特許第6335317号(P6335317)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6335317自動車用シート及び自動車用シートの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6335317
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】自動車用シート及び自動車用シートの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/64 20060101AFI20180521BHJP
   B60N 2/58 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   B60N2/64
   B60N2/58
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-549870(P2016-549870)
(86)(22)【出願日】2014年9月26日
(86)【国際出願番号】JP2014075678
(87)【国際公開番号】WO2016046969
(87)【国際公開日】20160331
【審査請求日】2017年3月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】516365471
【氏名又は名称】アディエント ルクセンブルク ホールディング エス.エー アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】馬場 郁
(72)【発明者】
【氏名】濱野 芳久
(72)【発明者】
【氏名】谷本 優一
【審査官】 永安 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−320611(JP,A)
【文献】 特開平09−104316(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/64
B60N 2/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材及び前記基材を覆う表皮を備えるバックボードをシートバックの背面に取り付けた自動車用シートであって、
前記バックボードは、前記基材の第1部材が設定された第1領域、及び第2部材が設定された第2領域を有し、
前記第2部材は、前記第1部材と同一の部材で前記第1部材より厚くかつ軟質に形成されており、
前記第2領域に、前記シートバックに前記バックボードを連結する連結部材を取り付けたこと
を特徴とする自動車用シート。
【請求項2】
基材及び前記基材を覆う表皮を備えるバックボードをシートバックの背面に取り付けた自動車用シートであって、
前記バックボードは、前記基材の第1部材が設定された第1領域、及び第2部材が設定された第2領域を有し、
前記第2部材は、前記第1部材と同一の部材で前記第1部材より厚くかつ軟質に形成されており、
前記第2領域に、前記バックボードの折り曲げ部が設けられていることを特徴とする自動車用シート。
【請求項3】
基材及び前記基材を覆う表皮を備えるバックボードをシートバックの背面に取り付けた自動車用シートを製造する自動車用シートの製造方法であって、
前記バックボードを、第1領域及び第2領域を有するものとし、
前記基材と前記表皮とを一体化して、第1のプレスにより前記第1領域に設定する第1部材と、前記第1のプレスよりも弱い第2のプレスにより前記第2領域に設定する第2部材と、を形成し、
前記第2領域に、前記シートバックに前記バックボードを連結する連結部材を取り付けることを特徴とする自動車用シートの製造方法。
【請求項4】
基材及び前記基材を覆う表皮を備えるバックボードをシートバックの背面に取り付けた自動車用シートを製造する自動車用シートの製造方法であって、
前記バックボードを、第1領域及び第2領域を有するものとし、
前記基材と前記表皮とを一体化して、第1のプレスにより前記第1領域に設定する第1部材と、前記第1のプレスよりも弱い第2のプレスにより前記第2領域に設定する第2部材と、を形成し、
前記第2領域に、前記バックボードの折り曲げ部を設けることを特徴とする自動車用シートの製造方法。
【請求項5】
前記第2部材を前記第1部材よりも厚くかつ軟質に形成することを特徴とする請求項3又は請求項4記載の自動車用シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に搭載されるシート及びその製造方法に関し、特にシートバックの背部に固定されるバックボード構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1が関連する自動車用シートを開示している。この関連する発明は、シートバックフレームにほぼ水平状に設けられたワイヤと、バックボードに設けられてワイヤに係合する係合部とを備えるものである。ワイヤは、直線部の両端に互いにほぼ平行をなす左右のアーム部を有する。バックボードの係合部は、ワイヤの直線部に載せ掛け可能で、且つそれ自体の弾性変形を利用してワイヤのアーム部と係合可能に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−308675号公報
