(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両本体に設けられたガイドレールに沿って、スライドドアをスライド可能に支持すると共に、前記スライドドアを自動開閉するための駆動装置に一端が連結されている開放用ケーブル、および閉塞用ケーブルの各々他端が連結されるローラユニットにおいて、
前記ガイドレールと前記スライドドアとに跨るように設けられ、前記車両本体とは反対側の端部で前記スライドドアを支持するブラケットと、
前記ブラケットの前記スライドドア側の端部に設けられ、前記ガイドレール内を転動するローラと、
前記ブラケットの前記スライドドア側の端部に前記ブラケットと一体的に設けられ、前記開放用ケーブル、および前記閉塞用ケーブルの各々他端を保持するケーブルホルダと、
前記ケーブルホルダに着脱可能に設けられ、前記開放用ケーブル、および前記閉塞用ケーブルをガイドするケーブルガイドと、
を備え、
前記ケーブルガイドは、前記ブラケットから前記開放用ケーブル、および前記閉塞用ケーブルを離間させるように形成されており、
前記開放用ケーブル、および前記閉塞用ケーブルの張力により前記ケーブルガイドにかかる荷重を、前記ケーブルホルダおよび前記ブラケットで受けるように構成されているローラユニット。
前記ケーブルガイドは、前記ケーブルホルダに取り付けられた前記開放用ケーブルの他端と前記ケーブルホルダに取り付けられた前記閉塞用ケーブルの他端との間に配置され、
前記開放用ケーブル、および前記閉塞用ケーブルは、それぞれ前記ケーブルガイド上で交差させた状態で前記ケーブルガイドによってガイドされている請求項1に記載のローラユニット。
前記ケーブルガイドの前記脚部は、前記開放用ケーブル、および前記閉塞用ケーブルの各々他端と、前記ケーブルホルダおよび前記ブラケットの何れか一方とによって挟持される抜け止め部を備えている請求項4に記載のローラユニット。
前記ガイド本体の長手方向両端に、前記開放用ケーブル、および前記閉塞用ケーブルを前記ガイド本体へと導くケーブル導入部を設けた請求項4または請求項5に記載のローラユニット。
前記ケーブル導入部は、前記ガイド本体の長手方向両端で、かつ前記ガイド本体の短手方向両端に設けられていると共に、前記長手方向に沿って、かつ前記ブラケットに向かって斜めに延出している請求項6に記載のローラユニット。
前記ケーブルガイドにより、前記開放用ケーブル、および前記閉塞用ケーブルは、これら開放用ケーブル、および閉塞用ケーブルの各々他端よりも前記ガイドレール側にオフセットされた形で配線されている請求項1〜請求項13の何れか1項に記載のローラユニット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の従来技術の駆動装置は、ケーブルガイドのケーブルに対する保持剛性を高めるために取付けタブを設け、さらに、この取付けタブの剛性を高めるために加工に手間がかかる可能性がある。
また、手間がかかる加工を施すために、ローラユニットの組み付け性が悪化するばかりか、ローラユニットが大型化してしまうという可能性がある。
【0008】
本発明は、簡素な構造でケーブルガイドのケーブルに対する保持剛性を高めることができ、組み付け性を向上できると共に、大型化を抑制できるローラユニットおよび車両用開閉体駆動装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、ローラユニットは、車両本体に設けられたガイドレールに沿って、スライドドアをスライド可能に支持すると共に、前記スライドドアを自動開閉するための駆動装置に一端が連結されている開放用ケーブル、および閉塞用ケーブルの各々他端が連結されるローラユニットにおいて、前記ガイドレールと前記スライドドアとに跨るように設けられ、前記車両本体とは反対側の端部で前記スライドドアを支持するブラケットと、前記ブラケットの前記スライドドア側の端部に設けられ、前記ガイドレール内を転動するローラと、前記ブラケットの前記スライドドア側の端部に前記ブラケットと一体的に設けられ、前記開放用ケーブル、および前記閉塞用ケーブルの各々他端を保持するケーブルホルダと、前記ケーブルホルダに着脱可能に設けられ、前記開放用ケーブル、および前記閉塞用ケーブルをガイドするケーブルガイドと、を備え、前記ケーブルガイドは、前記ブラケットから前記開放用ケーブル、および前記閉塞用ケーブルを離間させるように形成されており、前記開放用ケーブル、および前記閉塞用ケーブルの張力により前記ケーブルガイドにかかる荷重を、前記ケーブルホルダおよび前記ブラケットで受けるように構成されている。
【0010】
上記のように構成することで、ブラケットやケーブルホルダとは別にケーブルガイドのみを成形できるので、各部品の加工の手間を省くことができる。また、ケーブルホルダにケーブルガイドを取り付けるだけでよいので、ケーブルホルダやブラケットに手間のかかる加工を施す必要がなく、ローラユニットの組み付け性を向上できる。
さらに、ケーブルガイドは、ブラケットから各ケーブルを離間させるように形成されており、各ケーブルの張力によりかかる荷重を、ケーブルホルダおよびブラケットで受けるように構成されている。このため、ケーブルガイドのケーブルに対する保持剛性を高めるために、ケーブルガイド自体の剛性を極端に高める必要がない。よって、簡素な構造でケーブルガイドのケーブルに対する保持剛性を高めることができると共に、ローラユニットの大型化を抑制できる。
【0011】
本発明の第2の態様によれば、本発明の第1の態様に係るローラユニットにおいて、前記ケーブルガイドは、前記ケーブルホルダに取り付けられた前記開放用ケーブルの他端と前記ケーブルホルダに取り付けられた前記閉塞用ケーブルの他端との間に配置され、前記開放用ケーブル、および前記閉塞用ケーブルは、それぞれ前記ケーブルガイド上で交差させた状態で前記ケーブルガイドによってガイドされている。
【0012】
上記のように構成することで、2つのケーブルを纏めてブラケットから離間させることができる。このため、2つのケーブルをそれぞれ別々にブラケットから離間させる場合と比較して、ブラケットから2つのケーブルを離間させるためのスペースを省スペース化できる。
【0013】
本発明の第3の態様によれば、本発明の第1の態様または第2の態様に係るローラユニットにおいて、前記開放用ケーブル、および前記閉塞用ケーブルの各々他端は、前記ケーブルホルダに回動自在に保持されている。
【0014】
上記のように構成することで、各ケーブルの配線自由度を高めることができる。このため、例えば、ケーブルホルダに一旦各ケーブルの他端を取り付けた後、ブラケットを捻ることによって2つのケーブルを交差させることも可能になる。このため、ローラユニットの組付け作業が容易化できる。
【0015】
本発明の第4の態様によれば、本発明の第1の態様から第3の態様の何れか一の態様に係るローラユニットにおいて、前記ケーブルガイドは、前記開放用ケーブル、および前記閉塞用ケーブルをガイドし、これら開放用ケーブル、および閉塞用ケーブルの配線方向に沿って長く形成されたガイド本体と、前記ガイド本体の長手方向両端からそれぞれ前記ブラケットに向かって延びる2つの脚部と、を備えている。
【0016】
上記のように、ケーブルガイドに2つの脚部が設けられているので、これら2つの脚部を利用してガイド本体にかかる荷重を分散させることができる。このため、ガイド本体の剛性を必要以上に高める必要がなく、この結果、ケーブルガイドを小型化できる。
また、脚部によってケーブルガイドのガタツキを抑えることができる。
【0017】
本発明の第5の態様によれば、本発明の第4の態様に係るローラユニットにおいて、前記ケーブルガイドの前記脚部は、前記開放用ケーブル、および前記閉塞用ケーブルの各々他端と、前記ケーブルホルダおよび前記ブラケットの何れか一方とによって挟持される抜け止め部を備えている。
【0018】
上記のように構成することで、抜け止め部によって、ケーブルホルダに取り付けたケーブルガイドの抜けを防止することができる。
【0019】
本発明の第6の態様によれば、本発明の第4の態様または第5の態様に係るローラユニットにおいて、前記ガイド本体の長手方向両端に、前記開放用ケーブル、および前記閉塞用ケーブルを前記ガイド本体へと導くケーブル導入部を設けた。
【0020】
上記のように構成することで、各ケーブルを配線する際、これらケーブルを容易にガイド本体へと導くことができる。また、ケーブル導入部を設けることによって各ケーブルの変位が規制されるので、ローラユニットを動作させた際、ケーブルホルダに各ケーブルが擦りつけられてしまうことを防止できる。このため、各ケーブルの損傷も防止できる。
【0021】
本発明の第7の態様によれば、本発明の第6の態様に係るローラユニットにおいて、前記ケーブル導入部は、前記ガイド本体の長手方向両端で、かつ前記ガイド本体の短手方向両端に設けられていると共に、前記長手方向に沿って、かつ前記ブラケットに向かって斜めに延出している。
【0022】
上記のように構成することで、ケーブルホルダと各ケーブルとの間に、確実にケーブル導入部を介在させることができる。このため、各ケーブルの損傷を、確実に防止できる。
【0023】
