(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の実施形態は、従来技術における少なくとも一つの課題を少なくともある程度解決するか、もしくは有用な代替案を消費者に提供しようと試みるものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施形態は、NFCアンテナ組立体を提供する。このNFCアンテナ組立体は、嵌合開口が画成されている金属板であって、前記嵌合開口は当該金属板の厚さ方向に当該金属板を貫通している金属板と、前記嵌合開口の中に配置される取付シートと、前記嵌合開口の中に配置され、前記取付シートを取り囲んでいる絶縁ワッシャと、前記取付シートの上に配置されるNFCアンテナと、を含み、前記取付シートは、前記取付シートの
放射方向に延びている第1貫通スロットを備え、前記金属板は、前記嵌合開口から前記金属板の外周に向かって延びている第2貫通スロットを備える。
【0006】
本開示の実施形態に従ったNFCアンテナ組立体によれば、取付シートに第1貫通スロットを配置することと、金属板に第2貫通スロットを配置することによって、渦電流が少なくなる。増幅器と同等である金属板に磁力線がつながり、それによって磁束が改善され、磁力線が嵌合開口を通り抜けられるようになる。そして、通信距離は長くなり、NFCアンテナ組立体の体積は小さくなり、コストを抑えられる。さらに、絶縁ワッシャを配置することによって、金属板は取付シートから絶縁され、その結果、安全に使用されるようになる。
【0007】
加えて、本開示の実施形態に従ったNFCアンテナ組立体は、以下のような付加的な特徴をさらに備える。
【0008】
本開示のいくつかの実施形態において、前記取付シートは、取付穴を備え、前記第1貫通スロットは、前記取付穴から前記取付シートの外周に向かって延びている。
【0009】
本開示のいくつかの実施形態において、前記絶縁ワッシャの内周は、前記取付シートの外周に当接している。
【0010】
本開示のいくつかの実施形態において、前記第1貫通スロットは、前記取付シートの下部に形成されると共に、上下方向に延びる細長いスロットとして構成される。前記第1貫通スロットの下端は、前記取付シートの外周の下部に向かって延びており、前記第1貫通スロットの上端は、前記取付穴に向かって延びている。
【0011】
本開示のいくつかの実施形態において、前記第2貫通スロットは、前記第1貫通スロットの長手方向に延びる細長いスロットとして構成される。前記第2貫通スロットの下端は、前記取付穴に向かって延びており、前記第2貫通スロットの上端は、前記金属板の外周の上部に向かって延びている。
【0012】
本開示のいくつかの実施形態において、NFCアンテナは、前記取付シートに接続されたアンテナコイルと、前記アンテナコイルと前記取付シートの間に配置され、前記アンテナコイルを前記取付シートに接続させるように構成されているアンテナコイル接着層と、前記アンテナコイルの上に配置されたフェライトコーティングと、前記フェライトコーティングと前記アンテナコイルの間に配置され、前記フェライトコーティングを前記アンテナコイルに接続させるように構成されているフェライトコーティング接着層と、を含む。
【0013】
本開示のいくつかの実施形態において、前記アンテナコイルは、前記アンテナコイルの中心に位置する巻線穴をさらに含み、前記巻線穴は、前記取付シートの前記取付穴と重なり合っている。
【0014】
本開示のいくつかの実施形態において、前記NFCアンテナは、前記アンテナコイル接着層と前記取付シートの間に配置されている金属薄層と、前記金属薄層と前記取付シートの間に配置され、前記金属薄層を前記取付シートに接続させるように構成されている金属薄層接着層と、をさらに含む。
【0015】
本開示のいくつかの実施形態において、前記金属薄層は、貫通穴と、前記貫通穴から前記金属薄層の外周まで延びている第3貫通スロットと、を含む。
【0016】
本開示のいくつかの実施形態において、前記アンテナコイルの中心にある前記巻線穴は、前記取付穴および前記貫通穴と重なり合っている。
【0017】
本開示のいくつかの実施形態において、前記第3貫通スロットは、上下方向に延びる細長いスロットとして構成される。
【0018】
