特許第6335351号(P6335351)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6335351
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】据付工事用治具
(51)【国際特許分類】
   B66B 7/06 20060101AFI20180521BHJP
【FI】
   B66B7/06 N
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-34788(P2017-34788)
(22)【出願日】2017年2月27日
【審査請求日】2017年2月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】大澤 悠三
【審査官】 須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭51−142251(JP,U)
【文献】 特開平10−036038(JP,A)
【文献】 特開2012−070610(JP,A)
【文献】 実開昭57−049873(JP,U)
【文献】 特開2005−162372(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータのかご下に設けられ、最下部がU字状に垂下され、かつ、前記エレベータのかごと共に上下動するテールコードに移動可能に取り付けられる円環状の据付工事用治具であって、
半円環状の一対のリング片と、
前記リング片の一端同士を回動可能に支持する軸部と、
一方の前記リング片の他端に設けられたロック爪と、
他方の前記リング片の他端に設けられ、前記ロック爪を係止する係止穴とを備え、
前記円環状の外周部には、正面視で、半円の花びらが連続した花弁状凸部が形成され、かつ、側断面は、丸頭状に形成され、
前記ロック爪と前記係止穴とが係止されたロック状態では、前記テールコードの外径よりも大きく、前記テールコードが遊動可能な空洞部を有する円環状に形成され、
前記テールコードへの取付けに際しては、前記軸部を回動支点として他端を開口させて前記テールコードを前記空洞部に挿入させ、前記ロック爪と前記係止穴とを係止させてロック状態にすることを特徴とする据付工事用治具。
【請求項2】
前記テールコードが挿入され、前記空洞部を構成する内周部の断面は、滑らかな傾斜を持つ山形に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の据付工事用治具。
【請求項3】
前記花弁状凸部の前記外周部から前記内周部に至る面には、凹部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の据付工事用治具。
【請求項4】
前記外周部から前記内周部に至る面は、前記外周部から内周部にいくに連れて皿底状に傾斜する形状を有することを特徴とする請求項3に記載の据付工事用治具。
【請求項5】
エレベータのかご下に設けられ、最下部がU字状に垂下され、かつ、前記エレベータのかごと共に上下動するテールコードに移動可能に取り付けられる円環状の据付工事用治具であって、
半円環状の一対のリング片と、
前記リング片の一端同士を回動可能に支持する軸部と、
一方の前記リング片の他端に設けられたロック爪と、
他方の前記リング片の他端に設けられ、前記ロック爪を係止する係止穴とを備え、
前記ロック爪と前記係止穴とが係止されたロック状態では、前記テールコードの外径よりも大きく、前記テールコードが遊動可能な空洞部を有する円環状に形成され、
前記円環状の外周部には、正面視で、半円の花びらが連続した花弁状凸部が形成され、かつ、側断面は、丸頭状に形成されていることを特徴とする据付工事用治具。
【請求項6】