本発明の第8の態様によれば、本発明の第1の態様から第7の態様の何れか一の態様に係るローラユニットにおいて、前記開放用ケーブル、および前記閉塞用ケーブルの各々他端は、それぞれ柱状のケーブルエンドを備えており、前記ケーブルホルダは、前記開放用ケーブル、および前記閉塞用ケーブルの各々他端の前記張力がかかる側に配置されたケーブルエンド保持部と、前記開放用ケーブル、および前記閉塞用ケーブルの各々他端の前記ケーブルエンド保持部とは反対側に配置されたケーブルフックと、を備え、前記ケーブルエンド保持部と前記ケーブルフックとにより、各前記ケーブルエンドの外周部が挟持されている。
【0024】
上記のように構成することで、ケーブルホルダに各ケーブルの他端を取り付ける作業を、容易化できる。
【0025】
本発明の第9の態様によれば、本発明の第8の態様に係るローラユニットにおいて、前記ケーブルフックは、2つの側壁を、前記開放用ケーブルおよび前記閉塞用ケーブルの配線方向と直交する方向に並べて配置されてなり、前記2つの側壁間の距離は、前記開放用ケーブルおよび前記閉塞用ケーブルを挿通可能な距離に設定されており、前記2つの側壁には、前記開放用ケーブル、および前記閉塞用ケーブルの各々他端の前記張力がかかる側とは反対側に、前記側壁の板厚方向外側から板厚方向内側へと前記開放用ケーブル、および前記閉塞用ケーブルを挿通可能なスリットが形成されている。
【0026】
上記のように構成することで、ケーブルフックに各ケーブルのケーブルエンドを容易に組み付けることが可能になる。また、2つの側壁の各ケーブルの張力がかかる側とは反対側にケーブルを挿通するスリットが形成されているので、このスリットに起因してケーブルフックからケーブルエンドが外れてしまうことを防止できる。
【0027】
本発明の第10の態様によれば、本発明の第9の態様に係るローラユニットにおいて、前記ケーブルガイドには、前記ケーブルフックと係合可能な爪部が形成されている。
【0028】
上記のように構成することで、ケーブルホルダにケーブルガイドを確実に取り付けることができる。また、ケーブルホルダからのケーブルガイドの抜けを、確実に防止できる。
【0029】
本発明の第11の態様によれば、本発明の第10の態様に係るローラユニットにおいて、前記爪部は、前記スリット、および前記側壁の内面側における前記スリットの角部を覆うように形成されている。
【0030】
上記のように構成することで、スリットでケーブルが擦れ、ケーブルが損傷してしまうことを防止できる。とりわけ、ケーブルが擦れて損傷しやすい側壁の内面側におけるスリットの角部(エッジ)を爪部によって覆うことにより、ケーブルの損傷を確実に防止できる。
【0031】
本発明の第12の態様によれば、本発明の第4の態様に係るローラユニットにおいて、前記ケーブルガイドの前記脚部は、前記開放用ケーブル、および前記閉塞用ケーブルの各々他端と共に前記ケーブルホルダに保持され、前記脚部には、該脚部からの前記開放用ケーブル、および前記閉塞用ケーブルの各々他端の抜けを防止する抜け止め防止機構が設けられている。
【0032】
上記のように構成することで、ケーブルホルダからの各ケーブルの他端の抜けを防止することができる。
【0033】
本発明の第13の態様によれば、本発明の第12の態様に係るローラユニットにおいて、前記開放用ケーブル、および前記閉塞用ケーブルの各々他端は、それぞれ柱状のケーブルエンドを備えており、前記ケーブルガイドの前記脚部には、前記ケーブルエンドが挿入される挿入孔が形成されており、前記脚部における前記挿入孔の前記開放用ケーブル、および前記閉塞用ケーブルの各々他端の前記張力がかかる側とは反対側を、前記抜け止め防止機構として機能させた。
【0034】
上記のように構成することで、ケーブルホルダへの各ケーブルの取り付け作業を容易化しつつ、ケーブルホルダからの各ケーブルの他端の抜けを確実に防止できる。
【0035】
本発明の第14の態様によれば、本発明の第1の態様から第13の態様の何れか一の態様に係るローラユニットは、前記ケーブルガイドにより、前記開放用ケーブル、および前記閉塞用ケーブルは、これら開放用ケーブル、および閉塞用ケーブルの各々他端よりも前記ガイドレール側にオフセットされた形で配線されている。
【0036】
上記のように構成することで、ガイドレールに各ケーブルを極力近づけることができる。このため、ガイドレールに沿ってローラユニットがスライド移動する際、このスライド移動の途中でケーブルの配線経路長が変化してしまうことを抑制できる。
【0037】
本発明の第15の態様によれば、本発明の第1の態様から第14の態様の何れか一の態様に係るローラユニットにおいて、前記ローラは、回転軸が鉛直方向に沿っている水平ローラと、回転軸が水平方向に沿っている垂直ローラと、を有し、前記ケーブルガイドは、前記垂直ローラと前記ガイドレールとの間に配置されている。
【0038】
上記のように構成することで、ローラユニットの軌道上、つまり、各ケーブルの配線経路上にケーブルガイドを配置することができる。このため、各ケーブルに余分な力がかかってしまうことを防止できる。
また、効果的にガイドレールに各ケーブルを近づけることができるので、ガイドレールに沿ってローラユニットがスライド移動する際、このスライド移動の途中でケーブルの配線経路長が変化してしまうことを確実に抑制できる。
【0039】
本発明の第16の態様によれば、本発明の第15の態様に係るローラユニットにおいて、前記垂直ローラは、前記ケーブルホルダと一体的に設けられている支軸に回転自在に支持されており、前記ケーブルガイドは、前記支軸に着脱可能に設けられていると共に、前記ケーブルガイドは、前記垂直ローラの周囲を取り囲むように、かつ前記着脱方向一側が開口するように形成されており、前記ケーブルガイドの前記ブラケットとは反対側に、前記開放用ケーブル、および前記閉塞用ケーブルが配線されている。
【0040】
上記のように構成することで、垂直ローラと各ケーブルが干渉してしまうことを確実に防止でき、各ケーブルが損傷してしまうことを防止できる。
また、垂直ローラへの異物の侵入を抑制できる。このため、異物に起因する垂直ローラの異音の発生を抑制できる。
【0041】
本発明の第17の態様によれば、本発明の第1の態様から第16の態様の何れか一の態様に係る車両用開閉体駆動装置において、上記に記載のローラユニットと、前記開放用ケーブル、および前記閉塞用ケーブルの各々一端が連結されている前記駆動装置と、を備えた。
【0042】
上記のように構成することで、ガイドレールに沿ってローラユニットがスライド移動する際、このスライド移動の途中でケーブルの配線経路長が変化してしまうことを確実に抑制可能な車両用開閉体駆動装置を提供できる。
また、簡素な構造でケーブルガイドのケーブルに対する保持剛性を高めることができ、組み付け性を向上できると共に、大型化を抑制可能な車両用開閉体駆動装置を提供できる。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、ブラケットやケーブルホルダとは別にケーブルガイドのみを成形できるので、各部品の加工の手間を省くことができる。また、ケーブルホルダにケーブルガイドを取り付けるだけでよいので、ケーブルホルダやブラケットに手間のかかる加工を施す必要がなく、ローラユニットの組み付け性を向上できる。
さらに、ケーブルガイドは、ブラケットから各ケーブルを離間させるように形成されており、各ケーブルの張力によりかかる荷重を、ケーブルホルダおよびブラケットで受けるように構成されている。このため、ケーブルガイドのケーブルに対する保持剛性を高めるために、ケーブルガイド自体の剛性を極端に高める必要がない。よって、簡素な構造でケーブルガイドのケーブルに対する保持剛性を高めることができると共に、ローラユニットの大型化を抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0045】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0046】
(車両)
図1は、本発明に係るスライドドア自動開閉装置が搭載された車両の側面図、
図2は、スライドドアの車両本体への取り付け構造を示す平面図である。なお、以下の説明において、説明を簡単にするために、車両の地面側を単に下側、車両の天井側を単に上側、車両の進行方向前方を単に前方、進行方向後方を単に後方などと表現して説明する。
【0047】
図1に示すように、車両100の車両本体101には、側部に車両本体101の開口部102を開閉するためのスライドドア103が設けられている。このスライドドア103は、開口部102の上側に配置されているアッパーレール104と、開口部102の下側に配置されているロアーレール105と、開口部102の上下方向略中央であって、かつ後方側に配置されたセンターレール106と、にそれぞれスライド移動自在に支持されている。
【0048】
図2に示すように、センターレール106は、前後方向に延在する直線状の直線部106aと、直線部106aに対して車室内側に向かって湾曲形成された湾曲部106bとが一体成形されたものである。センターレール106は、湾曲部106bを前方側に向けた状態で車両本体101に固定されている。