【発明の概要】
【0004】
バックボード自体は、ウレタンフォームなどの基材の一面、即ちシートバックに装着した状態で後側となる面を合成樹脂フィルムなどの表皮で覆い、基材に接着剤により貼り付けたものである。バックボード自体をシートバックに取り付けるには、バックボードの基材と表皮とに穴を開けて、ねじ止めしたり、バックボードの基材に樹脂フックの支持部を形成して、フックを係止する必要がある。また、バックボードをシートバックに取り付ける前に、表皮を支持しておかねばならない。このように、バックボードをシートバックに取り付ける作業が繁雑になり、製造原価が高騰することになる。
【0005】
本発明は、シートバックのバックボードへの取り付け作業性を向上させ、バックボードの折曲げを容易にして、廉価な自動車用シート及び自動車用シートの製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
本発明の第1のアスペクトは、基材及び前記基材を覆う表皮を備えるバックボードをシートバックの背面に取り付けた自動車用シートであって、前記バックボードは、前記基材の第1部材が設定された第1領域、及び第2部材が設定された第2領域を有し、前記第2部材は、前記第1部材と同一の部材で前記第1部材より厚くかつ軟質に形成されており、前記第2領域に、前記シートバックに前記バックボードを連結する連結部材を取り付けたことを要旨とする。
【0007】
本発明の第2のアスペクトは、基材及び前記基材を覆う表皮を備えるバックボードをシートバックの背面に取り付けた自動車用シートであって、前記バックボードは、前記基材の第1部材が設定された第1領域、及び第2部材が設定された第2領域を有し、前記第2部材は、前記第1部材と同一の部材で前記第1部材より厚くかつ軟質に形成されており、前記第2領域に、前記バックボードの折り曲げ部が設けられていることを要旨とする。
【0008】
本発明の第3のアスペクトは、基材及び前記基材を覆う表皮を備えるバックボードをシートバックの背面に取り付けた自動車用シートを製造する自動車用シートの製造方法であって、前記バックボードを、第1領域及び第2領域を有するものとし、前記基材と前記表皮とを一体化して、第1のプレスにより前記第1領域に設定する第1部材と、前記第1のプレスよりも弱い第2のプレスにより前記第2領域に設定する第2部材と、を形成し、前記第2領域に、前記シートバックに前記バックボードを連結する連結部材を取り付けることを要旨とする。
【0009】
本発明の第4のアスペクトは、基材及び前記基材を覆う表皮を備えるバックボードをシートバックの背面に取り付けた自動車用シートを製造する自動車用シートの製造方法であって、前記バックボードを、第1領域及び第2領域を有するものとし、前記基材と前記表皮とを一体化して、第1のプレスにより前記第1領域に設定する第1部材と、前記第1のプレスよりも弱い第2のプレスにより前記第2領域に設定する第2部材と、を形成し、前記第2領域に、前記バックボードの折り曲げ部を設けることを要旨とする。
【0011】
上記構成によれば、バックボードの基材の端末部に、厚くて柔らかな第2部材を形成している。第2部材には、シートバックにバックボードを連結する連結部材を縫製により容易に取り付けることができる。また、第2部材に連結部材が取り付けられるので、バックボードの基材にも表皮にも、連結部材取り付け用の穴を開ける必要がない。更に、バックボードの基材に樹脂フックなどの支持部を形成する必要がなくなる。その結果、製造原価を低減することができる。また、バックボードは、基材と表皮とが接着剤により一体にされているので、廉価な自動車用シートとすることができる。
【0012】
また、上記構成によれば、基材の折り曲げ部に軟質の第2部材が形成される。したがって、折り曲げ部を折り曲げた状態に成形する際には、第2部材がヒンジとして機能する。その結果、第2部材で容易に折り曲げ成形することができ、廉価な自動車用シートとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の実施例1に係る自動車用シートとバックボードを後側から見た斜視図である。
図2図2は、図1のバックボードの一般的断面図である。
図3図3は、図1のSA−SA線にかかる断面図である。
図4図4は、図1のSB−SB線にかかる断面図である。
図5図5は、図1のSC−SC線にかかる断面図である。
図6図6は、図2に示すバックボードの基材と表皮との接着工程を示す説明図である。
図7図7は、図6によって形成されてなるバックボードの一部破断の断面図である。
図8図8は、図6によって形成されたシート状のバックボードからシートに取り付け可能なバックボードへの成形加工工程を示す説明図である。
図9図9は、図8によって成形されたバックボード単品の斜視図である。
図10図10は、本発明の実施例2に係るバックボードの図2相当一般的断面図である。
図11図11は、図10に示すバックボードを折り曲げた状態を示す断面図である。
図12図12は、本発明の実施例3に係るバックボードの図2相当一般的断面図である。
