(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
第一実施形態のガス回収容器から回収ガスを排気処理するガス処理装置と、ガス処理システム及びガス処理方法について、図面を参照して説明する。
【0019】
図1に示すように、第一実施形態のガス処理システム22は、ガス回収先24からガス(回収ガス)をガス回収容器102に収容して回収し、ガス処理先26でガス回収容器102から排気する処理を行うシステムである。
【0020】
回収ガスのガス処理先26には、ガス処理装置52が設置されている。ガス回収容器102は、回収ガスのガス回収先24と、ガス処理先26との間で移動する。
【0021】
ガス回収先24は、たとえば一般家庭や商業ビル、工場等である。このガス回収先24にはガスメータ28が設置されている。1箇所又は複数個所のガス回収先24において、たとえば、ガスメータ28の交換時に一時的にガス配管30から排出されるガスが空気と混合し、回収ガスとしてガス回収容器102に収容される。
【0022】
ガス処理先26では、ガス処理装置52によって、ガス回収容器102から回収ガスが排気されて処理される。これにより、ガス回収容器102は、再利用、すなわちガス回収容器102内に回収ガスを収容できる状態となる。
【0023】
図2に示すように、ガス回収容器102は、内部に回収ガスが収容される容器本体104を有している。容器本体104は、内部が負圧(大気圧よりも低圧)の状態でも一定の形状を維持する程度の剛性を有していてもよいし、内部の圧力が低下すると収縮する構成であってもよい。
【0024】
容器本体104の内部には、活性炭等の吸着剤が収容されており、ガス回収容器102では、回収ガスが吸着剤に吸着される。
【0025】
本実施形態の容器本体104は円筒状であり、
図2における上方に向かって徐々に縮径された肩部104Sを有する。ガス回収容器102は、容器本体104の内部と外部とを連通する第一接続管106を有している。本実施形態では、第一接続管106は、容器本体104の肩部104Sから2本延出されている。
【0026】
これらの第一接続管106の先端には、第一接続口108が設けられている。
図1に示すように、第一接続口108の一方には、ガスメータ28を交換するときにガス配管30が接続される。第一接続口108の他方には、ガスメータ28を交換するときのガス圧を検出するガス圧計36が接続される。
【0027】
図2に示すように、ガス回収容器102は、さらに、容器本体104の内部と外部とを連通する第二接続管110を有している。第二接続管110は、容器本体104の肩部104Sから、容器本体104の径方向外側且つ上方へ延出されている。
【0028】
第一接続管106及び第二接続管110は、いずれも肩部104Sから延出されており、容器本体104の側面には位置しない構造である。
【0029】
特に、第二接続管110は、容器本体104を上方から見て、容器本体104の外形の内側に位置しており、容器本体104から出っ張らない構造である。
【0030】
第二接続管110の先端には、第二接続口112が設けられている。
図3に示すように、第二接続口112には、ガス処理装置52の排気用ホース62が接続される。第二接続口112は排気口の一例である。
【0031】
第二接続口112には、弁部材114が設けられている。弁部材114は、排気用ホース62が接続されていない状態(通常状態)では、第二接続口112を閉塞している。そして、第二接続口112に排気用ホース62が接続されると、排気用ホース62の開弁部材62P(
図2参照)に押されて、弁部材114は第二接続口112を開放する。
【0032】
弁部材114は、このように、ガス処理装置52の接続状態に応じて、第二接続口112の開閉を切り替えできれば、具体的構造は特に限定されない。たとえば、通常状態では第二接続口112の弁座に弁本体をバネ等で押しつけてロック部材でロックしておき、排気用ホース62の接続時には、開弁部材62Pに押されてロック解除すると共に弁座から離間する構造を採ることができる。
【0033】