本開示のいくつかの実施形態において、前記第3貫通スロットは、前記金属薄層の上部に形成され、前記第3貫通スロットの下端は前記貫通穴まで延びており、前記第3貫通スロットの上端は前記金属薄層の外周の上部まで延びている。
【0019】
本開示のいくつかの実施形態において、前記第3貫通スロットは、前記第1貫通スロットの長手方向に延びている。
【0020】
本開示のいくつかの実施形態において、前記金属薄層の厚さは、10μm〜100μmの範囲である。
【0021】
本開示のいくつかの実施形態において、前記金属薄層の面積は前記嵌合開口の面積より大きく、前記金属薄層の外周は前記金属板の上に配置され、前記金属板と絶縁接続される。
【0022】
本開示のいくつかの実施形態において、前記金属薄層の外周は、前記嵌合開口の外周よりも2mm〜15mmはみ出している。
【0023】
本開示の実施形態の付加的な特徴および利点は、以下の説明において部分的に示され、この説明から一部が明らかになるか、または、本開示の実施形態の実施により理解され得る。
【0024】
本開示の実施形態の上述および付加的な特徴と利点は、下記の添付図面を参照した実施形態に対する説明により明らかになり、理解が容易になる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示の実施形態について詳細に述べる。図面を参照した本明細書に記載の実施形態は、説明および例示上のものであり、一般的に本開示を理解するために使用される。実施形態は、本開示を限定するものと解釈してはならない。同一又は類似の要素、および同一又は類似の機能を有する要素については、説明全体を通して同様の参照符号を付す。
【0027】
説明においては、別段特定又は限定しない限り、「中心」、「縦」、「横」、「前」、「後」、「右」、「左」、「内」、「外」、「下」、「上」、「水平」、「垂直」、「上方」、「下方」、「上部」、「上端」、「下端」のような相対語、およびそれらの派生語(例えば、「水平に」、「下に」、「上に」等)は、説明される方向又は議論中の図面に示される方向を言及するものと解釈されるべきである。これらの相対語は、本開示の説明を単純化するためのものであって、本開示が特定の向きで構築又は動作することを必要とするものではない。
【0028】
また、「第1」および「第2」等の用語は、本明細書中では説明の目的で使用され、相対的な重要性又は有意性を示唆又は意味するものではなく、言及された技術的特徴の量を黙示的に示唆するものでもない。さらに、「第1」及び「第2」で定義された特徴は、この特徴を一つまたは複数包含してよい。本開示の説明の中で、「複数の」は、特に指定が無い限り、この特徴が二つまたは二つより多いことを意味する。
【0029】
説明の中で、「接続された」や「相互接続された」などの取り付けや連結などに関する用語は、明示的にその他の説明が無い限り、機械的もしくは電気的な接続を通して、または、直接的もしくは間接的に介在する構造を通して、構造が互いに固定され、または取り付けられた関係を言う。上記の表現や用語の特定の意味合いは、特定の状況に従った技術の分野における当業者によって理解され得る。
【0030】
本開示の実施形態に係るNFCアンテナ組立体100について、図を参照して以下に説明する。
【0031】
図1から11に示すように、本開示の実施形態に係るNFCアンテナ組立体100は、金属板20と、取付シート10と、絶縁ワッシャ30と、NFCアンテナ40と、を含む。特に、嵌合開口21が金属板20に形成され、金属板20を通って金属板の厚さ方向に延びている。取付シート10は嵌合開口21の中に配置され、NFCアンテナ40は取付シート10の上に配置されている。絶縁ワッシャ30は、嵌合開口21の中に配置され、取付シート10を取り囲んでいる。取付シート10は、取付シート10の
放射方向に延びている第1貫通スロット12を含み、金属板20は、嵌合開口21から金属板20の外周に向かって延びている第2貫通スロット22を含む。
【0032】