前記エレベータのかごはエレベータ据付工事に使用される工事用ゴンドラであり、前記テールコードは当該工事用ゴンドラに電源を供給する電源ケーブルであることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の据付工事用治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、据付工事用治具及び工事用ゴンドラに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、エレベータの据付工事に際しては、昇降路に工事用ゴンドラを設置し、この工事用ゴンドラに作業員が乗り込んで種々の用品を設置するようにしている。工事用ゴンドラに電源を供給する電源ケーブル(以下、「テールコード」という)がゴンドラの底部から垂下され、昇降路の途中に設けられた中継具を経由して、昇降路の底部等に設置された電源装置に接続される。テールコードには、ゴンドラ底部と中継具との間でU字状の最低部(U字部)が形成される。このU字部は、ゴンドラの上下動に伴って移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−162372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、工事用ゴンドラの上下動に伴い、テールコードが上下動して揺れると、ガイドレールの支持材や昇降路内機器に引っ掛かる可能性がある。テールコードが引っ掛かったままで工事用ゴンドラを動作させるとテールコードを損傷、断線させるおそれがある。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明の実施形態は、エレベータのかご(工事用ゴンドラ)の移動に伴って移動するテールコードへの取付けが簡単にでき、損傷、断線を防止できる据付工事用治具及び工事用ゴンドラを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための態様は、エレベータのかご(工事用ゴンドラ)下に設けられ、最下部がU字状に垂下され、かつ、前記エレベータのかご(工事用ゴンドラ)と共に上下動するテールコードに取り付けられる円環状の引っ掛かり防止リングであって、半円環状の一対のリング片と、前記リング片の一端同士を回動可能に支持する軸部と、一方のリング片の他端に設けられたロック爪と、他方のリング片の他端に設けられ、前記ロック爪を係止する係止穴とを備え、ロック爪と係止穴とが係止されたロック状態では、前記テールコードの外径よりも大きく、テールコードが遊動可能な空洞部を有する円環状に形成され、前記テールコードへの取付けに際しては、前記軸部を回動支点として他端を開口させて前記テールコードを前記空洞部に挿入させ、前記ロック爪と前記係止穴とを係止させてロック状態にする。
【0007】
また、他の態様は、前記円環状の外周部には、正面視で、半円の花びらが連続した花弁状凸部が形成され、かつ、側断面は、丸頭状に形成されている。
【0008】
さらに、他の態様は、建屋のエレベータ据付工事に使用される工事用ゴンドラであって、ロープによりつり下げられ、前記ロープの上下動に伴い、前記建屋に設置されたガイドレールに沿って上下動するゴンドラ本体と、前記ゴンドラ本体の底部に設けられ、最下部がU字状に垂下され、かつ、前記ゴンドラ本体と共に上下動するテールコードに移動可能に取り付けられる据付工事用治具と、前記ゴンドラ本体に設けられ、前記ロープの巻き上げを行って前記ゴンドラ本体を上下動させるウインチと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】据付工事用治具の実施形態であるテールコードの引っ掛かり防止リングが適用される工事用ゴンドラが設置された昇降路の全体構成図。
図2】実施形態におけるテールコードの引っ掛かり防止リングの外観構成であり、ロック部分を閉じた状態を示す斜視図。
図3】実施形態におけるテールコードの引っ掛かり防止リングの外観構成を示し、ロック部分を閉じた状態を示す斜視図。
図4図3に示すテールコードの引っ掛かり防止リングのA−A線断面図。
図5】実施形態におけるテールコードの引っ掛かり防止リングの外観構成であり、ロック部分を開いた状態を示す斜視図。
図6】テールコードの引っ掛かり防止リングをテールコードに取り付ける作業を示す斜視図。
図7】テールコードの引っ掛かり防止リングを複数個テールコードに取り付け状態を示す正面図。
図8】テールコードの引っ掛かり防止リングを複数個テールコードに取り付け状態でゴンドラが上昇した場合の作用を説明する正面図。
図9】テールコードの引っ掛かり防止リングの作用効果を説明する正面図。
