特許第6335352号(P6335352)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6335352プロセス制御設備の完全性を特徴付けるための方法と装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6335352
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】プロセス制御設備の完全性を特徴付けるための方法と装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20180521BHJP
【FI】
   G05B23/02 T
【請求項の数】19
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-49908(P2017-49908)
(22)【出願日】2017年3月15日
(62)【分割の表示】特願2014-508422(P2014-508422)の分割
【原出願日】2012年4月18日
(65)【公開番号】特開2017-126361(P2017-126361A)
(43)【公開日】2017年7月20日
【審査請求日】2017年3月16日
(31)【優先権主張番号】61/479,224
(32)【優先日】2011年4月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591055436
【氏名又は名称】フィッシャー コントロールズ インターナショナル リミテッド ライアビリティー カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100098914
【弁理士】
【氏名又は名称】岡島 伸行
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン, ショーン, ウィリアム
【審査官】 黒田 暁子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−531868(JP,A)
【文献】 特開平07−128134(JP,A)
【文献】 特開平04−047480(JP,A)
【文献】 特開2004−028907(JP,A)
【文献】 特開2005−134357(JP,A)
【文献】 特表2010−519538(JP,A)
【文献】 米国特許第4783987(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現場装置の弁体の完全性の損失を指摘するための故障の検出と分離(FDI)システムで実施される方法において、
第1の一連の測定値の第1の要求を前記FDIシステムから前記現場装置へ送信することと、
前記FDIシステムで、前記現場装置から前記第1の一連の測定値を受信することと、
前記第1の一連の測定値を記憶することと、
第2の一連の測定値の第2の要求を前記FDIシステムから前記現場装置へ送信することと、
前記FDIシステムで、前記現場装置から前記第2の一連の測定値を受信することと、
前記第1の一連の測定値と前記第2の一連の測定値を比較することと、
前記第1の一連の測定値が前記第2の一連の測定値から逸脱する場合に指摘を生成することと、を含み、
前記第1の要求を送信することは、複数の周波数の指示を送信することを含み、かつ同複数の周波数のそれぞれは、前記第1の一連の測定値のそれぞれ1つに対応し、
前記第2の要求を送信することは、複数の周波数の指示を送信することを含み、かつ同複数の周波数のそれぞれは、前記第2の一連の測定値のそれぞれ1つに対応している、方法。
【請求項2】
前記第1の一連の測定値および前記第2の一連の測定値が、インピーダンス測定値を備えている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の一連の測定値および前記第2の一連の測定値は、音響測定値を備えている、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の一連のインピーダンス測定値および前記第2の一連のインピーダンス測定値は、前記複数の周波数の複数の電気信号を使用して測定される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の周波数のそれぞれが、30キロヘルツ(KHz)から400KHzに及ぶ、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の電気信号を圧電(PZT)センサを通じて前記弁体に適用することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記PZTセンサを弁体閉塞部材の近くで前記弁体に接合することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記PZTセンサを接着剤で前記弁体に接合することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の一連の音響測定値および前記第2の一連の音響測定値は、前記FDIが、前記第1の一連の音響測定値の第1の要求および前記第2の一連の音響測定値の第2の要求を送信したことに応答してPZTセンサから受信される測定値を備えている、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の一連の測定値に基づく第1の曲線および前記第2の一連の測定値に基づく第2の曲線を生成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の曲線用の第1の複数の係数および前記第2の曲線用の第2の複数の係数を確定することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の複数の係数と前記第2の複数の係数を比較することで、前記第1の一連の測定値が前記第2の一連の測定値から逸脱しているかどうかを確定することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
