特許第6335342号(P6335342)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6335342
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】眼鏡用ユニバーサルアタッチメント
(51)【国際特許分類】
   G02B 23/00 20060101AFI20180521BHJP
   G02C 3/00 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   G02B23/00
   G02C3/00
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-484(P2017-484)
(22)【出願日】2017年1月5日
【審査請求日】2017年2月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】505425878
【氏名又は名称】中村 正一
(73)【特許権者】
【識別番号】592248835
【氏名又は名称】日本エー・シー・ピー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098589
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 善章
(74)【代理人】
【識別番号】100098062
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 明彦
(72)【発明者】
【氏名】中村 正一
【審査官】 岡田 弘
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭58−190616(JP,U)
【文献】 実開平03−016126(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 1/00−13/00
G02B 9/00−17/08
G02B 23/00−23/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼鏡フレームに着脱自在に取り付け可能なユニバーサルアタッチメントであって、
平板形状の基部と、
前記基部の両端部に平面から垂直に設けられる一対の直立板と、
一方の前記直立板の平面に形成されて内面にネジが形成されているビス孔と螺合する調整ビスと、
前記直立板の間に配置されて平面が前記調整ビスの軸の先端と接合されて、前記調整ビスの回転運動により前記直立板の間を往復移動する移動板と、
前記基部において一対の前記直立板が設けられている面と反対の面から立ち上げて形成される支持板と、
前記支持板に器材を取り付けるための保持部と、を備え、
前記調整ビスの締付により前記ビス孔が形成されていない前記直立板と前記移動板との間で前記眼鏡フレームを挟持し、
前記基部は平面に前記調整ビスの軸に沿った細長形状の摺動孔を有し、前記移動板は前記摺動孔に嵌合する突起部を有する、
ことを特徴とする眼鏡用ユニバーサルアタッチメント。
【請求項2】
前記ビス孔が形成されていない前記直立板と前記移動板の互いが対向する面にはラバーを備えることを特徴とする請求項1に記載の眼鏡用ユニバーサルアタッチメント。
【請求項3】
前記保持部は前記支持板の前記基部からの立ち上げ方向に沿って複数設けられて、前記器材は前記基部の平面からの距離に応じた何れかの前記保持部に取り付けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の眼鏡用ユニバーサルアタッチメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、双眼ルーペや手術用の感染防護眼鏡等の医療現場で使用される医療用眼鏡のフレームへ器材を装着する際に用いられるユニバーサルアタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、医療現場での手術においては、施術者は必要に応じて、頭部に執刀箇所を照明するためのLED照光装置や記録画像を撮るためのスチルカメラやビデオカメラによる撮像装置、或いは各種のセンサ等の器材を装着して処理を行わなければならないことがある。
【0003】
このような器材を装着するには、例えば、特許文献1で示されているように、ヘッドバンドのような着用部材を介して頭部に装着するのが一般的である。この場合、器材は着用部材に固定されており、器材の種類ごとに着用部材を揃えておく必要がある。