本実施形態では、第二接続口112の口径は、第一接続口108の口径よりも大きい。したがって、第二接続口112の開口断面積も、第一接続口108の開口断面積よりも大きい。
【0034】
図1に示すように、ガス回収先24において回収ガスが収容されたガス回収容器102は、トラック38等によりガス処理先26まで運搬される。このトラック38は、第一運搬手段の一例であるが、第一運搬手段は、たとえば、人力で移動される台車や、鉄道車両、船舶等を含んでいてもよい。
【0035】
本実施形態では、ガス回収容器102の運搬には、複数のガス回収容器102が搭載されるラック32を用いる。
図4にも示すように、ラック32は、たとえば、上下2枚の搭載棚34を有しており、ガス回収容器102を上下2段に搭載できる。それぞれの搭載棚34では、複数のガス回収容器102を2列に並べて搭載できる。
図1及び
図4に示す例では、1枚の搭載棚34で2列×4個のガス回収容器102を搭載でき、1台のラック32では搭載棚34は2段なので、合計で16個のガス回収容器102を1台のラック32に搭載できる。
【0036】
図1に示すように、ガス処理先26において回収ガスが排気されたガス回収容器102は、トラック40により、ガス回収先24まで運搬される。このトラック40は、第二運搬手段の一例であり、第二運搬手段としては、第一運搬手段と同様に、たとえば、人力で移動される台車や、鉄道車両、船舶等を含んでいてもよい。
【0037】
図5に示すように、本実施形態のガス処理装置52は、吸引装置53を有している。吸引装置53は、ポンプ54、排気ダクト56、ブロワ58及び制御装置60を有している。ポンプ54は、ポンプ本体54Bと、このポンプ本体54Bを冷却するためのチラー54Cとを含む。
【0038】
さらに、ガス処理装置52は、複数のポンプ本体54Bと一対一で対応する複数の排気用ホース62を有している。複数の排気用ホース62は、共通の分岐ヘッダ64Hから第一排気管64に接続され、さらに排気ダクト56と第二排気管65によって接続されている。
【0039】
本実施形態では、複数の排気用ホース62に対し、吸引装置53が共通化されて1台備えられる構造である。排気用ホース62にガス回収容器102が接続された状態で、ポンプ本体54Bが駆動されると、複数のガス回収容器102から回収ガスが吸引され、排気ダクト56へ送られる。
【0040】
チラー54Cは、ポンプ本体54Bとの間で冷媒を循環させることで、ポンプ本体54Bの熱を吸収してポンプ本体54Bを冷却する。ポンプ本体54B及びチラー54Cは制御装置60によって制御される。チラー54Cには冷媒の温度センサ及び流量センサが設けられおり、冷媒の温度データ及び流量データが制御装置60に送られる。制御装置60では、冷媒の温度及び流量が適正範囲となるようにチラー54Cを制御する。
【0041】
ポンプ54と排気用ホース62とを接続する第一排気管64には、ポンプ54側から順に、制御弁66、手動弁68及び第一圧力計70が設けられている。手動弁68は、作業者の手動操作により開閉される弁である。
【0042】
制御弁66は、制御装置60によって開閉される弁である。本実施形態の制御弁66は、主弁66Aと副弁66Bを有する構造である。第一排気管64は、制御弁66の位置で、主弁66Aをバイパスするバイパス管64Bを有しており、副弁66Bはバイパス管64Bに設けられている。たとえば、主弁66Aと副弁66Bの両方を開弁状態とすることで、第一排気管64の実質的な流路断面積を大きく確保したり、主弁66Aは開弁状態とし副弁66Bを閉弁状態とすることで、第一排気管64において回収ガスが流れる実質的な流路断面積を小さくしたりすることが可能である。なお、主弁66Aは制御装置60によって開閉される弁(自動弁)とし、副弁66Bは手動操作で開閉される弁(手動弁)としてもよい。
【0043】
第一圧力計70は、第一排気管64を流れるガスの圧力を検出する。第一圧力計70の検出結果は制御装置60に送られる。
【0044】
複数の排気用ホース62のそれぞれには、第一排気管64の分岐ヘッダ64Hとの境界部分に自動弁72及び第二圧力計74が設けられている。自動弁72は、制御装置60によって開閉される弁である。第二圧力計74は、それぞれの排気用ホース62ごとにガスの圧力を検出する。第二圧力計74で検出した検出結果は制御装置60に送られる。