なお、図示を省略するが、アッパーレール104、およびロアーレール105も前後方向に延在する直線部と、この直線部に対して車室内側に向かって湾曲形成された湾曲部とに、より構成されている。
【0049】
スライドドア103の後端部には、センターレール106に対応する箇所に、センターアーム107が設けられている。このセンターアーム107の先端が、ローラユニット1を介してセンターレール106にスライド自在に支持されている。
【0050】
なお、図示を省略するが、スライドドア103の前方には、上端部にアッパーアームが設けられている一方、下端部にロアーアームが設けられている。そして、アッパーレール104には、ローラユニットを介してアッパーアームの先端がスライド自在に支持されている。一方、ロアーレール105には、ローラユニットを介してロアーアームの先端がスライド自在に支持されている。これらアッパーレール104、およびロアーレール105に取り付けられるローラユニットとして、センターレール106に取り付けられているローラユニット1と同一構造のものを採用することができる。
【0051】
ここで、車両100には、スライドドア103を自動開閉するためのスライドドア自動開閉装置110が搭載されている。スライドドア自動開閉装置110は、いわゆるケーブル式の自動開閉装置である。スライドドア自動開閉装置110は、センターレール106の前後方向略中央で、かつ車両本体101の内部に配置されている駆動ユニット111と、駆動ユニット111とローラユニット1の後部とを連結する開放用ケーブル112と、駆動ユニット111とローラユニット1の前部とを連結する閉塞用ケーブル113と、を備えている。
【0052】
また、センターレール106の後端には、開側プーリ114が設けられている。一方、センターレール106の前端には、閉側プーリ115が設けられている。そして、開放用ケーブル112は、開側プーリ114を介して一端が駆動ユニット111に連結され、他端がローラユニット1に連結されるように両者1,111に跨って配線されている。一方、閉塞用ケーブル113は、閉側プーリ115を介して一端が駆動ユニット111に連結され、他端がローラユニット1に連結されるように両者1,111に跨って配線されている。
【0053】
駆動ユニット111は、電動モータ116と不図示のケーブル駆動機構と、電動モータ116の駆動制御を行うための制御装置117とを備えている。そして、制御装置117により制御された電動モータ116が正逆回転することにより、不図示のケーブル駆動機構が駆動し、開放用ケーブル112や閉塞用ケーブル113が牽引される。これにより、ローラユニット1を介し、各レール104〜16に沿ってスライドドア103がスライド移動する。そして、自動でスライドドア103の開閉動作が行われる。
【0054】
ここで、スライドドア103が開状態にあるとき、閉塞用ケーブル113が牽引されると、センターレール106の湾曲部106bにローラユニット1が案内されると共に、アッパーレール104、およびロアーレール105の湾曲部にローラユニット(何れも不図示)が案内される。そして、スライドドア103が車両本体1の外側から車室内側に斜めに引き込まれ、その後車両本体101の側面と面一となって閉じられる。
【0055】
(第1実施形態)
(ローラユニット)
図3は、ローラユニット1を上側からみた斜視図、
図4は、ローラユニット1を下側からみた斜視図である。
図3、
図4に示すように、ローラユニット1は、一端がセンターアーム107の先端に取り付けられているベースブラケット2を有している。ベースブラケット2は、金属板にプレス加工等を施して形成されたものであって、断面略L字状に形成されているベース本体3を有している。ベース本体3は、上下方向に沿って延在する縦壁3aと、この縦壁3aの下端から水平方向に沿って屈曲延出する横壁3bと、により構成されている。そして、縦壁3aを車両本体101側であるセンターレール106側に向けた状態で配置している。
【0056】
ベース本体3の横壁3bには、一側に上方に向かって立ち上がり壁4が屈曲延出され、さらに、この立ち上がり壁4の上端に、横壁3bと平行に、かつ対向するように舌片部5が屈曲延出されている。これら横壁3b、立ち上がり壁4、および舌片部5により断面略コの字状の受け入れ部6が形成され、ここに、スライドドア103から延びるセンターアーム107が収納される。
【0057】
また、横壁3bと舌片部5には、不図示のシャフトを上下方向に沿って挿入可能な挿通孔8が形成されている。そして、不図示のシャフトを介してベースブラケット2とセンターアーム107とが連結される。すなわち、センターアーム107に対してベースブラケット2がシャフト7を中心にして回転自在に取り付けられる。
【0058】
一方、縦壁3aの上端には、幅方向両端にセンターレール106側(
図3における紙面手前側)、つまり、車両本体101側(
図2参照)に向かってローラ取付座9a,9bが屈曲延出されている。各ローラ取付座9a,9bには、それぞれセンターレール106に収納される水平ローラ10a,10bが設けられている。各水平ローラ10a,10bは、それぞれローラ取付座9a,9bから上側に向かって突設された支軸20a,20bに、回転自在に支持されている。また、ベース本体3の縦壁3aには、ローラ取付座9a,9bの下側にケーブルホルダ11が設けられている。
【0059】
(ケーブルホルダ)
図5は、ケーブルホルダ11の斜視図である。
図3〜
図5に示すように、ケーブルホルダ11は、開放用ケーブル112の他端に設けられている円柱状のケーブルエンド112a、および閉塞用ケーブル113の他端に設けられている円柱状のケーブルエンド113aを、ローラユニット1に固定するためのものである。ケーブルホルダ11は、金属板にプレス加工等を施して形成されており、溶接等によってベースブラケット2と一体化されている。
【0060】
ケーブルホルダ11は、ベースブラケット2の幅方向に沿って長く形成されたホルダベース12を有している。ホルダベース12は断面略コの字状に形成されており、ベースブラケット2に接する底壁12aと、底壁12aの短手方向両側から立ち上がり形成された2つの側壁12bと、により構成されている。なお、以下の説明では、ケーブルホルダ11の底壁12aの長手方向を単に長手方向と称し、底壁12aの短手方向を単に短手方向と称して説明する場合がある。
【0061】
底壁12aの長手方向中央部は、上下方向に向かって若干膨出形成されたベース拡大部31となっている。このベース拡大部31に、肉厚方向に貫通する略長円形状の貫通孔32が形成されている。
また、各側壁12bは、ベース拡大部31に対応する位置が大きく切り欠かれており、この側壁12bの切り欠かれた箇所とベース拡大部31とが、垂直ローラ配置部33とされている。
【0062】
図3、
図4に詳示するように、垂直ローラ配置部33には、センターレール106に収納される垂直ローラ21が設けられている。垂直ローラ21は、支軸21aに回転自在に支持されている。この支軸21aは、ホルダベース12の底壁12aからセンターレール106側に向かって突出するように設けられている。すなわち、支軸21aの基端が、ホルダベース12の底壁12aに形成された貫通孔32を介し、ベースブラケット2に固定されている。
【0063】
このように、ローラユニット1に設けられている水平ローラ10a,10bの支軸20a,20bと、垂直ローラ21の支軸21aは、互いに略直交するように設けられている。すなわち、水平ローラ10a,10bは、ローラユニット1の水平方向の移動を規制しながらセンターレール106内を転動する。一方、垂直ローラ21は、ローラユニット1にかかる荷重を受け、この荷重をセンターレール106に伝達しながらセンターレール106内を転動する。
【0064】
図3〜
図5に示すように、長手方向両端側の側壁12bの高さH1は、垂直ローラ21におけるセンターレール106側の端面の高さとほぼ同一となるように設定されている。また、ケーブルホルダ11の短手方向で対向する側壁12b間の幅W4(
図5参照)は、各ケーブル112,113を挿通可能な幅に設定されている。さらに、長手方向両端側の側壁12bは、上下方向平面視で略C字状に形成されており、それぞれ長手方向中央側に位置するケーブルエンド保持部34と、長手方向両端側に位置するケーブルフック35と、により構成されている。
ケーブルエンド保持部34およびケーブルフック35は、互いに長手方向で対向する側面が円弧状に形成されている。そして、ケーブルエンド保持部34の先端部34aとケーブルフック35の先端部35aは、互いに長手方向で対向する方向に向かって突出した形になっている。
【0065】
このため、ケーブルエンド保持部34とケーブルフック35とが協働して、側壁12bの中央の大部分に、各ケーブルエンド112a,113aが挿入されるケーブルエンド挿入孔36を形成している。また、ケーブルエンド保持部34の先端部とケーブルフック35の先端部との間に、スリット37が形成される。そして、このように構成されたケーブルホルダ11に、ケーブルガイド40が取り付けられる。
【0066】
(ケーブルガイド)
図6は、ケーブルガイド40の斜視図である。
図7は、ケーブルホルダ11にケーブルガイド40を取り付けた状態を示す斜視図である。
図3、
図4、
図6、
