特許第6335364号(P6335364)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6335364エレベータ制御装置、エレベータ群管理制御装置、エレベータシステム、およびエレベータ制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6335364
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】エレベータ制御装置、エレベータ群管理制御装置、エレベータシステム、およびエレベータ制御方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/18 20060101AFI20180521BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   B66B1/18 Q
   B66B3/00 M
【請求項の数】8
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-108206(P2017-108206)
(22)【出願日】2017年5月31日
【審査請求日】2017年5月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】宇土沢 直幾
【審査官】 井上 信
(56)【参考文献】
【文献】 特開平6−271210(JP,A)
【文献】 特開平9−67070(JP,A)
【文献】 特開2013−56720(JP,A)
【文献】 特開2015−67432(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/18
B66B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータが設置された建物の各階床の乗場に設けられ、対応する乗場にいる利用者の識別情報を取得する利用者識別装置に接続されたエレベータ制御装置において、
過去のエレベータ利用状況から取得した、前記エレベータの利用者ごと、待ち時間ごと、および乗りかごの乗車率ごとの乗り込んだか否かを示す情報を、乗り込み判断情報として記憶する乗り込み判断データベースと、
前記利用者識別装置で利用者の識別情報が取得された時点を、当該利用者のエレベータ待ち開始時刻として取得する待ち開始時刻取得部と、
いずれかの階床で新たな乗場呼びが発生すると、該当する階床の利用者識別装置で識別情報が取得された利用者に関する乗り込み判断情報を、前記乗り込み判断データベースから取得する乗り込み判断情報取得部と、
前記新たな乗場呼びに応答する乗りかごの予測到着時刻を取得し、該当する乗場の利用者ごとのエレベータ待ち開始時刻と、前記乗りかごの予測到着時刻とから、該当する利用者ごとの予測待ち時間を算出し、前記乗り込み判断情報取得部で取得された情報と、算出した予測待ち時間情報とに基づいて、該当する利用者ごとの前記応答する乗りかごへの乗り込みを許容する乗車率の上限値を、該当する利用者ごとの乗り込み許容乗車率として算出する利用者許容乗車率算出部と、
前記利用者許容乗車率算出部で算出された該当する利用者ごとの乗り込み許容乗車率に基づいて、前記乗場呼びが発生した乗場に関する乗り込み許容乗車率を算出する乗場許容乗車率算出部と、
前記乗場呼びに応答する乗りかごの乗車率が、前記乗場許容乗車率算出部で算出された、当該乗場に関する乗り込み許容乗車率を超えているときには、当該乗りかごを当該乗場に着床させず満員通過させるための指令を出力する制御指令出力部と
を備えることを特徴とするエレベータ制御装置。
【請求項2】
複数のエレベータが設置された建物内の各階床の乗場に設けられ、対応する乗場にいる利用者の識別情報を取得する利用者識別装置に接続されるとともに、各エレベータの単体制御装置に接続されたエレベータ群管理制御装置において、
過去の前記複数のエレベータの利用状況から取得した、利用者ごと、待ち時間ごと、および乗車率ごとの乗り込んだか否かを示す情報を、乗り込み判断情報として記憶する乗り込み判断データベースと、
前記利用者識別装置で利用者の識別情報が取得された時点を、当該利用者のエレベータ待ち開始時刻として取得する待ち開始時刻取得部と、
いずれかの階床で新たな乗場呼びが発生すると、該当する階床の利用者識別装置で識別情報が取得された利用者に関する乗り込み判断情報を、前記乗り込み判断データベースから取得する乗り込み判断情報取得部と、
前記新たな乗場呼びに応答する乗りかごの予測到着時刻を取得し、該当する乗場の利用者ごとのエレベータ待ち開始時刻と、前記乗りかごの予測到着時刻とから、該当する利用者ごとの予測待ち時間を算出し、前記乗り込み判断情報取得部で取得された情報と、算出した予測待ち時間情報とに基づいて、該当する利用者ごとの前記応答する乗りかごへの乗り込みを許容する乗車率の上限値を、該当する利用者ごとの乗り込み許容乗車率として算出する利用者許容乗車率算出部と、
前記利用者許容乗車率算出部で算出された該当する利用者ごとの乗り込み許容乗車率に基づいて、前記乗場呼びが発生した乗場に関する乗り込み許容乗車率を算出する乗場許容乗車率算出部と、
前記乗場呼びに応答する乗りかごの乗車率が、前記乗場許容乗車率算出部で算出された、当該乗場に関する乗り込み許容乗車率を超えているときには、当該乗りかごを当該乗場に着床させず満員通過させるための指令を、該当するエレベータの単体制御装置に出力する制御指令出力部と
を備えることを特徴とするエレベータ群管理制御装置。
【請求項3】
前記乗り込み判断データベースは、過去の前記複数のエレベータの利用状況から取得した、利用者ごと、待ち時間ごと、乗車率ごと、および運行モードごとの乗り込んだか否かを示す情報を、乗り込み判断情報として記憶し、
前記利用者許容乗車率算出部は、前記乗り込み判断情報取得部で取得された情報と、算出した予測待ち時間情報とに基づいて、該当する利用者ごとおよび運行モードごとの前記応答する乗りかごへの乗り込みを許容する乗車率の上限値を、該当する利用者ごとの乗り込み許容乗車率として算出する
ことを特徴とする請求項2に記載のエレベータ群管理制御装置。
【請求項4】
いずれかの階床で新たな乗場呼びが発生すると、群管理制御対象の各エレベータの運転状況情報に基づいて、当該乗場呼びに対する各乗りかごの割り当ての優先度を示す評価値を算出し、算出した評価値に基づいて決定した前記新たな乗場呼びに応答する乗りかごの情報から、前記乗場許容乗車率算出部で乗場の許容乗車率が算出されると、当該乗場の許容乗車率に基づいて前記評価値を更新する割り当て評価値算出部をさらに有する
ことを特徴とする請求項2または3に記載のエレベータ群管理制御装置。
【請求項5】
建物内に設置された複数のエレベータ群管理制御装置と、乗り込み判断データベース記憶装置とが接続されたエレベータシステムにおいて、
前記乗り込み判断データベース記憶装置は、前記複数のエレベータ群管理制御装置による群管理制御対象の複数のエレベータの利用状況から取得した、利用者ごと、待ち時間ごと、および乗車率ごとの乗り込んだか否かを示す情報を、乗り込み判断情報として記憶するデータベースを有し、
前記複数のエレベータ群管理制御装置はそれぞれ、前記建物内の各階床の乗場に設けられた、対応する乗場にいる利用者の識別情報を取得する利用者識別装置に接続されるとともに、群管理制御対象の各エレベータの単体制御装置に接続され、
