(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6335343
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】食品成形器及び食品成形キット
(51)【国際特許分類】
A23P 10/00 20160101AFI20180521BHJP
A23G 1/21 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
A23P10/00
A23G1/21
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-7142(P2017-7142)
(22)【出願日】2017年1月19日
【審査請求日】2018年1月29日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(72)【発明者】
【氏名】草薙 綾
(72)【発明者】
【氏名】白▲浜▼ 奏祐
(72)【発明者】
【氏名】可児 琢巳
【審査官】
川合 理恵
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−070420(JP,A)
【文献】
特開昭53−023779(JP,A)
【文献】
特開平07−289167(JP,A)
【文献】
特開昭63−301752(JP,A)
【文献】
特開2016−052273(JP,A)
【文献】
特開平11−348025(JP,A)
【文献】
特開2001−299318(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23G 1/00−9/52
A23P 10/00−30/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動状態の食材を成形空間内で成形固化させる食品成形器であって、
凹状成形面を有する第1部材と、
凹状成形面に対面して前記成形空間を形成する凸状成形面を有する第2部材と、
を備え、
前記第2部材の前記凸状成形面の一部には前記第1部材の凹状成形面と対面している状態において前記凹状成形面から離れる方向に窪む空気溜突起が形成され、前記空気溜突起は、前記成形空間内で食材が成形固化されたとき、前記空気溜突起内の空気が前記空気溜突起の周辺に押し出されるように当該食材側に向かって変形可能である食品成形器。
【請求項2】
請求項1記載の食品成形器であって、
前記第2部材は、可撓性材料にて形成されている食品成形器。
【請求項3】
請求項1又は2記載の食品成形器であって、
前記凸状成形面は、前記凹状成形面のオフセット形状に形成されている食品成形器。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の食品成形器であって、
前記第2部材の前記凸状成形面は、半球形状に構成されている食品成形器。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の食品成形器であって、
前記空気溜突起は、前記凸状成形面の中央部に設けられている食品成形器。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載の食品成形器であって、
前記空気溜突起は、その頂部が平坦状に形成されている食品成形器。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項に記載の食品成形器であって、
前記第2部材の前記凸状成形面の縁部には、前記成形空間の最深且つ中央へ向かう方向に傾斜するテーパ面が設けられている食品成形器。
【請求項8】
請求項7記載の食品成形器であって、
前記テーパ面の勾配は0度から45度の範囲内である食品成形器。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか一項に記載の食品成形器と、
前記食品成形器によって形成された第1成形体が二つ組み合わされて構成される中空体の内部空間に収容可能な第2成形体を成形する第2食品成形器と、
を有する食品成形キット。
【請求項10】
請求項9に記載の食品成形キットであって、
前記食品成形器と前記第2食品成形器とが一体化されている食品成形キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品成形器及び食品成形キットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された食品成形器は、溶融したチョコレートを成形するものであり、成形用凹部を有する下型と、下型の成形用凹部と緩く嵌合する成形用凸部を有する上型とを備える。この食品成形器によって成形されたチョコレートの成形体は、例えば玉子の殻の半部のようなシェル状を呈し、シェル状の二つの成形体が結合されることにより、内部に空洞を有するカプセル体が構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−70420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