本開示の実施形態に係るNFCアンテナ組立体100では、取付シート10に第1貫通スロット12を配置することと、金属板20に第2貫通スロット22を配置することによって、渦電流が少なくなる。増幅器と同等である金属板20に磁力線がつながり、それによって磁束が改善され、磁力線が嵌合開口21を通り抜けられるようになる。そのため、通信距離は長くなり、NFCアンテナ組立体100の体積は小さくなり、コストを抑えられる。さらに、絶縁ワッシャ30を配置することによって、金属板20は取付シート10から絶縁され、その結果、安全に使用されるようになる。
【0033】
本開示の一実施形態において、NFCアンテナ組立体100を本開示の実施形態に従って組み立てる際、嵌合開口21と第2貫通スロット22が、最初に金属板20に形成され、第1貫通スロット12が取付シート10に形成される。それから、取付シート10が金属板20に画成された嵌合開口21の中に入るように配置される。絶縁ワッシャ30も嵌合開口21の中に入るように配置され、取付シート10を固定するように取付シート10を取り囲む。最後に、NFCアンテナ40が取付シート10の上に固定される。絶縁ワッシャ30の大きさは、取付シート10と嵌合開口21の間の隙間の大きさと同じであり、絶縁ワッシャ30が取付シート10をしっかりと固定するように、完全にその隙間を覆うことが可能となる。例えば、スプライシング接続などのように、NFCアンテナ40と取付シート10を固定する形態は、いろいろな形態があり得る。
【0034】
取付シート10と嵌合開口21の構造には特別な制約は無いが、本開示の一実施形態においては、取付穴11は取付シート10に形成され、第1貫通スロット12は、取付シート10の外周と取付穴11をつなげるスロットとして構成される。さらに、絶縁ワッシャ30の内周は、取付シート10の外周に当接している。
図2に示すように、金属板20の嵌合開口21は四角形の穴として構成され、四角形の絶縁ワッシャ30は、嵌合開口21の外周と取付シート10の外周の間で境を接し、それによって取付シート10を嵌合開口21の中に固定している。取付シート10の第1貫通スロット12の一方の端は、取付穴11に向かって延びていて、他方の端は、絶縁ワッシャ30に向かって延びている。
【0035】
本開示のいくつかの実施形態においては、取付シート10は金属シートであってもよい。本開示の実施形態に従ったNFCアンテナ組立体100を携帯電話に適用した場合、金属板20は電話の背面カバーとして構成されてもよく、NFCアンテナ40は背面カバーの上に配置されてもよい。特に、NFCアンテナ40は携帯電話のカメラの場所に配置され、取付シート10はカメラの金属板として構成されてもよい。カメラは嵌合開口21の中に配置され、メインボードに溶接により接続されている。第1貫通スロット12の端はカメラに接続されている。嵌合開口21の形は、カメラの構造に合うようにさまざまな形を取ってよい。例えば、嵌合開口21の形は円形(
図3に示すように)でも、四角形でもよい。
【0036】
第1貫通スロット12と第2貫通スロット22の位置と構造には、特別な制約は無い。本開示のいくつかの実施形態において、第1貫通スロット12は、取付シート10の下部に配置された細長いスロットとして構成されてもよく、上下方向に延びている。第1貫通スロット12の下端は、取付シート10の外周の下部に向かって延びていて、第1貫通スロット12の上端は、取付穴11に向かって延びている。本開示のいくつかの実施形態において、第2貫通スロット22は、第1貫通スロット12の長手方向に延びている細長いスロットとして構成されてもよい。第2貫通スロット22の下端は、取付穴に向かって延びていて、第2貫通スロット22の上端は、金属板20の外周の上部に向かって延びている。したがって、第1貫通スロット12と第2貫通スロット22は異なる位置となってもよく、それによって大きさが比較的小さいアンテナでも通信距離は比較的長くなり、コストを抑えられる。さらに、第2貫通スロット22と第1貫通スロット12は1直線上に配置され、それによって渦電流が少なくなり、NFCアンテナ40の性能が向上する。
【0037】