前記利用者識別装置で利用者の識別情報が取得された時点を、当該利用者のエレベータ待ち開始時刻として取得する待ち開始時刻取得部と、
いずれかの階床で新たな乗場呼びが発生すると、該当する階床の利用者識別装置で識別情報が取得された利用者に関する乗り込み判断情報を、前記乗り込み判断データベースから取得する乗り込み判断情報取得部と、
前記新たな乗場呼びに応答する乗りかごの予測到着時刻を取得し、該当する乗場の利用者ごとのエレベータ待ち開始時刻と、前記乗りかごの予測到着時刻とから、該当する利用者ごとの予測待ち時間を算出し、前記乗り込み判断情報取得部で取得された情報と、算出した予測待ち時間情報とに基づいて、該当する利用者ごとの前記応答する乗りかごへの乗り込みを許容する乗車率の上限値を、該当する利用者ごとの乗り込み許容乗車率として算出する利用者許容乗車率算出部と、
前記利用者許容乗車率算出部で算出された該当する利用者ごとの乗り込み許容乗車率に基づいて、前記乗場呼びが発生した乗場に関する乗り込み許容乗車率を算出する乗場許容乗車率算出部と、
前記乗場呼びに応答する乗りかごの乗車率が、前記乗場許容乗車率算出部で算出された、当該乗場に関する乗り込み許容乗車率を超えているときには、当該乗りかごを当該乗場に着床させず満員通過させるための指令を、該当するエレベータの単体制御装置に出力する制御指令出力部と
を備えることを特徴とするエレベータシステム。
【請求項6】
前記乗り込み判断データベース記憶装置は、他の建物にエレベータシステムに接続され、当該他の建物のエレベータシステム内のエレベータの利用状況から取得した乗り込み判断情報をさらに記憶する
ことを特徴とする請求項5に記載のエレベータシステム。
【請求項7】
前記乗り込み判断データベース記憶装置は、前記他の建物のエレベータシステム内のエレベータの利用状況から取得した、利用者ごと、待ち時間ごと、乗車率ごと、および建物の利用用途ごとの乗り込んだか否かを示す情報を、乗り込み判断情報として記憶し、
前記利用者許容乗車率算出部は、前記乗り込み判断情報取得部で取得された情報と、算出した予測待ち時間情報とに基づいて、該当する利用者ごとおよび建物の利用用途ごとの前記応答する乗りかごへの乗り込みを許容する乗車率の上限値を、該当する利用者ごとの乗り込み許容乗車率として算出する
ことを特徴とする請求項6に記載のエレベータシステム。
【請求項8】
エレベータが設置された建物の各階床の乗場に設けられ、対応する乗場にいる利用者の識別情報を取得する利用者識別装置に接続され、過去のエレベータ利用状況から取得した、前記エレベータの利用者ごと、待ち時間ごと、および乗りかごの乗車率ごとの乗り込んだか否かを示す情報を、乗り込み判断情報として記憶する乗り込み判断データベースを備えたエレベータ制御装置が、
前記利用者識別装置で利用者の識別情報が取得された時点を、当該利用者のエレベータ待ち開始時刻として取得する待ち開始時刻取得ステップと、
いずれかの階床で新たな乗場呼びが発生すると、該当する階床の利用者識別装置で識別情報が取得された利用者に関する乗り込み判断情報を、前記乗り込み判断データベースから取得する乗り込み判断情報取得ステップと、
前記新たな乗場呼びに応答する乗りかごの予測到着時刻を取得し、該当する乗場の利用者ごとのエレベータ待ち開始時刻と、前記乗りかごの予測到着時刻とから、該当する利用者ごとの予測待ち時間を算出し、前記乗り込み判断情報取得ステップで取得された情報と、算出した予測待ち時間情報とに基づいて、該当する利用者ごとの前記応答する乗りかごへの乗り込みを許容する乗車率の上限値を、該当する利用者ごとの乗り込み許容乗車率として算出する利用者許容乗車率算出ステップと、
前記利用者許容乗車率算出ステップで算出された該当する利用者ごとの乗り込み許容乗車率に基づいて、前記乗場呼びが発生した乗場に関する乗り込み許容乗車率を算出する乗場許容乗車率算出ステップと、
前記乗場呼びに応答する乗りかごの乗車率が、前記乗場許容乗車率算出ステップで算出された、当該乗場に関する乗り込み許容乗車率を超えているときには、当該乗りかごを当該乗場に着床させず満員通過させるための指令を出力する制御指令出力ステップと
を有することを特徴とするエレベータ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータ制御装置、エレベータ群管理制御装置、エレベータシステム、およびエレベータ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベータで乗場呼びが登録されると、当該乗場呼びに割り当てられた乗りかごが応答する。その際、乗場呼びの応答階に到着する前に乗りかごが満員になると、それ以上乗り込むことができないため、乗りかごは当該応答階に着床せずに通過する(以下、このような応答階の通過を「満員通過」という)。
【0003】
このとき、乗りかごが満員であるか否かは、乗りかごにかかる荷重量が所定値に達したか否かにより判断されるため、混雑していても荷重量が所定値に達していなければ、乗りかごは応答階に停止して戸開する。
【0004】
しかし、利用者によっては、乗りかごが着床して戸開したときに、ある程度混雑していると乗りこまずに見送る場合がある。このような事態が発生すると、エレベータの運転効率が低下してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−86808号公報
【特許文献2】特公平4−36996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したような運転効率の低下を防ぐため、乗りかごの停止階床、方向、時間帯、または運行モード等により、乗りかごが満員であるか否かを判断するための荷重量の閾値を変更する技術がある。しかし、このような変更を行ってもやはり、利用者によって乗り込むことを許容できる混雑度合いは異なるため、運転効率の向上は困難であった。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、利用者ごとのエレベータの利用傾向に基づいて、効率よくエレベータを運転させるエレベータ制御装置、エレベータ群管理制御装置、エレベータシステム、およびエレベータ制御方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための実施形態によれば、エレベータ制御装置は、乗場の利用者識別装置に接続され、利用者許容乗車率算出部と乗場許容乗車率算出部と制御指令出力部とを備える。利用者許容乗車率算出部は、新たな乗場呼びが発生すると、過去の利用状況に基づいて、該当する乗場にいる利用者ごとの待ち時間に応じた乗り込みを許容する乗車率の上限値を、利用者ごとの乗り込み許容乗車率として算出する。乗場許容乗車率算出部は、利用者ごとの乗り込み許容乗車率から当該乗場の乗り込み許容乗車率を算出する。制御指令出力部は、応答する乗りかごの乗車率が当該乗場の乗り込み許容乗車率を超えているときには、当該乗りかごを満員通過させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1、第4、第5実施形態によるエレベータ群管理制御装置を利用したエレベータシステムの構成図。
図2】第1、第4実施形態によるエレベータ群管理制御装置の構成を示すブロック図。
図3】第1実施形態によるエレベータ群管理制御装置で実行される利用者の利用傾向を学習する処理のシーケンス図。