チョコレートは固化する際に収縮を生じるが、特許文献1に記載された食品成形器では、シェル状の成形体が、シェルの内側に配置される上型の成形用凸部に張りついて上型から離型し難くなり、離型の際に無理な力が加わると成形体が壊れてしまうといった不具合があった。
【0005】
上型が例えばシリコーン等の柔軟性に富む樹脂材料で形成されることにより、離型の際に成形体に加わる力は軽減されるが、この場合に金型代や材料費のような製造コストが増大する虞があった。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みなされたものであり、成形体の分離が容易であり且つ安価な食品成形器及び食品形成キットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る食品成形器は、流動状態の食材を成形空間内で成形固化させる食品成形器であって、凹状成形面を有する第1部材と、凹状成形面に対面して前記成形空間を形成する凸状成形面を有する第2部材と、を備え、前記第2部材の前記凸状成形面の一部には前記第1部材の凹状成形面と対面している状態において前記凹状成形面から離れる方向に窪む空気溜突起が形成され、前記空気溜突起は、前記成形空間内で食材が成形固化されたとき当該食材側に向かって変形可能である。
また、本発明に係る食品成形器は、流動状態の食材を成形空間内で成形固化させる食品成形器であって、凹状成形面を有する第1部材と、凹状成形面に対面して前記成形空間を形成する凸状成形面を有する第2部材と、を備え、前記第2部材の前記凸状成形面の一部には前記第1部材の凹状成形面と対面している状態において前記凹状成形面から離れる方向に窪む空気溜突起が形成され、前記空気溜突起は、前記成形空間内で食材が成形固化されたとき、前記空気溜突起内の空気が前記空気溜突起の周辺に押し出されるように当該食材側に向かって変形可能である。
【0008】
また、本発明に係る食品成形器においては、前記第2部材は、可撓性材料にて形成されている食品成形器でもよい。
【0009】
また、本発明に係る食品成形器においては、前記凸状成形面は、前記凹状成形面のオフセット形状に形成されている食品成形器でもよい。
【0010】
また、本発明に係る食品成形器においては、前記第2部材の前記凸状成形面は、半球形状に構成されている食品成形器でもよい。
【0011】
また、本発明に係る食品成形器においては、前記空気溜突起は、前記凸状成形面の中央部に設けられている食品成形器でもよい。
【0012】
また、本発明に係る食品成形器においては、前記空気溜突起は、その頂部が平坦状に形成されている食品成形器でもよい。
【0013】
また、本発明に係る食品成形器においては、前記第2部材の前記凸状成形面の縁部には、前記成形空間の最深且つ中央へ向かう方向に傾斜するテーパ面が設けられている食品成形器でもよい。
【0014】
また、本発明に係る食品成形器においては、前記テーパ面の勾配は0度から45度の範囲内である食品成形器でもよい。
【0015】
また、本発明に係る食品成形キットは、前記何れかの食品成形器と、前記食品成形器によって形成された第1成形体が二つ組み合わされて構成される中空体の内部空間に収容可能な第2成形体を成形する第2食品成形器と、を有する食品成形キットである。
【0016】
また、本発明に係る食品成形キットにおいては、前記食品成形器と前記第2食品成形器とが一体化されている食品成形キットでもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、成形体の分離が容易であり且つ安価な食品成形器及び食品形成キットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施形態を説明するための食品成形器の斜視図である。
【
図2】
図1の食品成形器の使用状態における断面図である。
【
図3】
図2の食品成形器の使用状態における要部拡大断面図である。
【
図4】本発明の第2実施形態を説明するための食品成形器の断面図である。
【
図5】本発明の第3実施形態を説明するための食品成形器の断面図である。
【
図6】
図5に示す食品成形器にて成形された食品の一例を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について、
図1〜
図3を参照して説明する。なお、
図1は、食品成形器の斜視図、
図2及び
図3は、
図1の食品成形器の使用状態における断面図である。
【0020】
図1に示すように、食品成形器1は、大別すると、第1部材11と第2部材12とから構成されている。第1部材11は、半球形状の凹状成形面11wを有する凹部11aを備える。第2部材12は、凹状成形面11wに対面することで所定の成形空間CA(
図3参照)を形成する、例えば半球形状の凸状成形面12wを有する凸部12aを備える。ここで、