本開示の一実施形態において、NFCアンテナ40は、アンテナコイル43と、アンテナコイル接着層44と、フェライトコーティング41と、フェライトコーティング接着層42と、を含む。特に、アンテナコイル43は取付シート10に接続されている。アンテナコイル接着層44はアンテナコイル43と取付シート10の間に配置され、アンテナコイル43を取付シート10に接続させるように構成されている。フェライトコーティング41はアンテナコイル43の上に配置される。フェライトコーティング接着層42はフェライトコーティング41とアンテナコイル43の間に配置され、フェライトコーティング41をアンテナコイル43に接続させるように構成されている。言い換えると、NFCアンテナ40は、上から下まで順に、フェライトコーティング41と、フェライトコーティング接着層42と、アンテナコイル43と、アンテナコイル接着層44と、を含む積層構造として構成されている。アンテナコイル接着層44は、取付シート10と接続されている。
【0038】
本開示の一実施形態において、アンテナコイル43は、アンテナコイル43の中心に、巻線穴431をさらに含み、巻線穴431は取付シート10の取付穴11と重なり合っている。言い換えると、巻線穴431は取付シート10の上方に配置され、巻線穴431の大きさは、取付穴11と同じかそれより大きく、好ましくは、アンテナコイル接着層44の中心は、取付シート10の取付穴11の中心と一致しているのが望ましい。
【0039】
本開示の一実施形態において、アンテナコイル43は、FPC(フレキシブルプリント基板)アンテナとしてもよく、アンテナコイル43の外観は、四角形や円形など、さまざまな形になり得る。四角形のアンテナコイル43の一実施例を、以下に説明する。アンテナコイル43の境界寸法の最大値は、24.5mm×17mmで、コイル数は6個、線幅は0.3mm、隣接する線同士の距離は0.1mm、コイルの銅膜厚は35μmである。フェライトコーティング41の境界寸法の最大値は、24.5mm×17mmで、取付シート10の取付穴11の直径は9mm、第1貫通スロット12の幅は1mm、アンテナコイル43の巻線穴431の直径は9mm、第3貫通スロット452の幅は1mm、金属板20の嵌合開口21の大きさは、28mm×23mm、第2貫通スロット22の幅は1mmである。
【0040】
上記のような寸法の特徴を持つNFCアンテナ組立体100とカメラで、以下のように試験を行った。取付シート10はカメラの金属板であり、金属板20は電話の背面カバーである。タイプ1は、主実験であり、第1貫通スロットがカメラの金属板に形成され、第2貫通スロットが電話の背面カバーに形成されている。タイプ2は対照実験であり、カメラの金属板はその中に第1貫通スロットを画成せず、第2貫通スロットが電話の背面カバーに形成されている。電気回路に適合したカード読み取りモードにおける通信距離を評価基準として、実験結果は表1に記載の通りである。
【0042】
表1に示すように、対照実験と比較して、タイプ1の方が性能が良い。言い換えると、カメラの金属板に第1貫通スロットを形成することによって、渦電流が少なくなり、増幅器と同等である金属板に磁力線がつながり、それによって磁束が改善され、磁力線が嵌合開口を通り抜けられるようになる。そのため、NFCアンテナ組立体100の性能が改善され、NFCアンテナ組立体100の体積は小さくなり、コストを抑えられる。
【0043】
図8と
図9に示すように、本開示の一実施形態において、NFCアンテナ40’は、金属薄層45と、金属薄層接着層46と、をさらに含む。特に、金属薄層45は、アンテナコイル接着層44と取付シート10の間に配置されている。金属薄層接着層46は、金属薄層45と取付シート10の間に配置されている。言い換えると、NFCアンテナ40’は、上から下まで順に、フェライトコーティング41と、フェライトコーティング接着層42と、アンテナコイル43と、アンテナコイル接着層44と、金属薄層45と、金属薄層接着層46と、を含む積層構造として構成されている。金属薄層接着層46は取付シート10に接続されている。
【0044】
NFCアンテナ40’を組み立てる際、各層を互いに強固に接続させるように、NFCアンテナ40’には圧延工程が施され得る。それによって、NFCアンテナ40’単体の性能パラメータは安定し、NFCアンテナ40’と取付シート10の間の全体としての不安定な接続によって生じる性能差や磁場変動差を減らすことができる。そして、NFCアンテナ40’の安定性と生産性が向上し、コストを抑えられる。
【0045】