図4】第1実施形態によるエレベータ群管理制御装置で記憶される乗り込み判断情報の一例を示す表。
図5】第1実施形態によるエレベータ群管理制御装置で実行される乗場呼び割り当て処理および満員通過の判断処理のシーケンス図。
図6】第1実施形態によるエレベータ群管理制御装置において、(s)利用者ごとの乗り込み情報をプロットしたグラフ、(b)プロットから生成された許容乗車率グラフ。
図7】第1実施形態によるエレベータ群管理制御装置において、(a)乗場にいる利用者の一例、(b)許容乗車率70%の場合の応答状態の説明図、(c)許容乗車率50%の場合の応答状態の説明図。
図8】第2実施形態による建物内エレベータシステムの構成図。
図9】第2実施形態によるエレベータ群管理制御装置の構成を示すブロック図。
図10】第3実施形態によるエリア内エレベータシステムの構成図。
図11】第4実施形態によるエレベータ群管理制御装置で実行される利用者の利用傾向を学習する処理のシーケンス図。
図12】第4実施形態によるエレベータ群管理制御装置で実行される乗場呼び割り当て処理および満員通過の判断処理のシーケンス図。
図13】第5実施形態によるエレベータ群管理制御装置の構成を示すブロック図。
図14】第5実施形態によるエレベータ群管理制御装置で実行される乗場呼び割り当て処理および満員通過の判断処理のシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
《第1実施形態》
〈第1実施形態によるエレベータシステムの構成〉
本発明の第1実施形態によるエレベータ群制御装置を用いたエレベータシステム1Aの構成について、図1を参照して説明する。本実施形態によるエレベータシステム1Aは、n階建ての建物内に設置されたX号機エレベータ10XおよびY号機エレベータ10Yと、当該建物内の1階〜n階の各乗場20−1〜20−nにそれぞれ設置された乗場操作盤21−1〜21−n、および利用者識別装置としてのカメラ装置22−1〜22−nと、X号機エレベータ10XおよびY号機エレベータ10Yを群管理制御するエレベータ群管理制御装置30Aとを備える。本実施形態においては、利用者識別装置としてカメラ装置を用いているが、これには限定されず、利用者が携帯する携帯端末や、カードキー、IDタグ等から取得する情報を利用する認証装置等、利用者を識別することが可能な装置であればよい。
【0011】
X号機エレベータ10Xは、乗りかご11Xと、X号機エレベータ単体制御装置12Xと、各階床の乗場20−1〜20−nにそれぞれ設置された乗場ドア13X−1〜13X−nとを有する。乗りかご11X内には、利用者が行先階登録操作を行うかご内操作盤111Xが設置されている。Y号機エレベータ10Yも同様に、乗りかご11Yと、Y号機エレベータ単体制御装置12Yと、乗場ドア13Y−1〜13Y−nとを有し、乗りかご11Y内にはかご内操作盤111Yが設置されている。
【0012】
以下、X号機エレベータ10XであるかY号機エレベータ10Yであるかを特定する必要がない場合は、単にエレベータ10と記載するものとする。同様に、エレベータ内の各装置に関しても、乗りかご11、エレベータ単体制御装置12、かご内操作盤111、および乗場ドア13と記載する。
【0013】
X号機エレベータ単体制御装置12Xは、かご内操作盤111Xにおける行先階登録操作情報、乗りかご11Xにかかる荷重情報、乗りかご11Xの位置情報および走行方向情報等をエレベータ群管理制御装置30Aに送信する。また、エレベータ群管理制御装置30Aからの指示に基づいて、X号機エレベータ10X内の機器の動作を制御する。
【0014】
Y号機エレベータ単体制御装置12Yも同様に、かご内操作盤111Yにおける行先階登録操作情報、乗りかご11Yにかかる荷重情報、乗りかご11Yの位置情報および走行方向情報等をエレベータ群管理制御装置30Aに送信する。また、エレベータ群管理制御装置30Aからの指示に基づいて、Y号機エレベータ10Y内の機器の動作を制御する。
【0015】
各乗場20−1〜20−nの乗場操作盤21−1〜21−nはそれぞれ、利用者が上方向または下方向を指定して乗場呼び登録を行うための釦を有する。また、各乗場20−1〜20−nのカメラ装置22−1〜22−nはそれぞれ、設置された階床の乗場20−1〜20−nを撮影し、生成した撮像情報から、対応する乗場20−1〜20−nにいる利用者の識別情報を取得する。
【0016】
エレベータ群管理制御装置30Aは、図2に示すように、仕様情報記憶部301と、エレベータ情報管理部302Aと、待ち開始時刻取得部303と、乗り込み判断情報出力部304Aと、乗り込み判断データベース305と、乗場呼び受付部306と、割り当て評価値算出部307と、割り当てかご決定部308と、乗り込み判断情報取得部309と、利用者許容乗車率算出部310Aと、乗場許容乗車率算出部311と、制御指令出力部312とを有する。
【0017】
仕様情報記憶部301は、X号機エレベータ10XおよびY号機エレベータ10Yに関する仕様情報、例えば、利用用途や、乗りかご11X、11Yの定員、定格速度等を予め記憶する。これらの情報は、X号機エレベータ単体制御装置12X、Y号機エレベータ単体制御装置12Yから取得するようにしてもよい。エレベータ情報管理部302Aは、X号機エレベータ単体制御装置12X、Y号機エレベータ単体制御装置12Yから、X号機エレベータ10XおよびY号機エレベータ10Yの運転状況情報を取得する。運転状況情報としては例えば、かご内操作盤111X、111Yにおける行先階登録操作情報、乗りかご11X、11Yにかかる荷重情報、乗りかご11X、11Yの位置情報および走行方向情報等がある。
【0018】
待ち開始時刻取得部303は、カメラ装置22−1〜22−nで利用者の識別情報が取得された時点を、各階の乗場20−1〜20−nにいる利用者ごとのエレベータ待ち開始時刻として取得する。乗り込み判断情報出力部304Aは、エレベータ情報管理部302Aで取得された情報と、待ち開始時刻取得部303で取得された利用者ごとのエレベータ待ち開始時刻とに基づいて、乗りかご11X、11Yそれぞれがいずれかの乗場20で戸開する都度、当該乗場にいる利用者ごとに、待ち開始時刻から戸開するまでの待ち時間と、戸開した乗りかご11X、11Yに乗り込んだか否かを示す情報と、該当する乗りかご11X、11Yの戸開中における最小の乗車率とを乗り込み判断情報として取得し、乗り込み判断データベース305に出力する。乗り込み判断データベース305は、乗り込み判断情報出力部304Aから出力された、利用者ごとの乗り込み判断情報を記憶する。
【0019】
乗場呼び受付部306は、各階の乗場操作盤21−1〜21−nの操作による乗場呼び情報を受け付ける。割り当て評価値算出部307は、乗場呼び受付部306で新たな乗場呼びが受け付けられると、エレベータ情報管理部302Aで取得されたX号機エレベータ10XおよびY号機エレベータ10Yの運転状況情報に基づいて、当該乗場呼びに対する各乗りかご11X、11Yの割り当ての優先度を示す評価値を算出する。割り当てかご決定部308は、割り当て評価値算出部307で算出された評価値に基づいて、当該乗場呼びに対する割り当てかごを決定する。
【0020】
乗り込み判断情報取得部309は、乗場呼び受付部306で新たな乗場呼びが受け付けられると、当該乗場呼びが発生した階床に設置されたカメラ装置22で識別情報が取得された利用者に関する乗り込み判断情報を、乗り込み判断データベース305から取得する。
【0021】