図13図13は、図12にかかる図3相当断面図である。
図14図14は、図12にかかる図4相当断面図である。
図15図15は、図12にかかる図5相当断面図である。
図16図16は、本発明の実施例4に係るバックボードの図2相当一般的断面図である。
図17図17は、図16に示すバックボードを折り曲げた状態を示す断面図である。
図18図18は、本発明の実施例5に係るバックボードの図2相当一般的断面図である。
図19図19は、図18にかかる図3相当断面図である。
図20図20は、図18にかかる図4相当断面図である。
図21図21は、図18にかかる図5相当断面図である。
図22図22は、本発明の実施例6に係るバックボードの図2相当一般的断面図である。
図23図23は、図22に示すバックボードを折り曲げた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
シートバックへのバックボードの取り付け作業性を向上させて、廉価な自動車用シートを提供する、という目的を、以下の構成により実現した。すなわち、基材、この基材を覆う表皮を備えるバックボードをシートバックの背面に取り付けた自動車用シートであって、バックボードは、基材の第1部材が設定された第1領域、及びこの第1領域より軟質である第2領域を有し、第2領域に、シートバックにバックボードを連結する連結部材を取り付けている。
【実施例1】
【0015】
以下、本発明の実施例1に係る自動車用シート1を、図1図9に基づいて説明する。自動車用シート1は、シートバック2と、シートクッション3とを備える。
【0016】
シートバック2は、シートバックフレーム、パッド、シートカバー4、及びバックボード5を備える。シートバックフレーム、及びシートバックフレームを覆うパッドは、周知であり、図示を省略している。シートカバー4は、パッドの前側FRを覆う布材よりなる。バックボード5は、シートカバー4、及びパッドの後側RRを覆う。
【0017】
バックボード5は、図2に示すように、ポリエステルまたはポリウレタンフォームなどの基材6と、基材6の表面6aに接着剤7を介して貼り付けられた表皮8とを含む。バックボード5は、第1領域5b及び第2領域5cを有する。第1領域5bは、バックボード5の大部分を占め、第2領域5cは、バックボード5の端部に設けられる。基材6は、第1領域5bに形成された第1部材6b、及び第2領域5cに形成された第2部材6cを有する。第1部材6bは、基材6のほとんどの面に強プレスを施して形成される。第2部材6cは、基材6の端末部6dに弱プレスを施して形成される。第2部材6cには、図3に示すトリムカバー9a、或いは、図4に示すJフック9b、或いは、図5に示すファスナー9cなどの連結部材9が縫製10などにより取り付けられる。第2部材6cは、弱プレスによりプレス量を少なくして第1部材6bより厚く形成された基材6であり、連結部材9が縫製10などにより取り付けられる端末部6dの領域に設定される。
【0018】
図6の左端に示した第1ロール11に巻き込まれたシート状の基材6を第1ロール11から繰り出して第2ロール12、12に引っ張り込み、接着剤7を基材6の一面に塗布する。第3ロール13により巻き込まれた表皮8を、介在ロール15を経て第4ロール14、14aに巻き込む際に、接着剤7を塗布済みの基材6と表皮8とを重ね合わせる。その後、乾燥シリンダー16、17、18、19、20で接着剤7を乾燥させる。乾燥した接着剤7により一体化されたシート状の基材6及び表皮8は、第5、第6ロール21、22を経て、図7に示すようなシート状の製品24として、第7ロール23に巻き取られる。図6において、各ロール11、13、14、23及び乾燥シリンダー16、17、18、19、20中に示した矢印は、それぞれの回転方向を簡易に示したものである。
【0019】
次に、図8に示すように、第7ロール23に巻き取られたシート状の製品24が、第8ロール25、25を経てセラミックヒータなどの加熱装置26、26により柔軟にされる。次に、成形機27、27を用いて、第1部材6bを強プレスにより形成し、第2部材6cを弱プレスにより形成すると共に適宜の形状に曲成する。それを、裁断機28、28により、バックボード5の大きさに裁断し、図9に示すように、バックボード5が形成される。図9に示すバックボード5には、自動車用シート1の後側RRに配された座席に着座した乗員の膝の周りの空間を大きくするために、凹部5aが設けられる。
【0020】
バックボード5を、更に、詳細に説明する。図2に示すように、成形機27、27により強プレスされた第1部材6bは、薄くなるが、硬質になり、所定の断面形状が保持される。しかし、第1部材6bは、縫製10時の針が入らない硬さになる。一方、弱プレスされた第2部材6cは、プレス量が少ない分厚いが、柔らかい状態が保持されている。したがって、図3に示すように、トリムカバー9aを縫製10により容易に取り付けることができる。あるいは、図4に示すように、Jフック9bを縫製10により容易に取り付けることができる。あるいは、図5に示すように、ファスナー9cを縫製10により容易に取り付けることができる。
【0021】