現場装置の弁体の完全性の損失を検出するための装置において、
故障の検出と分離(FDI)システムと、
前記現場装置の前記弁体に結合されるセンサと、
前記センサに電気的に結合され、第1の選択された一連の周波数の第1の電気信号及び第2の選択された一連の周波数の第2の電気信号で前記センサを連続的に電気的に励起するように構成されている励起モジュールと、
前記センサに電気的に結合され、前記第1の電気信号に応答して第1の一連の測定値を、前記第2の電気信号に応答して第2の一連の測定値を受信する測定モジュールと、を備えている装置。
【請求項14】
前記センサが、圧電(PZT)センサである、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記PZTセンサが、前記現場装置の閉塞部材の近くに、接着剤で前記現場装置の前記弁体に連結される、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記励起モジュールは、前記電気的結合を介して選択周波数の電気信号で前記PZTセンサを電気的に励起するように構成されており、前記選択周波数が、30キロヘルツ(KHz)から400KHzに及ぶ、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記測定モジュールは、測定データを前記PZTセンサから前記FDIまで送信するように構成されている、請求項14に記載の装置。
【請求項18】
現場装置の弁体の完全性の損失を指摘するための方法において、
第1の一連の測定値の第1の要求を故障の検出と分離(FDI)システムから前記現場装置へ送信することと、
前記FDIシステムに第1の一連の測定値を受信させることであって、前記第1の一連の測定値の前記測定値のそれぞれは、前記現場装置の前記弁体で測定される、前記FDIシステムに第1の一連の測定値を受信させることと、
前記第1の一連の測定値を受信することに応答して、前記FDIシステムに前記第1の一連の測定値を記憶させることと、
第2の一連の測定値の第2の要求をFDIシステムから前記現場装置へ送信することと、
前記FDIシステムに第2の一連の測定値を受信させることであって、前記第2の一連の測定値の前記測定値のそれぞれは、前記現場装置の前記弁体で測定される、前記FDIシステムに第2の一連の測定値を受信させることと、
前記第1の一連の測定値と前記第2の一連の測定値を比較することと、
前記第1の一連の測定値が、前記第2の一連の測定値から逸脱していることを確定することと、
前記第1の一連の測定値が前記第2の一連の測定値から逸脱していることを確定すると、前記FDIに指摘を生成させることとを含み、
前記第1の要求を送信することは、複数の周波数の指示を送信することを含み、かつ同複数の周波数のそれぞれは、前記第1の一連の測定値のそれぞれ1つに対応し、
前記第2の要求を送信することは、複数の周波数の指示を送信することを含み、かつ同複数の周波数のそれぞれは、前記第2の一連の測定値のそれぞれ1つに対応する、方法。
【請求項19】
前記第1の一連の測定値および前記第2の一連の測定値のそれぞれは、選択周波数の電気信号でPZTセンサを励起することによって前記現場装置の弁体で測定されるようにすることができるインピーダンス測定値に対応しており、前記PZTセンサが、前記現場装置の前記弁体に接合される、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概括的には、プロセスプラントに関し、より厳密にはプロセスプラント構成要素の完全性を監視することに関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
1つの例示的な態様によれば、現場装置の弁体の完全性の損失を指摘するための故障の検出と分離(FDI)システムで実施される方法は、第1の一連の測定値の第1の要求を前記FDIシステムから前記現場装置へ送信することと、前記FDIシステムで、前記現場装置から前記第1の一連の測定値を受信することと、前記第1の一連の測定値を記憶することと、第2の一連の測定値の第2の要求を前記FDIシステムから前記現場装置へ送信することと、前記FDIシステムで、前記現場装置から前記第2の一連の測定値を受信することと、前記第1の一連の測定値と前記第2の一連の測定値を比較することと、前記FDIシステムで、前記現場装置から第2の一連の測定値を受信することと、前記第2の一連の測定値を記憶することと、前記第1の一連の測定値が前記第2の一連の測定値から逸脱する場合に指摘を生成することと、を含み、前記第1の要求を送信することは、複数の周波数の指示を送信することを含み、同複数の周波数のそれぞれは、前記第1の一連の測定値のそれぞれ1つに対応し、前記第2の要求を送信することは、複数の周波数の指示を送信することを含み、同複数の周波数のそれぞれは、前記第2の一連の測定値のそれぞれ1つに対応している。