利用者許容乗車率算出部310Aは、乗場呼び受付部306で受け付けられた新たな乗場呼びに応答する乗りかご11の予測到着時刻をエレベータ情報管理部302Aから取得する。そして、待ち開始時刻取得部303で取得された該当する乗場の利用者ごとのエレベータ待ち開始時刻と、取得した乗りかご11の予測到着時刻とから、該当する乗場の利用者ごとの予測待ち時間を算出する。また、乗り込み判断情報取得部309で取得された情報に基づいて、当該乗場呼びが発生した階床にいる利用者ごとおよび待ち時間ごとの、乗り込みを許容する乗車率の上限値(以下、「乗り込み許容乗車率」とする)を示す乗り込み許容乗車率グラフを生成する。そして、生成された乗り込み許容乗車率グラフと、算出した利用者ごとの予測待ち時間とに基づいて、該当する階床にいる利用者ごとの該当する乗りかご11への乗り込み許容乗車率を算出する。乗場許容乗車率算出部311は、利用者許容乗車率算出部310Aで算出された利用者ごとの乗り込み許容乗車率に基づいて、当該乗場20に関する乗り込み許容乗車率を算出する。
【0022】
制御指令出力部312は、割り当てかご決定部308で割り当てられた乗りかご11に対応するエレベータ単体制御装置12に、当該乗場呼びへの応答指令を出力する。また、制御指令出力部312は、エレベータ情報管理部302Aで取得された情報に基づいて、割り当てかご決定部308で割り当てられた乗りかご11の乗車率が、乗場許容乗車率算出部311で算出された乗場20の乗り込み許容乗車率を超えているか否かを判定する。判定の結果、当該乗りかご11の乗車率が当該乗場20の乗り込み許容乗車率を超えているときには、当該乗りかご11を当該乗場20に着床させず満員通過させるための指示を、該当するエレベータ単体制御装置12に出力する。
【0023】
〈第1実施形態によるエレベータシステムの動作〉
次に、本実施形態によるエレベータシステム1Aの動作の一例として、1階の乗場20−1にエレベータの利用者Aが来場したときに実行される、(1) 利用者の利用傾向を学習する処理、(2) 乗場呼び割り当て処理、および、(3) 満員通過の判断処理について説明する。
【0024】
(1) 利用者の利用傾向を学習する処理
エレベータシステム1Aで実行される、利用者ごとの利用傾向を学習する処理について、図3のシーケンス図を参照して説明する。まず、エレベータ群管理制御装置30Aのエレベータ情報管理部302Aでは、仕様情報記憶部301からX号機エレベータ10Xの乗りかご11XおよびY号機エレベータ10Yの乗りかご11Yそれぞれの定員の情報が取得される(S1)。また、X号機エレベータ単体制御装置12X、Y号機エレベータ単体制御装置12Yそれぞれから、X号機エレベータ10X、Y号機エレベータ10Yの運転状況情報が所定時間間隔で取得される。X号機エレベータ10X、Y号機エレベータ10Yの運転状況情報には、乗りかご11Xおよび乗りかご11Yの荷重情報が含まれる。エレベータ情報管理部302において運転状況情報が取得されると、乗りかご11X、乗りかご11Yの定員の情報および荷重情報に基づいて、各乗りかご11X、11Yの乗車率が算出される(S2)。
【0025】
次に、1階の乗場20−1にエレベータの利用者Aが来場すると、カメラ装置22−1において、撮像情報から当該利用者Aの識別情報が取得される。カメラ装置22−1で取得された当該利用者Aの識別情報は、エレベータ群管理制御装置30Aに送信される。
【0026】
エレベータ群管理制御装置30Aでは、カメラ装置22−1から送信された乗場20−1の利用者Aの識別情報が待ち開始時刻取得部303および乗り込み判断情報出力部304Aで取得される。待ち開始時刻取得部303では、利用者Aの乗場20−1におけるエレベータの待ち時間の計測が開始される。エレベータの待ち時間の計測は、利用者Aの識別情報が取得されたタイミングで開始されてもよいし、利用者Aの識別情報が取得された後、乗場操作盤21−1で乗場呼びが操作されたタイミングで開始されてもよい。
【0027】
利用者Aにより乗場操作盤21−1が操作されて乗場呼びが発生し、これに応答して乗りかご11X、11Yのいずれかが乗場20−1に着床して戸開すると、利用者Aの待ち時間の計測が開始されてから乗りかごが戸開するまでの時間が利用者Aの待ち時間として取得され、乗り込み判断情報出力部304Aに出力される(S3)。
【0028】
乗り込み判断情報出力部304Aでは、待ち開始時刻取得部303から利用者Aの待ち時間の情報が取得されると、該当する乗りかご11の戸開中における最小の乗車率がエレベータ情報管理部302Aから取得される。乗りかご11の戸開中における最小の乗車率は、利用者Aが乗り込むか否かを判断する時点の乗りかご11の乗車率として取得される。また、該当する乗りかご11にかかる荷重量が戸開中に増加したか否か、またはカメラ装置22−1の撮像情報の解析処理により、利用者Aが乗りかご11に乗り込んだか否かを示す情報が取得される(S4)。
【0029】
そして、利用者Aの待ち時間と、当該乗りかご11の戸開中における最小の乗車率と、戸開した乗りかご11に利用者Aが乗り込んだか否かを示す情報とが乗り込み判断情報として取得され、乗り込み判断データベースに出力される(S5)。このようにして、乗りかご11X、11Yそれぞれがいずれかの乗場20で戸開する都度、当該乗場20にいる利用者ごとに該当する乗り込み判断情報が取得されて、乗り込み判断データベース305に出力される。そして、乗り込み判断データベース305に、乗り込み判断情報出力部304Aから出力された利用者ごとの乗り込み判断情報が順次記憶されることで、過去のエレベータ利用状況が蓄積される(S6)。
【0030】
乗り込み判断データベース305に記憶された乗り込み判断情報の一例を、図4に示す。図4では、利用者A、B・・・Zそれぞれに関し、いずれかの乗場20でエレベータの利用待ちをした都度記憶された、待ち時間と、当該乗りかご11の戸開中における最小の乗車率と、戸開した乗りかご11に利用者Aが乗り込んだか否かを示す情報と、これらの情報の記録日時とが示されている。例えば、利用者Aが、2015年5月30日 9時10分32秒に、待ち時間が4秒経過したタイミングで、乗車率が30%の乗りかご11に乗り込んだことが示されている。
【0031】
この乗り込み判断データベース305の記憶容量は有限であるため、必要に応じて既存の情報が新たな情報で上書きされる。例えば、記録可能な利用者数が26人、利用者ごとに記憶可能な情報数が10個と設定されているときに、利用者Aに関する10個の乗り込み判断情報、利用者Bに関する6個の乗り込み判断情報を含む、利用者A〜Zの26人の乗り込み判断情報が、乗り込み判断データベース305に既に記憶されているものとする。
【0032】
この状態で、利用者Aに関する新たな乗り込み判断情報aが取得されると、利用者Aの既存の情報の中で、当該乗り込み判断情報aで示される待ち時間「4秒」と同じ待ち時間の乗り込み判断情報が、新たな乗り込み判断情報aで上書きされる。利用者Aの既存の情報の中に、同じ待ち時間の乗り込み判断情報がないときには、利用者Aの中で最も古い乗り込み判断情報が、新たな乗り込み判断情報aで上書きされる。ここで、待ち時間を、1秒単位等の短時間で区切った数値で比較すると、新たな情報と既存の情報との待ち時間が一致する確率がかなり低くなってしまうため、例えば5秒単位等で区切った数値で比較するようにしてもよい。
【0033】