図7に示すようにケーブルガイド40は、ケーブルホルダ11に固定される各ケーブル112,113のそれぞれケーブルエンド112a,113a側の配線方向を案内するためのものである。ケーブルガイド40は樹脂または金属により形成されており、ケーブルホルダ11の長手方向に沿って長くなるように形成された略直方体状のガイド本体41を有している。
【0067】
ガイド本体41の短手方向(
図6における上下方向)の幅W1は、ケーブルホルダ11の短手方向(
図5における上下方向)の幅W2とほぼ同一に設定されている。また、ガイド本体41の長手方向の長さL1は、ケーブルホルダ11の長手方向両側に配置されている2つのケーブルエンド保持部34の先端部34a間の長さL2とほぼ同一に設定されている。
【0068】
そして、
図3、
図4に詳示するように、長手方向両側に配置されている2つのケーブルエンド保持部34のセンターレール106側の端部間に跨るように、ガイド本体41が載置される。すなわち、ガイド本体41は、垂直ローラ21をセンターレール106側から覆った状態になる。
ガイド本体41の垂直ローラ21側の面には、この垂直ローラ21との干渉を回避するための凹部41aが形成されている。一方、ガイド本体41のセンターレール106側には、長手方向に沿ってガイド溝42が形成されている。ガイド溝42は、その底面が長手方向に連続した滑らかな面で形成されていると共に、ケーブルホルダ11の短手方向で対向する側壁12b間の隙間と連通する。このようなガイド溝42に、各ケーブル112,113が配線される。このため、各ケーブル112,113に負担を掛けずに配線することが可能になり、各ケーブル112,113は配線の際に切れることがなくなる。
【0069】
ガイド本体41の長手方向両端には、それぞれケーブルホルダ11の底壁12a側に向かって突出する脚部43が一体成形されている。脚部43の肉厚方向(
図6における上下方向)の幅W3は、ケーブルホルダ11の側壁12b間の幅W4とほぼ同一かまたは若干小さくなる程度に設定されている。そして、各脚部43は、ケーブルホルダ11の側壁12b間に挿入され、その先端がケーブルホルダ11の底壁12aに当接する。各脚部43には、長手方向両端側の側面に、ケーブルホルダ11のケーブルエンド挿入孔36に対応するように、円弧面43aが形成されている。この円弧面43aもケーブルエンド挿入孔36の一部を構成する。
【0070】
図4に示すように、ケーブルホルダ11にケーブルガイド40を取り付けた状態で、ケーブルエンド挿入孔36に、カラー44が挿入される。さらに、このカラー44を介して各ケーブルエンド112a,113aが挿入される。換言すれば、カラー44を介し、ケーブルエンド保持部34とケーブルフック35とにより、ケーブルエンド112a,113aが挟持される。
【0071】
カラー44は、樹脂により円筒状に形成されたものである。カラー44は、軸方向一端にフランジ部44aが形成されている。また、カラー44の軸方向他端には、不図示の爪部が形成されている。そして、ケーブルエンド挿入孔36に、カラー44の爪部側からこのカラー44を挿入する。すると、カラー44が弾性変形し、ケーブルエンド挿入孔36を貫通した際に爪部がケーブルエンド挿入孔36の周縁部に係合する。すなわち、カラー44は、フランジ部44aと不図示の爪部とにより、ケーブルエンド保持部34およびケーブルフック35にスナップフィット固定される。
【0072】
また、カラー44の周壁には、軸方向に沿ってスリット44bが形成されている。一方、ケーブルホルダ11のケーブルエンド保持部34とケーブルフック35との間には、スリット37が形成されている。このため、ケーブルエンド挿入孔36にカラー44を介して各ケーブルエンド112a,113aを挿入するにあたり、各ケーブル112,113がケーブルホルダ11の側壁12bやカラー44に当って邪魔になることがない。
【0073】
ここで、ケーブルエンド挿入孔36に各ケーブルエンド112a,113aを挿入するにあたり、最初は、対応するケーブル112,113の引出し方向とは反対側に位置するケーブルエンド挿入孔36に、それぞれ所定のケーブルエンド112a,113aが挿入される。
【0074】
すなわち、
図4において、開放用ケーブル112は左方に引き出されており、この開放用ケーブル112のケーブルエンド112aは、2つのケーブルエンド挿入孔36のうちの右側のケーブルエンド挿入孔36に挿入される。
一方、
図4において、閉塞用ケーブル113は右方に引き出されており、この閉塞用ケーブル113のケーブルエンド113aは、2つのケーブルエンド挿入孔36のうちの左側のケーブルエンド挿入孔36に挿入される。
【0075】
ケーブルエンド挿入孔36にケーブルエンド112a,113aを挿入した状態では、各ケーブル112,113aは、ケーブルホルダ11の短手方向中央、つまり、ケーブルホルダ11の短手方向で対向する側壁12b間の隙間に位置している。そして、各ケーブルエンド112a,113aから引き出された各ケーブル112,113は、ケーブルガイド40上で交差した形でガイド溝42に収納されている。
【0076】
ここで、ケーブルガイド40の脚部43には円弧面43aが形成されているので、ケーブルホルダ11にケーブルガイド40を取り付けた状態で、ケーブルエンド挿入孔36にケーブルエンド112a,113aを挿入すると、脚部43の先端は、ケーブルエンド112a,113aとケーブルホルダ11の底壁12aとに挟持された状態になる。これにより、ケーブルホルダ11からのケーブルガイド40の抜けが防止される。すなわち、ケーブルガイド40の脚部43の先端は、ケーブルホルダ11からのケーブルガイド40の抜けを防止する抜け止め部43bとして機能する。
【0077】
(ローラユニットの組付け方法およびローラユニットの作用)
次に、ローラユニット1の組付け方法およびローラユニット1の作用について説明する。
まず、予めベースブラケット2に水平ローラ10a,10b、および垂直ローラ21を組み付けておく。その後、ケーブルホルダ11にケーブルガイド40を取付け、ケーブルエンド挿入孔36にカラー44を挿入する。このとき、カラー44に形成されているスリット44bの位置と、ケーブルホルダ11のスリット37の位置とを合わせ、ケーブルエンド挿入孔36にカラー44を挿入する。
【0078】
続いて、ケーブルエンド挿入孔36に各ケーブル112,113のケーブルエンド112a,113aを挿入する。
このとき、まず、ベースブラケット2を正規の向きとは上下逆向きにする。そして、各ケーブルエンド112a,113aを、対応するケーブル112,113の引出し方向側に位置するケーブルエンド挿入孔36に挿入する。この後、ベースブラケット2を正規の向きに捻ることにより、ケーブルガイド40上で各ケーブル112,113が交差した状態になり、ケーブルガイド40のガイド溝42に収納される。
【0079】
すなわち、
図4において、開放用ケーブル112は左方に引き出されており、この開放用ケーブル112のケーブルエンド112aは、2つのケーブルエンド挿入孔36のうちの右側のケーブルエンド挿入孔36に挿入された状態になる。
一方、
図4において、閉塞用ケーブル113は右方に引き出されており、この閉塞用ケーブル113のケーブルエンド113aは、2つのケーブルエンド挿入孔36のうちの左側のケーブルエンド挿入孔36に挿入された状態になる。そして、各ケーブルエンド112a,113aから引き出された各ケーブル112,113は、ケーブルガイド40上で交差した形でガイド溝42に収納されている。
【0080】
ここで、ケーブルエンド挿入孔36に各ケーブルエンド112a,113aを挿入した状態では、ケーブルエンド挿入孔36に対して各ケーブルエンド112a,113aが回動自在になっている。このため、ベースブラケット2を正規の向きに捻る際、ケーブルエンド112a,113aが回動し、各ケーブル112,113が捩れることなく容易に交差させることができる。
【0081】
また、各ケーブル112,113の長さは、ベースブラケット2が正規の向き(ケーブルガイド40上で各ケーブル112,113が交差している状態)で寸法が規定されている。このため、各ケーブルエンド挿入孔36にそれぞれケーブルエンド112a,113aを挿入する時点(ベースブラケット2の向きが上下逆向きになっている時点)では、各ケーブル112,113が緩んだ状態になっている。このため、各ケーブル112,1113に張力がかかっていない状態で、各ケーブルエンド挿入孔36にそれぞれケーブルエンド112a,113aを挿入することができる。よって、これらケーブルエンド112a,113aの挿入作業を容易に行うことができる。
【0082】
ケーブルホルダ11にケーブルエンド112a,113aを取り付け、ベースブラケット2の向きを正規の向きにした後、センターレール106にローラユニット1を取り付ける。これにより、ローラユニット1の組付けが完了する。
【0083】
ここで、ケーブルガイド40のガイド溝42に収納されている箇所のケーブル112,113は、ケーブルエンド112a,113aが取り付けられている位置よりも、ケーブルホルダ11の底壁12a(ベースブラケット2)から離間する方向に向かってずれている。換言すれば、ケーブルガイド40のガイド溝42に収納されている箇所のケーブル112,113は、ケーブルエンド112a,113aが取り付けられている位置よりも、センターレール106側にオフセットした形で配線されている。