【0045】
ブロワ58は、制御装置60によって制御される。ブロワ58の駆動により、排気ダクト56に空気が送られ、排気ダクト56内で回収ガスが希釈されてガス出口56Hから外部に排出される。ブロワ58には、排出する空気の流量を検出する流量センサが設けられており、排出空気の流量データが制御装置60に送られる。制御装置60は、ブロワ58の排出空気の流量が適正範囲となるようにブロワ58を制御する。
【0046】
排気ダクト56には、酸素濃度計76及び差圧計78が設けられている。酸素濃度計76は、排気ダクト56内の酸素濃度を検出し、検出結果を制御装置60に送る。差圧計78は、排気ダクト56の内部と外部の差圧を検出し、検出結果を制御装置60に送る。
【0047】
さらにガス処理装置52は、ガス濃度センサ80及び振動センサ82が設けられている。ガス濃度センサ80は、ガス処理装置52又はその近傍における回収ガスの特定成分(たとえばCH
4)の濃度を検出し、検出結果を制御装置60に送る。振動センサ82は、ガス処理装置52に作用した振動(たとえば地震の振動)の加速度を検出し、検出結果を制御装置60に送る。制御装置60では、ガス濃度センサ80の検出結果(特定成分の濃度)が所定値を超えた場合や、振動センサ82で検出された振動の加速度が所定値を超えた場合は、ガス処理装置52の駆動を停止させる。
【0048】
ガス処理装置52の制御装置60には、操作盤84が設けられている。操作盤84には、ガス回収作業を行う作業者が指示内容を入力するための各種のスイッチ86が設けられている。
【0050】
図1に示すように、本実施形態のガス処理システム22におけるガス処理方法では、ガス回収容器102を用いる。すなわち、ガス回収先24において、たとえばガスメータ28の交換時に生じた排出ガスを、ガス回収容器102に収容し、回収する。ガス回収容器102は、2つの第一接続口108を有しているので、一方の第一接続口108にガス配管30を接続し、他方の第一接続口108にガス圧計36を接続できる。
【0051】
そして、内部に回収ガスが収容された複数のガス回収容器102が、ラック32に搭載された状態で、トラック38等の第一運搬手段により、ガス処理先26まで運搬される(第一運搬工程)。
【0052】
ラック32には、複数のガス回収容器102を搭載できるので、複数のガス回収容器102を一括で取り扱いでき、運搬が容易である。また、本実施形態のラック32では、上下に複数段(
図1及び
図4の例では2段)でガス回収容器102を搭載できるので、1段のみで搭載する例と比較して、より多くのガス回収容器102を搭載できる。
【0053】
ガス処理先26では、ガス処理装置52を用いて、複数のガス回収容器102から並行して、回収ガスを排気する(排気工程)。
【0054】
内部の回収ガスが排気された複数のガス回収容器102が、ラック32に搭載された状態で、トラック40等の第二運搬手段により、ガス回収先24まで運搬される(第二運搬工程)。
【0055】
ガス処理装置52を用いてガス回収容器102から回収ガスを排気する処理は、たとえば、
図6に示すフローにより実行することが可能である。
【0056】
なお、本実施形態のガス処理装置52では、「自動運転」と「手動運転」のいずれかをスイッチ86からの入力により選択可能である。自動運転では、制御装置60によってポンプ54、ブロワ58、制御弁66等の制御を行う。手動運転では、この自動運転を行わず、ポンプ54、ブロワ58、制御弁66等を手動で操作する。
【0057】
さらに、本実施形態のガス処理装置52では、自動運転において回収ガスの排気処理を終了する「終了モード」として、「圧力制御モード」と、「時間制御モード」のいずれかをスイッチ86からの入力により選択可能である。圧力制御モードでは、第一圧力計70及び第二圧力計74(以下、単に圧力センサ88という)で検出される圧力が所定の終了圧力まで低下すると、排気処理を終了する。時間制御モードでは、ガス回収容器102から回収ガスを排気している時間が所定の終了時間に達すると、排気処理を終了する。なお、ガス回収容器102から回収ガスを排気している時間としては、ポンプ54の駆動時間を採用できる。