【0003】
別の例示的な態様によれば、弁体の完全性の損失を指摘する方法は、複数の周波数の複数の電気信号を使用することでインピーダンス測定値を受信することを含む。さらに別の例示的な態様によれば、方法では、通常30KHzから400KHzの範囲の周波数で実施されるインピーダンス測定値を受信する。例示的な態様によれば、周波数は、閉塞部材に近接する弁体の外表面に接合されるPZTセンサに適用される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】1つまたは複数のオペレータおよび保守ワークステーション、制御装置、現場装置および支援機器を含む分散制御および保守ネットワークを有するプロセスプラントの典型的なブロック図であり、プロセスプラントでは、故障検出および分離システムを実現することができる。
図2】弁体の完全性の変化を検出する方法を実施している統計的データ収集および分析ブロックのブロック図である。
図3】そこからインピーダンス測定値が受信され得るPZTセンサを位置付けることができる箇所を示している弁体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
図1をこれより参照すると、故障検出および分離システムを実現することができる実施例のプロセスプラント10は、いくつかの制御および保守システムを含み、それらのシステムは、1つまたは複数の通信回路網を介して支援機器と共に相互接続されている。具体的には、図1のプロセスプラント10は、1つまたは複数のプロセス制御システム12および14を含む。プロセス制御システム12は、PROVOXまたはRS3システムなどの従来のプロセス制御システムでもよく、または、制御装置12Bおよび入出力(I/O)カード12Cに連結されるオペレータインターフェイス12Aを含む何らかの他の制御システムでもよく、入出力カード12Cは、続いて、アナログの、ハイウェイアドレス可能遠隔トランスミッタ(HART)対応の現場装置15などのさまざまな現場装置に連結される。プロセス制御システム14は、分散型のプロセス制御システムでもよく、Ethernetバスなどのバスを介して1つまたは複数の分散制御装置14Bに連結する1つまたは複数のオペレータインターフェイス14Aを含む。制御装置14Bは、例えば、テキサス州オースティンのEmerson Process Managementが販売するDelta VTM制御装置または何らかの他の所望の型の制御装置でもよい。制御装置14Bは、入出力装置を介して1つまたは複数の現場装置16に接続されており、現場装置として、例えば、HARTまたはFieldbus現場装置、または、PROFIBUS(登録商標)、WORLDFIP(登録商標)、Device―Net(登録商標)、AS―InterfaceおよびCANプロトコル、のいずれかを使用する装置などを含む何らかの他のスマートまたは非スマート現場装置などがある。周知のように、現場装置16は、プロセス変数ならびに他の装置情報に関連した制御装置14Bにアナログまたはデジタルの情報を提供し得る。オペレータインターフェイス14Aは、プロセス制御オペレータが、例えば、制御オプティマイザ、診断エキスパート、ニューラルネットワーク、チューナ等を含むプロセスの作動を制御するのに利用できるツールを記憶し、実行することができる。
【0006】
またさらに、AMSアプリケーションまたは何らかの他の装置監視および通信アプリケーションを実行しているコンピュータなどの保守システムは、プロセス制御システム12および14またはその中の個別の装置に接続されていて、保守および監視活動を行うことができる。例えば、保守コンピュータ18は、制御装置12Bに、および/または任意の所望の通信回線またはネットワーク(無線または携帯用装置ネットワークを含む)を介して装置15に、接続していて、装置15と通信し、いくつかの例では、装置15上で他の保守活動を再構成または実行することができる。同様に、AMSアプリケーションなどの保守アプリケーション17および19は、分散プロセス制御システム14と関連付けられるユーザインターフェイス14Aのうちの1つまたはそれ以上に組み込まれ、インターフェイスによって実行されることで、保守および監視機能を果たすことができ、それには、装置16の作動状態に関連したデータ収集が含まれる。
【0007】
さらにプロセスプラント10は、タービン、モーターなど、さまざまな回転機器20を含み、回転機器は、いくつかの永続的または一時的な通信リンク(バス、無線通信方式または機器20に接続して読み取り後取り外される携帯用装置など)を介して保守コンピュータ22に接続される。保守コンピュータ22は、例えばCSI(Emerson Process Management Company)が提供する周知の監視および診断アプリケーション23、または回転機器20の動作状態を診断、監視、最適化するのに使用される他の任意の周知のアプリケーションを記憶して、実行することができる。保守作業員は、通常、アプリケーション23を使用して、プラント10の回転機器20の性能を維持および監督し、回転機器20に関する問題を確定し、回転機器20を修理または交換すべき時、および修理または交換すべきかどうかを判断する。場合によっては、外部のコンサルタントまたはサービス組織が、一時的に、機器20に関係するデータを取得または測定し、そのデータを使用して、問題、性能不足または機器20に影響を及ぼす他の課題を検出するために機器20の分析を行なうこともある。このような場合、分析を実行中のコンピュータは、いかなる通信回線を介しても残りのシステム10に接続してはならない、またはほんの一時的にしか接続することができない。