【0004】
また、特許文献2においては、クリップを用いてライト本体を使用者の胸ポケットや帽子の鍔等に装着可能なバッテリー内臓型の携帯用LEDライトが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−293146号公報
【特許文献2】特開2006−185755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2のようにクリップを用いれば手軽に器材を身体に装着できるため汎用性は高いが、クリップは外れやすく身体に保持する面では問題がある。例えば、いったん着用して手術に入れば、器材がクリップごと外れたり或いはクリップが動いて器材の位置が変化しても元の位置に戻すことはできない。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、種々の器材を確実に使用者が着用する眼鏡のフレームに装着可能なユニバーサルアタッチメントを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、眼鏡フレームに着脱自在に取り付け可能なユニバーサルアタッチメントであって、平板形状の基部と、前記基部の両端部に平面から垂直に設けられる一対の直立板と、一方の前記直立板の平面に形成されて内面にネジが形成されているビス孔と螺合する調整ビスと、前記直立板の間に配置されて平面が前記調整ビスの軸の先端と接合されて、前記調整ビスの回転運動により前記直立板の間を往復移動する移動板と、前記基部において一対の前記直立板が設けられている面と反対の面から立ち上げて形成される支持板と、前記支持板に器材を取り付けるための保持部と、を備え、前記調整ビスの締付により前記ビス孔が形成されていない前記直立板と前記移動板との間で前記眼鏡フレームを挟持する。
【0009】
そして、前記基部は平面に前記調整ビスの軸に沿った細長形状の摺動孔を有し、前記移動板は前記摺動孔に嵌合する突起部を有することで、移動板の往復移動がスムーズとなり、眼鏡フレームへの装着が確実となる。このとき、前記ビス孔が形成されていない前記直立板と前記移動板の互いが対向する面にはラバーを備えれば更に確実な挟持が可能となる。
【0010】
ここで、前記保持部は前記支持板の前記基部からの立ち上げ方向に沿って複数設けられて、前記器材は前記基部の平面からの距離に応じた何れかの前記保持部に取り付けられることで、基部の平面からの基材の取り付けの高さ位置を調整することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によるアタッチメントは、基部の平面の一方の面から垂直方向に設けた一対の板で眼鏡フレームを挟持して調整ビスで締め付けるため、眼鏡フレームと強固に接合できる。また、基部の平面から他方の面から立ち上げて形成した支持板で器材を保持するために、器材をバランスよく眼鏡フレームに装着することができる。そして、器材を取り付ける支持板を備えることで、種々の器材に対応できる汎用性を確保している。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係るアタッチメントの外観斜視図を示す。
図2図1のアタッチメントの側面図を示す。
図3図1のアタッチメントの上からの平面図を示す。
図4図1のアタッチメントの調整ビス側からの正面図を示す。
図5】本発明に係るアタッチメントを用いて眼鏡フレームに照明装置を装着した状態の説明図を示す。
図6】使用者が双眼ルーペを着用して作業体勢を執るときの状態を模式的に示す説明図を示す。
図7】使用者が双眼ルーペを着用した状態を側面図で示す。
図8】双眼ルーペにおけるルーペの内側装着角度の説明図を示す。
図9】本発明に係るアタッチメントを用いて、手術時における使用者の頭の前傾角度を測定するためマーカーを眼鏡フレームに取り付けた状態の説明図を示す。
図10】本発明に係るアタッチメントを用いて、使用者の左右の瞳孔位置を測定するためのマーカーを眼鏡フレームの中心にマーカー取り付けたときの使用者の画像の模式図を示す。
図11】本発明に係るアタッチメントを用いて眼鏡フレームに器材を取り付ける変形例の説明図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る眼鏡用ユニバーサルアタッチメントの最適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1乃至図4に示すように、眼鏡用ユニバーサルアタッチメント1(以下、アタッチメントと称す)は、平板形状の基部2を備えて、基部2はその両端部には平面から垂直に設けられる四角形の一対の直立板3a,3bを備えて、直立板3bと同じ端部には直立板3bとは逆方向に基部2の面から立ち上がる支持板4を備えている。基部2と直立板3a,3bと支持板4とは一体に樹脂成型により形成されており、よって直立板3bと支持板4とは連通して1枚の平板となっている。