図1に示した凹状成形面11wと凸状成形面12wとは、互いにオフセット形状となるよう形成されている。ここでいうオフセット形状とは、基準となる形状から一定の距離を均一にずらして形成された形状のことである。したがって、半球形状の凹状成形面11wのオフセット形状である凸状成形面12wは、凹状成形面11wから一定の距離を均一に小さくなる方向へずらして形成した、半球形状となる。成形空間CA内に閉じ込められた流動状態の食材(
図3参照)が固化したのちに、食材が固化してなる成形体Eは、シェル状に成形され、第1部材11及び第2部材12から離型される。この成形体Eを2つ組み合わせることで、カプセル体E0を構成する。カプセル体とは、中空体のことである。なお、食材としては、加熱されて溶けた状態のチョコレートを固化し成形体Eを成形することが例示されるが、チョコレートに限定されるものではない。また、凹状成形面11wと凸状成形面12wとはオフセット形状に限定されるものではなく、カプセル体E0が中空となればそれぞれ任意の形状であってもよい。
【0021】
第1部材11は、平面視で略矩形状の枠台部11bの内側に凹状成形面11wが設けられている。そして、枠台部11bの上部外周縁11buと半球形状の凹状成形面11wとは、適宜段差を有する段差部11e及びパーティング面11pを介して連続した壁面構造となっている。
【0022】
第2部材12は、第1部材11の段差部11eに対応して内側に嵌まり込む略矩形状の縁部12e及びパーティング面12pを有し、この縁部12eの内側に、凸部12aが設けられている。
【0023】
ここで、第2部材12には、空気溜突起10が設けられている。この空気溜突起10は、
図2に示すように、凸状成形面12wの略中央に設けられて、凸状成形面12wが第1部材11の凹状成形面11wと対面している状態において、凹状成形面11wから離れる方向に窪んでいる。このことにより、成形体Eと凸状成形面12wの間には空気溜まりが形成される。また、第2部材12の空気溜突起10は、成形空間CA内で食材が成形されたとき、成形体E側に変形可能な肉厚に構成されている。換言すれば、第2部材12の空気溜突起10は、凸状成形面12wの背面側に変形可能な肉厚に構成されている。
【0024】
また、空気溜突起10は、
図3に示すように、その頂部10uが略平坦状に形成されている。ここでいう、略平坦状とは、頂部10uとして図示したように、完全に平らな形状でなくてもよい。すなわち、頂部10uが上方(
図3において上側)に向かって適宜膨らむような形状、或いは、逆に、下方(
図3において下側)に向かって適宜膨らむような形状等を含むものであって、後述するように、指先を当てた時に該指先に尖った感覚を与えないような形状であれば良い。
【0025】
なお、第2部材12の凸状成形面12wの周縁部(凸状の縁部)にはテーパ面12tが設けられている。このテーパ面12tは、抜き勾配であって、成形空間CAを形成する際には、成形空間CAの最深且つ中央へ向かう方向に傾斜する。カプセル体E0の内部空間を確保するため、テーパ面12tの勾配は、0度から45度の範囲内である。また、テーパ面12tと凹状成形面11wとの間隔dは、テーパ面12tを除く凸状成形面12Wと凹状成形面11wとの間隔d1よりも大きく形成される(
図2参照)。
【0026】
食品成形器1の材料、特に第2部材12の材料は、空気溜突起10が変形可能となれば特に制限されず、ポリプロピレン樹脂等の可撓性材料が例示される。なお、第1部材11も第2部材12と同じ材料にて形成されてもよいが、別の材料で形成されてもよい。また、比較的安価なブロー成形を用いて製造することができる。
【0027】
上述のように構成された食品成形器1の使用方法の一例について、以下説明する。
先ず、流動状態となった食材(食材がチョコレートであれば、加熱したことにより流動状態となったチョコレート)を、第1部材11内に所定量入れる。その後、第2部材12を、第1部材11に被せ、パーティング面11pとパーティング面12pとを密着させる。この際、第2部材12の凸状部分を食材の略真上から被せるようにする(
図2参照)。この結果、成形空間CAが形成され、成形空間CA内に食材が満遍なく満たされていると共に、空気溜突起10の内側には、空気が入った状態となっている。
【0028】
所定時間経過後、食材が固化する。食材がチョコレートであれば、冷やすことで固化する。固化した成形体Eは、体積が小さくなる。それに伴い、表面積が小さくなる。そのため、第2部材の凸状成形面12wには成形体Eが密着して張りつき状態となり、第1部材の凹状成形面11wからは成形体Eが離れる状態となる。その後、食材が固化してなる成形体Eが第1部材11及び第2部材12から離型されるが、この離型操作について説明する。
【0029】
離型操作において、先ず、第2部材12からの離型を行う。例えば、片方の手の指先F1にて第2部材12の縁部12eを摘まむようにする。一方、他方の手の指先F2の腹で空気溜突起10の略平坦状の頂部10uを押圧する。
【0030】
この指先F2の押圧によって、空気溜突起10は成形体E側に向かって凹むように変形する(