図8に示すように、金属薄層45の面積は取付シート10の面積よりも少し大きく、嵌合開口21の面積よりも小さい。嵌合開口21が大きい時は、金属薄層45の面積は取付シート10の面積よりも大きくてよい。例えば、本開示の一実施形態において、金属薄層45の面積は嵌合開口21の面積より大きく、金属薄層45の外周は金属板20の上に配置され、金属板20と絶縁接続される。特に、金属薄層45の外周は、嵌合開口21の外周よりも2mm〜15mmはみ出している。言い換えると、金属薄層45は、嵌合開口21を完全に覆っていて、嵌合開口21の外周に隣接した金属板20の一部を覆うように、嵌合開口21からはみ出している。すなわち、金属板20に覆われた金属薄層45の範囲は、幅方向または長さ方向に2mm〜15mmの寸法となる。
【0046】
本開示のいくつかの実施形態において、金属薄層45と取付シート10は、同一または類似の組成でもよく、金属薄層45の厚さは10μm〜100μmであってもよい。したがって、NFCアンテナ40’における金属薄層45の厚さが増す場合には、NFCアンテナ40’全体の厚さは相対的に薄い。
【0047】
図11に示すように、金属薄層45は貫通穴451と、貫通穴451から金属薄層45の外周まで延びた第3貫通スロット452と、をその中に画成している。金属薄層45は、取付シート10に合わせて、四角形として構成されてもよい。特に、アンテナコイル43の中心にある巻線穴431は、取付穴11および貫通穴451と重なり合っている。上から下まで順に、巻線穴431、貫通穴451、および取付穴11が配置され、巻線穴431の面積は、取付穴11の面積と貫通穴451の面積より、大きいか等しい大きさである。好ましくは、巻線穴431、取付穴11および貫通穴451の中心は、相互に一致しているとよい。
【0048】
本開示のいくつかの実施形態において、第3貫通スロット452は、上下方向に延びた細長いスロットとして構成されている。第3貫通スロット452は、金属薄層45の上部に形成され、第3貫通スロット452の下端は貫通穴451まで延びていて、第3貫通スロット452の上端は金属薄層45の外周の上部まで延びてもよい。本開示のいくつかの実施形態において、第3貫通スロット452は、第1貫通スロット12の長手方向に延びていてよい。それによって、渦電流が少なくなり、磁力線が巻線穴431、貫通穴451および取付穴11を通り抜けられるようになり、磁気変動量が増大する。また、増幅器と同等である、比較的大きな金属薄層45と金属板20に、磁力線がつながる。金属板20、取付シート10、および金属薄層45に貫通スロットを配置することによって、体積の比較的小さいNFCアンテナ40’でも、通信距離は比較的長くなり、それによってコストを抑えられる。
【0049】
本開示のいくつかの実施形態において、本開示の実施形態に従ったNFCアンテナ組立体100’を携帯電話に適用した場合、金属板20は電話の背面カバーとして構成され、NFCアンテナ40はその背面カバーの上の携帯電話のカメラの場所に配置されてもよい。取付シート10はカメラの金属板として構成されてもよい。カメラは嵌合開口の中に取り付けられ、メインボードに溶接により接続されている。電話の背面カバーとカメラとの間の構造上の関係を、次に説明する。嵌合開口と、嵌合開口から電話の背面カバーの外周まで延びた第2貫通スロットと、が電話の背面カバーに形成されてもよい。嵌合開口より寸法の小さいカメラが嵌合開口の中に配置される。絶縁ワッシャ30(例えばプラスチック部品)は、嵌合開口とカメラの間に配置され、嵌合開口の内側にカメラを固定する。カメラはメインボードの上に溶接されている。第1貫通スロットがカメラの金属板に形成され、NFCアンテナ40’がカメラの金属板の上に配置される。特に、カメラの金属板の上の第1貫通スロットと金属薄層45の上の第3貫通スロット452は、1直線上に形成され、角度差が180度であり、互いに絶縁されている。
【0050】
本開示のいくつかの実施形態において、アンテナコイル43の外観は、四角形や円形など、さまざまな形を取ってよい。四角形のアンテナコイル43の実施例は、次に説明され得る。アンテナコイル43の境界寸法の最大値は24.5mm×17mmで、コイル数は6個、線幅は0.3mm、隣接する線同士の距離は0.1mm、コイルの銅膜厚は35μmである。フェライトコーティング41の境界寸法の最大値は、26.6mm×19mmで、取付シート10の取付穴11の直径は9mm、アンテナコイル43の巻線穴431の直径は9mm、第3貫通スロット452の幅は1mm、金属板20の嵌合開口21の大きさは28mm×23mm、第2貫通スロット22の幅は1mmである。したがって、金属薄層45はアンテナコイル43よりも大きな面積を占めるが、金属板20を覆うものではない。