【0058】
図6に示すフローでは、まず、ステップS102において、制御装置60の電源がオンされる。そして、ガス処理装置52の操作盤84のスイッチ86を作業者が操作することで、制御装置60には、自動運転を行うか否かの情報が入力される。
【0059】
制御装置60は、ステップS104において、自動運転か否かを判断する。ステップS104において自動運転であると判断した場合は、制御装置60は、ステップS106に移行し、終了モードが、圧力制御モードであるか否かを判断する。
【0060】
制御装置60は、ステップS106において終了モードが圧力制御モードであると判断した場合は、ステップS108において、スタートボタンが押されたか否かを判断する。スタートボタンが押されていないと判断した場合は、ステップS108において、スタートボタンが押されたか否かの判断を引き続き行う。
【0061】
制御装置60は、ステップS108において所定のスイッチ86(自動スタートボタン)が押されたと判断した場合は、制御装置60は、ステップS110において、チラー54Cを起動する。チラー54Cの起動により、チラー54Cとポンプ54との間に冷媒が循環される。さらに、制御装置60は、ステップS112において、ブロワ58を起動する。ブロワ58の起動により、排気ダクト56内にブロワ58から空気が送られる。
【0062】
そして、制御装置60は、ステップS114において、主弁66A及び副弁66Bを全開にする。これにより、ポンプ54と、ガス回収容器102のそれぞれとが、第一排気管64及び排気用ホース62を介して連通される。
【0063】
次に、制御装置60は、ステップS116において、ポンプ54を起動する。ポンプ54と、ガス回収容器102のそれぞれとが連通されているので、第一排気管64及び排気用ホース62に気体の漏洩がない場合は、圧力センサ88で検出される圧力が徐々に低下する。これに対し、第一排気管64又は排気用ホース62に気体の漏洩が生じていると、圧力センサ88で検出される圧力が低下しない、もしくは低下の時間変化が緩やかである。制御装置60は、ステップS118において、圧力センサ88の検出結果が、漏洩確認圧力に達したか否かを判断する。換言すれば、ステップS118では、第一排気管64及び排気用ホース62における気体の漏洩の有無を判断している。漏洩確認圧力は、大気圧より低く、終了圧力より高い所定の値である。
【0064】
ステップS118において、所定時間内に漏洩確認圧力に達したと判断した場合、制御装置60は、ステップS120において主弁66A及び副弁66Bを全閉とする。さらに制御装置60は、ステップS122において、圧力センサ88で検出される圧力の変動が所定範囲内であるか否かを判断する。すなわち、第一排気管64及び排気用ホース62において気体の漏洩がない場合は、圧力センサ88で検出される圧力の変動が所定範囲内に留まる。換言すれば、ステップS122では、ステップS118とは異なる方法で、第一排気管64及び排気用ホース62における気体の漏洩の有無を判断している。
【0065】
ステップS122において、第一排気管64及び排気用ホース62の圧力変動が所定範囲内であると判断した場合は、制御装置60は、ステップS124において主弁66A及び副弁66Bを全開にする。再度、ポンプ54と、ガス回収容器102のそれぞれとが、第一排気管64及び排気用ホース62を介して連通される。ポンプ54は継続して駆動されているので、ガス回収容器102のそれぞれから回収ガスを排気できる。排気された回収ガスは、排気ダクト56に送られ、希釈されて外部に放出される。
【0066】
制御装置60は、ステップS126において、圧力センサ88で検出された圧力が、終了圧力に達したか否かを判断する。終了圧力に達していない場合は、制御装置60は、ステップS126の判断を繰り返す。終了圧力に達している場合は、ステップS128に移行し、自動運転の終了処理を行う。この終了処理は、具体的には、主弁66A、副弁66Bの全閉、ポンプ54の停止、ブロワ58の停止、チラー54Cの停止、等の各処理を含む。そして、制御装置は、ガス回収容器102から回収ガスを排気する処理を終了する。