【0084】
このため、各ケーブル112,113に張力がかかると、ガイド本体41に、ケーブルホルダ11の底壁12a(ベースブラケット2)側に向かう押圧力が作用することになる。この押圧力は脚部43に分散され、さらに、ケーブルホルダ11およびベースブラケット2が押圧力を受ける。
また、ケーブルガイド40のガイド溝42に収納されている箇所のケーブル112,113は、ケーブルエンド112a,113aが取り付けられている位置よりも、センターレール106側にオフセットした形で配線されている。このため、このセンターレール106に、各ケーブル112,113を極力近づけることができる。
【0085】
また、各ケーブル112,113は、ケーブルガイド40上で交差しているので、各ケーブル112,113に張力がかかると、各ケーブルエンド112a,113aがケーブルエンド保持部34を押圧することになる。すなわち、ケーブルエンド保持部34は、長手方向でケーブルフック35と対向する側面が円弧状に形成されていることにより、ケーブルエンド112a,113aの荷重を受け、これらケーブルエンド112a,113aを保持している。一方、ケーブルフック35は、ケーブルエンド保持部34からのケーブルエンド112a,113aの抜けを防止するように機能している。
【0086】
このように上述の第1実施形態では、ケーブルホルダ11に着脱可能にケーブルガイド40を設けている。このため、ベースブラケット2やケーブルホルダ11とは別にケーブルガイド40のみを成形できるので、各部品の加工の手間を省くことができる。また、ケーブルホルダ11にケーブルガイド40を取り付けるだけでよいので、ケーブルホルダ11やベースブラケット2に手間のかかる加工を施す必要をなくすことができる。
【0087】
さらに、ケーブルガイド40は、各ケーブル112,113の位置を、ケーブルエンド112a,113aが取り付けられている位置よりも、ケーブルホルダ11の底壁12a(ベースブラケット2)から離間する方向に向かってずらすように構成されている。すなわち、ケーブルガイド40は、各ケーブル112,113の位置を、ケーブルエンド112a,113aが取り付けられている位置よりも、センターレール106側にオフセットさせる。このため、センターレール106が直線部106aと湾曲部106bとで構成されている場合であっても、ローラユニット1のスライド位置によって各ケーブル112,113の配線経路長が変化してしまうことを抑制できる。
【0088】
また、ケーブルガイド40は、ケーブルホルダ11およびベースブラケット2から各ケーブル112,113を離間させる(押し上げる)ので、各ケーブル112,113に張力がかかった際、この張力によりケーブルガイド40が押圧されることになる。そして、このケーブルガイド40にかかる押圧力は、ケーブルホルダ11およびベースブラケット2が受けることになる。
すなわち、ケーブルガイド40にかかる荷重を、ケーブルホルダ11およびベースブラケット2が受けるように構成されている。このため、ケーブルガイド40の各ケーブル112,113に対する保持剛性を高めるために、ケーブルガイド40自体の剛性を極端に高める必要がない。よって、簡素な構造でケーブルガイド40の各ケーブル112,113に対する保持剛性を高めることができると共に、ローラユニット1の大型化を抑制できる。
【0089】
さらに、ケーブルガイド40は、略直方体状のガイド本体41と、このガイド本体41の長手方向両端に突出形成された脚部43と、により構成されている。このため、各ケーブル112,113の張力によってガイド本体41にかかる荷重を、脚部43によって分散することができる。よって、ガイド本体41の剛性を必要以上に高める必要がなく、この結果、ケーブルガイド40を小型化できる。
また、脚部43によって、ケーブルガイド40のガタツキを抑えることができる。
【0090】
さらに、ケーブルガイド40の脚部43に、ケーブルエンド挿入孔36の一部を構成する円弧面43aを形成し、脚部43の先端を、ケーブルエンド112a,113aとケーブルホルダ11の底壁12aとに挟持させている。これにより、ケーブルガイド40の脚部43の先端を、ケーブルホルダ11からのケーブルガイド40の抜けを防止する抜け止め部43bとして機能させている。このため、ケーブルホルダ11に取り付けたケーブルガイド40の抜けを防止できる。
【0091】
そして、各ケーブル112,113は、ケーブルガイド40上で交差するように配線されている。このため、1つのケーブルガイド40を用い、ケーブルホルダ11の底壁12a(ベースブラケット2)から2つのケーブル112,113を纏めて離間させることができる。よって、2つのケーブル112,113をそれぞれ別々にベースブラケット2から離間させる場合と比較して省スペース化できる。
【0092】
また、各ケーブル112,113の他端にそれぞれ円柱状のケーブルエンド112a,113aを設け、これらケーブルエンド112a,113aを介してケーブルホルダ11と各ケーブル112,113とを連結させている。したがって、ケーブルホルダ11に対し、ケーブルエンド112a,113aの軸回りにこれらケーブルエンド112a,113aが回動自在となる。
このため、ローラユニット1を組み付ける際、一旦ベースブラケット2を正規の向きとは上下逆向きとして、このベースブラケット2に各ケーブルエンド112a,113aを組み付けた後、ベースブラケット2を捻って正規の向きとすることができる。このように、ベースブラケット2を捻っても、各ケーブル112,113が捩れてしまうことを防止できる。よって、ケーブルホルダ11に各ケーブルエンド112a,113aを組み付ける際、各ケーブル112,113を撓ませておくことができ、ローラユニット1の組付け作業を容易化できる。
【0093】
さらに、ケーブルホルダ11の側壁12bは、ケーブルエンド保持部34とケーブルフック35とにより構成されている。そして、ケーブルエンド保持部34は、ケーブルエンド112a,113aの荷重を受け、これらケーブルエンド112a,113aを保持している。一方、ケーブルエンド112a,113aの荷重がかかる側とは反対側に位置するケーブルフック35は、ケーブルエンド保持部34からのケーブルエンド112a,113aの抜けを防止するように機能している。
このように、側壁12bに、役割ごとに分けてケーブルエンド保持部34とケーブルフック35とを形成することで、ケーブルホルダ11に各ケーブルエンド112a,113aを取り付ける作業を、容易化できる。
【0094】
また、ケーブルガイド40は、このケーブルガイド40のガイド本体41が、垂直ローラ21をセンターレール106側から覆うように形成されている。すなわち、ケーブルガイド40のガイド本体41は、垂直ローラ21とセンターレール106との間に配置されている。
このため、ローラユニット1の軌道上、つまり、各ケーブル112,113の配線経路上にケーブルガイド40を配置することができる。この結果、各ケーブル112,113に余分な力がかかってしまうことを防止できる。また、効果的にセンターレール106に各ケーブル112,113を近づけることができるので、ローラユニット1のスライド位置によって各ケーブル112,113の配線経路長が変化してしまうことを確実に抑制できる。
【0095】
(第2実施形態)
(ローラユニット)
次に、この発明の第2実施形態を
図8〜
図12に基づいて説明する。なお、第1実施形態と同一態様には、同一符号を付して説明する(以下の実施形態についても同様)。
図8は、ローラユニット201を上側からみた斜視図であって、前述の
図3に対応している。
図9は、ローラユニット201を下側からみた斜視図であって、前述の
図4に対応している。
図10は、ケーブルホルダ211の斜視図であって、前述の
図5に対応している。
図11は、ケーブルガイド240の斜視図であって、前述の
図6に対応している。
図12は、ケーブルホルダ211にケーブルガイド240を取り付けた状態を示す斜視図であって、前述の
図7に対応している。
【0096】
図8〜
図12に示すように、前述の第1実施形態と第2実施形態との相違点は、第1実施形態のケーブルホルダ11の形状と第2実施形態のケーブルホルダ211の形状とが異なる点、および第1実施形態のケーブルガイド40の形状と第2実施形態のケーブルガイド240の形状とが異なる点にある。
【0097】
(ケーブルホルダ)
図8〜
図10に示すように、ケーブルホルダ211は、金属板にプレス加工等を施して形成されており、溶接等によってベースブラケット2と一体化されている。
ケーブルホルダ211は、ベースブラケット2の幅方向に沿って長く形成されたホルダベース212を有している。ホルダベース212は断面略コの字状に形成されており、ベースブラケット2に接する底壁212aと、底壁212aの短手方向両側から立ち上がり形成された2つの側壁212bと、により構成されている。
【0098】
ここで、側壁212bは、前述の第1実施形態のようにケーブルフック35を備えておらず、ケーブルエンド保持部34のみ備えている。ケーブルエンド保持部34には、前述の第1実施形態におけるケーブルエンド挿入孔36の一部に相当する円弧面34bが形成されている。