【0051】
四角形のアンテナコイル43の別の実施例は、次に説明され得る。ここでは、金属薄層45はアンテナコイル43よりも大きな面積を占め、金属板20を覆っている。特に、金属薄層45の境界寸法は38mm×33mmで、貫通穴の直径は9mm、第3貫通スロット452の幅は1mm、他の部品の大きさは上記の実施例に係る部品の大きさと同じである。
【0052】
上記2種類の寸法の特徴を持つNFCアンテナ組立体100’とカメラで、以下のように試験を行った。タイプ1とタイプ2は主実験である。特に、タイプ1では、第1貫通スロットがカメラの金属板に形成され、第3貫通スロット452が金属薄層45に形成されている。金属薄層45の面積は、アンテナコイル43の面積より大きく、電話の背面カバーの嵌合開口の面積より小さい。タイプ2では、金属薄層45の面積はアンテナコイル43の面積と嵌合開口21の面積より大きい。すなわち、金属薄層45が電話の背面カバーを覆っている。タイプ3は対照実験である。タイプ3では、カメラの金属板と金属薄層45には貫通スロットが形成されず、電話の背面カバーには第2貫通スロットのみが形成されている。カード読み取りモードにおける通信距離を評価基準として採用し、実験結果は表2に記載の通りである。
【0054】
表2に示すように、タイプ2の通信距離の方がタイプ1の通信距離より長い。すなわち、金属薄層45は電話の背面カバーを覆っている場合に、NFCアンテナ組立体100’の通信距離は長くなる。さらに、金属薄層45で覆われた電話の背面カバーの面積と通信距離の間の関係について実験を行い、金属薄層45で覆われた電話の背面カバーの面積が、幅方向と長さ方向ともに2mm〜15mmの寸法の場合は、その面積が大きいほど通信距離は長くなるという結果になった。特に、金属薄層45で覆われた電話の背面カバーの面積が、幅方向と長さ方向ともに2mm〜10mmの寸法の場合は、通信距離の変化が著しい。
【0055】
さらに、タイプ1をタイプ3と比較して、またはタイプ2をタイプ3と比較することによって、タイプ1とタイプ2の通信距離がタイプ3より長いことがわかる。つまり、カメラの金属板に形成された第1貫通スロットが渦電流を少なくして、増幅器と同等である金属薄層45に磁力線がつながり、さらに、電話の背面カバーにもつながる。それによって、磁束が改善され、磁力線が嵌合開口と取付穴を通り抜けられるようになる。そのため、NFCアンテナ組立体100’の性能が向上して、コストを抑えられる。
【0056】
本開示の実施形態に従ったNFCアンテナ組立体100(100’)のその他の部品や操作については、関連技術の当業者に知られているため、ここでは省略する。
【0057】
この明細書を通して、「実施形態」、「いくつかの実施形態」、「一実施形態」、「別の実施例」、「一実施例」、「特定の実施例」、または「いくつかの実施例」のような言及は、その実施形態または実施例に関連した個別の特徴、構造、素材、または特性が、本開示の少なくとも一つの実施形態または実施例に含まれていることを意味する。その上、「いくつかの実施形態において」、「一実施形態において」、「実施形態において」、「別の実施例において」、「一実施例において」、「特定の実施例において」、「いくつかの実施例において」のようなフレーズが、この明細書を通していろいろな所で出現するが、必ずしも本開示の同一の実施形態や実施例を参照しているわけではない。さらに、一つまたは複数の実施形態または実施例において、個別の特徴、構造、素材、または特性がそれぞれ適切な方法で組み合わされてもよい。
【0058】
例示的な実施形態を示して説明したが、上記の実施形態は本開示を限定するものと解釈することはできず、本開示の精神、原則および範囲から逸脱することなく、これらの実施形態において、変更、代替、および修正がなされ得ることは、当業者により理解されるであろう。
【0059】
(付記1)
嵌合開口が画成されている金属板であって、前記嵌合開口は当該金属板の厚さ方向に当該金属板を貫通している金属板と、