【0067】
なお、制御装置60は、ステップS118において、圧力センサ88で検出した圧力が漏洩確認圧力に達していないと判断した場合や、ステップS122において、この圧力が所定範囲内にないと判断した場合は、ステップS128に移行し、終了処理を行う。
【0068】
以上は、制御装置60が圧力制御モードで自動運転を終了する場合であるが、これに代えて、時間制御モードで自動運転を終了することも可能である。
【0069】
時間制御モードの場合は、制御装置60は、ステップS106において圧力制御モードではない、すなわち時間制御モードであると判断すると、
図7に示すように、ステップS138に移行する。そして、ステップS138〜ステップS154までの各処理は、圧力制御モードの対応する各ステップS108〜ステップS124と同様である。
【0070】
そして、ステップS156において、制御装置60は、自動運転の時間が終了時間に達したか否かを判断する。制御装置60は、終了時間に達していない場合はステップS156の判断を繰り返し、終了時間に達している場合は、ステップS128に移行して終了処理を行う。
【0071】
上記の圧力制御モード及び時間制御モードでは、ガス回収容器102からの回収ガスの排気処理を終了させるために、作業者が作業の進行状況等を監視したり、手動でガス処理装置52を停止させたりする必要がなく、回収ガスの排気処理を効率的に行うことができる。
【0072】
なお、自動運転モードとして、上記した圧力制御モードと時間制御モードのいずれか一方のみを行うことが可能な構成でもよい。
【0073】
ガス処理装置52は、上記の自動運転に代えて、手動運転、すなわち作業者の手動操作による運転を行うことも可能である。
【0074】
手動運転の場合、制御装置60は、ステップS104において自動運転ではないと判断すると、
図8に示すように、ステップS158に移行し、所定のスイッチ86(手動開始ボタン)が押されたか否かを判断する。手動開始ボタンが押されていないと判断した場合は、ステップS158に戻り、この判断を継続する。ステップS158において手動開始ボタンが押されたと判断した場合は、制御装置60は、制御装置60はステップS160において、チラー54Cを駆動する。さらに、ステップS162において、ブロワ58を駆動する。
【0075】
そして、制御装置60は、ステップS164において、ポンプ54を駆動し、さらにステップS166において主弁66A及び副弁66Bを全開する。これにより、ガス回収容器102のそれぞれから回収ガスを排気できる。排気された回収ガスは、排気ダクト56に送られ、希釈された後、外部に放出される。
【0076】
制御装置60は、ステップS168において、所定のスイッチ86(手動停止ボタン)が押されたか否かを判断する。手動停止ボタンが押されていないと判断した場合は、ステップS168においてこの判断を継続する。手動停止ボタンが押されたと判断した場合は、ステップS128に移行して終了処理を行う。
【0077】
図2に示すように、本実施形態のガス回収容器102は第二接続管110を有しており、第二接続管110の先端には、第二接続口112が設けられている。第二接続口112の弁部材114は、通常状態では第二接続口112を閉塞している。この弁部材114は、
図3に示すように、排気用ホース62が接続されると、排気用ホース62の開弁部材62P(
図2参照)に押されて、第二接続口112を開放する。すなわち、第二接続口112を開放する操作が、排気用ホース62を接続する単一の動作で行える。したがって、たとえば、第二接続口に排気用ホースを接続した後、あらためて第二接続口の弁を開く操作を行う場合と比較して、作業が容易であり、作業時間が短い。
【0078】
また、排気用ホース62を第二接続口112から取り外す動作で、第二接続口を閉塞することができ、この点でも作業が容易であると共に作業時間が短い。
【0079】
第二接続口112を先端に備える第二接続管110の流路断面積は、第一接続口108を先端に備える第一接続管106の流路断面積より大きい。したがって、たとえば、これらの流路断面積が等しい構造や、第二接続管110の流路断面積が第一接続管106の流路断面積より小さい構造と比較して、単位時間あたりに流せる回収ガスの量が多い。