【0015】
そして、アタッチメント1は、直立板3bの平面中央に穿設されて内面にメネジが形成されているビス孔5と螺合する調整ビス6を備える。ビス孔5を貫通する調整ビス6の軸6aの先端には、移動板7がその平面で結合されている。移動板7は、平面が直立板3a,3bの平面と相対するよう配置されて、調整ビス6がビス孔5との螺合で回転して行う直線運動により直立板3a,3bの間を往復移動する。
【0016】
基部2には、調整ビス6の軸方向に沿って細長形状の一対の摺動孔8が形成されており、移動板7は、摺動孔8とそれぞれ嵌合して摺動する一対の突起部9を有している。よって、移動板7は、調整ビス6を回転させたとき、突起部9で摺動孔8にガイドされながら移動する。
【0017】
移動板7は、調整ビス6の回転により直立板3bに向けて移動したとき、直立板3bとで医療用眼鏡のフレームを挟持することができる。したがって、移動板7の直立板3aと相対する面の形状は同一形状で構成するのが好ましい。そして、移動板7と直立板3bとの互いの対向する面には、それぞれラバー10が貼り付けられている。
【0018】
支持板4は、基部2の平面から立ち上がる距離に応じて複数の保持部11を備えている。保持部11は、図示の例では一対の丸孔で構成されて、この丸孔に器材を支持板4に取り付けるためのビスをそれぞれ差し込みナットで閉め付けて、器材を固定する。
【0019】
上記アタッチメント1を使用して医療用眼鏡のフレームに各種の器材の装着する例を説明する。図5は、手術時に患部を照射する照明装置12を装着する場合を示している。医療用眼鏡は、視力矯正のためのレンズ14が眼鏡フレーム15に嵌め込まれたものであるが、照明装置12を身体に装着する目的のために使用する素通しの医療用眼鏡の場合もある。そして、この医療用眼鏡には、フレーム15の両眼フレーム部を差し渡すブリッジにアタッチメント1を装着しており、直立板3aと移動板7とでブリッジを挟み込み調整ビス6を締付方向に回転させて、ブリッジを挟持することでアタッチメント1が眼鏡フレーム15に取り付けられる。
【0020】
そして、この場合、アタッチメント1の支持板4には、基部2の選択された平面からの高さ位置にある保持部11に照明装置12を装着するための固定具16が取り付けられる。図示の例では、固定具16は保持部11の一対の丸孔に挿し込まれるビス17を有してナット(図示せず)で締め付けることで固定具16に固定されている。
【0021】
照明装置12は、光源部20と、照光部21と、一対の把持片を有する把持部22と、複数のリンクをから成るリンク機構23とで構成されている。光源部20には、LEDを搭載してフレキシブルコード13によって外部のバッテリーや制御信号線と接続されるLED基板と、ヒートシンクと、冷却用のマイクロファンモータとが内蔵されている。そして、照光部21は、鏡筒内にLED基板のLEDが発光する光を集めて外部に向けて照射するレンズユニットを配置して構成されている。
【0022】
このような照明装置12は、把持部22で固定具16の上下端を挟持して、ビス22aを締め付けることでアタッチメント1を介して眼鏡フレーム15に取り付けることができる。そして、リンク機構部23の各リンクを自由に動かすことで、照明装置12は、眼鏡フレーム15からの離反又は接近する前後方向や、上下方向に動かすことができる。手術時に用いられる光学的な器材としては、照明装置12の他にもスチルカメラやビデオカメラがある。
【0023】
また、アタッチメント1は、医療用眼鏡である双眼ルーペの作製において、眼鏡フレーム15にルーペを取り付けるとき、使用者の瞳孔位置や作業時の姿勢を測定する際に用いられるマーカーの装着にも利用される。
【0024】
施術者が双眼ルーペを着用して手術を行うときの体勢は、図6で示すように、前傾姿勢を執りながら手にしている器具の先端(作業操作箇所P)を凝視し、ルーペ2を通して作業操作箇所Pを拡大して観察している。よって、使用者の瞳孔間の間隔と共に、この姿勢に基づくルーペ2の取り付け角度を測定する必要がある。この取り付け角度は、眼鏡フレーム15のレンズ14(双眼ルーペはキャリアレンズと呼ばれる)の平面に対し、上下方向では、図7で示すように下方(フレームの下縁側)への傾斜角度(下方装着角度r)であり、水平方向では、図8で示すように内側(ノーズパッド側)への中心線Lに対する傾斜角度(左右両眼の各内側装着角度p及びq)である。