【0008】
同様に、プラント10と関連付けられる発電および配電機器25を有する発電および配電システム24は、例えば、バスを介して、プラント10の中で発電および配電機器25が作動することを実行および監督する別のコンピュータ26に接続される。コンピュータ26は、例えばLiebertおよびASCOまたは他の会社が提供するような周知の電力制御および診断アプリケーション27を実行して、発電および配電機器25を制御および維持する。さらに、多くの場合、外部のコンサルタントまたはサービス組織は、機器25に関係するデータを一時的に取得または測定して、このデータを使用して、問題、性能不足または機器25に影響を及ぼす他の課題を検出するために機器25の分析を実行するサービスアプリケーションを使用することができる。このような場合、分析を実行するコンピュータ(コンピュータ26など)は、いかなる通信回線を介しても残りのシステム10に接続してはならない、またはほんの一時的にしか接続することができない。
【0009】
図1に示すように、コンピュータシステム30は、統計的シグネチャデータ上の主成分分析(PCA)を使用して、故障の検出および分離(FDI)システム35の少なくとも一部を実施する。統計的シグネチャデータは、統計的な測定値、例えば、平均、平均変化、中央値、中央値変化、標準偏差、標準偏差変化、分散、非対称度、尖度、二乗平均平方根(RMS)、変化率、値域、最小値、最大値などを、これらに限定されるものではないが含む。具体的には、コンピュータシステム30は、構成およびデータ収集アプリケーション(CDCA)38、1つまたは複数のビューイングまたはインターフェイスアプリケーション40、統計処理ブロックを含み得るPCAモジュール42を記憶および実施して、多変量統計解析および故障検出モジュール44を提供する。さらにシステム30は、統計プロセス監視データベース43を記憶し、このデータベースは、プロセス内の特定の装置の中で生成された統計的シグネチャデータを記憶する。一般的に言って、構成およびデータ収集アプリケーション38は、現場装置15、16、制御装置12B、14B、回転機器20またはその支援コンピュータ22、発電機器25またはその支援コンピュータ26、およびプロセスプラント10の中の何らかの他の所望の装置および機器、の中に位置する多くの統計的データ収集および解析ブロック(図1に示さず)の各々を構成して、それらと通信し、それによって、故障の検出と分離を実行するのに用いるそれぞれのこうしたブロックから統計的シグネチャデータ(または場合によっては、生のプロセス変数データ)を収集する。構成およびデータ収集アプリケーション38は、物理的に組み込まれたバス45を介して、プラント10の中のコンピュータまたは装置の各々に通信可能に接続され得る、または、代わりに、例えば、ワイヤレス接続、OPCを使用する専用接続、データを収集するのに携帯用装置に依存するような間欠的接続を含む、何らかの他の所望の通信接続を介して接続され得る。同様に、構成およびデータ収集アプリケーション38は、LANまたはインターネット、電話接続、などの一般の接続(インターネット接続46として図1に図示する)を介してプロセスプラント10の中の現場装置および機器に関係するデータを得ることができ、そのようなデータは、例えば、第三者サービス提供者によって収集されている。さらに、構成およびデータ収集アプリケーション38は、例えば、Ethernet、Modbus、HTML、XML、所有権をもった技術/プロトコル、などを含む様々な技術および/またはプロトコルを介してプラント10のコンピュータ/装置に通信可能に連結され得る。このように、OPCを使用して、構成およびデータ収集アプリケーション38をプラント10のコンピュータ/装置に通信可能に連結する特有の実施例について、本明細書では説明しているが、当業者であれば、認識されるように、構成およびデータ収集アプリケーション38をプラント10のコンピュータ/装置に連結する様々な他の方法を同様に用いることもできる。収集データは、周知の正常なまたは周知の異常なプロセス状態と関連付けられる基準データでもよく、またはプロセス状態が周知ではない監視データでもよい。構成およびデータ収集アプリケーション38は、通常データベース43で収集したデータを記憶することができる。
【0010】
プロセスプラント10がFDIシステム35を含むように示されているが、FDIシステム35は、現存する誤りまたは他の異常状態を検出することに限定されるものではなく、さらに異常状態の発生を予測することができることを理解されたい。その実施例をさらに下記に開示する。このようにFDIシステム35を利用して、故障の検出と分離の一部としてプロセスの中で存在している誤りおよび他の異常状態を検出する、および異常状態防止の一部としてプロセスの中で誤りおよび他の異常状態の発生を予測することができる。例えば、本明細書において記載されるように、故障検出モジュール44を利用して、現存するおよび予測される異常状態を検出することができる。
【0011】