【0080】
第二接続管110は、容器本体104から斜め上方に延出されている。したがって、第二接続管110が容器本体から水平方向や斜め下方に延出された構造と比較して、上方から排気用ホース62を接続することができ、作業効率が高く、短時間で排気用ホース62の接続や取り外しを行うことができる。
【0081】
第一接続管106及び第二接続管110は、いずれも肩部104Sから延出されており、容器本体104の側面には位置していない。したがって、第一接続管106及び第二接続管110のいずれかが容器本体104の側面から延出されている構造と比較して、
図3及び
図4に示すように、ガス回収容器102を横方向に接触あるいは接近させて並べることができる。単位面積あたりに、より多くのガス回収容器102を配置できるので、ガス回収容器102からの回収ガスの排気を効率的に行うことができる。
【0082】
しかも、第二接続管110は、容器本体104を上方から見て、容器本体104の外形の内側に位置しており、容器本体104から第二接続管110が出っ張らない。したがって、第二接続管110が作業の邪魔にならず、効率的な作業が可能である。
【0083】
ガス処理装置52は、複数(
図4及び
図5の例では16個)の排気用ホース62を備えている。複数のガス回収容器102から並行して同時に回収ガスを排気できるので、効率的な排気が可能である。
【0084】
ここで、比較例のガス回収容器と、このガス回収容器を用いたガス処理装置(ガス処理方法)を考える。比較例のガス回収容器は、排気口に、手動操作で開閉される手動弁が設けられており、しかも、排気口の口径が、本実施形態のガス回収容器102の第一接続口108の口径と等しい構造である。
【0085】
図9には、第一実施形態のガス回収容器102及び比較例のガス回収容器において、1つのガス回収容器から回収ガスを排気する時間T1(A)及びT0(A)がそれぞれ示されている。
【0086】
比較例のガス回収容器では、排気口に排気用ホースを接続し、手動弁を手動操作で開弁するのに所定の時間T0(1)を要する。
【0087】
そして、その後に、ガス処理装置により、ガス回収容器から回収ガスを排気するのに時間T0(2)を要する。
【0088】
さらに、手動弁を手動操作で閉弁し、排気用ホースを排気口から取り外すのに時間T0(3)を要する。すなわち、比較例のガス回収容器の1つから回収ガスを排気するために、時間T0(A)=T0(1)+T0(2)+T0(3)の時間を要する。
【0089】
これに対し、第一実施形態のガス回収容器102では、第二接続口112に排気用ホース62を接続するのに時間T1(1)を要するが、この動作で弁部材114は開弁され、手動で弁部材を開弁する作業は不要である。したがって、T1(1)<T0(1)の関係が成り立つ。
【0090】
その後、ガス処理装置52により、ガス回収容器102から回収ガスを排気するのに時間T1(2)を要する。第一実施形態のガス回収容器102における第二接続口112の開口断面積は、比較例の接続口の開口断面積よりも大きい。したがって、単位時間あたりに流れる回収ガスの量は、比較例のガス回収容器よりも本実施形態のガス回収容器102の方が大きく、T1(2)<T0(2)の関係が成り立つ。
【0091】
その後、排気用ホース62を第二接続口112から取り外す。この動作で、弁部材114は閉弁されるので、手動で弁部材114を閉弁する作業は不要である。したがって、T1(3)<T0(3)の関係が成り立つ。
【0092】
本実施形態のガス回収容器102の1つから回収ガスを排気するために、時間T1(A)=T1(1)+T1(2)+T2(3)の時間を要する。そして、上記から明らかなように、T1(A)<T0(A)の関係が成り立つ。すなわち、本実施形態では、ガス回収容器102の1つについて考えたとき、回収ガスを排気するための時間が、比較例のガス回収容器において回収ガスを排気するための時間よりも短い。
【0093】
図10には、第一実施形態のガス処理装置52及び比較例のガス処理装置を使用した場合において、ガス回収容器から回収ガスを排気する時間と、ガス回収容器の数との関係が示されている。