【0025】
したがって、ルーペ2の取り付け角度を測定するには使用者の作業姿勢での前傾角度を測定する必要があり、図9に示すように、双眼ルーペを作製しようとする眼鏡フレーム15の耳に掛ける直線の部分であるテンプル15aにアタッチメント1を介してマーカー19を取り付けて、使用者に眼鏡フレーム15を掛けて手術体勢を再現してもらったときのマーカー19の傾きで前傾角度を測定する。このとき、マーカー19は、図5に示す固定具16と同様に、アタッチメント1の基部2の選択された平面からの高さ位置にある保持部11の一対の丸孔に、ビス17を挿し込みナット(図示せず)で締め付けて固定する。マーカー19の傾き角度は、分度器により測定してもよいが、このときの撮影した画像を処理して前傾角度を検出することができる。
【0026】
そして、この前傾角度に基づき下方装着角度rや内側装着角度p,qは他の測定値との演算で求めることができるが、詳細な説明は特開2016―99375公報を援用するためここでは省略する。
【0027】
一方、使用者の瞳孔位置を測定するには、マーカー19をその中心がブリッジの中心と一致するようアタッチメント1で取り付ける。この取り付けは、上述した照明装置12を取り付ける際に用いた固定具16に代えてマーカー19を取り付ける。
【0028】
図10は、アタッチメント1によってマーカー19が取り付けられた眼鏡フレーム15を着用した使用者の正面からの画像IMを模式的に示している。この画像IMから周知の画像処理技術を応用して、マーカー19の中心位置Cと左右の瞳孔位置P1,P2とを検出して、瞳孔位置P1,P2の中心位置Cからの座標位置を特定する。そして、レンズ14のこの瞳孔位置P1,P2に対応する部分に挿入孔を刳り抜いて、測定した下方装着角度rや内側装着角度p,qでレンズ14に固定して取り付ける。
【0029】
図11は、器材をアタッチメント1の支持板4に補助部材25を介して装着する例を示している。この例では、器材として超音波による距離センサ30が装着されて、補助部材25には垂直方向に複数の取付部28が設けられている。取付部28は、例えば、支持板4の保持部11と同様に一対の丸孔で構成されており、両方の丸孔にビスを通してナットで締め付けられる。このような補助部材25を用いることで、支持板4の高さ寸法から更に上方の高さ位置に距離センサ30をセットすることができる。
【0030】
補助部材25の上端部には距離センサ30の基端部31を挟み込み支持する一対の保持片29が設けられている。そして、基端部31と保持片29とはビス26により回動自在に締付されて、距離センサ30は、超音波を送信して反射波を受信する検出部を目標に対して自由に動かせるようになっている。
【0031】
支持板4の基部2の平面からの距離を長くすれば器材をより高い位置にセットすることができるが、その場合、支持板4の強度が不安定となる。しかし、このような補助部材25を用いることで、支持板4と補助部材25とは平面が重なる部分が生じるため強度が確保される。
【0032】
以上のごとく、本発明に係る眼鏡用ユニバーサルアタッチメント1は、基部1の下側の平面から垂直に配置されている直立板3aと移動板7とで眼鏡フレーム15を調整ビス6の締付で挟持して、基部1の上側の平面から立ち上げた支持板4の保持部11に器材を取り付けるため、器材がバランスよく眼鏡フレームに装着される。
【符号の説明】
【0033】
1 眼鏡用ユニバーサルアタッチメント
2 基部
3a,3b 直立板
4 支持板
5 ビス孔
6 調整ビス
7 移動板
8 摺動孔
10 ラバー
11 保持部
12 照明装置
【要約】
【課題】種々の器材を確実に使用者の頭部に装着可能なユニバーサルアタッチメントを提供する。
【解決手段】ユニバーサルアタッチメント1は、平板形状の基部2の両端部に平面から垂直に設けられる一対の直立板3a,3bの間に移動板7を設けて構成される。直立板3bの平面に形成されて内面にネジが形成されているビス孔5と螺合する調整ビス6の軸の先端と接合されている移動板7は、調整ビス6の回転運動により往復移動して直立板3aとで眼鏡フレーム15を挟持する。そして、基部2の直立板3a,3bが設けられている面と反対の面から立ち上げて形成される支持板4は、器材を取り付けるための保持部11を有する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11