前記嵌合開口の中に配置される取付シートと、
前記嵌合開口の中に配置され、前記取付シートを取り囲んでいる絶縁ワッシャと、
前記取付シートの上に配置されるNFCアンテナと、
を備え、
前記取付シートは、前記取付シートの半径方向に延びている第1貫通スロットを備え、
前記金属板は、前記嵌合開口から前記金属板の外周に向かって延びている第2貫通スロットを備える、
NFCアンテナ組立体。
【0060】
(付記2)
前記取付シートは、取付穴を備え、
前記第1貫通スロットは、前記取付穴から前記取付シートの外周に向かって延びている、
付記1に記載のNFCアンテナ組立体。
【0061】
(付記3)
前記絶縁ワッシャの内周は、前記取付シートの外周に当接している、
付記2に記載のNFCアンテナ組立体。
【0062】
(付記4)
前記第1貫通スロットは、前記取付シートの下部に形成されると共に、上下方向に延びる細長いスロットとして構成され、
前記第1貫通スロットの下端は、前記取付シートの外周の下部に向かって延びており、
前記第1貫通スロットの上端は、前記取付穴に向かって延びている、
付記2に記載のNFCアンテナ組立体。
【0063】
(付記5)
前記第2貫通スロットは、前記第1貫通スロットの長手方向に延びる細長いスロットとして構成され、
前記第2貫通スロットの下端は、前記取付穴に向かって延びており、
前記第2貫通スロットの上端は、前記金属板の外周の上部に向かって延びている、
付記4に記載のNFCアンテナ組立体。
【0064】
(付記6)
前記NFCアンテナは、
前記取付シートに接続されたアンテナコイルと、
前記アンテナコイルと前記取付シートの間に配置され、前記アンテナコイルを前記取付シートに接続させるように構成されているアンテナコイル接着層と、
前記アンテナコイルの上に配置されたフェライトコーティングと、
前記フェライトコーティングと前記アンテナコイルの間に配置され、前記フェライトコーティングを前記アンテナコイルに接続させるように構成されているフェライトコーティング接着層と、
を備える、付記4に記載のNFCアンテナ組立体。
【0065】
(付記7)
前記アンテナコイルは、前記アンテナコイルの中心に位置する巻線穴をさらに備え、
前記巻線穴は、前記取付シートの前記取付穴と重なり合っている、
付記6に記載のNFCアンテナ組立体。
【0066】
(付記8)
前記NFCアンテナは、
前記アンテナコイル接着層と前記取付シートの間に配置されている金属薄層と、
前記金属薄層と前記取付シートの間に配置され、前記金属薄層を前記取付シートに接続させるように構成されている金属薄層接着層と、
をさらに備える、付記7に記載のNFCアンテナ組立体。
【0067】
(付記9)
前記金属薄層は、
貫通穴と、
前記貫通穴から前記金属薄層の外周まで延びている第3貫通スロットと、
を備える、付記8に記載のNFCアンテナ組立体。
【0068】
(付記10)
前記アンテナコイルの中心にある前記巻線穴は、前記取付穴および前記貫通穴と重なり合っている、
付記9に記載のNFCアンテナ組立体。
【0069】
(付記11)
前記第3貫通スロットは、上下方向に延びる細長いスロットとして構成される、
付記9に記載のNFCアンテナ組立体。
【0070】
(付記12)
前記第3貫通スロットは、前記金属薄層の上部に形成され、
前記第3貫通スロットの下端は前記貫通穴まで延びており、
前記第3貫通スロットの上端は前記金属薄層の外周の上部まで延びている、
付記9に記載のNFCアンテナ組立体。
【0071】
(付記13)
前記第3貫通スロットは、前記第1貫通スロットの長手方向に延びている、
付記9に記載のNFCアンテナ組立体。
【0072】
(付記14)
前記金属薄層の厚さは、10μm〜100μmの範囲である、
付記8から13のいずれか1つに記載のNFCアンテナ組立体。
【0073】
(付記15)
前記金属薄層の面積は前記嵌合開口の面積より大きく、
前記金属薄層の外周は前記金属板の上に配置され、前記金属板と絶縁接続される、
付記8から13のいずれか1つに記載のNFCアンテナ組立体。
【0074】
(付記16)
前記金属薄層の外周は、前記嵌合開口の外周よりも2mm〜15mmはみ出している、
付記15に記載のNFCアンテナ組立体。