また、新たな利用者AAの乗り込み判断情報aaが取得されたときには、既存の情報の中で、最終更新日時が所定期間(例えば、数年や数か月)より前の最も古い利用者の情報が消去され、新たな利用者AAの情報が記憶される。既存の情報の中に、最終更新日が所定期間よりも前の利用者の情報がないときには、記録されている情報量が最も少ない利用者Bが、利用頻度が少ない一時的な利用者であると見做され、該当する情報が消去されて新たな利用者AAの情報aaが記憶される。ただし、情報量が少ない利用者の情報を消去すると、常用する利用者数に対して乗り込み判断データベース305の記憶容量が足りない建物の場合には、新規利用者の情報が保存直後に消去される事態が頻発し、継続して情報が保存され難くなる可能性が高い。そのため、情報量が少ない利用者の情報を消去した場合は、軽度のエラーとし検知し、記憶容量拡大を促す情報を報知するようにしてもよい。
【0034】
(2) 乗場呼び割り当て処理
1階の乗場20−1にエレベータの利用者Aが来場したときに、(1)の利用者の利用傾向を学習する処理と並行してエレベータシステム1Aで実行される乗場呼び割り当て処理について、図5のシーケンス図を参照して説明する。
【0035】
乗場20−1に来場した利用者Aが乗場操作盤21−1で呼び登録操作を行うと、エレベータ群管理制御装置30Aの乗場呼び受付部306で受け付けられる。受け付けられた乗場呼びの情報は、割り当て評価値算出部307および乗り込み判断情報取得部309に出力される(S11)。
【0036】
割り当て評価値算出部307では、乗場呼び受付部306から新たな乗場呼びの情報が取得されると、エレベータ情報管理部302Aで取得されたX号機エレベータ10XおよびY号機エレベータ10Yの運転状況情報に基づいて、当該乗場呼びに対する各乗りかご11X、11Yの割り当ての優先度を示す評価値が算出される。各乗りかご11X、11Yの評価値は、新規に登録された乗場呼びをどの乗りかご11に割り当てるべきかを評価する値であり、例えば、該当する乗場20へのそれぞれの予測到着時刻が早い程高い値で算出される。算出された評価値の情報は、割り当てかご決定部308に出力される(S12、S13)。
【0037】
割り当てかご決定部308では、割り当て評価値算出部307で算出された評価値に基づいて、当該乗場呼びに対する割り当てかごが決定される。ここでは、乗りかご11Xが割り当てかごとして決定されたものとする。決定された割り当てかご11Xの情報は、制御指令出力部312および利用者許容乗車率算出部310Aに出力される(S14)。
【0038】
制御指令出力部312では、割り当てかごとして決定された乗りかご11Xに対応するエレベータ単体制御装置12Xに、当該乗場呼びに対する応答指令が出力される(S15)。以上で、乗場呼び割り当て処理の説明を終了する。
【0039】
(3) 満員通過の判断処理
上述したように、新たな乗場呼びが登録されたときに実行される満員通過の判断処理について、図5のシーケンス図を参照して説明する。
【0040】
乗場呼び受付部306から乗場呼びの情報が出力されると、乗り込み判断情報取得部309において、当該乗場呼びが発生した1階のカメラ装置22−1から、当該乗場20−1にいる利用者の識別情報が取得される。ここでは、乗場20−1にいる利用者として、利用者A〜Eの5人の識別情報が取得されたものとする。そして、この利用者A〜Eに関する乗り込み判断情報が、乗り込み判断データベース305から取得される。ここで、当該建物を初めて利用するため乗り込み判断情報が記憶されていない利用者については、予め作成された平均的な乗り込み判断情報が利用される。取得された利用者A〜Eの乗り込み判断情報は、利用者許容乗車率算出部310Aに出力される(S16)。
【0041】
利用者許容乗車率算出部310Aでは、新たな乗場呼びに応答する乗りかご11Xの予測到着時刻が、エレベータ情報管理部302Aから取得される。そして、待ち開始時刻取得部303で取得された該当する乗場20−1の利用者A〜Eごとのエレベータ待ち開始時刻と、取得した乗りかご11Xの予測到着時刻とから、該当する乗場20−1の利用者A〜Eごとの予測待ち時間が算出される(S17)。また、乗り込み判断情報取得部309で取得された情報に基づいて、当該乗場呼びが発生した乗場20−1の利用者A〜Eごとに、各待ち時間における乗り込み許容乗車率を示す乗り込み許容乗車率グラフが生成される。
【0042】
許容乗車率グラフの生成処理について、図6を参照して説明する。まず図6(a)に示すように、待ち時間を横軸、乗りかごの乗車率を縦軸にとったグラフを利用者ごとに生成し、過去の利用の際に乗り込んだときの待ち時間および乗車率に該当する位置に○印をプロットし、乗り込まなかったときの待ち時間および乗車率に該当する位置に×印をプロットする。次に、図6(a)のグラフから、○印がプロットされた領域と×印がプロットされた領域の境界を示す曲線が、図6(b)のように求められ、当該利用者に関する乗り込み乗車率を示した乗り込み許容乗車率グラフが生成される。この乗り込み許容乗車率グラフは、乗場20−1にいる利用者A〜Eそれぞれについて生成される。
【0043】
図6(b)に示すような乗り込み許容乗車率グラフでは、待ち時間が長い程、乗り込み許容乗車率が高くなる傾向があると考えられる。また、グラフの曲線が上端寄りである利用者は、乗車率が高くでも乗り込む可能性が高く、下端寄りである利用者は、空いた乗りかご11が来るまで長時間でも待つ可能性が高いと考えられる。
【0044】
そして、生成された利用者A〜Eの乗り込み許容乗車率グラフと、算出した利用者A〜Eごとの予測待ち時間とに基づいて、利用者A〜Eごとの乗りかご11Xへの乗り込み許容乗車率が算出される。算出された利用者A〜Eごとの乗りかご11Xへの乗り込み許容乗車率は、乗場許容乗車率算出部311に出力される(S18)。
【0045】
乗場許容乗車率算出部311では、利用者許容乗車率算出部310Aで算出された利用者A〜Eごとの乗り込み許容乗車率に基づいて、当該乗場20−1に関する乗り込み許容乗車率が算出される。算出された乗場20−1に関する乗り込み許容乗車率は、制御指令出力部312に出力される(S19)。
【0046】
制御指令出力部312は、エレベータ情報管理部302Aで取得された情報に基づいて、割り当てかご決定部308で割り当てられた乗りかご11Xの乗車率が、乗場許容乗車率算出部311で算出された乗場20−1の乗り込み許容乗車率を超えているか否かが判定される。判定の結果、当該乗りかご11Xの乗車率が当該乗場20−1の乗り込み許容乗車率を超えているときには、当該乗りかご11Xを当該乗場20−1に着床させず満員通過させるための指示が、該当するエレベータ単体制御装置12Xに出力される(S20)。
【0047】
ここで、乗場許容乗車率算出部311において、乗場20−1の乗り込み許容乗車率としては、利用者A〜Eごとの乗りかご11Xへの乗り込み許容乗車率の中の最大値、最小値、または中央値を用いることが考えられる。
【0048】