【0099】
(ケーブルガイド)
図8、
図9、
図11、
図12に示すように、ケーブルガイド240は樹脂により形成されており、ケーブルホルダ211の長手方向に沿って長くなるように形成された略直方体状のガイド本体241と、ガイド本体241の長手方向両端から突出する脚部243とが一体成形されている。ガイド本体241の短手方向(11における上下方向)の幅W5は、ケーブルホルダ211の短手方向(
図10における上下方向)の幅W2とほぼ同一に設定されている。
【0100】
ここで、脚部243は、2つの脚部243が互いに対向する側に配置された脚部本体251と、互いに対向する側とは反対側に配置された抜け止め防止機構252と、が一体成形されてなる。脚部本体251は、前述の第1実施形態の脚部43に相当している。すなわち、ケーブルホルダ211にケーブルガイド240を取り付けると、ケーブルホルダ211の側壁212b間(ケーブルエンド保持部34間)に脚部本体251が挿入された状態になる。一方、ケーブルホルダ211の側壁212bよりも長手方向外側に、抜け止め防止機構252が配置される。
【0101】
抜け止め防止機構252は、その肉厚方向の幅W6がガイド本体241の短手方向(
図6における上下方向)の幅W5と同一に設定されている。また、抜け止め防止機構252は、脚部本体251よりも車外側(ベースブラケット2側)に突出形成されている。抜け止め防止機構252の脚部本体251からの突出高さH1は、ホルダベース212の底壁212aに肉厚T1とほぼ同一に設定されている。すなわち、ケーブルホルダ211にケーブルガイド240を取り付けると、ベースブラケット2に抜け止め防止機構252の先端が当接する。
【0102】
脚部243の中央部、つまり、脚部本体251と抜け止め防止機構252との境界部には、ケーブルエンド挿入孔236が形成されている。ケーブルホルダ211にケーブルガイド240を取り付けた状態では、ケーブルエンド挿入孔236は、その内周縁がケーブルエンド保持部34の円弧面34bに沿うように形成されている。
【0103】
また、抜け止め防止機構252には、ガイド本体241のガイド溝42に対応する箇所に、補助溝242が形成されている。補助溝242は、ガイド溝42に連なるように形成されており、ガイド溝42と反対側は、ケーブルエンド挿入孔236に連なっている。さらに、補助溝242は、ケーブルホルダ211の底壁12a側(
図11における車外側)に向かって延設され、脚部243の先端のやや手前から下側に向かって屈曲形成されている。このため、
図9に詳示するように、脚部243の下側の面には、ケーブルエンド挿入孔236から斜め外側に向かって延出するスリット253が形成される。
【0104】
(ローラユニットの組付け方法およびローラユニットの作用)
次に、ローラユニット201の組付け方法およびローラユニット201の作用について説明する。なお、ベースブラケット2に予め水平ローラ10a,10b、および垂直ローラ21を組み付けておく点は、前述の第1実施形態と同様である。
【0105】
まず、ケーブルホルダ211にケーブルガイド240を取付け、ケーブルエンド挿入孔236にカラー44を挿入する。このとき、カラー44に形成されているスリット44bの位置と、ケーブルホルダ211のスリット253の位置とを合わせ、ケーブルエンド挿入孔236にカラー44を挿入する。
【0106】
続いて、ケーブルエンド挿入孔236に各ケーブル112,113のケーブルエンド112a,113aを挿入する。このとき、ケーブルホルダ211のスリット253側から、かつこのスリット253を各ケーブル112,113が通るように、ケーブルエンド112a,113aを挿入する。
【0107】
また、ケーブルエンド挿入孔236に各ケーブル112,113のケーブルエンド112a,113aを挿入する際、まず、ベースブラケット2を正規の向きとは上下逆向きにする。そして、各ケーブルエンド112a,113aを、対応するケーブル112,113の引出し方向側に位置するケーブルエンド挿入孔236に挿入する。この後、ベースブラケット2を正規の向きに捻ることにより、ケーブルガイド240上で各ケーブル112,113が交差した状態になり、ケーブルガイド240のガイド溝42に収納される。
【0108】
ケーブルエンド挿入孔236に各ケーブルエンド112a,113aを挿入した状態では、ケーブルエンド挿入孔236に対して各ケーブルエンド112a,113aが回動自在になっている。このため、ベースブラケット2を正規の向きに捻る際、ケーブルエンド112a,113aが回動する。
また、ケーブルホルダ211の抜け止め防止機構252には、ガイド本体241のガイド溝42と連通する補助溝242が形成されている。このため、スリット253を通った各ケーブル112,113を、ガイド溝42に引き回すことができる。よって、各ケーブル112,113が捩れることなく、容易に交差させることができる。
【0109】
ケーブルホルダ211にケーブルエンド112a,113aを取り付け、ベースブラケット2の向きを正規の向きにした後、センターレール106にローラユニット201を取り付ける。これにより、ローラユニット1の組付けが完了する。
【0110】
ここで、ケーブルガイド240のガイド溝42に収納されている箇所のケーブル112,113は、ケーブルエンド112a,113aが取り付けられている位置よりも、ケーブルホルダ211の底壁12a(ベースブラケット2)から離間する方向に向かってずれている。換言すれば、ケーブルガイド240のガイド溝42に収納されている箇所のケーブル112,113は、ケーブルエンド112a,113aが取り付けられている位置よりも、センターレール106側にオフセットした形で配線されている。
【0111】
このため、各ケーブル112,113に張力がかかると、ガイド本体41に、ケーブルホルダ11の底壁12a(ベースブラケット2)側に向かう押圧力が作用することになる。この押圧力は脚部243に分散され、さらに、ケーブルホルダ11およびベースブラケット2が押圧力を受ける。
また、ケーブルガイド240のガイド溝42に収納されている箇所のケーブル112,113は、ケーブルエンド112a,113aが取り付けられている位置よりも、センターレール106側にオフセットした形で配線されているので、このセンターレール106に各ケーブル112,113を極力近づけることができる。
【0112】
また、各ケーブル112,113は、ケーブルガイド40上で交差しているので、各ケーブル112,113に張力がかかると、各ケーブルエンド112a,113aがケーブルエンド保持部34を押圧することになる。すなわち、ケーブルエンド保持部34は、長手方向でケーブルフック35と対向する側面が円弧状に形成されていることにより、ケーブルエンド112a,113aの荷重を受け、これらケーブルエンド112a,113aを保持している。
【0113】
ここで、ケーブルガイド240の脚部243は、脚部本体251と抜け止め防止機構252とにより構成されており、脚部243の中央部、つまり、脚部本体251と抜け止め防止機構252との境界部に、ケーブルエンド挿入孔236が形成されている。そして、このケーブルエンド挿入孔236にケーブルエンド112a,113aが挿入されるので、脚部本体251側が、ケーブルエンド112a,113aにかかる荷重の方向となる。この荷重は、ケーブルホルダ211のケーブルエンド保持部34が受けているので、脚部本体251は、ケーブルホルダ211からのケーブルガイド240の抜けを防止するように機能する。
【0114】
一方、ケーブルエンド112a,113aにかかる荷重の方向とは反対側に位置する抜け止め防止機構252は、脚部本体251からのケーブルエンド112a,113aの抜けを防止するように機能する。このように、ケーブルホルダ211のケーブルエンド保持部34、ケーブルガイド240の脚部本体251、抜け止め防止機構252、およびケーブルエンド112a,113aがそれぞれ協働することにより、一体化される。
【0115】
このように上述の第2実施形態では、ケーブルホルダ211の側壁212bにケーブルエンド保持部34のみ形成し、ケーブルフック35を形成していない。一方、ケーブルガイド240の脚部243を脚部本体251と抜け止め防止機構252とにより構成し、前述の第1実施形態におけるケーブルフック35の役割を、抜け止め防止機構252に持たせている。
したがって、上述の第2実施形態によれば、前述の第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、脚部243を脚部本体251と抜け止め防止機構252とで構成することにより、ローラユニット201の大型化を抑制しつつ、ケーブルガイド240の剛性を高めることができる。
【0116】
(第3実施形態)
(ローラユニット)
次に、この発明の第3実施形態を
図13〜
図17に基づいて説明する。
図13は、ローラユニット301を下側からみた斜視図であって、前述の
図4に対応している。
同図に示すように、前述の第1実施形態と第3実施形態との相違点は、第1実施形態のケーブルホルダ11の形状と第3実施形態のケーブルホルダ311の形状とが異なる点、および第1実施形態のケーブルガイド40の形状と第3実施形態のケーブルガイド340の形状とが異なる点にある。
