4
図5