さらに、PCAを、使用することができる多変量統計解析技法として最初に開示しているが、PCAは、単に一例として提供されており、PCAは、使用される故障検出および異常状態の防止方法をより理解するために説明されていることを理解されたい。したがって、部分最小二乗(PLS)、主成分回帰(PCR)、判別分析および正準変量分析(CVA)を、これらに限定するわけではないが含む、他の多変量統計解析技術を利用してもよい。検出される異常状態に応じて、さまざまな多変量統計解析技法を利用することができる。例えば、PCAは異常状態の検出および予測の両方で利用することができ、さらにPCAは、異常状態の発生を検出するのに利用することができる一方で、PLSおよび/またはPCRは、異常状態の発生を予測するのに利用することができる。したがって、FDIシステム35は、さまざまな多変量解析技法用の追加モジュールを含んでもよく、および/または、PCAモジュール42を、PLSモジュール、PCRモジュール、判別分析モジュール、CVAモジュールまたは何らかの他の多変量統計解析モジュールと置換してもよい。
【0012】
図1を再度参照すると、構成およびデータ収集アプリケーション38が統計的シグネチャ(または未加工のプロセス変数)データを収集すると、PCAモジュール42は、多変量統計解析を行っていくつかの方法のうちの1つでデータを処理することができる。PCAモジュール42は、収集した統計的シグネチャデータを、正常状態および1つまたは複数の異常状態と関連付けられる基準データとして使用して、1つ以上のプロセス状態と関連付けられる主成分を確定し、組み合せ状態と関連付けられるロードマトリックスを形成することができる。あるいは、PCAモジュール42は、収集した統計的シグネチャデータを、正常なまたは異常なプロセス状態と関連付けられる基準データとして使用して、プロセス状態と関連付けられる主成分を確定し、各状態と関連付けられるロードマトリックスを形成することができる。さらに、PCAモジュール42が、周知の正常なまたは周知の異常なプロセス状態と関連付けられる場合、未加工のプロセス変数データを使用して、基準統計的シグネチャデータを計算し、そこから1つまたは複数のプロセス状態と関連付けられる主成分を確定することができる。未加工のプロセス変数データは、プロセスから測定されるデータを、これに限定するわけではないが含んでいてもよく、温度、圧力、流量、位置など、プロセスの中の装置から測定されるデータを含む。PCAモジュール42は、主成分分析の結果ならびに故障検出モジュール44または表示アプリケーション40で使用されるデータベース43の基準統計的シグネチャデータをさらに記憶することができる。加えて、PCAモジュール42は、並行分析または他の類似方法を用いて、PCAモジュール42によって算出されるいくつの主成分が、故障検出モジュール44で使用され続けるのかを確定することができる。
【0013】
故障検出モジュール44は、PCAモジュール42によって行われる主成分分析の結果を使用して、監視統計的シグネチャ(または未加工のプロセス変数)データを分析して、異常なプロセス状態の存在または将来に存在するであろうことを確定する。以下で詳細に説明するように、故障検出モジュール44は、PCAモジュール42が先に確定したロードマトリックスを使用して、監視統計的シグネチャまたは未加工のプロセス変数データをスコアマトリックスに入れることができる。次いで、故障検出モジュール44は、分析の結果に基づいて、オペレータまたは保守作業員のために1つまたは複数の警報または警告を生成する、または別の方法で、プロセスオペレータまたは保守作業員に、異常状態が存在するかまたは予測されることを通報することができる。同様に、故障検出モジュール44は、データベース43において検出された故障、発せられた警報または警告、およびスコアマトリックスに入れられたデータ(後述する)を含む分析の結果を記憶する、または、ビューイングおよびインターフェイスアプリケーション40に結果を伝える。
【0014】
ビューイングおよびインターフェイスアプリケーション40は、構成エンジニア、プロセス制御オペレータ、保守作業員、工場長、監督、などのプラント作業員が、故障検出モジュール44が発する警報および警告を目視するインターフェイスを含む。表示アプリケーション40は、さらに、さまざまなプロセス制御パラメータの操作、PCAモジュール42および故障検出モジュール44の操作を可能にするインターフェイスと、統計的シグネチャデータ、未加工のプロセス変数データ、自動拡大・縮小データ、スコアマトリックス上にマッピングされたデータ、またはプラント作業員に対して表示するのに有用な何らかの他のデータを含む、関連データを表示する装置と、を含んでいてもよい。
【0015】
ビューイングおよびインターフェイスアプリケーション40は、システム30に、すなわちより詳細にはFDIシステム35に統合されるグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を提供することができ、FDIシステム35が提供するモニタ機能とユーザが相互に作用することを容易にする。しかし、GUIについてより詳細に述べる前に、GUIが、何らかの適切なプログラミング言語および技法を用いて実施される1つまたは複数のソフトウェアルーチンを含み得ることを認知いただきたい。さらに、GUIを構成しているソフトウェアルーチンは、例えばプラント10の中のワークステーション、制御装置などの単一の処理ステーションすなわちユニットの中に記憶され、処理され得る、または、代案としてGUIのソフトウェアルーチンは、FDIシステム35の中で相互に通信可能に連結される複数の処理ユニットを用いた分散型の方法で記憶され、実行され得る。