【0117】
(ケーブルホルダ)
図14は、ケーブルホルダ311の斜視図であって、前述の
図5に対応している。
図13、
図14に示すように、ケーブルホルダ311は、金属板にプレス加工等を施して形成されており、溶接等によってベースブラケット2と一体化されている。
ケーブルホルダ311は、ベースブラケット2の幅方向に沿って長く形成されたホルダベース312を有している。ホルダベース312は断面略コの字状に形成されており、ベースブラケット2に接する底壁312aと、底壁312aの短手方向両側から立ち上がり形成された2つの側壁312bと、により構成されている。
【0118】
底壁312aの形状は、前述の第1実施形態の底壁12aと同一であるので、前述の第1実施形態の底壁12aと同一符号を付して説明を省略する。
一方、長手方向両端側の側壁312bの形状は、前述の第1実施形態の形状と異なる。以下、側壁312bの形状について具体的に説明する。
【0119】
側壁312bの高さH2は、垂直ローラ21におけるセンターレール106側の端面の高さとほぼ同一となるように設定されている。また、側壁312bは、上下方向平面視で長手方向外側が開口するように略C字状に形成されている。そして、側壁312bは、それぞれ長手方向中央側に位置するケーブルエンド保持部334と、長手方向両端側に位置するケーブルフック335と、により構成されている。
【0120】
各側壁312bのうち、ケーブルフック335を構成している箇所には、車幅方向略中央にスリット337が形成されている。これにより、ケーブルエンド保持部334およびケーブルフック335は、全体として略C字状になる。そして、ケーブルフック335のスリット337を介して各側壁312bの上下方向外側から内側に各ケーブル112,113が挿入される。このように構成されたケーブルホルダ311に、ケーブルガイド340が取り付けられる。
【0121】
(ケーブルガイド)
図15は、ケーブルガイド340の斜視図である。
図16は、
図15のA矢視図である。
図17は、ケーブルホルダ311にケーブルガイド340を取り付けた状態を示す斜視図であって、前述の
図7に対応している。
図15、
図16に示すように、ケーブルガイド340の基本的構成は、前述の第1実施形態のケーブルガイド40と同一である。このため、前述の第1実施形態のケーブルガイド40と同一形状の箇所については、このケーブルガイド40と同一符号を付して説明を省略する。
【0122】
なお、
図16に詳示するように、ガイド本体41に形成されているガイド溝42の長手方向両端には、各ケーブル112,113一本分のケーブル溝42aが形成されている。このケーブル溝42aは、ガイド溝42の短手方向略中央に形成されている。また、ケーブル溝42aの短手方向の幅W7は、各ケーブル112,113二本分の幅に設定されている。ケーブル溝42aが形成されているので、ガイド溝42に導かれる各ケーブル112,113がガイド溝42上でずれることがない。
【0123】
ここで、
図15、
図16に示すように、第3実施形態のケーブルガイド340には、ガイド本体41の長手方向両端で、かつガイド本体41の短手方向両端に、ケーブル導入部345が一体成形されている。この点、前述の第1実施形態のケーブルガイド40と相違する点である。
ケーブル導入部345は、ガイド本体41の長手方向に沿って、かつベース本体3の縦壁3aに向かって斜めに湾曲しながら延出されている。換言すれば、ケーブル導入部345は、ケーブルフック335のスリット337よりもセンターレール106側の形状に沿って斜めに湾曲しながら延出されている。また、各ケーブル導入部345は、先端の位置が、スリット337のセンターレール106側の内側面337aの位置とほぼ同じ位置になるように形成されている。
【0124】
さらに、各ケーブル導入部345の上下方向外側の面には、凹部346が形成されている。凹部346は、ケーブルホルダ311の側壁312bにおけるセンターレール106側の形状に対応するように形成されている。凹部346の上下方向の面346aは、脚部43の面と面一となるように形成されている。これにより、
図17に詳示するように、ケーブルホルダ311にケーブルガイド340を取り付けると、このケーブルガイド340の凹部346に、側壁312bのセンターレール106側の半分が挿入された状態になる。
【0125】
換言すれば、側壁312bのセンターレール106側の半分は、外周面と、上下方向で側壁312b同士が対向する内側面と、がそれぞれケーブル導入部345に覆われた状態になる。
ここで、ケーブル導入部345の先端には、ケーブルフック335のスリット337に係合可能な爪部347が一体成形されている。爪部347は、ケーブル導入部345の先端からスリット337のセンターレール106側の内側面337aを覆うように延出されている。これにより、スリット337の内側面337aとスリット337のケーブル導入部345側の角部(エッジ)337bが、ケーブル導入部345によって覆われた状態になる。
【0126】
このように、上述の第3実施形態のケーブルガイド340には、ガイド本体41の長手方向両端で、かつガイド本体41の短手方向両端に、ケーブル導入部345が一体成形されている。このため、各ケーブル112,113を配線する際、ケーブル導入部345がガイドとなって各ケーブル112,113を容易にガイド本体41のガイド溝42に導くことができる。
【0127】
しかも、ケーブル導入部345は、ケーブルホルダ311の側壁312bにおけるセンターレール106側の半分のうち、外周面と、上下方向で側壁312b同士が対向する内側面と、を覆うように延出形成されている。このため、ケーブル導入部345を設けることによって各ケーブル112,113の変位が規制されるので、ローラユニット301を動作させた際、ケーブルホルダ311に各ケーブル112,113が擦りつけられてしまうことを防止できる。このため、各ケーブル112,113の損傷も防止できる。
【0128】
また、各側壁312bのうち、ケーブルフック335を構成している箇所には、車幅方向略中央にスリット337が形成されている。換言すれば、各側壁312bには、各ケーブル112,113の張力がかかる側とは反対側に、スリット337が形成されている。このため、ローラユニット301の動作時に、スリット337を介して各ケーブル112,113が外れてしまうことを防止できる。つまり、スリット337とは反対側に各ケーブル112,113が引張されているので、スリット337側に各ケーブル112,113が寄ってしまうことがない。このため、スリット337から各ケーブル112,113が抜け出てしまうことを防止できる。
【0129】
さらに、ケーブル導入部345の先端には、ケーブルフック335のスリット337に係合可能な爪部347が一体成形されている。このため、ケーブルホルダ311にケーブルガイド340を確実に取り付けることができる。また、ケーブルホルダ311からケーブルガイド340が脱落してしまうことも防止できる。
【0130】
さらに、爪部347は、ケーブル導入部345の先端からスリット337のセンターレール106側の内側面337aを覆うように延出されている。これにより、スリット337の内側面337aとスリット337のケーブル導入部345側の角部(エッジ)337bが、ケーブル導入部345によって覆われた状態になる。このため、スリット337で各ケーブル112,113が擦れ、各ケーブル112,113が損傷してしまうことを防止できる。
とりわけ、スリット337のケーブル導入部345側の角部337bは、各ケーブル112,113が擦れて損傷しやすい。そのようなケーブル導入部345側の角部337bを爪部347によって覆うことにより、各ケーブル112,113の損傷を確実に防止できる。
【0131】
(第3実施形態の変形例)
次に、
図18、
図19に基づいて、第3実施形態の変形例について説明する。
図18は、第3実施形態の変形例におけるケーブルガイド340を、センターレール106側からみた平面図であって、前述の
図16に対応している。
図19は、第3実施形態の変形例におけるローラユニット301を、センターレール106側からみた平面図である。
同図に示すように、変形例のケーブルガイド340に形成されているガイド溝42のケーブル溝42aは、ガイド溝42の短手方向略中央に形成されておらず、ガイド溝42の短手方向一側に寄って形成されている。
【0132】
このため、
図19に示すように、各ケーブル112,113は、ガイド溝42内においてきちんと整列された状態で配線される。よって、ケーブル112,113同士が捩れたり、擦れたりすることがなく、ケーブル112,113の損傷を防止できる。また、ケーブル112,113同士が擦れることによって発生する異音も防止できる。
【0133】
(第4実施形態)
(ローラユニット)
次に、この発明の第4実施形態を
図20〜
図23に基づいて説明する。
図20は、ローラユニット401を下側からみた斜視図である。