図10】テールコードの引っ掛かり防止リングの作用効果を説明する正面図。
図11】工事用ゴンドラを使用したゴンドラ工法の作業手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
本実施形態では、エレベータかごとして工事用ゴンドラを例に説明する。
【0011】
図1に示すように、エレベータの据付工事においては、昇降路2内に工事用ゴンドラ4を設置し、作業員が工事用ゴンドラ4に乗って工事を進めている。昇降路2には、一対のかご用のガイドレール6と、一対の釣り合い重り(C/W)用のガイドレール8が設置される。工事用ゴンドラ4はガイドレール6に沿って上下動する。工事用ゴンドラ4は、昇降路2の天井10に設けられた天井フック12にロープ14を介して取り付けられている。また、工事用ゴンドラ4内には、制御盤16とウインチ18が設置されている。工事用ゴンドラ4は制御盤16の制御下でウインチ18の操作によって所望の位置への上下移動が可能である。制御盤16及びウインチ18への電源供給は、電源ケーブルとなるテールコード20を介して行われる。
【0012】
テールコード20は、一端は工事用ゴンドラ4の底部から垂下され、他端は昇降路2の底部付近に設置された分電盤22に接続され、通常は1本である。また、テールコード20は、中継用の取付フック24によって昇降路2の壁面に取り付けられている。このとき、テールコード20は、取付フック24から垂れ下がると共に他端側は工事用ゴンドラ24底面から垂れ下がるため、テールコード20には、底部となるU字部26が形成される。このU字部26は工事用ゴンドラ4の上下動に伴い、その位置も上下に移動するが、常にU字の形状は保たれる。このU字部26付近はテールコード20の上下動または屋外設置の場合では風の影響で揺れ動き、昇降路2に設置されているガイドレールの支持材や昇降路内機器(以下、「昇降路内設置機器」とも称する)に引っ掛かり、テールコード20を損傷させる可能性がある。
【0013】
本実施形態では、U字部26に引っ掛かり防止リング30(据付工事用治具)が取り付けられている。図2図5に示すように、引っ掛かり防止リング30は、半円環状のリング片30a,30bの一端同士を回動可能に取り付けると共に、他端は開口可能に形成され、開口部32が形成されている。図2図3に示すように、開口部32が閉じた状態では、引っ掛かり防止リング30は円環状(リングドーナツ状)となる。
【0014】
開口部32の一方にはロック爪34が形成され、開口部32の他方にはロック爪34が係合する係止穴36と、この係止穴36に連通する連通穴37とが形成されている。引っ掛かり防止リング30の開口部32とは反対側には、軸部38とこの軸部38内に設けられたねじりばね40とが設けられ、軸部38を支点として回動可能に構成され、また、開口部32の拡がりが規制されている。
【0015】
引っ掛かり防止リング30をテールコード20に取り付けるに際しては、開口部32を開口させて、円環状に形成された引っ掛かり防止リング30の空洞部42にテールコード20を挿通させ、開口部32を閉じて、ロック爪34と係止穴36とを係止させる(ロック状態)。これにより、引っ掛かり防止リング30は、テールコード20の任意の位置に移動可能に取り付けられる。テールコード20は1本であるため、引っ掛かり防止リング30は十分に余裕を持って任意の位置への移動が可能である。
【0016】
図4図3のA−A線断面図である。図4に示すように、空洞部42を形成する内周部44は山形に盛り上がり、かつ、表面が滑らかな傾斜を持った形状を有している。これによって、空洞部42に挿通されたテールコード20との接触面積が低減され、摩擦力が軽減されるので、引っ掛かり防止リング30の滑らかな動きが可能になる。
【0017】
円環状に形成された引っ掛かり防止リング30の外周部46は、正面視で、半円が連続した花びら状に形成されている。実施形態の引っ掛かり防止リング30の外周部46は9個の半円が連続し、正面視では9個の花弁が存在するように花弁状凸部48となっている。また、図4の断面図に示すように、外周部46の断面は、山形に盛り上がった丸頭状に形成されている。さらに、9個の花弁状部分の側面部分には、それぞれ矩形状または円形状に窪んだ凹部50が形成されている。
【0018】