利用者A〜Eごとの乗りかご11Xへの乗り込み許容乗車率の中の最大値を乗場20−1の乗り込み許容乗車率として用いると、乗り込む人物はいるものの、全員は乗り込まない可能性が高くなる。例えば、図7(a)に示すように、利用者Aの乗り込み許容乗車率が70%であり、利用者Bの乗り込み許容乗車率が60%であり、利用者Cの乗り込み許容乗車率が50%であり、利用者Dの乗り込み許容乗車率が65%であり、利用者Eの乗り込み許容乗車率が63%であるとする。この場合に、この5人の中の最大値である利用者Aの乗り込み許容乗車率70%が乗場20−1の乗り込み許容乗車率として用いられると、図7(b)に示すように、最初に割り当てられた乗りかご11Xの乗車率が75%の場合は、算出された乗場20−1の乗り込み許容乗車率70%を上回っているため、当該乗りかご11Xを満員通過させるように制御指示が出力される。そして、当該乗場呼びに対して新たに乗りかご11Yが割り当てられ、当該乗りかご11Yの乗車率が68%である場合は、算出された乗場20−1の乗り込み許容乗車率70%に満たないため、当該乗りかご11Yを乗場20−1に応答させるように制御指示が出力される。この場合、応答した乗りかご11Yには、乗り込み許容乗車率が70%の利用者Aは乗り込む可能性が高いが、他の利用者B〜E(特に、利用者BおよびC)は、乗り込む可能性が低い。
【0049】
また、利用者A〜Eごとの乗りかご11Xへの乗り込み許容乗車率の中の最小値を乗場20−1の乗り込み許容乗車率として用いると、利用者を長時間待たせる可能性が高くなる。例えば、図7(a)に示す5人の利用者の中の最小値である利用者Cの乗り込み許容乗車率50%が乗場20−1の乗り込み許容乗車率として用いられると、図7(c)に示すように、最初に割り当てられた乗りかご11Xの乗車率が55%の場合は、算出された乗場20−1の乗り込み許容乗車率50%を上回っているため、当該乗りかご11Xを満員通過させるように制御指示が出力される。そして、当該乗場呼びに対して新たに乗りかご11Yが割り当てられ、当該乗りかご11Yの乗車率が48%である場合は、算出された乗場20−1の乗り込み許容乗車率50%に満たないため、当該乗りかご11Yを乗場20−1に応答させるように制御指示が出力される。この場合、最初に割り当てられた乗りかご11Xには利用者A、B、D、およびEは乗り込む可能性が高いにも関わらず満員通過してしまい、運転効率が低下する可能性がある。そのため、利用者A〜Eごとの乗りかご11Xへの乗り込み許容乗車率の中の最大値を、該当する乗場20−1の乗り込み許容乗車率として用いる方が適当であると考えられる。
【0050】
以上の第1実施形態によれば、エレベータが乗場呼びに応答する際に、乗りかごを満員通過させるか否かの判断条件となる乗りかごの乗車率を、乗場にいる利用者の利用傾向に合わせて決定することで、不要な乗りかごの停止を低減させ、運転効率を向上させることができる。本実施形態は特に、DCSシステムなどの利用者の認証機能を有するシステムとの親和性が高く、このようなシステムを用いることでより効率的で利便性の高いエレベータの運転を行うことができる。
【0051】
《第2実施形態》
本発明の第2実施形態では、大規模な建物の中に、複数のエレベータシステムが設置されている場合について説明する。このような場合には、複数の建物内で利用者が共通する可能性が高い。そのため、以下に説明する第2実施形態では、1つの乗り込み判断データベースを複数のエレベータで共有するように構成することで、利用者の利用傾向の学習効率を向上させる。
【0052】
〈第2実施形態によるエレベータシステムの構成〉
本発明の第2実施形態によるエレベータシステムは、大規模な建物内に設置された建物内エレベータシステム2であり、図8に示すように、エレベータ群管理制御装置30−1を有する第1エレベータシステム1−1と、エレベータ群管理制御装置30−2を有する第2エレベータシステム1−2と、エレベータ群管理制御装置30−3を有する第3エレベータシステム1−3と、これらの第1エレベータシステム1−1〜第3エレベータシステム1−3のエレベータ群管理制御装置30−1〜30−3に接続された乗り込み判断データベース記憶装置40とを備える。
【0053】
第1エレベータ群管理制御装置30−1〜第3エレベータ群管理制御装置30−3はそれぞれ、図9に示すように、乗り込み判断データベース305を備えないことを除いては、第1実施形態で説明したエレベータシステム1Aの構成と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0054】
乗り込み判断データベース記憶装置40は、第1エレベータシステム1−1、第2エレベータシステム1−2、および第3エレベータシステム1−3から送信された利用者ごとの乗り込み判断情報を記憶する。
【0055】
〈第2実施形態によるエレベータシステムの動作〉
上述したように構成された建物内エレベータシステム2では、第1エレベータシステム1−1のエレベータ群管理制御装置30−1の乗り込み判断情報出力部304から出力された利用者ごとの乗り込み判断情報、第2エレベータシステム1−2のエレベータ群管理制御装置30−2の乗り込み判断情報出力部304から出力された利用者ごとの乗り込み判断情報、および第3エレベータシステム1−3のエレベータ群管理制御装置30−3の乗り込み判断情報出力部304から出力された利用者ごとの乗り込み判断情報が、乗り込み判断データベース記憶装置40に記憶される。
【0056】
また、第1エレベータシステム1−1、第2エレベータシステム1−2、および第3エレベータシステム1−3で満員通過の判断処理を行う際に、それぞれ該当するエレベータ群管理制御装置30−1〜30−3の乗り込み判断情報取得部309で、該当する利用者の乗り込み判断情報が乗り込み判断データベース記憶装置40から取得される。
【0057】
以上の第2実施形態によれば、同一の建物内で複数のエレベータシステムが存在する場合に、これら複数のエレベータシステムで利用者の利用履歴の情報を共有するため、利用履歴の学習効率が向上するとともに、同じ利用者に対して複数のエレベータシステムでそれぞれ利用履歴の学習処理が行われることで利用者に与える違和感をなくすことができる。
【0058】
《第3実施形態》
本発明の第3実施形態では、複数の建物に設置された複数のエレベータシステム間で、1つの乗り込み判断データベースを共有することで、さらに利用者利用傾向の学習効率および情報の管理効率を向上させる。
【0059】
〈第3実施形態によるエレベータシステムの構成〉
本発明の第3実施形態によるエレベータシステムは、所定エリア内の複数の建物間で複数の建物内エレベータが接続されたエリア内エレベータシステム3であり、図10に示すように、乗り込み判断データベース記憶装置40に、複数の建物内エレベータシステム2−1、2−2、および2−3が接続されて構成されている。各建物内エレベータシステム2−1〜2−3は、第2実施形態で説明した建物内エレベータシステム2と同様に、乗り込み判断データベース記憶装置40に接続された複数のエレベータシステムを有している。例えば、建物内エレベータシステム2−1は、第1エレベータシステム1−1、第2エレベータシステム1−2、および第3エレベータシステム1−3を有し、建物内エレベータシステム2−2は、第4エレベータシステム1−4、第5エレベータシステム1−5、および第6エレベータシステム1−6を有し、建物内エレベータシステム2−3は、第7エレベータシステム1−7、および第8エレベータシステム1−8を有している。第1エレベータシステム1−1〜第8エレベータシステム1−8それぞれの構成は、第2実施形態で説明したエレベータ群管理制御装置30−1〜30−3の構成と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0060】
〈第3実施形態によるエレベータシステムの動作〉