同図に示すように、前述の第1実施形態と第4実施形態との相違点は、第1実施形態のケーブルホルダ11の形状と第4実施形態のケーブルホルダ411の形状とが異なる点、および第1実施形態のケーブルガイド40の形状と第4実施形態のケーブルガイド440の形状とが異なる点にある。
【0134】
(ケーブルホルダ)
図21は、ケーブルホルダ411の斜視図である。
図20、
図21に示すように、ケーブルホルダ411は、金属板にプレス加工等を施して形成されており、溶接等によってベースブラケット2と一体化されている。ケーブルホルダ411は、ベースブラケット2の幅方向に沿って長く形成されたホルダベース412を有している。
ホルダベース412の中央の大部分は、前述の第1実施形態のホルダベース12のように断面略コの字状に形成されておらず、平坦な板状に形成されている。この平坦な板状の箇所に、上下方向に向かって若干膨出するようにベース拡大部431が形成されている。そして、このベース拡大部431に、肉厚方向に貫通する略長円形状の貫通孔32が形成されている。
【0135】
ベース拡大部431には、垂直ローラ21が設けられている。この垂直ローラ21の構成は、前述の第1実施形態の垂直ローラ21と同様である。このため、ベース拡大部431の貫通孔32を介し、ケーブルホルダ411と垂直ローラ21が枢支されている支軸21aとが一体化されている。そして、ベース拡大部431が平坦な板状に形成されている分、このベース拡大部431と垂直ローラ21との間に間隙Kが形成される。
【0136】
ホルダベース412の長手方向両端で、かつ短手方向両側には、それぞれ第1側壁412a、第2側壁412bが立設されている。各側壁412a,412bの高さH3は、垂直ローラ21におけるセンターレール106側の端面の高さとほぼ同一となるように設定されている。また、ケーブルホルダ411の短手方向で対向する第1側壁412aと第2側壁412bとの間の幅W8は、各ケーブル112,113を挿通可能な幅に設定されている。
【0137】
2つの側壁412a,412bのうち、上側に配置されている第1側壁412aは、平面視略四角状に形成されている。また、第1側壁412aの略中央に、ケーブルエンド112a,113aを挿入可能なケーブルエンド挿入孔436が形成されている。そして、第1側壁412aは、ケーブルエンド挿入孔436を中心に、長手方向中央側がケーブルエンド保持部434aとして機能している一方。長手方向両端側がケーブルフック435aとして機能している。
【0138】
2つの側壁412a,412bのうち、下側に配置されている第2側壁412bは、上下方向平面視で略C字状に形成されている。第2側壁412bは、長手方向中央側に位置するケーブルエンド保持部434bと、長手方向両端側に位置するケーブルフック435と、により構成されている。
ケーブルエンド保持部434bおよびケーブルフック435bは、全体として略C字状になっているので、第2側壁412bのうち、ケーブルフック435bを構成している箇所には、車幅方向略中央にスリット437が形成されている。このスリット437を介して第2側壁412bの上下方向外側から内側に各ケーブル112,113が挿入される。そして、このように構成されたケーブルホルダ411に、ケーブルガイド440が取り付けられる。
【0139】
(ケーブルガイド)
図22は、ケーブルガイド440を、スライドドア103側からみた斜視図である。
図23は、ケーブルガイド440を、センターレール106側からみた斜視図である。
図24は、
図20のB矢視図である。
図20、
図22〜
図24に示すように、ケーブルガイド440は、垂直ローラ21の周囲を取り囲むように形成されており、かつ下側に開口部440aを有するように形成されている。
【0140】
ケーブルガイド440のスライドドア103側の壁面440bには、一対の凸部450a,450bが下側に向かって突出するように一体成形されている。これら一対の凸部450a,450b間の幅W9は、支軸21aの軸径とほぼ同一か、または若干大きい程度に設定されている。さらに、一対の凸部450a,450bの車内外方向の厚さT2は、ケーブルホルダ411のベース拡大部431と垂直ローラ21との間の間隙Kよりも若干小さくなる程度に設定されている。
このため、ケーブルガイド440は、一対の凸部450a,450bがケーブルホルダ411のベース拡大部431と垂直ローラ21との間に介在するような形で、かつ一対の凸部450a,450bが支軸21aを径方向で挟み込むような形で取り付けられる。
【0141】
また、一対の凸部450a,450bの先端には、それぞれ舌片部451a,451bが一体成形されている。各舌片部451a,451bは、互いに対向する側に向かって、かつ支軸21aの周囲に沿うように斜めに延出されている。各舌片部451a,451bの先端間の幅W10は、支軸21aの軸径よりも小さく設定されている。
【0142】
ここで、各舌片部451a,451bは、それぞれ弾性変形可能に形成されている。このため、各舌片部451a,451bの先端間の幅W10が、支軸21aの軸径よりも小さく設定されていても、各舌片部451a,451bを支軸21aに押し付けた際に各舌片部451a,451bが弾性変形する。すなわち、ケーブルガイド440は、支軸21a(支軸21aと一体化されたケーブルホルダ411)に対して着脱可能になっており、かつ支軸21aにスナップフィット固定される。
【0143】
また、ケーブルガイド440の各凸部450a,450bとは反対側の壁面440cは、全体が下側に向かって延設されている。この延設された箇所のセンターレール106側の外面に、ガイド溝442がケーブルホルダ411の長手方向に沿って形成されている。ガイド溝442は、各ケーブル112,113の直径に対応するように形成された2本のケーブル溝443a,443bが並んで配置されてなる。
【0144】
また、壁面440cには、長手方向両端側にベースブラケット2側に向かって傾斜するようにテーパ部444が形成されている。より詳しくは、テーパ部444は、このテーパ部444の頂点444Pと各ケーブル112,113のケーブルエンド112a,113aの中心P1とを結ぶ直線TLに沿うように形成されている。
さらに、ケーブルガイド440の開口部440a端には、2つの壁面440b,440cの間に、一対の側壁452a,452bが延出形成されている。これにより、垂直ローラ21は、下側の一部を除いた大半がケーブルガイド440によって覆われる。
【0145】
したがって、上述の第4実施形態によれば、ケーブルガイド440によって垂直ローラ21と各ケーブル112,113が干渉してしまうことを確実に防止でき、各ケーブル112,113が損傷してしまうことを防止できる。また、垂直ローラ21への外部からの異物の侵入を抑制できる。このため、異物に起因する垂直ローラ21の異音の発生を抑制できる。
また、ケーブルガイド440の壁面440cには、テーパ部444が形成されている。このため、ケーブルガイド440のガイド溝442に各ケーブル112,113が滑らかに配線される。つまり、各ケーブル112,113が無理に折り曲げられてしまうことを抑制できる。このため、各ケーブル112,113の損傷を防止できる。
【0146】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、各実施形態や変形例の各構成を組み合わせてローラユニットを構成してもよい。
【0147】
また、上述の実施形態では、ケーブルガイド40,240上で各ケーブル112,113を交差させ、これらケーブル112,113を一纏めにし、ケーブルガイド40によってセンターレール106側にオフセットさせた場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、ケーブル112,113ごとにケーブルガイドを設け、それぞれ別々にケーブル112,113をオフセットさせてもよい。この場合、各ケーブル112,113を交差させずに、そのままそれぞれの引出し方向に各ケーブル112,113を引き出すようにしてもよい。
【0148】
さらに、上述の実施形態では、ケーブルホルダ11,211が断面略コの字状に形成されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、少なくともホルダベース12,212の側壁12bを有していればよい。底壁12aを有しない場合、ベースブラケット2に、溶接等により直接側壁12bを接合するように構成してもよい。また、この場合、ベースブラケット2とケーブルエンド112a,113aとにより、ケーブルガイド40,240の脚部43,243(脚部本体251)の先端を挟持するように構成する。
【0149】
そして、上述の実施形態では、開放用ケーブル112の他端に円柱状のケーブルエンド112aを設け、閉塞用ケーブル113の他端に円柱状のケーブルエンド113aを設け、これらケーブルエンド112a,113aを、ケーブルホルダ11,211に取り付ける場合について説明した。しかしながら、ケーブルエンド112a,113aの形状は円柱状に限られるものではなく、ケーブルホルダ11,211に回動自在に各ケーブル112,113の他端が取り付けられるように構成されていればよい。例えば、円柱状に代えて球場のケーブルエンドを介し、ケーブルホルダ11,211に各ケーブル112,113の他端を取り付けてもよい。