実施例1では、バックボード5の基材6の端末部6dに、厚くて柔らかな第2部材6cを形成している。第2部材6cには、シートバック2にバックボード5を連結する連結部材9を縫製10により容易に取り付けることができる。また、第2部材6cに連結部材9が取り付けられるので、バックボード5の基材6にも表皮8にも、連結部材9取り付け用の穴を開ける必要がない。更に、バックボード5の基材6に樹脂フックなどの支持部を形成する必要がなくなる。その結果、製造原価を低減することができる。また、バックボード5は、基材6と表皮8とが接着剤7により一体にされているので、廉価な自動車用シート1とすることができる。
【実施例2】
【0022】
以下、本発明の実施例2に係る自動車用シート1を、図10図11に基づいて説明する。自動車用シート1は、シートバック2と、シートクッション3とを備える。シートバック2は、シートバックフレーム、パッド、シートカバー4、及びバックボード30を備える。実施例2に係るシートバック2においては、シートボード5に代えて、シートカバー4及びパッドの後側RRを覆うバックボード30を有する点が実施例1とは異なる。他は、実施例1と同様である。
【0023】
バックボード30は、図10に示すように、ポリウレタンフォームなどの基材31と、基材31の表面31aに接着剤7を介して貼り付けられた合成樹脂フィルムの表皮8とを含む。バックボード5は、第1領域5b及び第2領域5cを有する。第1領域5bは、バックボード5の大部分を占め、第2領域5cは、バックボード5の中央部に設けられる。基材31は、第1領域5bに形成された第1部材31b、及び第2領域5cに形成された第2部材31cを有する。第1部材31bは、基材31のほとんどの面に強プレスを施して形成される。第2部材31cは、基材31の折り曲げ部31dに弱プレスを施して形成される。第2部材31cは、図11に示すように、折り曲げ時にヒンジとしての機能を有する。第2部材31cは、弱プレスによりプレス量を少なくして第1部材31bより厚く形成されたポリウレタンフォームなどの部材そのものの塊りであり、折り曲げ成形される折り曲げ部31dの領域に設定される。
【0024】
実施例2に係るバックボード30では、基材31の折り曲げ部31dに弱プレスを施して第2部材31cが形成される。したがって、第2部材31cは、プレス量が少なく厚いが、柔らかい状態が保持されている。折り曲げ部31dを折り曲げた状態に成形する際には、第2部材31cがヒンジとして機能する。その結果、第2部材31cで容易に折り曲げ成形することができ、廉価な自動車用シート1とすることができる。
【実施例3】
【0025】
以下、本発明の実施例3に係る自動車用シート1を、図12図15に基づいて説明する。自動車用シート1は、シートバック2と、シートクッション3とを備える。シートバック2は、シートバックフレーム、パッド、シートカバー4、及びバックボード35を備える。実施例3に係るシートバック2においては、シートボード5に代えて、シートカバー4及びパッドの後側RRを覆うバックボード35を有する点が実施例1とは異なる。他は、実施例1と同様である。
【0026】
バックボード35は、図12に示すように、ポリウレタンフォームなどの基材36と、基材36の表面36aに接着剤7を介して貼り付けられた合成樹脂フィルムの表皮8とを含む。バックボード5は、第1領域5b及び第2領域5cを有する。第1領域5bは、バックボード5の大部分を占め、第2領域5cは、バックボード5の端部に設けられる。基材36は、第1部材36b及び第2部材36cを有する。第1部材36bは、基材36のほとんどの部分に形成され、硬質である。第2部材36cは、基材36の端末部36dに形成され、ポリウレタンフォームなどの部材の密度を小さくして柔らかくしてある。第2部材36cには、図13に示すトリムカバー9a、或いは、図14に示すJフック9b、或いは、図15に示すファスナー9cなどの連結部材9が縫製10により取り付けられる。第2部材36cは、弱プレスによりプレス量を少なくして第1部材36bより軟質に形成されたポリウレタンフォームなどの部材そのものの塊りであり、連結部材9が縫製10などにより取り付けられる端末部36dの領域に設定される。
【0027】
実施例3では、バックボード35の基材36の端末部36dに、低密度の部材からなる第2部材36cを形成している。第2部材36cは軟質であるので、シートバック2にバックボード35を連結する連結部材9を容易に取り付けることができる。また、第2部材36cに連結部材9が取り付けられるので、バックボード35の基材36にも表皮8にも、連結部材9取り付け用の穴を開ける必要がない。更に、バックボード35の基材36に樹脂フックなどの支持部を形成する必要がなくなる。その結果、製造原価を低減することができる。また、バックボード35は、基材36と表皮8とが接着剤7により一体にされているので、廉価な自動車用シート1とすることができる。
【実施例4】
【0028】
以下、本発明の実施例4に係る自動車用シート1を、図16図17に基づいて説明する。自動車用シート1は、シートバック2と、シートクッション3とを備える。シートバック2は、シートバックフレーム、パッド、シートカバー4、及びバックボード40を備える。実施例4に係るシートバック2においては、シートボード5に代えて、シートカバー4及びパッドの後側RRを覆うバックボード40を有する点が実施例1とは異なる。他は、実施例1と同様である。