【0016】
必ずしもというわけではないが、GUIが、よく知られているグラフィックウィンドウベースの構造および外観を用いて実装されれば好ましく、そこにおいて、複数のインターリンクされるグラフィカルなビューすなわちページは、ユーザが望ましい方法でページを検索して、特定の情報を見るおよび/または読み出すことができる、1つまたは複数のプルダウンメニューを含む。FDIシステム35の特徴および/または能力は、GUIの1つまたは複数の対応するページ、ビューまたは表示装置を通して、表示される、アクセスされる、呼び出される等である。その上、GUIを構成しているさまざまな表示装置は、論理的方法でインターリンクされているので、ユーザが、表示装置を素早くかつ直観的に検索して特定の型の情報を読み出す、またはFDIシステム35の特定の能力にアクセスするおよび/またはその特定の能力を呼び出すことを容易にし得る。
【0017】
当業者であれば理解されるように、本明細書に記載されるFDIシステム35は、単独で、または、他の故障検出および異常状態防止システムを含む他のシステムと協働して作動することができる。同様に、FDIシステム35の一部として本明細書に記載される個々のアプリケーション38、40、42、および44は、他のアプリケーション(図示せず)と協力して働くことで、故障を検出し、警報および警告を発し、プラント作業員にデータを提供し、プロセスまたは装置構成または上記の何らかの組み合せを可能にする。
【0018】
図1を再度参照すると、弁15および16は、例えば、プロセスプラント内で半固体、液体または気体状の材料の流量を制御するのに使用され得る。いくつかの例では、材料は、浮遊微粒子を含んでいてもよい。他の例では、材料は、弁16の本体と相互に作用することもあり、時間をかけて弁体を腐食させる。浮遊粒子状物質は、弁体の内表面を磨耗することがあり、侵食の損傷を引き起こす。プロセス流体特性および圧力降下の組み合せは、内部的に弁体材料をさらに侵食し得る流体キャビテーションを引き起こす可能性がある。
【0019】
いくつかの例では、弁体は、センサで構成されてもよい。そのようなセンサには、圧電(PZT)センサが含まれるが、これに限定されるわけではない。使用されるセンサは、能動的または受動的なものでよい。能動的センサには、通常、外部の励起信号が提供される。受動的センサには、通常、外部の励起信号が提供されない。いくつかの例で、センサは、弁体に接合されてもよい。他の例では、弁体は、弁体内にセンサを備えて製造されてもよい。このような例では、弁は、センサにアクセスするためにポートを備えていてもよい。特定の例では、センサは、統計的データ収集および解析ブロックによって監視および制御され、それらのブロックは、例えば、弁ポジショナーまたは弁体15に位置してもよい。この例では、センサは、コネクタバスに接続されるが、コネクタバスは、電力、励起信号を受信して、電気センサデータをデータ収集ブロックに送信するようになっている。他の例では、センサは、例えば、I/Oカード12Cから監視および制御されてもよい。いくつかの例では、データ収集および解析ブロックが受信するデータを、さらにFDI35が受信してもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、PCAモジュール42は、弁体に接合されるセンサからのデータを分析する。この実施形態では、PCAモジュール42は、弁体の完全性のリアルタイム監視を行う。キャビテーションの検出は、弁体の目視検査を必要とせずにPCAモジュール42によって自動化することができる。この実施形態におけるPCAモジュール42は、弁体に接合されるセンサから受信されるデータからシグネチャを作成する。他の実施形態では、弁体からのセンサデータは、例えば、AMSシステムによって分析される。
【0021】
図2は、例えば実施形態200を実施して、例えば弁16の構造変化を検出する、現場装置15、16に位置する統計的データ収集および解析ブロックのブロック図である。この実施形態では、圧電(PZT)センサ204は、適切な接合技法を使用して弁体202に取り付けられる。この実施形態では、PZTセンサ204は、ジルコン酸チタン酸鉛などの圧電セラミック物質でできている。当業者であれば認知されるように、圧電効果を示す任意の材料をセンサとして使用してもよい。この実施形態では、PZTセンサ204は、弁体202にはんだ付けされる。いくつかの他の実施形態では、センサ204は、接合剤または接着剤で弁体202に取り付けられる。さらに他の実施形態では、センサ204は、弁体202に一体化される。この実施形態では、センサ204へのアクセスは、コネクタ212を介して行われる。
【0022】
この実施形態では、PZTセンサ204は、励起モジュール(EM)206によって、励起周波数を提供される。この実施形態では、EM206は、マイクロコントローラ210によって制御される。マイクロコントローラ210は、この実施形態では直列I2Cバスを通じてEM206と通信する。EM206は、この実施形態では、30〜400キロヘルツ(KHz)の範囲の励起周波数を有する電気信号を生成するように構成される。この実施形態では、マイクロコントローラ210は、生成される所望の励起周波数をEM206に伝える。さらに、この実施形態では、マイクロコントローラ210は、EM206によって生成される電気信号用の所望の電圧レベルをEM204に提供する。別の実施形態では、マイクロコントローラ210は、EM206に生成される励起周波数の範囲を提供する。この実施形態では、EM206は、マイクロコントローラによって提供される励起周波数の範囲に対応する励起周波数を有する電気信号を順次生成する。