【0094】
第一実施形態では、1つのガス回収容器から回収ガスを排気するのに要する時間が比較例のガス回収容器よりも短い。したがって、
図10における枠線L1で囲った範囲で示すように、たとえばガス処理装置52に1つのガス回収容器102のみを接続した場合であっても、一定の時間Sにおいて、この時間S内で回収ガスを排気できるガス回収容器102の数が多い。
【0095】
さらに、本実施形態のガス処理方法では、1つのガス処理装置52が複数の排気用ホース62を有しており、排気工程において、複数のガス回収容器102から並行して回収ガスを排気する。したがって、
図10に枠線L2で囲った範囲で示すように、同時に複数のガス回収容器102から並行して回収ガスを排気できる。そして、一定の時間Sにおいて、回収ガスを排気できるガス回収容器の数が多い。
【0096】
このように、本実施形態では、ガス回収容器102からの回収ガスの回収(排気)を効率的に行うことが可能である。
【0097】
なお、このように複数のガス回収容器102から同時に回収ガスを排気するためには、1つの排気用ホースを有するガス処理装置を複数用いてもよい。本実施形態では、1つのガス処理装置52が複数の排気用ホース62を備えており、複数のガス回収容器102から並行して回収ガスを回収(排気)するために複数のガス処理装置が不要なので、ガス処理装置52の数が少なくて済む。
図4及び
図5の例では、16個のガス回収容器102に対しガス処理装置52は1つで済む。特に、複数のガス回収容器102に対し、吸引装置53が共通化されている。したがって、複数のガス回収容器102に対し個別の吸引装置を用いる構成と比較して、吸引装置が少なくて済む。吸引装置が少ないので、ガス処理装置52を操作する作業も少なくなり、回収ガスの排気処理を効率的に行うことが可能である。
【0098】
さらに、本実施形態のガス処理方法、すなわちガス処理装置52を用いたガス処理システム22では、第一運搬工程として、ガス回収先24からガス処理先26へ、トラック38(第一運搬手段の一例)を用いてガス回収容器102を運搬する。さらに、本実施形態のガス処理方法では、第二運搬工程として、ガス処理先26からガス回収先24へ、トラック40(第二運搬手段の一例)を用いて、ガス回収容器102を運搬する。このように、ガス回収容器102をガス回収先24とガス処理先26とで循環させることで、ガス回収容器102からの回収ガスの回収(排気)を効率的に行うことが可能である。
【0099】
特に、トラック38によるガス回収容器102の運搬と、トラック40によるガス回収容器102の運搬とを並行して行うことで、ガス回収容器102からの回収ガスの回収(排気)をより効率的に行うことが可能である。
【0100】
本実施形態のガス回収容器102では、第二接続管110が、容器本体104から斜め上方に延出されており、排気用ホース62を上方から第二接続口112に接近させて接続できる。また、排気用ホース62を上方へ移動させて、第二接続口112から取り外すことができる。第二接続管が容器本体104から下方に延出された構造と比較して、排気用ホースの接続及び取り外しに要する時間が短い。すなわち、この点においても、本実施形態のガス回収容器102では、時間T1(1)及び時間T1(3)を短くする効果がある。
【0101】
また、本実施形態のガス回収容器102では、容器本体104を上方から見て、第二接続管110が容器本体104の外形の範囲内に位置しており、容器本体104から出っ張らない。したがって、ガス回収容器102を横方向(たとえば
図3における矢印W方向及び矢印D方向)に接触させて並べることが可能である。単位面積あたりに、多くのガス回収容器102を配置できるので、ガス回収容器102からの回収ガスの回収(排気)を効率的に行うことが可能である。
【解決手段】ガス回収容器12は、ガス配管と接続される第一接続口108と、容器本体から回収ガスを排気するための第二接続口110と、を有し、第二接続口110を閉塞しガス処理装置の排気用ホースが接続されると排気用ホースに押されて第二接続口110を開放する弁部材114を有する。