図3において下方に変形する)。この変形によって、空気溜突起10内の空気は、空気溜突起10の周辺に押し出される。空気溜突起10から押し出された空気Afは、成形体Eの表面Esと空気溜突起10の周縁の凸状成形面12wとの間に流入する。この結果、成形体Eの表面Esと凸状成形面12wとの張りつき状態が、空気溜突起10から押し出された空気Afによって解消される。
【0031】
そして、指先F2で空気溜突起10の略平坦状の頂部10uを押圧した状態で、指先F1にて第2部材12の縁部12eを摘み上げると、頂部10uを支点として凸状成形面12wの一部がめくられ、凸状成形面12wが成形体Eから剥離される。さらに凸状成形面12wの周縁に沿って縁部12eを摘み上げていき、第2部材12を成形体Eから剥離する。成形体Eと凹状成形面11wとは前述のように既に離れる状態となっているため、第2部材から成形体Eを剥離した後、成形体Eを第1部材11から離型する。これにより、食材が固化してなる半球形状の成形体Eを取り出すことができる。
【0032】
このように、本実施形態によれば、第2部材12の凸状成形面12wに設けられている空気溜突起10を押し込み、この空気溜突起10内の空気を、成形体Eの表面Esと凸状成形面12wとの間に流入させることにより、成形体Eの表面Esと凸状成形面12wとの張りつき状態を解消でき、シェル状の成形体Eを食品成形器1から容易に離型することができる。また、本実施形態においては、成形体Eを離型後、空気溜突起10を元の形状に戻すことができるようになっている(換言すれば、空気溜突起10は可逆的に変形可能である)。このことにより、空気溜突起10を元の形状に戻せば(例えば、指や棒で押し戻せば)、再度、食品成形器1をシェル状の成形体Eの成形に使用する際にも、成形体Eの離型を容易にするための空気溜まりを空気溜突起10により再び形成することができるようになっている。
【0033】
また、本実施形態においては、第2部材12の材料は、空気溜突起10が変形可能となる限りにおいて特に制限されず、ポリプロピレン樹脂等の比較的安価な可撓性材料を用いることができる。また、比較的安価なブロー成形を用いて製造することができる。
【0034】
また、本実施形態においては、凸状成形面12wが半球形状に構成されているので、成形体Eの内面強度を強くでき、第2部材12からの離型操作をし易くできる。
【0035】
また、本実施形態においては、空気溜突起10は、凸状成形面12wの略中央に設けられていることで、第2部材12を流動状態の食材に被せるときに、空気を溜めやすくできる(空気溜突起10内に食材が入らない)。また、第2部材12からの離型操作に際して、最も外力を加え難い位置(中央部分)に空気を押し出すことができ、このことによっても第2部材12からの離型をよりし易くできる。
【0036】
また、本実施形態においては、空気溜突起10は、その頂部10uが略平坦状に形成されているので、頂部10uの荷重を分散し、押し込み時の操作性を良くすることができる。
【0037】
また、半球形状の凸状成形面12wにテーパ面12tが形成されていない場合、該成形空間CAの縁部の抜き勾配は0度であるが、本実施形態においては、凸状成形面12wには、成形空間CAの最深且つ中央へ向かう方向に傾斜するテーパ面12tが該成形空間CAの縁部に設けられているので、第2部材12から離型するときの抜き勾配となり、離型し易い。また、テーパ面12tが設けられたことで、凹状成形面11wとの間隔dが他の部分の間隔d1よりも大きくなる分、成形体Eの厚みを大きくでき成形体Eの強度を向上させることができる。
【0038】
前述のように、本発明の食品成形器1によって成形される半球形状の成形体Eを二つ組み合わせることで、カプセル体E0が構成される。なお、カプセル体E0は、例えば、二つの成形体Eの開口側の端部に流動状態の食材を塗布して合わせ、冷やし固めることで形成される。また、例えば、カプセル体E0の中に、菓子、マスコット、くじなど、任意のものを入れ、カプセル体E0とすることもできる。このことによって、趣向性の高い食品を作成することができる。
【0039】
(第2実施形態)
図4は、第2実施形態の食品成形器1の一例の断面図である。第2実施形態の食品成形器1が第1実施形態の食品成形器1と異なる点は、第1部材11と第2部材12とがヒンジ部15を介して連結されている構造が相違する。この点以外は第1実施形態と同様であり、
図4において、
図2と共通する構成要素には同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0040】
本実施形態の食品成形器1は、
図4に示すように、第1部材11と第2部材12とが開閉可能にヒンジ部15を介して連結されている。したがって、食材を第1部材11の凹部11aに入れた後に、第2部材12を、ヒンジ部15を介して回転するだけで、第1部材11に被せることができる。また、第2部材12を剥すときは、第2部材12の凸状成形面12wに設けられている空気溜突起10を押し込み、この空気溜突起10内の空気を、成形体Eの表面Esと凸状成形面12wとの間に流入させ、ヒンジ部15とは反対側を開くように操作して、成形体Eを取り出す。