上述したように構成されたエリア内エレベータシステム3では各建物内エレベータシステム2−1〜2−3のエレベータシステム1−1〜1−8それぞれのエレベータ群管理制御装置30の乗り込み判断情報出力部304から出力された利用者ごとの乗り込み判断情報が、乗り込み判断データベース記憶装置40に記憶される。
【0061】
また、建物内エレベータシステム2−1〜2−3で満員通過の判断処理を行う際に、それぞれ該当するエレベータ群管理制御装置30−1〜30−8の乗り込み判断情報取得部309で、該当する利用者の乗り込み判断情報が乗り込み判断データベース記憶装置40から取得される。
【0062】
このエリア内エレベータシステム3の乗り込み判断データベース記憶装置40では、利用者毎にそれぞれ履歴情報が記憶されるため、複数のエレベータシステムから同時に同じ履歴情報にアクセスする事態は基本的には発生しない。
【0063】
以上の第3実施形態によれば、異なる建物に設置された複数のエレベータシステム間で、利用者の利用履歴の情報を共有するため、さらに利用者の利用履歴の学習効率が向上するとともに、利用者が当該エリア内で初めて訪れる建物においても適切な満員通過の判断処理を実行することができる。
【0064】
上述した第3実施形態において、乗り込み判断データベース記憶装置40に記憶させる利用者ごとの乗り込み判断情報を、該当する建物の利用用途による分類(例えば、オフィスビル、ショッピングモール等)ごとに記憶させ、満員通過の判断処理時に、該当する建物に関する乗り込み判断情報を用いるようにすることで、さらに精度の高い処理を行うことができる。
【0065】
《第4実施形態》
〈第4実施形態によるエレベータシステムの構成〉
本発明の第4実施形態によるエレベータシステム1Bの構成は、第1実施形態で説明したエレベータシステム1Aと同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。エレベータシステム1Bのエレベータ群管理制御装置30B内のエレベータ情報管理部302Bは、X号機エレベータ単体制御装置12X、Y号機エレベータ単体制御装置12Yから、X号機エレベータ10XおよびY号機エレベータ10Yの運転状況情報として、時間帯ごとに予め設定された乗りかご11X、11Yの運行モード情報を、さらに取得する。運行モード情報としては例えば、朝の出勤時間帯に、待機中の乗りかごを出入口がある階に呼び寄せるための出勤時モードや、昼食時間帯の後半に、食堂がある階で乗場呼びが発生すると2台の乗りかごを当該階に応答させるための昼食時モードなどがある。
【0066】
また、本実施形態において乗り込み判断情報出力部304Bは、エレベータ情報管理部302Bで取得された情報と、待ち開始時刻取得部303で取得された利用者ごとのエレベータ待ち開始時刻とに基づいて、乗りかご11X、11Yそれぞれがいずれかの乗場20で戸開する都度、当該乗場にいる利用者ごとに、待ち時間と、戸開した乗りかご11X、11Yに乗り込んだか否かを示す情報と、該当する乗りかご11X、11Yの戸開中における最小の乗車率と、運行モード情報とを乗り込み判断情報として取得し、乗り込み判断データベース305に出力する。
【0067】
また、本実施形態において利用者許容乗車率算出部310Bは、乗場呼び受付部306で受け付けられた新たな乗場呼びに応答する乗りかご11の予測到着時刻と、運行モード情報とをエレベータ情報管理部302Bから取得する。そして、待ち開始時刻取得部303で取得された該当する乗場の利用者ごとのエレベータ待ち開始時刻と、取得した乗りかご11の予測到着時刻から、該当する乗場の利用者ごとの予測待ち時間を算出する。また、乗り込み判断情報取得部309で取得された情報に基づいて、当該乗場呼びが発生した階床にいる利用者ごとおよび運行モード情報ごとに乗り込み許容乗車率グラフを生成する。そして、生成された乗り込み許容乗車率グラフと、算出した利用者ごとの予測待ち時間とに基づいて、該当する運行モード時に当該階床にいる利用者ごとの該当する乗りかご11への乗り込み許容乗車率を算出する。
【0068】
〈第4実施形態によるエレベータシステムの動作〉
本実施形態によるエレベータシステム1Bにより、1階の乗場20−1にエレベータの利用者Aが来場したときに実行される、(1) 利用者の利用傾向を学習する処理、(2) 乗場呼び割り当て処理、および、(3) 満員通過の判断処理について説明する。
【0069】
(1) 利用者の利用傾向を学習する処理
エレベータシステム1Bで実行される、利用者ごとの利用傾向を学習する処理について、図11のシーケンス図を参照して説明する。図11において、ステップS1〜S3は、第1実施形態で説明した処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。ステップS3において乗場20における利用者Aの待ち時間が出力されると、乗り込み判断情報出力部304Bにより、該当する乗りかご11の戸開中における最小の乗車率および運行モード情報がエレベータ情報管理部302Bから取得される。また、該当する乗りかご11にかかる荷重量が戸開中に増加したか否か、またはカメラ装置22−1の撮像情報の解析処理により、利用者Aが乗り込んだか否かを示す情報が取得される(S7)。そして、利用者Aの待ち時間と、当該乗りかご11の戸開中における最小の乗車率と、戸開した乗りかご11に利用者Aが乗り込んだか否かを示す情報と、運行モード情報とが乗り込み判断情報として取得され、乗り込み判断データベースに出力される(S5)。乗り込み判断データベース305では、乗り込み判断情報出力部304Bから出力された、利用者ごとの乗り込み判断情報が順次記憶される(S6)。
【0070】
(2) 乗場呼び割り当て処理
1階の乗場20−1にエレベータの利用者Aが来場したときに実行される乗場呼び割り当て処理について、図12のシーケンス図を参照して説明する。
【0071】
乗場20−1に来場した利用者Aが乗場操作盤21−1で呼び登録操作を行うと、エレベータ群管理制御装置30Bの乗場呼び受付部306で受け付けられる。受け付けられた乗場呼びの情報は、割り当て評価値算出部307および乗り込み判断情報取得部309に出力される(S11)。
【0072】
割り当て評価値算出部307では、乗場呼び受付部306から新たな乗場呼びの情報が取得されると、エレベータ情報管理部302Bで取得されたX号機エレベータ10XおよびY号機エレベータ10Yの運転状況情報に基づいて、当該乗場呼びに対する各乗りかご11X、11Yの割り当ての優先度を示す評価値が算出される。各乗りかご11X、11Yの評価値は、該当する運行モードにおける運転内容に基づいて算出される。算出された評価値は、割り当てかご決定部308に出力される(S12、S13)。
【0073】
割り当てかご決定部308では、割り当て評価値算出部307で算出された評価値に基づいて、当該乗場呼びに対する割り当てかごが決定され、制御指令出力部312および利用者許容乗車率算出部310Bに出力される(S14)。制御指令出力部312では、割り当てかごとして決定された乗りかご11に対応するエレベータ単体制御装置12に、当該乗場呼びに対する応答指令が出力される(S15)。以上で、乗場呼び割り当て処理の説明を終了する。
【0074】
(3) 満員通過の判断処理
本実施形態において、新たな乗場呼びが登録されたときに実行される満員通過の判断処理について、図12のシーケンス図を参照して説明する。
【0075】