【0023】
ある実施形態では、EM206は、電圧制御発振器(VCO)に電気的に連結されるデジタル/アナログ変換器(DAC)を備えている。この実施形態では、DACは、マイクロコントローラ210から励起周波数のデジタル表現を受信する。DACは、生成される電気信号用励起周波数に対応するアナログ電圧を作り出す。VCOは、この実施形態では、DACが作り出すアナログ電圧に対応する励起周波数を生成する。いくつかの他の実施形態では、EM206は、2つ以上の励起周波数を有する電気信号複合体を生成するように構成される。
【0024】
EM206から電気信号を受信すると、PZT204は、一体化したPZT204および弁体202のインピーダンス測定値に対応する電流を生成する。PZT204によって生成される電流は、EM206によって生成される電気信号の励起周波数が変更されるにつれて変わる。
【0025】
PZT204によって生成される電流は、インピーダンス測定ユニット(IMU)208によって受信される。IMU208は、直列I2Cバスを通じてマイクロコントローラ210と通信する。マイクロコントローラ210は、PZT204によって生成される電流をサンプリングするようIMU208に指示する。IMU208は、信号調整回路および電子回路を備えている。そのような回路には、電流電圧変換器、低雑音増幅器(LNA)、帯域通過およびノッチフィルタが含まれるが、これらに限定されるわけではない。当業者であれば認知されるように、インピーダンス測定値は、実数成分と虚数成分を備えている。IMU208は、電流の実数成分のデジタル表現を生成し、これは、この実施形態では、一体化したPZT204および弁体202のインピーダンス測定値に対応する。一体化したPZT204と弁体202のインピーダンス測定値のデジタル表現は、マイクロコントローラ210によって受信される。ある実施形態では、IMU208は、アナログ/デジタル変換装置(ADC)を備えている。この実施形態では、ADCは、逐次比較ADCである。別の実施形態では、二重積分ADCが使用される。
【0026】
ある実施形態では、マイクロコントローラ210は、生成される電気信号に関する所望の励起周波数をEM206に伝える。EM206は、励起周波数の電気信号を生成して、電気信号をPZT204に伝える。マイクロコントローラ210は、電気信号に応答してPZT204によって生成される電流をサンプリングするようIMU208に指示する。デジタル表現をマイクロコントローラ210が受信する。マイクロコントローラ210は、生成される電気信号ごとに異なる励起周波数をEM206に伝え、異なる励起周波数で生成される電気信号の受信に応答してPZT204によって生成される電流をサンプリングするようIMU208に指示する。この実施形態では、マイクロコントローラは、30〜400KHzまで1KHz刻みで、例えば30KHz、31KHz〜399KHz、400KHzと変動する励起周波数をEM206に、順次伝える。それぞれの励起周波数をEM206に伝えた後に、マイクロコントローラ202は、異なる励起周波数で生成される電気信号の受信に応答してPZT204によって生成される電流をサンプリングするようIMU208に指示する。このように、マイクロコントローラ210は、一体化したPZT204および弁体202のインピーダンス測定値と、EM206によって生成される電気信号の対応する励起周波数と、のインピーダンスレコードを作成する。
【0027】
図1を参照すると、マイクロコントローラ210は、ある実施形態では、インピーダンス測定値および対応する励起周波数を含むレコードをコンピュータシステム30に送信する。この実施形態では、マイクロコントローラ210は、CANプロトコルを実施してコンピュータシステム30と通信する。この実施形態では、コンピュータシステム30で次々に実施される故障の検出と分離(FDI)システム35の一部として実施されるCDCA38は、インピーダンスレコードを作成するようマイクロコントローラ210に指示する。CDCA38は、開始励起周波数、終了励起周波数および周波数の漸進的変化をマイクロコントローラ210に指示する。CDCA38は、マイクロコントローラ210からインピーダンスレコードを受信する。この実施形態では、CDCA38は、データベース43にインピーダンスレコードを記憶する。
【0028】
PCAモジュール42は、記憶したインピーダンスレコードをデータベース43から読み出して、曲線適合法をインピーダンスレコードに適用する。ある実施形態では、PCAモジュール42は、インピーダンスレコードを第n番目順序多項式に適合させる。PCAモジュール42は、多項式の係数をデータベース43に記憶する。ある実施形態では、こうした係数は、例えば、弁体202のインピーダンスシグネチャに対応する。他の実施形態では、インピーダンスレコードは、例えば、弁体202のインピーダンスシグネチャとなる。
【0029】
ある実施形態では、CDCA38は、インピーダンスレコードを作成するようマイクロコントローラ210に定期的に指示する。CDCA38は、マイクロコントローラ210からインピーダンスレコードを受信する。
【0030】