また、この引っ掛かりリング30の側面部52は、外周部46から内周部44側に行くに連れて皿底状に凹んだ形状を呈している。
【0019】
図4に示すように、本実施形態では、引っ掛かり防止リング30の最大厚み幅(花弁状凸部48の幅)L1は29〜32mm程度である。また、一方の凹部50と他方の凹部50との厚み幅L2は20〜25mm程度、内周部44の厚み幅L3は23〜26mm程度に形成されている。また、その関係は、L1>L3>L2となっている。また、円環の直径は100〜120mm程度、空洞部42の径は、テールコード20のコード径よりも十分に大きく、テールコード20に取り付けた際に滑らかに移動ができるような寸法、例えば40〜60mm程度に形成されている。
【0020】
引っ掛かり防止リング30は、1枚ではなく、複数枚(4〜8枚程度)を重ねて使用される。複数枚の引っ掛かり防止リング30を重ねた場合、花弁状凸部48同士が接触するので、面同士で接触する場合と比較して摩擦抵抗を低減でき、その結果、テールコード20の揺れに伴い、テールコード20内において、障害なく滑らかな移動が可能になる。
【0021】
次に、本実施形態の動作を図6図11を用いて説明する。
【0022】
はじめに、ゴンドラ工法の作業手順を図11のフローチャートを用いて説明する。
【0023】
図11に示すように、ステップS2の着工準備及び着工工程からステップS4のゴンドラ組立て工程では、揚重機器の設置及び機器の揚重をした後、ゴンドラ用吊元となる天井フック12を設置する。なお、必要に応じて天井フック12に代えてビームを設置する。次いで、ステップS4において、工事用ゴンドラ4を組立てる。工事用ゴンドラ4の試運転が完了すると、最初に、本線レール側ブラケットの取付け及びレール立ての芯だし作業を行う。次いで、三方枠の取付け、巻上機の取付け、制御盤の取付け、テールコード20の架設、昇降路内配線を実行する。カウンタウエイト枠を揚重し、ウエイトを積込む(ステップS18)。次いで、かご枠組立て(ステップS20)、かご室組立て(ステップS22)及び試運転調整(ステップS24)を経た後、工事用ゴンドラ4を解体して作業が終了する(ステップS26)。
【0024】
上述のようなゴンドラ工法の作業中では、工事用ゴンドラ4の上下動が頻繁に行われる。その際、昇降路内設置機器にテールコード20が引っ掛かる可能性があるため、テールコード20に引っ掛かり防止リング30を取り付ける。
【0025】
図6に示すように、開口部32を開きテールコード20を通し、開口部32を閉じてロック爪34を係止穴36に挿通させてロックする。この引っ掛かり防止リング30は図7に示すように、4〜8個程度取り付けるとよい。U字部26の長さを十分カバーするには、1〜2個では足りず、重量も不足する。4〜8個取り付けられていると、テールコード20自体の揺れを抑制することができ、昇降路内設置機器への引っ掛かりが十分に防止できる。このとき、図7に示すように、隣り合う引っ掛かり防止リング30の側面同士は、面接触ではなく、主に花弁状凸部48同士の点接触となるので、隣接する引っ掛かり防止リング30同士の接触摩擦が低減され、テールコード20内での滑らかな移動が可能になる。このため、引っ掛かり防止リング30を常にU字部26に配置させることができる。
【0026】
この状態で、図8に示すように、工事用ゴンドラ4がG1方向へ上昇していくと、工事用ゴンドラ4の上昇に伴い、テールコード20もC1,C2方向に移動していき、U字部26もその位置が変動していく。このとき、引っ掛かり防止リング30はテールコード20の底部であるU字部26に留まるように移動する。このため、引っ掛かり防止リング30は常にU字部26に留まるので、テールコード20の揺れを抑制できる。
【0027】