【0029】
バックボード40は、図16に示すように、ポリウレタンフォームなどの基材41と、基材41の表面41aに接着剤7を介して貼り付けられた合成樹脂フィルムの表皮8とを含む。バックボード5は、第1領域5b及び第2領域5cを有する。第1領域5bは、バックボード5の大部分を占め、第2領域5cは、バックボード5の中央部に設けられる。基材41は、第1部材41b及び第2部材41cを有する。第1部材41bは、基材41のほとんどの部分に形成され、硬質である。第2部材41cは、基材41の折り曲げ部41dに形成され、ポリウレタンフォームなどの部材の密度を小さくして柔らかくしてある。第2部材41cは、図17に示すように、折り曲げ時にヒンジとして機能する。第2部材41cは、弱プレスによりプレス量を少なくして第1部材41bより軟質に形成されたポリウレタンフォームなどの部材そのものの塊りであり、折り曲げ成形される折り曲げ部41dの領域に設定される。
【0030】
実施例4に係るバックボード40では、基材41の折り曲げ部41dに低密度の部材を用いて、第2部材41cが形成されている。第2部材41cは軟質であるので、折り曲げ部41dを折り曲げた状態に成形する際には、第2部材41cがヒンジとして機能する。その結果、第2部材41cで容易に折り曲げ成形をすることができ、廉価な自動車用シート1とすることが出来る。
【実施例5】
【0031】
以下、本発明の実施例5に係る自動車用シート1を、図18図21に基づいて説明する。自動車用シート1は、シートバック2と、シートクッション3とを備える。シートバック2は、シートバックフレーム、パッド、シートカバー4、及びバックボード45を備える。実施例5に係るシートバック2においては、シートボード5に代えて、シートカバー4及びパッドの後側RRを覆うバックボード45を有する点が実施例1とは異なる。他は、実施例1と同様である。
【0032】
バックボード45は、図18に示すように、ポリウレタンフォームなどの基材46と、基材46の表面46aに接着剤7を介して貼り付けられた合成樹脂フィルムの表皮8とを含む。バックボード5は、第1領域5b及び第2領域5cを有する。第1領域5bは、バックボード5の大部分を占め、第2領域5cは、バックボード5の端部に設けられる。基材46は、第1領域5bに形成され、薄くて硬質である。第2領域5cには、基材46が設定されず、空隙に相当する。第2領域5cには、図19に示すトリムカバー9a、或いは、図20に示すJフック9b、或いは、図21に示すファスナー9cなどの連結部材9が縫製10により表皮8に取り付けられる。
【0033】
実施例5では、バックボード45の第2領域5cには、硬質の基材46が設定されない。そのため、シートバック2にバックボード45を連結する連結部材9を表皮8に縫製10により容易に取り付けることができる。また、縫製10により表皮8に連結部材9が取り付けられるので、表皮8に連結部材9取り付け用の穴を開ける必要がない。更に、バックボード45に樹脂フックなどの支持部を形成する必要がなくなる。その結果、製造原価を低減することができる。また、バックボード45は、基材46と表皮8とが接着剤7により一体にされているので、廉価な自動車用シート1とすることができる。
【実施例6】
【0034】
以下、本発明の実施例6に係る自動車用シート1を、図22図23に基づいて説明する。自動車用シート1は、シートバック2と、シートクッション3とを備える。シートバック2は、シートバックフレーム、パッド、シートカバー4、及びバックボード50を備える。実施例6に係るシートバック2においては、シートボード5に代えて、シートカバー4及びパッドの後側RRを覆うバックボード50を有する点が実施例1とは異なる。他は、実施例1と同様である。
【0035】
バックボード50は、図22に示すように、ポリウレタンフォームなどの基材51と、基材51の表面51aに接着剤7を介して貼り付けられた合成樹脂フィルムの表皮8とを含む。バックボード5は、第1領域5b及び第2領域5cを有する。第1領域5bは、バックボード5の大部分を占め、第2領域5cは、バックボード5の中央部に設けられる。基材51は、第1領域5bに形成され、薄くて硬質である。第2領域5cには、基材51が設定されず、空隙に相当する。折り曲げ部51dは空隙であり、硬質の部材が設定されないので、図23に示すように、折り曲げ時にヒンジとして機能する。
【0036】
本実施例6に係るバックボーで50では、折り曲げ部51dに対応するバックボード50の第2領域5cには、基材51が設定されない。折り曲げ部51dを折り曲げた状態に成形する際には、第2領域5cに対応する空隙がヒンジとして機能する。その結果、第2部材41cで容易に折り曲げ成形をすることができ、廉価な自動車用シート1とすることが出来る。
【0037】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
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図22
図23