【0041】
このように、本実施形態においては、第1部材11と第2部材12とが開閉可能にヒンジ部15を介して連結されていることで、使い勝手の良い食品成形器1を提供できる。
【0042】
(第3実施形態)
第3実施形態は、食品成形器1を用いた食品成形キット20について説明する。なお、
図5は、第3実施形態の食品成形キット20の一例の断面図であり、
図6は、食品成形キット20によって成形された成形体の一例を示す斜視図である。第3実施形態の食品成形キット20が第1及び第2実施形態の食品成形器1と異なる点は、食品成形器1に加えて第2食品成形器2を有して構成されている点が相違する。この点以外は第1実施形態と同様であり、
図5において、
図2及び
図4と共通する構成要素には同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0043】
本実施形態の食品成形キット20は、
図5に示すように、第1部材11及び第2部材12を備える食品成形器1であって、第1部材11には、第2食品成形器2の第3部材21が連結され、第2部材12には、第2食品成形器2の第4部材22が連結されることによって構成されている。食品成形器1を閉じるようにする(矢印方向に閉じる)ことにより、第1部材11と第2部材12とが重ね合せられて第1成形空間CAを形成するとともに、第3部材21と第4部材22とが重ね合せられて、第2成形空間を形成することができる。この第2成形空間によって、特定のキャラクター等を模した形象物である第2成形体E2(
図6参照)を成形することができる。第2成形体E2は、食品成形器1によって成形される半球形状の第1成形体E1が二つ組み合わされて構成される球形状のカプセル体E0の内部空間に収容される。第2成形体E2は、カプセル体E0の内部空間に入る大きさであればどのような形状のものでも良い。なお、カプセル体E0は、例えば、二つの第1成形体E1の開口側の端部に流動状態の食材を塗布して合わせ、冷やし固めることで形成される。このことによって、食材からなるカプセル体に形象物を入れた、趣向性の高い食品を作成することができる。
【0044】
なお、
図5においては、食品成形器1は、第1部材11及び第2部材12が一組の構造を図示しているが、例えば、この第1部材11及び第2部材12が横に並んだ構造(
図5において紙面に垂直方向に並んだ構造)を備える食品成形器1であれば、2つの第1成形体E1を同時に成形することができる。
【0045】
以上述べたように、本発明の第1〜第2実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に何ら制限されるものではなく、種々変更することができる。上記実施形態においては、流動状態の食材としてチョコレートについて説明したが、本発明における流動状態の食材はこれに限るものではない。また、上記実施形態においては、加熱によって流動性を現す食材について説明したが、例えば、常温で流動性を現すと共に冷凍によって固化する食材であってもよい。例えば、水やジュースを冷やし固め、氷やアイスキャンディーを形成してもよい。
【0046】
また、上記実施形態においては、空気溜突起10を成形空間CAの中央に近い位置に設けた構造としたが、この空気溜突起10を設ける位置は、中央付近でなく成形空間CAの形状等によって適宜位置に設けることができる。また、空気溜突起10の形成数についても1つでなく複数設けるようにしてもよい。
【0047】
また、上記実施形態においては、半球形状の成形体について説明をしてきたが、本発明はこの実施形態に何ら制限されるものではなく、第1部材11の凹状成形面11wの形状は種々変更することができる。また、任意の凹状成形面11wの形状に応じ第2部材12の凸状成形面12wの形状も変更することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 食品成形器
2 第2食品成形器
10 空気溜突起
10u 頂部
11 第1部材
11p パーティング面
11w 凹状成形面
12 第2部材
12p パーティング面
12t テーパ面
12w 凸状成形面
20 食品成形キット
CA 成形空間
E 成形体
E1 第1成形体
E2 第2成形体
【要約】
【課題】成形体の分離が容易であり且つ安価な食品成形器及び食品形成キットを提供する。
【解決手段】流動状態の食材を成形空間CA内で成形固化させる食品成形器1であって、凹状成形面11wを有する第1部材11と、凹状成形面11wに対面して成形空間CAを形成する凸状成形面12wを有する第2部材12と、を備え、第2部材12の凸状成形面12wの一部には前記第1部材11の凹状成形面11wと対面している状態において凹状成形面11wから離れる方向に窪む空気溜突起10が形成され、空気溜突起10は、成形空間CA内で食材が成形固化されたとき当該食材側に向かって変形可能である。
【選択図】
図1