乗場呼び受付部306から乗場呼びの情報が出力されると、乗り込み判断情報取得部309において、当該乗場呼びが発生した1階のカメラ装置22−1の撮像情報から、当該乗場20−1にいる利用者が特定される。そして、特定された利用者の乗り込み判断情報が乗り込み判断データベース305から取得され、利用者許容乗車率算出部310Bに出力される(S16)。
【0076】
利用者許容乗車率算出部310Bでは、新たな乗場呼びに応答する乗りかご11Xの予測到着時刻および現在の運行モード情報が、エレベータ情報管理部302Bから取得される。そして、待ち開始時刻取得部303で取得された該当する乗場20−1の利用者のエレベータ待ち開始時刻と、取得した乗りかご11Xの予測到着時刻とから、該当する乗場20−1の利用者ごとの予測待ち時間が算出される(S17)。また、乗り込み判断情報取得部309で取得された情報に基づいて、当該乗場呼びが発生した乗場20−1にいる利用者ごとおよび運行モード情報ごとに、各待ち時間における乗り込み許容乗車率を示す乗り込み許容乗車率グラフが生成される。
【0077】
そして、生成された乗り込み許容乗車率グラフと、算出した利用者ごとの予測待ち時間とに基づいて、該当する運行モードにおける各利用者の乗りかご11Xへの乗り込み許容乗車率が算出される。算出された利用者ごとの乗りかご11Xへの乗り込み許容乗車率は、乗場許容乗車率算出部311に出力される(S21)。その後、乗場許容乗車率算出部311および制御指令出力部312で実行されるステップS19およびS20の処理は、第1実施形態で説明した処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0078】
以上の第4実施形態によれば、エレベータが乗場呼びに応答する際に、乗りかごを満員通過させるか否かの判断条件となる乗りかごの乗車率を、該当する運行モードにおける各利用者の利用傾向に合わせて決定することで、さらに精度よく運転効率を向上させることができる。
【0079】
《第5実施形態》
〈第5実施形態によるエレベータシステムの構成〉
本発明の第5実施形態によるエレベータシステム1Cの構成は、第1実施形態で説明したエレベータシステム1Aと同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。本実施形態によるエレベータシステム1Cのエレベータ群管理制御装置30Cの構成を、図13に示す。
【0080】
エレベータ群管理制御装置30Cの割り当て評価値算出部307Cは、乗場呼び受付部306で新たな乗場呼びが受け付けられると、エレベータ情報管理部302で取得された群管理制御対象のX号機エレベータ10XおよびY号機エレベータ10Yの運転状況情報に基づいて、当該乗場呼びに対する各乗りかご11X、11Yの割り当ての優先度を示す評価値を算出する。そして、算出した評価値に基づいて乗場許容乗車率算出部311で乗場の許容乗車率が算出されると、当該乗場の許容乗車率に基づいて評価値を更新する。
【0081】
割り当てかご決定部308Cは、割り当て評価値算出部307Cで最初に算出された評価値に基づいて、当該乗場呼びに対する割り当てかごを決定して利用者許容乗車率算出部310に出力する。その後、割り当て評価値算出部307Cで評価値が更新されると、この更新後の評価値に基づいて、当該乗場呼びに対して決定した割り当てかごの情報を更新して制御指令出力部312に出力する。
【0082】
〈第5実施形態によるエレベータシステムの動作〉
エレベータシステム1Cにおいて実行される、(1) 利用者の利用傾向を学習する処理S1〜S6)、および(2) 乗場呼び割り当て処理(S11〜S14)は、第1実施形態で説明した処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0083】
本実施形態におけるエレベータシステム1Cにおいて実行される(3) 満員通過の判断処理について、図14のシーケンス図を参照して説明する。図14において、ステップS16〜S18で実行される処理は、第1実施形態で説明した処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0084】
本実施形態では、ステップS22において乗場許容乗車率算出部311で算出された乗場20−1に関する乗り込み許容乗車率は、割り当て評価値算出部307Cに出力される。割り当て評価値算出部307Cでは、取得された乗場20−1の乗り込み許容乗車率に基づいて、ステップS13で算出した評価値が更新される。更新された評価値の情報は、割り当てかご決定部308に出力される(S23)。
【0085】
割り当てかご決定部308では、割り当て評価値算出部307で更新された評価値に基づいて、当該乗場呼びに対してステップS14で決定した割り当てかごの情報が更新される。更新された割り当てかごの情報は、制御指令出力部312に出力される(S24)。そして、制御指令出力部312から、割り当てられた乗りかご11に対応するエレベータ単体制御装置12に、応答指令が出力される(S25)。
【0086】
以上の第5実施形態によれば、エレベータの乗場呼びに対し、応答しても利用者が乗り込まないと予測される乗りかごを応答させないようにすることで、さらに運転効率を向上させることができる。
【0087】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0088】
1A,1B,1C,1−1〜1−8…エレベータシステム、2,2−1〜2−3…建物内エレベータシステム、3…エリア内エレベータシステム、10,10X,10Y…エレベータ、11,11X,11Y…乗りかご、12,12X,12Y…エレベータ単体制御装置、13,13X−1〜13X−n,13Y−1〜13Y−n…乗場ドア、20,20−1〜20−n…乗場、21−1〜21−n…乗場操作盤、22,22−1〜22−n…カメラ装置、30,30−1〜30−3,30A,30B,30C…エレベータ群管理制御装置、40…判断データベース記憶装置、111,111X,111Y…かご内操作盤、301…仕様情報記憶部、302,302A,302B…エレベータ情報管理部、303…待ち開始時刻取得部、304,304A,304B…乗り込み判断情報出力部、305…判断データベース、306…乗場呼び受付部、307,307C…割り当て評価値算出部、308,308C…割り当てかご決定部、309…乗り込み判断情報取得部、310,310A,310B…利用者許容乗車率算出部、311…乗場許容乗車率算出部、312…制御指令出力部
【要約】      (修正有)
【課題】利用者ごとのエレベータの利用傾向に基づいて、効率よくエレベータを運転させるエレベータ制御装置を提供する。
【解決手段】エレベータ制御装置は、乗場の利用者識別装置に接続され、利用者許容乗車率算出部310と乗場許容乗車率算出部311と制御指令出力部312とを備える。利用者許容乗車率算出部310は、新たな乗場呼びが発生すると、過去の利用状況に基づいて、該当する乗場にいる利用者ごとの待ち時間に応じた乗り込みを許容する乗車率の上限値を、利用者ごとの乗り込み許容乗車率として算出する。乗場許容乗車率算出部311は、利用者ごとの乗り込み許容乗車率から当該乗場の乗り込み許容乗車率を算出する。制御指令出力部312は、応答する乗りかごの乗車率が当該乗場の乗り込み許容乗車率を超えているときには、当該乗りかごを満員通過させる。
【選択図】図2
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