図9は工事用ゴンドラ4がG1方向に上昇し、これに伴いテールコード20が矢印C1,C2方向に上方移動した際に、昇降路内設置機器54にテールコード20が引っ掛かりそうなった場合をゴンドラ側から昇降路方向に見た図である。工事用ゴンドラ4が矢印G1方向に上昇すると、先ず引っ掛かり防止リング30の外縁部分(花弁状凸部48)が昇降路内設置機器54に当接する。すると、図9に示すように、当接した外縁部分を支点として、引っ掛かり防止リング30が回転(図中矢印R1で示す時計回り)して外方に逃げる動作をする。図10に示すように、工事用ゴンドラ4がG2方向にさらに上昇していくと、テールコード20もC3方向に揺れていくが、工事用ゴンドラ4は昇降路内設置機器54よりも昇降路2の内側につり下げられているので、引っ掛かり防止リング30は、弾き出される方向に回転しようとする。引っ掛かり防止リング30は複数個設けられているので、隣り合う引っ掛かり防止リング30も同じ方向に回転する。これにより、テールコード20は昇降路内設置機器54の外側(R2方向、R3方向)に弾き出され、昇降路内設置機器54への引っ掛かりが防止される。
【0028】
工事終了後は、係止穴36が連通する連通穴37に作業員が指を差し込み、ロック爪34を係止穴36から外すことでロックを解除し、ロック解除によって形成された開口部32からテールコード20を抜いて引っ掛かり防止リング30を取り外す。このように、引っ掛かり防止リング30は、特殊な工具等を使用することなく、手動で着脱できるので、着脱作業が簡素化できる。
【0029】
このように、本実施形態によれば、テールコード20が昇降路内設置機器54に引っ掛かることを効果的に防止することができる。これにより、昇降路内設置機器54の破損が防止でき、また、テールコード20の損傷、断線を防止することができる。
【0030】
また、引っ掛かり防止リング30に開口部32を設けることで、テールコード20のどの位置からも着脱が容易になる。また、テールコード20を工事用ゴンドラ4と昇降路2側の取付フック24とに固定した後であっても取り付けることができる。その結果、工事用ゴンドラ4を使用した据付工事の作業性が向上する。さらに、テールコード20への着脱が可能になることで、次の工事においても繰り返し、再使用することができ、コスト削減が可能になる。また、引っ掛かり防止リング30は、樹脂で形成されることから、単体の重量は小さくなり、持ち運びも楽になり、製作も容易となる。また、ねじりばね40によって開口部32が拡がり過ぎないように規制することができる。また、引っ掛かり防止リング30の側面には、矩形状に窪んだ凹部50が形成されているので、凹部50に指を入れることができ、着脱作業時に持ちやすくなり、軽量化も達成できる。
【0031】
なお、引っ掛かり防止リング30は、白色や黄色、あるいは蛍光色等の目立つ色や蓄光材を含んだ材料で構成されていれば、暗い場所での作業においても視認性が向上する。また、本実施形態では、工事用ゴンドラ4の電源ケーブルに引っ掛かり防止リング30を取り付ける構成について説明したが、電源ケーブル以外にも使用することが可能である。さらに、通常使用されるエレベータかごのテールコード20に引っ掛かり防止リング30を取り付けるようにしてもよい。
【0032】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0033】
2…昇降路、4…工事用ゴンドラ、14…ロープ、16…制御盤、18…ウインチ、20…テールコード、22…分電盤、24…中継用の取付フック、26…U字部、30…引っ掛かり防止リング(据付工事用治具)、30a,30b…リング片、32…開口部、34…ロック爪、36…係止穴、37…連通穴、38…軸部、40…ねじりばね、42…空洞部、44…内周部、46…外周部、48…花弁状凸部、50…凹部、52…側面部、54…昇降路内設置機器。
【要約】
【課題】 エレベータかごの移動に伴って移動するテールコードへの取付けが簡単にでき、テールコードの損傷、断線を防止する。
【解決手段】 半円環状の一対のリング片30a,30bと、リング片30a,30bの一端同士を回動可能に支持する軸部38と、一方のリング片30aの他端に設けられたロック爪34と、他方のリング片30bの他端に設けられ、ロック爪34を係止する係止穴36とを備え、ロック爪34と係止穴36とが係止されたロック状態では、テールコード20の外径よりも大きく、テールコード20が遊動可能な空洞部42を有する円環状に形成され、テールコード20への取付けに際しては、軸部38を回動支点として他端を開口させてテールコードを空洞部42に挿入させ、ロック爪34と係止穴36とを係止させてロック状態にする。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11