ある実施形態では、CDCA38は、インピーダンスレコードを受信して、例えば、弁体202に関して以前に記憶されたインピーダンスレコードを読み出す。この実施形態では、CDCA38は、受信したインピーダンスレコードおよび読み出したインピーダンスレコードをPCA42に伝える。PCA42は、インピーダンスレコードを比較して、インピーダンスシグネチャの変化を検出する。1つの実施形態では、インピーダンスレコードは、構築済みの/新規のインピーダンスレコードと比較される。ある実施形態では、インピーダンスを多項式に適合するために算出される係数が、事前設定の係数閾値から逸脱している場合、変動が信号で伝えられる。いくつかの実施形態では、PCA42は、例えば、弁体202用データベース43に記憶される履歴インピーダンスレコードの平均を計算する。インピーダンスレコードの平均は、受信インピーダンスレコードと比較されて、平均からの偏差を検出する。さらに他の実施形態では、PCA42は、CDCA38から受信されるインピーダンスレコードの、データベース43に記憶された履歴インピーダンスレコードからの標準偏差を計算する。
【0031】
この実施形態では、ユーザは、システム30に統合されている、より詳細にはFDIシステム35に統合されているビューイングおよびインターフェイスアプリケーション40の閾値標準偏差値を特定する。受信インピーダンスレコードがユーザ特定の閾値から逸脱している場合、この実施形態では、ビジュアルキューの形の指摘および可聴音が生成される。この実施形態では、偏差は、弁体材料の損失または亀裂状の不連続部を示す。
【0032】
ある実施形態では、ユーザは、ビューイングおよびインターフェイスアプリケーション40を介してインピーダンスレコードを作成するようマイクロコントローラ210に指示する。いくつかの実施形態では、FDIシステム35は、例えば、弁体202の有効寿命に対応する指摘をユーザに提供する。この実施形態では、指摘は、ビューイングおよびインターフェイスアプリケーション40を通じて提供される。
【0033】
図2を参照すると、当業者であれば認知されるように、いくつかの実施形態では、FDI35は、マイクロコントローラ210で実施される。そのような実施形態では、システム200は、弁体202の完全性を監視するためにスタンドアロンシステムを備えている。
【0034】
いくつかの実施形態では、PZTセンサは、受動モードで使用されてもよい。この作動モードでは、PZTセンサは、励起信号を提供されない。この実施形態では、PZTセンサは、例えば弁の中で、構造変化に起因する可聴変化を検出する。可聴変化は、弁の材料の亀裂の伝播からの音響放出によって作り出され得る。
【0035】
ある実施形態では、PZTセンサは、例えば、弁体の故障を検出する。この実施形態では、マイクロコントローラ210は、インピーダンス測定ユニット208を、例えばセンサ204が検出する可聴レベルを感知するようにさせる。この実施形態では、FDI35は、マイクロコントローラ210から受信される可聴のレベルに基づいて、シグネチャを生成する。この実施形態では、FDI35は、マイクロコントローラ210での可聴レベル閾値を設定する。マイクロコントローラ210は、可聴信号が閾値を超えたことの指摘を生成する。可聴信号の変化は、ある実施形態では、弁の構造変化に対応する。構造変化は、例えば、弁体の故障または弁の詰まりを含んでもよい。この実施形態では、FDI35は、マイクロコントローラが閾値を超える可聴レベルの変化を検出したことの指摘を非同期的に受信する。FDI35は、この実施形態では、警報を発することができるまたはプロセスプラントの作業を修正することができる。どのような実施形態においても、FDI35は、適切なアルゴリズムを実施して、音響放出の周波数およびエネルギーレベルを分析する。
【0036】
図3は、実施例の弁体202の横方向十字継手である。図1を参照すると、弁300は、ある実施形態の弁15に対応する。この実施形態では、PZTセンサ304は、閉塞部材の近くで弁体310に接合される。PZTセンサ304は、適切な接合剤によって接合される。PZTセンサ304は、電気コネクタ306と接続される。コネクタ306は、ある実施形態のコネクタ212に対応する。弁体310は、キャビテーション308を発現しており、これは、結果的に弁体材料の損失となる可能性がある。この実施形態では、CDCA38によって受信されるインピーダンスレコードは、キャビテーション308の発生の前の弁体310の履歴インピーダンスレコードから逸脱している。弁体完全性の損失を指摘する警告は、この実施形態では、システム30と統合されるGUIで表示される。
【0037】
別の実施形態では、CDCA38は、アクチュエータ脚に接合されるPZTセンサからインピーダンスレコードを受信する。受信したインピーダンスレコードが、アクチュエータ脚に関する履歴インピーダンスレコードから逸脱すると、ある実施形態では、アクチュエータ脚の疲労クラックを指摘する事象を発生させる。図3を参照すると、別の実施形態では、弁300を、固体または半固体の材料、例えば汚泥またはコークスを運ぶのに使用してもよい。この実施形態では、インピーダンスレコードの履歴インピーダンスレコードからの逸脱は、弁の詰まりを指摘し得る。
【0038】
さらに別の実施形態では、複数のPZTセンサ304は、弁体310に接合されてもよい。この実施形態では、複数のセンサの順次励起を含むインピーダンスレコードを、受信することができる。この実施形態では、CDCA38は、弁体の完全性の三次元マップを作り上げることができる。
図1
図2
図3